固定資産税は何坪から高くなる?

固定資産税は何坪から高くなる?

新築の一戸建ての家屋にかかる固定資産税は、何坪から高くなるなどの概念はなく、グレードの高い建材と設備が使用された、坪数が広い家屋ほど高くなります。

土地の固定資産税は坪数が広いほど高くなる傾向がありますが、何坪から高くなるなどの明確な指標はなく、立地条件が良く、坪数が広い土地ほど税額が高くなります。

新築の一戸建ての家屋と、土地の固定資産税額の考え方をご紹介しましょう。

目次

1. 新築の一戸建ての家屋の固定資産税は何坪から高くなる?

新築の一戸建ての家屋の固定資産税は、何坪から高くなるという概念はありません。

その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築するために要する費用が高額な家屋ほど、固定資産税は高くなります。

つまり、高額な建築費をかけて新築された家屋ほど、固定資産税が高くなるというわけです。

高額な建築費をかけて新築された家屋とは、高額な建材と設備が導入され、長い工期を要する複雑な工法が用いられた、坪数が広い家屋です。

家屋の固定資産税は、何坪から高くなるなどの概念はない

一戸建ての新築を取得すると、まもなく市町村役場から固定資産評価員などと呼ばれる調査員が訪れ、家屋調査を行います。

家屋調査にて調査員は、屋根や外壁、基礎、内壁、天井、床などを確認し、使用されている建材や設備、工法の種類、施工面積などを調査します。

そして、調査結果に応じて、各箇所に点数を付けます。

付けられる点数は、導入するために高額な費用を要するグレードが高い建材や設備、作業員が長時間の労働を要する複雑な工法が用いられているほど高くなります。

また、施工面積が広い箇所は、さらに点数が高くなります。

その後、各箇所に付けられた点数は合計され、合計点数を再建築費評点数と呼び、再建築費評点数は1点あたり1円前後に換算されます。

たとえば、再建築費評点数が1,500万点であれば、1,500万円に換算されるといった具合です。

換算された額は「固定資産税評価額」などと呼ばれ、固定資産税評価額に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した額などが、その新築の家屋の新築時の固定資産税となります。

計算例を挙げると、固定資産税評価額が1,500万円であれば以下のように計算し、固定資産税は21万円です。

固定資産税の計算例
1,500万円(固定資産税評価額)×1.4%(固定資産税の税率)=21万円

ただし、新築された家屋には「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用され、木造であれば初めて固定資産税が課されることとなった年から3年、鉄筋コンクリート造であれば5年などにわたり、税額が2分の1に軽減されます。

新築の一戸建てを取得すると、家屋と土地を取得し、その両方に固定資産税が課されますが、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」が適用されることにより軽減されるのは、家屋にかかる固定資産税のみのためご注意ください。

新築の固定資産税が軽減されるのは、家屋にかかる固定資産税のみ

なお、再建築費評点数を円に換算した額が、新築の家屋の固定資産税評価額となりますが、新築の家屋の固定資産税評価額は、正確な根拠はないものの、建築費の6割程度になるといわれます。

例を挙げると、建築費が2,000万円の新築の家屋であれば、その6割の1,200万円程度が固定資産税評価額になるといった具合です。

新築の家屋にかかる固定資産税は、固定資産税評価額が高額なほど高くなります。

よって、新築の取得を予定しつつ固定資産税を安くしたいと希望する場合は、できる限り建築費を抑えつつ新築する、または建築費が抑えられた新築をご購入ください。

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2. 土地の固定資産税は何坪から高くなる?

土地の坪数は固定資産税に大きな影響を与え、坪数が広いほど税額が高くなりますが、具体的に「何坪から税額が高くなる」などの概念はありません。

土地の固定資産税は、立地条件が良く、なおかつ坪数が広いほど高くなります。

土地の固定資産税は何坪から高くなるという概念はなく、立地条件が良く坪数が広いほど高くなる

立地条件が良い土地とは、駅やバス停、学校、大きな病院、市役所や区役所などに近く、公営水道や公共下水、都市ガスが引き込める土地です。

接する道路の本数が多い土地も立地条件が良い土地に該当し、1本より2本、2本より3本、3本より4本の道路に接する方が、固定資産税が高くなります。

「角地や準角地は固定資産税が高い」といわれますが、それは接する道路が多いことにより、立地条件が良い土地に該当することが理由です。

また、間口や奥行きも土地の固定資産税額を決定する要因のひとつです。

住宅地であれば間口が8メートル以上、奥行きが10メートル以上24メートル未満、商業地であれば間口が6メートル以上、奥行きが12メートル以上32メートル未満などの土地は、それ以外の土地より固定資産税が高めです。

