固定資産税を安くする建て方とは?
注文住宅を新築する際は、屋根の勾配を小さくする、外壁の凹凸を減らす、シンプルな基礎にする、内装を華美にしないなどすれば固定資産税を安くできます。
総務省の告示「固定資産評価基準」をもとに、固定資産税を安くする注文住宅の建て方をご紹介しましょう。
なお、ご紹介するのは木造の固定資産税を安くする建て方であり、鉄筋コンクリート造や鉄骨造には該当しないため注意してください。
目次
- 固定資産税を安くする建て方の根拠
- 1. 屋根はアスファルトシングルで緩勾配が固定資産税が安い
- 2. 外壁は凹凸が多いと固定資産税が高い
- 3. 基礎はシンプルな方が固定資産税が安い
- 4. 内装は豪華すぎると固定資産税が高い
- まとめ - 固定資産税と耐久性のバランスを鑑みつつ新築する
固定資産税を安くする建て方の根拠
はじめに、この記事で解説する固定資産税を安くする注文住宅の建て方の根拠をご説明しましょう。
この記事で解説する固定資産税を安くする建て方は、ネットの噂などではなく総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」をもとにしています。
固定資産評価基準とは、固定資産税が課される対象となる家屋や土地の「時価」を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めて告示しています。
固定資産税には、対象となる家屋や土地の時価をもとに税額を計算するという概念があり、時価が高い家屋や土地は税額が高く、時価が低い家屋や土地は税額が安くなります。
よって、家屋や土地の所有者に固定資産税を課す各市町村は、対象となる家屋や土地の時価を適正に評価しなければなりません。
その時価の評価方法が記された手引き書が「固定資産評価基準」です。
各市町村が家屋や土地の所有者に固定資産税を課す際は、固定資産評価基準に記された方法を用いて時価を適正に評価し、評価した時価をもとに税額を計算します。
そうすれば、全ての家屋や土地の所有者に公平に固定資産税が課され、税の公平性が保たれます。
そして、本記事で解説する固定資産税を安くする注文住宅の建て方は、総務省の告示「固定資産評価基準」をもとにした内容となっています。
それでは、固定資産税を安くする建て方をご紹介しましょう。
なお、この記事では、固定資産税が安くなる屋根と外壁、基礎の建て方、内壁、天井、床の仕上げ方を解説していますが、順次、設備などに関することも追記する予定です。
1. 屋根はアスファルトシングルで緩勾配が固定資産税が安い
注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を模索するなら、屋根はアスファルトシングルにして切妻や寄棟にする、勾配と軒出を小さくする、天窓を付けないなどのポイントがあります。
ここから、固定資産税を安くする注文住宅の建て方として、屋根の施工方法を解説しましょう。
1-1. 屋根材はアスファルトシングルにする
一般的に使われる屋根材として、固定資産税が最も安いのはアスファルトシングルであり、次にスレートボード、ステンレス鋼板、瓦、建材型ソーラーパネルの順で高くなります。
アスファルトシングルの固定資産税を単純計算すると、建床面積1㎡あたりにつき128円程度です。
一方、瓦の固定資産税を単純計算すると、建床面積1㎡あたりにつき239円程度となります。
よって、注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を調べるのであれば、屋根材はアスファルトシングルを選んでください。
ちなみに、ソーラーパネルには、屋根材と一体化された「建材型ソーラーパネル」と、屋根の上に乗せるだけの「屋根置き型ソーラーパネル」があります。
そして、先述のとおり「建材型ソーラーパネル」は固定資産税が高くなりますが、屋根の上に乗せるだけの「屋根置き型ソーラーパネル」は家屋の一部とみなされず固定資産税がかかりません。
したがって、注文住宅の新築を希望し、固定資産税を安くする建て方を模索しつつもソーラーパネルを設置したい場合は、屋根置き型をお選びください。
ただし、屋根置き型は屋根が傷みやすく、雨漏りする可能性があるというデメリットがあります。
同じくアスファルトシングルも定期的に塗装する必要があり、ランニングコストがかかるというデメリットがあります。
アスファルトシングルや屋根置き型ソーラーパネルは固定資産税を安くする効果がありますが、それぞれ欠点があるため十分に検討してから導入してください。
1-2. 屋根は切妻や寄棟にする
注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を模索するのであれば、屋根は切妻や半切妻、寄棟、方形などの一般的な形状にして、腰折れやマンサード、越屋根、入母屋など工法が複雑になる形状は避けてください。
