ベランダの固定資産税を安く抑える方法

ベランダの固定資産税を安く抑える方法

ベランダの固定資産税は、ベランダの床面積を狭くする、軒を短くする、ベランダではなくインナーバルコニーにするなどすれば税額を安く抑えることができます。

ただし、方法を誤れば、固定資産税が高くなることもあるため注意が必要です。

ベランダの固定資産税を安く抑える方法をご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介するのは、木造、または軽量鉄骨の新築の戸建てのベランダの固定資産税に関することであり、RC造やSRC造、マンションのベランダには該当しないため留意してください。

目次

ベランダとは?固定資産税とは?

ベランダにはバルコニーやテラスなど様々な種類があり、種類によって固定資産税を安く抑える方法が異なります。

また、固定資産税の仕組みを知っておけば、ベランダの固定資産税を安く抑える方法を理解しやすくなります。

よって、まずはベランダとはどのようなスペースを指すか解説し、固定資産税のあらましを簡単にご紹介しましょう。

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ベランダとは、建物の外に張り出した屋根付きのスペース

ベランダに正確な定義はありませんが、一般には、2階以上の部分に、建物から張り出すように設置された軒で覆われたスペースをベランダと呼びます。

ベランダは、洗濯物を干す場所などとして活用されます。

ベランダと同じく洗濯物を干す場所として活用されるスペースにバルコニーがありますが、バルコニーは屋根や軒などで覆われていないスペースを指します。

また、同じく洗濯物を干す場所として活用されるスペースにテラスがありますが、テラスは建物の1階部分に設置されたスペースを指すのが通例です。

ベランダとは、建物から張り出すように設置された屋根や軒などで覆われたスペース

ベランダとバルコニーは固定資産税を安く抑える方法がさほど変わりませんが、テラスは大きく異なります。

そして、本記事では、ベランダの固定資産税を安く抑える方法をご紹介します。

よって、ベランダの固定資産税に関することを調べつつ本記事をお読みになる場合は、それがテラスではないかご確認ください。

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固定資産税とは、建物や土地を所有することにより課される税金

固定資産税とは、年度を問わず1月1日の時点で建物や土地などの資産を所有することにより課される税金であり、その資産が所在する市町村が徴収する地方税です。

固定資産税は、対象となる資産の時価を基に税額を計算し、時価が高い資産を所有するほど税額が高くなります。

また、同じく年度を問わず1月1日の時点で、主に市街地に位置する建物や土地を所有することにより課される税金に都市計画税があります。

都市計画税とは、公共施設を維持新設する「都市計画事業」や、公共施設を移設や新設するために必要となる土地を調達する「土地区画整理事業」の費用を賄うために市町村が徴収する目的税です。

都市計画税が課される市街地に位置する建物や土地を所有すると、その資産には固定資産税と都市計画税の両方が課されることとなります。

都市計画税も固定資産税と同じく、対象となる資産の時価を基に税額を計算し、時価が高い資産を所有するほど税額が高くなります。

市街地のベランダには、建物もろとも固定資産税に加えて都市計画税もかかる

ベランダ付きの新築の建物の取得を予定し、その建物に都市計画税が課されるか否かは、市町村役場のホームページなどにてご確認いただけます。

前置きが長くなりましたが、ベランダの固定資産税を安く抑える方法をご紹介しましょう。

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ベランダの固定資産税を安く抑える4つの方法

ベランダの固定資産税は、床部分の面積を狭くする、ベランダの設置数を1つにする、軒の長さを短くする、ベランダではなくインナーバルコニーにするなどすれば税額を安く抑えることができます。

ベランダの固定資産税を安く抑える4つの方法

  1. 床部分の面積を狭くする
  2. 設置数を1つにする
  3. ベランダを覆う軒の長さを短くする
  4. ベランダではなくインナーバルコニーにする

つづいて、ベランダの固定資産税を安く抑える方法の詳細を解説しましょう。

なお、本記事の内容は、固定資産評価基準に基づいています。

固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めつつ総務省が告示しています。

固定資産税は市町村が徴収する地方税であり、その税額は、対象となる建物や土地の時価を基に計算されます。

よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する際に手本とするのが固定資産評価基準です。

固定資産評価基準は、「総務省:固定資産税」の下部よりご確認いただけます。

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広いベランダを諦めて固定資産税を安く抑える

広いベランダの設置を希望する場合は、それを諦めれば固定資産税を安く抑えることができます。

ベランダとは、建物の外に張り出すように設置されたスペースを指しますが、木造、または軽量鉄骨造の戸建てであれば、床部分の面積を基に固定資産税が計算されます。

それらの構造の戸建てのベランダの固定資産税は、ベランダの床部分の面積1㎡あたりにつき590円程度です。

また、市街地に位置する建物に設置されたベランダには、多くの場合は都市計画税も課されます。

木造、もしくは軽量鉄骨造の戸建てのベランダの都市計画税は、ベランダの床部分の面積1㎡あたりにつき126円程度です。

広いベランダを諦めれば、固定資産税を安く抑えることができる

たとえば、床部分の面積が20㎡(約10畳)のベランダを、木造の新築の戸建てに設置したとしましょう。

であれば「590円×20㎡=1万1,800円」と計算してそのベランダの固定資産税は1万1,800円程度、「126円×20㎡=2,520円」と計算して都市計画税は2,520円程度となります。

