注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法【令和8年度版】
注文住宅の新築を希望するものの、「固定資産税が毎年いくらかかるのか」と心配になる方が多くいらっしゃるようです。
かくいう私も、固定資産税の知識が全くないころに注文住宅を新築しましたが、張り切って高価な設備を多く導入したせいか、税額が高くて驚きました。
そこで、今回の「固定資産税をパパっと解説」では、今では固定資産税の知識が豊富になった私から皆さんへ向けて、注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法と令和8年度の最新税制を解説します。
設計段階から実行できる対策ばかりですので、ぜひ役立ててください。
目次
- 1. 注文住宅の固定資産税 年間税額の目安
- 2. 注文住宅の固定資産税が高くなる理由
- 3. 理解すべき2つの軽減措置の全体像
- 4. 注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法
- 5. 固定資産税の経年シミュレーション
- まとめ - よくある質問
1. 注文住宅の固定資産税 年間税額の目安
はじめに、「注文住宅の固定資産税がいくらかかるのか」を確認しておきましょう。最初に全体像を把握しておくと、節税方法の理解がスムーズになります。
注文住宅は固定資産税が高くなりがちですが、以下が建築費別の年間税額の目安です。
注文住宅の固定資産税 建築費別の年間税額目安
| 建築費2,000万円 | 建築費3,000万円 | 建築費4,000万円 | |
|---|---|---|---|
| 建物評価額の目安 | 約1,200万円 | 約1,800万円 | 約2,400万円 |
| 新築1〜3年目(減額中) | 約10〜11万円/年 | 約15〜16万円/年 | 約19〜21万円/年 |
| 4年目以降(減額終了後) | 約18〜20万円/年 | 約27〜30万円/年 | 約35〜40万円/年 |
※建物評価額は建築費の約60%が目安。土地は固定資産税評価額1,000万円・小規模住宅用地(200㎡以下)・税率1.4%で試算
ちなみに、注文住宅を新築した場合、固定資産税が最初に課税されるのは翌年度からです。固定資産税は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者に課税されます。
たとえば、令和8年9月に新築した場合は令和9年度(翌年4〜6月ごろに納税通知書が届く)から支払いが始まるといった具合です。
つづいて、注文住宅の固定資産税が高くなる理由を解説します。
2. 注文住宅の固定資産税が高くなる理由
節税を実践するうえで、まず「なぜ注文住宅の固定資産税は高くなりやすいのか」という仕組みを理解することが重要です。
この章では、建物評価額の算出方法・設備仕様が税額に与える影響・「年数が経てば必ず税額が下がる」という通説が成立しない理由を解説します。
2-1. 建物の固定資産税評価額は再建築費で決まる
注文住宅の固定資産税は、その固定資産税評価額をもとに計算されます。固定資産税評価額とは、市町村が評価した、固定資産税が課される対象となる建物や土地の時価です。
そして、注文住宅の建物の固定資産税評価額は、購入価格や建築費の総額ではなく、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」で定められた次の計算式で算出されます。
- 建物の固定資産税評価額の計算方法
- 固定資産税評価額=再建築費評点数 × 経年減点補正率 × 評点一点当たりの価額
式には「再建築費評点数」「経年減点補正率」「評点一点当たりの価額」という言葉が含まれますが、意味は次のとおりです。
再建築費評点数
再建築費評点数とは、「その家屋と同一のものを評価時点においてその場所に新築するとした場合にかかる建築費を点数化したもの」を指します。
屋根・外壁・内装・設備など部分ごとに標準評点数が設定されており、素材や設備のグレードに応じて増減します。注文住宅はグレードを自由に選べる分、仕様が高いほど評点数も高くなります。
経年減点補正率
経年減点補正率とは、築年数の経過に応じた価値の減価を表す係数を指します。木造専用住宅の場合、新築翌年に0.80となり、以降は建物のグレード(延べ床面積1㎡あたりの再建築費評点数の水準)によって低下速度が異なります。
なお、どれだけ年数が経過しても固定資産税評価額がゼロになることはなく、最低残存率は0.20(20%)と定められています。
難解ですが、「建物の固定資産税評価額はいつまでもゼロにはならない」とお考えください。これは、建物の固定資産税はいつまでもゼロにはならないということを意味します。
評点一点当たりの価額
評点一点当たりの価額とは、各市町村が建築物価水準(労務費・資材費など)を反映して定める金額を指します。
評点一点当たりの価額は原則として1円ですが、物価水準補正率および設計管理費等による補正率が乗じられ、地方都市では1円未満になることもあります。
木造専用住宅の経年減点補正率の例(築1〜10年)
| 築年数 | ①低グレード (61,190点未満) | ②中グレード (61,190点以上95,820点未満) | ③中高グレード (95,820点以上147,770点未満) | ④高グレード (147,770点以上) |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 0.80 | 0.80 | 0.80 | 0.80 |
