小規模住宅用地と一般住宅用地の違い

小規模住宅用地と一般住宅用地の違いは、大きく二つです。
一つめの違いは住宅用地に占める面積の割合であり、二つめの違いは固定資産税や都市計画税の計算方法です。
図解を用いて、小規模住宅用地と一般住宅用地の違いをわかりやすく簡単に解説しましょう。
目次
- 1. 小規模住宅用地は200㎡までの部分、一般住宅用地はそれ以外の部分
- 1-1. 小規模住宅用地と一般住宅用地は、固定資産税の計算方法が違う
- 1-2. 小規模住宅用地と一般住宅用地は、都市計画税の計算方法が違う
- 1-3. 留意点:併用住宅が建つ土地は住宅用地の範囲が違う
- まとめ - マンションが建つ土地は、全てが小規模住宅用地
小規模住宅用地は200㎡までの部分、一般住宅用地はそれ以外の部分
小規模住宅用地と一般住宅用地には二つの大きな違いがありますが、一つめの違いは住宅用地に占める面積の割合です。
住宅用地とは、住宅が建つ土地に占める、その土地に建つ住宅の床面積の10倍までの部分を指します。
たとえば、床面積が80㎡(約24坪)の戸建てが建つ土地があったとしましょう。
であれば、その土地の800㎡までの部分が住宅用地であり、その土地が800㎡に満たなければ、全ての部分が住宅用地です。

そして、住宅用地は、小規模住宅用地と一般住宅用地に区分けされます。
住宅用地のうち、その土地に建つ住宅一戸あたりに付き200㎡(約60坪)までの部分が小規模住宅用地です。
戸建てが建つ住宅用地であれば、200㎡までの部分が小規模住宅用地になるといった具合です。
その住宅用地の面積が200㎡に満たなければ、全ての部分が小規模住宅用地となります。
住宅用地のうち、小規模住宅用地とならなかった部分があれば、その部分は一般住宅用地です。

このように小規模住宅用地と一般住宅用地は、住宅用地に占める面積が違います。
小規模住宅用地と一般住宅用地の二つめの違いは、固定資産税や都市計画税の計算方法です。
つづいて、二つめの違いを解説しましょう。
小規模住宅用地と一般住宅用地は、固定資産税の計算方法が違う
住宅用地は小規模住宅用地と一般住宅用地に区分けされますが、住宅用地には「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例(通称:住宅用地の特例)」が適用されます。
「住宅用地の特例」とは、住宅が建つ土地(すなわち住宅用地)の固定資産税が軽減される措置です。
そして、住宅用地に「住宅用地の特例」が適用されれば、小規模住宅用地と一般住宅用地の固定資産税の計算方法に違いが生じます。
土地の固定資産税は、本来は以下のように計算します。
土地の固定資産税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額)×固定資産税の税率(市町村よって異なるものの主に1.4%)=固定資産税
式に含まれる課税標準額とは、なにかしらの税金が課される状況において税率を掛け算する基となる額であり、課される税金によって意味が違うことがあれば、同じこともあります。
土地の固定資産税を計算する際の課税標準額は、本来であれば、式に記したように「その土地の固定資産税評価額」です。
土地の固定資産税評価額とは、市町村が評価した、その土地の適正な時価を指します。
税額の計算例を挙げると、固定資産税評価額が1,000万円の土地であれば課税標準額も1,000万円となり、以下のように計算して固定資産税は14万円になります。
土地の固定資産税の計算例
課税標準額(その土地の固定資産税評価額である1,000万円)×固定資産税の税率(主に1.4%)=14万円
しかし、先述のとおり、住宅用地には「住宅用地の特例」が適用され、小規模住宅用地の固定資産税を計算する際の課税標準額は、固定資産税評価額の6分の1に減額されます。
同様に、一般住宅用地の固定資産税を計算する際の課税標準額は、固定資産税評価額の3分の1に減額されます。
特例適用後の小規模住宅用地の固定資産税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の6分の1)×固定資産税の税率(主に1.4%)=小規模住宅用地の固定資産税
特例適用後の一般住宅用地の固定資産税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の3分の1)×固定資産税の税率(主に1.4%)=一般住宅用地の固定資産税
たとえば、先に固定資産税を14万円と計算した、固定資産税評価額が1,000万円の土地の全部分が小規模住宅用地であったとしましょう。
であれば以下のように計算し、課税標準額は固定資産税評価額の6分の1に減額され、固定資産税は2万3,333円まで軽減されます。
特例適用後の小規模住宅用地の固定資産税の計算例
課税標準額(固定資産税評価額である1,000万円の6分の1の166万6,666円)×固定資産税の税率(主に1.4%)=2万3,333円
また、先に固定資産税を14万円と計算した、固定資産税評価額が1,000万円の土地の面積が500㎡であり、うち200㎡が小規模住宅用地、残りの300㎡が一般住宅用地であるとしましょう。
であれば以下のように計算し、課税標準額は固定資産税評価額の6分の1や3分の1に減額され、固定資産税は3万7,333円まで軽減されます。
住宅用地の1㎡あたりの固定資産税評価額の計算例
1,000万円(土地全体の固定資産税評価額)÷500㎡=2万円
小規模住宅用地の課税標準額の計算例
