固定資産税が安くなるのは何年から?

固定資産税が安くなるのは何年から?

固定資産税は、木造であれば15年から35年をかけて新築時の約25%まで徐々に安くなります。

鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば、60年をかけて新築時の約25%まで徐々に安くなります。

ただし、安くなるのは家屋の固定資産税のみであり、家屋が建つ土地の固定資産税は築年数が経過することでは安くなりません。

固定資産税が何年で安くなるかご紹介しましょう。

目次

1. 木造は15年から35年で約25%まで固定資産税が安くなる

はじめに、用途が住宅である木造の固定資産税が何年で安くなるかご紹介しましょう。

木造の固定資産税は、新築時の1㎡あたりの再建築費が安価であれば15年で、1㎡あたりの再建築費が高額であればで35年で安くなります。

再建築費とは、その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築するために必要となる資材費と労務費、建築会社が得る利益などの合計であり、建築に携わっていない不動産業者が得る利益などは含まれません。

木造の固定資産税は何年目から安くなるなどの概念はなく、15年から35年をかけて徐々に安くなります。

木造は15年から35年で固定資産税が安くなる

具体的には、新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満であれば、築10年で新築時の約51.25%まで、築15年で約25%まで固定資産税が安くなります。

新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円以上約8万6,320円未満であれば、築10年で新築時の約61.25%まで、築20年で約25%まで固定資産税が安くなります。

新築時の1㎡あたりの再建築費が約8万6,320円以上約13万3,120円未満であれば、築10年で新築時の約67.5%まで、築20年で約38.75%まで、築25年で約25%まで固定資産税が安くなります。

新築時の1㎡あたりの再建築費が約13万3,120円以上であれば、築10年で新築時の約73.75%まで、築20年で約53.75%まで、築30年で約35%まで、築35年で約25%まで固定資産税が安くなります。

木造の固定資産税は何年で安くなる?

新築時の1㎡あたりの再建築費 固定資産税が安くなる年数と程度
約5万5,120円未満 築10年で新築時の約51.25%、築15年で約25%まで安くなる
約5万5,120円以上約8万6,320円未満 築10年で新築時の約61.25%、築20年で約25%まで安くなる
約8万6,320円以上約13万3,120円未満 築10年で新築時の約67.5%、築20年で約38.75%、築25年で約25%まで安くなる
約13万3,120円以上 築10年で新築時の約73.75%、築20年で約53.75%、築30年で約35%、築35年で約25%まで安くなる

ただし、安くなるは家屋の固定資産税のみであり、その家屋が建つ土地の固定資産税は安くなりません。

木造は主に一戸建てであり、一戸建てを取得すると一部例外を除き家屋と土地を所有し、それぞれに固定資産税が課されますが、土地の固定資産税は周辺の地価に応じて変動します。

地価が上がれば土地の固定資産税は高くなり、地価が下がれば土地の固定資産税は安くなるといった具合です。

家屋が建つ土地の固定資産税は、築年数が経過することでは安くならない

ちなみに、家屋の固定資産税は新築時の約25%より安くなることはなく、家屋として機能する限り永遠に固定資産税が課されます。

これは、新築時の1㎡あたりの再建築費、木造、鉄筋コンクリート造などの構造を問わず全ての家屋に該当します。

つづいて、ご紹介した木造の固定資産税が何年で安くなるかの根拠をご説明しましょう。

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1-1. 固定資産税が何年で安くなるかは総務省の告示で確認できる

