中古住宅の固定資産税|年間いくら?計算・軽減・落とし穴も解説
中古住宅の固定資産税は、年間いくらかかるのでしょうか。「新築より安いはず」と思って購入したのに、届いた納税通知書の金額が思ったより高かった——そんな声は少なくありません。
あるいは、これから中古住宅の購入を検討していて、毎年の維持費にいくら見込んでおけばいいのか、なかなかイメージがつかめずにいる方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、中古住宅の固定資産税は築年数が古いほど安くなる傾向があります。ただし、近年の建築費の高騰(物価高)を受けて、「築年数が経っても税額がなかなか下がらない」ケースが増えています。
また、購入の年には売主との間で精算が発生することや、建物を解体すると土地の税額が大幅に上がるといった、知らないと損をする落とし穴もあります。
そこで、今回の「固定資産税をパパっと解説」では、以下の内容をまとめて解説します。
- 一戸建て・マンション別の固定資産税の目安(年間いくら?)
- 固定資産税の計算方法と、新築住宅との税額の違い
- 物価高によって「税額が下がりにくい」仕組みとその理由
- 購入初年度の日割り精算と、初めて納税通知書が届くタイミング
- 固定資産税評価額の調べ方・確認方法
- リフォーム工事で税額を軽減できる制度(令和13年3月まで延長)
- 建物を解体したときに税額が大幅に増える「落とし穴」
固定資産税のことを正しく把握しておけば、購入後の家計計画が立てやすくなりますし、使える軽減措置を見逃すことも防げます。
順番に読み進めていただければ、購入検討中の方から、すでに納税通知書を受け取って「なぜこの金額?」と疑問を持っている方まで、気になる疑問がひとつひとつ解決できるはずです。
目次
- 1. 中古住宅の固定資産税の目安はいくら?
- 2. 中古住宅の固定資産税の計算方法
- 3. 【重要】物価高で中古住宅の建物分固定資産税が下がらないケースがある
- 4. 中古住宅の固定資産税はいつから払う?購入時の精算も解説
- 5. 中古住宅の固定資産税評価額とは?調べ方と確認方法
- 6. 中古住宅の固定資産税の軽減措置
- 7. 【注意】建物を解体すると土地の固定資産税が大幅に増加する
- 8. 中古住宅購入時にかかる固定資産税以外の税金
- 中古住宅の固定資産税まとめ|購入前・購入後にやること
1. 中古住宅の固定資産税の目安はいくら?
中古住宅の固定資産税は、物件の「種類(一戸建て・マンション)」と「築年数」によって大きく変わります。「中古だから安いはず」と思っていた方が、実際の納税通知書を見て驚くケースも少なくありません。
まずは一戸建てとマンション、それぞれの目安を確認しましょう。
1-1. 木造一戸建て中古住宅の固定資産税の目安(都市計画税込)
木造一戸建ての中古住宅は、築年数が経つほど固定資産税が安くなる傾向があります。ただし後述(3.【重要】物価高で中古住宅の建物分固定資産税が下がらないケースがある)するように、物価高局面では築年数が経っても税額が下がりにくいケースもあります。
なぜかというと、建物の固定資産税は「今この建物を新しく建て直したらいくらかかるか」を基準に計算されており、築年数が増えるにつれてその評価額が下がっていく仕組みだからです。
たとえば売買価格1,500万円の木造一戸建てを購入した場合、築10年なら年間約8万〜10万円、築30年以上になると年間概ね5万〜6万円台まで下がるのが目安です。
ただし、これはあくまで目安です。土地の広さや所在地(市街化区域かどうか)によっても変わります。
| 築年数 | 建物の固定資産税評価額(目安) | 年間の固定資産税+都市計画税(目安) |
|---|---|---|
| 築5年 | 約585万円 | 約11万9,000円 |
| 築10年 | 約486万円 | 約10万2,000円 |
| 築15年 | 約387万円 | 約8万5,000円 |
| 築20年 | 約279万円 | 約6万7,000円 |
| 築30年 | 約252万円 | 約6万2,000円 |
| 築35年以上 | 約180万円(下限) | 約5万円(下限) |
なお、建物の固定資産税評価額とは、市区町村が独自に評価した「固定資産税の計算に使う建物の価格」のことです。詳細は本記事の「5. 中古住宅の固定資産税評価額とは?調べ方と確認方法」にて解説しています。
1-2. 中古マンションの固定資産税の目安(都市計画税込)
中古マンションの固定資産税は、同じ売買価格の木造一戸建てよりも高くなるケースが多いです。
理由は2つあります。1つ目は、マンションの建物本体がコンクリートなどの丈夫な素材(鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)でできているため、築年数が経っても建物の評価額が下がりにくいことです。
2つ目は、マンションは「土地を住戸数で割った分しか持てない」ため、1戸あたりの土地の割り当てが小さくなりがちで、住宅用地の特例(固定資産税が最大1/6、都市計画税が最大1/3に下がる制度)の恩恵を受けにくいことです。
| 築年数 | 建物の固定資産税評価額(目安) | 年間の固定資産税+都市計画税(目安) |
|---|---|---|
| 築5年 | 約819万円 | 約14万4,000円 |
| 築10年 | 約766万円 | 約13万5,000円 |
| 築15年 | 約714万円 | 約12万6,000円 |
| 築20年 | 約661万円 | 約11万7,000円 |
| 築30年 | 約556万円 | 約9万9,000円 |
| 築40年 | 約450万円 | 約8万1,000円 |
| 築65年以上 | 約240万円(下限) | 約4万6,000円(下限) |
1-3. 新築住宅と中古住宅で固定資産税はどれくらい違う?