さらに、土地の形状も固定資産税に影響を与えます。

具体的には、整地されていない凸凹の多い土地や傾斜地より、平らで四角形の土地の方が固定資産税が高くなります。

間口と奥行きが程よい土地や、整地された土地の固定資産税が高くなるのは、市町村から使い勝手が良い土地とみなされることが理由です。

使い勝手が良い土地は高く売買されますが、高く売買される土地は、固定資産税も高くなる傾向があります。

そして、立地条件が良く、なおかつ坪数が多い土地ほど固定資産税が高くなります。

しかし、実は土地の固定資産税には、税額を計算する明確な指標があります。

つづいて、土地の固定資産税額を計算する指標をご紹介しましょう。

2-1. 具体的な税額は、公示地価や基準地価を基に計算される

土地の固定資産税は、立地条件が良く坪数が広いほど高くなりますが、具体的には公示地価と基準地価を指標として計算されます。

公示地価とは、国道交通省が毎年公示する全国各地に点在する約2万6,000ヵ所の標準地と呼ばれる地点の1平方メートルあたりの正常な価格です。

毎年3月ごろになるとニュースで「今年の公示地価が公示され、全国第一位は山野楽器銀座本店であり、1平方メートルあたり5,000万円でした」などと報道されますが、あの価格が公示地価となっています。

公示地価全国第一位でお馴染みの山野楽器銀座本店

基準地価とは、各都道府県が毎年公表する全国各地に点在する約2万1,000ヵ所の標準地と呼ばれる地点の1平方メートルあたりの標準価格です。

標準地の公示地価も基準地の基準地価も、周辺の土地が売買された際の価格などを参考に設定されるため、その周辺の土地の実勢価格と考えることができます。

そして、土地の固定資産税は、その土地と条件が類似する標準地の公示地価、または基準地の基準地価の7割程度として評価した、1平方メートルあたりの適正な時価を基に計算されます。

たとえば、公示地価が30万円の標準地、または基準地価が30万円の基準地と条件が類似する100平方メートルの土地があったとしましょう。

その場合は、30万円の7割である21万円程度が、その土地の1平方メートルあたりの適正な時価と評価され、「21万円×100平方メートル=2,100万円」と計算し、その土地全体の適正な時価は2,100万円程度となります。

土地の適正な時価を「土地の固定資産税評価額」などと呼び、土地の固定資産税は、土地の固定資産税評価額を基に計算されます。

具体的な税額の計算方法は、更地か住宅が建つ土地であるかによって異なります。

固定資産税評価額が2,100万円である更地は以下のように計算し、固定資産税は20万5,800円程度です。

更地の土地の固定資産税の計算例
2,100万円(土地の固定資産税評価額)×70%×1.4%=20万5,800円

固定資産税評価額が2,100万円である住宅が建つ土地は以下のように計算し、固定資産税は4万9,000円程度となります。

住宅が建つ土地の固定資産税の計算例
2,100万円÷6×1.4%=4万9,000円

土地の固定資産税は、何坪から高くなるなどの概念はなく、立地条件が良く坪数が広いほど高くなりますが、具体的には、その土地と条件が類似する標準地の公示地価や、基準地の基準地価を指標として税額が計算されます。

ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「誰でもわかる不動産売買」では、公示地価と基準地価の詳細をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。

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公示価格とは?わかりやすく解説
基準地価とは?わかりやすく解説

それぞれのコンテンツでは、全国各地の約2万6,000ヵ所の標準地の公示地価や、約2万1,000ヵ所の基準地の基準地価を無料で調べる方法もご紹介しています。

土地の固定資産税を計算する基となる公示地価や基準地価にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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まとめ - マンションの固定資産税は、戸数が少ないほど高くなる

固定資産税が何坪から高くなるかご紹介しました。

新築の一戸建ての家屋にかかる固定資産税は、何坪から高くなるなどの概念はなく、高額な費用をかけて新築された家屋ほど固定資産税が高くなります。

土地の固定資産税も何坪から高くなるなどの概念はなく、坪数が広ければ税額が高くなる傾向があるものの、立地条件も重要な要素であり、立地条件が良く坪数が広い土地ほど税額が高くなります。

固定資産税が何坪から高くなるかお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、新築のマンションを購入すると、一戸部分と土地の持ち分を取得し、その両方に固定資産税が課されます。

そして、一戸部分の固定資産税は、そのマンション一棟の固定資産税を、戸数などで割った額です。

新築のマンション一棟の固定資産税は、新築の一戸建ての家屋と同じく、高額な建材や設備、複雑な工法が用いられているほど高くなります。

そのため、新築のマンションの一戸部分の固定資産税は、高額な建材や設備と複雑な工法が用いられた、戸数が少ないマンションほど高くなります。

マンションの土地の持ち分の固定資産税は、そのマンションが建つ土地全体の固定資産税を、戸数などで割った額です。

マンションが建つ土地全体の固定資産税は、一般の土地と同じく、立地条件が良く坪数が広いほど高くなります。

よって、マンションの土地の持ち分の固定資産税は、立地条件が良く坪数が広く、なおかつ戸数が少ないマンションほど高くなります。

マンションの固定資産税は、何坪から高くなる?

高額な建材や設備と複雑な工法が用いられ、好立地で坪数が広く戸数が少ないマンションとは、いわゆる高級マンションです。

つまり、高級マンションは、固定資産税が高くなるというわけです。

ご紹介した内容が、家屋や土地の固定資産税が何坪から高くなるか、お調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2022年7月

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