築30年中古マンションの固定資産税、相場は?3つのケースで試算

築30年中古マンションの固定資産税、相場は?3つのケースで試算

「築30年の中古マンション、固定資産税はいくらかかるんだろう?」と気になっていませんか。

購入を検討しているとき、あるいは購入直後に納税通知書が届いたとき、その金額が高いのか安いのか、なかなか判断がつかないものです。

じつは、固定資産税の金額は築年数だけでなく、「建物の評価額」と「土地の評価額」の両方で決まります。そして、この2つは計算の仕組みがまったく異なります。

まず、この記事でよく出てくる2つの用語をかんたんに整理しておきましょう。

  • 固定資産税評価額:市区町村が3年ごとに決定する建物・土地の評価額のことです。実際の売買価格より低く設定されることが多く、税額の計算はこの評価額をベースに行います。
  • 課税標準額:固定資産税評価額に住宅用地の特例などを適用した後、実際に税額を計算するための基礎となる金額のことです。「固定資産税=課税標準額×税率」で計算します。

そして、この記事を読めば、以下のことがわかります。

この記事を読むとわかること
  • 築30年マンションの固定資産税の目安レンジ(首都圏・地方都市・郊外の3ケース)
  • 建物と土地、それぞれの評価額の計算の仕組み
  • 固定資産税を安くできるリフォーム減税の内容(令和8年度税制改正で令和13年3月まで延長)
  • 購入前に税額を事前確認する方法と、日割り精算の仕組み

固定資産税は毎年かかるコストです。購入前にしっかり把握しておけば、物件選びの判断材料になります。さっそく確認してみましょう。

目次

1. 築30年マンションの固定資産税、まず結論から

築30年マンションの固定資産税は、立地・建物の規模・戸数によって年間5万円台から20万円超まで幅があります。

「建物分は築年数とともに下がっている」一方、「土地分は立地次第で大きく変わる」という2つの特徴を先に押さえておくと、以降の説明が理解しやすくなります。

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1-1. 年間の固定資産税はいくらくらい?(パパっと目安を知る)

築30年マンションの固定資産税(建物分+土地分)は、立地とエリアによって大きな幅があります。おおまかな目安として、まず次の表をご覧ください。

築30年マンション 固定資産税の年間目安レンジ(評価額帯・エリア別)
エリアの目安 建物評価額の目安 土地評価額(持分後)の目安 固定資産税+都市計画税の年間合計(概算)
首都圏・都市部 800万〜1,200万円 300万〜600万円 約15万〜22万円
地方主要都市・首都圏郊外 500万〜800万円 100万〜300万円 約8万〜14万円
郊外・地方都市 200万〜500万円 30万〜100万円 約4万〜8万円

この幅が生まれる最大の理由は「土地評価額の差」です。建物分は同じ築30年であれば構造・規模が近ければ大きく変わりません。一方、土地分は都心と郊外で路線価が数倍〜数十倍異なり、それが税額の差となって表れます。

なぜこの幅になるのかは、本記事の「2.固定資産税の計算の仕組み(建物と土地は別々に計算する)」以降で計算の仕組みとともに丁寧に解説します。

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1-2. 固定資産税と同時にかかる「都市計画税」とは?

試算を見て「固定資産税だけの金額では?」と思った方は正解です。実は、多くのマンションでは固定資産税と同時に「都市計画税(としけいかくぜい)」もかかります。

都市計画税とは、道路・公園・上下水道などの都市インフラ整備の費用に充てるため、市街化区域(都市計画法で優先的に市街化を進める区域として指定されたエリア)内の土地・建物の所有者に課税される地方税です。

税率は0.3%を上限として市区町村の条例で定められます。自治体によっては都市計画税を課税していないところもあります。固定資産税と都市計画税の納付書は一体で送付されるため、届いた通知書には両方の税額がまとめて記載されています。

都市計画税について、2点だけ覚えておきましょう。

  • 固定資産税と同様に、住宅用地の特例が適用されます(小規模住宅用地は評価額×1/3、一般住宅用地は評価額×2/3)。
  • リフォーム減税(耐震・省エネ・バリアフリー等)は固定資産税のみが対象で、都市計画税には適用されません。

この記事で試算する金額は、特に断りのない限り固定資産税と都市計画税の合計額を示しています。

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2. 固定資産税の計算の仕組み(建物と土地は別々に計算する)

