インナーバルコニーは固定資産税がかからない?

インナーバルコニーは固定資産税がかからないって本当?

インナーバルコニーは床面積に入らず、固定資産税がかからないといわれますが、残念ながらかかります。

インナーバルコニーに固定資産税がかかるか否か解説し、固定資産税が高くなるインナーバルコニーの特徴をご紹介しましょう。

目次

固定資産税とは?

インナーバルコニーの固定資産税を解説する前に、固定資産税のあらましと計算方法、軽減措置を簡単にご紹介します。

固定資産税とは、年度を問わず1月1日の時点で固定資産を所有することにより課される税金です。

固定資産税が課される対象となる固定資産とは、建物と土地と償却資産(償却資産とは、建物と土地を除く事業のために使用する資産です)を指します。

1月1日の時点で固定資産を所有すると固定資産税が課されることが決定し、その年の4月ごろから市町村に納税することとなります。

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固定資産税の計算方法

固定資産税は、以下のように課税標準額に税率を掛け算して計算します。

固定資産税の計算方法
課税標準額(対象となる固定資産の時価)×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=固定資産税

上記の式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。

固定資産税を計算する際の課税標準額は、式に記したように「対象となる固定資産の時価」です。

この「対象となる固定資産の時価」を一般には「固定資産税評価額」と呼び、市町村は「価格」と呼びます。

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固定資産税の軽減措置

固定資産税の主な軽減措置は「新築された住宅に対する固定資産税の減額(通称:新築住宅の減額)」と、「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例(通称:住宅用地の特例)」です。

「新築住宅の減額」は、床面積が50㎡以上など一定の条件を満たす新築の住宅を取得することにより適用されます。

適用されれば、新築を取得後3年や5年などにわたり、建物の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分1に減額されます。

「住宅用地の特例」は、住宅が建つ土地にかかる固定資産税が軽減される措置であり、適用されれば、住宅が建つ土地にかかる固定資産税が軽減されます。

前置きが長くなりましたが、続いてインナーバルコニーの固定資産税を解説しましょう。

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2. インナーバルコニーは固定資産税がかかる

インナーバルコニーは固定資産税がかからないといわれますが、残念ながら普通に課税されます。

固定資産税は、固定資産(建物や土地、償却資産)を所有することにより課される税金です。

インナーバルコニーは建物の中に設置されるため、建物もろとも固定資産税がかかることとなります。

また、市街地に位置する建物の多くには、固定資産税に加えて都市計画税もかかります。

都市計画税とは、公共施設を維持新設する「都市計画事業」と、公共施設を移設や新設するために必要となる土地を調達する「土地区画整理事業」の費用を賄うために市町村が徴収する税金です。

都市計画税がかかる市街地に位置する建物を所有し、その建物にインナーバルコニーが設置されているのであれば、建物もろとも都市計画税がかかることとなります。

市街地に位置する建物に設置されたインナーバルコニーには、固定資産税と都市計画税がかかる

つづいて、インナーバルコニーの固定資産税や都市計画税がいくらになるか目安をご紹介しましょう。

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インナーバルコニーの固定資産税はいくら?

インナーバルコニーの固定資産税がかからないという噂は誤りですが、税額はいくらでしょうか。

インナーバルコニーの固定資産税がいくらになると断言することはできませんが、税額はさほど高くなりません。

その理由は、インナーバルコニーが建物の中に設置されることにあります。

インナーバルコニーは建物の中に設置されるため、設置すると居室の面積が減り、居室にかかる固定資産税が安くなります。

代わりにインナーバルコニーに対して固定資産税がかかることとなりますが、居室にかかる固定資産税が安くなっているため、トータルで見ると税額はさほど変わらなくなるのです。

