固定資産税は4年目にどれくらい上がる?
4年目の固定資産税は、3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がります。
ただし、上がるのは「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用が外れた、認定長期優良住宅に該当しない、木造の一戸建ての家屋にかかる固定資産税のみです。
固定資産税が4年目にどれくらい上がるかご紹介しましょう。
目次
- 1. 固定資産税は、4年目に約1.89倍から約1.94倍に上がる
- 2. 固定資産税が4年目からどれくらい上がるかは、総務省告示で確認できる
- まとめ - マンションの固定資産税は、6年目から約1.97倍に上がる
1. 固定資産税は、4年目に約1.89倍から約1.94倍に上がる
4年目の固定資産税は、家屋にかかる固定資産税が、3年目の約1.89倍から約1.94倍まで上がります。
具体的には、建築費が安価な家屋であれば4年目に約1.89倍まで、建築費が高額な家屋であれば4年目に約1.94倍まで上がることとなります。
ただし、この情報には、いくつかの留意点があります。
引き続き、4年目の固定資産税が約1.89倍から約1.94倍に上がることの留意点をご紹介しましょう。
ぜひ最後までお読みください。
4年目に固定資産税が上がるのは「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されていた、主に木造の家屋のみ
固定資産税には、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という措置があります。
「新築された住宅に対する固定資産税の減額」とは、床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下などの新築住宅を取得することにより適用される特例です。
同減額措置が適用されれば、認定長期優良住宅に該当しない一般的な木造の家屋であれば3年など、マンションなどの3階建て以上の耐火・準耐火建築物であれば5年などにわたり、家屋にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
そして、4年目に固定資産税が上がるのは、新築から3年にわたり同減額措置が適用されつつ固定資産税が2分の1に減額されていた、認定長期優良住宅に該当しない、一般的な木造の家屋のみです。
一般的な木造の家屋に同減額措置が適用されれば、新たに固定資産税が課されることとなった年から3年にわたり、固定資産税が2分の1に減額され、4年目から本来の税額に戻ります。
そもそも同減額措置が適用されていない家屋や、同減額措置が適用されたマンションなどは、4年目から固定資産税が約1.89倍から約1.94倍に上がることはありません。
所有する家屋に同減額措置が適用されているか否かは、市町村役場に問い合わせることにより確認することが可能です。
また、固定資産税の課税明細書を見ることでも、同減額措置が適用されているか確認できる場合があります。
東京都であれば、課税明細書の家屋の「減額税額」の欄に金額が記されていれば、同特例が適用されている可能性があります。
また、大阪市であれば、課税明細書の家屋の欄に「住減3年」などと記されていれば、同減額措置が適用されています。
なお、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」は、適用条件を満たしているのであれば、申告をせずとも適用されます。
4年目から上がるのは家屋の固定資産税のみ
新築の一戸建てを購入するなどして取得すると、一部例外を除き、家屋と土地の両方を所有し、その両方に固定資産税が課されます。
また、都市部に位置する新築の一戸建てを取得した場合は、家屋と土地の両方を所有し、その両方に都市計画税も課されます。
そして、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用が外れることにより、4年目の固定資産税が3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がるのは、家屋にかかる固定資産税のみです。
本記事では、固定資産税は4年目から約1.89倍から約1.94倍に上がるとご紹介していますが、上がるのは家屋にかかる固定資産税のみのため留意してください。
家屋の部分にかかる都市計画税の額は、4年目からわずかに下がります。
また、土地にかかる固定資産税と都市計画税は、4年目から上がる、または下がるという概念はなく、周辺の地価に応じて変動することとなります。
ただし、土地にかかる固定資産税と都市計画税には負担調整措置が設けられているため、地価が短期間に上昇したとしても、取得から4年目で税額が急激に高くなることはありません。
負担調整措置とは、土地に掛かる固定資産税や都市計画税が急激に上昇することを抑える措置です。
なお、現時点における家屋と土地にかかる固定資産税と都市計画税の額は、毎年4月ごろにご自宅に届く、固定資産税の課税明細書を見れば確認できます。
課税明細書の家屋や土地の欄に、税額などの名目で記されている額が、家屋や土地にかかる固定資産税額、または都市計画税額です。
つづいて、4年目から固定資産税が約1.89倍から約1.94倍に上がることの根拠をご紹介しましょう。
ちなみに、固定資産税をパパッと解説では、負担調整措置をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。
負担調整措置にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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2. 固定資産税が4年目からどれくらい上がるかは、総務省告示で確認できる
新築の4年目の固定資産税は、家屋にかかる固定資産税が、3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がります。
ここで気になるのが、家屋にかかる固定資産税が、3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がることの根拠です。
その根拠は、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」に記されている、「別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」を見れば確認できます。
固定資産評価基準とは、総務大臣によって定められた、土地や家屋の適正な時価を評価する方法が記された手引書です。
土地や家屋を所有すると市町村から固定資産税が課されますが、その税額は、固定資産評価基準に則って市町村が評価した、土地や家屋の適正な時価を基に計算されます。
固定資産評価基準に則って市町村が評価した、土地や家屋の適正な時価を固定資産税評価額などと呼びます。
固定資産税に関することをネットで調べると、固定資産税評価額という言葉を頻繁に見かけますが、固定資産税評価額とは、固定資産評価基準に則って市町村が評価した、土地や家屋の適正な時価です。
また、市町村のホームページを見ると「固定資産税は、土地や家屋の価格を基に計算します」などと記されていますが、この文に含まれる価格とは、固定資産評価基準に則って市町村が評価した、土地や家屋の適正な時価を意味します。
市町村が適正な時価を価格と呼ぶのは、地方税法という法律によって、固定資産評価基準に則って評価された土地や家屋の適正な時価を価格と呼ぶと規定されていることが理由です。
