無垢材の固定資産税はいくら?

無垢材の固定資産税はいくら?

無垢材の固定資産税は1㎡あたり80円程度であり、複合フローリング(合板フローリング)の1.66倍程度です。

1.66倍程度というと高額ですが、無垢材の使用面積を減らす、床暖房の導入を控えるなどすれば固定資産税を抑えることができます。

住宅の新築を希望する方へ向けて床の無垢材の固定資産税の目安を解説し、税額を抑えるコツをご紹介しましょう。

目次

無垢材の固定資産税は、1㎡あたり80円程度

無垢材の固定資産税を単純計算すると、床面積1㎡あたり80円程度です。

また、市街地の建物の多くには都市計画税も課されますが、無垢材の都市計画税を単純計算すると、床面積1㎡あたり17円程度となります。

いずれも新築時の税額です。

たとえば、無垢材が用いられた部分の床面積が60㎡(約18坪)の建物を新築したとしましょう。

であれば、「80円×60㎡=4,800円」と計算して無垢材にかかる固定資産税は4,800円程度、「17円×60㎡=1,020円」と計算して無垢材にかかる都市計画税は1,020円程度、合計5,820円程度です。

無垢材の固定資産税は1㎡あたり80円程度、都市計画税は1㎡あたり17円程度

無垢材と比較される床材として、複合フローリング(合板フローリング)がありますが、その新築時の固定資産税を単純計算すると1㎡あたり48円程度、都市計画税を単純計算すると1㎡あたり10円程度となります。

先述のとおり、無垢材の1㎡あたりの固定資産税は80円程度、都市計画税は17円程度です。

よって、「80円÷48円=1.66」と計算して無垢材の固定資産税は複合フローリングの1.66倍程度、「17円÷10円=1.7」と計算して無垢材の都市計画税は複合フローリングの1.7倍程度となります。

つまり、無垢材の固定資産税や都市計画税は、複合フローリングより大幅に高いというわけです。

無垢材と複合フローリングの固定資産税の比較

床材の種類 固定資産税 都市計画税
無垢材 1㎡あたり80円程度 1㎡あたり17円程度
複合フローリング 1㎡あたり48円程度 1㎡あたり10円程度

いずれも新築時の税額

しかし、無垢材の固定資産税や都市計画税は、使用する面積を減らす、床暖房との併用を避けるなどすれば税額を抑えることができます。

また、無垢材を導入したとしても、その住宅が一定の条件を満たすのであれば軽減措置が適用され、取得から3年などにわたり固定資産税が減額されます。

つづいて、無垢材の固定資産税を抑えるコツをご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介する無垢材の固定資産税に関する情報はネットの噂などではなく、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」に基づいています。

固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記されたマニュアルであり、総務大臣が内容を定めています。

固定資産税は市町村が徴収し、税額は、その建物や土地の時価を基に計算されます。

したがって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する方法が記されたマニュアルが固定資産評価基準です。

「固定資産評価基準 第二章 家屋」は、「総務省:固定資産税の概要」の下部よりご覧いただけます。

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無垢材の固定資産税を安くするコツ

床を無垢材にすると固定資産税は複合フローリングの1.66倍程度、都市計画税は1.7倍程度まで高くなります。

であれば、無垢材の導入を諦める方もいらっしゃるかもしれませんが、いくつかの工夫をすれば固定資産税や都市計画税を抑えることができます。

まずは、無垢材を使用する面積を減らすことです。

新築時の無垢材の固定資産税は床面積1㎡あたり80円程度ですが、一般的なカーペットは1㎡あたり27円程度、クッションフロアは1㎡あたり33円程度です。

新築時の無垢材の都市計画税は床面積1㎡あたり17円程度ですが、一般的なカーペットは1㎡あたり5円程度、クッションフロアは1㎡あたり7円程度です。

よって、家族が集まるリビングルームは無垢材、キッチン周りはカーペット、湿気が多い洗面室やトイレはクッションフロアなどと工夫すれば、固定資産税や都市計画税を抑えることができます。

つぎに、床暖房と併用しないことです。

新築時の床暖房の固定資産税は施工面積1㎡あたり172円程度、都市計画税は施工面積1㎡あたり37円程度です。

無垢材の下に床暖房を施すと、1㎡あたりにつきこれらの税額が上乗せされます。

先述のとおり、無垢材の固定資産税は1㎡あたり80円程度、都市計画税は1㎡あたり17円程度です。

つまり、床暖房を導入した部分の無垢材の固定資産税は1㎡あたり252円程度、都市計画税は54円程度まで高くなるというわけです。

したがって、無垢材と床暖房の併用を避ければ、固定資産税や都市計画税を抑えることができます。

無垢材は使用面積を小さくする、床暖房との併用を避けるなどすれば固定資産税を抑えられる

住宅を新築する際は奮発して無垢材や床暖房など高価な建材や設備を導入したくなりますが、少しの工夫や辛抱で固定資産税や都市計画税を抑えることができます。

とはいうものの、住宅を新築する際は、憧れの高価な建材や設備を導入したくなるのが人の性です。

導入したい場合は、思い切って導入した方が良いかもしれません。

それは、無垢材の固定資産税や都市計画税は、最後は新築時の25%程度まで下がることが理由です。

つづいて、無垢材の固定資産税や都市計画税が何年で下がるかご紹介しましょう。

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無垢材の固定資産税は、最後は新築時の25%程度まで下がる