固定資産税が安くなる切妻とは、三角の形をした屋根であり、最も一般的な形状の屋根です。
一方、固定資産税が高くなる腰折れ屋根やマンサードとは、北欧風の住宅などで見かける途中で角度が変わる屋根であり、広い小屋裏を設置できるなどの特徴があります。
また、同じく固定資産税が高くなる越屋根とは、天辺付近が飛び出す屋根であり、採光性に優れるなどの特徴があります。
腰折れ屋根やマンサード、越屋根は施工に手間がかかる共に建築費が高くなります。
建築費が高い家屋は市町村から時価が高いと評価され、対象となる資産の時価をもとに計算する固定資産税が高くなります。
ちなみに、建築費が安くなる建て方として「片流れ」がありますが、固定資産税が安くなるなどのメリットは特にありません。
片流れの固定資産税は、切妻と同程度です。
屋根は形状が複雑なほど雨漏りしやすいため、切妻や片流れは雨漏りに強く固定資産税も安い理想の屋根といえるでしょう。
1-3. 屋根の勾配は10分の5程度にする
注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を調べるなら、屋根の勾配は小さくし、角度を緩くしてください。
屋根は勾配が小さければ固定資産税が安くなり、大きければ固定資産税が高くなります。
具体的には、10分の5程度の勾配の屋根が標準的な税額となり、10分の7程度であればその1.1倍など、10分の3程度であれば0.9倍などとなります。
屋根は角度が急なほど建築費が高くなりますが、建築費が高額な家屋は市町村から時価が高いと評価され、固定資産税が高くなります。
固定資産税を安くするためには、建築費を抑えた注文住宅を新築し、市町村から時価が高いと評価されない家屋を建てなければなりません。
1-4. 軒出は45cm程度にする
注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くしたいなら、軒の出を45cm程度までに抑えてください。
軒出が45cmを超えれば、軒出が45cmの住宅と比べて屋根にかかる固定資産税が高くなる場合があります。
したがって、固定資産税が安くなる注文住宅の建て方を模索するなら、軒出は45cm程度までに抑えてください。
なお、最近は軒出がほとんどない片流れの家屋を見かけますが、軒がなければ外壁が傷みやすく、雨の日に窓を開けると雨水が吹き込みやすいため注意してください。
固定資産税が安くとも、外壁が傷みやすければ意味がありません。
1-5. 天窓は付けない
注文住宅の新築を希望して固定資産税を安くする方法を調べるなら、できれば天窓の設置は避けてください。
天窓を設置すると、屋根にかかる固定資産税がいくぶんか高くなります。
具体的には、標準的なサイズの開閉できない天窓があれば、単純計算すると固定資産税が832円程度(都市計画税は178円程度)高くなります。
大きなサイズの開閉できる天窓があれば、単純計算すると固定資産税が2,016円程度(都市計画税は432円程度)高くなります。
また、天窓付きの屋根は雨漏りがしやすいなどのデメリットがあるため、建物の寿命を伸ばすためにも天窓は付けない方が無難といえるでしょう。
以上で、固定資産税を安くする屋根の施工方法の解説の完了です。
まとめると、以下のようになります。
- 屋根材はアスファルトシングルを選ぶ(ただし、アスファルトシングルは定期的に塗装する必要がありランニングコストがかかる)
- ソーラーパネルは建材一体型ではなく屋根置き型を選ぶ(ただし、屋根置き型は屋根が傷みやすい)
- 切妻や片流れ、寄棟など一般的な形状の屋根にして、勾配を小さくする
- 軒出を広くしすぎない
- 天窓は付けない(付けるなら開閉できない小さい窓にする)
2. 外壁は凹凸が多いと固定資産税が高い
注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くするためには、外壁材はサイディングにする、外壁の凹凸を少なくするために家屋の形状をシンプルにする、階高を2.7m程度にとどめる必要があります。
ここから、固定資産税を安くする注文住宅の建て方として、外壁の施工方法をご紹介しましょう。
2-1. 外壁材はガルバリウム鋼板やサイディングにする
一般的な注文住宅には、サイディングやガルバリウム鋼板、タイル、漆喰などの外壁材が使用されます。
その中で固定資産税が最も安いのはガルバリウム鋼板であり、サイディング、漆喰、タイルの順で固定資産税が高くなります。
以下は外壁材にかかる固定資産税の目安であり、外壁材にかかる固定資産税は、以下の税額の目安に「家屋の延床面積」を掛け算した程度の額が税額となります。
外壁材 | 固定資産税の目安 |
---|---|
