固定資産税 土地の減税|6倍は誤解?3ルートで正しく節税する方法

固定資産税 土地の減税|6倍は誤解?3ルートで正しく節税する方法

「土地の固定資産税、もう少し安くならないだろうか」——毎年4〜6月に納税通知書が届くたびに、そう感じている方は少なくないはずです。

なかには「更地にしたら住宅用地の6倍もの固定資産税がかかると聞いた」と、不安を抱えている方もいるかもしれませんが、実はその「6倍」という話は正確ではありません。

また、土地の固定資産税を減税する方法は、住宅用地の特例だけではなく、私道の非課税申告、現況地目の見直しなど、意外と多くの手段が存在します。

知っているかどうかで、毎年の税負担が大きく変わることもあります。

そこで、今回の「固定資産税をパパっと解説」では、土地の固定資産税を減税する方法を「3つのルート」に整理して、わかりやすく解説します。

この記事でわかること
  • 土地の固定資産税がどのように決まるか(評価額・課税標準額・税率の3段構造)
  • 住宅用地の特例で課税標準を最大6分の1に圧縮する方法
  • 私道・セットバック・水路を申告するだけで非課税になるケース
  • 駐車場や資材置き場にすることで評価額を下げられる場合と、逆に増税になる落とし穴
  • 農地・山林の評価が宅地よりはるかに低い理由と、その活用法

固定資産税や不動産の知識がまったくない方でも、順を追って読んでいただければ、「自分の土地で使える減税手段」がきっと見つかるはずです。

まずは、土地の固定資産税が決まる仕組みから順に確認しましょう。

目次

1. 土地の固定資産税が決まる仕組みをまず正しく理解しよう

土地の固定資産税は、「固定資産税評価額」「課税標準額」「税率」という3つの数字が組み合わさって決まります。この3段構造を正しく理解しておくことが、減税を考えるうえで何よりも大切です。

「固定資産税評価額を下げる」「課税標準額を下げる」「非課税にする」という3つの減税ルートも、この仕組みをもとに設計されています。

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1-1. 土地の固定資産税は「固定資産税評価額」「課税標準額」「税率」の3段構造で決まる

土地の固定資産税は、次の計算式で求めます。

土地の固定資産税の計算方法
固定資産税額 = 課税標準額 × 税率(標準1.4%)

この計算式を見て「課税標準額とは?」と思う方も多いはずですが、順を追って説明します。

土地の固定資産税が計算される際は、まずは市区町村が土地の「固定資産税評価額」を決めます。固定資産税評価額とは、税金の計算のもとになる、市区町村が定めた土地の値段のことです。

次に、その固定資産税評価額をそのまま税金の計算に使うのではなく、住宅用地の特例などが適用された後の金額を、式に含まれる「課税標準額」として使います。

課税標準額とは、実際に税率をかける計算のベースとなる金額のことです。

最後に、課税標準額に税率(標準1.4%)をかけて、固定資産税額が決まります。つまり「固定資産税評価額 → 課税標準額 → 税額」という3段階の流れです。

たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の土地に住宅が建っていて小規模住宅用地(200㎡以下の住宅用の土地)の特例が適用される場合、課税標準額は約333万円(2,000万円×1/6)になります。

税率1.4%をかけると、固定資産税は約4万6,600円です。

ポイントは、「固定資産税評価額を下げる」か「課税標準額を下げる」かによって、減税のアプローチが変わるという点です。

これが、後ほど解説する「3つの減税ルート」の根拠にもなっています。

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1-2. 固定資産税評価額とは何か——市区町村が総務省の基準に基づいて決める土地の値段

固定資産税評価額とは、総務省が定める「固定資産評価基準」に基づいて、市区町村が決定する、税計算のもとになる土地の値段のことです。

「実際に売買される価格と同じ?」と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。

実は、同じ土地に対して目的ごとに異なる4つの価格が存在します。これを「一物四価(いちぶつよんか)」と呼びます。

土地の「一物四価」——同じ土地に4つの価格がある
価格の種類 決める機関 主な用途 水準の目安
地価公示価格(公示地価) 国土交通省 土地取引の指標 基準(100%)
相続税路線価 国税庁 相続税・贈与税の計算 公示価格の約80%
固定資産税評価額 市区町村 固定資産税等の計算 公示価格の約70%
実勢価格 市場(売主・買主) 実際の売買取引 公示価格の約110〜120%

固定資産税評価額はこの4つの中で最も低い水準に設定されており、公示価格のおよそ70%が目安です。

ただし、この「70%」という関係が成り立つのは、主に市街地など路線価が設定されている地域の宅地です。地域によって評価方法が異なるため、もう少し詳しく説明します。

宅地の固定資産税評価額の算出方法は、地域によって2種類に分かれます。

① 市街地など路線価が設定されている地域(市街地宅地評価法)

道路ごとに設定された「固定資産税路線価」をもとに、土地の面積や形状で補正して評価額を求めます。この路線価は、地価公示価格などの約70%を目途に設定されます。

② 路線価が設定されていない農村部・郊外など(その他の宅地評価法)

近隣にある標準的な土地(標準宅地)の適正な時価の約70%を目途に評価額を求めます。地価公示価格の標準地がない地域でも、この方法によって評価が行われます。

つまり、「固定資産税評価額≒公示価格の70%」という関係はあくまで市街地の宅地が中心であり、すべての土地に一律に当てはまるわけではありません。

また、固定資産税評価額は毎年変わるわけではなく、3年に1度の「評価替え」で見直されます。

直近の評価替えは令和6年度(2024年度)に行われました。次回は令和9年度(2027年度)の予定です。

評価替えの年は地価の変動が固定資産税評価額に反映されるため、税額が変わることがあります。

「今年から固定資産税が上がった」と感じた方は、評価替えのタイミングと重なっている可能性があります。

なお、固定資産税評価額は、毎年4〜6月に届く納税通知書に同封されている課税明細書で確認できます。

課税明細書では「価格」という表記になっていますが、これが固定資産税評価額のことです。「固定資産税評価額」と「価格」は同じ意味ですので、混乱しないようにしてください。

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1-3. 【誤解を正す】「更地にすると固定資産税が住宅用地の6倍になる」は正しくない

「更地にすると、住宅用地の6倍もの固定資産税がかかる」という話を聞いたことがある方は多いかもしれません。しかし、これは正確ではありません。

この誤解が生まれた背景には、小規模住宅用地の課税標準額が「固定資産税評価額の1/6」であることがあります。

「1/6になっているものが外れたら6倍になる」という単純計算から広まったようです。

ところが、更地(住宅が建っていない土地)にも「負担調整措置」(ふたんちょうせいそち。税負担が急激に変動しないよう調整する仕組み)が適用されます。

この措置により、更地(商業地等)の課税標準額の上限は固定資産税評価額の70%です。

つまり、更地の課税標準額(固定資産税評価額の最大70%)と小規模住宅用地の課税標準額(固定資産税評価額の1/6)を比べると、差は最大で約4.2倍です。6倍にはなりません。

くわえて、負担水準(前年度の課税標準額 ÷ 今年度の固定資産税評価額 × 100%)が70%未満の土地では、課税標準額が評価額の70%よりも低くなるため、差はさらに縮まります。

注意
  • 「更地にすれば6倍になる」という情報をもとに、住宅を解体しないまま放置する判断をされている方がいますが、実際の税額の差は土地ごとに異なります。

    ご自身の土地の税額への影響は、必ず市区町村の窓口か税理士に確認することをお勧めします。

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1-4. 土地の固定資産税を減税する3つのルート

土地の固定資産税を減税する方法は、大きく分けると次の3つのルートに整理できます。

  • ルート①:課税標準額を下げる(住宅用地の特例・負担調整措置の活用)
  • ルート②:固定資産税評価額自体を下げる(現況地目の見直し・固定資産評価審査委員会への審査申出)
  • ルート③:非課税・免税点を活用する(私道の非課税申告・用途非課税・免税点)

イメージとしては、税額の計算式「課税標準額 × 税率」の「課税標準額」を下げるのがルート①と③の一部、計算の前提となる「固定資産税評価額」を下げるのがルート②です。