新築住宅と中古住宅では、固定資産税の負担感が大きく異なります。
新築住宅には「新築住宅に係る税額の減額措置」という制度があり、建物の固定資産税が一定期間(一戸建ては3年間、マンションは5年間)だけ半額(1/2)になります。一方で中古住宅には、この制度が適用されません。
ただし、中古住宅は新築より建物の評価額自体が低いため、税額全体が安くなるのが通常です。「新築の軽減期間中は新築が有利・軽減終了後は中古が有利」という関係になります。
| 区分 | 建物の固定資産税(目安) | 土地の固定資産税(目安) | 合計(固定資産税のみ・目安) |
|---|---|---|---|
| 新築1〜3年目(1/2軽減あり) | 約8万4,000円 | 約1万8,700円 | 約10万2,700円 |
| 新築4年目以降(軽減なし) | 約16万8,000円 | 約1万8,700円 | 約18万6,700円 |
| 中古・築10年 | 約9万720円 | 約1万8,700円 | 約10万8,700円 |
| 中古・築20年 | 約5万2,080円 | 約1万8,700円 | 約7万780円 |
2. 中古住宅の固定資産税の計算方法
固定資産税の計算は、「課税標準額(税額を計算するための基礎となる金額)に税率をかけるだけ」というシンプルな式で成り立っています。
ただし、土地と建物ではその課税標準額の求め方がまったく異なります。まず計算の全体フローを押さえてから、土地・建物それぞれの計算方法を確認しましょう。
2-1. 固定資産税の計算式(家屋・土地それぞれ)
固定資産税の計算方法は、土地と建物(家屋)で分けて考える必要があります。
なぜ分けるかというと、土地には「住宅用地の特例」という特別な割引が適用され、課税標準額が大幅に下がるからです。一方で建物には、その割引はありません。計算の仕組みを知っておくと、税額を自分で確認したいときに役立ちます。
建物(家屋)の固定資産税の計算式
建物の計算は次の通りです。
- 建物の固定資産税評価額 × 税率1.4% = 建物の固定資産税
たとえば建物の固定資産税評価額(市区町村が評価した、税金の計算基準となる価格)が500万円の場合、固定資産税は7万円(500万円×1.4%)です。
建物には土地のような特別な割引がないため、固定資産税評価額がそのまま計算の基礎になります。
土地の固定資産税の計算式
土地の計算には、住宅用地の特例が加わります。
- 固定資産税評価額 × 特例率(1/6または1/3) × 税率1.4% = 土地の固定資産税
住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の課税標準額を、評価額より低く抑える制度です。
固定資産税評価額が600万円の土地(200㎡以下の部分)であれば、計算の基礎となる金額が600万円の1/6=100万円まで下がり、固定資産税は1万4,000円(100万円×1.4%)になります。
特例率は、土地の広さによって2段階に分かれます。
| 区分 | 対象面積 | 固定資産税の課税標準額 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 固定資産税評価額 × 1/6 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 固定資産税評価額 × 1/3 |
300㎡の土地なら、最初の200㎡は1/6、残りの100㎡は1/3で計算します。200㎡以下の一般的な住宅の敷地であれば、ほとんどの場合「小規模住宅用地」の1/6が適用されます。
2-2. 都市計画税の計算方法と課税される地域
都市計画税とは、道路の整備や公園の建設など、市街地の整備費用を住民が分担するための税金です。固定資産税と一緒に請求されるため、実際の納税額は「固定資産税+都市計画税」のセットで把握してください。
都市計画税の計算式は以下の通りです。
- 課税標準額 × 税率0.3% = 都市計画税
課税標準額の求め方は固定資産税と同じです。ただし土地の特例率が少し異なり、小規模住宅用地は固定資産税評価額の1/3、一般住宅用地は2/3が課税標準額になります(固定資産税は1/6・1/3)。
| 区分 | 固定資産税の課税標準額 | 都市計画税の課税標準額 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下) | 評価額 × 1/6 | 評価額 × 1/3 |
| 一般住宅用地(200㎡超) | 評価額 × 1/3 | 評価額 × 2/3 |
| 建物(家屋) | 評価額 × 1 | 評価額 × 1 |
都市計画税が課税されるのは、原則として市街化区域(住宅地・商業地として積極的に開発を進める区域)内にある土地と建物だけです。
一部例外を除き、市街化調整区域(開発を抑制している区域)の物件には課税されません。購入検討中の物件が市街化区域かどうかは、市区町村の窓口や不動産会社に確認できます。
たとえば固定資産税評価額600万円の土地(200㎡以下)と評価額500万円の建物を持つ場合、都市計画税は土地分(600万円×1/3×0.3%=6,000円)と建物分(500万円×0.3%=1万5,000円)を合わせて2万1,000円です。
2-3. 【築年数別シミュレーション】実際にいくらになるか計算してみよう
築年数別シミュレーションは、「自分の物件に近い条件で税額の目安を確認したい」という方のために、具体的な数字で試算しています。
木造一戸建てとRC造マンションに分けて掲載します。試算の前提条件(評価額・土地面積など)は各表の注記で確認してください。
木造一戸建ての築年数別シミュレーション(売買価格1,500万円の場合)
木造一戸建ては、築年数が増えるにつれて建物の評価額が下がるため、固定資産税も低くなっていきます。
築35年以上になると、建物の評価額は新築時の20%程度で下げ止まり、それ以降は税額がほぼ一定です。
| 築年数 | 建物の固定資産税評価額(目安) | 年間の固定資産税+都市計画税(目安) |
|---|---|---|
| 築5年 | 約585万円 | 約11万9,000円 |
| 築10年 | 約486万円 | 約10万2,000円 |
| 築15年 | 約387万円 | 約8万5,000円 |
| 築20年 | 約279万円 | 約6万7,000円 |
| 築30年 | 約252万円 | 約6万2,000円 |
| 築35年以上 | 約180万円(下限) | 約5万円(下限) |
中古マンションの築年数別シミュレーション(売買価格2,000万円の場合)
RC造(鉄筋コンクリート造)マンションは、木造より丈夫な素材でできているため、築年数が経っても評価額がなかなか下がりません。
木造一戸建ては築35年以上で評価額が下限に達しますが、RC造は65年以上かかります。