木造の固定資産税は、新築時の1㎡あたりの再建築費が安価であれば15年で安くなり、高額であれば35年で安くなります。

ここで気になるのが、その根拠です。

ここからは、ご紹介した木造の固定資産税が何年で安くなるかの根拠をご説明しましょう。

家屋の固定資産税を計算する方法

まずは、家屋の固定資産税の計算式と、家屋の固定資産税が毎年徐々に安くなる理由をご説明します。

家屋の固定資産税は、以下のように計算します。

家屋の固定資産税の計算式
課税標準額×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=固定資産税

式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。

家屋の固定資産税の計算式に含まれる課税標準額は、市町村によって評価されたその家屋の適正な時価であり、一般には固定資産税評価額と呼ばれる額です。

たとえば、固定資産税評価額が1,500万円の家屋であれば以下のように計算し、固定資産税は21万円になります。

家屋の固定資産税の計算例
課税標準額(固定資産税評価額である1,500万円)×1.4%=21万円

そして、家屋の適正な時価である固定資産税評価額は、毎年徐々に下がります。

時価とは「その時点における価格」を意味しますから、劣化し続ける家屋の固定資産税評価額が毎年徐々に下がるのは当然です。

固定資産税評価額が下がれば課税標準額も下がることとなり、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する固定資産税も安くなります。

これが、家屋の固定資産税が毎年徐々に安くなる理由です。

家屋の固定資産税が毎年徐々に安くなるのは、時価が徐々に下がるため

つづいて、木造の固定資産税評価額が毎年どれくらい下がるかご紹介しましょう。

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木造の固定資産税評価額は毎年どれくらい下がる?

木造の固定資産税評価額が毎年どれくらい下がるかは、総務省の告示「固定資産評価基準 第2章 家屋」に掲載されている、「別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」に記されています。

以下が別表第9です。

別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表

固定資産評価基準の第2章の別表第9

出典:総務省

赤い線で区切られた各列には、新築時の1㎡あたりの再建築費に応じた、木造の固定資産税評価額の下がり具合が記されています。

赤い線で区切られた各列の、一番左の列にご注目ください。

その列には、新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満であった木造の固定資産税評価額の下がり具合が記されています。

たとえば、その列の経過年数が5の箇所の経年減点補正率は、以下のように0.62です。

経過年数が5の箇所の経年減点補正率は0.62

これは、新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満であった木造の固定資産税評価額は、築5年で新築時の約62%まで下がることを意味します。

また、赤い線で区切られた各列の一番左の列の経過年数が「15以上」の箇所の経年減点補正率は、以下のように0.20です。

経過年数が15以上の箇所の経年減点補正率は0.20

これは、新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満であった木造の固定資産税評価額は、築15年で新築時の約20%程度まで下がり、それよりは下がらないことを意味します。

先述のとおり木造の固定資産税は、その木造の固定資産税評価額を課税標準額として計算します。

つまり、新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満であった木造の固定資産税は15年をかけて安くなり、15年を経過するとそれよりは安くならないというわけです。

新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満の木造の固定資産税は15年で安くなる

同様に、赤い線で区切られた各列の左から2番目の列には、新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円以上から約8万6,320円未満であった木造の固定資産税評価額が下がる程度が記されています。

赤い線で区切られた各列の左から3番目の列には、新築時の1㎡あたりの再建築費が約8万6,320円以上から約13万3,120円であった木造の固定資産税評価額が下がる程度が記されています。

赤い線で区切られた一番右の列には、新築時の1㎡あたりの再建築費が約13万3,120円以上であった木造の固定資産税評価額が下がる程度が記されています。

それぞれの列を見れば、新築時の1㎡あたりの再建築費に応じた、固定資産税評価額の下がり具合を把握することが可能です。

固定資産税評価額の下がり具合を把握すれば課税標準額の下がり具合を把握したこととなり、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する固定資産税の下がり具合も把握したこととなります。

本記事では「木造の固定資産税は新築時の1㎡あたりの再建築費が安価であれば15年で安くなり、1㎡あたりの再建築費が高額であれば35年で安くなる」とご紹介しました。

それは、別表第9に記されている固定資産税評価額の下がり具合を基にご紹介しています。

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経過年数と経年減点補正率の留意点

木造の固定資産税評価額の下がり具合は、「固定資産評価基準 第2章 家屋」の「別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」をみれば把握できます。

ここで留意していただきたい点があります。

別表第9をみれば木造の固定資産税評価額の下がり具合を把握できますが、固定資産税評価額の下がり具合と、固定資産税の下がり具合が合致するわけではないため注意してください。