どのルートが使えるかは、土地の種類や状況によって変わります。次の章から、それぞれのルートを順に解説します。

固定資産税 土地のみ 減税方法 3つのルートの全体像

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2. 【ルート①・最大の効果】住宅用地の特例で課税標準額を最大6分の1に圧縮する

住宅用地の特例は、土地のみの固定資産税を減税するうえで最も効果が大きい制度です。

住宅が建っている土地であれば面積に応じて課税標準額が最大6分の1に下がるため、税額も大幅に少なくなります。

ただし、特例が「適用されるケース」と「適用されないケース」があるため、自分の土地がどちらに当てはまるかを正しく把握しておくことが大切です。

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2-1. 住宅用地の特例とは何か——土地のみの固定資産税に適用される最大の軽減措置

住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の固定資産税について、課税標準額を大幅に引き下げる制度のことです。

この特例は、土地のみの固定資産税に対して適用されます。建物(家屋)の固定資産税には適用されません。「土地と建物の両方に適用されると思っていた」という方もいますが、土地のみの制度です。

適用されると、土地の課税標準額が固定資産税評価額よりも大幅に低くなります。その結果、税額も少なくなります。

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2-2. 小規模住宅用地(200㎡以下)と一般住宅用地(200㎡超)の違い

住宅用地の特例は、土地の面積によって軽減の割合が異なります。「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2種類に分かれています。

小規模住宅用地とは、1戸の住宅につき200㎡以下の部分のことです。課税標準額は固定資産税評価額の6分の1になります。

一般住宅用地とは、200㎡を超える部分(ただし、家屋の床面積の10倍まで)のことです。課税標準額は固定資産税評価額の3分の1になります。

たとえば、土地の面積が300㎡で固定資産税評価額が3,000万円の場合、最初の200㎡分(固定資産税評価額2,000万円相当)は小規模住宅用地として6分の1、残りの100㎡分(固定資産税評価額1,000万円相当)は一般住宅用地として3分の1が課税標準額になります。

住宅用地の面積区分と課税標準額の軽減割合
区分 対象面積 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地 1戸あたり200㎡以下の部分 固定資産税評価額 × 1/6 固定資産税評価額 × 1/3
一般住宅用地 200㎡超〜床面積の10倍まで 固定資産税評価額 × 1/3 固定資産税評価額 × 2/3
非住宅用地(更地等) 固定資産税評価額 × 最大70%(負担調整後) 同左

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2-3. 【計算例】固定資産税評価額3,000万円の土地で税額がどれだけ変わるか

住宅用地の特例がどれほどの効果をもたらすか、具体的な数字で確認してみましょう。

条件は「固定資産税評価額3,000万円、面積200㎡以下の土地(小規模住宅用地)」です。

住宅用地の特例が適用される場合(小規模住宅用地)

  • 課税標準額:3,000万円 × 1/6 = 500万円
  • 固定資産税額:500万円 × 1.4% = 7万円

更地の場合(負担水準が70%に達している場合)

  • 課税標準額:3,000万円 × 70% = 2,100万円
  • 固定資産税額:2,100万円 × 1.4% = 29万4,000円

つまり、同じ固定資産税評価額3,000万円の土地でも、住宅が建っているかどうかで年間の税額が約22万4,000円も変わります。

ポイントは、この差が毎年発生するということです。10年間保有すれば累計で約224万円の差になります。

注意
  • 更地の固定資産税が「住宅用地の6倍になる」という情報を見かけることがありますが、それは正確ではありません。更地には負担調整措置が適用されるため、課税標準額の上限は固定資産税評価額の70%です。

    住宅用地(評価額の1/6)との差は最大で約4.2倍にとどまります。また、負担水準が70%未満の土地では差はさらに小さくなります。
固定資産税 土地のみ 住宅用地と更地の税額比較グラフ

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2-4. 住宅用地の特例が適用されるケース・されないケース

住宅用地の特例は、条件を満たさない場合には適用されません。「当然適用されていると思っていたのに、実は外れていた」というケースも少なくありません。

適用されるケースとされないケースを事前に把握しておきましょう。

特例が適用されるケース

住宅用地の特例が適用されるのは、主に次のケースです。

  • 自分や家族が居住している一戸建て住宅の敷地
  • 賃貸アパート・賃貸マンションなど居住用の建物が建っている土地
  • 二世帯住宅の敷地(居住部分の面積によって1戸または2戸分として計算)

ポイントは、「1月1日時点で住宅が建っていて、住宅用途に使われていること」です。

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特例が適用されないケース(空き家・特定空家・管理不全空家)

住宅用地の特例が適用されなくなる、または適用されなくなる可能性があるケースは次のとおりです。

  • 住宅を解体して更地にした場合(1月1日時点で住宅がなければ特例が外れる)
  • 「特定空家等」(とくていあきやとう。著しく管理が不十分で周囲に悪影響を与えている空き家)として市区町村から勧告を受けた場合
  • 「管理不全空家等」(かんりふぜんあきやとう。そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家)として市区町村から勧告を受けた場合

「特定空家等」は以前から存在する制度です。「管理不全空家等」は令和5年(2023年)12月の空き家法改正で新たに追加された区分で、特定空家等になる前の段階でも市区町村が指導・勧告を行えるようになりました。

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2-5. 住宅建替え中も特例が継続される「建替え特例」の要件と手続き

住宅用地の特例は、毎年1月1日時点の土地の状況で判定されます。そのため、同じ年のうちに解体・新築が完了し、12月31日時点で新しい住宅が建っている状態であれば特例は継続します。

しかし、1月1日時点で住宅がない状態(たとえば年末に解体し、翌年1月1日時点でまだ建築確認申請も基礎工事も行われていないケース)になると、原則として特例が外れます。

ただし、一定の要件を満たす建替えであれば、工事中であっても1年間に限り特例を継続して適用できる制度があります。これを「建替え特例」などと呼びます。

建替え特例が適用されるための主な要件は次のとおりです。

  • 取り壊し前年の1月1日時点において、その土地が住宅用地であったこと
  • 取り壊し翌年の1月1日時点で、新しい住宅の基礎工事に着手している(または建築確認申請が受け付けられている)状態であること
  • 建替えが、取り壊し前と同一の敷地で行われていること
  • 土地の所有者が、取り壊し前年の1月1日時点の所有者と原則として同一であること
  • 新しい住宅の所有者も、取り壊し前年の1月1日時点の所有者と原則として同一であること

たとえば、2024年(令和6年)10月に古い家を取り壊した場合、2025年(令和7年)1月1日時点で新しい住宅の基礎工事に着手している(または建築確認申請が受け付けられている)状態であれば、2025年度の固定資産税には特例が継続して適用されます。

ただし、この特例が認められるためには、2026年(令和8年)1月1日までに新しい住宅が完成していることも条件です。完成が間に合わなかった場合は特例が認められません。

注意
  • 「基礎工事に着手している」の具体的な判断基準は市区町村によって異なる場合があります。地鎮祭や地縄張り、造成工事は「着手」に含まれません。

    また、建替え特例を受けるためには市区町村への申告が必要な場合があります。取り壊しを行う前または直後に、土地が所在する市区町村の税務担当窓口に確認することをお勧めします。

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3. 【ルート①補足】負担調整措置の仕組みを理解して自分の土地の税額推移を把握する

負担調整措置とは、土地の固定資産税評価額が急に上がっても、税額が急激に跳ね上がらないよう、課税標準額を段階的に引き上げる仕組みのことです。

この仕組みを理解しておくと、「なぜ今年の税額はこの金額なのか」「来年以降どのくらいまで上がるのか」が予測できるようになります。

住宅用地と更地などの非住宅用地では調整のルールが異なるため、それぞれ分けて確認することが大切です。

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3-1. 負担調整措置とは何か——税額が急激に変動しない仕組み

固定資産税は、3年に1度の評価替えで固定資産税評価額が見直されます。

仮に評価額が一気に上がった場合、その年から満額で課税されると、納税者の税負担が突然大きく増えてしまいます。

そこで導入されているのが「負担調整措置」です。前年度の課税標準額を起点として、課税標準額を少しずつ引き上げていくことで、税負担の急激な変動を抑えています。

この仕組みを理解するためのカギとなるのが、「負担水準」(ふたんすいじゅん)という考え方です。

負担水準とは、「前年度の課税標準額が今年度の本来の課税標準額に対してどれくらいの割合に達しているか」を示す数値のことです。計算式は次のとおりです。

負担水準の計算方法
負担水準(%)= 前年度の課税標準額 ÷ 今年度の本来の課税標準額 × 100

この負担水準の数値によって、今年度の課税標準額の決まり方が変わります。

負担水準の詳細は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」にて公開中の記事でわかりやすく解説しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税の負担水準とは?(図解でわかりやすい)

