マンションの固定資産税が上がった理由

マンションの固定資産税が上がったのは、新築であれば軽減措置の適用期間が完了した、長らく所有するマンションであれば地価が上がったことなどが理由です。
マンションの固定資産税が上がった理由を解説し、マンションの固定資産税がいつになれば下がるかご紹介しましょう。
目次
- 1. マンションの固定資産税が上がったのは、軽減措置の適用完了などが理由
- 1-1. 新築マンションの固定資産税が上がった理由
- 1-2. 長期優良住宅の新築マンションの固定資産税が上がった理由
- 1-3. 長らく所有するマンションの固定資産税が上がった理由
- 2. マンションの固定資産税は、いつになったら下がる?
マンションの固定資産税が上がったのは、軽減措置の適用完了などが理由
マンションの固定資産税が上がったのは、新築の分譲マンションを購入後6年目であれば、軽減措置の適用期間が終了したことが理由です。
また、長期優良住宅である新築の分譲マンションを購入後8年目に固定資産税が上がったのも、軽減措置の適用期間が終了したことが理由です。
加えて、長らく所有するマンションや中古マンションの固定資産税が上がったのは、おそらくは、そのマンションが建つ土地の地価が上がったことが理由です。

つづいて、マンションの固定資産税が上がった理由の詳細を解説しましょう。
ちなみに「総務省:固定資産税の概要」では、固定資産税のあらましをご確認いただけます。
新築マンションの固定資産税が上がった理由
3階建て以上の耐火・準耐火建築物に該当する新築のマンションを購入し、6年目に固定資産税が上がったのであれば、軽減措置の適用期間が完了したことが理由です。
そのマンションには「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用され、はじめて固定資産税が課されることとなった年から5年にわたり、建物にかかる固定資産税が2分の1に減額されていました。
たとえば、令和元年に新築のマンションを購入したのであれば、令和2年、3年、4年、5年、6年と建物にかかる固定資産税が2分の1に減額されていたという具合です。
しかし、令和7年に軽減措置の適用期間が完了し、建物にかかる固定資産税が本来の税額に戻り、税額が上がることとなりました。

「新築された住宅に対する固定資産税の減額」は、戸内の床面積が50㎡以上である新築のマンションなどを購入すれば、多くの市町村では申告不要で適用されます。
よって、一般的なファミリー向けの新築マンションを購入すると、知らぬ間に同軽減措置が適用され、建物にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
その後、6年目に同軽減措置の適用期間が予告なしで完了し、マンションの固定資産税が上がったと驚かされることとなります。
新築のマンションを購入後6年目に固定資産税が上がったのであれば、同じ年に物件を購入したお隣さんなどに税額が上がっていないか確認するのが良いでしょう。
その方も固定資産税が上がったのであれば、上がったのは、やはり同軽減措置の適用期間が完了したためと考えられます。
なお、先に「新築された住宅に対する固定資産税の減額が適用されれば、建物にかかる固定資産税が2分の1に減額される」と説明しましたが、正確には異なるため留意してください。
正確には、建物である一戸部分の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
マンションの一戸を購入すると、地上権などである場合は除き、建物である一戸部分と、土地である敷地権(マンションの敷地権とは、そのマンションが建つ敷地を利用する権利です)を所有することとなり、それぞれに固定資産税や都市計画税が課されます。
しかし、同軽減措置が適用されることにより減額されるのは、建物である一戸部分の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税のみです。
多くのマンションは戸内の床面積が120㎡以下ですが、120㎡以下の場合は、建物である一戸部分にかかる固定資産税そのものが2分の1に減額されます。
長期優良住宅の新築マンションの固定資産税が上がった理由
3階建て以上の耐火・準耐火建築物に該当する長期優良住宅の新築マンションを購入し、8年目に固定資産税が上がったのであれば、軽減措置の適用期間が完了したことが理由です。
戸内の床面積が50㎡以上など、一定の条件を満たす長期優良住宅である新築のマンションを購入すると、「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用されます。
同軽減措置が適用されれば、はじめて固定資産税が課されることとなった年から7年にわたり、建物である一戸部分の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
たとえば、平成29年にマンションを購入したのであれば、平成30年、令和元年、2年、3年、4年、5年、6年と2分の1に減額されるといった具合です。
しかし、令和7年に軽減措置の適用期間が完了し、建物にかかる固定資産税が本来の税額に戻り、マンションの固定資産税が上がったと驚かされることとなります。

なお、「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」は、一部例外を除き、長期優良住宅を取得後に市町村役場に申告をすることにより適用されます。
よって、長期優良住宅を購入後8年目に固定資産税が上がった方は、申告の控えなどがないかご確認ください。
控えがあれば、その長期優良住宅である新築のマンションの固定資産税が上がったのは、間違いなく同軽減措置の適用期間が完了したためです。
なお、申告をしなれば、おそらくは同軽減措置でなく「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用されます。
「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されれば、同じく建物である一戸部分の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されますが、期間は5年となります。
長期優良住宅である新築のマンションの固定資産税が上がったという方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
長らく所有するマンションの固定資産税が上がった理由
長らく所有するマンションや、購入した中古マンションの固定資産税が上がったのは、おそらくは、そのマンションが建つ土地の地価が上がったことが理由です。
マンションの一戸を所有すると、地上権などである場合は除き、建物である一戸部分と、土地である「敷地権」を所有し、それぞれに固定資産税が課されます。
マンションの敷地権とは、そのマンションが建つ敷地を利用する権利です。
建物である一戸部分の固定資産税は、一部例外を除き、下がることや変わらないことがあっても上がることはありません。
一方、土地である敷地権の固定資産税は、そのマンションが建つ土地の地価が上がれば税額が上がります。
よって、長らく所有するマンションや中古マンションの固定資産税が上がったのは、地価が上がることにより土地である敷地権の税額が上がったことが理由と考えられます。