筆者の悪い癖で話が脱線しましたが、以下が「別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」です。
※ 画像をクリックすれば拡大します
表の見方が難解ですが、上記の表には、築年数が経過することにより、木造の家屋の固定資産税がどれくらい下がるか記されています。
左の列から「55,120点未満」「55,120点以上86,320点未満」「86,320点以上133,120点未満」「133,120点以上」と記され、各列に経過年数と経年減点補正率という数値が記されています。
「55,120点未満」などと記された点数は、1点あたり1円程度などに換算した額が、延べ床面積1平方メートルあたりの再建築費を意味します。
再建築費とは、その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築する場合に必要となる、建材費と労務費、建築会社が得る利益などの合計です。
表の「55,120点未満」の列には、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度未満の家屋の固定資産税が、築年数が経過することにより下がる程度が記されているとお考えください。
他の列も同じように、「55,120点以上86,320点未満」の列には、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度以上86,320円程度未満の家屋の固定資産税が下がる程度が記されていると考えましょう。
そして、「55,120点未満」の列の経過年数が3の箇所の経年減点補正率にご注目ください。
「55,120点未満」の列の経過年数が3の箇所の経年減点補正率は0.70ですが、それは、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度未満の木造の家屋は、新築から3年が経過すれば、新築時の固定資産税の約70%程度まで下がることを意味します。
たとえば、新築時の固定資産税が10万円であれば、3年目の固定資産税は7万円まで下がるといった具合です。
つぎに、経過年数が4の箇所の経年減点補正率をご覧ください。
「55,120点未満」の列の経過年数が4の箇所の経年減点補正率は、0.66です。
これは、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度未満の木造の家屋の4年目の固定資産税は、新築時の約66%まで下がることを意味します。
たとえば、新築時の本来の固定資産税額が10万円の木造家屋であれば、4年目の固定資産税は6万6,000円まで下がることを意味します。
しかし、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されている家屋は、3年にわたり固定資産税が2分の1に減額されます。
そして、4年目から同減額措置の適用が外れ、本来の税額に戻ります。
この状況を新築時の固定資産税が10万円の家屋に当てはめると、以下のようになります。
年数 | 本来の固定資産税 | 減額措置適用後の税額 |
---|---|---|
1年目 | 8万円 | 4万円 |
2年目 | 7万5,000万円 | 3万7,500万円 |
3年目 | 7万円 | 3万5,000円 |
4年目 | 6万6,000円 | 減額措置の適用が外れて6万6,000円 |
上記のように、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用された3年目の固定資産税は、3万5,000円です。
同減額措置の適用が外れた4年目の固定資産税は、6万6,000円です。
よって、「6万6,000円÷3万5,000円=約1.89」と計算し、4年目の固定資産税は、3年目の約1.89倍になります。
この倍率は、新築時の固定資産税が15万円の家屋も、20万円の家屋も同じです。
延べ床面積1平方メートルあたりの再建築費が55,120点以上の家屋も同じように計算し、4年目の固定資産税は、3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がります。
以上が、4年目の固定資産税が約1.89倍から約1.94倍に上がることの根拠です。
そもそも家屋にかかる固定資産税は、築年数が経過することにより徐々に下がります。
加えて、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」は、新たに固定資産税が課されることとなった年から3年や5年などにわたり、家屋にかかる固定資産税が2分の1に減額される措置です。
よって、4年目の固定資産税が3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がるのは、ある意味当然といえます。
現在お支払いになっている家屋にかかる固定資産税額は、毎年4月ごろにご自宅に届く、固定資産税の納税通知書に記されています。
ぜひ、3年目の固定資産税の額をご確認ください。
なお、再建築費は、販売価格や建築費とは異なるため留意してください。
正確な根拠はないものの、再建築費は建築費の6割程度になるといわれます。
たとえば、建築費が2,000万円の家屋であれば、再建築費はその6割である1,200万円程度になるといった具合です。
再建築費が1,200万円であり、床面積が80平方メートルの家屋であれば「1,200万円÷80=15万円」と計算し、1平方メートルあたりの再建築費は15万円となります。
1平方メートルあたりの再建築費が15万円であれば、表の一番右の列の「133,120点以上」が該当し、4年目の固定資産税は、3年目の固定資産税の約1.94倍まで上がります。
まとめ - マンションの固定資産税は、6年目から約1.97倍に上がる
固定資産税が、4年目にどれくらい上がるかご紹介しました。
4年目から上がるのは、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用された、主に木造の一戸建ての家屋にかかる固定資産税です。
4年目にどれくらい固定資産税が上がるかは、その家屋の1平方メートルあたりの再建築費によって異なり、3年目の約1.89倍から約1.94倍に上がることとなります。
4年目に上がるのは、家屋にかかる固定資産税のみであり、家屋にかかる都市計画税は僅かに下がります。
土地に掛かる固定資産税と都市計画税は、4年目から上がるなどの概念はなく、周辺の地価に応じて変動します。
4年目の固定資産税がどれくらい上がるかお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」は、マンションなど、3階建て以上の耐火、または準耐火建築物に該当する家屋にも適用され、適用期間は5年などです。
よって、マンションの一戸部分は、6年目などから固定資産税が上がります。
具体的には、6年目の固定資産税は、5年目の約1.97倍に上がります。
その根拠は、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」の「別表第13 非木造家屋経年減点補正率基準表 2 住宅、アパート用建物」にて確認することが可能です。
ご紹介した内容が、固定資産税が4年目にどれくらい上がるか、お調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2022年4月
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