固定資産税評価額の下がる程度と固定資産税が下がる程度は合致しない

たとえば、先述のとおり別表第9の赤い線で区切られた各列の一番左の列の経過年数が5の箇所の経年減点補正率は0.62ですが、これは築5年で固定資産税が新築時の約62%まで安くなることを意味するわけではありません。

あくまで固定資産税評価額が新築時の約62%に下がることを意味するのみです。

家屋に初めて課される固定資産税は、新築時の固定資産税評価額に、経過年数が1の箇所の経年減点補正率を掛け算した額を課税標準額として計算します。

例を挙げると、別表第9の赤い線で区切られた各列の一番左の列の経過年数が1の箇所の経年減点補正率は、以下のように0.80です。

経過年数が1の箇所の経年減点補正率は0.80

これは、新築時の1㎡あたり再建築費が約5万5,120円未満の木造の固定資産税評価額は、築1年で新築時の約80%まで下がることを意味します。

新築時の固定資産税評価額が1,500万円の木造であれば以下のように計算し、築1年目の固定資産税評価額は約1,200万円まで下がるといった具合です。

計算例
1,500万円(新築時の固定資産税評価額)×0.80(経過年数が1の箇所の経年減点補正率)=1,200万円

そして、家屋に課される初めての固定資産税は、経過年数が1の箇所の経年減点補正率を用いて計算した築1年目の固定資産税評価額を課税標準額として計算します。

新築時の固定資産税評価額が1,500万円であった木造に初めて課される固定資産税は以下のように計算し、16万8,000円になるといった具合です。

計算例
1,500万円(新築時の固定資産税評価額)×0.80(経過年数が1の箇所の経年減点補正率)×1.4%(固定資産税の税率)=16万8,000円(初めて課される固定資産税)

木造の新築を取得すると間もなく市町村役場から担当者が訪れ、家屋調査を実施しますが、その調査では新築時の固定資産税評価額を調べています。

判明した新築時の固定資産税評価額は、家屋の不動産取得税を計算する際の課税標準額となります。

家屋の不動産取得税の計算式は以下のとおりであり、課税標準額は家屋調査によって判明した新築時の固定資産税評価額です。

家屋の不動産取得税の計算式
課税標準額(家屋調査によって判明した新築時の固定資産税評価額)×不動産取得税の税率(原則として4%)=不動産取得税

一方、新築の家屋に初めて課される固定資産税を計算する際の課税標準額は、以下のように新築時の固定資産税評価額に、経過年数が1の箇所の経年減点補正率を掛け算した額、すなわち築1年目の固定資産税評価額となります。

新築の家屋に初めて課される固定資産税の計算式
課税標準額(家屋調査によって判明した新築時の固定資産税評価額に、経過年数が1の箇所の経年減点補正率を掛け算した額)×固定資産税の税率(主に1.4%)=固定資産税

この記事で「新築時の1㎡あたりの再建築費が約5万5,120円未満であれば、築10年で新築時の約51.25%まで、築15年で約25%まで固定資産税が安くなる」など、固定資産税が安くなる比率をご紹介しました。

その固定資産税が安くなる比率は、筆者が別表第9に記されている経年減点補正率を基に固定資産税評価額と固定資産税の下がり具合を計算しつつ算出した数値のため留意してください。

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2. 鉄筋コンクリート造は60年で約25%まで固定資産税が安くなる

ここからは、用途が住宅である鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の固定資産税が何年で安くなるかご紹介しましょう。

用途が住宅であるRC造とSRC造の固定資産税は、築60年で新築時の約25%まで固定資産税が安くなります。

何年目から安くなるなどの概念はなく、60年をかけて徐々に安くなります。

具体的には、築10年で新築時の約79.825%まで、築20年で約68.8625%まで、築30年で約57.9%まで、築40年で約46.925%まで、築50年で約35.9625%まで、築60年で約25%まで安くなります。

築60年で約25%まで安くなればそれよりは下がらず、家屋として機能する限り永遠に固定資産税が課されます。

これは、マンションであっても一戸建てであっても変わりません。

RC造とSRC造の固定資産税は何年で安くなる?

