土地の固定資産税を減税する方法

土地の固定資産税を減税する方法

更地を所有する場合、そのままでは残念ながら固定資産税が減税されることは稀です。

土地の固定資産税は住宅を建てたり、学校法人や社会福祉法人に無償で貸すことにより減税、または非課税となります。

更地を所有しつつ固定資産税が高いと感じる方へ向けて、その土地にかかる固定資産税を減税する3つの方法をご紹介しましょう。

目次

1. 住宅を建てる

土地の固定資産税を減税する1つめの方法は、住宅を建てることです。

更地は住宅を建てることにより、その土地に建つ住宅の床面積の10倍までの部分が住宅用地となります。

たとえば、1,000㎡の土地に床面積が50㎡の住宅を建てた場合は、50㎡の10倍である500㎡までの部分が住宅用地になるといった具合です。

また、300㎡の土地に床面積が50㎡の住宅を建てた場合は、300㎡の全てが住宅用地となります。

そして、住宅用地の200㎡までの部分を小規模住宅用地、200㎡を超える部分を一般住宅用地と呼び、小規模住宅用地となった部分は固定資産税が6分の1に、一般住宅用地となった部分は3分の1に減税されます。

土地は住宅を建てることにより固定資産税が減税される

よって、更地を所有しつつ固定資産税を減税したいと希望する場合は、可能であれば住宅を建てるのが良いでしょう。

なお、住宅を建てることにより土地の固定資産税が減税されることを「住宅用地の特例」などと呼び、同特例は地方税法の第三百四十九条の三の二「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」にて定められています。

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2. アパートやマンションを建てる

土地の固定資産税を減税する2つめの方法は、アパートやマンションを建てるなどして不動産投資を行うことです。

不動産投資とは、不動産を貸しつつ家賃を取るなどして利益を得る投資です。

更地にアパートやマンションなどの集合住宅を建てれば、その集合住宅の総床面積の10倍までの部分が住宅用地となります。

たとえば、更地に総床面積が150㎡のアパートを新築した場合は、その土地の1,500㎡までの部分が住宅用地になるといった具合です。

新築した集合住宅の総床面積の10倍がその土地の面積を上回る場合は、その土地の全てが住宅用地です。

そして、住宅用地のうち、その土地に建つ集合住宅の戸数に200㎡を乗算した面積までの部分が小規模住宅用地に、戸数に200㎡を乗算した面積を超える部分が一般住宅用地となります。

あわせて、小規模住宅用地となった部分の固定資産税は更地の6分の1に、一般住宅用地となった部分の固定資産税は更地の3分の1に減税されます。

これもこの記事の「1. 住宅を建てる」でご紹介した住宅用地の特例であり、更地を所有しつつ固定資産税が高いと感じる場合は、アパートやマンションを建てつつ同特例を適用することにより減税することが可能です。

ただし、更地にアパートやマンションを建てれば土地の固定資産税は減税されますが、新築した建物に固定資産税が課せられることとなるため注意してください。

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3. 幼稚園などに運動場として貸す

土地の固定資産税を減税する3つめの方法は、学校法人などに無償で貸すことです。

固定資産税は地方税法という法律に則って市町村が固定資産の所有者に課税しますが、同法律の第三百四十八条には、学校法人が教育のために使用する土地など、以下の固定資産は非課税になることが記されています。

固定資産税が非課税となる固定資産

  • 学校や保育園、幼稚園など、学校法人や宗教法人、または社会福祉法人が教育のために使用する固定資産
  • 看護師、准看護師、歯科衛生士の養成所など、医療法人や公益社団法人、または一般社団法人、もしくは一般財団法人などが医療教育のために使用する固定資産
  • 介護施設など、社会福祉法人が社会福祉として使用する固定資産
  • 国や都道府県、市町村などの組合が使用する固定資産
  • 宗教法人が境内地や駐車場として使用する固定資産
  • 誰もが通行できる道路など公共性のある固定資産
  • 保安林として使用される土地などの固定資産
  • 一定の条件を満たす保護施設など、社会福祉法人や日本赤十字社が生活保護を目的に使用する固定資産

よって、減税を希望する土地を上記の用途として使用することを約束にそれぞれの団体に貸せば、固定資産税が非課税となります。

たとえば、学校法人が運営する小学校や幼稚園、保育園などに運動場として貸せば、その土地は固定資産税がかかりません。

また、宗教法人に宗教法人が使用する駐車場などとして土地を貸せば、同じく非課税です。

ただし、賃料を取るなどして有料で貸した場合は課税されるため注意してください。

その根拠も同じく地方税法の第三百四十八条に記され、詳細は以下のとおりです。

第三百四十八条(固定資産税の非課税の範囲)2
固定資産を有料で借り受けた者が学校や保育園、幼稚園、医療従事者の養成所、介護施設などとして使用する場合は、市町村は固定資産の所有者に固定資産税を課することができる

なお、先に固定資産税が非課税となる固定資産をご紹介しましたが、それ以外にも多数の非課税となる例があります。

固定資産税が非課税となる固定資産は地方税法の第三百四十八条に記され、詳細は減税を希望する土地が所在する地域を管轄する市町村役場に問い合わせることにより確認することが可能です。

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まとめ - 免税点未満であれば固定資産税は課されない

土地の固定資産税を減税する3つの方法をご紹介しました。

残念ながら土地は、更地のままでは減税されることは稀です。

一戸建てやアパート、マンションなどの住宅を建てることにより住宅用地の特例が適用され、土地の固定資産税は減税されます。

また、学校法人が教育のために使用する土地などは固定資産税が課せられません。

よって、住宅などを建てることなく土地の固定資産税を減税したいと希望する場合は、学校法人などに無償で貸すことをご検討ください。

なお、土地の固定資産税は以下の式で計算します。

土地の固定資産税の計算式
課税標準額×税率=固定資産税

上記の式に含まれる税率は、市町村によって異なるものの概ね1.4%です。

そして、式に含まれる課税標準額とは、主に固定資産税評価額です。

固定資産税評価額とは、その固定資産の固定資産税を計算するために市町村が評価した価格であり、土地の固定資産税評価額は売買価格の70%程度などになるのが通例となっています。

たとえば、1,000万円で売買される土地の固定資産税評価額は、その70%である700万円などになるといった具合です。

そして、土地の固定資産税には免税点が設けられ、課税標準額が30万円未満であれば課税されません。

課税標準額が30万円未満の土地とは固定資産税評価額が30万円未満の土地であり、固定資産税評価額が30万円未満の土地とは42万円未満などで売買される土地です。

つまり、42万円未満で売買される土地であれば、固定資産税はかからないというわけです。

売買価格が42万円未満などの土地には固定資産税がかからない

市街地の土地が42万円で売買されることは滅多にありませんが、山奥などの土地であれば珍しくありません。

そのため、売買価格が42万円未満の土地を所有しつつ固定資産税が課せられ、その税額を減税する方法をお調べの方がいらっしゃいましたら、課税されること自体に誤りがないか市町村役場にお問い合わせください。

ひょっとすると、手違いによって課税されているのかもしれません。

ご紹介した内容が、土地の固定資産税を減税する方法をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年6月

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