| 2年目 | 0.75 | 0.75 | 0.75 | 0.75 |
| 3年目 | 0.70 | 0.70 | 0.70 | 0.70 |
| 4年目 | 0.66 | 0.67 | 0.68 | 0.68 |
| 5年目 | 0.62 | 0.64 | 0.65 | 0.67 |
| 6年目 | 0.58 | 0.61 | 0.63 | 0.65 |
| 7年目 | 0.53 | 0.58 | 0.61 | 0.64 |
| 8年目 | 0.49 | 0.55 | 0.59 | 0.62 |
| 9年目 | 0.45 | 0.52 | 0.56 | 0.61 |
| 10年目 | 0.41 | 0.49 | 0.54 | 0.59 |
注文住宅の多くは③または④区分(95,820点以上)に該当します。最低残存率0.20に達するのは①区分で築15年、②区分で築20年、③区分で築25年、④区分で築35年です(いずれも「最短の年数」であり、それ以上になることもある)。グレードが高い住宅ほど評価額の下がり方がゆるやかである点もあわせてご確認ください。
再建築費評点数は設備・建材のグレードによって変わるため、設計段階での仕様選択が税額に直結します。
2-2. 設備グレードが固定資産税評価額を押し上げる
注文住宅では選んだ設備のグレードが高いほど再建築費評点数が増加し、固定資産税評価額が上がります。
固定資産評価基準の再建築費評点基準表では、屋根・外壁・内装・建築設備など部分ごとに標準評点数が定められており、施工の程度(程度の良い・普通・程度の悪い)に応じた補正がかかります。
注文住宅では仕様を自由に選べるため、知らないうちに固定資産税評価額を押し上げる設備を選んでしまうことが少なくありません。
たとえば、空調設備(ビルトイン方式)は362,840点(個)の加算評点項目として位置づけられています。一方、工事後に自分で設置した後付けエアコン(移動可能)は原則として家屋評価に含まれません。同じ「エアコン」でも、造り付け型か後付け型かによって固定資産税評価額に差が生じます。
固定資産税評価額が上がりやすい設備・仕様と後付け可否
| 設備・仕様 | 固定資産税評価額への影響 |
|---|---|
| 空調設備(ビルトイン方式) | 高 |
| 床暖房設備 | 高 |
| 外壁タイル張り | 高 |
| 屋根一体型太陽光パネル | 高 |
| 高級ユニットシャワー | 中 |
| 玄関ドア(電子錠・高断熱) | 中 |
| 第一種換気システム | 中 |
| 天窓(固定式・開閉式) | 中 |
| 屋根材(銅板・高級スレート) | 中 |
| 無垢材フローリング | 中 |
同じ建築費でも、選んだ仕様・設備によって固定資産税評価額は異なります。この点を設計段階から意識しておきましょう。具体的な節税方法は、本記事の「4. 注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法」で詳しく解説します。
2-3. 物価上昇期は固定資産税が下がらない理由
「建物が古くなれば固定資産税は必ず下がる」という考えは、物価が上昇している時期には当てはまりません。
注文住宅の建物の固定資産税は、その固定資産税評価額をもとに計算されますが、固定資産税評価額は3年ごとに評価方法が見直されます。これを「固定資産税の評価替え」などと呼びます。
ここで、建物の固定資産税評価額の計算式をおさらいしましょう。
- 建物の固定資産税評価額の計算方法
- 固定資産税評価額=再建築費評点数 × 経年減点補正率 × 評点一点当たりの価額
そして、計算方法に含まれる「再建築費評点数」と「評点一点当たりの価額」が、評価替えの年に、建築物価水準(資材費・労務費など)をもとに見直されます。
建築物価水準が高くなっていれば、「再建築費評点数」と「評点一点当たりの価額」も高く見直されるといった具合です。
これにより、建築コストが大幅に上昇している状態で迎えた評価替えの年は、築年数が経過することにより経年減点補正率が下がったとしても、固定資産税評価額が以前より高くなることがあります。
以前より高くなる場合は据え置かれるというルールが適用されますが、据え置かれるということは、固定資産税評価額が下がらないということです。すなわち、固定資産税評価額をもとに計算する建物の固定資産税も下がりません。
近年は建築資材・人件費の高止まりにより、多くの住宅でこの据置き状態が発生しています。
したがって、建築資材・人件費の高止まりが続く昨今は、「年数が経てば自然に固定資産税が下がる」という前提での資金計画は過度な楽観といえます。
注文住宅の固定資産税を確実にコントロールするためには、設計段階からの対策が必要です。具体的な方法は、本記事の「4. 注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法」にて解説します。
3. 理解すべき2つの軽減措置の全体像
注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法を理解するには、まず「使える制度の全体像」を把握することが先決です。
この章では、注文住宅の新築時に活用できる2つの主要な軽減措置「新築された住宅に対する固定資産税の減額」と「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」を解説します。
3-1. 新築住宅の減額措置(令和13年3月まで)
注文住宅の新築時に活用できる1つめの軽減措置は、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」です。