築年数 どれくらい安くなる?
築10年 新築時の約79.825%
築20年 新築時の約68.8625%
築30年 新築時の約57.9%
築40年 新築時の約46.925%
築50年 新築時の約35.9625%
築60年 新築時の約25%

また、RC造やSRC造を所有すると、一部例外を除き家屋と土地(マンションであれば一戸部分と土地の持ち分)を所有することとなり、それぞれに固定資産税が課されます。

そして、築年数か経過することにより安くなるのは、家屋(マンションであれば一戸部分)の固定資産税のみです。

RC造やSRC造が建つ土地(マンションであれば土地の持ち分)の固定資産税は、周辺の地価に応じて変動します。

近くに駅やバス停、市町村役場ができるなどして地価が上がれば土地の固定資産税は高くなり、嫌悪施設ができるなどして地価が下がれば土地の固定資産税は安くなるといった具合です。

鉄筋コンクリート造の固定資産税は60年で安くなる

木造の固定資産税は15年から35年をかけて新築時の約25%まで安くなるのに対し、RC造とSRC造は60年をかけて新築時の約25%まで安くなります。

つまり、RC造とSRC造は木造より固定資産税が安くなるのに時間がかかるというわけですが、その理由は固定資産税を計算する仕組みにあります。

固定資産税は対象となる資産の時価を基に計算し、時価が高ければ税額は高く、時価が低ければ税額は安くなります。

これを理由に、日々劣化しつつ時価が下がり続ける家屋の固定資産税は、毎年徐々に安くなります。

しかし、RC造とSRC造は木造より耐久性に優れているため劣化しづらく、時価も下がりにくく、固定資産税もゆっくり安くなることとなります。

鉄筋コンクリート造は耐久性に優れているため固定資産税が安くなるのが遅い

つづいて、ご紹介したRC造とSRC造の固定資産税が何年で安くなるかの根拠をご説明しましょう。

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2-1. 固定資産税が何年で安くなるかは総務省の告示で確認できる

用途が住宅である鉄筋コンクリート造(RC造)と鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、60年をかけて新築時の約25%まで固定資産税が徐々に安くなります。

ここで気になるのがその根拠であり、根拠がなければただのネットの噂です。

ここからは、順を追ってその根拠をご説明しましょう。

RC造とSRC造の固定資産税の計算式

まずは、RC造とSRC造の固定資産税の計算式と、家屋の固定資産税が毎年徐々に安くなる理由をご紹介します。

RC造とSRC造の固定資産税は、マンション、一戸建てを問わず毎年以下の式で計算しつつ税額が決定します。

RC造とSRC造の固定資産税の計算式
課税標準額×固定資産税の税率(市町村によって異なるものの主に1.4%)=固定資産税

式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。

RC造とSRC造の固定資産税の計算式に含まれる課税標準額は、市町村によって評価されたその年の1月1日の時点におけるRC造、またはSRC造の適正な時価であり、一般には固定資産税評価額と呼ばれる額です。

RC造とSRC造の適正な時価である固定資産税評価額は、毎年徐々に下がります。

時価とは「その時点における価格」を意味しますから、日々劣化するRC造やSRC造の固定資産税評価額が毎年徐々に下がるのは当然です。

そして、固定資産税評価額が下がれば課税標準額も下がることとなり、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する固定資産税は安くなります。

これが、家屋の固定資産税が毎年徐々に安くなる理由です。

家屋の固定資産税が毎年徐々に安くなる理由

なお、所有するRC造やSRC造のその年の固定資産税評価額は、毎年4月頃にご自宅に届く固定資産税の課税明細書に「価格」や「評価額」などの名目で記されています。

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RC造とSRC造の固定資産税が60年で安くなることの根拠

つぎに、RC造とSRC造の固定資産税評価額が毎年どれくらい下がるかご紹介すると共に、固定資産税が安くなるのに60年を要することの根拠をご紹介しましょう。

RC造とSRC造の固定資産税評価額が毎年どれくらい下がるかは、総務省の告示「固定資産評価基準 第2章 家屋」に記されている「別表第13 非木造家屋経年減点補正率基準表」にて確認することが可能です。

