屋上バルコニーの固定資産税を安く抑えるコツ

屋上バルコニーの固定資産税を安く抑えるコツ

屋上バルコニーの固定資産税は、塔屋(階段室)の床面積を大きくしすぎない、建物全体のドアや窓の面積を小さくする、ホームエレベーターを設置しないなどすれば安く抑えることができます。

屋上バルコニーの固定資産税を安く抑える3つの秘訣をご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介するのは、新築の戸建ての屋上バルコニーの固定資産税に関することであり、マンションや中古住宅には該当しないため留意してください。

目次

屋上バルコニーの固定資産税を安くする3つの秘訣

屋上バルコニーの固定資産税は、屋上へ出るための塔屋(階段室)の床面積を大きくしすぎない、建物全体のドアや窓の面積を小さくすれば安く抑えることができます。

また、屋上バルコニーと共にホームエレベーターの設置を希望する場合は、それをやめれば固定資産税は大幅に安くなります。

屋上バルコニーの固定資産税を安くする3つの秘訣

  1. 屋上へ出る塔屋(階段室)の床面積を大きくしすぎない
  2. 建物全体のドアや窓の面積を小さくする
  3. ホームエレベーターを設置しない

つづいて、屋上バルコニーの固定資産税を安くする秘訣の詳細を解説しましょう。

なお、本記事では屋上バルコニーの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しますが、都市計画税の目安もご紹介します。

都市計画税とは、公共施設を維持新設する「都市計画事業」と、公共施設を移設や新設するために必要となる土地を調達する「土地区画整理事業」の費用を賄うために市町村が徴収する税金です。

市街地に位置する建物や土地を所有すると、多くの場合は固定資産税にくわえて都市計画税もかかります。

屋上バルコニー付きの建物の取得を予定し、その建物に都市計画税がかかるか否かは、市町村役場のホームページなどにて確認することが可能です。

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塔屋の大きさを考慮すれば、屋上バルコニーの固定資産税は安くなる

塔屋の床面積が大きくなりすぎないようにすれば、屋上バルコニーの固定資産税を安く抑えることができます。

塔屋の読み方は「とうや」であり、屋上に出るために設ける階段やホームエレベーターを設置した部屋を指し、階段室などとも呼ばれる部屋です。

屋上バルコニーの固定資産税は、塔屋を小さくすれば安くなる

屋上バルコニーの塔屋には、主に3つの固定資産税がかかります。

1つめは「塔屋そのもの」、2つめは「塔屋の屋根材、外壁材、内壁材、床材」、3つめは「塔屋のドアや窓」です。

そして、塔屋の床面積が大きくなりすぎないようにすれば、1つめの「塔屋そのもの」と、2つめの「塔屋の屋根材、外壁材、内壁材、床材」にかかる固定資産税を安く抑えることができます。

1つめの「塔屋そのもの」の固定資産税の目安は建物の構造によって異なり、床面積1㎡あたりにつき以下のとおりです。

屋上バルコニーの「塔屋そのもの」にかかる固定資産税の目安

構造 固定資産税 都市計画税
木造 158円程度 34円程度
軽量鉄骨 122円程度 26円程度
RC造、SRC造 404円程度 86円程度

いずれも塔屋の床面積1㎡あたりの税額の目安

たとえば、RC造(鉄筋コンクリート造)の建物に床面積が10㎡の塔屋を設置したとしましょう。

であれば「404円×10㎡=4,040円」と計算して「塔屋そのもの」の固定資産税は4,040円程度、「86円×10㎡=860円」と計算して「塔屋そのもの」の都市計画税は860円程度となります。

一方、塔屋の床面積を5㎡とすれば、固定資産税や都市計画税はそれらの税額の半分まで安くなります。

同様に塔屋の床面積を狭くすれば、「塔屋の屋根材、外壁材、内壁材、床材」にかかる固定資産税や都市計画税も安くなります。

よって、屋上バルコニーの設置を希望しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、塔屋の床面積が大きくなりすぎないようにするのがお勧めです。

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ドアの面積を考慮すれば、屋上バルコニーの固定資産税は安くなる

屋上バルコニーを設置しても、建物全体のドアや窓の面積が大きくならないようにすれば、固定資産税を安く抑えることができます。

具体的には、塔屋を含め、建物全体の外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合が20%程度以下になるようにします。

そのイメージをイラストでご紹介すると、以下のとおりです。

屋上バルコニーを設置しても、ドアや窓の面積を考慮すれば固定資産税は高くならない

屋上バルコニーに出るためには塔屋を設置する必要がありますが、塔屋には屋上に出るためのドアや、明かり取りのための窓を設置するのが通例です。

よって、屋上バルコニーを設置すると、その建物は外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合が大きくなりがちです。

大きくなれば、ドアや窓にかかる固定資産税が跳ね上がります。

ドアや窓にかかる固定資産税はそもそも高くなりがちですが、外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合が20%程度であれば標準的な税額に収まります。

一方、外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合が25%などとなれば、標準的な税額の1.3倍などまで高くなります。

