ベランダを増築して固定資産税が跳ね上がるケース

ベランダを増築して固定資産税が跳ね上がるケース【税金高い】

ベランダを増築するリフォームを行って固定資産税が跳ね上がるのは、200万円以上などの高額な費用をかけて、躯体と一体化するベランダを後付けした場合です。

ベランダを増築して固定資産税が跳ね上がるケースと、ベランダを増築しても固定資産税がかからないケースをご紹介しましょう。

目次

ベランダを増築するリフォーム方法は主に3つ

はじめに、ベランダを増築するリフォーム方法をご紹介しましょう。

ベランダの増築はリフォーム方法によって固定資産税が高くなるケースと高くならないケースがあるため、まずはどのように後付けするか知ってください。

ベランダを増築するリフォーム方法は主に3つであり、1つめは柱建式、2つめは屋根置式、3つめは持ち出し式です。

ベランダを増築する3つのリフォーム方法

  1. 柱建式
  2. 屋根置式
  3. 持ち出し式

1つめの柱建式とは、柱を建ててその上にベランダを増築するリフォーム方法であり、柱でベランダを支えるため耐荷重が大きく、広いベランダを後付けできるというメリットがあります。

2つめの屋根置式とは、下階の屋根の上にベランダを増築するリフォーム方法であり、安価な費用で簡単にベランダを後付けできるのがメリットです。

3つめの持ち出し式とは、梁などの躯体にベランダを取り付けつつ増築するリフォーム方法であり、柱がなくスッキリと仕上がるというメリットがあります。

ベランダを増築するリフォームには、柱建式と屋根置式、持ち出し式がある

これらのベランダを増築するリフォーム方法には、大きな違いがあります。

それは、増築したベランダが躯体(建物の骨格となる部分)と一体化するか否かです。

柱建式と屋根置式で増築したベランダは、建物とは関係のない柱でベランダを支えたり、建物の外壁にネジを打ち込むなどしてベランダを後付けするため、躯体と一体化しません。

一方、持ち出し式で増築したベランダは、梁などにベランダを後付けするため、躯体と一体化します。

増築したベランダが躯体と一体化するか否かは、固定資産税においては重要となります。

ベランダの増築方法と躯体との一体化

増築方法 躯体との一体化
柱建式、屋根置式 一部例外を除き一体化しない
持ち出し式 一体化する

つづいて、ベランダを増築しつつ固定資産税が跳ね上がるケースをご紹介しましょう。

なお、本記事では、増築したベランダの固定資産税の目安をご紹介しますが、都市計画税の目安もご紹介します。

都市計画税とは、主に市街地に位置する建物や土地を所有することにより課される税金であり、課される場合は、固定資産税と併せて課されます。

固定資産税と都市計画税の両方が課されている建物にベランダを増築して固定資産税が跳ね上がる場合は、都市計画税も跳ね上がることとなります。

ベランダの増築を予定する建物に都市計画税が課されているか否かは、毎年4月ごろに届く固定資産税の課税明細書を見るなどすれば確認できます。

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ベランダを増築して固定資産税が跳ね上がるのは持ち出し式

ベランダを増築して固定資産税が跳ね上がるのは、200万円以上などの高額な費用をかけて、躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行った場合です。

躯体と一体化するベランダを増築するリフォームとは、主に持ち出し式のリフォームが挙げられます。

持ち出し式のリフォームとは、外壁の一部を剥がし、梁などの躯体にベランダを取り付けるリフォームを指します。

200万円以上などの高額な費用をかけて持ち出し式でベランダを増築すると固定資産税が跳ね上がる

また、梁を用いて設置された既存のベランダを撤去し、その梁に新たなベランダを設置した場合も、躯体と一体化するベランダを増築するリフォームに該当します。

200万円以上などの高額な費用をかけて、そのリフォームを行った場合は固定資産税が跳ね上がります。

既存のベランダを撤去し、梁を用いてベランダを増築するリフォームも固定資産税が跳ね上がる

躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行い、どれくらい固定資産税が高くなるかは、「ベランダを増築するために要した費用×60%×1.4%」と計算すれば試算できます。

また、都市計画税も課されている建物に、躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行った場合は、都市計画税も高くなります。

