ルーフバルコニーは、普通に固定資産税がかかります
ルーフバルコニーは固定資産税がかからないといわれますが、普通に固定資産税がかかります。
ルーフバルコニーの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しましょう。
なお、本記事でご紹介するのは、新築の戸建てに設置したルーフバルコニーの固定資産税の目安であり、中古住宅やマンションのルーフバルコニーには該当しないため留意してください。
目次
- 1. ルーフバルコニーとは?固定資産税とは?
- 2. ルーフバルコニーは固定資産税がかかる
- 2-1. ルーフバルコニーの床部分の固定資産税の目安
- 2-2. ルーフバルコニーの手すりの固定資産税の目安
- 2-3. ルーフバルコニーの腰壁の固定資産税の目安
- まとめ - ルーフバルコニーを軒で覆うと屋根の固定資産税が高くなる
ルーフバルコニーとは?固定資産税とは?
はじめに、ルーフバルコニーと固定資産税をわかりやすく簡単に解説します。
ルーフバルコニー付きの新築の取得を予定し、固定資産税がいくらになるか案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひお読みください。
ルーフバルコニーとは?
ルーフバルコニーとは、下階の屋根(ルーフ)となる部分に設置するバルコニーです。
ルーフバルコニーは「ルーフテラス」や「ルーフガーデン」などとも呼ばれ、屋根がなく開放感があり日当たりが良いなどのメリットがあります。
バルコニーは、ルーフバルコニーや跳ね出しバルコニー、インナーバルコニー、ベランダ、テラス、デッキなどたくさんの種類があり、それぞれ固定資産税の計算方法が異なります。
そして、本記事でご紹介するのは、ルーフバルコニーの固定資産税の目安です。
よって、ルーフバルコニーの設置を希望し、固定資産税がいくらになるか調べつつ本記事をお読みになる方は、設置を希望するバルコニーが間違いなくルーフバルコニーかご確認ください。
固定資産税とは?
固定資産税とは、年度を問わず1月1日の時点で建物や土地などの資産を所有することにより課される税金であり、その資産が所在する市町村が徴収する地方税です。
固定資産税は、対象となる資産の時価を基に税額を計算し、時価が高い資産を所有するほど税額が高くなります。
また、市街地に位置する建物や土地を所有すると、多くの場合は都市計画税も課されます。
都市計画税とは、公共施設を維持新設する「都市計画事業」と、公共施設を移設や新設するために必要となる土地を調達する「土地区画整理事業」の費用を賄うために市町村が徴収する目的税です。
都市計画税も固定資産税と同じく、対象となる資産の時価を基に税額を計算し、時価が高い資産を所有するほど税額が高くなります。
ルーフバルコニー付きの新築の取得を予定し、その建物に都市計画税が課されるか否かは、市町村役場のホームページなどで確認することが可能です。
2. ルーフバルコニーは固定資産税がかかる
ルーフバルコニーは固定資産税がかからないといわれますが、普通に固定資産税がかかります。
具体的には、ルーフバルコニーの床部分、手すり、もしくは腰壁などに固定資産税がかかることとなります。
また、都市計画税が課される対象となる市街地にルーフバルコニーを設置した場合は、それらの部分に都市計画税もかかります。
つづいて、ルーフバルコニーの床部分、手すり、腰壁の固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しましょう。
なお、本記事の内容は「固定資産評価基準」に基づいています。
固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地などの時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めつつ総務省が告示しています。
固定資産税は市町村が課す地方税であり、その税額は、対象となる建物や土地の時価を基に計算されます。
よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する際に手本とするのが固定資産評価基準です。
固定資産評価基準は、「総務省:固定資産税の概要」の下部よりご覧いただけます。
ルーフバルコニーの床部分の固定資産税の目安
ルーフバルコニーを設置すると、床部分に固定資産税や都市計画税がかかります。
ルーフバルコニーの床部分の固定資産税や都市計画税の目安は、建物の構造と、床部分の仕上げ方によって異なります。
木造で床部分がFRP防水で仕上げられていれば固定資産税は建床面積1㎡あたり128円程度、都市計画税は建床面積1㎡あたり27円程度です。
同じく木造で床部分がシート防水で仕上げられていれば固定資産税は建床面積1㎡あたり44円程度、都市計画税は建床面積1㎡あたり9円程度です。
軽量鉄骨で床部分がFRP防水で仕上げられていれば固定資産税は建床面積1㎡あたり155円程度、都市計画税は建床面積1㎡あたり33円程度となります。
同じく軽量鉄骨で床部分がシート防水で仕上げられていれば固定資産税は建床面積1㎡あたり70円程度、都市計画税は建床面積1㎡あたり15円程度です。