| 築年数 | 建物の固定資産税評価額(目安) | 年間の固定資産税+都市計画税(目安) |
|---|---|---|
| 築5年 | 約819万円 | 約14万4,000円 |
| 築10年 | 約766万円 | 約13万5,000円 |
| 築15年 | 約714万円 | 約12万6,000円 |
| 築20年 | 約661万円 | 約11万7,000円 |
| 築30年 | 約556万円 | 約9万9,000円 |
| 築40年 | 約450万円 | 約8万1,000円 |
| 築65年以上 | 約240万円(下限) | 約4万6,000円(下限) |
3. 【重要】物価高で中古住宅の建物分固定資産税が下がらないケースがある
「築年数が経つほど固定資産税は安くなる」というのは、多くの方が持つ一般的なイメージです。
しかし近年の建築費の高騰(物価高)により、築年数が経っても建物の評価額が下がらず、税額が据え置かれるケースが増えています。なぜそうなるのか、仕組みから順番に説明します。
3-1. 建物の固定資産税評価額は「再建築費」を基準に計算される
建物の固定資産税評価額は、「今この建物を同じ場所に新しく建て直したらいくらかかるか」という金額(再建築費)を基準に計算されます。
たとえばスマートフォンの下取り価格を想像してください。新品の最新モデルが高いほど、同じ機種の中古品も高く評価されます。
建物の固定資産税評価額も同じ考え方で、新しく建てる費用が高いほど、すでに建っている中古住宅の評価額も高く算定されます。
ここから、築年数に応じた「経年減価補正率(年数が経つほど評価額を下げる割合)」を掛けて、最終的な評価額を求める仕組みです。
3-2. 3年ごとの評価替えで建築物価の上昇が評価額に反映される
建物の固定資産税評価額は、3年に1度の「評価替え」(評価額を見直す作業)のたびに、直近の建築費の変動が反映されます。
この建築費の変動を数値に表したものが「再建築費評点補正率(前回の評価から今回の評価までの建築費の変化を示す割合)」です。建築費が上がった場合は補正率が1.0を超え、建物の評価額を引き上げる方向に働きます。
令和6年度の評価替えでは、木造家屋の補正率が1.11、非木造家屋(RC造マンション等)が1.07でした。これは、前回(令和3年度)の評価から木造で11%、非木造で7%ほど建築費が上昇したことを意味します(出典「一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和6年度 固定資産税のあらまし」)。
物価が大幅に上昇した評価替えの年には、「建築費の上昇分」が「築年数による評価額の減少分」を上回ることがあります。
この場合、計算上は評価額が前回より高くなりますが、固定資産税の制度には「算出された評価額が前回の評価額(評価替え前の評価額)を超える場合は、前回の評価額(評価替え前の評価額)に据え置く」というルールがあります。
このルールのおかげで税額が急増することはありませんが、逆に言えば「築年数が経っているのに評価額が下がらず税額が据え置かれる」という状態が続きます。
物価の状況と評価額の変化、固定資産税への影響を簡単にまとめると、以下の通りです。
| 物価の状況 | 評価額の変化 | 税額への影響 |
|---|---|---|
| 物価が下落した場合 | 築年数分だけ評価額が下がる | 税額が下がる |
| 物価が小幅に上昇した場合 | 築年数分の下落が勝り、評価額がやや下がる | 税額がやや下がる |
| 物価が大幅に上昇した場合 | 物価上昇分が築年数分を上回り、評価額が前回より上がる→前回の評価額に据え置き | 税額が下がらず据え置かれる |
令和6年度の評価替えは、新型コロナウイルス感染症の影響による木材・鉄鋼価格の急騰という異例の事態が背景にあったため、特別な経過措置が設けられました。
しかし建築費の高止まりが続く限り、次の評価替え(令和9年度・2027年)でも同様の影響が出る可能性があります。
3-3. 特に中古マンション(RC造)は評価額が下がりにくい
RC造(鉄筋コンクリート造)マンションは、物価高の影響を特に受けやすい構造です。
理由は2つあります。1つ目は、RC造の再建築費(建て直し費用)が木造より高いため、建築費が少し上がっただけでも評価額への影響が大きくなることです。
2つ目は、RC造は経年による評価額の下落が非常に緩やかで、木造が築35年以上で下限(新築時の20%)に達するのに対し、RC造は65年以上かかることです。
たとえば築20年のRC造マンションの経年減価補正率は0.55程度で、まだ半分近くの評価額が残っています。
この段階で建築費が大幅に上昇すると、上昇分が経年減価分を超えやすく、評価額が据え置かれる状態が長く続きます。
中古住宅の購入を検討している場合、「今後の固定資産税はずっと下がっていくだろう」という前提でローン返済計画を組むのは少し危険です。
特にRC造マンションは、物価が高止まりする局面では税額が思うように下がらない可能性があります。住宅の維持費として、固定資産税が一定の水準で続く可能性も念頭に置いておきましょう。
4. 中古住宅の固定資産税はいつから払う?購入時の精算も解説
固定資産税の納税が始まるタイミングは、「購入した年」ではなく「購入翌年の春」です。
ただし購入した年に「精算金」として固定資産税相当額の一部を売主に支払うのが不動産取引の慣行であり、これを知らずに購入すると想定外の出費に驚くことになります。
納税の流れと精算のルールを順に確認しましょう。
4-1. 市区町村への納税が始まるのは購入翌年の4〜6月
固定資産税は、毎年1月1日(これを「賦課期日」といいます)時点の所有者が、その年の1年分をすべて納める仕組みです。
たとえば2024年7月に中古住宅を購入しても、2024年1月1日時点の所有者はまだ売主です。そのため、市区町村から届く2024年分の納税通知書は売主宛てに送られます。
購入者(買主)が市区町村に固定資産税を直接納め始めるのは、翌年(2025年)の春からです。
市区町村は毎年4月以降に納税通知書を送付し、通常は年4回(第1期〜第4期)に分けて納めます。第1期の納期は4〜6月が一般的ですが、市区町村によって異なります。
4-2. 購入した年は売主との間で日割り精算するのが慣行
購入した年の固定資産税は、売主と買主の間で「日割り精算」するのが不動産取引の慣行です。
日割り精算とは、1年分の固定資産税を引き渡し日を境に「売主の負担分」と「買主の負担分」に分け、買主が自分の負担分を売主へ支払う手続きです。
たとえばタクシーを2人でシェアして、乗った距離に応じて料金を分担するイメージです。
ちなみに、筆者は職業上、幾度となく不動産を売却していますが、実は一度だけ固定資産税の精算を受けられなかったことがあります。後から確認したところ、やはりそのときの売買契約書には精算に関する規定が記載されていませんでした。