インナーバルコニーは固定資産税がかかるが、設置することにより居室の面積が減るため、税額はさほど高くならない

ただし、大きな腰壁や袖壁で囲んだインナーバルコニーや、窓がついたインナーバルコニー、軒の出が大きいインナーバルコニーは固定資産税が高くなるため注意が必要です。

つづいて、固定資産税が高くなるインナーバルコニーをご紹介しましょう。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税が高くなる設備をご紹介する記事を公開中です。

同記事では、システムキッチンやユニットバスなど、固定資産税が高くなる設備とその税額の目安をご紹介しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税が高くなる設備とは?コレがあると支払いがツラい

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インナーバルコニーを大きな壁で囲むと固定資産税が高くなる

インナーバルコニーを設置しても固定資産税はさほど高くなりませんが、大きな壁に囲まれたインナーバルコニーは例外です。

大きな腰壁や袖壁に囲まれたインナーバルコニーは、プライバシー保護に役立ちますが、外壁材にかかる固定資産税が高くなります。

大きな腰壁や袖壁に囲まれたインナーバルコニーは外壁材にかかる固定資産税が高くなる

インナーバルコニーの腰壁や袖壁には、一部例外を除き外壁材が施されます。

これを理由に、大きな腰壁や袖壁で囲まれたインナーバルコニーを設置すると、外壁材の使用量が増えます。

外壁材の使用量が増えれば、外壁材にかかる固定資産税が高くなります。

外壁材の固定資産税は、外壁材の種類、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合などによって異なりますが、一般的な住宅であれば、延床面積1㎡あたりの税額は以下のようになります。

外壁材の固定資産税の目安

外壁材の種類 固定資産税 都市計画税
タイル 162円程度 34円程度
漆喰仕上げ 155円程度 33円程度
サイディング 109円程度 23円程度
ガルバリウム鋼板 91円程度 19円程度

各税額は延床面積1㎡あたりの目安であり、木造、または軽量鉄骨造の戸建てに限り該当する
延床面積にはインナーバルコニーの面積を含まない

たとえば、タイルの外壁材が使用された、インナーバルコニーを除く延床面積が100㎡の木造の戸建てがあったとしましょう。

であれば「162円×100㎡=1万6,200円」と計算し、外壁材にかかる固定資産税は1万6,200円程度、「34円×100㎡=3,400円」と計算して都市計画税は3,400円程度、税額の合計は1万9,600円程度です。

しかし、その戸建てに、タイルの外壁材が施された大きな腰壁や袖壁で囲まれたインナーバルコニーが設置されているのであれば、外壁材の固定資産税と都市計画税の合計は1.1倍の2万1,560円程度まで高くなるといった具合です。

腰壁や袖壁が特に大きく、より多くの外壁材が使用されているのであれば、税額の倍率はそれ以上になります。

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インナーバルコニーに窓をつけると固定資産税が高くなる

インナーバルコニーには、インナーバルコニーと居室の間や、袖壁に窓が設置されたものがあります。

インナーバルコニーに窓をつけると、状況によっては窓にかかる固定資産税が高くなります。

具体的には、インナーバルコニーに窓をつけることにより、その建物の外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく上回ることとなれば、窓の固定資産税が1.3倍などまで高くなります。

難解ですが、インナーバルコニーに窓をつけることにより、一般的な住宅より窓の面積の合計が大きくなるのであれば、その建物は固定資産税が高くなるとお考えになれば良いでしょう。

インナーバルコニーに窓をつけると固定資産税が高くなる

インナーバルコニーに窓をつけることを希望し、固定資産税を安く抑えたい場合は、その他の窓を減らすなどして、一般的な住宅より外周の面積に占める窓の面積の割合が大きくならないように注意してください。

窓の固定資産税は高くなりがちで、支払いに苦労することになるかもしれません。

窓の固定資産税の詳細は、当サイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開中の記事にてわかりやすく解説中です。

同記事では、窓の固定資産税の目安をご紹介しています。

インナーバルコニーに窓をつけることを希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税は窓の大きさで高くなる?答「大小より面積で決まる」

