床暖房を後付けすると固定資産税が高くなる

床暖房を後付けすると市町村役場への届出が必要で、届け出れば、多くの場合は以前より固定資産税が高くなります。
しかし、床暖房の設置方法次第では、固定資産税の上がり具合を最小限に抑えることが可能です。
床暖房を後付けすると固定資産税がどれくらい高くなるか解説し、高くなる程度を最小限に抑える節税方法をご紹介しましょう。
目次
- 1. 床暖房を後付けすると、固定資産税が一割から二割程度高くなる
- 1-1. 後付けの床暖房の固定資産税を節税する方法
- 1-2. 後付けした床暖房の上に敷く床材の固定資産税を節税する方法
- 1-3. 後付けの床暖房専用給湯器の固定資産税を節税する方法
- まとめ - 市町村によっては、後付けの床暖房に固定資産税がかからない
床暖房を後付けすると、固定資産税が一割から二割程度高くなる
床暖房を後付けすると、多くの場合は固定資産税が一割程度以下から二割程度高くなります。
床暖房の後付けは固定資産税における改築に該当し、改築を行った場合は、市町村役場に届け出なければなりません。
固定資産税における改築とは、行うことによりその建物の価値が増加する資本的支出となる工事です。
市町村役場に届け出れば担当者によって家屋調査が行われ、後付けした床暖房の設置面積、床暖房の上に敷いた床材のグレード、床暖房専用の給湯器の有無などが確認されます。
そして、多くの場合は、以前より固定資産税が高くなります。
どれくらい高くなるかは改築の規模によって異なり、床暖房を後付けしただけであれば、おそらくは一割程度以下です。
一方、間取りを変更して大きなリビング・ダイニング・キッチンを造り、新たに大型のシステムキッチンを導入しつつ床暖房を後付けするなど大がかりな改築を行った場合は、固定資産税が一割から二割程度高くなることが予想されます。

しかし、後付けの床暖房は、設置面積を減らす、床暖房の上に敷く床材のグレードを抑えるなどすれば、固定資産税が上がる程度を最小限に抑えることができます。
つづいて、その詳細を解説しましょう。
なお、本記事の内容は、「固定資産評価基準 第二章 家屋」に基づいています。
固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記されたマニュアルであり、総務大臣が内容を定めつつ総務省が告示しています。
固定資産税は市町村が徴収する地方税ですが、その税額は、対象となる資産の時価を基に計算します。
よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する際は、固定資産評価基準に記された方法を用います。
固定資産評価基準は、「総務省:固定資産税の概要」の下部より確認することが可能です。
後付けの床暖房の固定資産税を節税する方法
後付けの床暖房は、設置面積を減らせば、固定資産税が上がる程度を最小限に抑えつつ節税できます。
後付けの床暖房の固定資産税は、市町村によって異なるものの設置面積1㎡あたりにつき172円程度です。
また、市街地に位置する建物に後付けした床暖房には、多くの場合は都市計画税も課されますが、その税額の目安は、設置面積1㎡あたりにつき37円程度となります。
後付けした床暖房の固定資産税の目安
設置面積1㎡あたりの税額 | |
---|---|
固定資産税 | 172円程度 |
都市計画税 | 37円程度 |
たとえば、27㎡(約15畳)の部屋に20㎡(約11畳)の床暖房を後付けした場合は「(172円×20㎡)+(37円×20㎡)=4,180円」と計算し、後付けの床暖房にかかる固定資産税と都市計画税の合計は4,180円程度です。
一方、設置面積を11㎡(約6畳)とした場合は「(172円×11㎡)+(37円×11㎡)=2,299円」と計算し、後付けの床暖房にかかる固定資産税と都市計画税の合計は2,299円程度まで安くなります。
このように後付けの床暖房の固定資産税は、設置面積を減らせば簡単に節税することが可能です。

また、後付けの床暖房は、その上に敷く床材のグレードを抑えることでも固定資産税を節税できます。
つづいて、その詳細を解説しましょう。
なお、都市計画税とは、主に市街地に位置する建物や土地の所有者に課される税金であり、課される場合は、固定資産税と併せて課されます。
床暖房を後付けする建物に都市計画税が課されているか否かは、固定資産税の課税明細書を見るなどすれば確認することが可能です。
後付けした床暖房の上に敷く床材の固定資産税を節税する方法
後付けの床暖房の固定資産税は、設置面積を減らせば節税できますが、床暖房の上に敷く床材のグレードを抑えることでも節税できます。
床暖房を後付けすると、後付けした床暖房にくわえて、床暖房の上に敷いた床材にも固定資産税がかかります。
床材の固定資産税はグレードが高いほど税額が高くなり、無垢のフローリングであれば1㎡あたり80円程度、複合フローリングは1㎡あたり48円程度、ラワン合板のローコストフローリングは1㎡あたり17円程度です。
床材の都市計画税も同じくグレードが高いほど税額が高くなり、無垢のフローリングは1㎡あたり17円程度、複合フローリングは1㎡あたり10円程度、ラワン合板のローコストフローリングは1㎡あたり3円程度となります。
その他の床材の固定資産税の目安を表でまとめると、以下のとおりです。
後付けの床暖房の上に敷く床材の固定資産税の目安
床材 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
無垢のフローリング | 80円程度 | 17円程度 |
複合フローリング | 48円程度 | 10円程度 |
ラワン合板のフローリング | 17円程度 | 3円程度 |
高級カーペット | 96円程度 | 20円程度 |
一般的なカーペット | 27円程度 | 5円程度 |
クッションフロア | 33円程度 | 7円程度 |
ビニル床タイル | 18円程度 | 3円程度 |
高級畳 | 82円程度 | 17円程度 |
一般的な畳 | 55円程度 | 11円程度 |
このように後付けの床暖房の上に敷く床材の固定資産税は、グレードが高いほど税額が高くなります。
よって、床材のグレードを抑えれば、固定資産税を節税することが可能です。
たとえば、床暖房を後付けした部屋が27㎡(約15畳)であり、床暖房の上に無垢のフローリングを敷いた場合は「(80円×27㎡)+(17円×27㎡)=2,619円」と計算し、床材にかかる固定資産税と都市計画税の合計は2,619円程度です。
一方、床暖房の上にラワン合板のローコストフローリングを敷いた場合は「(17円×27㎡)+(3円×27㎡)=540円」と計算し、床材にかかる固定資産税と都市計画税の合計は540円まで安くなります。

