固定資産税の負担水準とは?(図解でわかりやすい!)

固定資産税の負担水準とは、土地の固定資産税を調整する「負担調整措置」を適用するための数値です。
住宅が建つ土地であれば負担水準が100%未満、更地であれば負担水準が60%未満であれば、前年より固定資産税が高くなります。
固定資産税の負担水準をわかりやすく簡単に解説しましょう。
目次
- 1. 固定資産税の負担水準とは、負担調整措置を適用するための数値
- 2. 負担水準が用いられる負担調整措置とは?
- 3. 負担水準の計算方法
- 4. 負担水準を計算する際に用いる額の調べ方
- まとめ - 負担水準は、都市計画税の負担調整措置にも用いられる
固定資産税の負担水準とは、負担調整措置を適用するための数値
東京23区などの固定資産税の課税明細書の土地の欄を見ると、負担水準という名目の数値がパーセントで記されています。
負担水準とは、土地の固定資産税を調整する「負担調整措置」を適用するための数値です。
戸建てが建つ土地や、マンションの土地の持ち分を所有し、その負担水準が100%未満であれば、前年より固定資産税が多少高くなります。
また、更地を所有し、その負担水準が60%未満であれば、同じく前年より固定資産税が多少高くなります。

つづいて、負担調整措置の詳細と、負担水準の計算方法をわかりやすく簡単に解説しましょう。
負担水準が用いられる負担調整措置とは?
負担水準は負担調整措置を適用するための数値ですが、負担調整措置とは、土地の固定資産税が急激に高くならないように調整する措置です。
土地の固定資産税は、地価に応じた額が課され、地価が高い土地を所有するほど税額が高くなります。
これを理由に、地価が短期間に上昇すると、土地の固定資産税は急激に高くなります。
固定資産税が急激に高くなれば、土地所有者の負担が重くなり納税できません。
これを防ぐための措置が、負担調整措置です。
全ての土地には申告不要で負担調整措置が適用され、地価が短期間に上昇しても、固定資産税はゆっくりと高くなるように調整されます。
負担調整措置が適用されない状況と、される状況のイメージをグラフでわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

負担調整措置は、土地の状況と負担水準に応じて税額の調整具合が決定します。
戸建てが建つ土地や、マンションの土地の持ち分は、負担水準が100%未満であれば前年より固定資産税が高くなるものの、多少高くなる程度に調整されます。
負担水準が100%超であれば、前年と固定資産税は同額、または下がります。
更地は、負担水準が60%未満であれば前年より固定資産税が高くなるものの、多少高くなる程度に調整され、60%以上であれば前年と税額は同額、または下がります。
負担水準による土地の固定資産税の調整具合
土地の状況 | 負担水準 | 調整具合 |
---|---|---|
戸建てが建つ土地、マンションの土地の持ち分 | 100%未満 | 前年より固定資産税が高くなるものの、多少高くなる程度に調整される |
〃 | 100%以上 | 前年と固定資産税は同額、または下がる |
更地 | 60%未満 | 前年より固定資産税が高くなるものの、多少高くなる程度に調整される |
〃 | 60%以上70%以下 | 前年と固定資産税は同額 |
※ 各税額の調整具合は傾向であり、必ずこのとおりになるとは限らないため注意してください
つづいて、負担水準の計算方法をわかりやすく簡単に解説しましょう。
なお、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、負担調整措置をより詳しく解説する記事を公開中です。
土地を所有し、負担調整措置にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ち記事
固定資産税の負担調整措置とは?(図解でわかりやすい!)
負担水準の計算方法
負担水準は、以下のように「前年度の課税標準額÷本則課税標準額×100」と計算し、パーセントで表します。
負担水準の計算方法
前年度の課税標準額÷本則課税標準額×100=負担水準(%)
式に含まれる「前年度の課税標準額」とは、所有する土地の前年の固定資産税を計算する際に用いた課税標準額です。
戸建てが建つ土地やマンションの土地の持ち分、更地などの土地を所有すると毎年固定資産税が課されますが、その税額は以下の式で計算します。
土地の固定資産税の計算方法
課税標準額×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=固定資産税
土地の固定資産税は上記の式で毎年計算し、所有する土地の前年の固定資産税を計算する際に用いた課税標準額が「前年度の課税標準額」です。
また、負担水準の計算式に含まれる「本則課税標準額」は、土地の状況と面積などによって異なります。
戸建てが建つ200㎡(約60坪)以下の土地や、マンションの土地の持ち分の本則課税標準額は、その土地の固定資産税評価額の6分の1です。
戸建てが建つ200㎡を超える土地の本則課税標準額は、200㎡までの部分はその土地の固定資産税評価額の6分の1、200㎡を超える部分は3分の1となります。
更地の本則課税標準額は、面積を問わずその土地の固定資産税評価額です。
土地の固定資産税評価額とは、市町村によって評価された、その土地の適正な時価であり、市場価格より低くなるのが通例となっています。
本則課税標準額をまとめると、以下のとおりです。
本則課税標準額
土地の状況 | 本則課税標準額 |
---|---|
戸建てが建つ200㎡以下の土地、マンションの土地の持ち分 | 固定資産税評価額の6分の1 |
戸建てが建つ200㎡超の土地 | 200㎡までの部分は固定資産税評価額の6分の1、200㎡超の部分は3分の1 |
更地 | 固定資産税評価額 |
たとえば、固定資産税評価額が1,000万円である、戸建てが建つ土地、もしくはマンションの土地の持ち分を所有するとしましょう。
であれば以下のように計算し、本則課税標準額は166万6,666円です。
本則課税標準額の計算例
1,000万円(固定資産税評価額)÷6=166万6,666円
負担水準の計算例を挙げると、前年度の課税標準額が160万円、本則課税標準額が166万6,666円であれば以下のように計算し、96%となります。
負担水準の計算例
160万円(前年度の課税標準額)÷166万6,666円(本則課税標準額)×100=96%
このように固定資産税の負担水準は、前年度の課税標準額を本則課税標準額で割り算して計算します。
負担水準の計算方法を図解でわかりやすく簡単にご紹介すると、以下のとおりです。