日割り精算の計算例(引き渡し日が6月1日の場合)
日割り精算の計算では、1年分の固定資産税を365日で割り、引き渡し日以降の日数分を買主が負担します。起算日は1月1日とする方法と4月1日とする方法の2つがあり、どちらを使うかは契約で決めます。
たとえば年間の固定資産税と都市計画税の合計が12万円で、引き渡し日が6月1日(起算日:1月1日)の場合の計算例は次の通りです。
- 1日あたりの税額:12万円 ÷ 365日 ≒ 328円(1日あたりの税額は小数点以下を切り捨てています)
- 1月1日から5月31日まで(151日)が売主の負担分
- 6月1日から12月31日まで(214日)が買主の負担分
- 買主が売主へ支払う精算金:328円 × 214日 ≒ 約7万200円
また、精算金は諸費用の一項目として、住宅ローンに組み込める金融機関もあります。ただし対象範囲は金融機関によって異なるため、事前に確認してください。ローンに組み込めない場合は、精算金分の現金を別途準備しておく必要があります。
精算のルールは売買契約書で必ず確認する
日割り精算の方法は、売買契約書の「固定資産税等の精算」という条項に記載されています。
確認すべきポイントは3つです。1つ目は「精算するかどうか」(精算しない契約もあります)、2つ目は「起算日が1月1日か4月1日か」(起算日が違うと精算金額が変わります)、3つ目は「精算の基準となる税額が何年度分か」(引き渡し年の納税通知書がまだ届いていない場合は前年度の税額を仮使用することがあります)です。
不明点があれば、契約前に仲介する不動産会社へ確認してください。「精算金はいくら必要か」「起算日はどちらか」を聞けば、担当者が計算して教えてくれます。
5. 中古住宅の固定資産税評価額とは?調べ方と確認方法
固定資産税評価額とは、市区町村が独自に評価した「税金の計算に使う価格」のことです。売買価格とは異なり、一般的に売買価格の50〜70%程度の水準に設定されます。
購入前に評価額を把握しておくと税額の目安を自分で計算でき、購入後は「評価額が高すぎる」と感じたときの対処法も知っておくと安心です。
5-1. 固定資産税評価額は売買価格の50〜70%程度が目安
固定資産税評価額とは、市区町村が独自に評価した「税金の計算に使う価格」のことです。売買価格とは別物であり、一般的に売買価格より低くなります。
中古住宅の固定資産税評価額には「土地の固定資産税評価額」と「建物の固定資産税評価額」の2種類があり、それぞれ算出方法も目安の水準も異なります。
自分の物件の税額を試算するには、この2つを分けて把握することが重要です。
① 土地の固定資産税評価額:公示価格の約70%が目安
土地の固定資産税評価額は、「公示価格(国が毎年公表する土地の基準価格)の70%を目途」に設定するルールになっています。
たとえば公示価格が1,000万円の土地であれば、固定資産税評価額は約700万円が目安です。ただし、実際の売買価格は公示価格と同水準か、人気エリアではそれ以上になることもあります。
そのため結果的に、売買価格に対して固定資産税評価額は60〜70%程度に収まる物件が多くなります。
土地の評価額は3年ごとの評価替えで見直されます。地価が上昇しているエリアでは評価額も上がり、税額が増えることがあります。
② 建物の固定資産税評価額:再建築費を基準に算出し、目安の幅が広い
建物の固定資産税評価額は、「今この建物を同じ場所に新しく建て直したらいくらかかるか(再建築費)」を基準に計算され、そこに築年数に応じた減価(価値の下落)を加味して算出します。
売買価格との関係で言うと、建物部分は概ね売買価格の30〜60%程度が目安ですが、築年数・構造・建物の品質によって幅が大きく変わります。
具体的には、築浅の高品質な建物は再建築費が高いため評価額も高くなり、築古の建物は経年減価が進んで評価額が低くなります。
また、建物の評価額はその建物固有の再建築費をもとに算出されるため、「似たような売買価格の物件でも建物の評価額が大きく違う」というケースもあります。
| 土地の固定資産税評価額 | 建物の固定資産税評価額 | |
|---|---|---|
| 算出の基準 | 地価公示価格等をもとに路線価から算出 | 再建築費(今建て直したときの費用)をもとに算出 |
| 売買価格との目安 | 売買価格の約60〜70%程度 | 売買価格の約30〜60%程度(築年数・構造により変動) |
| 評価替えの周期 | 3年ごと(地価変動を反映) | 3年ごと(建築費の変動を反映) |
| 税額への影響 | 立地・面積・地価水準で変わる | 築年数が経つほど下がる傾向(物価高により下がりにくいケースあり) |
中古住宅全体(土地+建物)の固定資産税評価額の合計を売買価格と比べると、おおむね売買価格の50〜70%程度に収まることが多いです。
ただしこれはあくまで目安であり、築古物件(建物の評価額が低下している)や地価が高いエリアの物件では、土地と建物の比率によって大きく前後します。
5-2. 固定資産税評価額の調べ方・確認する方法
固定資産税評価額を確認する方法は、「購入前」と「購入後」で異なります。購入前は売主や不動産会社を通じて開示を求め、購入後は市区町村の窓口や公式の制度を活用します。
どちらの段階でも評価額を把握しておくことが、税額の見積もりや不服申し立てに役立ちます。
購入前:売主または不動産会社に開示を求める
購入前の段階では、買主本人が市区町村の窓口で評価額を調べることはできません。
なぜかというと、固定資産課税台帳(市区町村が固定資産の評価額などを記録する帳簿)は、原則として所有者本人しか閲覧できないからです。
しかし、購入を検討している物件の評価額は事前に把握しておきたいところです。そのような場合は、売主か仲介の不動産会社に「固定資産税評価証明書の写しを見せていただけますか」と依頼してください。
固定資産税評価証明書とは、固定資産課税台帳に記載された評価額などを市区町村が証明した書類のことです。
不動産売買の実務では、買主から開示依頼があれば売主や不動産会社が対応するのが一般的です。評価証明書の数字をもとに「おおよそ年間いくらの固定資産税になるか」を事前に試算できます。
購入後:市区町村窓口で固定資産税評価証明書を取得する
物件を取得したあとは、所有者本人として市区町村の窓口で固定資産税評価証明書を取得できます。
手続きに必要なものは、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)と発行手数料(1通あたり300円前後が目安、市区町村によって異なります)です。
また、毎年4月から最初の納期限までの間、「縦覧制度」を利用することもできます。縦覧制度とは、固定資産税の納税者であれば、同じ市区町村内にある他の土地や家屋の評価額を自由に確認できる制度です。