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3-2. 商業地等(更地・非住宅用地)の負担調整の3パターン

住宅が建っていない土地は、固定資産税では「商業地等」(しょうぎょうちとう)と区分されます。

具体的には、更地・駐車場・事務所や店舗の敷地・倉庫用地などのほか、宅地と同じように評価される雑種地がこれに該当します。

そして、商業地等については、負担水準の数値によって課税標準額の決まり方が3つのパターンに分かれます。

商業地等(更地・非住宅用地)の負担調整措置3パターン
負担水準 今年度の課税標準額 税額の方向性
70%超 固定資産税評価額 × 70% に引き下げ 下がる(または据え置き)
60%以上70%以下 前年度の課税標準額を据え置き 変わらない
60%未満 前年度の課税標準額 + 固定資産税評価額 × 5% 少しずつ上がる

イメージとしては、税負担が「60〜70%」のゾーンに向かって収束していくように設計されています。

負担水準が70%を超えている土地は課税標準額が引き下げられ、60%未満の土地は毎年少しずつ(固定資産税評価額の5%ずつ)上昇します。

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の更地で、前年度の課税標準額が400万円だった場合(負担水準40%)、今年度の課税標準額は「400万円 + 1,000万円 × 5% = 450万円」になります。固定資産税額は「450万円 × 1.4% = 6万3,000円」です。

ポイントは、負担水準が60%未満の土地は毎年課税標準額が上がり続け、最終的には固定資産税評価額の70%水準(上限)に向かって近づいていくという点です。

固定資産税 土地 負担調整措置 負担水準別フロー図

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3-3. 住宅用地にも負担調整の下限ルール(本来の課税標準額の20%)がある

住宅用地の負担調整措置は、商業地等とは仕組みが異なります。

住宅用地の「本来の課税標準額」とは、固定資産税評価額に特例率(小規模住宅用地なら1/6)をかけた金額のことです。

住宅用地の負担調整は、次の2パターンで動きます。

  • 前年度の課税標準額が本来の課税標準額以上の場合:本来の課税標準額(固定資産税評価額 × 1/6 など)がそのまま課税標準額になります
  • 前年度の課税標準額が本来の課税標準額を下回っている場合:「前年度の課税標準額 + 本来の課税標準額 × 5%」が今年度の課税標準額になります

つまり、住宅用地を新たに取得した直後や、新築直後は課税標準額が本来の水準より低い状態からスタートし、毎年少しずつ上がります。

ただし、「本来の課税標準額の20%」という下限が設定されています。計算上の金額がこの下限を下回る場合は、「本来の課税標準額 × 20%」が課税標準額になります。

たとえば、固定資産税評価額2,000万円の小規模住宅用地(本来の課税標準額:2,000万円 × 1/6 = 約333万円)を新たに取得し、前年度の課税標準額がゼロの場合を考えてみましょう。

計算式に当てはめると「0円 + 約333万円 × 5% = 約16万6,500円」となりますが、これは下限(約333万円 × 20% = 約66万7,000円)を下回るため、この年の課税標準額は約66万7,000円になります。

固定資産税額は「約66万7,000円 × 1.4% = 約9,300円」です。

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3-4. 東京都23区の「小規模非住宅用地の2割減免」など自治体独自の減免制度

国が定める負担調整措置とは別に、自治体が独自の条例に基づいて固定資産税の減免措置を設けている場合があります。

なお、東京23区の固定資産税は各区ではなく東京都が課税する都税であり、東京都が都税条例に基づいて独自の減免制度を設けています。

代表的な例が東京都23区の「小規模非住宅用地の減免制度」です。

東京都では、厳しい経済状況下における中小企業者等を支援するため、平成14年度から一定の要件を満たす非住宅用地に対する固定資産税および都市計画税の税額の2割を減免しています。令和7年度に引き続き、令和8年度についても実施することとされました。

減免を受けるための主な要件は次のとおりです。

  • 一画地における非住宅用地の面積が400㎡以下であること
  • 所有者が個人、または資本金・出資金の額が1億円以下の法人であること(資本・出資を有しない法人も含む)

減免の対象となるのは、一画地における非住宅用地の面積が400㎡以下であるもののうち、200㎡までの部分の税額の2割です。

たとえば面積が400㎡の土地の場合、そのうち200㎡に相当する税額の2割が減免されます。400㎡を超える土地や、200㎡を超える部分は減免の対象外です。

この減免は申請が必要です。東京都23区内に非住宅用地をお持ちの方は、申請期限を確認のうえ手続きを検討してください(参考「東京都主税局:小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の減免(23区内)について」)。

東京23区以外にも独自の減免制度が設けられている場合があります。市区町村の公式ホームページや税務担当窓口で確認することをお勧めします。

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4. 【ルート②-A】固定資産税評価額に疑問があるときは審査申出で見直しを求める

固定資産税評価額は市区町村が決定しますが、その評価が必ずしも正確とは限りません。

「なんとなく高い気がする」と感じた場合でも、正式な手続きを通じて見直しを求める制度が用意されています。

ただし、手続きには期限があり、その期限を過ぎると申出ができなくなるため、タイミングを把握しておくことが重要です。

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4-1. 固定資産税評価額は3年に1度の評価替えで見直される——基準年度と据置年度の違い

固定資産税評価額は、毎年変わるわけではありません。

3年に1度の「評価替え」(ひょうかがえ。固定資産税評価額を見直す作業)が行われ、その年を「基準年度」(きじゅんねんど)と呼びます。

直近の基準年度は令和6年度(2024年度)で、次回は令和9年度(2027年度)です。

基準年度以外の年度(第2年度・第3年度)は「据置年度」(すえおきねんど)と呼ばれ、原則として基準年度の固定資産税評価額がそのまま据え置かれます。

ただし、地目の変換(たとえば農地から宅地への変更)や家屋の新築・増改築などがあった場合は、据置年度でも新たに評価が行われます。

つまり、評価替えの年は固定資産税評価額が変わり、税額も変動しやすいタイミングです。

「今年から固定資産税が上がった」と感じた方は、評価替えが行われた年に当たっている可能性があります。

固定資産税 土地 評価替えサイクルと審査申出の期限タイムライン

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4-2. 固定資産税評価額に疑問があるときは「縦覧」で確認する

「自分の土地の固定資産税評価額が本当に適正なのか確かめたい」と思う方には、「縦覧」(じゅうらん)という制度を利用する方法があります。

縦覧とは、毎年4月1日から4月20日(またはその市区町村の最初の納期限の日)までの間、固定資産課税台帳(こていしさんかぜいだいちょう。土地・家屋の固定資産税評価額などが記載された帳簿)の内容を確認できる制度のことです。

縦覧期間中は、同じ市区町村内にある他の土地や家屋の固定資産税評価額も閲覧できます。自分の土地の評価額が、近隣の似た条件の土地と比べて著しく高くないかを確認できます。

縦覧は、土地が所在する市区町村の役所・庁舎の窓口で手続きを行います。納税者本人または委任を受けた代理人が利用できます。

ポイントは、縦覧は無料で行えるということです。「評価額が高い気がするが、確かめる方法がわからない」という方は、まず縦覧から始めてみることをお勧めします。

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4-3. 審査申出(固定資産評価審査委員会)の手続きと正確な期限

縦覧で確認した結果、「やはりこの固定資産税評価額はおかしい」と判断した場合は、「審査申出」(しんさもうしで)という正式な不服申立て手続きを行うことができます。

審査申出とは、固定資産税評価額が適正でないと考える納税者が、市区町村に設置された「固定資産評価審査委員会」(こていしさんひょうかしんさいいんかい。固定資産税評価額の適否を審査する第三者機関)に対して見直しを求める手続きのことです。

審査申出は、固定資産課税台帳に登録すべき固定資産の価格等のすべてが登録された旨の公示があった日から、納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日までの間に申出を行う必要があります。

