都市計画税の課税標準額とは?

都市計画税の課税標準額とは?

都市計画税の課税標準額とは、都市計画税を計算する基となる額であり、課税標準額が高いほど税額は高くなります。

都市計画税の課税標準額をわかりやすく簡単に解説し、課税標準額の計算方法もご紹介しましょう。

目次

1. 都市計画税の課税標準額とは、都市計画税を計算する基となる額

都市計画税の課税標準額とは、都市計画税を計算する基となる額であり、税率を掛け算する額です。

市街地に家屋や土地を所有すると、多くの場合は都市計画税が課されますが、その税額は以下のように課税標準額に税率を掛け算して計算します。

都市計画税の計算方法
課税標準額×都市計画税の税率(市町村によって異なるものの最高で0.3%)=都市計画税

では、課税標準額とは、いったいなにを指すのでしょうか。

課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。

たとえば、お馴染みの消費税も以下のように課税標準額に税率を掛け算して計算し、その課税標準額は「品物を購入したりサービスを受けるために支払った対価」となります。

消費税の計算方法
課税標準額(品物を購入したりサービスを受けるために支払った対価)×消費税の税率(10%)=消費税

品物を購入して1万円を支払ったのであれば、課税標準額は以下のように1万円となり、消費税は1,000円です。

消費税の計算例
課税標準額(品物を購入するために支払った1万円)×消費税の税率(10%)=1,000円

このように課税標準額は、様々な税金を計算する際に税率を掛け算する額となります。

そして、都市計画税を計算する際の課税標準額は、原則として、その家屋や土地の固定資産税評価額です。

家屋や土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋や土地の「適正な時価」であり市場価格より低くなるのが通例となっています。

家屋や土地にかかる都市計画税の計算方法の詳細は、以下のとおりです。

家屋の都市計画税の計算方法(詳細版)
課税標準額(原則として、その家屋の固定資産税評価額)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=都市計画税

土地の都市計画税の計算方法(詳細版)
課税標準額(原則として、その土地の固定資産税評価額)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=都市計画税

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の家屋であれば課税標準額も1,000万円となり、以下のように計算して都市計画税は3万円です。

家屋の都市計画税の計算例
課税標準額(その家屋の固定資産税評価額である1,000万円)×都市計画税の税率(0.3%)=3万円

ただし、都市計画税の課税標準額は「原則として、その家屋や土地の固定資産税評価額」のため留意してください。

適用される特例や軽減措置があれば、固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額が課税標準額となります。

固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額が課税標準額となれば、課税標準額が減ると共に都市計画税が安くなります。

都市計画税の課税標準額は、特例や軽減措置が適用されれば、固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額となる

特例や軽減措置が適用されるのは、主に以下の土地です。

  1. 戸建てが建つ土地
  2. マンションの土地の持ち分
  3. 更地

つづいて、上記の土地の都市計画税を計算する際の課税標準額の詳細を解説しましょう。

なお、都市計画税を計算する際の課税標準額が「家屋や土地の固定資産税評価額(適正な時価)」であることは、「総務省:都市計画税」にてご確認いただけます。

また、消費税を計算する際の課税標準額が「品物を購入したりサービスを受けるために支払った対価」であることは、「国税庁タックスアンサーNo.6301 課税標準」にて確認することが可能です。

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1-1. 戸建てが建つ土地の都市計画税の課税標準額は、固定資産税評価額の3分の1

戸建てなどの住宅が建つ土地には、「住宅用地等に対する都市計画税の課税標準の特例(通称:住宅用地の特例)」が適用されます。

適用されれば、その土地の面積が200㎡(約60坪)以下であれば、都市計画税を計算する際の課税標準額は「固定資産税評価額の3分の1など」となります。

土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の「適正な時価」であり、市場価格より低くなるのが通例です。

たとえば、市場価格が3,000万円の土地であれば、その70%である2,100万円程度が固定資産税評価額となります。

固定資産税評価額が2,100万円であれば、本来であれば課税標準額は2,100万円となり、都市計画税はその0.3%である6万3,000円です。

一方、住宅用地の特例が適用されることにより課税標準額が「固定資産税評価額の3分の1など」となれば、都市計画税は2万1,000円まで安くなります。

税額の計算式を比較すると、以下のとおりです。

本来の都市計画税の計算式
課税標準額(固定資産税評価額である2,100万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=6万3,000円

特例適用時の都市計画税の計算式
課税標準額(固定資産税評価額である2,100万円の3分の1の700万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=2万1,000円