同軽減措置は、床面積が40㎡以上240㎡以下など、一定の条件を満たす新築の住宅を取得することにより、3年間や5年間などにわたり、建物の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されるというものです。
減額されるのは建物の固定資産税のみであり、建物の都市計画税、および土地の固定資産税・都市計画税は減額されないため注意してください。
同軽減措置は、インターネット上には「令和8年3月31日まで」という旧来の適用期限を記した情報が多数残っていますが、令和8年度税制改正により、適用期限が令和13年3月31日まで5年間延長されました。
また、令和8年4月1日以降に新築した住宅については床面積要件も変更され、下限は50㎡以上から40㎡以上に緩和された一方、上限は280㎡以下から240㎡以下に引き下げられています。
なお、長期優良住宅に該当する注文住宅を新築した場合は、同軽減措置の適用期間が5年や7年に延長されます。詳細は、本記事の「方法③長期優良住宅の認定を受ける」にて解説します。
3-2. 住宅用地の特例
注文住宅の新築時に活用できる2つめの軽減措置は、「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例(通称:住宅用地の特例)」です。
固定資産税において、住宅が建つ土地に占める、その土地に建つ住宅の床面積の10倍までの部分を「住宅用地」と呼びます。
さらに、住宅用地は、200㎡までの部分が小規模住宅用地に、200㎡を超える部分は一般住宅用地に区分されます。
そして、住宅用地には住宅用地の特例が適用されます。適用されれば、注文住宅を含め、住宅が建つ土地の固定資産税が大幅に軽減されます。
土地の固定資産税は、次のように計算します。
- 土地の固定資産税の計算方法
- 土地の固定資産税=課税標準額(その土地の固定資産税評価額)×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)
式に含まれる課税標準額とは、なんらかの税金が課される状況において税率を掛けるもととなる額であり、課される税金によって意味が異なることもあれば、同じこともあります。
土地の固定資産税を計算する際の課税標準額は、本来であれば、式に記したように「その土地の固定資産税評価額」です。土地の固定資産税評価額とは、市町村が評価したその土地の時価を指します。
しかし、住宅用地の特例が適用されれば、小規模住宅用地の固定資産税を計算する際の課税標準額は固定資産税評価額の6分の1に、一般住宅用地は3分の1に軽減されます。
- 本来の課税標準額:その土地の固定資産税評価額
- 小規模住宅用地の課税標準額:その土地の固定資産税評価額の6分の1
- 一般住宅用地の課税標準額:その土地の固定資産税評価額の3分の1
課税標準額が軽減されれば、課税標準額に税率を掛けて計算する土地の固定資産税も軽減されます。
たとえば、固定資産税評価額が1,800万円の更地であれば、「課税標準額(1,800万円)×税率(主に1.4%)=25万2,000円」と計算して、一切の特例や軽減措置が適用されなければ、固定資産税は年間25万2,000円です。
一方、その土地が小規模住宅用地であり、住宅用地の特例が適用されれば、「課税標準額(300万円)×税率(主に1.4%)=4万2,000円」と計算して、固定資産税は4万2,000円まで下がります。
なお、注文住宅を新築し、その土地が住宅用地となり住宅用地の特例が適用されるのは、一部例外を除き、新築が完成した状態ではじめて迎えた1月1日が属する年度からのため、注意してください。
令和8年中に注文住宅が完成したのであれば、その土地は令和9年1月1日から住宅用地となり、令和9年から住宅用地の特例が適用されるといった具合です。
また、市町村によっては、1月1日の時点で新築が完成しているという条件を満たしたうえで、1月31日などまでに申告をすることにより住宅用地の特例が適用されることもあるため、重ねて注意してください。
詳細は、市町村役場の窓口やホームページにてご確認いただけます。
4. 注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法
注文住宅の固定資産税は、床面積を120㎡以内に抑える、固定資産税評価額が上がる設備を見極めるなどすれば、税額を抑えることができます。
- 床面積を120㎡以内に抑える
- 固定資産税評価額が上がる設備を見極める
- 長期優良住宅の認定を受ける
- ロフト・ウッドデッキを活用する
- 家屋調査に備えて準備する
- 課税明細を毎年確認して誤りを正す
- ハザードエリアを確認する
ここから、前章で解説した2つの軽減措置を前提に、注文住宅の設計段階から実行できる、固定資産税を安くする7つの方法を解説します。
7つの方法を組み合わせることで、設計・建築段階から固定資産税を能動的にコントロールできるようになります。
方法①床面積を120㎡以内に抑える
注文住宅の固定資産税を安く抑える1つめの方法は、「建物の床面積を120㎡(約36坪)までに抑える」です。
床面積が40㎡以上など一定の条件を満たす新築の住宅には、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されます。適用されれば、3年など一定の期間にわたり、建物の固定資産税が2分の1に減額されます。
しかし、減額されるのは、建物の床面積の120㎡までの部分であり、それを超える部分は減額されません。
