バルコニーの屋根の固定資産税を安く抑える方法

バルコニーの屋根の固定資産税を安く抑える方法

バルコニーを屋根で覆うと固定資産税が高くなりますが、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるようにすれば、税額を抑えることができます。

バルコニーの屋根の固定資産税を抑える方法をご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介するのは、木造、または軽量鉄骨の新築の戸建てのバルコニーの屋根に関することであり、RC造やSRC造、マンションのバルコニー、中古住宅のバルコニー、後付けするバルコニーには該当しないため留意してください。

目次

バルコニーの屋根の固定資産税は、平均的な軒の長さを抑えれば高くならない

バルコニーを屋根で覆うと固定資産税が高くなりますが、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるようにすれば、税額を抑えることができます。

バルコニーを屋根で覆うと軒が長くなりますが、軒が長くなれば屋根にかかる固定資産税が高くなります。

すなわち、バルコニーを屋根で覆うと、屋根にかかる固定資産税が高くなるというわけです。

バルコニーを屋根で覆うと軒が長くなり、屋根にかかる固定資産税が高くなる

屋根にかかる固定資産税は、平均的な軒の長さが45cm程度であれば標準的な税額となります。

一方、平均的な軒の長さが60cm程度であれば、屋根にかかる固定資産税は標準的な税額の1.2倍などまで高くなります。

加えて、平均的な軒の長さが90cm程度であれば、屋根にかかる固定資産税は平均的な税額の1.25倍などまで高くなります。

つまり、バルコニーを屋根で覆っても、平均的な軒の長さが45cm程度になるようにすれば、屋根にかかる固定資産税は高くならないというわけです。

具体的には、バルコニーがある一辺のみの軒を長くし、それ以外の軒を短くして平均的な軒の長さが45cm程度以下になるようにします。

そうすれば、バルコニーを屋根で覆っても屋根にかかる固定資産税は高くなりません。

バルコニーを屋根で覆っても、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるようにすれば、固定資産税は高くならない

つづいて、平均的な軒の長さを計算する方法と、そもそも屋根やバルコニーの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しましょう。

ちなみに、本記事は総務省の告示「固定資産評価基準」に基づいています。

固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めています。

固定資産税は市町村が課す地方税であり、その税額は、対象となる資産の時価を基に計算します。

よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する際に手本とするのが固定資産評価基準です。

固定資産評価基準は、「総務省:固定資産税の概要」の下部よりご覧いただけます。

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屋根の平均的な軒の長さを計算する方法

バルコニーを屋根で覆っても、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるようにすれば固定資産税は高くなりません。

では、平均的な軒の長さはどのように計算するのでしょうか。

ここからは、平均的な軒の長さを計算する方法をご紹介しましょう。

たとえば、屋根の形状が切妻であり、平側の長さの合計が22m、妻側の長さの合計が18mの「建物A」があったとします。

建物Aの屋根の軒の長さは、片方の平側はバルコニーを覆うために100cm、片方の平側は25cm、妻側の軒の長さは25cmです。

平均的な軒の長さを計算する建物の例

であれば以下のように計算し、建物Aの平均的な軒の長さは45cm程度となります。

平均的な軒の長さの計算例
  • (100cm×1,100cm=110,000cm)+(25cm×1,100cm=2,750cm)+(25cm×1,800cm=45,000cm)=182,500cm
  • 182,500cm÷(1,100cm+1,100cm+1,800cm=4,000cm)=45.625cm(平均的な軒の長さ)

バルコニーを屋根で覆いつつも平均的な軒の長さが45cm程度以下になるのであれば、屋根の固定資産税は標準的な税額となります。

一方、バルコニーを屋根で覆うことにより平均的な軒の長さが60cm程度や90cm程度になるのであれば、屋根にかかる固定資産税は標準的な税額の1.2倍や1.25倍などまで高くなります。

では、そもそも屋根の標準的な固定資産税はいくらでしょうか。

つづいて、屋根の標準的な固定資産税をご紹介しましょう。

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そもそも屋根の固定資産税はいくら?

バルコニーを屋根で覆うことにより平均的な軒の長さが60cm程度や90cm程度になるのであれば、屋根にかかる固定資産税は標準的な税額の1.2倍や1.25倍などまで高くなります。

では、そもそも屋根の標準的な固定資産税はいくらでしょうか。

屋根の固定資産税は、屋根材の種類、屋根の形状、勾配の大小、平均的な軒の長さなどの要素から計算します。

切妻や半切妻、片流れ、寄棟、方形などの一般的な形状、勾配が10分の5程度、平均的な軒の長さが45cm程度であれば、建床面積1㎡あたりの標準的な固定資産税は以下のとおりです。

屋根の標準的な固定資産税

屋根材の種類 固定資産税 都市計画税
建材一体型ソーラーパネル 206円程度 44円程度
釉薬瓦 103円程度 22円程度
コロニアルやカラーベストなどの化粧スレートボード 73円程度 15円程度
ガルバリウム鋼板 59円程度 12円程度
アスファルトシングル 38円程度 8円程度

いずれの税額も木造、または軽量鉄骨の戸建ての屋根に限り該当する

上記には「都市計画税」が含まれますが、都市計画税とは、市街地に位置する建物や土地の多くに課される税金であり、課される場合は、固定資産税と併せて課されます。

屋根の標準的な固定資産税と都市計画税の計算例をご紹介しましょう。

釉薬瓦の屋根材が使用された、形状が切妻、勾配が10分の5、平均的な軒の長さが45cm、建床面積が60㎡(約18坪)の戸建てがあったとします。

その戸建ては「103円×60㎡=6,180円」と計算して屋根にかかる標準的な固定資産税は6,180円程度、「22円×60㎡=1,320円」と計算して屋根にかかる標準的な都市計画税は990円程度、税額の合計は7,500円程度となります。

