過去の固定資産税評価額の調べ方

過去の固定資産税評価額の調べ方は思いのほか簡単であり、市町村役場で過去の固定資産評価証明書の交付を請求することです。
また、市町村役場で過去の公課証明書の交付を請求するという方法もありますが、こちらはあまりお勧めしません。
所有する建物や土地の以前の固定資産税評価額の調べ方、および注意点を解説しましょう。
目次
- 1. 過去の固定資産税評価額の調べ方は、大きく三つ
- 1-1. 市町村役場で過去の固定資産評価証明書の交付を請求する
- 1-2. 市町村役場で過去の公課証明書の交付を請求する
- 1-3. 令和六年度の固定資産税評価額は、令和七年度や八年度の固定資産税評価額から推測できる
- まとめ - 市町村によっては、郵送で固定資産評価証明書の交付を請求できる
過去の固定資産税評価額の調べ方は、大きく三つ
過去の固定資産税評価額の調べ方は大きく三つあり、一つめは、市町村役場で過去の固定資産評価証明書の交付を請求することです。
二つめの調べ方は、市町村役場で過去の公課証明書の交付を請求することであり、一つめ、または二つめの方法を用いれば、過去五年度から十年度などの固定資産税評価額を調べることができます。
三つめの調べ方は、令和六年度の固定資産税評価額のみを把握できますが、令和七年度、もしくは令和八年度の固定資産税評価額から、令和六年度の固定資産税評価額を推測するという方法です。

ただし、ご紹介した過去の固定資産税評価額の三つの調べ方には、場合によっては調べることができないなど、いくつかの注意点があります。
つづいて、過去の固定資産税評価額の三つの調べ方の詳細と注意点を解説しましょう。
市町村役場で過去の固定資産評価証明書の交付を請求する
過去の固定資産税評価額の調べ方として最も有効なのが、市町村役場で過去の固定資産評価証明書の交付を請求することです。
固定資産評価証明書とは、所有する建物や土地の固定資産税評価額などが記された書面であり、市町村によって異なるものの、遡ること五年度や十年度などの証明書の交付を請求できます。
たとえば、令和三年度の固定資産税評価額を調べたい場合は、令和三年度の固定資産評価証明書の交付を請求するといった具合です。

ただし、固定資産評価証明書は、原則として、その建物や土地の所有者、または所有者の親族のみが交付を請求でき、請求する際は身分証明書の提示を求められます。
所有者や親族以外が交付を請求する際は、所有者、もしくは親族から預かった委任状を提出しなければなりません。
また、固定資産評価証明書の交付を請求する際は300円などの手数料が必要であり、市町村によっては、一年度分ごとに手数料を支払わなければならない場合があります。
これにより、過去に遡ること五年度分の固定資産税評価額を調べたい場合は、五年度分である1,500円などの手数料を支払わなければならないことがあり、思いのほかコストがかかります。
なお、「固定資産評価証明書」は通称であり、市町村によっては同証明書を「固定資産の評価証明」や「固定資産課税台帳登録事項証明書」などと呼ぶため留意してください。
固定資産評価証明書の注意点
- 固定資産評価証明書は、その建物や土地の所有者、または所有者の親族のみが交付を請求でき、請求する際は身分証明書の提示を求められる
- その建物や土地の所有者や親族以外が固定資産評価証明書の交付を請求する際は、所有者や親族から預かった委任状の提出を求められる
- 固定資産評価証明書の交付を請求する際は、300円などの手数料を支払う必要がある
- 「固定資産評価証明書」は通称であり、市町村によっては同証明書を「固定資産の評価証明」や「固定資産課税台帳登録事項証明書」などと呼ぶ
市町村役場で過去の公課証明書の交付を請求する
過去の固定資産税評価額の調べ方として、あまりお勧めはしませんが、市町村役場で過去の公課証明書の交付を請求するという方法があります。
公課証明書とは、所有する建物や土地の固定資産税額や固定資産税評価額などが記された書面です。
公課証明書は、市町村によって異なりますが、固定資産評価証明書と同じく過去に遡ること五年度や十年度などの交付を請求できます。
ただし、市町村によっては、公課証明書には固定資産税額のみが記され、固定資産税評価額が記されていません。
これが、過去の固定資産税評価額の調べ方として、過去の公課証明書の交付の請求をお勧めしない理由です。