板張り | 90.72円程度 |
ガルバリウム鋼板 | 92.54円程度 |
サイディング | 105.42円程度 |
漆喰 | 162.96円程度 |
タイル | 166.46円程度 |
※ 固定資産税の目安は概算
したがって、注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を調べるなら、外壁材はガルバリウム鋼板やサイディングを採用し、漆喰やタイルは避けるのが良いでしょう。
ちなみに、固定資産税が最も安い外壁材は繊維強化セメント板であり、家屋の延床面積1㎡あたりの固定資産税を単純計算すると66.5円程度ですが、新築の注文住宅に使うのは現実的ではありません。
2-2. 外壁の形状はシンプルにする
外壁にかかる固定資産税は、上空から見下ろした家屋の形状がシンプルで正方形に近い方が安くなります。
よって、注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を模索するのであれば、上空から見下ろした形状がシンプルで正方形に近い家屋を建ててください。
形状がシンプルな家屋は地震に強いという特徴があるため、固定資産税も安くなり一石二鳥といえるでしょう。
なお、外壁に占める窓やドアの面積は固定資産税に影響を与え、面積が小さければ多くの外壁材が使用されているとみなされ、外壁にかかる固定資産税が高くなります。
したがって、注文住宅を新築することを希望しつつ固定資産税を安くしたいのであれば、適度に窓を設け、特別なこだわりがない限り窓がない家屋などは避けてください。
ちなみに、私は窓がない家は静かで良いと思いますが、市街化区域に窓がない家を建てる際は、建築基準法の取り決めにより「機械換気設備」など特別な設備を設置したり、家屋を耐火構造にするなどの対処が求められます。
2-3. 階高をいたずらに高くしない
1階の床から2階の床までの高さや、2階の床から3階の床までの高さなど、下階の床から上階の床までの高さを階高と呼びます。
一般に一戸建て住宅の階高は2.7m前後ですが、注文住宅を新築することを希望しつつ固定資産税を安くする建て方を模索するのであれば、階高を3mなどにはしないように心がけてください。
そうすれば、外壁にかかる固定資産税を安くすることはできませんが、高くすることを抑えることができます。
具体的には、階高が2.7m程度であれば外壁にかかる固定資産税は標準的な額となり、3mであればその1.1倍程度などになります。
なお、階高を2.4m程度にすれば外壁にかかる固定資産税を2.7mの0.9倍程度などにできますが、それでは天井が低くなることがあるためおすすめしません。
以上で、外壁にかかる固定資産税を安くする施工方法の解説の完了です。
まとめると、以下のようになります。
- 外壁材はガルバリウム鋼板、サイディングなどを選び、タイルや漆喰は避ける
- 上空から見下ろした形状が、凹凸が少なく正方形に近い家屋にする
- 適度に窓を配置し、窓がない家などは避ける
- 階高は2.7m程度にしていたずらに高くしない
3. 基礎はシンプルな方が固定資産税が安い
注文住宅は、上空から見下ろした基礎の形状がシンプルな方が、基礎にかかる固定資産税が安くなります。
また、ほどよい高さの基礎にすれば、基礎にかかる固定資産税が高くなることを防ぐことができます。
ここから、固定資産税を安くする建て方として、基礎の施工方法をご紹介しましょう。
3-1. 基礎は単純にする
基礎の形状は固定資産税に影響を与え、上空から見下ろした形状に凹凸がなく正方形に近い方が、基礎にかかる固定資産税が安くなります。
よって、注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を調べるなら、上空から見下ろすと、凹凸が少なく正方形に近いシンプルな形状の基礎となるように家屋を建ててください。
上空から見下ろした形状に凹凸が少ないシンプルな形状の基礎にかかる固定資産税を標準的であるとすると、凹凸が多く長方形に近い基礎は、基礎にかかる固定資産税が1.2倍程度まで高くなることがあります。
一方、上空から見下ろした形状に凹凸がなく正方形に近い基礎は、基礎にかかる固定資産税が標準的な基礎の0.8倍程度まで安くなることがあります。
なお、家屋の階数も基礎にかかる固定資産税に影響を与え、3階建てより2階建ての方が基礎にかかる固定資産税が安くなります。
したがって、注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くしたいなら、上空から見下ろした形状がシンプルで正方形に近い、2階建て以下の家屋を新築してください。
3-2. 間取りを複雑にしない
シンプルな基礎は固定資産税が安くなりますが、間取りが複雑であれば基礎の内側の形状が複雑になり、固定資産税が高くなります。