どれくらい都市計画税が高くなるかは、「ベランダを増築するために要した費用×60%×0.3%」と計算すれば試算することが可能です。

ベランダを増築後に固定資産税が高くなる額を試算する式
ベランダを増築するために要した費用×60%×1.4%=固定資産税が高くなる額

ベランダを増築後に都市計画税が高くなる額を試算する式
ベランダを増築するために要した費用×60%×0.3%=都市計画税が高くなる額

たとえば、固定資産税と都市計画税の両方が課されている建物に、200万円の費用をかけて持ち出し式でベランダを増築するリフォームを行ったとしましょう。

であれば、「200万円×60%×1.4%=1万6,800円」と計算して固定資産税は1万6,800円程度高くなり、「200万円×60%×0.3%=3,600円」と計算して都市計画税は3,600円程度高くなります。

高くなる固定資産税と都市計画税を合計すると2万400円であり、税額が跳ね上がるといえるでしょう。

ところで、ベランダを増築するリフォームを行っても必ず固定資産税が高くなるわけではありません。

つづいて、ベランダを増築するリフォームを行っても固定資産税が高くならないケースをご紹介しましょう。

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ベランダを増築しても固定資産税がかからないケース

ベランダを増築するリフォームを行っても、固定資産税が高くならないケースがあります。

それは、躯体と一体化しないベランダを増築するリフォームを行った場合です。

ベランダを増築するリフォームを行って固定資産税が高くなるかは、完成したベランダが躯体と一体化しているか否かによって異なります。

完成したベランダが躯体と一体化していれば固定資産税が高くなり、躯体と一体化していなければ固定資産税は高くなりません。

ベランダを増築すると固定資産税が高くなる?

増築後のベランダの状況 固定資産税
躯体と一体化している 高くなる
躯体と一体化していない 高くならない

躯体と一体化しているベランダとは、梁などの建物の骨格となる部分に取り付けられたベランダです。

具体的には、持ち出し式で増築されたベランダが躯体と一体化しているといえます。

持ち出し式とは、外壁の一部を剥がしつつ梁や柱などの躯体にベランダを取り付ける増築方法です。

また、梁などの建物の骨格となる部分を用いて設置された既存のベランダを撤去し、骨格となる部分を用いて増築されたベランダも躯体と一体化しているといえます。

増築したベランダが躯体と一体化していなければ固定資産税はかからない

ベランダの増築を希望しつつ固定資産税が高くならないようにするためには、躯体と一体化していないベランダを増築するリフォームを行う必要があります。

具体的には、柱建式や屋根置式がそれに該当します。

柱建式とは柱を建ててその上にベランダを増築するリフォーム方法であり、屋根置式とは下階の屋根の上にベランダを増築するリフォーム方法です。

ただし、極一部の市町村では、柱建式や屋根置式でベランダを増築するリフォームを行っても固定資産税が高くなることがあるため注意してください。

つづいて、その詳細を解説しましょう。

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一部の市町村ではベランダを増築すると必ず固定資産税が高くなる

ベランダを増築後に固定資産税が高くなるかは、完成したベランダが躯体と一体化しているかによって異なります。

躯体と一体化していれば固定資産税が高くなり、一体化していなければ高くなりません。

しかし、ここで注意点があります。

増築したベランダが躯体と一体化しているかの判断が、一部の市町村では異なるという点です。

多くの市町村では、柱建式や屋根置式で増築したベランダは躯体と一体化しているとみなさず固定資産税は高くなりません。

一方、一部の市町村では、柱建式や屋根置式で増築したベランダも躯体と一体化しているとみなし、固定資産税が高くなります。

これは、固定資産税が市町村が徴収する地方税であり、市町村によって多少ルールが異なることが理由です。

よって、ベランダの増築を希望し、リフォーム完了後に固定資産税が高くなるか正確に把握したい場合は、増築前に市町村役場に出向きつつ詳細を確認してください。

市町村役場に出向く際は、ベランダをどのように増築するかわかる資料などを持参するのが良いでしょう。

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ベランダを増築して固定資産税が高くなる場合の手続き

躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行うと固定資産税が高くなりますが、そのリフォームを行った後は、市町村役場に連絡をするのが理想です。