固定資産税評価額が1,800万円・床面積が150㎡の木造の注文住宅と、120㎡の注文住宅の軽減措置適用期間中の固定資産税をシミュレーションしつつ比較します。
- 150㎡の注文住宅の固定資産税の計算例
- (減額対象120㎡分:1,800万円×(120÷150)×1.4%×1/2=8万4,000円)+(減額対象外30㎡分:1,800万円×(30÷150)×1.4%=5万0,400円)=15万1,200円
- 120㎡の注文住宅の固定資産税の計算例
- 減額対象120㎡分:1,800万円×1.4%×1/2=12万6,000円
- 軽減措置適用期間中の固定資産税の比較
- (15万1,200円-12万6,000円)×3年=7万5,600円
上記のシミュレーションによると、軽減措置適用期間中の固定資産税の差は7万5,600円です。新築を取得後はなにかと物入りのため、この金額は大きいといえるでしょう。
方法②固定資産税評価額が上がる設備を見極める
注文住宅の固定資産税を安く抑える2つめの方法は、「設計・仕様選択の段階で固定資産税評価額が上がる要因となる設備を把握する」です。
本記事の「2-1. 建物の固定資産税評価額は再建築費で決まる」でご紹介したとおり、注文住宅の固定資産税は、その固定資産税評価額をもとに計算されます。
したがって、固定資産税評価額が上がる要因となる設備を把握して、その設置を避ければ、固定資産税を安くできます。
固定資産税評価額が上がる設備は様々ですが、特に上がるのは次のとおりです。
- ホームエレベーター(積載量と着床数が多いものはさらに固定資産税評価額が上がる)
- 1624(1600×2400mm)などサイズが大きなユニットバス
- 300cm超など幅広のシステムキッチン
- ガス式やヒートポンプ式の床暖房設備
- 空調設備(ビルトイン方式)
- 屋根一体型太陽光パネル
また、設備とは呼べませんが、断熱性の高い窓をたくさん設置するなどしても、固定資産税評価額が上がる要因となるため注意してください。
その詳細は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」にて公開中の記事「固定資産税は窓の大きさで高くなる?答「大小より面積で決まる」」にてご確認いただけます。
加えて、当サイトでは、床暖房の固定資産税を安くする秘訣を解説する記事「高すぎる床暖房の固定資産税を安くするコツ - パパっと節税」も公開中です。ぜひご覧ください。
方法③長期優良住宅の認定を受ける
注文住宅の固定資産税を安く抑える3つめの方法は、「長期優良住宅の認定を受ける」です。
長期優良住宅とは、市町村などの所管行政庁から高品質で長持ちすると認定された住宅を指します。認定を受ければ、本記事の「3-1. 新築住宅の減額措置(令和13年3月まで)」でご紹介した軽減措置の適用期間が、3年などから5年などに延長されます。
延長されれば、長期優良住宅にかかる固定資産税を安く抑えることができます。
固定資産税評価額が1,500万円で軽減措置の適用期間が3年の一般住宅と、5年の長期優良住宅にかかる、新築1年目から5年目までの固定資産税を比較すると次のとおりです。
一般住宅と長期優良住宅の固定資産税 年次税額と節税効果の比較
| 年度 | 一般住宅の税額 | 長期優良住宅の税額 |
|---|---|---|
| 新築1年目 | 10万5,000円(半額) | 10万5,000円(半額) |
| 2年目 | 10万5,000円(半額) | 10万5,000円(半額) |
| 3年目 | 10万5,000円(半額) | 10万5,000円(半額) |
| ★4年目 | 21万円(本額へ) | 10万5,000円(半額) |
| ★5年目 | 21万円(本額) | 10万5,000円(半額) |
| 6年目以降 | 21万円(本額) | 21万円(本額へ) |
※ 各税額は建物にかかる固定資産税のみ
また、長期優良住宅は、固定資産税以外にも次のメリットがあります。
- 住宅ローン減税の借入限度額の優遇(長期優良住宅・低炭素住宅:4,500万円、子育て世帯等は5,000万円)
- 不動産取得税の課税標準額からの控除額の増額(一般住宅:1,200万円 → 認定長期優良住宅:1,300万円)
- 地震保険料の割引制度の対象(耐震等級に応じて割引率が大きくなる)
ただし、長期優良住宅は、そもそもの固定資産税が一般住宅より高くなる傾向があるため注意してください。
固定資産税は、対象となる建物や土地の固定資産税評価額(時価)を基に税額を計算します。長期優良住宅は一般住宅より建築費が1割~2割程度高くなるため、固定資産税評価額も高くなりがちです。
固定資産税評価額が1割~2割程度高くなれば、固定資産税も1割~2割程度高くなります。
なお、長期優良住宅を取得し、固定資産税の軽減措置の適用期間を5年などに延長するためには、原則として取得が完了した年の翌年の1月31日までに、市町村役場に申告をする必要があるため注意してください。
期限内の申告を忘れた場合は、やむを得ない理由により遅れたことを伝えつつ申告をしなければなりません。その詳細は、当サイトで公開中の記事「長期優良住宅の固定資産税の申請を忘れた」にてご確認いただけます。
くわえて、所管行政庁から長期優良住宅の認定を受けるためには、建築確認申請前に計画認定申請を行う必要があるなど、設計段階からの計画が必要なため、工務店・設計者に早めに相談することをおすすめします。
長期優良住宅の主な認定基準は、次のとおりです。
- 劣化対策:数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できる