つづいて、負担水準を計算する際に必要となる「前年度の課税標準額」と、本則課税標準額を計算する際に必要となる「固定資産税評価額」の調べ方をわかりやすく簡単に解説しましょう。
ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税評価額をわかりやすく簡単に解説する記事を公開中です。
固定資産税評価額にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ち記事
固定資産税評価額とは?わかりやすく解説
負担水準を計算する際に用いる額の調べ方
負担水準を計算する際に必要となる「前年度の課税標準額」は、前年に届いた固定資産税の課税明細書に記されていますが、一部の市町村では、今年に届いた課税明細書にも記されています。
例を挙げると、東京23区の課税明細書には、「固定前年度課標等」という名目で前年度の課税標準額が記されています。
また、負担水準を計算する際に必要となる「本則課税標準額」は、固定資産税評価額を基に計算しますが、所有する土地の固定資産税評価額は、今年に届いた固定資産税の課税明細書に記されています。
課税明細書の土地の欄に「価格」や「評価額」などの名目で記されている額が、所有する土地の固定資産税評価額です。
ただし、マンションの土地の持ち分の固定資産税評価額は、一部の市町村を除き、課税明細書には記されていないため注意してください。
マンションの土地の持ち分の固定資産税評価額は、「マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額」と「敷地権の割合」を用いて計算する必要があります。
マンションの土地の持ち分の固定資産税評価額の計算方法は、以下のとおりです。
マンションの土地の持ち分の固定資産税評価額の計算方法
マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額×敷地権の割合=土地の持ち分の固定資産税評価額
式に含まれる「マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額」は、多くの市町村では、課税明細書の土地の欄に「価格」や「評価額」などの名目で記されています。
億単位の額が記されていれば、その額が「マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額」です。
式に含まれる「敷地権の割合」は、法務局で発行を請求できる登記事項証明書に「67891234分の567891」などと複雑な分数で記されています。
たとえば、「マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額」が3億円、敷地権の割合が「67891234分の567891(0.83647176011%)」であれば以下のように計算し、土地の持ち分の固定資産税評価額は250万9,415円です。
計算例
3億円(マンションが建つ土地全体の固定資産税評価額)×0.83647176011%(敷地権の割合)=250万9,415円
なお、一部の市町村では、固定資産税の課税明細書に本則課税標準額が記されているため留意してください。
例を挙げると、東京23区の課税明細書には、「固定本則課税標準額」という名目で本則課税標準額が記されています。
課税明細書に本則課税標準額が記されている場合は、固定資産税評価額を用いて本則課税標準額を計算する必要はありません。
まとめ - 負担水準は、都市計画税の負担調整措置にも用いられる
固定資産税の負担水準をわかりやすく簡単に解説しました。
固定資産税の負担水準とは、負担調整措置を適用するための数値であり、「前年度の課税標準額」を「本則課税標準額」で割り算して計算します。
戸建てが建つ土地や、マンションの土地の持ち分を所有し、その負担水準が100%以下であれば、前年より固定資産税が多少高くなります。
また、更地を所有し、その負担水準が60%未満であれば、前年より固定資産税が多少高くなります。
負担水準をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
ちなみに、市街地に土地を所有すると、多くの場合は固定資産税に加えて都市計画税も課されますが、都市計画税にも負担調整措置が適用されます。
都市計画税の負担調整措置も負担水準に応じて税額の調整具合が決定し、都市計画税の負担水準の計算方法は以下のとおりです。
都市計画税の負担水準の計算方法
都市計画税の前年度の課税標準額÷都市計画税の本則課税標準額×100=都市計画税の負担水準(%)
都市計画税の本則課税標準額は、土地の状況と面積などによって異なり、以下のとおりです。
都市計画税の本則課税標準額
土地の状況 | 本則課税標準額 |
---|---|
戸建てが建つ200㎡(約60坪)以下の土地、マンションの土地の持ち分 | 固定資産税評価額の3分の1 |
戸建てが建つ200㎡超の土地 | 200㎡以下の部分は固定資産税評価額の3分の1、200㎡超の部分は3分の2 |
更地 | 固定資産税評価額 |
そして、戸建てが建つ土地や、マンションの土地の持ち分を所有し、都市計画税の負担水準が100%以下であれば、前年より都市計画税が多少高くなります。
更地を所有し、都市計画税の負担水準が60%未満であれば、前年より都市計画税が多少高くなります。
ご紹介した内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2025年3月
記事公開日:2021年7月
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