2万円×200㎡(小規模住宅用地の面積)÷6=66万6,666円
小規模住宅用地の固定資産税の計算例
課税標準額(66万6,666円)×固定資産税の税率(主に1.4%)=9,333円
一般住宅用地の課税標準額の計算例
2万円×300㎡(一般住宅用地の面積)÷3=200万円
一般住宅用地の固定資産税の計算例
課税標準額(200万円)×固定資産税の税率(主に1.4%)=2万8,000円
土地全体の固定資産税の計算例
9,333円(小規模住宅用地の固定資産税)+2万8,000円(一般住宅用地の固定資産税)=3万7,333円
このように住宅用地には「住宅用地の特例」が適用され、小規模住宅用地と一般住宅用地で固定資産税の計算方法に違いが生じます。
なお、所有する住宅用地の固定資産税評価額は、戸建てが建つ土地であれば、固定資産税の課税明細書の土地の欄に「価格」や「評価額」などの名目で記されています。
ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税評価額をわかりやすく解説する記事を公開中です。
同記事では、マンションの土地の持ち分の固定資産税評価額の調べ方もご説明しています。
興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ち記事
固定資産税評価額とは?わかりやすく解説(パパっとすぐわかる)
小規模住宅用地と一般住宅用地は、都市計画税の計算方法が違う
市街地に位置する土地を所有すると、多くの場合は固定資産税に加えて都市計画税も課されます。
都市計画税とは、道路や学校などの公共施設を維持新設する「都市計画事業」と、それらの公共施設を新設や移設するための土地を調達する「土地区画整理事業」の費用を賄うために市町村が徴収する目的税です。
そして、住宅用地には「住宅用地等に対する都市計画税の課税標準の特例(通称:都市計画税の住宅用地の特例)」が適用されます。
「都市計画税の住宅用地の特例」が適用されれば、小規模住宅用地と一般住宅用地の都市計画税の計算方法に違いが生じます。
土地の都市計画税は、本来は以下のように計算します。
土地の都市計画税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額)×都市計画税の税率(市町村によって異なるものの最高で0.3%)=都市計画税
土地の都市計画税を計算する際の課税標準額は、式に記したように「その土地の固定資産税評価額」です。
税額の計算例を挙げると、固定資産税評価額が1,000万円の土地であれば以下のように計算し、都市計画税は3万円となります。
土地の都市計画税の計算例
課税標準額(その土地の固定資産税評価額である1,000万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=3万円
しかし、先述のとおり住宅用地には「都市計画税の住宅用地の特例」が適用され、小規模住宅用地の都市計画税を計算する際の課税標準額は、固定資産税評価額の3分の1に減額されます。
同様に、一般住宅用地の都市計画税を計算する際の課税標準額は、固定資産税評価額の3分の2に減額されます。
特例適用後の小規模住宅用地と一般住宅用地の都市計画税の計算方法は以下のとおりです。
特例適用後の小規模住宅用地の都市計画税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の3分の1)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=小規模住宅用地の都市計画税
特例適用後の一般住宅用地の都市計画税の計算方法
課税標準額(その土地の固定資産税評価額の3分の2)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=一般住宅用地の都市計画税
たとえば、先に都市計画税を3万円と計算した、固定資産税評価額が1,000万円の土地の全てが小規模住宅用地であったとしましょう。
であれば以下のように計算し、課税標準額は固定資産税評価額の3分の1である333万3,333円に減額され、都市計画税は9,999円まで軽減されます。
特例適用後の都市計画税の計算例
課税標準額(固定資産税評価額である1,000万円の3分の1の333万3,333円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=9,999円
また、先に都市計画税を3万円と計算した、固定資産税評価額が1,000万円の土地が500㎡であり、うち200㎡が小規模住宅用地、残りの300㎡が一般住宅用地であったとしましょう。
であれば以下のように計算し、課税標準額は固定資産税評価額の3分の1や3分の2に減額され、都市計画税は1万5,999円まで軽減されます。
住宅用地の1㎡あたりの固定資産税評価額の計算例
1,000万円(土地全体の固定資産税評価額)÷500㎡=2万円
小規模住宅用地の課税標準額の計算例
2万円×200㎡(小規模住宅用地の面積)÷3=133万3,333円
小規模住宅用地の都市計画税の計算例
課税標準額(133万3,333円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=3,999円
一般住宅用地の課税標準額の計算例
2万円×300㎡(一般住宅用地の面積)÷3×2=400万円
一般住宅用地の都市計画税の計算例
課税標準額(400万円)×都市計画税の税率(最高で0.3%)=1万2,000円
土地全体の都市計画税の計算例