- 耐震性:免震建築物であること、または耐震等級2であるなど
- 省エネ性:必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されている
- 維持管理・更新の容易性:内装・設備の点検・補修・更新を容易に行える措置がある
- 住戸面積:75㎡以上かつ一つの階が40㎡以上(地域の実情により増減可)
- 居住環境:良好な景観形成等への配慮がなされている
- 計画的な維持管理:定期的な点検・補修等の計画が策定されている
- 災害への配慮:自然災害による被害の防止・軽減への配慮がなされている
方法④ロフト・ウッドデッキを活用する
注文住宅の固定資産税を安く抑える4つめの方法は、「ロフトや小屋裏収納を活用して課税床面積を減らし、バルコニーではなくウッドデッキを設置する」です。
一定の要件を満たすロフトや小屋裏収納は課税床面積に算入されないため、居住空間を広げながら固定資産税評価額、ならびに固定資産税を抑えることができます。
本記事の「方法①床面積を120㎡以内に抑える」では、床面積を120㎡以内に抑えることを提案しましたが、「居住空間は犠牲にしたくない」という方もいらっしゃるでしょう。
そのような方に知っておいていただきたいのが、課税床面積に算入されない空間の活用です。ロフトや小屋裏収納が課税床面積に算入されない要件は市町村によって異なりますが、主に次のとおりです。
- 天井高が1.5m以下であること
- 直下の階の床面積の1/2未満であること
- 固定はしごを使用していないこと
課税床面積に含まれる空間・含まれない空間の早見表は、次のとおりです。
課税床面積に含まれる空間・含まれない空間の早見表
| 空間の種類 | 課税扱いの目安(主な要件) |
|---|---|
| ロフト | 原則含まれない(天井高1.5m以下・直下階の1/2未満など) |
| 小屋裏収納 | 原則含まれない(天井高1.5m以下・直下階の1/2未満など) |
| ウッドデッキ | 含まれない(建物と構造上一体化していない場合) |
| 吹き抜け | 含まれない(床がないため) |
| ビルトインガレージ | 含まれる(建物内部に組み込まれた場合) |
| 地下室 | 原則含まれない(天井高1.5m以下など) |
| 玄関ポーチ(屋根あり) | 含まれない(構造による) |
※ 重要:課税床面積の判定基準は自治体によって異なります。設計・着工前に必ず市町村の税務担当窓口に確認してください。
ウッドデッキについては、建物と構造的に一体化していなければ家屋評価に含まれず、そもそも固定資産税が課されません。よって、1階部分に限られますが、バルコニーではなくウッドデッキを活用すれば、注文住宅の固定資産税を安く抑えることができます。
なお、先述のとおり、ロフトや小屋裏収納は、一定の要件を満たせば課税床面積に入りませんが、これは固定資産税がかからないという意味ではないため注意してください。
課税床面積に入らなければ、外壁材や床材の固定資産税が抑えられるにとどまります。外壁材や床材の固定資産税は、建物の床面積に応じて計算され、床面積が広いほど税額が高くなります。
ロフトや小屋裏収納は課税床面積には入らないものの、別途固定資産税評価額が評価され、評価額に応じた固定資産税が課されることとなります。
方法⑤家屋調査に備えて準備する
注文住宅の固定資産税を安く抑える5つめの方法は、「家屋調査に備えて準備をして、固定資産税評価額を正当に評価してもらう」です。
注文住宅が完成すると間もなく市町村役場から担当者が訪れ、家屋調査が行われます。家屋調査では、建物の構造や床面積、使用されている資材の量やグレードなどが調査され、調査結果をもとに新築時の固定資産税評価額が算定されます。
その家屋調査ですが、適切な書類を準備して立ち会い、後付け設備や仕様変更を担当者へ正確に伝えることで、実態に即した固定資産税評価額の算定が期待できます。
調査当日に用意しておくと役立つ書類は、次のとおりです。
- 設計図面・仕様書(建材・設備の種別・グレードが確認できるもの)
- 使用建材の明細
- 設備のカタログや納品書(型番・グレードが確認できるもの)
標準より低いグレードに変更した箇所や、後付けのため評価に含めるべきでない設備については、担当者へ口頭で申告・説明することが重要です。具体的に伝えるべき内容の例は、次のとおりです。
- 「外壁は当初の計画からタイルをサイディングに変更しました」
- 「このエアコンは入居後に自分で設置した後付け品です。家屋の評価に含めないでください」
- 「ロフト部分は天井高が1.5m以下です。設計図面の〇ページをご確認ください」
- 「このウッドデッキは、家屋と一体化していません」
家屋調査は正当な理由があれば拒否できますが、その場合は設計図面等の書面のみで固定資産税評価額の算定が行われます。
設計図書と現状が異なる場合などは、実際より固定資産税評価額が高くなるリスクがあります。設計段階での仕様変更の成果を正しく反映させるためにも、調査には積極的に立ち会ってください。
家屋調査で調査される箇所は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」にて公開中の記事「家屋調査はどこまで見る?全11ヵ所の見られる箇所を解説」にてご紹介しています。
ちなみに、家屋調査によって算定された固定資産税評価額に不服がある場合は、固定資産評価審査委員会への審査の請求が可能です。請求すれば固定資産税評価額の正当性が審査され、不当な場合は是正されます。