たとえば「自分の物件の評価額が近所の似た物件に比べて高すぎないか」を確認したいときに活用できます。縦覧期間・縦覧場所は市区町村によって異なるため、事前に市区町村の広報や窓口で確認してください。
5-3. 評価額が高すぎると感じたら:固定資産評価審査委員会への審査申出
固定資産税評価審査委員会への審査申出とは、「自分の物件の評価額が高すぎる」と感じたときに、市区町村の審査機関に見直しを求める公的な手続きです。
たとえばクレジットカードの請求に誤りがあったときにカード会社へ異議を申し立てるように、固定資産税の評価額についても公式の窓口に異議を申し立てられます。
ただし、申し出できるのは「評価額(価格)」についての不服だけです。税率の適用や特例の適否など「評価額以外の事項」についての不服は、市区町村長への審査請求という別の手続きになります。
納税通知書が届いてから気づいても、3か月を過ぎると原則として申出できなくなります。納税通知書と一緒に届く課税明細書を受け取ったら、すぐに評価額を確認することをお勧めします。
| 審査の申出 | 審査請求 | |
|---|---|---|
| 不服の対象 | 評価額(価格)が高すぎる | 税率の適用・特例の適否など評価額以外の事項 |
| 申立先 | 固定資産評価審査委員会 | 市区町村長 |
| 申立できる人 | 固定資産税の納税者で、評価額に不服がある方 | 固定資産税の賦課を受けた方 |
| 申立期限 | 台帳登録の公示の日から、納税通知書を受け取った日の3か月後まで | 納税通知書を受け取った日の翌日から起算して、3か月を経過する日まで |
| 根拠法 | 地方税法第432条 | 行政不服審査法・地方税法第19条 |
6. 中古住宅の固定資産税の軽減措置
中古住宅の固定資産税の軽減措置には、①土地に関して適用される住宅用地の特例と、②一定のリフォーム工事を行うことで翌年度に適用されるリフォーム軽減措置の2種類があります。
住宅用地の特例は購入後に手続き不要で原則適用されていますが、リフォーム軽減措置は「知っているかどうか」で毎年数万円の差が生まれる制度のため、購入後にリフォームを検討している方はぜひ確認してください。
6-1. 住宅用地の特例(課税標準額が最大1/6に)
住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の固定資産税を大幅に安くする制度です。
なぜこの制度があるかというと、住宅という生活の基盤を守るために、土地の税負担を軽くする政策的な配慮があるためです。
中古住宅を購入した場合、すでに住宅用地の特例が適用されているのが通常のため、購入者が新たに手続きをする必要はありません。ただし、建物を解体すると翌年度から住宅用地の特例が外れ、土地の税額が大幅に増えます。
この点は、本記事の「7.【注意】建物を解体すると土地の固定資産税が大幅に増加する」で詳しく解説します。
| 区分 | 対象面積 | 固定資産税の課税標準額 | 都市計画税の課税標準額 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下の部分 | 評価額 × 1/6 | 評価額 × 1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 評価額 × 1/3 | 評価額 × 2/3 |
ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、住宅用地の特例の詳細を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。
お役立ち記事
住宅用地の特例とは|軽減率・計算例・特例が外れる条件を解説
6-2. リフォームによる固定資産税の軽減措置(令和13年3月まで延長)
中古住宅を取得後にリフォームを行うと、リフォームの種類に応じて翌年度の固定資産税が軽減される制度があります。うまく活用すれば、年間数万円以上の節税につながります。
軽減措置には4種類あり、それぞれ対象となる工事の内容・条件・軽減割合が異なります。なお、すべての措置に共通して「1戸につき1回のみ適用」「他の減額制度との併用は原則不可」「都市計画税・土地は軽減対象外」というルールがあります。
ただし、バリアフリー改修工事と省エネ改修工事は例外的に2つを併用して申請できます。
耐震改修工事(翌年度1年間、税額が1/2に)
耐震改修工事の軽減措置は、古い耐震基準で建てられた住宅を、現在の安全基準に合わせてリフォームした場合に適用されます。
なぜかというと、旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)で建てられた住宅には耐震性の不足が懸念されており、国が改修を促すために税の優遇を設けているからです。
対象となるのは昭和57年1月1日以前から所在する建物で、耐震改修工事費が50万円(税込)を超えることが要件です。
たとえば建物の固定資産税が年間10万円の場合、軽減措置が適用された翌年度は5万円になります。軽減されるのは建物部分の固定資産税のみです(都市計画税と土地の固定資産税は軽減対象外)。
なお、市区町村が「特に重要な避難路」として指定した道路の沿道に所在する住宅で耐震改修を行った場合は、例外として2年間税額が1/2に軽減されます(出典「国土交通省:耐震改修に係る固定資産税の減額措置」)。
主な要件
- 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
- 現行の耐震基準に適合する耐震改修工事であること
- 工事費が50万円(税込)を超えること
- 令和13年3月31日までに工事を完了していること
バリアフリー改修工事(翌年度1年間、税額が2/3に)
バリアフリー改修工事の軽減措置は、高齢者や障がいのある方が住みやすいよう住宅を改修した場合に適用されます。
65歳以上の方・要介護または要支援の認定を受けている方・障がいを持っている方が居住している家屋が対象で、新築後10年以上経過している必要があります。
たとえば建物の固定資産税が年間12万円の場合、翌年度は8万円(2/3)になります。
なお、後述する省エネ改修工事の軽減措置とは同時に申請できます。複数のリフォームをまとめて行う場合は、この組み合わせを積極的に活用しましょう(出典「国土交通省:バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置」)。
主な要件
- 65歳以上・要介護・要支援・障がいのある方が居住する家屋であること
- 新築後10年以上経過した家屋であること
- 賃貸住宅でないこと
- 工事費(補助金等を差し引いた後)が50万円(税込)を超えること
- 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