公示の日付は市区町村によって異なるため、期限の正確な日付は土地が所在する市区町村の窓口で必ず確認してください。

手続きの流れは次のとおりです。

  1. 縦覧または課税明細書で固定資産税評価額を確認する
  2. 市区町村の資産税担当窓口で審査申出書を入手する
  3. 必要書類(審査申出書・固定資産の所在地や状況がわかる書類等)を準備する
  4. 固定資産評価審査委員会に審査申出書を提出する

審査申出は、原則として基準年度(評価替えの年)に行います。

据置年度に審査申出ができるのは、地目の変換や分合筆など、その年に新たに評価が行われた場合に限られるため注意してください。

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4-4. 地価が下落しているときに使える「据置年度の固定資産税評価額修正」制度

通常、評価替えが行われない据置年度には、基準年度の固定資産税評価額がそのまま据え置かれます。

しかし、基準年度から据置年度にかけて地価が下落した場合、その実態に合わせて固定資産税評価額を引き下げることができる制度があります。

これを「据置年度の下落修正措置」と呼び、地方税法附則第17条の2に基づく制度で、据置年度において地価が下落し、市区町村長が課税上著しく均衡を失すると認める場合に、基準年度の固定資産税評価額に修正を加えることができます。

なお、令和7年度・令和8年度についても、地価の下落があり据え置くことが適当でないときは、簡易な方法により価格を修正することとされています。

イメージとしては、令和6年度(基準年度)に評価替えが行われた後、令和7年度・令和8年度の間に地価が大幅に下落した場合、令和7年度または令和8年度の固定資産税評価額を実態に合わせて下げることができる、という仕組みです。

ただし、この制度が適用されるには「類似する土地の地価が基準年度の価格を下回っている」という条件が必要です。

また、修正を申し出るためにも期限がありますので、「地価が下がっているのに税額が変わらない」と感じた方は、早めに市区町村の窓口に相談することをお勧めします。

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5. 【ルート②-B】現況地目を雑種地にして固定資産税評価額を下げる方法と落とし穴

現況地目を雑種地にすることで固定資産税評価額が下がり、土地のみの固定資産税が減税できる場合があります。

これは、他のサイトがほとんど紹介していない方法ですが、住宅が建っている土地に使うと大幅な増税になる危険な落とし穴もあります。

どのようなケースで有効で、どのようなケースで逆効果になるかを正しく理解することが重要です。

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5-1. 固定資産税の地目は「登記簿の地目」ではなく「1月1日時点の現況地目」で決まる

「土地の地目は登記簿に書いてあるとおりに決まる」と思っている方は多いかもしれません。

しかし固定資産税においては、登記簿の地目ではなく、毎年1月1日時点の土地の実際の使われ方(現況地目)で地目が判定されます。

現況地目とは、土地が実際にどのような目的で使われているかによって判断される地目のことです。

たとえば、登記簿上の地目が「宅地」であっても、その土地を駐車場や資材置き場として実際に使用していれば、固定資産税上の現況地目は「雑種地」となります。

つまり、登記を変更しなくても、土地の使い方を変えることで固定資産税の計算に使う地目が変わることがあるというわけです。

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5-2. 駐車場・資材置き場として使うと現況地目が雑種地となり固定資産税評価額が下がる場合がある

土地を駐車場や資材置き場として使用すると、現況地目が雑種地と判定されます。

雑種地の固定資産税評価額は、原則として「売買実例地比準方式」(ばいばいじつれいちひじゅんほうしき)によって算出されます。

売買実例地比準方式とは、条件の似た雑種地の売買事例を基に不正常な条件を修正して正常売買価格を求め、評価対象の雑種地の位置や利用状況と比較して固定資産税評価額を求める方法のことです。

市区町村内に雑種地の売買事例がない場合は、「近傍地比準方式」(きんぼうちひじゅんほうしき)という、周辺の他の地目(宅地・農地等)の価格を基に比準して評価額を求める方法が使われます。

一般的に、郊外や農村部では駐車場・資材置き場として使われる雑種地の取引価格は宅地より低い水準にあります。

そのため、固定資産税評価額も宅地より低くなり、土地のみの固定資産税を下げられる場合があります。

筆者の場合、田舎の荒れ地(現況地目は雑種地)を購入し、家を建てるために更地にしたところ、現況地目が宅地と判定されるようになりました。

それまで免税点以下で課税されていなかった土地の固定資産税が、宅地として課税されるようになったのです。

状況は逆ですが、「雑種地は宅地より評価額が低くなりうる」ということを実感した経験です。

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5-3. 【重要な条件】雑種地化が有効なケースと逆効果になるケース

雑種地化による固定資産税評価額の低減は、すべての土地で効果があるわけではありません。

有効なケースと逆効果になるケースを正確に把握しておかないと、思わぬ増税につながる危険があります。

有効なケース(郊外・農村部・住宅用地特例が使えない土地)

雑種地化が減税に有効なのは、次のような条件が揃う場合です。

  • 郊外・農村部など、周辺に雑種地(駐車場・資材置き場等)の取引事例があり、その取引価格が宅地より明確に低い地域
  • 住宅用地の特例(課税標準額が固定資産税評価額の1/6)が現在適用されていない土地(更地・商業用地等)
  • 活用予定がなく、更地のまま保有し続けている土地

たとえば、郊外の更地(固定資産税評価額1,000万円)を駐車場として使用し、近隣の雑種地の取引事例から固定資産税評価額が700万円に下がった場合、年間の固定資産税は次のように変わります。

  • 更地(固定資産税評価額1,000万円・負担水準70%):課税標準額700万円 × 1.4% = 9万8,000円
  • 雑種地(固定資産税評価額700万円・負担水準70%):課税標準額490万円 × 1.4% = 6万8,600円

この場合、年間で約3万円の減税になります。

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【警告】住宅を解体して駐車場にすると固定資産税が大幅に増税になる

住宅が建っている土地には住宅用地の特例が適用されており、小規模住宅用地であれば課税標準額は固定資産税評価額の1/6に抑えられています。

この住宅を解体して駐車場にすると、住宅用地の特例が外れ、課税標準額が固定資産税評価額の1/6から最大70%(負担調整後)の水準に跳ね上がります。

たとえ雑種地化で固定資産税評価額が多少下がっても、特例が外れた影響の方がはるかに大きく、大幅な増税になります。

固定資産税評価額2,000万円の小規模住宅用地に住宅が建っている場合と、住宅を解体して駐車場(雑種地・固定資産税評価額が1,500万円に下落と仮定)にした場合の税額を比べてみましょう。

  • 住宅あり(住宅用地特例適用):課税標準額333万円(2,000万円×1/6)× 1.4% = 約4万7,000円
  • 解体後・駐車場(雑種地):課税標準額1,050万円(1,500万円×70%)× 1.4% = 約14万7,000円

この例では、住宅を解体して駐車場にしたことで年間の固定資産税が約10万円も増える計算になります。

「固定資産税を節税しようと住宅を解体したら、逆に税負担が激増した」という失敗は少なくありません。

住宅が建っている土地には、雑種地化の手法は使わないでください。

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市街地・商業地域では雑種地化しても固定資産税評価額がほとんど下がらない理由

市街地や商業地域など立地条件の良い場所では、駐車場や資材置き場として使われる雑種地の取引価格も高水準にあります。

このため、雑種地の固定資産税評価額を算定する際の比準価格(ひじゅんかかく。近隣の似た条件の土地の売買価格を参考にして算出する価格)が高くなり、宅地と比べても固定資産税評価額がほとんど変わらない、あるいはまったく変わらないケースがあります。

立地条件の良い土地では、雑種地化による減税効果は限定的または無意味です。

現況地目の変更を検討する前に、土地が所在する市区町村の固定資産税担当窓口または税理士に、近隣の雑種地の取引事例と固定資産税評価額への影響を確認することをお勧めします。

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6. 【ルート③-A】申告すれば非課税になる土地——私道・セットバック・水路の非課税申告

私道・セットバック・水路などの土地は、一定の要件を満たして市区町村に申告すれば、固定資産税が非課税になる場合があります。

これは大手不動産業者などのサイトがほとんど紹介していない手段であり、「申告していないだけで損をしていた」というケースが実務でも少なくありません。

ただし、非課税になるためには「実態が伴っていること」が絶対条件であり、形式的に要件を整えるだけでは認められません。

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6-1. 「公共の用に供する道路」に該当する私道は固定資産税が課されない

