タワーマンションの固定資産税はいくら?1億円の物件を試算

タワーマンションの固定資産税はいくら?

タワーマンションの固定資産税は物件や階層によって大きく異なりますが、新築であり一戸部分が消費税別9,800万円、土地の持ち分が200万円、合計1億円であれば、都市計画税と合わせて35万7,400円程度が目安です。

タワーマンションの固定資産税の仕組みを解説し、1億円の新築タワーマンションの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しましょう。

目次

1. タワーマンションの固定資産税とは?

冒頭でご紹介したとおり、タワーマンションの固定資産税は物件によって大きく異なるものの、一戸部分が消費税別9,800万円、土地の持ち分が200万円、合計1億円であれば、都市計画税と合わせて35万7,400円程度が目安です。

1億円のタワーマンションの固定資産税はいくら?

そして、1億円のタワーマンションの固定資産税の詳細をご紹介する前に、タワーマンションに固定資産税が課される仕組みを簡単にご紹介しましょう。

1-1. タワーマンションの固定資産税の計算方法

タワーマンションを購入すると、一戸部分と土地の持ち分を所有することとなり、それぞれに固定資産税が課されます。

また、多くのタワーマンションは市街化区域(既に市街地である区域、または今後10年以内に市街化が図られる区域)に位置するため、一部例外を除き一戸部分と土地の持ち分に都市計画税も課されることとなります。

それらの合計が、タワーマンションの固定資産税です。

タワーマンションに固定資産税が課される仕組み

タワーマンションの一戸部分の固定資産税は、一棟全体の固定資産税が、所有する一戸部分の床面積の広さと階層の高さに応じて按分された額となります。

按分される税額は、床面積が広く階層が高い戸を所有するほど多くなり、タワーマンションの一戸部分の固定資産税の計算式は以下のとおりです。

タワーマンションの一戸部分の固定資産税の計算式
一棟全体の固定資産税×(所有する専有部分の面積×階層別専有床面積補正率)/専有部分の面積の合計)=固定資産税

式に含まれる「所有する専有部分の面積」とは、所有する一戸部分の床面積などを指します。

また、式に含まれる「専有部分の面積の合計」とは、そのタワーマンションの各戸内の床面積の合計などを指します。

さらに、式に含まれる「階層別専有床面積補正率」とは、高層階は固定資産税を高く、低層階は固定資産税を低くするための率です。

階層別専有床面積補正率は「(階層-1)×0.25641+100」と計算し、1階であれば100%、10階であれば102.3077%、20階は104.8718%、30階は107.4359%、40階は110%、50階は112.5641%となります。

階層別専有床面積補正率の早見表
階層 階層別専有床面積補正率
1 100%
10 102.31%
20 104.87%
30 107.44%
40 110%
50 112.56%

一方、タワーマンションの土地の持ち分の固定資産税は、敷地全体の固定資産税が、所有する一戸部分の床面積の広さに応じて按分された額となります。

按分される税額は、床面積が広い戸を所有するほど多くなり、タワーマンションの土地の持ち分の固定資産税を計算する方法は以下のとおりです。

タワーマンションの土地の持ち分の固定資産税の計算式
敷地全体の固定資産税×(所有する専有部分の面積/専有部分の面積の合計)=固定資産税

なお、タワーマンションの土地の持ち分の固定資産税は、階層の影響を受けません。

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1-2. タワーマンションは高層階ほど固定資産税が高い

平成29年1月2日以降に新築されたタワーマンションは、階層が高い戸を所有するほど一戸部分の固定資産税と都市計画税が高くなります。

たとえば、1階の一戸部分の固定資産税と都市計画税の合計を100%とすると10階は102.3%程度、20階は104.9%程度、30階は107.4%程度、40階は110%程度、50階は112.6%程度になるといった具合です。

税額にすれば、1階の一戸部分の固定資産税と都市計画税の合計が40万円であれば10階は40万9,230円程度、20階は41万9,4872円程度、30階は42万9,7436円程度、40階は44万円程度、50階は45万256円程度となります。

タワーマンションの階層による固定資産税の違い
階層 割合 税額の目安
1階 100% 40万円とすると…
10階 102.30% 40万9,230円程度
20階 104.90% 41万9,4872円程度
30階 107.40% 42万9,7436円程度
40階 110% 44万円程度
50階 112.60% 45万256円程度

