床暖房の固定資産税を安くするコツ

床暖房の固定資産税を安くするコツ

床暖房を導入すると固定資産税が跳ね上がりますが、設置面積を減らす、電気ヒータータイプを選ぶなどすれば税額を安く抑えることができます。

高すぎる床暖房の固定資産税を安く抑え、税金の支払いを楽にする方法をご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介するのは、新築の床暖房の固定資産税に関することであり、後付けの床暖房には該当しないため注意してください。

目次

床暖房の固定資産税は、ちょっとした工夫で安く抑えられる

はじめに、床暖房の固定資産税がいくらになるか目安をご紹介しましょう。

床暖房の固定資産税は、設置面積1㎡あたりにつき172円程度です。

また、温水タイプの床暖房には熱源となるガス式、もしくは貯湯式の給湯器が必要となりますが、給湯器にも固定資産税がかかります。

給湯器の固定資産税はガス式と貯湯式によって異なり、さらにガス式は号数によって、貯湯式は容量によって税額が異なります。

24号のガス式の給湯器の固定資産税は2,542円程度であり、370リットルの貯湯式の給湯器の固定資産税は3,517円程度です。

くわえて、市街地に位置する建物に床暖房や給湯器を設置すると、多くの場合は都市計画税も課されます。

床暖房の都市計画税は、設置面積1㎡あたりにつき37円程度です。

給湯器の都市計画税は、24号のガス式であれば544円程度、370リットルの貯湯式であれば753円程度となります。

床暖房の固定資産税の目安

固定資産税 都市計画税
床暖房 1㎡あたり172円程度 1㎡あたり37円程度
ガス式(24号)の給湯器 2,542円程度 544円程度
貯湯式(370L)の給湯器 3,517円程度 753円程度

いずれも新たに設置した床暖房や給湯器に課される税額

たとえば、床暖房の設置面積を50㎡(約30畳)として、熱源を24号のガス式の給湯器とするのであれば「172円×50㎡=8,600円+2,542円=1万1,142円」と計算し、床暖房にかかる固定資産税は1万1,142円程度です。

その床暖房に都市計画税も課されるのであれば「37円×50㎡=1,850円+544=2,394円」と計算して税額は2,394円程度であり、固定資産税と合計すると1万3,536円程度にもなります。

このように床暖房の固定資産税は、驚くほど高いのです。

床暖房の固定資産税は驚くほど高い

しかし、床暖房の固定資産税は、設置面積を減らす、電気ヒータータイプを選ぶなどすれば税額を安く抑えることができます。

つづいて、床暖房の固定資産税を安く抑える方法をご紹介しましょう。

なお、本記事の内容は、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」に基づいています。

固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めています。

市町村は市町村内の家屋や土地の所有者に固定資産税を課しますが、その税額は、対象となる資産の時価を基に計算します。

したがって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する方法が記された手引き書が固定資産評価基準です。

市町村が市町村内の家屋や土地の所有者に固定資産税を課す際は、まずは、固定資産評価基準に記された方法を用いて、対象となる資産の時価を適正に評価します。

つぎに、評価した時価に応じた税額を計算し、納税義務者に固定資産税を課します。

「固定資産評価基準 第二章 家屋」は、「総務省:固定資産税の概要」の下部より内容を確認することができます。

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床暖房の設置面積を減らせば固定資産税を安くできる

驚くほど固定資産税が高い床暖房ですが、設置面積を減らせば税額を安く抑えることができます。

先述のとおり、設置面積を50㎡(約30畳)として熱源を24号ガス式の給湯器とすれば、その固定資産税は1万1,142円程度、都市計画税は2,394円円程度、合計1万3,536円程度です。

しかし、設置面積を20㎡(約12畳)まで減らせば、「172円×20㎡=3,440円+2,542円=5,982円」と計算して固定資産税は5,982円程度、「37円×20㎡=740円+544円=1,284円」と計算して都市計画税は1,284円程度、合計7,266円程度まで税金を安く抑えることができます。

床暖房の固定資産税は、設置面積を減らせば安くなる

また、床暖房の上に載せるフローリングのグレードを下げることでも固定資産税を安く抑えることができます。

無垢のフローリングの固定資産税は1㎡あたり80円程度、都市計画税は1㎡あたり17円程度です。

これに対して、一般的な複合フローリングの固定資産税は1㎡あたり48円程度、都市計画税は10円程度となります。

さらに、ラワン合板のローコストなフローリングの固定資産税は1㎡あたり17円程度、都市計画税は3円程度です。

床暖房を設置した床部分には、床暖房の固定資産税や都市計画税にくわえて、これらのフローリングの固定資産税や都市計画税もかかることとなります。

したがって、床暖房の上に載せるフローリングのグレードを下げれば、固定資産税を安く抑えることが可能です。

床暖房の上に載せるフローリングのグレードを下げれば、固定資産税は安くなる

ただし、床暖房の上に載せるフローリングのグレードを下げても、その他の部分にグレードが高い建材を使用すると、固定資産税を安く抑える努力が無駄になるため注意してください。

たとえば、フローリングのグレードを下げても、太陽光パネル一体型などグレードが高い屋根材を使用すれば屋根にかかる固定資産税が跳ね上がり、努力が帳消しになるといった具合です。

