固定資産税が高くなるポイントを解説
固定資産税には、税額が高くなる単純明快なポイントがあります。
一戸建てやマンションにおける、固定資産税が高くなるポイントを簡単・簡潔にご紹介しましょう。
なお、ご紹介するのは、主に新築住宅の固定資産税が高くなるポイントであり、中古住宅には該当しないポイントが含まれるため留意してください。
目次
1. 一戸建ての固定資産税が高くなるポイント
まずは、一戸建て住宅の固定資産税が高くなるポイントをご紹介しましょう。
一戸建て住宅を取得すると、一部例外を除き、家屋とその家屋が建つ土地を取得することとなり、その両方に固定資産税が課せられます。
そして、家屋と土地の固定資産税が高くなるポイントは以下のとおりです。
1-1. 一戸建て家屋の固定資産税が高くなるポイント
家屋の固定資産税は、再建築費から計算されます。
再建築費とは、その家屋と同じ家屋を現時点で新築する際に必要となる材料費と労務費などの合計です。
新築の家屋の固定資産税は再建築費を基に計算され、再建築費が高い住宅は固定資産税が高くなります。
また、再建築費は、グレードが高い建材が使用され、施工に手間が掛かる複雑な工法が用いられた家屋ほど高くなります。
加えて、グレードが高い建材が使用され、複雑な工法が用いられた家屋は販売価格も高くなります。
つまり、再建築費と販売価格と固定資産税は相反することがなく、販売価格が高い家屋は固定資産税も高くなるというわけです。
これが、新築の一戸建て家屋の固定資産税が高くなる単純明快なポイントです。
ちなみに、この他にも固定資産税が高くなるポイントがあります。
たとえば、開閉式の天窓や屋根材と一体化された「建材型ソーラーパネル」が付いていたり、ホームエレベーターなどの豪華な設備が付く住宅も固定資産税が高くなります。
あわせて、建物を上空から見下ろして凹凸が多い形状の家屋も固定資産税が高くなりがちです。
凹凸が多い形状の家屋は施工に手間が掛かり、施工に手間が掛かる家屋は労務費が嵩むと見なされ固定資産税が高くなります。
一戸建て家屋の固定資産税が高くなるポイントをまとめると以下のとおりです。
新築の一戸建て家屋の固定資産税が高くなるポイント
・販売価格が高い
・開閉式の天窓やホームエレベーターなど高額な設備が付いている
・外周に凹凸が多い
なお、高額な設備が付いていたり、凹凸が多い家屋は販売価格が高額になりがちです。
よって、家屋の固定資産税は、やはり販売価格と比例すると考えることができます。
1-2. 一戸建ての土地部分の固定資産税が高くなるポイント
一戸建ての家屋が建つ土地に掛かる固定資産税が高くなるポイントは、立地条件と敷地面積の広さにあります。
立地条件が良く敷地面積が広ければ、固定資産税は高くなります。
これが、土地の固定資産税が高くなる単純明快なポイントです。
一戸建ての土地部分の固定資産税が高くなるポイント
立地条件が良く敷地面積が広い
立地条件が良く敷地面積が広い土地の固定資産税が高くなるのは、公示地価などを参考に税額が計算されることが理由です。
公示地価とは、毎年3月ごろに国土交通省が公表する日本全国各地に点在する約2万6千ヵ所の土地の1㎡あたりの適正価格であり、公示地価が公表される地点を標準地と呼びます。
毎年3月ごろになるとニュースで「今年の公示地価が公表され、全国1位は東京銀座の山野楽器銀座本店で5,000万円でした」などと報道されますが、あの価格が公示地価です。
公示地価は闇雲に付けられるわけではなく、周辺の土地の売買価格などを参考に付けられています。
たとえば、周辺の土地が1㎡あたり20万円で売買されている場合は、その標準地の公示地価も同じく20万円になるといった具合です。
よって、地価が高い場所に位置する標準地ほど公示地価が高くなります。
地価が高い場所とは、主に立地条件が良い場所です。
そして、土地の固定資産税は、最寄りの標準地の公示地価を参考に計算されます。
例を挙げると、その土地の最寄りの標準地の公示地価が20万円であり、その土地の面積が100㎡の場合は「20万円×100㎡=2,000万円」と計算し、2,000万円を基に固定資産税が計算されるといった具合です。
そのため、一戸建ての土地部分に掛かる固定資産税は、立地条件が良く、なおかつ敷地面積が広いほど高くなります。
なお、土地の固定資産税は公示地価を参考に計算されるとご紹介しましたが、基準地価を参考に計算されることもあるため留意してください。
基準地価とは、毎年9月ごろに各都道府県が公表する日本全国各地に点在する約3万ヵ所の土地の1㎡あたりの適正価格であり、基準地価が公表される地点を基準地と呼びます。
基準地の基準地価は、標準地の公示地価とほぼ同じ概念で付けられます。
このため、土地の固定資産税は、最寄りの標準地の公示地価ではなく、最寄りの基準地の基準地価を参考に計算されることもあります。
ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「誰でもわかる不動産売買」では、公示地価と基準地価と路線価の違いをわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。
土地の固定資産税が高くなるポイントをより深く理解されたい方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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2. マンションの固定資産税が高くなるポイント
つぎに、マンションにおける固定資産税が高くなるポイントをご紹介します。
マンションを取得すると、マンションの一戸部分と、そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地(これ以降は土地の持ち分と呼びます)を取得し、その両方に固定資産税が課せられます。
そして、一戸部分と土地の持ち分の固定資産税が高くなるポイントは以下のとおりです。
2-1. マンションの一戸部分の固定資産税が高くなるポイント
マンションの一戸部分に掛かる固定資産税は、まずは建物全体の固定資産税が計算され、その税額が各戸の所有者に按分されます。