マンションの固定資産税は、「建物(家屋)の分」と「土地(敷地)の分」をそれぞれ別のルールで計算し、最後に合算して求めます。

この2つの計算ルールがまったく異なるため、「なぜうちのマンションはこんな金額なのか」と疑問に感じる方が多いのです。

建物は築年数に応じて評価額が下がりますが、土地は築年数では下がりません。この大前提を押さえたうえで、それぞれの仕組みを順番に見ていきましょう。

中古マンション固定資産税の計算フロー図

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2-1. 建物の評価額:「再建築費」をベースに築年数で下がる

建物の固定資産税評価額は、「今まったく同じ建物を新築するとしたら、いくらかかるか」を基準に計算します。この金額を「再建築費(さいけんちくひ)」といいます。

売買価格が3,000万円のマンションを購入したとしても、建物の固定資産税評価額が3,000万円になるわけではありません。評価額は売買価格とは別の基準で算定されます。

そのため、「評価額=購入価格」と思い込んでいると、試算が大きくずれてしまうという点がポイントです。

建物の評価額は「再建築費×経年減点補正率(けいねんげんてんほせいりつ)」という計算式で求めます。

経年減点補正率とは、築年数が増えるにつれて建物の価値が下がっていく割合を数値化したもので、この率をかけることで評価額が年を追うごとに下がる仕組みになっています。

なお、評価替え(後述の「2-4.3年ごとの「評価替え」とは?次回はいつ・どう変わるか」で詳しく解説します)のたびに再建築費も見直されます。

近年は建築費の上昇が続いているため、再建築費が増加した結果として、経年減点補正率で下がった分を相殺し、評価額が大きく下がらない場合もあります。

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2-2. 経年減点補正率の仕組み:築30年でいくら下がるか

RC造(鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造)のマンションは、木造と比べて構造が頑丈なぶん、経年減点補正率が緩やかに下がっていきます。

下がり方のペースと、最終的な下限(最終残価率)を理解しておくと、税額の見通しが立てやすくなります。

RC造マンション経年減点補正率の推移グラフ(築0〜60年・最終残価率20%)

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RC造マンションの経年減点補正率とは

経年減点補正率(けいねんげんてんほせいりつ)とは、「通常の維持管理を行った場合に、年数の経過で生じる建物の減価」をもとに定められた係数のことです(総務省:固定資産評価基準 第2章 家屋・別表第13に基づく)。

この係数は、建物の構造区分と1㎡あたりの再建築費評点数の区分に応じて定められており、木造家屋とRC造では別々の基準表が用意されています。

RC造の住宅・アパート用建物は耐用年数を60年として設定されているため、木造に比べて補正率の下がり方が緩やかです。

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築30年でRC造の評価額はどこまで下がるか

固定資産評価基準で定められている非木造家屋経年減点補正率基準表によると、RC造(鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造)の住宅・アパート用建物では、築30年時点の経年減点補正率は0.4632です(出典「総務省:固定資産評価基準 第2章 家屋・別表第13」)。

新築時の建物評価額が仮に1,500万円だった場合、築30年では概算で約695万円(1,500万円×0.4632)程度にまで下がる計算になります。新築時評価額の半分以下になる、という点がポイントです。

なお、下げ止まりの時期についても確認が必要です。

RC造の住宅・アパート用建物は、最終残価率0.20(20%)に達するのは築60年以上です。築35年時点の補正率はまだ0.4193あり、そこから先もゆるやかに下がり続けます。

「評価替えのたびに見直される再建築費評点補正率(さいけんちくひひょうてんほせいりつ)」の影響も受けるため最終的な税額は一概には言えませんが、RC造マンションは木造と比べて補正率の低下が非常に緩やかで、建物評価額が長期にわたって一定水準を維持しやすい構造になっています。

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2-3. 土地の評価額:築年数では下がらない。そして「住宅用地の特例」が重要

土地の固定資産税評価額は、築年数がどれだけ経っても下がりません。路線価(ろせんか)など地価をベースに算定されるもので、建物とはまったく異なる計算ルールが適用されます。

そのため、「築30年でも土地の税負担は変わらない」という点が、マンションの固定資産税を正しく理解するうえで非常に大切です。

一方で、住宅用地には「住宅用地の特例」という大幅な税負担の軽減制度が設けられています。この特例を知らないと「評価額のまま1.4%が税額になる」と誤解しやすく、試算が実態より大きくずれてしまいます。