RC造やSRC造で床部分がアスファルト防水のコンクリート保護で仕上げられていれば固定資産税は建床面積1㎡あたり92円程度、都市計画税は建床面積1㎡あたり19円程度となります。
同じくRC造やSRC造で床部分が塗膜防水で仕上げられていれば固定資産税は建床面積1㎡あたり60円程度、都市計画税は建床面積1㎡あたり12円程度です。
ルーフバルコニーの床部分の固定資産税の目安
| 構造 | 仕上げ方 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|
| 木造 | FRP防水 | 128円程度 | 27円程度 |
| 〃 | シート防水 | 44円程度 | 9円程度 |
| 軽量鉄骨 | FRP防水 | 155円程度 | 33円程度 |
| 〃 | シート防水 | 70円程度 | 15円程度 |
| RC造、SRC造 | アスファルト防水コンクリート保護 | 92円程度 | 19円程度 |
| 〃 | 塗膜防水 | 60円程度 | 12円程度 |
※ いずれの税額も建床面積1㎡あたりの目安
たとえば、木造の戸建ての2階部分や3階部分に、27㎡(約15畳)のルーフバルコニーを設置し、床部分をFRP防水で仕上げたとしましょう。
であれば以下のように計算し、そのルーフバルコニーの床部分の固定資産税は3,456円程度、都市計画税は729円程度、税額の合計は4,185円程度です。
ルーフバルコニーの床部分の固定資産税の計算例
128円(木造のFRP防水の1㎡あたりの固定資産税の目安)×27㎡(仕上げ部分の建床面積)=3,456円
ルーフバルコニーの床部分の都市計画税の計算例
27円(木造のFRP防水の1㎡あたりの都市計画税の目安)×27㎡(仕上げ部分の建床面積)=729円
固定資産税と都市計画税の合計
3,456円+729円=4,185円
ルーフバルコニーの手すりの固定資産税の目安
ルーフバルコニーに手すりを付けると、手すりに固定資産税や都市計画税がかかります。
ルーフバルコニーの手すりの固定資産税や都市計画税はいくらになるという目安はなく、木造と軽量鉄骨であれば「雑工事」という名目の税額が高くなることとなります。
RC造とSRC造であれば、「その他工事」という名目の固定資産税や都市計画税が高くなります。
すべての木造や軽量鉄骨の戸建てには、「雑工事」という名目の固定資産税や都市計画税がかかります。
また、すべてのRC造やSRC造の戸建てには、「その他工事」という名目の固定資産税や都市計画税がかかります。
「雑工事」や「その他工事」の固定資産税や都市計画税とは、外壁材や内壁材、屋根材、床材、設備、建具など、建物の主要な部分以外にかかる固定資産税や都市計画税です。
具体的には、雨樋や階段などにかかるのが「雑工事」、または「その他工事」の固定資産税や都市計画税となります。
雑工事の固定資産税は「建築費の60%×4%×80%×1.4%」が、都市計画税は「建築費の60%×4%×80%×0.3%」が税額の目安です。
その他工事の固定資産税は「112円×その建物の延床面積」が、都市計画税は「24円×その建物の延床面積」が税額の目安となります。
雑工事、その他工事の固定資産税の目安
| 固定資産税 | 都市計画税 | |
|---|---|---|
| 木造、軽量鉄骨の「雑工事」 | 建築費の60%×4%×80%×1.4% | 建築費の60%×4%×80%×0.3% |
| RC造、SRC造の「その他工事」 | 112円×その建物の延床面積 | 24円×その建物の延床面積 |
※ いずれの税額も新築の戸建てに限り該当する
※ 延床面積にはルーフバルコニーの面積を含まない
そして、ルーフバルコニーに手すりを付けると、「雑工事」または「その他工事」にかかる固定資産税や都市計画税が1.1倍や1.2倍などまで高くなります。
たとえば、建築費が3,000万円である、木造でルーフバルコニー付きの「戸建てA」があったとしましょう。
戸建てAのルーフバルコニーには、手すりは付いていません。
その状況であれば以下のように計算し、戸建てAの雑工事にかかる固定資産税は8,064円程度、都市計画税は1,728円程度、税額の合計は9,792円程度です。
戸建てAの雑工事にかかる固定資産税の計算例
3,000万円(建築費)×60%×4%×80%×1.4%=8,064円
戸建てAの雑工事にかかる都市計画税の計算例
3,000万円(建築費)×60%×4%×80%×0.3%=1,728円
固定資産税と都市計画税の合計
8,064円+1,728円=9,792円
しかし、戸建てAのルーフバルコニーに手すりを付けると、雑工事にかかる固定資産税が1.1倍などである8,870円程度、または1.2倍の9,676円程度などまで高くなります。
同様に、戸建てAのルーフバルコニーに手すりを設置すると、雑工事にかかる都市計画税が1.1倍などである1,900円程度、もしくは1.2倍の2,073円程度などまで高くなります。
高くなる税額が、ルーフバルコニーに付けた手すりの固定資産税や都市計画税です。