タワーマンションの一戸部分の固定資産税が高層階ほど高くなる理由は、販売価格にあります。

タワーマンションは高層階ほど高く売買されますが、その額が固定資産税にも反映されるといった具合です。

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1-3. タワーマンションは戸数が少ないほど固定資産税が高い

タワーマンションを含め、マンションの一戸部分の固定資産税と都市計画税は、まずは1棟全体の税額が計算され、その額が各戸の所有者に按分されます。

土地の持ち分の固定資産税と都市計画税も同じであり、まずは敷地全体の税額が計算され、その額が各戸の所有者に按分されます。

按分される額は、所有する一戸部分の床面積が広いほど多くなりますが、一棟全体、または敷地全体の固定資産税を各戸の所有者が分割して負担することには変わりがありません。

よって、タワーマンションは、敷地面積が広く戸数が少ないほど固定資産税が高くなります。

たとえば、敷地面積が1,000平方メートルで戸数が1,000のタワーマンションより、敷地面積が2,000平方メートルで戸数が300のタワーマンションの方が税額が高くなるといった具合です。

よって、タワーマンションの購入を希望しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、敷地面積が狭く戸数が多い物件を選ぶのが良いでしょう。

タワーマンションは敷地面積が広く戸数が少ないほど固定資産税が高い

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1-4. タワーマンションは設備が豪華なほど固定資産税が高い

タワーマンションを含め、マンションの一戸部分の固定資産税と都市計画税は、まずは一棟全体の税額が計算され、その額が各戸の所有者に按分されます。

これを理由に、一棟全体の固定資産税が高いタワーマンションは、各戸の所有者に割り振られる税額も多くなりますが、高価な設備が使用された物件は一棟全体の固定資産税が高くなります。

一棟全体の固定資産税が高くなる高価な設備とは、免震装置や高速エレベーターなどです。

タワーマンションは複数のエレベーターが設置されていることがありますが、エレベーターの数も一棟全体の固定資産税に影響を与え、台数が多いほど税額が高くなります。

また、外壁材のグレードなども一棟全体の固定資産税に影響を与えます。

たとえば、カーテンウォールが使用されたタワーマンションは、一棟全体の固定資産税が高くなりがちです。

免震装置があれば安心して居住でき、高速エレベーターがあれば便利ですが、固定資産税が高くなる可能性があるため注意してください。

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1-5. 新築のタワーマンションは6年目から固定資産税が高くなる

戸内の床面積が50平方メートル以上250平方メートル程度以下である新築のタワーマンションを購入すれば、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用されます。

同軽減措置が適用されれば、はじめて固定資産税が課されることとなった年から5年(長期優良住宅に該当するタワーマンションは7年)にわたり、一戸部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。

これを理由に、軽減措置の適用期間中である5年目までは納税が楽です。

しかし、軽減措置の適用期間が完了した6年目は、一戸部分の固定資産税が本来の税額に戻り、5年目の1.97倍程度まで上がります。

たとえば、軽減措置が適用されることにより5年目の一戸部分の固定資産税が10万円であれば、6年目には19万7,000円程度まで上がるといった具合です。

以下は、はじめて固定資産税が課されることとなった年の一戸部分の固定資産税が30万円のタワーマンションにおける、軽減措置の適用期間が完了する6年目までの税額の推移を表した表となります。

タワーマンションの6年目の固定資産税はいくら?
本来の税額 軽減措置適用後の税額
1年目 30万円 15万円
2年目 22万5,000円 11万2,500円
3年目 21万円 10万5,000円
4年目 20万7,360円 10万3,680円
5年目 20万4,750円 10万2,375円
6年目 20万2,110円 20万2,110円(軽減措置適用完了により5年目の1.97倍に)

各税額は目安

なお、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されることにより固定資産税が2分の1に軽減されるのは、一戸部分の固定資産税のみです。

よって、軽減措置の適用期間完了後に上がるのは一戸部分の固定資産税のみであり、一戸部分の都市計画税や土地の持ち分の固定資産税と都市計画税は上がりません。

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2. 1億円のタワーマンションの固定資産税はいくら?