住宅用地の特例:課税標準額の計算
区分 対象面積(1戸あたり) 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 評価額 × 1/6 評価額 × 1/3
一般住宅用地 200㎡超の部分 評価額 × 1/3 評価額 × 2/3

この特例により、たとえば土地評価額が3,000万円のマンション1戸分の敷地(小規模住宅用地に該当する場合)は、課税標準額が500万円(3,000万円×1/6)まで軽減されます。

固定資産税は500万円×1.4%=7万円となり、評価額のまま計算した場合の42万円とは大きな差になります。

マンションの場合、「1戸あたり200㎡×戸数」が小規模住宅用地として扱われます。敷地全体の広さが戸数×200㎡を下回るケースがほとんどであるため、多くの分譲マンションでは敷地全体に1/6が適用されます。

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2-4. 3年ごとの「評価替え」とは?次回はいつ・どう変わるか

固定資産税の評価額は、3年に1度の「基準年度」に見直されます。これを「評価替え(ひょうかがえ)」といいます。

全国の膨大な土地・建物を毎年評価し直すことは実務上困難なため、3年間は同じ評価額を据え置く制度がとられています。

固定資産税の評価替えスケジュール(令和6年度〜令和12年度)
区分 年度 内容
基準年度(第1年度) 令和6年度 評価替え実施。新たな評価額が適用される
第2年度 令和7年度 原則として令和6年度の評価額を据え置き
第3年度 令和8年度 原則として令和6年度の評価額を据え置き
次の基準年度 令和9年度 次の評価替え実施年度

建物(家屋)については、評価替えによって再建築費評点補正率が見直されますが、「評価替えで算出された評価額が前年度の評価額を超える場合は、前年度の評価額に据え置かれる」というルールがあります。

つまり、評価替えで評価額が上がっても、前年度より高くはなりません。

土地については、地価の変動を反映して評価額が上下します。ただし、地価が下落した場合は、基準年度の評価額から下落修正を行う特例措置もあります。

令和9年度が次の基準年度になりますので、令和7年度・令和8年度のマンション購入を検討している場合は、令和9年度の評価替えで税額が変わる可能性がある点に注意が必要です。

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2-5. マンション固定資産税の核心:「一棟の税額を各戸に按分する」仕組み

マンションの固定資産税には、一戸建てとは決定的に異なる特徴があります。それが「按分(あんぶん)」という計算の仕組みです。一棟全体の税額をまず算出し、それを各区分所有者に割り振る構造になっています。

この按分の仕組みを知らないと、「なぜ同じ専有面積なのに物件によって税額がこんなに違うのか」という疑問が解けません。

マンション固定資産税の按分構造図(一棟の税額を戸数・専有面積割合で各戸に分配)

建物(家屋)の按分の仕組み

一棟全体の建物評価額がまず計算され、その税額を各区分所有者の「専有部分の床面積+共用部分の持分按分面積」の割合で各戸に割り振ります。

専有面積60㎡の戸室であっても、課税対象の面積はエントランスや共用廊下などの共用部分の持分を含むため、登記面積よりも大きくなります。

土地(敷地)の按分の仕組み

敷地全体の固定資産税額を、各区分所有者の敷地権(しきちけん)の持分割合で割り振って課税します。

都心・好立地で路線価が高く、かつ戸数が少ないマンションでは、土地分の固定資産税が1戸あたりで見て高額になりやすいという点がポイントです。

戸数・立地の違いによる1戸あたりの建物・土地の税額イメージ比較
条件 戸数8戸(小規模) 戸数20戸(中規模) 戸数50戸(大規模)
一棟の建物評価額(例) 4,000万円 4,000万円 4,000万円
1戸あたりの建物分税額(目安) 約7,000円 約2,800円 約1,100円
土地評価額(敷地全体・例) 6,000万円 6,000万円 6,000万円
1戸あたりの土地分税額(目安・特例後) 約1万7,500円 約7,000円 約2,800円