ドアや窓にかかる標準的な固定資産税額は、使用されているドアや窓のグレードによって異なり、床面積1㎡あたりの税額の目安は以下のとおりです。

ドアや窓にかかる標準的な固定資産税額の目安

ドアや窓のグレード 固定資産税 都市計画税
高い 263円程度 56円程度
普通 189円程度 40円程度

いずれも床面積1㎡あたりの税額の目安
各税額は新築の戸建てに限り該当する

たとえば、グレードの高いドアや窓が多く使用された、屋上バルコニーの塔屋を含む延床面積が120㎡の「戸建てA」があったとしましょう。

戸建てAの外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合は、20%です。

であれば、「263円×120㎡=3万1,560円」と計算して、戸建てAのドアや窓にかかる固定資産税は3万1,560円程度となります。

また、「56円×120㎡=6,720円」と計算して、戸建てAのドアや窓にかかる都市計画税は6,720円程度となります。

しかし、塔屋にも大きな窓を付けるなどして、戸建てAの外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合が20%を大きく上回ることとなったとしましょう。

そうなれば、戸建てAの固定資産税は1.3倍である4万1,028円程度まで、都市計画税も同じく1.3倍である8,736円程度まで高くなります。

ドアや窓にかかる固定資産税が4万1,028円程度、都市計画税が8,736円程度という税額は、決して安くありません。

したがって、屋上バルコニーを設置する際は、塔屋を含め、建物の外周に占めるドアや窓の面積の割合を考慮し、20%程度になるようにします。

そうすれば、屋上バルコニーを設置しても固定資産税を安く抑えることができます。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、窓の大きさが固定資産税に与える影響を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税は窓の大きさで高くなる?答「大小より面積で決まる」

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ホームエレベーターをやめれば、屋上バルコニーの固定資産税は安くなる

屋上バルコニーに上がるためにホームエレベーターの設置を予定するのであれば、それをやめれば固定資産税を安く抑えることができます。

ホームエレベーターは固定資産税が高くなる設備の一つであり、3人乗りで着床数が3であれば税額の目安は2万361円程度、着床数が4であれば2万5,451円程度です。

また、市街地に位置する建物にホームエレベーターを設置すると、多くの場合は都市計画税もかかります。

ホームエレベーターの都市計画税は、3人乗りで着床数が3であれば4,799円程度、着床数が4であれば5,453円程度です。

屋上バルコニーに上がるためにホームエレベーターを付ければ、これらの固定資産税や都市計画税がかかることとなります。

よって、屋上バルコニーに上がるためにホームエレベーターの設置を予定する場合は、それをやめれば固定資産税を安く抑えることが可能です。

ホームエレベーターを付けなければ、屋上バルコニーの固定資産税は安くなる

なお、ホームエレベーターの設置をやめたとしても、階段に固定資産税がかかることとなります。

とはいうものの、階段の固定資産税はホームエレベーターより圧倒的に安く、木造、または軽量鉄骨造であれば一個あたり2,999円程度です。

階段の都市計画税もホームエレベーターより圧倒的に安く、同じく木造、もしくは軽量鉄骨造であれば一個あたり642円程度となります。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税が高くなる設備をご紹介する記事を公開中です。

同記事では、システムキッチンやユニットバスなど、様々な設備の固定資産税の目安をご紹介しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税が高くなる設備とは?コレがあると支払いがツラい

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まとめ - 延床面積を意識すれば、固定資産税を効率よく節税できる

屋上バルコニーの固定資産税を安く抑える秘訣をご紹介しました。

屋上バルコニーの固定資産税は、塔屋(階段室)の床面積を大きくしすぎない、ホームエレベーターではなく階段で屋上に上がるようにすれば安く抑えることができます。

また、塔屋を含め、建物の外周の面積に占めるドアや窓の面積の割合を20%程度となるようにすれば、屋上バルコニーを付けても固定資産税が高くならないようにすることが可能です。

屋上バルコニーの設置を希望し、固定資産税が高くなるのではと案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。

なお、屋上バルコニーを設置しつつ短期的に固定資産税を安く抑える方法として、塔屋を含む延床面積が120㎡以下になるように新築するという方法があります。

固定資産税には、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置があります。

同軽減措置は、床面積が50㎡以上など、一定の条件を満たす新築である住宅を取得することにより適用されます。

適用されれば、新築を取得後3年や5年などにわたり、建物の床面積の120㎡の部分までにかかる固定資産税が2分の1に減額されます。

よって、塔屋を含む延床面積が120㎡以下となるように新築すれば、建物全体の固定資産税が2分の1に減額されることとなります。

一方、塔屋を含む延床面積が120㎡を超えるのであれば、120㎡を超える部分の固定資産税は減額されません。

すなわち、塔屋を含む延床面積が120㎡以下となるように新築すれば、固定資産税を効率よく節税できるというわけです。

延床面積には、屋上バルコニーの床部分の面積は含みません。

屋上バルコニーの固定資産税は、建物の延床面積を120㎡以下にすれば効率よく節税できる

本記事の内容が、屋上バルコニー付きの新築の取得を希望する皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年10月

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