さらに、後付けの床暖房の固定資産税は、熱源となる給湯器の号数や容量を抑えることでも節税できます。
つづいて、その詳細を解説しましょう。
後付けの床暖房専用給湯器の固定資産税を節税する方法
後付けの床暖房の固定資産税は、熱源となる給湯器の号数や容量を小さくすれば節税できます。
床暖房を後付けすると共に専用の給湯器を設置した場合は、床暖房にくわえて給湯器にも固定資産税がかかります。
給湯器の固定資産税は、ガス式と貯湯式(貯湯式とは、お湯を沸かしつつ貯めて供給する給湯器であり、エコキュートなどが該当します)によって税額が異なります。
ガス式の給湯器は、お湯を沸かす能力が強いほど固定資産税が高くなり、24号であれば2,542円程度、20号は2,288円程度、16号は2,033円程度、12号は1,779円程度です。
ガス式の給湯器の都市計画税も同じくお湯を沸かす能力が強いほど税額が高くなり、24号は544円程度、20号は490円程度、16号は435円程度、12号は381円程度となります。
貯湯式の給湯器は、容量が大きいほど固定資産税が高くなり、370Lであれば3,517円程度、300Lは2,990円程度、200Lは2,216円程度、150Lは1,829円程度、90Lは1,407円程度です。
貯湯式の給湯器の都市計画税も同じく容量が大きいほど税額が高くなり、370Lは753円程度、300Lは640円程度、200Lは474円程度、150Lは391円程度、90Lは301円程度となります。
後付けした床暖房専用の給湯器の固定資産税の目安
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
ガス式 24号 | 2,542円程度 | 544円程度 |
〃 20号 | 2,288円程度 | 490円程度 |
〃 16号 | 2,033円程度 | 435円程度 |
〃 12号 | 1,779円程度 | 381円程度 |
貯湯式 370L | 3,517円程度 | 753円程度 |
〃 300L | 2,990円程度 | 640円程度 |
〃 200L | 2,216円程度 | 474円程度 |
〃 150L | 1,829円程度 | 391円程度 |
〃 90L | 1,407円程度 | 301円程度 |
よって、後付けの床暖房の固定資産税は、ガス式であれば号数を、貯湯式であれば容量を小さくすれば節税できます。
もっといえば、熱源となる給湯器を設置しなければ、給湯器の固定資産税がかかりません。
給湯器不要の床暖房とは、電気を熱源とする電気ヒーター式の床暖房です。
ただし、電気ヒーター式の床暖房は、電気代が高くなる可能性があるため注意してください。
まとめ - 市町村によっては、後付けの床暖房に固定資産税がかからない
床暖房を後付けすると固定資産税がどれくらい高くなるか解説し、高くなる程度を最小限に抑える節税方法をご紹介しました。
床暖房の後付けは固定資産税における改築に該当し、改築を行った場合は、市町村役場に届出をしなければなりません。
届出をすると家屋調査が行われ、後付けした床暖房の設置面積、床暖房の上に敷いた床材の種類やグレード、専用の給湯器の有無などが確認され、おそらくは以前より固定資産税が高くなります。
高くなる程度は改築の規模によって異なり、規模が小さければ1割程度以下、規模が大きければ一割から二割程度と予想されますが、床暖房の設置面積を狭くするなどすれば、税額の上がり具合を最小限に抑えることができます。
後付けの床暖房の固定資産税に関することを調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
なお、本記事には、大きな留意点があります。
それは、一部の市町村では、床暖房に固定資産税がかからないという点です。
固定資産税は地方税であり、市町村によって多少ルールが異なり、市町村によっては床暖房に固定資産税がかかりません。
床暖房に固定資産税がかからない市町村では、もちろん後付けした床暖房にも固定資産税がかからないこととなります。
床暖房に固定資産税がかかるか否かは、市町村役場に問い合わせれば確認することが可能です。
本記事の内容が、皆さんに役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年6月
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