固定資産税は窓の大きさで高くなる?

固定資産税は窓の大きさで高くなる?

窓の固定資産税は高額で、大きな窓ばかりをつけると税額が跳ね上がります。

窓の固定資産税を安く抑えるためには、大きな窓と小さな窓をバランス良く配置するのが理想です。

大きな窓が固定資産税に与える影響を解説し、窓の固定資産税の目安をご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介するのは、新築の戸建ての窓にかかる固定資産税に関することであり、中古住宅やマンションの窓には該当しないため留意してください。

目次

窓は大きさではなく、外周に占める窓の面積で固定資産税が決まる

窓の固定資産税は、窓の大きさではなく、外周の面積に占める窓とドアの面積の割合で税額が決まります。

たとえば、外周の面積が150㎡、外周の面積に占める窓とドアの面積が30㎡の住宅があったとしましょう。

その住宅の外周の面積に占める窓とドアの面積の割合は、「30㎡÷150㎡×100=20%」と計算して20%です。

20%であれば、窓にかかる固定資産税は標準的な税額となります。

一方、20%を大きく上回れば、窓にかかる固定資産税は標準的な税額の1.3倍などと高くなります。

また、20%を大きく下回れば、窓にかかる固定資産税は標準的な税額の0.8倍などと安くなります。

固定資産税は窓の大きさではなく、外周に占める窓の面積の割合で決まる

よって、大きな窓の設置を希望し、固定資産税が高くなるのではと案ずる場合は、それ以外の窓を小さくするなどして、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%程度となるようにするのが良いでしょう。

そうすれば、窓の固定資産税は標準的な税額となります。

ところで、そもそも窓の標準的な固定資産税額はいくらでしょうか。

つづいて、窓の固定資産税の目安をご紹介しましょう。

なお、本記事の内容は、総務省の告示「固定資産評価基準」に基づいています。

固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めています。

固定資産税は市町村が課す地方税ですが、その税額は、対象となる建物や土地の時価を基に計算します。

よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する際に手本とするのが固定資産評価基準です。

固定資産評価基準は、「総務省:固定資産税の概要」の下部よりご覧いただけます。

▲ 目次に戻る

そもそも窓の固定資産税はいくら?

窓の固定資産税は、その住宅に設置されている窓のグレードによって「上」と「中」に区分され、上と中で税額の目安が異なります。

上に区分されるのは、「樹脂サッシとLow-Eガラス」「複合樹脂サッシとLow-Eガラス」のいずれかで構成されたグレードの高い窓が多く設置された住宅です。

上に区分されれば、その住宅の窓の標準的な固定資産税額は、床面積1㎡あたりにつき263円程度となります。

中に区分されるのは、「アルミサッシとLow-Eガラス」「樹脂サッシと複層ガラス」「複合樹脂サッシと複層ガラス」「アルミサッシと複層ガラス」のいずれかで構成された、一般的なグレードの窓が多く設置された住宅です。

中に区分されれば、その住宅の窓の標準的な固定資産税額は、床面積1㎡あたりにつき189円程度となります。

窓の固定資産税はいくら?

区分 固定資産税
床面積1㎡あたりにつき263円程度
床面積1㎡あたりにつき189円程度

たとえば、窓のグレードが上に区分された、延べ床面積が85㎡の「住宅A」があったとしましょう。

であれば「263円×85㎡=2万2,355円」と計算し、住宅Aの窓にかかる固定資産税は2万2,355円程度となります。

また、窓のグレードが中に区分された、延べ床面積が85㎡の「住宅B」があったとしましょう。

であれば「189円×85㎡=1万6,065円」と計算し、住宅Bの窓にかかる固定資産税は1万6,065円程度となります。

床面積が85㎡の住宅に設置された窓の固定資産税の目安

ただし、これらはあくまで外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%程度の状況における標準的な税額です。