ただし、審査の請求は、固定資産税の納税通知書の交付を受けた日から3か月を経過する日までに行う必要があるなど、いくつかの要件が設けられているため注意してください。詳細は、納税通知書の裏面に記されています。
方法⑥課税明細を毎年確認して誤りを正す
注文住宅の固定資産税を安く抑える6つめの方法は、「毎年4月~6月ごろに届く、固定資産税の課税明細書の内容を厳重にチェックする」です。
注文住宅を取得した年の翌年の4月~6月ごろになると、市町村から固定資産税の納税通知書が届きます。納税通知書には課税明細書が同封され、所有する土地や建物の固定資産税評価額や課税標準額、税額、適用されている軽減措置が記載されています。
課税明細書のチェックすべき点は、次の3つです。
- 新築住宅の減額措置が正しく適用されているか
- 床面積が40㎡以上など一定の要件を満たす注文住宅を取得すれば、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用され、建物にかかる固定資産税が3年や5年などにわたり2分の1に減額されます。
課税明細書をチェックし、同軽減措置が適用されているか確認してください。 - 住宅用地の特例が適用されているか
- 注文住宅が建つ土地には、「住宅用地の特例」が適用されます。適用されれば、土地の固定資産税を計算する際の課税標準額が固定資産税評価額の6分の1や3分の1などに軽減されます。
課税明細書をチェックし、同特例が適用されているか確認してください。 - 固定資産税評価額が前年から変動している場合、その理由が合理的か
- 固定資産税評価額は、令和9年や12年など、3年に一度の評価替えの年に見直されます。つまり、固定資産税評価額が変更されるのは、3年に一度のみというわけです。
よって、課税明細書をチェックして、評価替えの年ではないにもかかわらず固定資産税評価額が変更している場合は、誤りである可能性があります。
誤りを発見した場合は、まずは市町村の税務担当窓口に詳細を問い合わせてください。賦課処分に不服がある場合は、納税通知書を受け取った日の翌日から起算して3か月以内に、市町村長に対して不服申立てができます。
この申立ては、固定資産評価審査委員会への審査の請求とは異なり、行政不服審査法にもとづいたものであり、詳細は「政府広報オンライン:行政不服審査制度」にてご確認いただけます。
また、固定資産税には縦覧制度が設けられています。縦覧制度とは、毎年4月1日~5月31日の間に限り、同一市町村内の他の土地や家屋の固定資産税評価額を確認できる制度です。
同制度を利用すれば、ご自身が所有する土地や家屋の固定資産税評価額の妥当性を確認し、不当であると感じる場合は、固定資産評価審査委員会への審査の請求をする根拠となります。
方法⑦【土地選びの段階の方へ】ハザードエリアを確認する
注文住宅の固定資産税を安く抑える7つめの方法は、土地を選ぶ段階の人に限りおすすめできる方法ですが、「その土地が災害レッドゾーンに含まれるか否か確認する」です。
令和8年度税制改正により、令和10年(2028年)以降に入居する新築住宅のうち、土砂災害等の「災害レッドゾーン」内に建築されたものには、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されないことが決定しました。
同軽減措置の適用対象外となる「災害レッドゾーン」は、次の5種類です。
- 土砂災害特別警戒区域
- 地すべり防止区域
- 急傾斜地崩壊危険区域
- 浸水被害防止区域
- 災害危険区域(都市再生特別措置法に基づく勧告に従わないものとして公表の対象となった区域に限る)
土地を購入する際のハザードマップによる事前確認は、固定資産税の観点のみならず、居住の安全性の観点からも欠かせない作業です。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を利用するなどして、災害レッドゾーンに該当するか否かチェックしてください。
5. 固定資産税の経年シミュレーション
ここからは、注文住宅の固定資産税がどのように推移するか数値で確認します。
インターネットで固定資産税に関することを調べると「徐々に下がる」などと記されていますが、それは物価水準が高くなっている時期には成立しないことも併せて解説しますので、ぜひお読みください。
5-1. 建築費別・年間税額の目安
はじめに、注文住宅の固定資産税がいくらになるか目安をご紹介します。
注文住宅を取得すると、借地権などである場合は除き、建物と土地を所有することとなり、それぞれに固定資産税が課されます。
建物の固定資産税は、その固定資産税評価額を課税標準額として、税率である1.4%(市町村によっては1.5%や1.6%、1.7%のことがあるため留意してください)を乗算した答えが税額です。
一方、注文住宅が建つ土地には「住宅用地の特例」が適用され、住宅用地の固定資産税は、その固定資産税評価額の3分の1や6分の1などを課税標準額として、税率である1.4%を乗算した答えが税額となります。
- 注文住宅の建物の固定資産税の計算方法
- 課税標準額(その建物の固定資産税評価額)×税率(主に1.4%)=建物の固定資産税
- 注文住宅が建つ土地の固定資産税の計算方法
- 課税標準額(その土地の固定資産税評価額の6分の1、または3分の1など)×税率(主に1.4%)=土地の固定資産税
建物の固定資産税評価額は物件によって大きく異なりますが、一般には、純粋な建築費の60%程度になるといわれます。
純粋な建築費とは、その建物と同一の建物を、同一の場所に新築するために要する資材費と労務費、設計費、建築会社が得るべき正当な利益の合計です。