地方税法(ちほうぜいほう。固定資産税など地方税に関することを定めた法律)の第348条第2項第5号は、「公共の用に供する道路」は固定資産税を課さないと定めています。

ここでいう「道路」は、国や市区町村が所有する公道だけを指すのではありません。

個人が所有する私道(しどう。個人や民間が所有・管理している道路のこと)であっても、「公共の用に供する道路」と認められれば、その土地の固定資産税はゼロになります。

ポイントは、非課税が認められるかどうかは「所有者が誰か」ではなく、「その土地が実際にどのように使われているか」で判断されるという点です。

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6-2. 非課税になる私道の3要件

非課税が認められる私道の要件は、判例および各市区町村の取扱いによって、①開放性、②公共性、③道路としての形態の3点が満たされている必要があると定められています。

通り抜けができる私道(幅員1.8m以上が目安)

一方の端から他方の端まで通り抜けができる私道の場合、幅員がおおむね1.8m以上であることが目安とされています(市区町村によって異なる場合があります)。

「通り抜けできる」とは、その私道が公道(こうどう。国や市区町村が管理する道路)とつながっており、誰でも一方から入って他方の公道へ抜け出ることができる状態のことです。

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行き止まり・コの字型の私道(幅員4.0m以上・2棟以上に接することが目安)

行き止まりになっている私道や、コの字型になっている私道の場合は、幅員がおおむね4.0m以上(市区町村によっては従前からの道路は1.8m以上)で、かつ2棟以上の家屋の敷地に接していることが目安とされています。

行き止まりの私道は通り抜けができないため、通り抜け私道よりも要件が厳しく設定されているのが一般的です。

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利用上の制約がないこと(植木・車止め・室外機等を置かない)

私道上に、植木・車止め・室外機・自転車・ゴミ箱など、通行を妨げたり、特定の人しか使えなくなるような物が置かれていないことが必要です。

「所有者において何らの制約も設けていない状態」であることが、「公共の用に供する」という要件の核心です。

たとえば形式上は私道でも、普段から私物を置いて実質的に専用使用しているような場合は、非課税として認められません。

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6-3. セットバック部分・隅切りも非課税申告できる

建替えや新築の際に、建築基準法の規定によって道路の幅を確保するために敷地を後退させた部分を「セットバック」(後退部分)と呼びます。

このセットバック部分も、「公共の用に供する道路」として申告することで非課税になる場合があります。建築・建替え時に申告漏れが多いケースです。

同様に、道路の角に面した土地で、交差点の見通しを確保するために三角形または弧状に切り取られた部分(「隅切り」)も、道路として申告できる場合があります。

たとえば、固定資産税評価額100万円のセットバック部分が非課税となれば、年間の固定資産税は「100万円(課税標準額)× 1.4% = 1万4,000円」が節税できます。

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6-4. 用悪水路・ため池・堤とうも非課税対象(地方税法第348条第2項第6号)

地方税法の第348条第2項第6号は、「公共の用に供する用悪水路、ため池、堤とう及び井溝」を非課税と定めています。

用悪水路(ようあくすいろ)とは、農業用の水を引くために設けられた水路や排水路のことです。

ため池(農業用の水を溜める池)、堤とう(水を防ぐ堤)、井溝(いこう。水田などに水を引くための溝)なども同様に非課税の対象になります。

農村部や郊外の土地所有者では申告漏れが多いケースです。自分の土地の中に水路やため池が含まれていないか、一度確認することをお勧めします。

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6-5. 【重要】非課税申告の前提条件と有料貸付の禁止

非課税の適用を受けるには、重要な前提条件があります。「有料での貸付け」は非課税の対象外です。

地方税法の第348条第2項では、ただし書きにより「有料で貸し付けた者が当該固定資産を使用する場合、所有者に固定資産税を課すことができる」と定めています。

たとえば、コインパーキング業者に有料で貸している私道部分は、たとえ不特定多数の人が使えるとしても非課税にはなりません。

つまり、非課税が認められるのは、その土地を無償で公共の用に供している場合のみというわけです。

注意
  • 非課税の申告が受理された後も、市区町村は定期的な現地調査を行います。

    そして、申告後に状況が変われば(物を置き始めた、有料での利用が発生したなど)、非課税が取り消されて固定資産税が遡って課される可能性があるため注意してください。

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6-6. 申告の手続き・提出書類・タイミング

非課税の適用を受けるためには、原則として市区町村への申告が必要です。申告をしなければ、自動的に非課税にはなりません。

非課税申告が必要な対象・提出書類・申告タイミング・根拠条文一覧
対象 根拠条文 主な提出書類 申告タイミング 注意事項
通り抜け私道 法348条2項5号 非課税申告書・公図・測量図等 随時(年内申告で翌年度から適用が目安) 現地調査あり・無償提供が条件
行き止まり・コの字型私道 同上 同上 同上 幅員・接続棟数の要件を確認
セットバック部分 同上 非課税申告書・建築確認書類・境界確認書類等 建築・建替え時に早めに申告 申告漏れが多い
隅切り部分 同上 同上 同上 都道府県条例の規定も確認
用悪水路・ため池 法348条2項6号 非課税申告書等 随時 農村部の土地で見落とされやすい

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7. 【ルート③-B】用途非課税の活用——適格法人に無償提供すると固定資産税ゼロになる場合がある

用途非課税とは、土地の所有者が変わらなくても、その土地を特定の法人に無償で提供し、法律で定められた用途に使用させることで固定資産税がゼロになる制度のことです。

土地所有者の方の多くが知らない手段ですが、条件さえ揃えば土地のみの固定資産税を完全になくすことができます。

ただし、適用には厳しい条件があり、実態が伴わない場合は認められません。

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7-1. 地方税法第348条の用途非課税とは何か

地方税法第348条第2項は、一定の法人が特定の用途に使用する固定資産(土地・家屋・償却資産)については固定資産税を課さないと定めています。

これを「用途非課税」(ようとひかぜい)と呼びます。

重要なのは、この非課税は「所有者が誰か」だけでなく、「その固定資産がどのような用途に使われているか」でも判断されるという点です。

彦根市の公式サイト豊田市の公式サイトにも次のとおり明記されています。

宗教法人、学校法人、社会福祉法人等が所有する固定資産、又は、所有者が無償でこれらの団体に使用させている固定資産で地方税法第348条に規定する用途に供しているものは非課税となります。

つまり、あなた自身が所有する土地であっても、適格な法人に無償で提供し、その法人が定められた用途に実際に使用していれば、固定資産税はゼロになるというわけです。

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7-2. 非課税になる法人の種類と用途の条件

用途非課税が適用される主な法人と用途は次のとおりです。

用途非課税が適用される主な法人と用途・条件一覧
法人の種類 非課税となる主な用途 根拠条文
宗教法人 専らその本来の用に供する境内建物および境内地(宗教法人法第3条に規定するもの) 第3号
学校法人等 設置する学校において直接保育または教育の用に供する固定資産(幼稚園・図書館・博物館・寄宿舎を含む) 第9号
社会福祉法人等 保護施設・小規模保育事業・児童福祉施設・認定こども園・老人福祉施設・障がい者支援施設・社会福祉事業等の用に供する固定資産 第10号〜第10号の7
公益社団法人・公益財団法人 学術の研究を目的として直接研究の用に供する固定資産 第12号
更生保護法人 更生保護事業の用に供する固定資産 第10号の8

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円(課税標準額700万円・負担水準70%)の土地を社会福祉法人に無償で提供し、老人福祉施設の用に供した場合、年間の固定資産税(700万円 × 1.4% = 9万8,000円)がゼロになります。

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7-3. 【必須条件】無償提供・実態使用・申告の3条件がすべて満たされている必要がある

用途非課税の適用を受けるためには、3つの条件すべてを満たしていることが必要です。

条件①:有料貸付けは絶対に不可(無償提供が条件)