ここからは、固定資産税が高くなるベランダを増築するリフォームを行った後の手続き方法をご紹介しましょう。

固定資産税が高くなるベランダを増築した後は、リフォーム完了後に速やかに市町村役場に連絡をします。

連絡は電話で行うのが理想ですが、市町村役場が対応をしているのであればメールや問い合わせフォームなどを利用してもかまいません。

連絡をすれば、後日市町村役場から担当者が家屋調査に訪れます。

家屋調査では、用いられた工法と使用された資材などが調査されるため、資料があれば用意しておくのが良いでしょう。

そして、家屋調査が完了すれば、ベランダを増築するリフォームが完了した日が属する年の翌年から固定資産税が上がることとなります。

たとえば、令和7年度中にベランダを増築するリフォームが完了したのであれば、令和8年から固定資産税が上がるといった具合です。

なお、多忙で日程が調整できないなどの理由で家屋調査を拒否したい場合は、その旨を市町村役場に伝えてください。

市町村役場が了承すれば家屋調査は行われず、資料を郵送するなどして家屋調査の代わりとなります。

また、ベランダを増築するリフォームを行い、それを理由に固定資産税が高くなるかわからない場合は、リフォーム完了後に市町村役場にベランダの増築を行ったことを連絡してください。

伝えれば、家屋調査が行われるなどしてリフォーム後のベランダが固定資産税の課税対象となるか調査されます。

ちなみに、「総務省:固定資産税」では、固定資産税のあらましを確認することが可能です。

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ベランダを増築したことがバレると固定資産税はどうなる?

躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行った場合は、市町村役場に連絡をするのが理想ですが、連絡をせずバレるとどうなるでしょうか。

連絡をせずバレると市町村役場によって家屋調査が行われ、いつどのような資材を用いてベランダが増築されたかなどが調査されます。

そして、ベランダを増築するリフォームが完了した日が属する年の翌年に遡って固定資産税が徴収されることとなります。

たとえば、令和5年に躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行い、令和8年に市町村役場にバレたとしましょう。

であれば、遡って令和6年分、令和7年分、令和8年分の固定資産税が徴収されるといった具合です。

なお、固定資産税は遡って徴収されますが、おそらくは、届け出を怠ったことに対しての罰則はありません。

「おそらくは」という前置きがあるのは、固定資産税は市町村によって多少ルールが異なり、日本には約1,700もの市町村が存在することが理由です。

そして、私は恥ずかしながら、全ての市町村の固定資産税に関するルールを把握していません。

しかし、固定資産税は申告をせずとも徴収される賦課課税方式であり、原則として納税義務者が申告をする必要はありません。

よって、「おそらくは」という前提がつきますが、届け出を怠ったことに対して罰則はないと考えられます。

躯体と一体化するベランダを増築するリフォームを行い、その申告を怠ったことに対して罰則があるか否かは、市町村の税条例を見るなどすれば確認できます。

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まとめ - ベランダに屋根を後付けしても固定資産税はかからない

ベランダを増築するリフォームを行って固定資産税が跳ね上がるケースと、固定資産税がかからないケースをご紹介しました。

ベランダを増築するリフォームを行って固定資産税が跳ね上がるのは、200万円以上などの高額な費用をかけて、躯体と一体化するベランダを増築した場合です。

その条件でベランダを増築するリフォームを行った場合は、固定資産税は1万6,800円程度、都市計画税は3,600円程度高くなる可能性があります。

一方、ベランダを増築するリフォームを行っても、完成したベランダが躯体と一体化していなければ、そのベランダには固定資産税がかかりません。

ベランダの増築を希望し、固定資産税が高くなるか案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。

余談ですが、Yahoo!知恵袋を見ると「ベランダに屋根を後付けするリフォームを行うと固定資産税が高くなるか?」という質問をみかけます。

その答えは、「多くの場合は高くならない」となります。

ベランダに屋根を後付けするリフォームを行うことにより固定資産税が高くなるかは否かは、後付けした屋根が躯体と一体化しているかによって異なります。

一体化していれば固定資産税は高くなり、一体化していなければ高くなりません。

ベランダに後付けする屋根の多くは、外壁や腰壁にネジを打ち込みつつ固定するなどに過ぎず、その状況は躯体と一体化していないといえます。

よって、ベランダに屋根を後付けしても、多くの場合は固定資産税は高くなりません。

しかし、屋根の取り付け方法が特殊であり、躯体と一体化する方法で後付けされていれば固定資産税が高くなります。

たとえば、外壁を剥がして柱を露出させ、ほぞを組みつつ柱に屋根を取り付けた場合は、躯体と一体化しているとみなされ固定資産税が高くなるといった具合です。

本記事の内容が、ベランダの増築を希望する皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年10月

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