一方、広いベランダを諦めて床部分の面積を10㎡(約5畳)とすれば、固定資産税や都市計画税はそれらの半額まで安くなります。

ベランダは、程よい広さにすれば固定資産税を安く抑えることが可能です。

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ベランダの数を1つにして固定資産税を安く抑える

複数のベランダの設置を希望する場合は、ベランダの数を減らせば固定資産税を安く抑えることができます。

ベランダの固定資産税は、ベランダの床部分の面積1㎡あたりにつき590円程度です。

くわえて、ベランダの都市計画税は、ベランダの床部分の面積1㎡あたりにつき126円程度となります。

つまり、ベランダは床部分の面積が広いほど固定資産税が高くなるというわけですが、複数のベランダを設置すれば、必然的に床部分の面積が広くなります。

複数のベランダを設置しつつ床部分の面積が広くなれば、ベランダの固定資産税は必ず高くなります。

よって、ベランダの固定資産税は、ベランダの設置数を減らせば税額を安く抑えることができます。

また、複数のベランダの設置を希望しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、それぞれのベランダの床部分の面積を狭くするという方法も有効です。

ベランダは、設置数を減らすことで固定資産税を安く抑えることができる

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ベランダの軒出を短くして固定資産税を安く抑える

ベランダとは、建物から張り出すように設置された軒で覆われたスペースを指しますが、軒の長さを短くすれば固定資産税を安く抑えることができます。

軒とは外壁から飛び出した屋根の部分を指し、外壁から軒の先端までの長さを「軒出」と呼びます。

ベランダは、軒出を短くすれば固定資産税を安く抑えることができる

軒出は屋根にかかる固定資産税に影響を与え、軒出の平均が45cm程度であれば、屋根にかかる固定資産税は標準的な税額となります。

これに対して、軒出の平均が60cm程度であれば屋根にかかる固定資産税は標準的な税額の1.2倍などまで、90cm程度であれば屋根にかかる固定資産税は標準的な税額の1.25倍などまで高くなります。

軒出の平均と屋根にかかる固定資産税

軒出の平均 屋根にかかる固定資産税
45cm程度 標準的な税額
60cm程度 標準的な税額の1.2倍などまで高くなる
90cm程度 標準的な税額の1.25倍などまで高くなる

軒出の平均が90cmを超える場合は、一部の市町村を除き、屋根にかかる固定資産税がそれ以上高くなることはない

つまり、ベランダを覆う軒の長さを短くすれば、固定資産税を安く抑えることができるというわけです。

ベランダの設置を希望しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、ベランダを覆う軒の長さを短くし、軒出の平均が45cmを超えることがないようにするのがおすすめです。

なお、軒出の平均が60cmや90cmとなれば屋根にかかる固定資産税が高くなりますが、屋根にかかる都市計画税も高くなるため留意してください。

都市計画税とは、主に市街地に位置する建物や土地を所有することにより課される税金であり、課される場合は、固定資産税と併せて課されます。

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軒出の平均はどうやって計算する?

軒出の平均が45cm程度になるようにベランダを軒で覆えば、固定資産税を安く抑えることができます。

ここで気になるのが、軒出の平均を計算する方法です。

ここでは、軒出の平均を計算する方法を簡単にご紹介しましょう。

たとえば、形状が片流れであり、それぞれの平側の長さが15m、それぞれの妻側の長さが15mである「戸建てA」があったとしましょう。

戸建てAの片方の平側の軒出は30cm、片方の平側の軒出はベランダを覆うために90cm、妻側の軒出はどちらも30cmです。

片方の平側の軒出が30cm、片方の平側の軒出が90cm、妻側の軒出が30cmの建物

戸建てAの軒出の平均は、以下のように計算して45cmとなります。

軒出の平均の計算例
  • (30cm×1,500cm)+(90cm×1,500cm)+(30cm×1,500cm)+(30cm×1,500cm)=270,000cm
  • 1,500cm+1,500cm+1,500cm+1,500cm=6,000cm
  • 270,000cm÷6,000cm=45cm(戸建てAの軒出の平均)