地方税法第348条第2項ただし書きは、「有料で貸し付けた者が当該固定資産を使用する場合」には非課税を適用しないと定めています。

つまり、たとえ1円でも賃料を受け取ると、非課税は認められません。非課税の適用を受けるには、土地を完全に無償で提供することが絶対条件です。

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条件②:「実際にその用途に使用されていること」が必要

地方税法第348条第3項は、非課税用途以外に使用している場合には課税できると定めています。名目上の提供では認められません。

市区町村は定期的な現地調査を行い、書類上だけ整えても、実際に用途に使用されていなければ非課税は認められず、遡って固定資産税が課されることもあります。

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条件③:市区町村への申告が必要

用途非課税の適用を受けるためには、原則として市区町村への申告が必要です。申告書と必要書類を提出し、市区町村が非課税と認定して初めて適用されます。

申告書の名称は市区町村によって異なるものの「非課税規定適用申告書」などであり、市区町村のホームページからダウンロードするなどして入手できます。

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7-4. 賃料収入がゼロになるため損益比較が必要

用途非課税を活用すれば固定資産税はゼロになります。

しかし、土地を無償提供するということは、本来その土地から得られるはずの賃料収入もゼロになるということです。

たとえば、その土地を賃貸すれば年間50万円の賃料が得られる場合、固定資産税を10万円節税できたとしても、賃料収入の50万円を失う機会損失(きかいそんしつ。本来得られるはずだったのに得られなかった利益のこと)の方がはるかに大きくなります。

ポイントは「固定資産税の節税額」と「賃料収入の機会損失」を比較したうえで判断することです。用途非課税が合理的な選択となるのは、次のようなケースに限られます。

  • 賃貸活用の見込みがなく、活用方法に困っている土地
  • 地域貢献・社会的意義を重視して無償提供したいという意向がある場合
  • 固定資産税の負担が重く、無償提供でも経済的にメリットがある場合
注意
  • 用途非課税の適用については、対象法人・用途・申告手続きの詳細が市区町村によって異なります。

    必ず土地が所在する市区町村の税務担当窓口または税理士に相談したうえで判断することをお勧めします。

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8. 【ルート③-C】免税点を活用する——課税標準額30万円未満の土地は固定資産税がかからない

免税点(めんぜいてん)とは、課税標準額の合計がこの金額未満であれば固定資産税を課さないという下限額のことです。

土地の免税点は30万円であり、この金額未満であれば固定資産税はゼロになります。

田舎の農地・山林・小さな土地の相続人など、知らずに固定資産税を払い続けているケースがある一方で、実は課税されるべき状況でないのに課税されているケースもあります。

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8-1. 土地の免税点は課税標準額の合計30万円未満(同一市区町村内は合算)

土地の固定資産税は、同一の市区町村の区域内で同一人が所有するすべての土地の課税標準額を合算した合計額が30万円未満であれば課税されません。

ポイントは「同一の市区町村内で合算する」という点です。A市に土地が3筆あれば、その3筆の課税標準額を合計して30万円未満かどうかを判断します。B市の土地はA市とは別に判断されます。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、固定資産税の免税点をわかりやすく解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税の免税点とは?

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8-2. 免税点未満に収まる土地の典型例

免税点(課税標準額30万円未満)に該当しやすい土地の典型例は次のとおりです。

  • 田舎・農村部の山林(純山林として評価されるため固定資産税評価額が著しく低い)
  • 農業用の小区画の農地(田・畑)
  • 過疎地域にある小さな雑種地
  • 相続で取得した地方の小さな土地

イメージとしては、固定資産税評価額が数十万円から数百万円程度の小さな土地や、農地・山林として評価される土地が対象になりやすいです。

たとえば、固定資産税評価額が40万円の山林(純山林評価)の場合、住宅用地特例や負担調整措置の適用後の課税標準額がそのまま40万円であれば免税点を超えるため課税されます。

しかし、純山林など評価額自体が極めて低い土地では、課税標準額が30万円未満に収まるケースがあります。

注意
  • 免税点の判定は市区町村が自動的に行います。免税点未満であれば納税通知書は届きません。

    ただし、同一市区町村内で複数の土地を所有している場合は合算されるため、個別の土地が安くても合計で30万円以上になれば課税されます。

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8-3. 複数の土地を持つ場合に市区町村をまたぐと有利になる理由

免税点は市区町村ごとに独立して判定されます。そのため、複数の市区町村に土地を所有している場合は、市区町村をまたいだ合算は行われません。

たとえば、次のようなケースを考えてみましょう。

  • A市に課税標準額25万円の土地を1筆所有
  • B市に課税標準額20万円の土地を1筆所有

この場合、A市の課税標準額合計は25万円(30万円未満)、B市は20万円(30万円未満)となり、両方とも免税点以下のため固定資産税はかかりません

一方、A市に課税標準額25万円の土地と20万円の土地を両方所有していた場合、合計は45万円(30万円以上)となり、課税されます。

つまり、相続などで複数の土地を取得する場合、それらが異なる市区町村に分散して所在していると、免税点の恩恵を受けやすい状況になります。

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8-4. 東京都特別区・政令指定都市における免税点の特例

東京都特別区や政令指定都市(さいたま市・大阪市・名古屋市などの大都市)においては、各特別区や行政区ごとに免税点を適用します。

東京都特別区内では「区ごと」に免税点の判定が行われ、千代田区と新宿区に土地を持っていた場合、それぞれの区ごとに合算して30万円未満かどうかを判断するといった具合です。

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8-5. 令和9年度から家屋の免税点が引き上げられる(土地は変更なし)

令和9年度分以降、家屋は30万円、償却資産は180万円に免税点が引き上げられます。(出典:資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり

一方、土地の免税点(30万円)は令和9年度以降も変更ありません。家屋・償却資産のみ引き上げられます。

念のため、現行の免税点と令和9年度以降の免税点を整理すると次のとおりです。

固定資産税の免税点一覧(現行と令和9年度以降の比較)
種類 現行(令和8年度まで) 令和9年度以降
土地 課税標準額30万円未満 変更なし(30万円未満)
家屋 課税標準額20万円未満 30万円未満(引き上げ)
償却資産 課税標準額150万円未満 180万円未満(引き上げ)

土地の免税点の活用を検討している方は、土地の基準は変わらない点を確認したうえで判断してください。

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9. 【農地・山林の所有者向け】地目・用途の特性で課税額を抑える

農地(田・畑)や山林は、その地目の特性から宅地よりもはるかに低い固定資産税評価額で評価されます。

農業的な利用を継続することが、結果として土地の固定資産税を低く抑えることに直結します。

ただし、農地の種類(一般農地か市街化区域農地か)によって評価方法と課税の仕組みが大きく異なるため、自分の農地がどの区分に該当するかを把握しておくことが重要です。

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9-1. 農地(田・畑)は宅地より固定資産税評価額がはるかに低い——農地評価の仕組み

農地(田・畑)の固定資産税評価額は、農地を農地として利用する場合の売買価格を基準として評価されます。

農地の取引価格は宅地より大幅に低いため、固定資産税評価額も宅地と比べて著しく低くなります。

イメージとしては、同じ面積の土地であっても、宅地の固定資産税評価額が1,000万円であれば、農村部の一般農地の固定資産税評価額は数万円〜数十万円程度にとどまることも珍しくありません。

農地を宅地に転用せず農業的な利用を継続することは、固定資産税の観点からも有利な選択といえます。

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9-2. 市街化区域農地と市街化調整区域農地で評価方法が異なる

農地の固定資産税評価額の算出方法は、農地がどこに所在するかによって大きく異なります。

農地は大きく「一般農地」と「市街化区域農地」に分類され、一般農地とは、市街化区域農地や転用許可を受けた農地などを除いた農地のことです。

市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき。都市化を抑制する区域)の農地や農村部の農地がこれに該当し、一般農地は「農地評価」が適用され、農業経営上の価値をもとに低い固定資産税評価額が算出されます。

市街化区域農地とは、都市計画法に基づく市街化区域(しがいかくいき。おおむね10年以内に市街化を図る区域)内にある農地のことです。

宅地に転用しやすい立地であることから、宅地と同等に近い方法(類似宅地の固定資産税評価額から造成費を差し引いた価額)で評価されます。

そのため固定資産税評価額は一般農地より大幅に高くなります。つまり、市街化区域内の農地は同じ「農地」でも税負担が重くなります。

農地の主な区分と固定資産税評価額・課税標準額のイメージ
農地の区分 固定資産税評価額の算出方法 課税標準額 特徴
一般農地(市街化調整区域など) 農地としての売買価格を基準に評価(農地評価) 固定資産税評価額 × 負担調整率 評価額が著しく低い
一般の市街化区域農地 類似宅地の固定資産税評価額 − 造成費 固定資産税評価額 × 1/3 評価額は宅地に近い水準
特定市街化区域農地(三大都市圏の特定市) 同上 固定資産税評価額 × 1/3 宅地並み課税の対象
生産緑地地区の指定を受けた農地 一般農地と同様(農地評価) 一般農地と同様 農地評価が継続