グレードが高い建材や設備は、固定資産税が高くなります。

よって、フローリングのグレードを下げつつ床にかかる固定資産税を安く抑えても、他の部分にグレードの高い建材を使用するとその部分の固定資産税が高くなり、結局は固定資産税が安くなりません。

住宅の新築を予定しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、グレードの高い建材の使用は可能な限り控えてください。

ちなみに、太陽光パネルには屋根の上に載せるだけのタイプがありますが、そのタイプには固定資産税や都市計画税はかかりません。

しかし、屋根の上に載せるだけの太陽光パネルは、屋根が傷みやすいという欠点があるのが難点です。

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電気ヒータータイプの床暖房にすれば固定資産税が安くなる

床暖房は、電気ヒータータイプを選べば固定資産税を安くできます。

電気ヒータータイプの床暖房とは、電熱線などを用いて床を暖める床暖房であり、給湯器などの熱源を必要としません。

これまでにご紹介したとおり、温水タイプの床暖房には給湯器が必要で、給湯器に高い固定資産税や都市計画税がかかります。

一方、電気ヒータータイプの床暖房は給湯器不要なだけに余分な固定資産税や都市計画税がかからず、税金を安く抑えることができます。

電気ヒータータイプにすれば床暖房の固定資産税は安くなる

ただし、電気ヒータータイプの床暖房は、温水タイプより暖まるのに時間がかかり、電気代が高くなる可能性があるため注意してください。

電気代が高くなれば結局は支払いが多くなり、電気ヒータータイプを選びつつ固定資産税を安く抑える意味がありません。

したがって、電気ヒータータイプの床暖房を選びつつ固定資産税を安く抑える方法は、太陽光パネルなどで自家発電できる場合に限り有効といえるでしょう。

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きちんと家屋調査を受ければ床暖房への課税ミスを防げる

床暖房が導入された住宅を新築や購入後にきちんと家屋調査を受ければ、床暖房にかかる固定資産税への課税ミスを防ぐことができます。

新築を取得すると間もなく市町村役場から調査員が訪れ、家屋調査を行います。

固定資産税の家屋調査とは、建物の構造や床面積、使用されている建材や設備のグレード、数量などがチェックされる調査です。

市町村は家屋調査の結果に基づいてその建物の時価を評価し、評価額を算定します。

そして、評価額に応じた固定資産税を課します。

その家屋調査ですが、調査員が床暖房の設置面積を見誤れば、評価額が不当に高くなり、本来より固定資産税が高くなる可能性があります。

たとえば、実際に設置されている床暖房の面積が20㎡であっても、調査員が40㎡と見誤れば、本来より固定資産税が高くなるといった具合です。

また、固定資産税を安く抑えるために電気ヒータータイプの床暖房を選んだものの調査員が温水タイプと見誤れば、やはり本来より固定資産税が高くなります。

したがって、家屋調査の際は、床暖房を設置した正確な面積や、導入した床暖房のタイプなどを調査員に正確に伝えることが重要となります。

家屋調査は面倒で拒否したくなりますが、きちんと受ければ課税ミスを防ぐことが可能です。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、家屋調査の際に調査員がチェックする箇所をご紹介する記事を公開中です。

住宅を新築や購入する予定の方がいらっしまいしたら、ぜひご覧ください。

お役立ち記事
家屋調査はどこまで見る?

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まとめ - 一部の市町村では、床暖房に固定資産税がかからない

高すぎる床暖房の固定資産税を安く抑え、税金の支払いを楽にする方法をご紹介しました。

床暖房の固定資産税は極めて高く、設置面積1㎡あたりの固定資産税は172円程度、都市計画税は37円程度です。

また、床暖房の熱源とするために24号のガス式の給湯器を設置すれば、その給湯器には2,542円程度の固定資産税や、544円程度の都市計画税が課されます。

370リットルの貯湯式の給湯器を設置した場合は、その給湯器には3,517円程度の固定資産税や、753円程度の都市計画税が課されます。

このように固定資産税が高くなる床暖房ですが、設置面積を減らす、電気ヒータータイプを選ぶなどすれば、税額を安く抑えることができます。

くわえて、家屋調査で調査員に床暖房の正確な情報を伝えれば、固定資産税の課税ミスを防ぐことが可能です。

床暖房の固定資産税に関することを調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。

なお、固定資産税は市町村が徴収する地方税であり、市町村によってルールが多少異なります。

そして、一部の市町村では、床暖房、および床暖房の熱源となる給湯器に固定資産税がかからないため留意してください。

たとえば、横須賀市などがこれに該当します。

床暖房に固定資産税がかからない市町村には、本記事の内容は該当せず、床暖房の固定資産税を安くする努力は不要です。

住宅の新築や購入を予定し、床暖房、および床暖房の熱源となる給湯器に固定資産税がかかるか否かは、市町村役場に問い合わせれば確認できます。

問い合わせの際は「床暖房に固定資産税がかかりますか?」と聞くより、「床暖房は固定資産税の評価の対象となり、床暖房を設置すると税額が高くなりますか?」などと聞くのが良いでしょう。

本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年6月

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