固定資産税が急に上がった理由

固定資産税が急に上がった理由は様々ですが、新築であれば、軽減措置の適用期間が完了したことなどが理由です。
また、土地であれば、住宅を解体したことなどが理由と考えられます。
固定資産税が急に上がった理由を解説し、さらに税額が上がる可能性があるかご紹介しましょう。
目次
- 1. 固定資産税が急に上がったのは、軽減措置や特例の適用が外れたため
- 1-1. 新築の固定資産税が急に上がったのは、軽減措置の適用期間が完了した
- 1-2. 住宅を解体後に土地の固定資産税が急に上がったのは、特例の適用が外れた
- 1-3 空き家の固定資産税が急に上がったのは、特定空家の勧告を受けた
- まとめ - 荒れ地を整地すると、固定資産税が急に上がる
固定資産税が急に上がったのは、軽減措置や特例の適用が外れたため
固定資産税が急に上がった理由は様々ですが、新築を取得後4年目や6年目に上がったのであれば、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用期間が完了したためです。
「新築された住宅に対する固定資産税の減額」とは、一定の条件を満たす新築である住宅を取得することにより適用される軽減措置です。
多くの新築には申告不要で同軽減措置が適用され、はじめて固定資産税が課されることとなった年から3年や5年などにわたり、知らぬ間に建物にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
はじめて固定資産税が課されることとなった年とは、新築を取得した年の翌年です。
そして、新築を取得後4年目や6年目に同軽減措置の適用期間が予告なしで完了し、固定資産税が急に上がったと驚くこととなります。
住宅を解体して土地の固定資産税が急に上がったのであれば、その土地に適用されていた「住宅用地の特例」の適用が外れたことが理由です。
「住宅用地の特例」とは、住宅が建つ土地にかかる固定資産税や都市計画税が安くなる特例です。
多くの住宅が建つ土地にはいつの間にか同特例が適用され、土地にかかる固定資産税や都市計画税が安くなりますが、住宅を解体すると適用が外れ、固定資産税が急に上がったと驚くこととなります。
所有する空き家の固定資産税が急に上がったのであれば、市町村から管理不全空家、または特定空家とみなされ、「住宅用地の特例」の適用が外れたことが理由です。
管理不全空家や特定空家とは、屋根が崩れる、壁が壊れるなどして倒壊するおそれがある空き家を指します。
先述のとおり、住宅が建つ土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税や都市計画税が安くなりますが、管理不全空家や特定空家とみなされれば適用が外れます。
適用が外れれば税額が上がり、固定資産税が急に上がったと驚くこととなります。

つづいて、これまでにご紹介した新築や土地、空き家の固定資産税が急に上がった理由の詳細を解説し、さらに固定資産税が上がる可能性があるかご紹介しましょう。
新築の固定資産税が急に上がったのは、軽減措置の適用期間が完了した
戸建ての新築であれば取得後4年目などに、新築マンションであれば取得後6年目などに固定資産税が急に上がったのであれば、軽減措置の適用期間が完了したことが理由です。
床面積が50㎡以上など、一定の条件を満たす新築の住宅である建物を取得すると、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が適用されます。
同軽減措置が適用されれば、一般的な新築の戸建てであれば3年などにわたり、建物の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
新築のマンションであれば5年などにわたり、建物である一戸部分の床面積の120㎡までにかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
同軽減措置は、多くの市町村では申告不要で適用され、知らぬ間に建物にかかる固定資産税が減額されます。
そして、4年目や6年目などに適用期間が完了すると建物の固定資産税が本来の額に戻り、固定資産税が急に上がったと驚くこととなります。
新築の固定資産税が急に上がったのであれば、取得から4年目や6年目などではないかご確認ください。