また、床面積が40㎡以上など一定の要件を満たす新築の住宅である建物には「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用され、取得から3年や5年などにわたり税額が2分の1に減額されます。
それらを前提として、純粋な建築費が2,000万円、3,000万円、4,000万円の注文住宅の建物と、その建物が建つ固定資産税評価額が1,000万円の土地の固定資産税をシミュレーションすると、以下のようになります。
注文住宅の建築費別 固定資産税シミュレーション(新築1~3年目)
| 建築費2,000万円 | 建築費3,000万円 | 建築費4,000万円 | |
|---|---|---|---|
| 建物固定資産税評価額 | 約1,200万円 | 約1,800万円 | 約2,400万円 |
| 建物固定資産税(軽減措置適用後) | 約8万4,000円 | 約12万6,000円 | 約16万8,000円 |
| 土地固定資産税額 | 約2万3,000円 | 約2万3,000円 | 約2万3,000円 |
| 建物と土地の税額の合計 | 約10.7万円 | 約14.9万円 | 約19.1万円 |
※ 建物は床面積120㎡、土地は小規模住宅用地・特例適用として税額を計算
5-2. 軽減措置適用期間終了後に税額が跳ね上がる
一般住宅は新築から4年目など、長期優良住宅は新築から6年目などになると、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用期間が終了し、建物の固定資産税が本来の額に戻ります。すなわち、税額が約2倍に上昇します。
新築を取得後しばらくして「固定資産税が急に高くなった」と感じる方の多くは、この軽減措置適用期間終了のタイミングを事前に把握していなかったことが理由です。
以下の表で、建物の固定資産税評価額が1,800万円・床面積が120㎡以下の一般住宅と、長期優良住宅の固定資産税の推移をご確認ください。
注文住宅・新築後7年間の固定資産税の推移
| 年度 | 一般住宅 | 長期優良住宅 |
|---|---|---|
| 新築1年目 | 12万6,000円(半額) | 12万6,000円(半額) |
| 2年目 | 12万6,000円(半額) | 12万6,000円(半額) |
| 3年目 | 12万6,000円(半額) | 12万6,000円(半額) |
| 4年目 | 25万2,000円(本額) | 12万6,000円(半額) |
| 5年目 | 25万2,000円(本額) | 12万6,000円(半額) |
| 6年目 | 経年減価で変動 | 25万2,000円(本額) |
| 7年目以降 | 経年減価で変動 | 経年減価で変動 |
一般住宅の場合、4年目などに固定資産税が約2倍に跳ね上がります。一方、長期優良住宅は4・5年目も引き続き減額され、6年目などに跳ね上がることとなります。
つまり、長期優良住宅を取得することは、「跳ね上がりを2年間遅らせる」という実質的な効果を持つというわけです。
そして、一般住宅、長期優良住宅を問わず軽減措置適用期間終了後は、経年減価で税額が変動することとなりますが、物価水準が高い期間は税額が下がりません。つづいて、その詳細を解説します。
5-3. 物価高騰期は固定資産税が下がらない
物価水準の高止まりが続く時期には、建物の固定資産税評価額が下がらず、それに伴い建物の固定資産税が据え置かれることとなります。
その理由は、本記事の「2-3. 物価上昇期は固定資産税が下がらない理由」にてご紹介しましたが、ここではよりわかりやすく簡単に解説しましょう。
建物の固定資産税は、その固定資産税評価額を基に計算されます。建物の固定資産税評価額とは、その建物の時価、すなわち「現時点の価格」です。
そして、建物の固定資産税は、その固定資産税評価額に応じた額となり、固定資産税評価額が高ければ税額も高く、固定資産税評価額が低ければ税額も低くなります。
最近は世界情勢が安定せず物価水準が高騰し、建築費の高止まりが続いています。これは、建物の時価が以前より高くなっている、または下がらなくなっていることを意味します。
つまり、最近は、建物の固定資産税評価額が以前より高くなっている、もしくは下がらなくなっているというわけです。ただし、制度上の規定により、建物の固定資産税評価額が以前より高くなることはなく、高くなる場合は据え置かれることとなります。
これを理由に、物価水準が高騰している昨今は、建物の固定資産税評価額、ならびに固定資産税が下がらないという状況が発生しています。
物価水準が高騰している時期には、「固定資産税は徐々に下がるだろう」という見込みを前提に資金計画を立て、注文住宅を新築することがないように注意してください。
最近は円安傾向であり、世界情勢が安定したとしても物価水準が下がりにくいと考えられますから、軽減措置適用期間終了後も固定資産税が下がらないことを前提として余裕ある資金計画を立てておくことをおすすめします。
まとめ - よくある質問
注文住宅の固定資産税を安くする7つの方法と令和8年度の最新税制を解説しました。安くする7つの方法は、以下のとおりです。
- 方法①:床面積を120㎡以内に抑える(減額措置の上限に合わせた設計)
- 方法②:固定資産税評価額が上がる設備を見極める(1624サイズのユニットバス、300㎝超など幅広のシステムキッチン)
- 方法③:長期優良住宅の認定を受ける(減額期間を3年→5年に延長)
- 方法④:ロフト・ウッドデッキを活用する(課税床面積に算入されない空間の設計)