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9-3. 生産緑地の指定を受けると農地評価が継続できる

市街化区域内に農地を所有している方にとって、重要な制度があります。それが「生産緑地」(せいさんりょくち)です。

生産緑地とは、市街化区域内にある農地等で、一定の要件を満たして市区町村から「生産緑地地区」の指定を受けた土地のことです。

資産評価システム研究センターが公開する資料「令和8年度 固定資産税のしおり」には、次のとおり明記されています。

生産緑地地区の指定を受けた農地は、原則として一般農地と同様の評価・課税となります。

つまり、生産緑地の指定を受けることで、市街化区域内の農地であっても、原則として宅地並み評価ではなく農地評価のまま維持されるというわけです。

固定資産税の観点では大幅な税負担の軽減につながります。ただし、特定生産緑地の指定を受けずに30年が経過した生産緑地等はこの限りでなく、市街化区域農地(宅地並み評価)の対象となります。

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9-4. 農地の固定資産税を維持するための条件——農業継続が前提

農地として低い固定資産税評価額が維持されるためには、実際に農業を継続していることが大前提です。

農地を農地として利用しなくなった(耕作放棄した)場合、現況地目が変わり、固定資産税評価額も変わる可能性があります。耕作放棄地が「雑種地」と判定されれば、固定資産税評価額が上がるケースもあります。

また、生産緑地地区として指定されてから30年が経過すると(この日を「申出基準日」といいます)、所有者は市区町村に対して買取り申出ができるようになります。

買取り申出後、市区町村等に買い取られず、他の農業従事者へのあっせんも成立しなかった場合、申出から3か月後に生産緑地の行為制限(農業以外の使用の禁止)が解除されます。

この段階で農地評価の適用が終わり、段階的に宅地並み課税へと移行します(三大都市圏特定市では激変緩和措置が適用され、5年かけて宅地並みの税額に上昇します)。

この「30年問題」に対応するため、「特定生産緑地」(とくていせいさんりょくち)という制度が設けられています。生産緑地の所有者が同意し、市区町村が申出基準日(30年経過日)までに指定することで、買取り申出ができる時期が10年延期されます。

特定生産緑地の指定期間中は農地評価が継続され、指定は10年ごとに更新可能です。ただし、30年が経過した後は特定生産緑地の指定を受けることができなくなります。

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10. 土地の固定資産税を減税するための自己診断チェックリスト

自己診断チェックリストは、ここまでに解説した減税手段の中から「自分の土地に使えるものがあるか」を素早く確認するための一覧です。

土地の状況(住宅あり・更地・農地・私道含む)ごとに分けていますので、自分の土地に当てはまる項目から確認してみてください。

チェックが入った項目があれば、該当する章に戻って詳細を確認することをお勧めします。

固定資産税 土地のみ 減税チェックリスト 土地タイプ別フロー

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10-1. 住宅が建っている土地のチェック項目

住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」(課税標準額が固定資産税評価額の1/6または1/3になる制度)が適用されています。

この特例が正しく適用されているかどうか、また申告漏れで損をしていないかを確認することが大切です。以下の項目を確認してください。

住宅用地の特例は正しく適用されているか

納税通知書の課税明細書(年4〜6月に届く書類)を確認し、「住宅用地」「小規模住宅用地」として記載されているかを確認する。記載がない場合や疑問がある場合は、市区町村の税務担当窓口に問い合わせる。

建替え中または建替え予定はあるか

住宅を解体して建て替える場合、1月1日時点で住宅がない状態になると住宅用地の特例が外れる。ただし「建替え特例」の要件を満たせば1年間継続できる。建替えを計画している場合は、事前に市区町村の窓口に申告方法を確認する。

空き家になっていないか(特に管理が不十分な場合)

空き家が「特定空家等」または「管理不全空家等」として市区町村から勧告を受けると、住宅用地の特例が外れる。空き家を所有している場合は、定期的に管理し、放置しないことが重要。

敷地内に私道・セットバック・隅切りはあるか

建物の建築時に生じたセットバック部分(道路拡幅のために後退させた部分)や隅切り、通り抜けができる私道がある場合、非課税申告をすれば固定資産税がゼロになる可能性がある。申告していない場合は市区町村の窓口に確認する。

固定資産税評価額(納税通知書に『価格』と記載)に疑問はあるか

固定資産税評価額が近隣の類似した土地と比べて著しく高いと感じる場合、縦覧制度(4月1日〜4月20日頃、市区町村の窓口で他の土地の評価額を確認できる制度)を活用して比較できる。

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10-2. 更地・空き地のチェック項目

更地・空き地は住宅用地の特例が適用されないため、税負担が重くなりがちです。

更地のまま放置しているほど毎年の税額が積み上がるため、以下の項目を確認して対策を検討することをお勧めします。

住宅を建てる(または建てることを希望する人に売る)ことが可能か

住宅が建てば小規模住宅用地の特例(課税標準額が固定資産税評価額の1/6)が適用され、更地と比べて課税標準額が大幅に下がる。更地のまま保有し続けることが最も税負担が大きい。

駐車場・資材置き場として活用することで評価額を下げられるか

郊外・農村部など、周辺の雑種地(駐車場等)の取引価格が宅地より低い地域では、現況地目を雑種地にすることで固定資産税評価額が下がる場合がある。ただし、市街地では効果が限定的なことが多い。必ず市区町村の窓口か税理士に確認する。

注意
  • 住宅を解体して更地にすると、住宅用地の特例が外れ、税額が大幅に増える場合がある。たとえば固定資産税評価額3,000万円の小規模住宅用地の場合、年間税額が約7万円から約29万4,000円へと約4倍以上になる可能性がある(負担調整後の概算)ため注意が必要。

同一市区町村内のすべての土地の課税標準額の合計が30万円未満か

合計が30万円未満であれば免税点の適用によりその市区町村では固定資産税はかからない。複数の土地を持つ場合は市区町村ごとに判定されることを確認する。

適格な法人(学校法人・社会福祉法人・宗教法人等)に無償で提供できる状況か

無償で提供し、法人が定められた用途で実際に使用すれば用途非課税が適用され、固定資産税がゼロになる場合がある。ただし賃料収入もゼロになるため、損益を比較したうえで判断する。

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10-3. 農地・山林のチェック項目

農地・山林は地目の特性から固定資産税評価額が宅地より低く設定されています。

ただし、農地の種類(一般農地か市街化区域農地か)や管理状況によって税負担が変わるため、以下の項目を確認することが大切です。

現況は農地・山林として継続して利用されているか

固定資産税の地目は1月1日時点の現況地目で判定される。耕作放棄してしまうと現況地目が変わり、評価額が上がる可能性がある。農地として低い評価額を維持するには農業の継続が前提。

市街化区域内の農地か(一般農地か市街化区域農地かを確認)

市街化区域農地は宅地並みの評価方法が適用され、固定資産税評価額が高くなる。一方、生産緑地地区の指定を受けていれば一般農地と同様の農地評価・農地課税となる。

生産緑地の30年問題に直面していないか(市街化区域内農地の場合)

生産緑地地区の指定から30年が経過するまでに「特定生産緑地」の指定を受けていないと、農地評価が終わり段階的に宅地並み課税に移行する。30年の期限が近づいている場合は、早急に市区町村に相談する。

同一市区町村内のすべての土地の課税標準額の合計が30万円未満か

農村部の山林・農地は固定資産税評価額が極めて低いため、免税点(30万円未満)以下となる場合がある。課税明細書の「課税標準額」欄を確認する。

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10-4. 私道・水路が含まれる土地のチェック項目

自分の土地の中に私道や水路が含まれている場合、申告するだけで固定資産税がゼロになる可能性があります。

「申告することを知らなかった」という理由で長年税金を払い続けているケースが実務では少なくありません。

土地の中に通り抜けできる私道はあるか

幅員がおおむね1.8m以上で、不特定多数の人が自由に通行できる私道は「公共の用に供する道路」として非課税申告できる場合がある。植木や車止めなど通行を妨げる物が置かれていないことが条件。