なお、ルーフバルコニーの面積が小さく、設置した手すりの量が少なければ、税額の倍率は1.05倍などと低くなります。
反対に、設置したルーフバルコニーの面積が大きく、使用した手すりの量が多ければ、税額の倍率は1.25倍や1.3倍などまで高くなります。
ようするに、ルーフバルコニーに手すりを付けると、相応の額の固定資産税や都市計画税が課されるというわけです。
ルーフバルコニーの腰壁の固定資産税の目安
ルーフバルコニーを腰壁(腰までの高さの低い壁)で囲むと、腰壁には外壁材を施すのが通例です。
そして、腰壁に外壁材を施すと、外壁材にかかる固定資産税や都市計画税が1.1倍などまで高くなります。
その高くなる税額が、ルーフバルコニーの固定資産税や都市計画税の一部です。
外壁材の固定資産税や都市計画税は、建物の構造と外壁材の種類によって異なり、延床面積1㎡あたりの税額の目安は以下のとおりです。
外壁材の固定資産税の目安
| 構造 | 外壁材の種類 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|
| 木造 | タイル | 162円程度 | 34円程度 |
| 〃 | サイディング | 109円程度 | 23円程度 |
| 〃 | ガルバリウム鋼板 | 91円程度 | 19円程度 |
| 軽量鉄骨 | 繊維強化セメント板 | 75円程度 | 16円程度 |
| RC造、SRC造 | 二丁掛けタイル | 141円程度 | 30円程度 |
| 〃 | 表面を滑らかに仕上げたコンクリート打ちっ放し | 79円程度 | 17円程度 |
| 〃 | 一般的なコンクリート打ちっ放し | 65円程度 | 13円程度 |
※ いずれの税額も延床面積1㎡あたりの税額の目安
※ 延床面積にはルーフバルコニーの面積を含まない
たとえば、RC造でルーフバルコニーを含まない延床面積が110㎡、外壁材が二丁掛けタイルである「戸建てB」があったとしましょう。
そのルーフバルコニーには、腰壁がありません。
であれば以下のように計算し、戸建てBの外壁材の固定資産税は1万5,510円程度、都市計画税は3,300円程度です。
戸建てBの外壁材にかかる固定資産税の目安
141円×110㎡=1万5,510円
戸建てBの外壁材にかかる都市計画税の目安
30円×110㎡=3,300円
一方、戸建てBのルーフバルコニーを腰壁で囲み、腰壁に二丁掛けタイルを施せば、外壁材にかかる固定資産税や都市計画税が1.1倍などまで高くなります。
外壁材の固定資産税は1万5,510円の1.1倍である1万7,061円程度まで、都市計画税は3,300円の1.1倍である3,630円程度まで税額が高くなるといった具合です。
なお、腰壁を設置した面積が小さく、腰壁に施された外壁材の量が少なければ、税額の倍率は1.05倍などまで低くなります。
反対に、腰壁を設置した面積が大きく、腰壁に施された外壁材の量が多ければ、税額の倍率は1.15倍や1.2倍などまで高くなります。
外壁材にかかる固定資産税や都市計画税は、使用した外壁材の量が少なければ安く、量が多ければ高くなります。
まとめ - ルーフバルコニーを軒で覆うと屋根の固定資産税が高くなる
ルーフバルコニーの固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しました。
ルーフバルコニーは固定資産税がかからないといわれますが、床部分、手すり、腰壁などに固定資産税がかかります。
ルーフバルコニーの床部分の固定資産税は、建物の構造、ルーフバルコニーの面積、床部分の仕上げ方などによって異なり、ルーフバルコニーの面積が大きく、高額な費用を要する仕上げ方ほど税額が高くなります。
ルーフバルコニーに手すりを付けると、木造や軽量鉄骨であれば「雑工事」にかかる固定資産税が、RC造やSRC造であれば「その他工事」にかかる固定資産税が1.1倍や1.2倍などまで高くなります。
ルーフバルコニーに腰壁を設置して外壁材を施すと、外壁材にかかる固定資産税が1.1倍などまで高くなります。
ルーフバルコニーの設置を希望し、固定資産税がいくらになるか調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
ちなみに、多くのルーフバルコニーには屋根がありませんが、軒を伸ばしつつルーフバルコニーの一部を屋根で覆うと、屋根にかかる固定資産税や都市計画税が高くなります。
屋根にかかる固定資産税や都市計画税が高くなる程度は、軒を伸ばしつつルーフバルコニーの一部を屋根で覆うことにより、平均的な軒の長さがどれくらいになったかによって異なります。
平均的な軒の長さが60cmなどになったのであれば1.2倍程度、90cmなどになったのであれば1.25倍程度まで高くなります。
この高くなる額も、ルーフバルコニーにかかる固定資産税といえるでしょう。
本記事の内容が、ルーフバルコニー付きの新築の取得を予定する皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年10月
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