ベランダを軒で覆いつつも軒出の平均が45cmであれば、屋根にかかる固定資産税や都市計画税は平均的な税額となり、賢く節税できます。

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ベランダではなくインナーバルコニーにして固定資産税を安く抑える

ベランダの固定資産税を安く抑える方法として、ベランダではなくインナーバルコニーを設置するという方法があります。

インナーバルコニーとは、建物の中に設置したバルコニーです。

インナーバルコニーとは、建物の中に設置したバルコニー

ベランダは、建物の外に張り出すように設置されます。

そして、ベランダの固定資産税は、ベランダの床部分の面積1㎡あたりにつき590円程度です。

また、ベランダの都市計画税は、ベランダの床部分の面積1㎡あたりにつき126円程度となります。

これを理由に、ベランダの固定資産税は、建物の固定資産税に追加する形で計算され、ベランダを設置すると確実に固定資産税が高くなります。

一方、インナーバルコニーは建物の中に設置するため、設置することにより居住部分が減り、居住部分にかかる固定資産税が安くなります。

そして、インナーバルコニーを設置するとインナーバルコニーに固定資産税がかかることとなりますが、その税額は、安くなった居住部分の固定資産税と相殺されることとなります。

その結果、インナーバルコニーを設置しても、固定資産税はさほど高くならないのです。

ベランダではなくインナーバルコニーを設置すれば、固定資産税を安く抑えることができる

ただし、あまりに豪華なインナーバルコニーを設置すると固定資産税を相殺しきれず、結果として税額が高くなることがあるため注意してください。

たとえば、丈の高い腰壁で囲んだインナーバルコニーや、高価な窓が付いた袖壁で囲んだインナーバルコニーを設置した場合などがこれに該当します。

それらの条件に合致するインナーバルコニーは固定資産税が高くなり、多くの場合は、居住部分を減らすだけでは固定資産税を相殺し切れません。

くわえて、インナーバルコニーを設置すると、居住部分の面積が必ず狭くなるため重ねて注意してください。

インナーバルコニーの固定資産税の詳細は、当サイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開中の記事にてわかりやすく解説中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
インナーバルコニーは固定資産税がかからない?残念ながら…

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まとめ - 知って得する固定資産税の軽減措置

ベランダの固定資産税を安く抑える方法をご紹介しました。

ベランダの固定資産税は、ベランダの床部分の面積を狭くする、ベランダの設置数を1つにする、もしくは床部分の面積が狭いベランダを複数設置することにより税額を安く抑えることができます。

また、ベランダを覆う軒を短くする、ベランダではなくインナーバルコニーにすることでも固定資産税を安く抑えることが可能です。

ベランダの固定資産税を安く抑える方法まとめ

  • ベランダの床面積を狭くする
  • ベランダの数を減らす、または床面積が狭いベランダを複数設置する
  • ベランダを覆う軒の長さを考慮し、建物の軒出の平均が45cm程度になるようにする
  • ベランダではなくインナーバルコニーを設置する(ただし、豪華なインナーバルコニーを設置すると固定資産税が高くなることがある)

最後に、新築の戸建てに適用される、固定資産税の軽減措置をご紹介しましょう。

新築の戸建てに適用される固定資産税の軽減措置は、主に2つです。

1つめの軽減措置は、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」です。

同軽減措置は、床面積が50㎡以上280㎡以下などの新築住宅を取得することにより適用され、適用されれば、建物の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が一定の期間にわたり2分の1に減額されます。

減額される期間は、木造の戸建てであれば3年など、それ以外の戸建てであれば5年などです。

同軽減措置は、一部例外を除き申告不要で適用されます。

2つめの軽減措置は、「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」です。

同軽減措置は、住宅が建つ土地を所有することにより適用され、適用されれば、土地にかかる固定資産税が大きく軽減されます。

同軽減措置は、原則として申告をせずとも適用されますが、一部の市町村では期限内の申告を求められます。

申告の期限は市町村によって異なりますが、住宅が建つ土地を取得、または所有することとなった日が属する年の翌年の1月31日です。

たとえば、令和7年に土地を取得し、令和8年にその土地にベランダ付きの住宅を新築しつつ完成したとしましょう。

であれば、令和9年1月31日などが申告の期限となり、令和9年から土地にかかる固定資産税が軽減されます。

期限後に申告をすることでも同軽減措置は適用されますが、土地の固定資産税が軽減される時期が遅くなるため注意してください。

2つの軽減措置の詳細は、市町村役場のホームページなどにてご確認いただけます。

本記事の内容が、ベランダ付きの新築の取得を予定する皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年10月

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