なお、所有する土地の固定資産税評価額は、毎年4月ごろにご自宅に届く固定資産税の課税明細書に、価格や評価額などの名目で記されています。

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1-2. マンションの土地の持ち分の都市計画税の課税標準額は、固定資産税評価額の3分の1

マンションの一戸を所有すると、一部例外を除き家屋である一戸部分と、土地の持ち分である敷地権を所有します。

マンションの敷地権とは、そのマンションが建つ土地を利用する権利であり、各戸の所有者が少しずつ分け合って所有しています。

一戸部分と土地の持ち分を所有しつつ都市計画税が課される場合は、それぞれに課されます。

そのイメージをイラストでご紹介すると、以下のとおりです。

マンションを所有すると家屋である一戸部分と、土地である敷地権を所有することとなり、それぞれに都市計画税が課される

そして、土地の持ち分である敷地権には、「住宅用地等に対する都市計画税の課税標準の特例(通称:住宅用地の特例)」が適用されます。

適用されれば、土地の持ち分の都市計画税を計算する際の課税標準額は、土地の持ち分の固定資産税評価額の3分の1などとなります。

たとえば、土地の持ち分の固定資産税評価額が100万円であれば、本来の課税標準額は100万円となり、土地の持ち分の都市計画税はその0.3%である3,000円です。

一方、住宅用地の特例が適用されれば、土地の持ち分の固定資産税評価額である100万円の3分の1の33万3,300円が課税標準額となり、都市計画税は900円まで安くなります。

税額の計算式を比較すると、以下のとおりです。

本来の都市計画税の計算式
課税標準額(土地の持ち分の固定資産税評価額である100万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=3,000円

特例適用時の都市計画税の計算式
課税標準額(土地の持ち分の固定資産税評価額である100万円の3分の1の33万3,300円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=900円

なお、所有するマンションの土地の持ち分である敷地権の固定資産税評価額は、どこを見ればわかるというものではなく、マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額と、敷地権の割合を基に計算するのが通例です。

マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額は、毎年4月ごろに届く固定資産税の課税明細書の土地の欄に「価格」や「評価額」などの名目で記されています。

億単位の額が記されていれば、それがマンションが建つ土地全体の固定資産税評価額とお考えになれば良いでしょう。

敷地権の割合とは、所有する敷地権の比率を指し、登記事項証明書などに記されていますが、市町村によっては固定資産税の課税明細書に記されていることもあります。

課税明細書に「56789分の12345」などと複雑な分数が記されていれば、それが敷地権の割合です。

マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額に占める敷地権の割合が、土地の持ち分の固定資産税評価額となります。

たとえば、マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額が3億円、敷地権の割合が「56789分の12345(0.27%)」であれば以下のように計算し、土地の持ち分の固定資産税評価額は81万円です。

マンションの土地の持ち分の固定資産税評価額の計算例
3億円(マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額)×0.27%(敷地権の割合)=81万円

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1-3. 更地の都市計画税の課税標準額は、固定資産税評価額の70%

全ての土地には負担調整措置という軽減措置が適用され、適用されれば、更地の都市計画税を計算する際の課税標準額は、固定資産税評価額の70%などとなります。

土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の「適正な時価」であり、市場価格より低くなるのが通例となっています。

たとえば、固定資産税評価額が3,000万円の更地を所有するのであれば、本来の課税標準額は3,000万円であり、都市計画税はその0.3%である9万円です。

一方、負担調整措置が適用されることにより固定資産税評価額の70%である2,100万円が課税標準額となれば、都市計画税は6万3,000円まで安くなります。

税額の計算式を比較すると、以下のとおりです。

本来の都市計画税の計算式
課税標準額(その更地の固定資産税評価額である3,000万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=9万円

負担調整措置適用後の都市計画税の計算式
課税標準額(その更地の固定資産税評価額である3,000万円の70%の2,100万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=6万3,000円

負担調整措置の詳細は、当サイト「固定資産税をパパッと解説」にて公開中の記事にてわかりやすく解説中です。

更地の都市計画税の計算方法にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税の負担調整措置とは?(図解でわかりやすい!)