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インナーバルコニーの軒を伸ばすと固定資産税が高くなる

インナーバルコニーは固定資産税がかからないという噂は誤りであり、普通にかかります。

そして、軒が大きく伸びたインナーバルコニーは、屋根材にかかる固定資産税が高くなります。

どの程度高くなるかは軒の大きさによって異なり、45cmを標準の税額として、60cmは1.2倍程度まで、90cmは1.25倍程度まで税額が高くなります。

屋根材の固定資産税は、屋根材の種類、屋根の形状と勾配などによって異なりますが、木造の戸建てであれば、建床面積1㎡あたりの標準的な税額は以下のようになります。

屋根材の固定資産税の目安

屋根材の種類 固定資産税 都市計画税
建材型ソーラーパネル 206円程度 44円程度
釉薬瓦 103円程度 22円程度
化粧スレートボード 73円程度 15円程度
ガルバリウム鋼板 59円程度 12円程度
アスファルトシングル 38円程度 8円程度

いずれも木造の戸建てに施された屋根材の建床面積1㎡あたりの標準的な税額

たとえば、インナーバルコニーを設置した、屋根材が建材型ソーラーパネル、軒の長さが45cm、勾配が10分の5、建床面積が50㎡の木造の戸建てがあったとしましょう。

その木造の戸建ての屋根にかかる固定資産税は「206円×50㎡=1万300円」と計算して1万300円程度、都市計画税は「44円×50㎡=2,200円」と計算して2,200円程度、合計1万2,500円程度です。

その木造の戸建てにインナーバルコニーを設置し、軒の長さを90cmとしたのであれば、税額の合計は1.25倍である1万5,625円程度まで高くなります。

インナーバルコニーの設置を希望し、固定資産税を安く抑えたい場合は、軒を伸ばしすぎないようにするのが良いでしょう。

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まとめ - 固定資産税が確実に高くなるのは跳ね出しバルコニー

インナーバルコニーに固定資産税がかかるか否か解説し、固定資産税が高くなるインナーバルコニーの特徴をご紹介しました。

インナーバルコニーは、建物の中に設置されているため、建物の一部として固定資産税がかかります。

とはいうものの、インナーバルコニーを設置してもさほど固定資産税が高くなることはありません。

それは、インナーバルコニーを設置することにより居室の面積が減り、居室にかかる固定資産税が安くなり、税額が相殺されるためです。

ただし、大きな腰壁や袖壁で囲んだインナーバルコニーは外壁材にかかる固定資産税が高くなり、軒が長いインナーバルコニーは屋根材の固定資産税が高くなります。

また、窓がついたインナーバルコニーは、窓の固定資産税が高くなる可能性があるため注意してください。

ちなみに、インナーバルコニーとは建物の中に設置されたバルコニーですが、建物の外に設置されたバルコニーを跳ね出しバルコニーと呼びます。

インナーバルコニーとは建物の中に設置されたバルコニーだが、建物の外に設置されたバルコニーを跳ね出しバルコニーと呼ぶ

その跳ね出しバルコニーですが、多くの場合はインナーバルコニーより固定資産税が高くなります。

インナーバルコニーは固定資産税がかかりますが、先述のとおり居室の固定資産税が安くなり、税額が相殺されます。

一方、跳ね出しバルコニーの固定資産税は、建物に追加する形で計算されるため、相殺されるものがなく、設置すると確実に税額が高くなります。

跳ね出しバルコニーの固定資産税は、戸建ての木造、または軽量鉄骨造に設置したのであれば、床部分の面積1㎡あたりにつき590円程度です。

加えて、同じく戸建ての木造、または軽量鉄骨造に設置したのであれば、跳ね出しバルコニーの都市計画税は床部分の面積1㎡あたりつき126円程度となります。

本記事の内容が、新築を予定するなどしてバルコニーの固定資産税がいくらになるか調べる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年9月

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