- 令和13年3月31日までに工事を完了していること
省エネ改修工事(翌年度1年間、税額が2/3に)
省エネ改修工事の軽減措置は、断熱性能を高めるリフォームを行った場合に適用されます。
平成26年4月1日以前から所在する家屋が対象で、省エネ改修後の断熱部位が平成28年省エネ基準を満たす必要があります。
窓の断熱改修(ガラス交換・内窓の設置など)が必須工事で、床・壁・天井の断熱改修や高効率設備の設置と組み合わせることもできます。工事費(補助金等を差し引いた後)が60万円(税込)を超えることが要件です。
バリアフリー改修工事と同時に申請できる唯一の軽減措置です(出典「国土交通省:省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」)。
主な要件
- 平成26年4月1日以前から所在する家屋であること
- 賃貸住宅でないこと
- 省エネ改修後の断熱部位が平成28年省エネ基準を満たすこと
- 工事費(補助金等を差し引いた後)が60万円(税込)を超えること
- 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
- 令和13年3月31日までに工事を完了していること
長期優良住宅化改修工事(翌年度1年間、税額が1/3に)
長期優良住宅化改修工事の軽減措置は、4種類の中で最も大きな減額効果があります。翌年度の固定資産税が1/3になります(3分の2が減額)。
なぜかというと、この措置は「耐震改修」または「省エネ改修」を行ったうえで、さらに「長期優良住宅(耐久性・耐震性・省エネ性などが高い水準を満たすと国が認定した住宅)」として認定を取得した場合にのみ適用される、要件が最も厳しい制度だからです。
たとえば建物の固定資産税が年間12万円の場合、翌年度は8万円が減額されて4万円になります。
大規模なリフォームを検討していて、認定を取得できる見込みがある場合は積極的に検討する価値があります(出典「国土交通省:長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置」)。
主な要件
- 増改築による長期優良住宅の認定を受けること
- 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
- 令和13年3月31日までに工事を完了していること
| リフォームの種類 | 翌年度の税額 | 軽減期間 | 対象家屋の建築時期 |
|---|---|---|---|
| 耐震改修 | 1/2(50%残る) | 原則1年間(※沿道住宅は2年間) | 昭和57年1月1日以前から所在 |
| バリアフリー改修 | 2/3(67%残る) | 1年間 | 新築後10年以上経過 |
| 省エネ改修 | 2/3(67%残る) | 1年間 | 平成26年4月1日以前から所在 |
| 長期優良住宅化改修 | 1/3(33%残る)※3分の2減額 | 1年間 | 耐震改修:昭和57年1月1日以前/省エネ改修:平成26年4月1日以前 |
7. 【注意】建物を解体すると土地の固定資産税が大幅に増加する
建物を解体した翌年度から、土地の固定資産税が大幅に増えます。「老朽化した建物を解体してすっきりさせよう」と考える前に、この税負担の変化を必ず確認してください。
中古住宅を購入後に解体を検討している方、親から空き家を相続した方は、特に注意が必要な項目です。
7-1. 住宅用地の特例が外れると土地の固定資産税が数倍になる
なぜ建物を解体すると税額が増えるかというと、「住宅用地の特例」が外れるからです。
住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の固定資産税を安くする制度です。建物がある間は土地の課税標準額(税額の計算に使う金額)が評価額の1/6または1/3に抑えられています。
しかし、建物を解体して更地(何も建っていない土地)になると、この特例は翌年度から適用されなくなります。
たとえばスーパーのポイントカードで言うと、「住宅が建っている間はずっとポイント優遇が受けられる」が、「建物を取り壊した瞬間にポイント優遇がなくなり、通常価格に戻る」ようなイメージです。
更地になった土地は「商業地等」として扱われ、負担調整措置(税負担が急激に増えないよう段階的に引き上げる仕組み)が適用されたうえで、課税標準額の上限が評価額の70%になります。
この結果、土地の固定資産税は最終的に約4.2倍程度まで増加します。都市計画税も同様に上がり、約2.1倍程度に増えます。固定資産税と都市計画税を合わせると、平均で約3.6倍程度の増加が目安です(参考「朝来市:住宅・空き家解体後の固定資産税について」)。
ただし、負担調整措置があるため翌年度からすぐに4.2倍になるわけではありません。評価額に対する課税標準額が毎年5%ずつ段階的に引き上げられる仕組みのため、税額は一気に最大値に達するのではなく、数年かけて上昇します。
小規模住宅用地(評価額の1/6が課税標準額)だった土地を解体した場合、最終的な水準(評価額の60〜70%)に達するまで、約8〜10年程度かけて段階的に税額が上がり続けます。
中古住宅を購入後に解体を検討している場合は、この長期的な税額増加もあらかじめ家計計画に織り込んでおく必要があります(出典「一般財団法人 資産評価システム研究センター:総務省 負担調整措置に係る改正経緯とその考え方等」)。
| 区分 | 課税標準額 | 固定資産税(目安) |
|---|---|---|
| 建物あり(住宅用地の特例適用中) | 1,200万円 × 1/6 = 200万円 | 200万円 × 1.4% = 約2万8,000円 |
| 建物解体後(上限に達した場合) | 1,200万円 × 70% = 840万円 | 840万円 × 1.4% = 約11万7,600円 |
| 増加倍率 | — | 約4.2倍 |
7-2. 特定空き家・管理不全空き家に指定された場合も同様に特例が外れる
建物が残っていても、住宅用地の特例が外れるケースがあります。それが「特定空き家」または「管理不全空き家」に指定された場合です。
特定空き家とは、倒壊の危険がある・衛生上有害な状態にあるなど、特に問題のある空き家として市区町村から認定された建物のことを指します。管理不全空き家とは、特定空き家になるおそれがあり、適切な管理がされていないと市区町村から勧告を受けた空き家のことです。
2023年12月の空き家法改正により、管理不全空き家として勧告を受けた場合も、住宅用地の特例が解除されることになりました。
つまり、建物を解体しなくても、「管理が不十分な空き家」と判断されると、住宅が建っているにもかかわらず特例が外れ、土地の固定資産税が大幅に増える可能性があるというわけです(参考「上田市:空き家法が改正(2023年12月)されました」)。