そして、バルコニーを屋根で覆うことにより平均的な軒の長さが60cm程度や90cm程度となるのであれば、屋根にかかる固定資産税や都市計画税が標準的な税額の1.2倍や1.25倍などまで高くなります。

たとえば、標準的な固定資産税と都市計画税の合計が7,500円程度であれば、1.2倍である9,000円程度や、1.25倍である9,375円程度まで税額が高くなるといった具合です。

よって、バルコニーを屋根で覆いつつも固定資産税を抑えたい場合は、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるように覆うのが良いでしょう。

以上で、バルコニーの屋根の固定資産税を抑える方法の解説の完了です。

バルコニーの屋根の固定資産税を抑える方法のまとめ

  • バルコニーを屋根で覆うと軒が長くなるが、軒が長くなることにより高くなるのは屋根にかかる固定資産税
  • 屋根にかかる固定資産税は、平均的な軒の長さが45cm程度以下であれば標準的な税額となる
  • 屋根にかかる固定資産税は、平均的な軒の長さが60cm程度や90cm程度などと45cmを大きく上回る場合は、標準的な税額の1.2倍や1.25倍などまで高くなる
  • よって、バルコニーを屋根で覆うことを希望しつつ固定資産税を抑えたい場合は、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるように覆う

つづいて、バルコニーの固定資産税はいくらになるか目安をご紹介しましょう。

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そもそもバルコニーの固定資産税はいくら?

ここからは、バルコニーの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介します。

バルコニーは、建物の外に設置された跳ね出しバルコニーと、建物の中に設置されたインナーバルコニーに大きく分類されます。

バルコニーには跳ね出しバルコニーとインナーバルコニーがある

跳ね出しバルコニーの固定資産税は、木造、または軽量鉄骨の戸建てに設置されたものであれば、跳ね出しバルコニーの床部分の面積1㎡あたりにつき590円程度です。

また、市街地の建物に設置された跳ね出しバルコニーには、多くの場合は都市計画税も課されます。

跳ね出しバルコニーの都市計画税は、木造、または軽量鉄骨の戸建てに設置されたものであれば、跳ね出しバルコニーの床部分の面積1㎡あたりにつき126円程度です。

たとえば、床部分の面積が10㎡の跳ね出しバルコニーであれば「590円×10㎡=5,900円」と計算して固定資産税は5,900円程度、「126円×10㎡=1,260円」と計算して都市計画税は1,260円程度となります。

一方、インナーバルコニーの固定資産税や都市計画税は複雑な方法を用いて計算するため、残念ながら目安をご紹介することはできません。

とはいうものの、多くのインナーバルコニーは、跳ね出しバルコニーより固定資産税や都市計画税が安くなります。

その理由は、インナーバルコニーが建物の中に設置されることにあります。

インナーバルコニーは建物の中に設置されるため、設置されることにより居室の面積が減り、居室にかかる固定資産税や都市計画税が安くなります。

代わりにインナーバルコニーに固定資産税や都市計画税がかかることとなりますが、安くなった居室の税額と相殺されるため、トータルで見ると税額はさほど高くならないのです。

これに対して跳ね出しバルコニーは建物の外に設置されるため、建物とは別に固定資産税や都市計画税が計算されることとなり、設置すると確実に税額が高くなります。

ただし、大きな腰壁や袖壁で囲んだインナーバルコニーや、窓が付いたインナーバルコニーは固定資産税が高くなることがあるため注意してください。

詳細は、当サイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開中の記事にてご紹介中です。

インナーバルコニーの設置を希望し、固定資産税がいくらになるか案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

お役立ち記事
インナーバルコニーは固定資産税がかからない?残念ながら…

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まとめ - 平均的な軒の長さを極端に短くすれば、バルコニーの屋根の固定資産税は安くなる

バルコニーの屋根の固定資産税を抑える方法をご紹介しました。

バルコニーを屋根で覆うと軒が長くなりますが、軒が長くなれば屋根にかかる固定資産税が高くなります。

とはいうものの、軒が長くなれば必ず屋根の固定資産税が高くなるというわけではありません。

平均的な軒の長さが45cm程度以下となるように長くすれば、屋根にかかる固定資産税は標準的な税額となります。

よって、バルコニーを屋根で覆うことを希望しつつ固定資産税を抑えたい場合は、平均的な軒の長さが45cm程度以下になるように覆えば良いでしょう。

ぜひ参考になさってください。

ちなみに、これまでにご紹介したとおり、屋根にかかる固定資産税は、平均的な軒の長さが45cm程度以下であれば標準的な税額となりますが、45cmを大きく下回れば標準的な税額より安くなります。

具体的には、平均的な軒の長さが30cm程度や15cm程度となれば、屋根にかかる固定資産税は標準的な税額の0.9倍や0.85倍などまで安くなります。

したがって、バルコニーを屋根で覆いつつも固定資産税を安くしたい場合は、平均的な軒の長さが30cm程度や15cm程度になる建物を新築してください。

バルコニーを屋根で覆いつつ平均的な軒の長さを30cm程度や15cm程度にするのは困難ですが、片流れの屋根にして、バルコニー以外の部分の軒をなくせば可能かもしれません。

本記事の内容が、新築を予定するなどしてバルコニーの屋根に関することを調べる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年9月

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