なお、令和7年や8年など3で割り切れる年以外に、地価が下がっているにもかかわらず土地(敷地権)の固定資産税が上がったのであれば、それは本来の税額に近づいているため留意してください。
そのマンションの土地である敷地権の固定資産税は、「負担調整措置」という土地所有者の税負担を軽減する措置により、本来より安く抑えられています。
しかし、毎年固定資産税が徐々に上がり、やがて本来の税額が課されることとなります。
ただし、そうはいっても、マンションの土地である敷地権の固定資産税は、一部例外を除きさほど高くはありません。
よって、いつの日か固定資産税が払えなくなるほど高くなるのでは?などの心配は不要です。
地価が下がっているにもかかわらず土地の固定資産税が上がる理由、および負担調整措置の詳細は、当サイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開中の記事にてわかりやすく解説しています。
興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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マンションの固定資産税は、いつになったら下がる?
マンションの固定資産税が上がったと戸惑う方がいらっしゃる一方で、固定資産税が上がりはしないもののいつになっても下がらないと困惑する方も多いようです。
ここからは、マンションの固定資産税が下がらないと困惑する方へ向けて、税額がいつになれば下がるか解説しましょう。
マンションを所有すると、地上権などである場合は除き、建物である一戸部分と、土地である敷地権を所有し、それぞれに固定資産税や都市計画税が課されます。
建物である一戸部分の固定資産税や都市計画税は、昨今のような物価高の期間は下がらず、物価高が終われば徐々に下がり、その税額は最短で築60年目に新築時の25%程度となります。
一方、土地である敷地権の固定資産税や都市計画税は、いつになれば下がるなどの概念はなく、地価が上がれば税額も上がり、地価が下がれば税額も下がります。

物価高の最中に、マンションの建物である一戸部分の固定資産税や都市計画税が下がらないのは、建物の固定資産税や都市計画税を計算する仕組みにあります。
建物の固定資産税や都市計画税は、その建物の時価を基に税額を計算し、時価が高ければ税額は高く、時価が低ければ税額は低くなります。
したがって、築年数が経過すると共に劣化し続ける建物は、物価水準が安定していれば、徐々に時価が下がりつつ固定資産税や都市計画税も下がります。
しかし、最近は物価高により建築費が高騰し、建物の時価が下がらないという状況が発生しています。
よって、マンションの建物のである一戸部分の固定資産税や都市計画税は、昨今のような物価高の期間は下がりません。
マンションを所有しつつ固定資産税がいつまでも下がらないと困惑する方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になってください。
まとめ - マンションの固定資産税は、なぜ下がるのが遅い?
マンションの固定資産税が上がった理由を解説し、マンションの固定資産税がいつになれば下がるかご紹介しました。
新築のマンションを購入後6年目に固定資産税が上がったのであれば、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置の適用期間が完了したことが理由です。
長期優良住宅である新築のマンションを購入後8年目に固定資産税が上がったのであれば、「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置の適用期間が完了したことが理由となります。
長らく所有するマンションや、購入した中古マンションの固定資産税が上がったのであれば、おそらくは、そのマンションが建つ土地の地価が上がったことが理由です。
マンションの固定資産税が上がった理由
マンションの状況 | 固定資産税が上がった理由 |
---|---|
購入後6年目の新築マンション | 「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用期間が完了した |
購入後8年目の長期優良住宅である新築マンション | 「新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額」の適用期間が完了した |
長らく所有するマンション、および中古住宅として購入したマンション | そのマンションが建つ土地の地価が上昇した |
また、マンションの固定資産税は、物価水準が安定していれば、最短で築60年目に新築時の25%程度まで下がりますが、下がるのは建物である一戸部分にかかる固定資産税や都市計画税のみです。
土地である敷地権にかかる固定資産税や都市計画税は、周辺の地価に応じて変動し続けます。
マンションの固定資産税に関することをお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
なお、先述のとおり、マンションの固定資産税は物価水準が安定していれば新築時の25%程度まで下がりますが、下がるのに最短で60年を要します。
60年といえば半世紀以上ですが、下がるのが遅いのは、マンションが鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であり、耐久性に優れることが理由です。
建物の固定資産税は、その建物の時価を基に税額を計算し、時価が高ければ税額は高く、時価が低ければ税額は低くなります。
したがって、日々劣化する建物は、物価水準が安定している状況に限られますが、築年数が経過すると共に徐々に時価が下がり、それに伴い固定資産税も徐々に下がります。
しかし、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は耐久性に優れているため、劣化する速度が遅くなります。
劣化する速度が遅いということは時価が下がりにくいということであり、時価が下がりにくければ固定資産税も下がりにくくなります。
ちなみに、木造の固定資産税は、ローコスト住宅など極めて安い建築費で建てられた建物であれば、最短15年で新築時の25%程度まで下がります。
木造は耐久性が劣るため劣化するのが速く、時価も固定資産税も早く下がるというわけです。
本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年5月
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