1億円の新築タワーマンションの固定資産税は、一戸部分の価格が消費税別9,800万円、土地の持ち分の価格が200万円であれば、都市計画税と合わせて35万7,400円程度が目安です。

また、一戸部分が価格が消費税別9,000万円、土地の持ち分の価格が1,000万円、合計1億円の新築タワーマンションであれば、都市計画税と合わせて34万7,300円程度が目安となります。

1億円のタワーマンションの固定資産税の目安

ここから、売り出し中のタワーマンションの固定資産税をシミュレーションする方法をご紹介しましょう。

なお、ご紹介する方法を用いれば、1億円に限らず様々な価格のタワーマンションの固定資産税をシミュレーションできますが、新築に限りシミュレーションすることが可能です。

また、ご紹介するのはあくまでシミュレーション方法であり、正確に税額を計算する方法ではないため留意してください。

タワーマンションは建築費や階層などによって固定資産税が大きく異なり、全ての物件の固定資産税を正確に計算することは難しく、ここではシミュレーション方法をご紹介します。

2-1. 一戸部分と土地の持ち分の価格を計算する

はじめに、課される消費税の額を用いて、タワーマンションの販売価格に占める一戸部分と土地の持ち分の価格を計算します。

具体的には、消費税の10倍が一戸部分の価格、消費税抜きの販売価格から一戸部分の価格を差し引いた額が土地の持ち分の価格となります。

たとえば、消費税抜きの販売価格が1億円、課される消費税が980万円であれば以下のように計算し、一戸部分の価格が9,800万円、土地の持ち分の価格は200万円です。

計算例
  • 980万円(消費税)×10=9,800万円(一戸部分の価格)
  • 1億円(消費税抜きの販売価格)-9,800万円(一戸部分の価格)=200万円(土地の持ち分の価格)

1億円のタワーマンションを含め、新築住宅は家屋には10%の消費税が課されますが、土地には課されません。

したがって、消費税の10倍が一戸部分の価格であり、消費税抜きの販売価格から一戸部分の価格を差し引いた額が土地の持ち分の価格となります。

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2-2. 一戸部分と土地の持ち分の固定資産税評価額を想定する

タワーマンションの一戸部分と土地の持ち分の価格の区分が完了すれば、それらの価格から一戸部分と土地の持ち分の固定資産税評価額を想定します。

一戸部分と土地の持ち分の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、一戸部分、または土地の持ち分の適正な時価です。

不動産の固定資産税は市場価格から計算するのではなく、市町村によって評価された適正な時価、すなわち固定資産税評価額を基に計算します。

したがって、タワーマンションの固定資産税をシミュレーションするためには、一戸部分と土地の持ち分の固定資産税評価額を想定しなければなりません。

タワーマンションの固定資産税は固定資産税評価額を基に計算する

まずは、一戸部分の価格から、一戸部分の固定資産税評価額を想定しましょう。

一戸部分の固定資産税評価額は、一戸部分の価格より大幅に低くなるのが通例ですが、タワーマンションの一戸部分の固定資産税評価額は、物件や階層によって低くなる割合が大きく異なり、正確な額を想定することは困難です。

よって、ここでは、一戸部分の価格の60%の60%を、一戸部分の固定資産税評価額と想定することとします。

たとえば、一戸部分の価格が9,800万円であれば以下のように計算し、3,528万円が固定資産税評価額になるといった具合です。

一戸部分の固定資産税評価額の想定例
9,800万円(一戸部分の価格)×60%×60%=3,528万円(一戸部分の固定資産税評価額)

つぎに、土地の持ち分の価格から、土地の持ち分の固定資産税評価額を想定しましょう。

土地の持ち分の固定資産税評価額は、土地の持ち分の価格より低くなるのが通例ですが、どの程度低くなるかは物件によって大きく異なり、正確な額を想定することはできません。

そのため、ここでは、土地の持ち分の価格の70%と想定します。

計算例を挙げると、土地の持ち分の価格が200万円であれば以下のように計算し、140万円が固定資産税評価額になるといった具合です。

土地の持ち分の固定資産税評価額の想定例
200万円(土地の持ち分の価格)×70%=140万円(土地の持ち分の固定資産税評価額)

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2-3. 一戸部分の固定資産税と都市計画税を計算する

先に想定したタワーマンションの一戸部分の固定資産税評価額を用いて、一戸部分の固定資産税と都市計画税を計算します。

計算方法は以下のとおりです。

一戸部分の固定資産税の計算式
一戸部分の固定資産税評価額×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=一戸部分の固定資産税

一戸部分の都市計画税の計算式
一戸部分の固定資産税評価額×都市計画税の税率(市町村によって異なるものの最高で0.3%)=一戸部分の都市計画税

たとえば、先に想定した一戸部分の固定資産税評価額が3,528万円であれば以下のように計算に、固定資産税は49万3,920円、都市計画税は10万5,840円です。

一戸部分の固定資産税の計算例
3,528万円(一戸部分の固定資産税評価額)×1.4%(固定資産税の税率)=49万3,920円

一戸部分の都市計画税の計算例
3,528万円(一戸部分の固定資産税評価額)×0.3%(都市計画税の税率)=10万5,840円

以上で一戸部分の固定資産税と都市計画税が計算できました。

なお、戸内の床面積が50平方メートル以上250平方メートル程度以下の新築のタワーマンションを購入すると、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用されます。