建替えや新築時にセットバックや隅切りが生じたか

セットバック部分(道路拡幅のために後退させた部分)や隅切り(交差点の角を三角形に切り取った部分)も非課税申告の対象になる場合がある。

建築・建替え時に申告しないまま放置されているケースが多い。

農業用の水路・ため池・堤とうが土地の中に含まれているか

農村部・郊外の土地では、農業用水路・ため池・堤とうなどが含まれている場合がある。これらも「公共の用に供する用悪水路・ため池等」として非課税申告できる可能性がある。

非課税申告を一度も行ったことがないか

私道・セットバック・水路等の非課税は自動的に適用されない。申告が必要であり、年内に申告すれば翌年度から非課税が適用される(市区町村によって異なる)。土地が所在する市区町村の税務担当窓口に確認する。

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まとめ - よくある質問

土地の固定資産税を減税する方法は、「住宅用地の特例」だけではありません。

この記事では、課税標準額を下げる・固定資産税評価額を下げる・非課税や免税点を活用するという3つのルートから、具体的な手段を解説しました。

「知っているかどうか」で毎年の税負担が大きく変わる制度が、土地の固定資産税には数多く存在します。

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この記事で解説した減税手段の総まとめ

この記事で取り上げた主な減税手段を振り返ると、次のとおりです。

ルート①:課税標準額を下げる

  • 住宅用地の特例(小規模住宅用地で固定資産税評価額の1/6)——土地のみの固定資産税に適用される最大の軽減措置
  • 建替え特例——建替え工事中も特例を1年間継続できる
  • 負担調整措置の理解——商業地等・住宅用地それぞれの仕組みを把握して税額の推移を予測する

ルート②:固定資産税評価額を下げる

  • 縦覧と審査申出——評価額に疑問があるときは、縦覧で確認し、期限内に審査申出を行う
  • 現況地目の見直し(雑種地化)——郊外・農村部の更地や非住宅用地は、駐車場等への転用で評価額が下がる場合がある(住宅が建っている土地には使わないこと)

ルート③:非課税・免税点を活用する

  • 私道・セットバック・水路の非課税申告——申告するだけで対象部分の固定資産税がゼロになる
  • 用途非課税(学校法人・社会福祉法人等への無償提供)——実態を伴う無償提供であれば固定資産税がゼロになる場合がある
  • 免税点の活用——同一市区町村内の課税標準額合計が30万円未満であれば固定資産税は課されない
  • 農地・生産緑地の維持——農業を継続し、農地評価を維持することが固定資産税の観点でも有利

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見落としやすい落とし穴

この記事を通じて繰り返し強調してきたことがあります。次の3点は、特に注意が必要です。

落とし穴①:「更地=住宅用地の6倍」は誤解

更地の課税標準額は固定資産税評価額の最大70%(負担調整措置の上限)であり、小規模住宅用地の1/6との差は最大約4.2倍です。

「6倍になる」という情報は正確ではありません。

落とし穴②:住宅を解体して駐車場にすると大幅な増税になる

住宅が建っている土地は住宅用地の特例(1/6)が適用されています。住宅を解体すると特例が外れ、税額が大幅に増えます。

たとえば固定資産税評価額3,000万円の土地では、年間税額が約7万円から約29万4,000円へと跳ね上がることがあります。解体前に必ず税額の試算を行ってください。

落とし穴③:申告しなければ非課税は自動的に適用されない

私道・セットバック・水路の非課税、用途非課税など、多くの制度は申告が必要です。要件を満たしていても申告をしなければ、ずっと課税され続けます。

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最後に:小さな確認が毎年の節税につながる

毎年4〜6月に届く納税通知書の「課税明細書」には、固定資産税評価額(「価格」と記載)と課税標準額が記載されています。

まず自分の土地の数字を確認することが、減税の第一歩です。

「住宅用地の特例は正しく適用されているか」「申告漏れの非課税対象はないか」「固定資産税評価額は適正か」——これらを確認するだけで、気づいていなかった節税の機会が見つかることがあります。

疑問や不明点が生じた場合は、土地が所在する市区町村の税務担当窓口または税理士に相談することをお勧めします。

固定資産税は毎年発生する税金です。1年ごとの小さな確認の積み重ねが、長期的な税負担の軽減につながります。

最後に、土地の固定資産税の減税に関するよくある質問とその答えをまとめます。本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。

土地の固定資産税を減税する方法にはどんなものがありますか?
大きく3つのルートがあります。①住宅用地の特例などで課税標準額を下げる、②現況地目の見直しや審査申出で固定資産税評価額を下げる、③私道の非課税申告・免税点の活用で固定資産税をゼロにする、という3ルートです。住宅用地の特例が最も効果が大きく、小規模住宅用地(200㎡以下)では課税標準額が評価額の6分の1になります。
更地にすると固定資産税が住宅用地の6倍になると聞きましたが、本当ですか?
正確ではありません。更地(商業地等)には負担調整措置が適用されるため、課税標準額の上限は固定資産税評価額の70%です。小規模住宅用地の課税標準額(評価額の1/6)との差は最大で約4.2倍にとどまります。「6倍」という情報はよく見かけますが、誤りです。
住宅を解体して駐車場にすると固定資産税はどうなりますか?
大幅に増税になります。住宅が建っている土地には住宅用地の特例(課税標準額が評価額の1/6)が適用されていますが、解体するとこの特例が外れます。たとえば評価額3,000万円の土地では、年間税額が約7万円から約29万4,000円へと跳ね上がる可能性があります。解体前に必ず税額の試算を行ってください。
私道にも固定資産税はかかりますか?非課税にする方法はありますか?
私道でも「公共の用に供する道路」と認められれば、市区町村に非課税申告することで固定資産税はゼロになります。要件は①不特定多数が自由に通行できること、②幅員が通り抜け私道で1.8m以上であること、③植木や車止めなど通行を妨げる物がないことです。申告しなければ自動的に非課税にはならないため、申告が必要です。
土地の固定資産税評価額に疑問があるときはどうすればよいですか?
まず縦覧制度を活用してください。毎年4月1日から4月20日頃までの縦覧期間中に、市区町村の窓口で同一市区町村内の他の土地の評価額と比較できます。評価額が不当に高いと判断した場合は、納税通知書の交付を受けた日から3か月以内を目安に固定資産評価審査委員会へ審査申出を行うことができます。
土地の固定資産税がかからない「免税点」とは何ですか?
同一市区町村内で同一人が所有するすべての土地の課税標準額の合計が30万円未満であれば、固定資産税は課されません。この金額を「免税点」といいます。農村部の山林・小区画の農地などで該当するケースがあります。なお、判定は市区町村ごとに行われるため、異なる市区町村の土地は合算されません。
建替え中の土地にも住宅用地の特例は適用されますか?
一定の要件を満たす場合、建替え中であっても1年間に限り住宅用地の特例が継続されます(建替え特例)。主な要件は、①前年1月1日時点に住宅用地であったこと、②1月1日時点で基礎工事に着手または建築確認申請が受け付けられていること、③翌年1月1日までに新住宅が完成すること、の3点です。事前に市区町村への申告が必要です。
農地の固定資産税は宅地より安いですか?
一般農地(市街化調整区域内の農地など)は農地評価が適用されるため、宅地と比べて固定資産税評価額が著しく低く、固定資産税も大幅に低くなります。ただし、市街化区域内の農地は宅地並み評価が適用されるため税負担が重くなります。市街化区域内の農地でも「生産緑地地区」の指定を受けると、農地評価・農地課税が維持されます。

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著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般社団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov:地方税法総務省:固定資産評価基準 第二章 土地一般財団法人 資産評価システム研究センター 令和8年度 固定資産税のしおり立命館大学「固定資産税の非課税規定の解釈」東京都主税局:小規模非住宅用地に対する固定資産税・都市計画税の減免(23区内)について彦根市「固定資産の非課税について」豊田市「固定資産税・都市計画税の非課税について」
注意点
本記事の内容は令和8年5月時点のものです。最新の情報は市区町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。

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