- 方法⑤:家屋調査に備えて準備する(間違いのない建物の情報を伝え、正確な固定資産税評価額の評価を実現)
- 方法⑥:課税明細を毎年確認して誤りを正す(特例適用の確認・不服申立ての活用)
- 方法⑦:ハザードエリアを確認する(土地選びの段階の方向け・令和10年以降の除外規定)
あわせて、理解しておきたいポイントが3つあります。
1つめは、令和8年度の税制改正です。「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用期限は令和13年3月31日まで5年間延長され、床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和された一方、上限も280㎡から240㎡に引き下げられました。
インターネット上には「令和8年3月31日まで」などの古い情報が多く残っているため、注意してください。
2つめは、経年減点補正率のグレード区分です。木造専用住宅の経年減点補正率は、延べ床面積1㎡あたりの再建築費評点数に応じて4区分に分かれています。
注文住宅の多くは③(95,820点以上147,770点未満)、または④(147,770点以上)区分に該当し、④区分では固定資産税評価額が下がるのに築35年を要します。
難解ですが、「注文住宅は1㎡あたりの建築費が高くなりがちだが、そうなれば、固定資産税が下がるのに最短でも35年を要する」とお考えください。
3つめは、「建物の固定資産税は築年数が経過すると必ず下がる」という通説の誤りです。物価水準が高い時期には固定資産税評価額が据え置かれ、建物の固定資産税は下がりません。
2つめと3つめのポイントをまとめると、「注文住宅は1㎡あたりの建築費が高くなりがちだが、そうなれば、固定資産税が下がるのに最短でも35年を要する。『最短』という但し書きが付くのは、物価水準が高い時期には固定資産税が下がらないためである」となります。
ご紹介した内容が、注文住宅の設計・建築段階において固定資産税を正しく把握し、長期的な家計の安定につながる資金計画を立てるうえで役立てば幸いです。
最後に、注文住宅の固定資産税でよくある質問とその答えをまとめます。個別の判断については、お住まいの市町村の税務担当窓口にお問い合わせください。
- 新築住宅の減額措置は申請しないと受けられませんか
- 一般住宅の新築減額措置は、多くの自治体では申請不要で適用されます。ただし、長期優良住宅の場合は、原則として市町村へ申請をすることにより減額措置の適用期間が5年や7年などに延長されます。
申請には期限(翌年1月31日)があり、期限後に申請をする場合は、正当な理由により遅れたことを伝える必要があるなど手続きが複雑になるため要注意です。 - 注文住宅の固定資産税はいつから払い始めますか?
- 注文住宅が完成した日が属する年の翌年の4月~6月ごろです。たとえば、令和8年9月に注文住宅が完成した場合、令和9年の4月~6月ごろになると市町村から固定資産税の納税通知書が届き、同封されている納付書を使って納税を開始するといった具合です。
なお、納付書は「一括用」と「分納用(4回)」で構成され、どちらを使っても構いません。 - ロフトやウッドデッキも固定資産税の課税対象になりますか?
- ロフトは課税床面積に含まれませんが、固定資産税の課税対象になります。建物の固定資産税はその建物の時価を基に税額を計算します。ロフト付きの建物の時価は、ロフトを含めた時価です。よって、ロフトにも固定資産税がかかります。
一方、ウッドデッキは建物と構造上一体化していなければ固定資産税はかかりません。固定資産税の課税対象は建物と土地と償却資産ですから、一体化していなければ課税対象にはならないというわけです。 - 家屋調査を断ると固定資産税の評価額は高くなりますか?
- 一概にはいえません。調査を断ると、設計図面などの書面のみで建物の固定資産税評価額が算定されることとなります。
設計図書通りに建築されていれば、固定資産税評価額は高くなりません。一方、設計図書と現状が異なり、実際はグレードの低い設備や資材が使用されていれば固定資産税評価額が高くなります。 - 建物が古くなると固定資産税は必ず下がりますか?
- 必ず下がるとは限りません。建物の固定資産税は物価水準が安定している時期は下がりますが、物価水準が高くなる時期は据え置かれることとなります。
すなわち、今後も世界情勢が安定しない、円安が続くなどすれば、現状の制度では建物の固定資産税は下がらないこととなります。 - 令和10年以降に建てる注文住宅でも減額措置は受けられますか?
- 令和8年度税制改正により新築住宅の減額措置は令和13年3月31日まで延長されているため、床面積の要件を満たせば受けられます。
ただし、令和10年以降に入居する「災害レッドゾーン」内に新築された建物は対象外となるため注意してください。
- 著者・監修情報
- 固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般社団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
- 参考資料
- 総務省:固定資産評価基準 第一章 土地 / 総務省:固定資産評価基準 第二章 家屋 / 国土交通省:令和8年度税制改正概要 /
- 注意点
- 本記事の内容は令和8年4月時点のものです。最新の情報は市町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。
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