さて、固定資産税が急に上がった新築は、さらに税額が上がる可能性があるかという点です。
その新築は、よほど地価が上がらなければ、今より固定資産税が上がることはありません。
ただし、昨今のような物価高の最中は、よほど地価が下がらなければ、固定資産税が下がることもないため留意してください。
現在の日本において大きく地価が下がることは珍しいため、その新築の固定資産税は、物価高の最中は下がることはないといえるでしょう。
新築の固定資産税が物価高の最中に下がらないのは、物価高の期間は建物の固定資産税が下がらないためです。
建物の固定資産税は、築年数が経過すると共に徐々に下がるといわれますが、実は物価高の最中は下がりません。
物価高の最中に建物の固定資産税が下がらないのは、建物の固定資産税を計算する仕組みにあります。
建物の固定資産税は、その時価を基に税額を計算し、時価が高ければ税額も高くなり、時価が低ければ税額も低くなります。
建物は徐々に劣化するため、物価水準が安定していれば、築年数が経過すると共に徐々に時価が下がります。
よって、以前のように物価水準が安定していれば、建物の固定資産税は築年数が経過すると共に徐々に下がります。
しかし、最近は物価高により建築費が高騰し、建物の時価が下がらず、その時価を基に計算する建物の固定資産税も下がらないという状況が発生しています。
また、新築を取得すると、一部例外を除き建物に加えて土地も所有することとなり、土地にも固定資産税が課されます。
土地の固定資産税も建物と同じく、その時価に応じた税額が課され、時価が上がれば税額も上がり、時価が下がれば税額も下がります。
土地の時価とは地価ですが、現在の日本において住宅地の地価が大きく変動することは珍しく、新築が建つ土地の固定資産税が大きく上がったり下がったりすることは希です。
すなわち、新築の固定資産税は、物価高の最中は上がりも下がりもしないというわけです。

とはいうものの、物価高が終われば、建物の固定資産税は徐々にですが下がります。
下がるのは新築時の25%程度までであり、25%程度まで下がる年数は構造によって異なり、以下のとおりです。
建物の固定資産税が新築時の25%程度まで下がる年数
構造 | 年数 |
---|---|
木造 | ローコスト住宅であれば最短で25年など、一般的な住宅であれば最短で35年 |
軽量鉄骨 | 最短で30年 |
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 | 最短で60年 |
新築の固定資産税が急に上がったと驚く方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税評価額をわかりやすく簡単に解説する記事を公開中です。
固定資産税評価額のより深い理解を希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ち記事
固定資産税評価額とは?わかりやすく解説(パパっとすぐわかる)
住宅を解体後に土地の固定資産税が急に上がったのは、特例の適用が外れた
住宅を解体して土地の固定資産税が急に上がったのであれば、「住宅用地の特例」の適用が外れたことが理由です。
住宅用地の特例とは、住宅が建つ土地にかかる固定資産税が安くなる特例です。
住宅が建つ土地には同特例が適用され固定資産税が安くなりますが、住宅を解体すると適用が外れ、土地にかかる固定資産税が上がります。
どれくらい上がるかは状況によって異なりますが、築年数が35年などを超える老朽化した木造住宅を解体したのであれば、住宅を解体することにより課されなくなった建物の固定資産税額を上回ります。

さて、住宅を解体して固定資産税が急に上がった土地は、今後も固定資産税が上がるかという点です。
その土地の固定資産税は、地価が上がらなければ、一部例外を除き税額が上がることはありません。
土地の固定資産税は、その土地の時価を基に税額を計算し、時価に応じた税額が課されます。
土地の時価とは、地価です。よって、地価が上がらなければ、例外はあるものの固定資産税が上がることはありません。
であれば、地価が急激に上がれば、再び固定資産税が急に上がるのではと案じますが、その心配は不要です。
全ての土地には、申告不要で「負担調整措置」という措置が適用され、地価が急激に上がっても、税額はゆっくりと上がるように調整されます。
なお、先述のとおり、住宅用地の特例は住宅が建つ土地に適用されますが、正確には、その年の1月1日の時点で住宅が建つ土地に適用されます。
適用されれば、その1月1日が属する年の固定資産税や都市計画税が安くなります。
よって、建て替えのために住宅を解体し、一時的に住宅がない状態で1月1日を迎えると、その年は同特例が適用されず、その年の固定資産税や都市計画税が上がることとなります。
しかし、市町村によっては、建て替えのために一時的に住宅がない状態で1月1日を迎えた場合は、期限内に申告をすることによりその年も同特例が適用されるため留意してください。
申告期限は市町村によって異なりますが、多くの場合は、建て替えるために一時的に住宅がない状態で迎えた1月1日が属する年の1月31日です。
詳細は、市町村のホームページ、または市町村役場の窓口にてご確認いただけます。
空き家の固定資産税が急に上がったのは、特定空家の勧告を受けた
屋根や壁が崩壊するおそれがある空き家を所有し、固定資産税が急に上がったのであれば、市町村から管理不全空家、または特定空家とみなされたことが理由です。
管理不全空家や特定空家とは、倒壊するなどして近隣に危害を与える可能性がある空き家を指します。
そもそも住宅が建つ土地には、「住宅用地の特例」が適用されます。
住宅用地の特例とは、住宅が建つ土地にかかる固定資産税が安くなる特例です。
住宅用地の特例は、空き家であっても管理が行き届き、定期的に利用していれば適用され、その空き家が建つ土地にかかる固定資産税が安くなります。
しかし、市町村から管理不全空家や特定空家とみなされた空き家が建つ土地は、住宅用地の特例の適用が外れます。
適用が外れれば、土地にかかる固定資産税が上がり、所有する空き家の固定資産税が急に上がったと驚くこととなります。