無垢材は複合フローリングや一般的なカーペット、クッションフロアより固定資産税や都市計画税が高くなりますが、最後は新築時の25%程度まで下がります。

これは、建物の固定資産税や都市計画税は、どのような建材や設備が導入されていても、最後は新築時の25%程度まで下がることが理由です。

つまり、無垢材や床暖房などを導入して固定資産税や都市計画税が高くなったとしても、それは一時的というわけです。

無垢材の固定資産税は、最後は新築時の25%程度まで下がる

新築時の25%程度まで下がる年数は建物の構造などによって異なり、木造のローコスト住宅であれば最短で25年など、一般的な木造住宅であれ最短で35年などです。

軽量鉄骨であれば最短で30年など、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば最短で60年となります。

無垢材は固定資産税や都市計画税が高くなりますが、いつかは税額が下がると考え、思い切って導入するのが良いでしょう。

ただし、建物の固定資産税や都市計画税は、物価高の期間は下がらないためため留意してください。

先に「建物の固定資産税は最短で25年などで新築時の25%程度まで下がる」とご紹介しましたが、「最短」や「など」が付いているのはこれが理由です。

建物の固定資産税や都市計画税は、その時価を基に税額を計算し、時価に応じた税額が課され、時価が高ければ税額は高くなり、時価が低ければ税額は低くなります。

建物は徐々に劣化するため、物価水準が安定している期間は時価が徐々に下がり、固定資産税や都市計画税も徐々に下がります。

しかし、物価高の期間は建築費が高騰し、たとえ劣化が進んだとしても建物の時価は下がらなくなり、固定資産税や都市計画税も下がらなくなります。

劣化して傷みが激しい骨董品も、入手困難であれば高く売買されるのと同じ原理です。

物価高の期間に建物の固定資産税や都市計画税が下がらない理由は、当サイト「固定資産税をパパッと解説」で公開中の記事にてよりわかりやすく解説しています。

興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税に何年で下がるという概念はなく、下がる時に下がる

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軽減措置が適用されれば、無垢材の固定資産税は安くなる

新築時の無垢材の固定資産税は、1㎡あたりつき80円程度と高額です。

しかし、その無垢材が用いられた建物が一定の条件を満たすのであれば軽減措置が適用され、3年などにわたり建物全体にかかる固定資産税が減額されます。

つまり、無垢材を導入して固定資産税が高くなったとしても、軽減措置が適用される条件を満たすのであれば、しばらくは税金が安くなるというわけです。

軽減措置の名称は「新築された住宅に対する固定資産税の減額」であり、同軽減措置は、床面積が50㎡以上などの住宅である建物を取得することにより適用されます。

適用されれば、はじめて固定資産税が課されることとなる年から3年などにわたり、建物の床面積の120㎡(約36坪)までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。

「はじめて固定資産税が課されることとなる年」とは住宅を取得した年の翌年であり、建物の床面積が120㎡以下であれば、建物そのものにかかる税額が2分の1に減額されます。

新築から3年目までなどは軽減措置が適用され、無垢材の固定資産税は安くなる

なお、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」は、多くの市町村では申告不要で適用されますが、一部の市町村では、期限内に申告をすることによって適用されるため注意してください。

申告の期限は市町村によって異なるものの、住宅が完成した年の翌年の1月31日です。

たとえば、令和7年中に無垢材を用いた住宅が完成したのであれば、令和8年1月31日が申告期限となります。

申告の必要性、および正確な申告期限は、市町村役場の窓口、または市町村のホームページにてご確認いただけます。

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まとめ - 無垢材の不動産取得税はいくら?

無垢材の固定資産税や都市計画税がいくらになるか目安を解説し、税額を抑えるコツをご紹介しました。

無垢材の固定資産税は1㎡あたり80円程度、都市計画税は1㎡あたり17円程度です。

複合フローリングの固定資産税は1㎡あたり48円程度、都市計画税は1㎡あたり10円程度のため、無垢材は税金が高いといえるでしょう。

ただし、いずれも新築時の税額であり、最後は新築時の25%程度まで下がります。

無垢材にすると固定資産税や都市計画税が高くなりますが、無垢材の使用面積を減らす、床暖房設備との併用を避けるなどすれば税額を抑えることが可能です。

無垢材の固定資産税を調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。

なお、住宅を取得すると不動産取得税が課されます。

不動産取得税とは、建物や土地を取得することにより一度だけ課される税金であり、都道府県が徴収する地方税です。

無垢材が用いられた新築の住宅を取得した状況において、その無垢材の1㎡あたりの不動産取得税は216円程度となります。

一方、複合フローリングが用いられた新築の住宅を取得した状況において、その複合フローリングの1㎡あたりの不動産取得税は129円程度となります。

つまり、無垢材は複合フローリングより不動産取得税も高くなるというわけです。

しかし、不動産取得税には「不動産取得税の課税標準の特例」という特例が設けられ、適用されれば税額が安くなり、場合によってはかかりません。

同特例は、床面積が50㎡以上240㎡以下などの住宅である建物を取得し、取得後速やかに税事務所に申告をすることによって適用されます。

同特例の詳細は、私が運営するもう一つのサイト「誰でもわかる不動産売買」にて公開する記事にてわかりやすく解説中です。

新築を予定する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

不動産取得税お役立ち記事
不動産取得税が新築にかからない条件

本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年5月

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