3,999円(小規模住宅用地の都市計画税)+1万2,000円(一般住宅用地の都市計画税)=1万5,999円
このように住宅用地には「都市計画税の住宅用地の特例」が適用され、小規模住宅用地と一般住宅用地で都市計画税の計算方法に違いが生じます。
留意点:併用住宅が建つ土地は住宅用地の範囲が違う
固定資産税において、住宅と店舗、住宅と事務所など、一部のみが住居として利用される建物を併用住宅と呼びます。
そして、併用住宅が建つ土地に占める住宅用地の範囲は、純粋な住宅が建つ土地とは異なるため留意してください。
これまでに解説したように、住宅用地とは、住宅が建つ土地に占める、その土地に建つ住宅の床面積の10倍までの部分ですが、それは純粋な住宅が建つ土地に限られます。
戸建ての併用住宅が建つ土地であれば、建物の床面積の4分の1以上2分の1未満が居住部分であれば、その土地の面積の50%までの部分が住宅用地です。
建物の床面積の2分の1以上が居住部分であれば、その土地の全部分が住宅用地となります。
ただし、いずれも住宅用地となるのは、その土地に建つ併用住宅の床面積の10倍までの部分に限られます。
また、居住部分が建物の床面積の4分の1に満たない場合は、その土地は住宅用地とはなりません。
戸建ての併用住宅が建つ土地の住宅用地の範囲
建物に占める居住部分の割合 | 土地の面積に占める住宅用地の範囲 |
---|---|
4分の1以上2分の1未満 | 50% |
2分の1以上 | 100% |
4分の1未満 | 0%(その土地は住宅用地とはならない) |
※ 各住宅用地の面積の上限はその土地に建つ併用住宅の床面積の10倍まで
マンションである併用住宅が建つ土地であれば、建物の床面積の4分の1以上2分の1未満が居住部分であれば、その土地の面積の50%までの部分が住宅用地です。
建物の床面積の2分の1以上4分の3未満が居住部分であれば、その土地の面積の75%までの部分が住宅用地となります。
建物の床面積の4分の3以上が居住部分であれば、その土地の全部分が住宅用地です。
ただし、いずれも住宅用地となるのは、その土地に建つマンションの床面積の10倍までの部分に限られます。
また、居住部分の面積の割合が床面積の4分の1に満たない場合は、その土地は住宅用地とはなりません。
マンションである併用住宅が建つ土地の住宅用地の範囲
建物に占める居住部分の割合 | 土地の面積に占める住宅用地の範囲 |
---|---|
4分の1以上2分の1未満 | 50% |
2分の1以上4分の3未満 | 75% |
4分の3以上 | 100% |
4分の1未満 | 0%(そのマンションが建つ土地は住宅用地とはならない) |
※ 各住宅用地の面積の上限はその土地に建つマンションである併用住宅の床面積の10倍まで
なお、併用住宅が建つ住宅用地に占める小規模住宅用地と一般住宅用地の区分け方法は、純粋な住宅が建つ土地と変わりません。
まとめ - マンションが建つ土地は、全てが小規模住宅用地
小規模住宅用地と一般住宅用地の違いを解説しました。
小規模住宅用地と一般住宅用地の違いは、大きく二つです。
一つめの違いは、住宅用地に占める面積の割合です。
住宅用地のうち、その土地に建つ住宅一戸あたりにつき200㎡(約60坪)までの部分が小規模住宅用地です。
住宅用地のうち、小規模住宅用地以外の部分は一般住宅用地となります。
住宅用地の面積が小規模住宅用地より小さければ、その土地は全部分が小規模住宅用地です。
小規模住宅用地と一般住宅用地の二つめの違いは、固定資産税と都市計画税の計算方法です。
住宅用地には「住宅用地の特例」が適用され、小規模住宅用地の固定資産税や都市計画税を計算する際は、固定資産税評価額の6分の1や3分の1が課税標準額となります。
また、一般住宅用地の固定資産税や都市計画税を計算する際は、固定資産税評価額の3分の1や3分の2が課税標準額となります。
小規模住宅用地と一般住宅用地の二つの違い
- 住宅用地に占める面積の割合の違い(小規模住宅用地はその住宅用地に建つ住宅の床面積の10倍までの部分、一般住宅用地はそれ以外の部分)
- 固定資産税や都市計画税の計算方法の違い(小規模住宅用地の課税標準額は固定資産税評価額の6分の1や3分の1、一般住宅用地は3分の1や3分の2)
小規模住宅用地と一般住宅用地の違いを調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、マンションが建つ土地は、ほぼ間違いなく全部分が小規模住宅用地です。
小規模住宅用地とは、住宅用地に占める、その土地に建つ住宅一戸あたりにつき200㎡までの部分ですが、住宅一戸にはマンションの一戸も含まれます。
たとえば、戸数が50のマンションが建つ土地があったとしましょう。
であれば「50(戸数)×200㎡=10,000㎡」と計算し、10,000㎡(約3,030坪)までの部分が小規模住宅用地です。
面積が10,000㎡を超える土地に建つ、戸数が50のマンションは滅多にありません。
これは概ね全てのマンションに該当するため、マンションが建つ土地は、ほぼ間違いなく全部分が小規模住宅用地といえるでしょう。

小規模住宅用地と聞くと「小さな住宅用地」をイメージしますが、マンションのような住宅が建つ大きな土地も小規模住宅用地なのです。
本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年3月
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