よって、注文住宅の新築を希望しつつ固定資産税を安くする建て方を模索するなら、単純な間取りを目指してください。
なお、注文住宅を新築する際は布基礎とベタ基礎から基礎のタイプを選択し、ベタ基礎が施工費が高くなりますが、どちらを選んでも固定資産税には影響がありません。
3-3. 基礎高は45cm程度にする
地面から基礎の上部までの高さを「基礎高」と呼び、一般的な基礎高は60cmから30cm程度であり、高いほど床下に入りやすくメンテナンスがしやすいなどのメリットがあります。
しかし、注文住宅を新築することを希望しつつ固定資産税を安くする建て方を調べるなら、基礎高は45cm程度に抑えてください。
基礎高が高ければ基礎にかかる固定資産税が高くなり、60cmであれば、家屋の建床面積1㎡あたりにつき231.14円程度です。
一方、基礎高が45cmであれば、家屋の建床面積1㎡あたりにつき195.71円程度まで固定資産税が安くなります。
基礎高と基礎にかかる固定資産税の目安をご紹介すると、以下のとおりです。
基礎高 | 建床面積1㎡あたりの固定資産税の目安 |
---|---|
60cm | 231.14円程度 |
45cm | 195.72円程度 |
30cm | 160.3円程度 |
※ 固定資産税の目安は概算
なお、上記のように、基礎高が30cmであれば基礎にかかる固定資産税を最も安くできますが、あまりに基礎高が低いと点検口から床下に入りにくい、洪水の際に家屋が浸水しやすいなどのデメリットがあるため注意してください。
以上で、固定資産税を安くする基礎の施工方法の解説の完了です。
まとめると、以下のようになります。
- 上空から見下ろした形状に凹凸が少なく正方形に近い基礎にする
- 間取りをシンプルにして、基礎の内側の形状を複雑にしない
- 基礎高は45cm程度に抑え、いたずらに高くしない
4. 内装は豪華すぎると固定資産税が高い
壁紙はクロス貼りが、床材は複合フローリングやラワン合板のフローリングが内装にかかる固定資産税が安くなります。
一方、漆喰や珪藻土、砂壁などの塗り壁、無垢のフローリング、ウィルトン織りなどの高級カーペットなどは、内装にかかる固定資産税が高くなります。
ここから、固定資産税を安くする建て方として、内装の仕上げ方をご紹介しましょう。
4-1. 壁紙はクロス貼りや安価なウッドパネルにする
一般的な住宅の壁紙はクロス貼りですが、クロス貼りにすれば内壁にかかる固定資産税がほどよく安くなります。
よって、注文住宅を新築することを希望しつつ固定資産税を安くする建て方を調べるなら、内壁は漆喰や珪藻土などで仕上げず、クロス貼りにしてください。
また、ラワン合板など安価なウッドパネルは固定資産税が安くなるため、一室だけウッドパネルにするなども良いでしょう。
以下は内壁にかかる固定資産税の目安であり、内壁にかかる固定資産税は、以下の税額の目安に「家屋の延床面積」を掛け算した程度の額が税額となります。
仕上げ方 | 固定資産税の目安 |
---|---|
クロス貼り | 72.8円程度 |
ラワン合板 | 44.66円程度 |
化粧合板 | 142.66円程度 |
檜や杉の板張り | 232.12円程度 |
漆喰や珪藻土、砂壁などの塗り壁 | 238.7円程度 |
100mm角程度のタイル | 234.36円程度 |
200mm角以上のタイル | 299.46円程度 |
一般的な石材 | 568.82円程度 |
高級石材 | 1607.76円程度 |
※ 固定資産税の目安は概算
なお、一般的な注文住宅の天井高は2.2mから2.4m程度ですが、固定資産税を安くするなら、天井高をいたずらに高くしないように心がけてください。
天井高とは床から天井までの高さを指し、天井高が高ければ開放感がありますが、天井高が高ければ仕上げるために多くの資材が必要となるため、内壁にかかる固定資産税が高くなります。
具体的には、2.4mの天井高にかかる固定資産税を標準とすると、2.7mであれば1.2倍程度に、2.1mであれば0.8倍程度になります。
ちなみに、石膏ボードのみの内壁とすれば、家屋の延床面積1㎡あたりの固定資産税は29.82円程度です。
よって、クロスなどを貼らず石膏ボードのみで仕上げれば内壁にかかる固定資産税を大幅に安くできますが、せっかくの注文住宅にはおすすめしません。
4-2. 天井はクロス貼りにする
壁紙はクロス貼りが固定資産税がほどよく安くなりますが、天井も同じであり、クロス貼りにすれば天井にかかる固定資産税がほどよく安くなります。
よって、注文住宅を新築することを希望しつつ固定資産税を安くする建て方を模索するなら、天井はクロス貼りにしてください。
また、内壁と同じくラワン合板で作られた板張りの天井も固定資産税が安くなるため、子供部屋の天井だけラワン合板で仕上げるなどすれば、固定資産税を多少安くできます。