中古住宅を取得後の解体・空き家管理で押さえておくべきポイント
- 建物を解体すると、解体翌年度から土地の住宅用地の特例が外れて税額が増えます
- すぐに建て替えを予定している場合は、解体から新築完了までの間も税額が高くなります
- 空き家を相続しても放置せず、定期的な清掃・換気・草刈りなど適切な管理を続けてください
- 「解体した方が管理が楽」と考える前に、解体後の税額増加と解体費用の両方を含めた総コストを試算することをお勧めします
8. 中古住宅購入時にかかる固定資産税以外の税金
中古住宅を購入するときは、固定資産税以外にも複数の税金がかかります。購入時に1回だけかかる税金と、毎年かかる固定資産税は性質がまったく異なるため、混同しないよう整理しておきましょう。
購入前に総コストを把握するために、ぜひ確認してください。
| 税金の名称 | 課税タイミング | 税率の目安 | 軽減措置 |
|---|---|---|---|
| 不動産取得税 | 購入時1回限り | 固定資産税評価額×3% | 築年数に応じた控除額あり |
| 登録免許税 | 登記手続き時1回限り | 評価額×1.5%(軽減)〜2% | 令和11年3月まで軽減税率あり |
| 印紙税 | 売買契約書への貼付時1回限り | 契約金額による | 軽減税率あり |
| 固定資産税 | 毎年(1月1日時点の所有者に課税) | 評価額×1.4% | 住宅用地の特例など |
| 都市計画税 | 毎年(市街化区域内の場合) | 評価額×0.3% | 住宅用地の特例など |
8-1. 不動産取得税(購入時1回限り・中古住宅の軽減措置あり)
不動産取得税とは、土地や建物を取得したときに都道府県から1回だけ課税される税金です。
固定資産税と名前が似ているため混同されやすいですが、不動産取得税は「買ったときに1回だけ納める税金」、固定資産税は「所有している間ずっと毎年納める税金」という点で別物です。
税率は固定資産税評価額の3%が標準です(住宅用・土地用ともに)。たとえば固定資産税評価額が1,000万円の建物なら、本来は30万円の不動産取得税がかかります。
ただし、自己居住用の中古住宅には「軽減措置」があり、要件を満たすと建物の固定資産税評価額から一定金額が控除されるため、税額が大幅に下がります。場合によっては税額がゼロになることもあります。
軽減措置の主な要件
- 自己居住用(居住するための住宅)であること
- 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
- 昭和57年1月1日以降に新築された住宅であること(それ以前の住宅は新耐震基準への適合証明が必要)
軽減措置の控除額は建物の新築年月日によって異なります。
| 新築年月日 | 控除額 |
|---|---|
| 平成9年4月1日以後 | 1,200万円 |
| 平成元年4月1日〜平成9年3月31日 | 1,000万円 |
| 昭和60年7月1日〜平成元年3月31日 | 450万円 |
| 昭和56年7月1日〜昭和60年6月30日 | 420万円 |
| 昭和51年1月1日〜昭和56年6月30日 | 350万円 |
| 昭和48年1月1日〜昭和50年12月31日 | 230万円 |
| 昭和39年1月1日〜昭和47年12月31日 | 150万円 |
| 昭和29年7月1日〜昭和38年12月31日 | 100万円 |
不動産取得税の計算例(平成25年新築・固定資産税評価額800万円の建物の場合)
平成9年4月1日以降の新築なので控除額は1,200万円です。800万円-1,200万円=マイナスとなるため、建物の不動産取得税は0円になります。
8-2. 登録免許税(所有権移転登記にかかる税金)
登録免許税とは、不動産の所有者を公的に記録する「登記」手続きを行うときにかかる税金です。パスポートの取得に手数料がかかるように、「この土地・建物の所有者が自分になった」と法務局に正式に登録するための費用の一部が税金として徴収されます。
中古住宅の購入では主に「所有権移転登記(売主から買主へ所有権が移ることを登録する手続き)」にかかります。本則の税率は固定資産税評価額の2%ですが、軽減措置が適用される場合は1.5%です。この軽減税率には適用期限があります(令和11年3月まで)。購入前に国税庁または法務局で最新情報を確認してください。
たとえば、土地の固定資産税評価額が1,000万円の場合、軽減税率では1.5%=15万円の登録免許税がかかります。住宅ローンを利用する場合は、銀行が設定する「抵当権設定登記(借入金を返せなくなったら物件を売る権利を銀行が持つことを登録する手続き)」にも登録免許税がかかります。
8-3. 印紙税(売買契約書にかかる税金)
印紙税とは、売買契約書などの重要な書類を作成するときに収入印紙(税金の支払いを証明するシール)を貼ることで納める税金です。税額は売買契約書に記載された契約金額によって異なり、詳細は以下の通りです。
| 契約金額 | 印紙税額(軽減税率適用後) |
|---|---|
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 6万円 |
印紙税は売主と買主の両者が負担するのが一般的です。売買契約書が2通作成される場合は、それぞれ1通ずつ負担します。1通ずつ作成する場合は、印紙を貼らない側がコピーを保管することもあります。
中古住宅の固定資産税まとめ|購入前・購入後にやること
中古住宅の固定資産税は、物件の種類・築年数・所在地によって大きく変わります。この記事で解説してきた内容を、「購入前」と「購入後」に分けて整理します。
手元に置いておきたい内容をチェックリスト形式でまとめましたので、ぜひ活用してください。
購入前に確認しておくこと
中古住宅を購入する前に固定資産税の目安を把握しておくと、毎月のローン返済に加えて「毎年いくらの維持費がかかるか」を正確に試算できます。
購入後に「こんなにかかるとは思わなかった」と後悔しないために、以下の点を事前に確認してください。
固定資産税の目安を試算する
木造一戸建て(売買価格1,500万円・築15年)の場合、年間の固定資産税と都市計画税の合計は約8万5,000円が目安です。
RC造マンション(売買価格2,000万円・築15年)は約12万6,000円が目安です。物件の固定資産税評価額を不動産会社に確認し、自分で試算してみましょう。
売買契約書の「固定資産税の精算」条項を確認する
購入した年は、引き渡し日以降の分を売主へ精算金として支払うのが不動産取引の慣行です。引き渡し日・起算日・精算金額の目安を、契約前に仲介の不動産会社に確認してください。
物価高の影響で評価額が下がりにくい可能性を把握する
特にRC造マンションは、建築費の高止まりが続く局面では評価額が思うように下がりません。「築年数が経てば必ず税額が下がる」という前提でローン計画を組むのは避けましょう。