同軽減措置が適用されれば、はじめて固定資産税が課されることとなった年から5年などにわたり、一戸部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。

したがって、戸内の床面積が50平方メートル以上250平方メートル程度以下のタワーマンションの固定資産税をシミュレーションする場合は、先に計算した一戸部分の固定資産税を2分の1に減額してください。

先に計算した一戸部分の固定資産税が49万3,920円であれば以下のように計算し、24万6,960円が軽減措置適用後の税額になるといった具合です。

計算例
49万3,920円(本来の税額)÷2=24万6,960円(軽減措置適用後の税額)

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2-4. 土地の持ち分の固定資産税と都市計画税を計算する

先に想定した土地の持ち分の固定資産税評価額から、土地の持ち分の固定資産税と都市計画税を計算します。

具体的な計算方法は、以下のとおりです。

土地の持ち分の固定資産税の計算式
(土地の持ち分の固定資産税評価額÷6)×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=土地の持ち分の固定資産税

土地の持ち分の都市計画税の計算式
(土地の持ち分の固定資産税評価額÷3)×都市計画税の税率(市町村によって異なるものの最高で0.3%)=土地の持ち分の都市計画税

たとえば、想定した土地の持ち分の固定資産税評価額が140万円であれば以下のように計算し、固定資産税は3,266円、都市計画税は1,399円です。

土地の持ち分の固定資産税の計算例
(土地の持ち分の固定資産税評価額である140万円÷6)×1.4%(固定資産税の税率)=3,266円

土地の持ち分の都市計画税の計算例
(土地の持ち分の固定資産税評価額である140万円÷3)×0.3%(都市計画税の税率)=1,399円

以上でタワーマンションの土地の持ち分の固定資産税と都市計画税が計算できました。

最後に、これまでに計算した各固定資産税と各都市計画税を合計します。

その答えが、タワーマンションの固定資産税のシミュレーション結果です。

計算例を挙げると、一戸部分の固定資産税が24万6,960円、都市計画税が10万5,840円、土地の持ち分の固定資産税が3,266円、都市計画税が1,399円であれば以下のように計算し、35万7,400円が答えとなります。

タワーマンションの固定資産税のシミュレーション結果
24万6,960円(軽減措置適用後の一戸部分の固定資産税)+10万5,840円(一戸部分の都市計画税)+3,266円(土地の持ち分の固定資産税)+1,399円(土地の持ち分の都市計画税)=35万7,400円

なお、タワーマンションはごく稀に、土地の持ち分は購入せず定期借地権で借りることとなる物件があります。

定期借地権とは、50年などの限られた期間において、建物を所有するために他人の土地を利用する権利です。

定期借地権のタワーマンションを購入した場合は土地の持ち分は地代を払いつつ借りることとなり、所有権を得ることがなく固定資産税と都市計画税は課されません。

よって、定期借地権のタワーマンションの固定資産税をシミュレーションする場合は、土地の固定資産税と都市計画税の計算を省略してください。

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3. タワーマンションのメリットとデメリット

タワーマンションは、一般のマンションより土地の持ち分の固定資産税と都市計画税が安くなるというメリットがあります。

しかし、タワーマンションは、一戸建てなどの木造家屋より一戸部分の固定資産税が高くて下がりにくいというデメリットもあります。

ここからは、タワーマンションの固定資産税に関するメリットとデメリットをご紹介しましょう。

3-1. タワーマンションのメリット

タワーマンションには、一般のマンションより土地の持ち分の固定資産税と都市計画税が安いというメリットがあります。

タワーマンションを含め、マンションなどの集合住宅の土地の持ち分の固定資産税と都市計画税は、敷地全体の税額が各戸の所有者に割り振られた額となります。

したがって、戸数が多いタワーマンションは割り振られる税額が少なくなり、一般のマンションより土地の持ち分の固定資産税と都市計画税が安くなるのが通例です。

また、タワーマンションの一戸部分の固定資産税は高層階ほど高くなりますが、これは低層階の一戸部分の固定資産税が割安になることを意味します。

ただし、割安になるといっても高層階に比べて割安になるだけであり、タワーマンションの一戸部分の固定資産税は、一戸建ての木造家屋より高くなる傾向があるため留意してください。