その空き家の今後の固定資産税ですが、地価が上がるなどしなければ、一部例外を除き税額は上がりません。
ただし、そのまま空き家を放置すれば、行政代執行により解体され、費用を請求される虞があります。
よって、空き家を所有しつつ固定資産税が急に上がった場合は、市町村役場に連絡をして、どのように対処すべきか相談をしてください。
相談をすれば適切なアドバイスを受けることができ、市町村によっては、空き家の解体費用に助成金を支給します。
まとめ - 荒れ地を整地すると、固定資産税が急に上がる
固定資産税が急に上がった理由を解説し、今後も固定資産税が上がる可能性があるか解説しました。
新築を取得後4年目や6年目に固定資産税が急に上がったのは、「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置の適用期間が完了したことが理由です。
その新築の固定資産税は、地価が上がらなければ今より税額が上がることはありませんが、物価高の期間中は下がりません。
住宅を解体して土地の固定資産税が急に上がったのは、「住宅用地の特例」の適用が外れたことが理由です。
その土地の固定資産税は、地価が上がらなければ今より税額が上がることはありません。
空き家の固定資産税が急に上がったのは、市町村から管理不全空家や特定空家とみなされ、土地に適用されていた「住宅用地の特例」が外れたことが理由です。
その空き家の固定資産税は、地価が上がらなければ今より税額が上がることはありませんが、市町村に連絡をしてどのように対処すべきか相談するのが良いでしょう。
固定資産税が急に上がった理由と今後の税額
資産の種類 | 固定資産税が上がった理由 | 今後の税額 |
---|---|---|
新築 | 「新築された住宅に対する固定資産税の減額」の適用期間が完了した | 地価が上がらなければ税額は上がることはないが、物価高の最中は下がることもない |
土地 | 住宅を解体して「住宅用地の特例」の適用が外れた | 地価が上がらなければ、一部例外を除き税額は上がらない |
空き家 | 市町村から管理不全空家や特定空家とみなされ「住宅用地の特例」の適用が外れた | 〃 |
なお、建物が建てられていない土地の固定資産税が急に上がった理由として、荒れ地を整地したというものがあります。
たとえば、田舎の荒れ地に家を建てようと整地をしたところ、固定資産税が急に上がったといった具合です。
土地の固定資産税は、市町村が評価したその土地の時価を基に税額を計算し、時価が高い土地ほど税額が高くなります。
荒れ地はそのままでは利用できないため、市町村から時価が低いと評価され固定資産税が安くなり、場合によってはかかりません。
しかし、整地をして利用できるようにすると市町村から時価が上がったとみなされ、固定資産税が急に上がることとなります。
その後、その土地に住宅を建てれば「住宅用地の特例」が適用され固定資産税が安くなりますが、それでも荒れ地のころより税額が高くなるのが通例です。
所有する荒れ地を整地して固定資産税が急に上がったと驚く方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年5月
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