以下が別表第13であり、赤い線で囲まれた列にご注目ください。

別表第13

固定資産評価基準の別表第13、非木造家屋経年減点補正率基準表

出典:総務省

赤い線で囲まれた列には「経過年数」と「経年減点補正率」という数値が記されていますが、それらがRC造とSRC造の固定資産税評価額の下がり具合を表しています。

たとえば、経過年数が1の箇所の経年減点補正率は、以下のように0.8000です。

経過年数が1の箇所の経年減点補正率

これは、RC造とSRC造の固定資産税評価額は、築1年で新築時の約80%まで下がることを意味します。

また、経過年数が10の箇所の経年減点補正率は、以下のように0.6386です。

経過年数が10の箇所の経年減点補正率

これは、RC造とSRC造の固定資産税評価額は、築10年で新築時の約63.86%まで下がることを意味します。

さらに、経過年数が60以上の箇所の経年減点補正率は、以下のように0.2000です。

経過年数が60以上の箇所の経年減点補正率

これは、RC造とSRC造の固定資産税評価額は、築60年で新築時の約20%まで下がり、それよりは下がらないことを意味します。

先述のとおり、RC造とSRC造の固定資産税を計算する際の課税標準額は、RC造、またはSRC造の固定資産税評価額です。

RC造とSRC造の固定資産税評価額は、別表第13に記されているように60年をかけて徐々に下がります。

課税標準額である固定資産税評価額が60年をかけて徐々に下がるということは、課税標準額に税率を掛け算しつつ計算する固定資産税も60年をかけて徐々に安くなるということです。

鉄筋コンクリート造の固定資産税は安くなるのに60年かかる

これが、RC造とSRC造の固定資産税が安くなるのに60年を要することの根拠です。

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RC造とSRC造の固定資産税が約25%まで安くなることの根拠

本記事では「用途が住宅であるRC造やSRC造の固定資産税は、新築時の約25%まで安くなる」とご紹介しました。

最後に、約25%まで安くなることの根拠をご紹介しましょう。

別表第13に記されているとおり、RC造とSRC造の固定資産税評価額は60年で新築時の約20%まで下がります。

であれば、固定資産税も60年で新築時の約20%まで安くなるはずですが、実際は約25%まで安くなるに留まります。

その理由は、家屋に初めて課される固定資産税を計算する仕組みにあります。

家屋に初めて課される固定資産税は、新築時の固定資産税評価額ではなく、築1年目の固定資産税評価額を課税標準額として計算します。

別表第13に記されているように、RC造とSRC造の築1年目の固定資産税評価額は新築時の約80%です。

よって、たとえば新築時の固定資産税評価額が1,000万円のRC造であれば、初めて課される固定資産税の課税標準額は約800万円になります。

課税標準額が800万円であれば以下のように計算し、そのRC造に初めて課される固定資産税は11万2,000円です。

計算例
課税標準額(新築時の固定資産税評価額である1,000万円に経過年数が1の箇所の経年減点補正率である0.8000を掛け算した答えの800万円)×固定資産税の税率(主に1.4%)=11万2,000円(初めて課される固定資産税)

そして、その新築時の固定資産税評価額が1,000万円のRC造が築60年目になると、以下のように計算しつつ固定資産税評価額は200万円まで下がります。

計算例
新築時の固定資産税評価額である1,000万円×経過年数が60の箇所の経年減点補正率である0.2000=200万円(築60年目の固定資産税評価額)

築60年目の固定資産税評価額が200万円であれば以下のように計算し、築60年目の固定資産税は2万8,000円です。

計算例
課税標準額(築60年目の固定資産税評価額である200万円)×固定資産税の税率(主に1.4%)=2万8,000円(築60年目の固定資産税)

初めて課される固定資産税が11万2,000円、築60年目の固定資産税が2万8,000円であれば以下のように計算し、固定資産税は新築時の約25%まで安くなっています。