購入後に解体を検討している場合は税額増加を試算する
建物を解体すると土地の住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が最終的に約4.2倍程度まで増加します。解体費用と合わせた総コストを事前に試算してください。
購入後・入居後にやること
中古住宅を取得したあとも、固定資産税に関してやるべきことがあります。特にリフォームを予定している場合は、申請期限を逃すと軽減措置を受けられなくなります。
固定資産税評価額を確認する
市区町村の窓口で固定資産税評価証明書を取得し、実際の評価額を確認しましょう。毎年4月から最初の納期限まで(市区町村によって異なります)の縦覧制度(同じ市区町村内の他物件と評価額を比較できる制度)も活用できます。
リフォームを行うなら軽減措置の申請を忘れない
耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化の4種類のリフォーム軽減措置は、工事完了日から3か月以内に申請しないと適用されません。申請先は物件が所在する市区町村の窓口です。適用期限は令和13年3月31日までです。
納税通知書が届いたら評価額をすぐに確認する
納税通知書と一緒に届く課税明細書に評価額が記載されています。「評価額が高すぎる」と感じた場合は、納税通知書を受け取った日の3か月後まで(台帳登録の公示の日が起算点)に固定資産評価審査委員会への審査申出が可能です。
期限を過ぎると原則として申し出できなくなります。
空き家を相続した場合は管理と活用方針を早めに決める
空き家を放置して「管理不全空き家」と勧告されると、建物が存在していても住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が増加します。相続したら早めに管理方針と活用・売却・解体の計画を立てましょう。
この記事で解説した内容のポイントを一言でまとめると、「固定資産税は知識があるかどうかで税負担が大きく変わる税金」です。軽減措置の申請を逃せば損をし、評価額の誤りに気づかなければ納めすぎが続きます。
物価高による評価額の高止まりや建物解体後の税額急増などの落とし穴を事前に知っておくだけで、中古住宅の購入判断と購入後の家計管理が大きく変わります。
本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。最後に、中古住宅の固定資産税に関するよくある質問とその答えをまとめます。
- 中古住宅の固定資産税は年間いくらですか?
- 物件の種類・築年数・所在地によって異なりますが、目安は次の通りです。木造一戸建て(売買価格1,500万円・築15年)は年間約8万5,000円、RC造マンション(売買価格2,000万円・築15年)は年間約12万6,000円程度です。都市計画税を含む金額です。実際の税額は固定資産税評価額をもとに計算されるため、購入前に不動産会社へ確認することをお勧めします。
- 中古住宅の固定資産税はいつから払いますか?
- 市区町村から納税通知書が届くのは、購入翌年の4〜6月ごろです。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に1年分が課税されるため、購入した年はまだ前の所有者(売主)が納税義務者となります。ただし不動産取引の慣行として、引き渡し日以降の日数分を買主が売主へ「日割り精算」で支払うのが一般的です。精算金額は売買契約書で確認してください。
- 中古住宅は新築より固定資産税が安いですか?
- 必ずしも安いとは限りません。新築住宅には建物の固定資産税が一定期間(一戸建ては3年間、マンションは5年間)1/2に軽減される制度がありますが、中古住宅にはこの軽減がありません。一方で中古住宅は建物の評価額自体が低いため、新築の軽減期間が終了した後は中古のほうが税額が低くなるのが一般的です。
- 中古住宅をリフォームすると固定資産税は下がりますか?
- 一定のリフォーム工事を行うと、翌年度の固定資産税が軽減される制度があります。耐震改修工事は税額が1/2に、バリアフリー・省エネ改修工事は税額が2/3に、長期優良住宅化改修工事は税額が1/3に(3分の2を減額)なります。いずれも工事完了日から3か月以内に市区町村へ申請が必要です。適用期限は令和13年3月31日までです。
- 中古住宅の建物を解体すると固定資産税はどうなりますか?
- 建物を解体した翌年度から、土地の固定資産税が大幅に増加します。住宅が建っている間は適用されていた「住宅用地の特例」が外れ、土地の課税標準額が評価額の1/6から最大70%へと引き上げられます。負担調整措置により段階的に増加しますが、最終的に固定資産税は約4.2倍程度まで上がります。解体前に税額の変化を必ず試算してください。
- 固定資産税評価額はどこで確認できますか?
- 購入前は、売主または仲介の不動産会社に「固定資産税評価証明書の写し」の開示を依頼することで確認できます。購入後は、所有者として市区町村の窓口で固定資産税評価証明書を取得できます。また毎年4月から最初の納期限まで(市区町村によって異なります)の縦覧期間中は、同じ市区町村内にある他の物件の評価額と比較できる「縦覧制度」も利用できます。
- 著者・監修情報
- 固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般財団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
- 参考資料・参考サイト
- 一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和8年度 固定資産税のしおり / 一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和6年度 固定資産税のあらまし / 一般財団法人 資産評価システム研究センター:総務省 負担調整措置に係る改正経緯とその考え方等 / 国税庁:未経過固定資産税等の取扱い / 国土交通省:耐震改修に係る固定資産税の減額措置 / 国土交通省:バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置 / 国土交通省:省エネ改修に係る固定資産税の減額措置 / 国土交通省:長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置
- 注意点
- 本記事の内容は令和8年5月時点のものです。最新の情報は市区町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省、国税庁の公式サイトなどにてご確認ください。
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