本記事の「窓は大きさではなく、外周に占める窓の面積で固定資産税が決まる」でご説明したとおり、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく上回れば、窓の固定資産税は標準的な税額の1.3倍などまで高くなります。

窓にかかる固定資産税が2万2,355円程度である「住宅A」であれば、その1.3倍の2万9,061円程度まで税額が高くなるといった具合です。

反対に、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく下回れば、標準的な税額の0.8倍などまで固定資産税が安くなります。

窓にかかる固定資産税が2万2,355円程度である「住宅A」であれば、その0.8倍の1万7,884円程度まで税額が安くなるといった具合です。

なお、市街地に位置する建物に設置された窓には、多くの場合は固定資産税に加えて都市計画税も課されます。

つづいて、窓の都市計画税の目安をご紹介しましょう。

▲ 目次に戻る

市街地の窓には固定資産税に加えて都市計画税もかかる

市街地の住宅に設置した窓には、多くの場合は固定資産税に加えて都市計画税も課されます。

都市計画税とは、公共施設を維持新設する「都市計画事業」と、公共施設を移設や新設するために必要となる土地を調達する「土地区画整理事業」の費用を賄うために市町村が徴収する税金です。

窓の都市計画税も固定資産税と同じく、その住宅に設置されている窓のグレードによって「上」と「中」に区分され、上と中で税額の目安が異なります。

上に区分されるのは、「樹脂サッシとLow-Eガラス」「複合樹脂サッシとLow-Eガラス」のいずれかで構成された窓が多い住宅です。

上に区分されれば、その住宅の窓にかかる都市計画税は、床面積1㎡あたりにつき56円程度となります。

中に区分されるのは、「アルミサッシとLow-Eガラス」「樹脂サッシと複層ガラス」「複合樹脂サッシと複層ガラス」「アルミサッシと複層ガラス」のいずれかで構成された窓が多い住宅です。

中に区分されれば、その住宅の窓にかかる都市計画税は、床面積1㎡あたりにつき40円程度となります。

ただし、これらはあくまで外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%程度の状況における標準的な税額です。

外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく上回れば、税額は1.3倍などまで高くなります。

反対に、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく下回れば、税額は0.8倍などまで安くなります。

窓の標準的な都市計画税額

区分 標準的な都市計画税額
床面積1㎡あたりにつき56円程度
床面積1㎡あたりにつき40円程度

ちなみに、本記事ではこれまでに、窓のグレードが上、延べ床面積が85㎡、外周の面積に占める窓の面積の割合が20%である「住宅A」の窓にかかる固定資産税を2万2,355円と試算しました。

住宅Aに都市計画税も課されるのであれば「56円×85㎡=4,760円」と計算して税額は4,760円程度となり、窓にかかる固定資産税と都市計画税の合計は2万7,115円程度となります。

同じく本記事ではこれまでに、窓のグレードが中、延べ床面積が85㎡、外周の面積に占める窓の面積の割合が20%である「住宅B」の窓にかかる固定資産税を1万6,065円程度と試算しました。

住宅Bに都市計画税も課されるのであれば「40円×85㎡=3,400円」と計算して税額は3,400円程度となり、窓にかかる固定資産税と都市計画税の合計は1万9,465円程度となります。

窓の固定資産税と都市計画税の合計が2万7,115円や1万9,465円というのは、決して安くはありません。

よって、大きな窓の設置を希望する場合は、固定資産税や都市計画税が高くならないように、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく上回ることがないように心がけてください。

また、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく下回れば、窓の固定資産税や都市計画税は標準的な税額の0.8倍程度まで安くなりますが、代わりに外壁材の固定資産税や都市計画税が高くなるため注意が必要です。

つづいて、その詳細を解説しましょう。

▲ 目次に戻る

窓の面積を小さくしすぎると、外壁材の固定資産税が高くなる

窓の固定資産税や都市計画税は窓の大きさではなく、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合で決まります。

