固定資産税の評価替えとは?

固定資産税の評価替えとは?

固定資産税の評価替えとは、3年に1度行われる、市町村による土地や家屋の適正な時価の評価のしなおしです。

固定資産税の評価替えをわかりやすく簡単に解説しましょう。

目次

1. 固定資産税の評価替えとは、適正な時価の評価のしなおし

それでは、固定資産税の評価替えをわかりやすく簡単に解説します。

不動産を所有すると毎年固定資産税が課せられますが、厳密には、1月1日の時点で土地や家屋を所有する方に市町村から課せられます。

この不動産を所有することにより課せられる固定資産税の額ですが、市町村が評価した、その年の1月1日の時点における土地や家屋の適正な時価を基に計算されます。

たとえば、市町村が適正な時価が1,500万円であると評価した土地であれば、1,500万円に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した答えである21万円などが税額となります。

また、市町村が適正な時価が1,000万円であると評価した家屋であれば、1,000万円に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した答えの14万円などが税額です。

不動産の価格には売買価格がありますが、売買価格は売り主と買い主の事情によって変わるため、売買価格に税率を掛け算しては公平に課税されません。

よって、不動産の固定資産税の額は、市町村が評価した、その年の1月1日時点における土地や家屋の適正な時価を基に計算されます。

土地や家屋の固定資産税は適正な時価を基に計算される

しかし、土地や家屋の適正な時価は刻一刻と変わります。

土地の適正な時価は、周辺の地価が上がれば上がり、周辺の地価が下がれば下がります。

家屋の適正な時価は、その家屋と同一の家屋を同一の場所に再び新築するために必要となる材料費や人件費が高騰すれば上がります。

反対に、築年数が経過することにより老朽化すれば、適正な時価は下がります。

このように不動産の適正な時価は様々な要因によって上下動し続けるため、不動産の所有者に毎年固定資産税を課す市町村は、市町村内の全ての土地や家屋の適正な時価を毎年評価しなおさなければなりません。

しかし、日本には約1億8千万筆の土地と、約6千万棟もの家屋が存在し、各市町村が市町村内の全ての土地と家屋の適正な時価を毎年評価しなおすのは困難です。

よって、市町村が不動産の所有者に固定資産税を課す際は、基準年度の1月1日に評価した、その土地や家屋の適正な時価を基に税額を計算します。

基準年度とは、昭和33年度から起算して3年度が経過した年度であり、最近では平成30年、令和3年が基準年度です。

基準年度の翌年や翌々年の固定資産税は、基準年度の1月1日の時点で評価した、その土地や家屋の適正な時価を基に計算し、徴税コストを削減します。

そして、基準年度になれば、土地や家屋の適正な時価を評価しなおします。

固定資産税の評価替えとは、基準年度に至ることにより行われる、市町村による土地や家屋の適正な時価の評価のしなおしです。

固定資産税の評価替えとは、土地や家屋の適正な時価の評価のしなおし

評価替えにより市町村が土地や家屋の適正な時価を評価しなおせば、適正な時価を基に計算される土地や家屋の固定資産税の額も変わることとなります。

なお、基準年度の正確な定義は、固定資産税などに関することを定めた法律「地方税法」の第三百四十一条の第六号に記され、第三百四十一条の第六号をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

地方税法 第三百四十一条 第六号(固定資産税に関する用語の意義)
基準年度とは、昭和三十三年度から起算して三年度、または三の倍数の年度を経過したごとの年度であり、基準年度の翌年度を第二年度、第二年度の翌年度を第三年度という