この按分ですが、床面積が広い部屋を所有する方ほど多く割り振られ、支払うべき固定資産税が高くなります。
また、マンションの建物全体の固定資産税は、カーテンウォールなどのグレードが高い外壁材が使用され、免震装置や高速エレベーターなどの設置費用が高く付く設備が多いほど高額になります。
つまり、マンションの一戸部分の固定資産税は、グレードが高い建材や設備が使用されたマンションに含まれる、床面積が広い一戸を取得するほど高くなるというわけです。
これが、マンションの一戸部分の固定資産税が高くなるポイントです。
マンションの一戸部分の固定資産税が高くなるポイント
グレードが高い建材や設備が付いたマンションに含まれる、床面積が広い一戸を取得するほど固定資産税が高くなる
なお、先に「マンションの一戸部分に掛かる固定資産税は、まずは建物全体の固定資産税が計算され、その税額が各戸の所有者に按分される。そして、床面積が広い部屋を所有する方ほど固定資産税が多く割り振られる」とご紹介しましたが、これは平成29年4月1日以降に売買契約を締結したタワーマンションには該当しないため注意してください。
平成29年4月1日以降に売買契約を締結したタワーマンションは、床面積が広く、なおかつ高層階に位置する戸を取得した方により多くの固定資産税が割り振られることとなりました。
ようするに、平成29年4月1日以降に売買契約を結びつつ購入したタワーマンションの一戸部分にかかる固定資産税は、高層階に位置し、床面積が広い戸ほど高くなるというわけです。
これは、タワーマンションの一戸部分の固定資産税が高くなるポイントとなります。
タワマンの一戸部分の固定資産税が高くなるポイント
床面積が広く、なおかつ高層階に位置する戸ほど固定資産税が高くなる
タワーマンションは高層階ほど固定資産税が高くなるといわれますが、その理由は上記のポイントにあります。
2-2. マンションの土地の持ち分の固定資産税が高くなるポイント
マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税は、まずはそのマンションが建つ敷地全体の固定資産税が計算され、その税額が各戸の所有者に按分されます。
このマンションが建つ敷地全体の固定資産税ですが、立地条件が良く、敷地面積が広いほど高くなります。
また、各戸の所有者に按分される固定資産税は、床面積が広い戸を所有する方ほど多く割り振られ、支払うべき税額が高くなります。
よって、マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税は、立地条件が良く敷地面積が広い土地に建ち、なおかつ取得した一戸部分の床面積が広いほど高くなる、といいたいところですが少し違います。
先にご紹介したとおり、マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税は、まずはそのマンションが建つ敷地全体の固定資産税が計算され、その税額が各戸の所有者に按分されます。
つまり、戸数が多ければ、按分される額が減るというわけです。
そのため、マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税は、そのマンションが建つ土地の立地条件が良く、なおかつ敷地面積が広く、加えて戸数が少ないほど高くなります。
これが、マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税が高くなるポイントです。
マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税が高くなるポイント
立地条件が良く敷地面積が広く、なおかつ戸数が少ないほどマンションほど固定資産税が高くなる
反対に、マンションの土地の持ち分に掛かる固定資産税は、立地条件が良くとも敷地面積が狭く、なおかつ戸数が多ければ安くなります。
よって、マンションの購入を希望しつつ固定資産税を少しでも安く抑えたい場合は、敷地面積が狭く戸数が多いマンションをお選びになるのが良いでしょう。
まとめ - マンションは一戸建てより固定資産税が下がりにくい
一戸建てとマンションにおける、固定資産税が高くなるポイントをご紹介しました。
一戸建ては、建築費が高額であり、立地条件が良く敷地面積が広ければ固定資産税が高くなります。
マンションは、グレードが高い建材や豪華な設備が付き、床面積が広い戸を取得し、なおかつ立地条件が良く敷地面積が広く、戸数が少なければ固定資産税が高くなります。
固定資産税が高くなるポイントは以上であり、極めて単純明快です。
なお、この記事の本文中でご紹介しましたが、固定資産税が高くなるポイントを満たす一戸建てやマンションは、販売価格も高い傾向があります。
つまり、販売価格が高い住宅は、固定資産税も高くなりがちであるというわけです。
よって、固定資産税を安く抑えたいのであれば、お手頃価格の住宅をお選びになるのが良いでしょう。
固定資産税が高くなるポイントをお調べの方がいらっしゃいましたら、是非ご参考になさってください。
なお、一戸建ては主に木造ですが、木造住宅は15年から35年を掛けて固定資産税が新築時の20%まで下がります。
15年から35年というと開きがありますが、建築費が安ければ15年を掛けて、建築費が高額であれば35年を掛けて下がることとなります。
建築費が安い住宅とは、主に販売価格が安い住宅です。
そのため、お手頃価格の木造住宅は固定資産税が安く、なおかつ下がりやすいといえます。
一方、マンションは主に鉄骨鉄筋コンクリート造、または鉄筋コンクリート造ですが、鉄骨鉄筋コンクリート造、または鉄筋コンクリート造の住宅は、建築費の額に関係なく60年を掛けて固定資産税が新築時の20%まで下がります。
マンションの固定資産税は一戸建てより高いといわれますが、下がりにくいという側面もあるため留意してください。
ご紹介した固定資産税が高くなるポイントが、住宅の購入をご予定の皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2021年9月
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