割合が20%であれば固定資産税や都市計画税は標準的な税額に、20%を大きく上回れば標準的な税額の1.3倍などに、20%を大きく下回れば標準的な税額の0.8倍などになるといった具合です。

であれば、大きな窓はもちろんのこと窓自体を減らせば、固定資産税や都市計画税を安くできると考えますが、そうとも限らないため注意してください。

外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく下回れば、窓にかかる固定資産税や都市計画税は安くなりますが、代わりに外壁材の固定資産税や都市計画税が高くなります。

どれくらい高くなるかは状況によって異なりますが、低くとも1.1倍など、高ければ1.5倍などです。

最近の住宅の外壁材といえばサイディングやガルバリウム鋼板、タイルが主流ですが、それらの固定資産税や都市計画税の目安は、床面積1㎡あたりにつき以下のとおりです。

外壁材の標準的な固定資産税の目安

種類 固定資産税 都市計画税
サイディング、ガルバリウム鋼板 109円程度 23円程度
タイル 165円程度 35円程度

いずれも床面積1㎡あたりの税額の目安

たとえば、床面積が100㎡の戸建ての外壁材がサイディングであれば「109円×100㎡=1万900円」と計算して外壁材にかかる固定資産税は1万900円程度、「23円×100㎡=2,300円」と計算して都市計画税は2,300円程度、合計1万3,200円程度です。

しかし、その住宅の外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%を大きく下回れば、外壁材の固定資産税と都市計画税の合計は低くとも1.1倍などである1万4,520円程度、高ければ1.5倍などである1万9,800円程度まで高くなります。

よって、新築を予定しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、大きな窓と小さな窓をバランス良く設置し、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合を20%程度に保つのが理想です。

そうすれば、窓と外壁材の固定資産税や都市計画税がいたずらに高くならないように抑えることができます。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、ユニットバスやシステムキッチンなど、固定資産税が高くなる設備をご紹介する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税が高くなる設備とは?コレがあると支払いがツラい

▲ 目次に戻る

まとめ - 天窓だけは、大きさで固定資産税が高くなる

窓の大きさが固定資産税に与える影響を解説し、窓の固定資産税の目安をご紹介しました。

窓の固定資産税は窓の大きさではなく、外周の面積に占める窓やドアの面積の割合で決まります。

外周の面積に占める窓やドアの面積の割合が20%などであれば、窓の固定資産税は標準的な税額です。

一方、面積の割合が20%を大きく上回れば固定資産税は標準的な税額の1.3倍などと高くなり、20%を大きく下回れば標準的な税額の0.8倍などと安くなります。

ただし、面積の割合が20%を大きく下回れば、窓の固定資産税が安くなる代わりに外壁材の固定資産税が高くなるため注意してください。

なお、本記事でご紹介したとおり、大きな窓を設置しただけで固定資産税が高くなることはありませんが、一つ例外があります。

それは、トップライトなどと呼ばれる天窓です。

天窓は固定式と開閉式で固定資産税が異なりますが、どちらのタイプも大きいほど税額が高くなります。

固定式の天窓の固定資産税は、大きさが450mm×450mmであれば644円程度、600mm×600mmであれば716円程度、900mm×900mmであれば1,002円程度です。

開閉式の天窓の固定資産税は、大きさが450mm×450mmであれば1,071円程度、600mm×600mmであれば1,190円程度、900mm×900mmであれば1,666円程度となります。

天窓は大きさで固定資産税が高くなる

大きさ 固定資産税
450mm×450mm 固定式644円程度、開閉式1,071円程度
600mm×600mm 固定式716円程度、開閉式1,190円程度
900mm×900mm 固定式1,002円程度、開閉式1,666円程度

いずれも新築の戸建てに設置した天窓の税額の目安

本記事の内容が、大きな窓の設置を希望する皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年8月

▲ 目次に戻る

こちらの記事もオススメです