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2. 土地の固定資産税の評価替えの詳細と方法

固定資産税の評価替えとは、3年に1度の基準年度の度に行われる、市町村による土地や家屋の適正な時価の評価のしなおしです。

土地や家屋の固定資産税は、その土地や家屋の適正な時価を基に計算されますが、3年に1度の基準年度の際に適正な時価が見直されます。

ここから、市町村が基準年度に市町村内に所在する各土地の適正な時価を評価する大まかな流れと、評価替えの方法を簡単にご紹介しましょう。

市町村が、基準年度に市町村内に所在する各土地の適正な時価を評価する大まかな流れは以下のとおりです。

市町村が基準年度に市町村内の各土地の適正な時価を評価する大まかな流れ
  • 1. 市町村内を住宅地区、集落地区、商業地区、工業地区、観光地区などに細かく区分けする
  • 2. 区分けした各地区から代表となる土地を選定する(選定された土地を標準宅地と呼びます)
  • 3. 標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価する
  • 4. 標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を基準として、各地区の標準宅地以外の土地の適正な時価を評価する

以上が、市町村が基準年度に市町村内に所在する各土地の適正な時価を評価する大まかな流れです。

市町村は基準年度の度に以上の流れを繰り返し、市町村内の各土地の適正な時価を評価します。

そして、基準年度に評価した各土地の適正な時価は、基準年度の翌年である第二年度、翌々年である第三年度に引き継がれます。

その後、次の基準年度になれば、ご紹介した流れを再び実行しつつ各土地の適正な時価を評価しなおします。

この基準年度の度に各土地の適正な時価が再評価されるのが、土地の固定資産税の評価替えです。

土地の固定資産税の評価替えの詳細と方法

なお、流れの3にて「標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価する」とご紹介しました。

市町村が流れの3にて、標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価する際は、前年の3月ごろに発表された、最寄りの標準地の公示地価を参考にします。

公示地価とは、国土交通省が毎年公表する、日本全国各地に点在する約2万6千箇所の土地の1平方メートルあたりの正常な価格であり、約2万6千箇所の地点を標準地と呼びます。

標準地の公示地価は、その周辺の土地が売買される際の価格を参考に設定され、毎年見直されます。

そして、市町村が流れの3にて、標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価する際は、前年の3月ごろに発表された、最寄りの標準地の公示地価を参考に、その70%程度と評価します。

たとえば、最寄りの標準地の公示地価が20万円であれば、その標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価は70%である14万円などと評価するといった具合です。

土地の固定資産税の評価替えでは、前年の3月ごろに公表された公示地価を参考に、標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が見直されます。

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まとめ - 土地の固定資産税は評価替えでも急激に上昇しない

固定資産税の評価替えをわかりやすく簡単にご紹介しました。

不動産を所有すると毎年固定資産税が課せられますが、その税額は、市町村が評価した、その年の1月1日時点における土地や家屋の適正な時価を基に計算されます。

そのため、市町村は毎年各不動産の適正な時価を評価する必要がありますが、市町村内に所在する多数の土地や家屋の適正な時価を毎年評価するのは困難です。

よって、市町村は3年に1度である基準年度の年だけ適正な時価を評価し、次の基準年度までその評価額を基に固定資産税額を計算します。

そして、つぎの基準年度になれば、再び市町村内に所在する各不動産の適正な時価を評価しなおします。

この基準年度に行われる各不動産の適正な時価の評価のしなおしが、固定資産税の評価替えです。

固定資産税の評価替えをお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、この記事の「2. 土地の固定資産税の評価替えの詳細と方法」にて、土地の固定資産税の評価替えの方法をご紹介しましたが、評価替えにより土地の適正な時価が大きく上がったと評価されたとしても、固定資産税が急激に高くなることはないため留意してください。

これは、土地の固定資産税には、負担調整措置が設けられていることが理由です。

固定資産税の負担調整措置とは、評価替えなどにより土地の適正な時価が見直された状況において、固定資産税額が急激に上昇することを防ぐ措置です。

土地の固定資産税には負担調整措置が設けられているため、評価替えにより適正な時価が急激に上昇した場合であっても、短期間に税額が高くなることはありません。

固定資産税の負担調整措置の詳細は、当サイトで公開するコンテンツにてご紹介中です。

固定資産税の負担調整措置にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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固定資産税の負担調整措置とは?パパッと簡単に解説

ご紹介した内容が、固定資産税の評価替えをお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年12月

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