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2. 都市計画税の課税標準額の計算方法

都市計画税の課税標準額とは、都市計画税を計算する基となる額であり、固定資産税の課税明細書などに記されていますが、どのように計算されているのでしょうか。

ここからは、家屋と土地にかかる都市計画税の課税標準額の計算方法をご紹介しましょう。課税標準額に誤りがないか検算する際にご活用ください。

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2-1. 家屋にかかる都市計画税の課税標準額の計算方法

家屋の都市計画税の課税標準額は、一部例外を除き、その家屋の固定資産税評価額です。

よって、特に計算することはなく、固定資産税評価額そのものが課税標準額となります。

なお、家屋の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その家屋の「適正な時価」であり、建築費や引き渡し価格、売買価格より低くなるのが通例です。

所有する家屋の固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書に価格や評価額などの名目で記されています。

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2-2. 土地にかかる都市計画税の課税標準額の計算方法

土地の都市計画税の課税標準額の計算方法は複雑であり、全てをご紹介するのは大変です。

よって、ここでは、住宅が建つ200㎡(約60坪)以下の土地と、更地の都市計画税の課税標準額を計算する方法をご紹介します。

土地の都市計画税の課税標準額は、「その土地の固定資産税評価額」「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額」「その土地の都市計画税の本則課税標準額」「負担水準」という4つの情報を用いて計算します。

それぞれの情報の把握方法は、以下のとおりです。

土地の都市計画税の課税標準額を計算するために必要な情報

必要な情報 把握方法
その土地の固定資産税評価額 固定資産税の課税明細書に価格や評価額などの名目で記されている
その土地の前年度の都市計画税の課税標準額 固定資産税の課税明細書に記されている
その土地の都市計画税の本則課税標準額 自分で計算する
負担水準

まずは、「その土地の固定資産税評価額」と「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額」を把握します。

つぎに、「その土地の都市計画税の本則課税標準額」を計算します。

計算といっても単純であり、住宅が建つ200㎡(約60坪)以下の土地であれば、その土地の固定資産税評価額の3分の1が本則課税標準額です。

更地であれば、その土地の固定資産税評価額が本則課税標準額となります。

最後に、負担水準を以下の式で計算します。

負担水準の計算方法
「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額」÷「その土地の都市計画税の本則課税標準額」×100=負担水準(パーセント)

たとえば、「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額」が1,470万円、「その土地の都市計画税の本則課税標準額」が1,500万円であれば以下のように計算し、負担水準は98%です。

負担水準の計算例
1,470万円(その土地の前年度の都市計画税の課税標準額)÷1,500万円(その土地の都市計画税の本則課税標準額)×100=98%

そして、住宅が建つ200㎡以下の土地の都市計画税の課税標準額は、負担水準に応じて以下のようになります。

住宅が建つ土地の都市計画税の課税標準額(200㎡以下)

負担水準 課税標準額
100%以上 「その土地の都市計画税の本則課税標準額」が課税標準額となる
100%未満 「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額+その土地の都市計画税の本則課税標準額の5%」が課税標準額となる
注意1 負担水準が100%未満の状況において、課税標準額の上限は「その土地の都市計画税の本則課税標準額」となる
注意2 負担水準が100%未満の状況において、「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額+その土地の都市計画税の本則課税標準額の5%」が「その土地の都市計画税の本則課税標準額」の20%を下回る場合は、20%が課税標準額となる

更地の都市計画税の課税標準額は、負担水準に応じて以下のようになります。

更地の都市計画税の課税標準額

負担水準 課税標準額
70%超 「その土地の固定資産税評価額」の70%が課税標準額となる
70%以下60%以上 「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額」が課税標準額となる
60%未満 「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額+その土地の固定資産税評価額の5%」が課税標準額となる
注意1 「その土地の前年度の都市計画税の課税標準額+その土地の固定資産税評価額の5%」が「その土地の固定資産税評価額」の60%を上回る場合は、固定資産税評価額の60%が課税標準額となる
注意2 その土地の前年度の都市計画税の課税標準額+その土地の固定資産税評価額の5%」が「その土地の固定資産税評価額」の20%を下回る場合は、固定資産税評価額の20%が課税標準額となる

負担水準によって課税標準額が決定するのは、負担調整措置という措置が適用されるためです。

負担調整措置とは、土地所有者の税負担を軽減する措置であり、固定資産税評価額が急激に上昇しても、課税標準額はゆっくりと上昇するように調整される措置です。

固定資産税評価額が急激に上昇しても、課税標準額はゆっくりと上昇するように調整されれば、地価が急激に高くなっても都市計画税は徐々に高くなるように調整されます。

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まとめ

都市計画税の課税標準額をわかりやすく簡単に解説しました。

都市計画税の課税標準額とは、都市計画税を計算する際に、都市計画税の税率を掛け算する基となる額です。

具体的には、その家屋や土地の固定資産税評価額が課税標準額となります。

ただし、適用される特例や軽減措置があれば、固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額が課税標準額となるため留意してください。

固定資産税評価額から一定の額が差し引かれた額が課税標準額となれば課税標準額が減り、課税標準額に税率を掛け算して計算する都市計画税が安くなります。

ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年2月

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