そもそも公課証明書とは、その建物や土地の固定資産税額を証明する書面であり、固定資産税評価額を証明する書面ではありません。
しかし、市町村によっては、公課証明書に固定資産税評価額が記されています。
よって、過去の公課証明書の交付を請求することでも、過去の固定資産税評価額を調べることができる場合があります。
なお、繰り返しになりますが、公課証明書とは、その建物や土地の固定資産税額を証明する書面であり、固定資産税額は必ず記されています。
すなわち、所有する建物や土地の過去の固定資産税額を調べたい場合は、過去の公課証明書の交付を請求することは極めて有効というわけです。
公課証明書の交付は、固定資産評価証明書と同じくその建物や土地の所有者、または所有者の親族のみが請求できます。
公課証明書の注意点
- 公課証明書には固定資産税額は必ず記されているが、固定資産税評価額は記されていない場合がある
- 公課証明書の交付は、その建物や土地の所有者、または所有者の親族のみが請求でき、請求する際は身分証明書の提示を求められる
- その建物や土地の所有者、もしくは親族以外が公課証明書の交付を請求する際は、所有者や親族から預かった委任状の提出を求められる
- 公課証明書の交付を請求する際は、300円などの手数料を支払う必要がある
ちなみに、当サイト「固定資産税をパパッと解説」では、固定資産税評価額をわかりやすく簡単に解説する記事を公開中です。
固定資産税評価額のより深い理解を希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
お役立ち記事
固定資産税評価額とは?わかりやすく解説(パパっとすぐわかる)
令和六年度の固定資産税評価額は、令和七年度や八年度の固定資産税評価額から推測できる
令和六年度の固定資産税評価額に限りますが、令和七年度や八年度の固定資産税評価額から推測できます。
令和六年度の固定資産税評価額は、一部例外を除き、令和七年度や八年度と同じです。
よって、過去とまではいえませんが、令和七年度や八年度の固定資産税評価額がわかるのであれば、調査不要で令和六年度の固定資産税評価額を把握できます。

固定資産税評価額とは、市町村が評価した建物や土地の「適正な時価」です。
時価とは「その時点の価格」を意味するため、建物や土地の固定資産税評価額は、毎年見直しされなければなりません。
しかし、日本には約6,000万棟もの建物と、約1億8,000万筆もの土地が存在し、それらの固定資産税評価額を毎年見直しては課税コストがかかります。
そのため、建物や土地の固定資産税評価額は、令和六年度や令和九年度など、三年に一度の基準年度と呼ばれる年のみに見直しされます。
基準年度の翌年度や翌々年度の固定資産税評価額は、前の基準年度の額に据え置かれます。
これを理由に、令和七年度や令和八年度の固定資産税評価額がわかるのであれば、令和六年度の固定資産税評価額は調べずとも把握することが可能です。
固定資産税評価額の見直しサイクル
年度 | 固定資産税評価額 |
---|---|
基準年度(令和六年度や令和九年度など、三で割り切れる年度) | 見直しされる |
基準年度の翌年度(令和七年度や十年度など) | 前の基準年度の額に据え置かれる |
基準年度の翌々年度(令和八年度や十一年度など) | 〃 |
ただし、大規模なリフォームを実施し、そのことを市町村役場に届け出た建物は、基準年度以外であっても固定資産税評価額が見直しされます。
また、地価が大幅に下落した土地も、基準年度以外であっても固定資産税評価額が見直しされます。
したがって、大規模なリフォームを実施した建物や、地価が大幅に下落した土地の過去の固定資産税評価額を調べたい場合は、やはり市町村役場で固定資産評価証明書の交付を請求してください。
まとめ - 市町村によっては、郵送で固定資産評価証明書の交付を請求できる
過去の固定資産税評価額の調べ方をご紹介しました。
過去の固定資産税評価額の調べ方は大きく三つであり、一つめは、市町村役場で過去の固定資産評価証明書の交付を請求することです。
そうすれば、遡ること五年度や十年度などに限りますが、過去の固定資産税評価額を確実に把握できます。
二つめの方法は、市町村役場で過去の公課証明書の交付を請求することです。
ただし、市町村によっては、公課証明書には固定資産税額は記されているものの、固定資産税評価額は記されていない場合があるため注意してください。
三つめの方法は、基準年度の翌年度や翌々年度の固定資産税評価額から、基準年度の固定資産税評価額を把握することです。
固定資産税評価額は、令和六年度や令和九年度など、基準年度と呼ばれる年度のみに見直しされ、それ以外の年度は前の基準年度の額に据え置かれます。
よって、令和七年度や八年度の固定資産税評価額がわかるのであれば、基準年度である令和六年度の固定資産税評価額は調査不要で把握できます。
ぜひご参考になさってください。
ちなみに、本記事でご紹介したとおり、固定資産評価証明書や公課証明書は市町村役場で交付を請求できますが、市町村によっては郵送で請求できます。
東京23区や大阪市などがそれに該当し、郵送で交付を請求できる場合は、市町村役場まで出向く必要はありません。
特に大阪市では、マイナンバーカードを利用してコンビニで交付を請求でき、とても便利です。
本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年4月
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