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3-2. タワーマンションのデメリット

タワーマンションに限ることではありませんが、マンションは鉄筋コンクリート造のため、一戸部分の固定資産税が木造家屋より高くなるというデメリットがあります。

タワーマンションの一戸部分を含め、家屋の固定資産税は家屋の固定資産税評価額を基に計算します。

家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価されたその家屋の適正な時価です。

鉄筋コンクリート造は木造より建築費が嵩むため、時価が高いとみなされると共に固定資産税評価額が高く評価される傾向があります。

固定資産税評価額が高く評価されれば、固定資産税評価額を基に計算する固定資産税も高くなります。

また、鉄筋コンクリート造であるタワーマンションの一戸部分の固定資産税は、木造家屋より下がりにくいというデメリットもあります。

木造家屋は、15年から35年をかけて新築時の20%程度まで下がります。

一方、鉄筋コンクリート造であるタワーマンションの一戸部分の固定資産税は、60年をかけて新築時の20%程度まで下がります。

タワーマンションは固定資産税が下がりにくいというデメリットがある

タワーマンションの一戸部分を含め、家屋の固定資産税は、家屋の時価を表す固定資産税評価額を基に計算しますが、木造より耐久性に優れる鉄筋コンクリート造は、時価が下がりにくいとみなされます。

時価が下がりにくいとみなされれば、家屋の時価を表す固定資産税評価額も下がりにくくなり、固定資産税評価額を基に計算する一戸部分の固定資産税も下がりにくくなります。

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4. タワーマンションに相続税の節税効果は期待できない

これまで、タワーマンションには相続税を大きく減額させる効果がありましたが、私がこの記事を作成する2023年7月の時点において、それは間もなく終了するようです。

相続税とは、不動産や現金などの財産を相続することにより課される税金であり、相続した財産の時価を基に税額を計算します。

よって、財産を相続した際は、相続した財産の時価を評価しなければなりませんが、現金を相続した場合は、その時価は相続した額と評価することとなります。

一方、不動産を相続した場合は、その時価は市場価格より低く評価します。

土地であれば市場価格の80%程度に、新築の家屋であれば建築費の60%程度に評価するといった具合です。

この市場価格と評価額の乖離を上手く利用すれば、相続税を節税できます。

たとえば、1億円の現金を相続した場合は時価が1億円の財産を相続したこととなり、1億円分の相続税が課されます。

一方、市場価格が1億円の土地を相続した場合は、その80%である時価が8,000万円の財産を相続したこととなり、8,000万円分の相続税を支払うのみで済みます。

また、タワーマンションは高く売買されるため、市場価格と評価額の乖離が特に大きい傾向がありました。

国税庁が公開する報道発表資料によれば、東京都に所在するタワーマンションの23階の一戸部分は、市場価格が1億1,900万円であるにもかかわらず評価額は3,720万円であったとのことです。

タワーマンションの市場価格と相続税評価額の乖離

出典:国税庁

これを理由に、相続税対策としてタワーマンションを購入する方が続出しましたが、この市場価格と評価額の乖離を問題視した国税庁は対策を検討し、評価方法の見直しを図っています。

具体的にタワーマンションの評価額は、市場価格の60%程度となるように補正されるとのことです。

これによりタワーマンションの相続税の節税効果は、一般の土地や建物と同等となります。

相続税対策としてタワーマンションの購入を希望し、固定資産税がいくらになるかお調べの方がいらっしゃいましたらご注意ください。

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まとめ

1億円の新築タワーマンションの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介し、売り出し中の新築タワーマンションの固定資産税をシミュレーションする方法を解説しました。

1億円の新築タワーマンションの固定資産税は、物件や階層によって大きく異なるものの一戸部分が消費税別9,800万円、土地の持ち分が200万円であれば都市計画税と合わせて35万7,400円程度が目安です。

また、一戸部分が消費税別9,000万円、土地の持ち分が1,000万円、合計1億円の新築タワーマンションであれば、都市計画税と合わせて34万7,300円程度が目安となります。

タワーマンションの固定資産税がいくらになるかお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、本記事では1億円の新築タワーマンションの固定資産税の目安をご紹介しましたが、中古住宅のタワーマンションであれば、その物件を取り扱う不動産業者に問い合わせることにより正確な税額を確認できます。

ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2023年7月
記事公開日:2022年5月

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