以下は天井にかかる固定資産税の目安であり、天井にかかる固定資産税は、以下の税額の目安に「家屋の延床面積」を掛け算した程度の額が税額となります。
仕上げ方 | 固定資産税の目安 |
---|---|
クロス貼り | 50.26円程度 |
ラワン合板 | 38.92円程度 |
化粧合板 | 60.34円程度 |
打上天井、敷目天井など | 85.96円程度 |
格天井、竿縁天井、網代天井など | 146.72円程度 |
漆喰、珪藻土などの塗り天井 | 120.82円程度 |
※ 固定資産税の目安は概算
ちなみに、上記の表には含まれませんが、石膏ボードのみで天井を仕上げれば、家屋の延床面積1㎡あたりの固定資産税は37.8円程度と大幅に安くなりますが、注文住宅にはおすすめしません。
4-3. 床材を無垢のフローリングにすると固定資産税が高い
注文住宅を新築することを希望しつつ固定資産税を安くする方法を調べるなら、床材には複合フローリングやラワン合板のフローリング、一般的なパイルのカーペットを使用してください。
それらの床材を使用すれば、床にかかる固定資産税が安くなります。
反対に、無垢のフローリングや高級畳、石材などで床を仕上げると、床にかかる固定資産税が高くなります。
以下は床にかかる固定資産税の目安であり、床にかかる固定資産税は、以下の税額の目安に「家屋の延床面積」を掛け算した程度の額が税額となります。
床材 | 固定資産税の目安 |
---|---|
複合フローリング | 79.52円程度 |
ラワン合板フローリング | 47.46円程度 |
無垢フローリング | 116.76円程度 |
一般的な畳 | 100.1円程度 |
高級畳 | 133.28円程度 |
パイル織りなどの一般的なカーペット | 61.18円程度 |
ウィルトン織りなどの高級カーペット | 128.24円程度 |
一般的な石材 | 244.16円程度 |
高級石材 | 683.34円程度 |
100mm角相当のタイル | 119.14円程度 |
200mm角相当のタイル | 140.28円程度 |
300mm角を超える大型タイル | 161.98円程度 |
※ 固定資産税の目安は概算
ちなみに、コンクリート打ちっぱなしの土間の固定資産税を単純計算すると、延床面積1㎡あたりにつき53.06円程度となります。
以上で、固定資産税を安くする内装の施工方法の解説の完了です。
まとめると、以下のようになります。
- 壁紙はクロス貼りにする
- 天井もクロス貼りにする
- 床は複合フローリングやラワン合板のフローリングにする
- 無垢のフローリングは固定資産税が高い
- 漆喰や珪藻土は固定資産税が高い
まとめ - 固定資産税と耐久性のバランスを鑑みつつ新築する
固定資産税を安くする注文住宅の建て方をご紹介しました。
注文住宅は、屋根はアスファルトシングルにして勾配を小さくする、切妻などシンプルな形状にするなどすれば、屋根にかかる固定資産税を安くできます。
また、外壁はサイディングにして凹凸を減らす、基礎は上空から見下ろした形状をシンプルにする、内壁はクロス貼りにする、床は複合フローリングにするなどすれば、固定資産税を安くすることが可能です。
その他にも、使わない可能性がある華美な設備は設置しない、バルコニーを小さくするなどすればさらに固定資産税を安くできますが、順次追記します。
なお、この記事でご紹介したとおり、注文住宅の固定資産税はグレードが低い建材を使用するほど安くなります。
屋根材は瓦よりアスファルトシングルの方が、外壁はタイルよりサイディングの方が固定資産税が安くなるといった具合です。
しかし、メンテナンスという側面から鑑みると、アスファルトシングルやサイディングは耐久性が低く、定期的に塗装する必要があるなどランニングコストがかかります。
ランニングコストがかかれば、固定資産税が安くとも意味がありません。
よって、注文住宅を新築する際は、固定資産税が安くなるだけの理由で屋根材や外壁材を選ばないように注意してください。
注文住宅の固定資産税は、徐々にですが下がります。
ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、新築の固定資産税が10年後にどれくらいまで下がるか解説するコンテンツを公開中です。
注文住宅の新築を希望し、固定資産税が気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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最終更新日:2023年11月
記事公開日:2021年9月
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