計算例
2万8,000円(築60年目の固定資産税)÷11万2,000円(初めて課される固定資産税)×100=25%

これで、RC造とSRC造の固定資産税が新築時の約25%まで安くなることの根拠をご説明できました。

長くなりましたが、理解していただけましたでしょうか。

なお、本記事では「RC造とSRC造は築10年で新築時の約79.825%まで、築20年で約68.8625%まで、築30年で約57.9%まで、築40年で約46.925%まで、築50年で約35.9625%まで、築60年で約25%まで安くなる」とご紹介しました。

それらの各築年数の固定資産税が安くなる比率は、筆者が同様の方法で計算した数値となっています。

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3. 土地のみの固定資産税は何年で安くなるなどの概念はない

家屋が建てられていない土地のみの固定資産税は、取得してから何年で安くなる、何年目で安くなるなどの概念はなく、周辺の地価に応じて変動します。

周辺の地価が上がれば固定資産税は高くなり、地価が下がれば一部例外を除き固定資産税は安くなります。

地価は景気や周辺環境によって変動するため、土地の固定資産税は景気や周辺環境によって高くなったり安くなったりするとお考えになれば良いでしょう。

土地の固定資産税は、何年目から安くなるなどの概念はない

なお、土地の固定資産税は現状に応じた額が課され、整地された土地は税額が高く、荒れ地は税額が安くなります。

整地済みでいつでも建物を建てることができる土地は固定資産税が高く、木が生い茂り建物を建てるためには高額な費用を要する整地が必要な土地は固定資産税が安くなるといった具合です。

したがって、荒れ地を整地すると固定資産税が高くなるため、建物を建てる予定がない荒れ地を所有する場合は、整地は控えた方が良いでしょう。

また、土地の固定資産税には、住宅用地の特例などと呼ばれる軽減措置が設けられています。

住宅用地の特例とは、住宅が建つ土地の固定資産税が更地より安くなる軽減措置であり、更地に住宅を建てることによって適用されます。

よって、更地を所有しつつ固定資産税を安くしたい場合は、住宅を建てることをご検討ください。

土地のみの固定資産税を安くする方法
  • 建物を建てる予定がない荒れ地を所有する場合は、整地は控える
  • 整地された土地を所有する場合は、住宅を建てる

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、土地のみの固定資産税を安くする方法ばかりをご紹介するコンテンツを公開中です。

土地のみを所有し、固定資産税を安くする方法をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

関連コンテンツ
土地の固定資産税を減税する方法

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まとめ - 本記事の注意点(新築された住宅に対する固定資産税の減額)

固定資産税が何年で安くなるかご紹介しました。

家屋の固定資産税は何年目から安くなるなどの概念はなく、木造は15年から35年をかけて、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造は60年をかけて徐々に安くなります。

土地のみの固定資産税は周辺の地価に応じて変動し、地価が上がれば税額は高くなり、地価が下がれば一部例外を除き税額は安くなります。

これは、家屋が建つ土地も変わりません。

固定資産税が何年で安くなるかお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、固定資産税には「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が設けられています。

新築された住宅に対する固定資産税の減額とは、床面積が50㎡以上280㎡以下など、一定の条件を満たす新築の住宅である家屋を取得することにより適用される軽減措置です。

同軽減措置が適用されれば、木造であれば初めて固定資産税が課されることとなった年から3年など、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば5年などにわたり、固定資産税が2分の1に軽減されます。

注釈
同軽減措置が適用されることにより軽減されるのは、家屋の固定資産税のみです

同軽減措置は申告をせずとも適用されるため、多くの住宅に知らぬ間に適用され、初めて固定資産税が課されることとなった年から一定の期間にわたり税額が軽減されています。

そして、本記事では、家屋の固定資産税は最後は新築時の約25%まで下がるとご紹介しましたが、その比率は同軽減措置を加味していないため留意してください。

家屋の固定資産税は最後は新築時の約25%まで下がりますが、それは同軽減措置が適用されていない本来の税額との比率となっています。

ご紹介した内容が、固定資産税が何年で安くなるかお調べの皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

最終更新日:2023年10月
記事公開日:2022年3月

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