戸数が少ないマンションほど、1戸あたりの税負担は大きくなります。購入前の物件比較では、専有面積だけでなく総戸数と持分割合も確認することが重要です。

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3. 築30年マンション、固定資産税をパパっと試算

固定資産税の計算は「建物分」と「土地分」を別々に求め、合算して年間税額を出します。

ここでは3つのケースで実際の計算の流れを示します。「ご自身の物件はどのケースに近いか」を見ながら読み進めてください。

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3-1. 試算の前提条件を確認する

試算に入る前に、3つのケースに共通する前提条件を整理します。条件が変わると税額も大きく変わりますので、ご自身の物件と照らし合わせながら確認してください。

築30年マンション 固定資産税の試算条件まとめ
項目 設定内容 備考
構造 RC造(鉄筋コンクリート造)耐火構造 分譲マンションの大多数が該当
用途 全室居住用(専用住宅) 住宅用地の特例が全面適用される
築年数 30年 経年減点補正率:0.4632(別表第13の2)
固定資産税の税率 1.4%(標準税率) 自治体により異なる場合あり
都市計画税の税率 0.3%(上限税率) 市街化区域内の場合。課税しない自治体もあり
住宅用地の特例 適用あり(小規模住宅用地:評価額×1/6) 多くの分譲マンションで敷地全体に適用
建物評価額の考え方 新築時評価額に経年減点補正率0.4632を乗じた額 再建築費や評価替えの影響で実際には変動あり

なお、固定資産税評価額(建物・土地)と売買価格の関係については「売買価格の何%」と一概には言えません。

建物評価額は再建築費をベースに算出されるため新築時の売買価格とは異なり、土地評価額は路線価等をベースに公示価格の約70%水準で決まります。実際の税額は必ず課税明細書でご確認ください。

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3-2. 【ケース①】首都圏・評価額高め(建物評価額1,000万円超クラス)

東京都23区や神奈川・埼玉・千葉などの首都圏主要都市を想定したケースです。建物の再建築費が高く、土地の路線価も高いため、3ケースの中で最も税額が大きくなります。

試算条件

  • 建物評価額(令和6年度評価替え後):1,100万円 (新築時評価額の目安 約2,375万円 × 経年減点補正率0.4632≒約1,100万円として設定)
  • 敷地全体の土地評価額:1億5,000万円(30戸マンション)
  • Aさんの持分割合:1/30
  • Aさんが負担する土地評価額:500万円(1億5,000万円 × 1/30)
  • 市街化区域内(都市計画税あり)

計算過程

①建物分の固定資産税:1,100万円 × 1.4% = 15万4,000円

②土地分の固定資産税(課税標準額):500万円 × 1/6 = 約83万3,000円→ 83万3,000円 × 1.4% = 1万1,700円

③都市計画税(建物分):1,100万円 × 0.3% = 3万3,000円

④都市計画税(土地分):500万円 × 1/3 = 約166万7,000円 → 166万7,000円 × 0.3% = 5,000円

年間合計(概算):約20万4,000円 月換算:約1万7,000円

注意
建物評価額は評価替えのたびに再建築費評点補正率が見直されるため、実際の税額はこの試算と前後します。なお、土地分については負担調整措置により課税標準額が変動する場合があります。

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3-3. 【ケース②】地方都市・評価額標準(建物評価額600〜800万円クラス)

大阪・名古屋・福岡など地方主要都市や、首都圏郊外を想定したケースです。建物評価額・土地評価額ともに中程度の設定です。

試算条件

  • 建物評価額:700万円
  • 敷地全体の土地評価額:6,000万円(30戸マンション)
  • Aさんの持分割合:1/30
  • Aさんが負担する土地評価額:200万円
  • 市街化区域内(都市計画税あり)

計算過程

①建物分の固定資産税:700万円 × 1.4% = 9万8,000円

②土地分の固定資産税:200万円 × 1/6 = 約33万3,000円→ 33万3,000円 × 1.4% = 4,700円

③都市計画税(建物分):700万円 × 0.3% = 2万1,000円

④都市計画税(土地分):200万円 × 1/3 = 約66万7,000円 → 66万7,000円 × 0.3% = 2,000円

年間合計(概算):約12万6,000円 月換算:約1万500円

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3-4. 【ケース③】郊外・評価額低め(建物評価額400万円未満クラス)

首都圏外の地方都市郊外や、規模の大きな郊外マンションを想定したケースです。土地評価額が低く、都市計画税が課税されない自治体もあります。

試算条件

  • 建物評価額:350万円
  • 敷地全体の土地評価額:2,400万円(40戸マンション)
  • Aさんの持分割合:1/40
  • Aさんが負担する土地評価額:60万円
  • 市街化区域外(都市計画税なし)

計算過程

①建物分の固定資産税:350万円 × 1.4% = 4万9,000円

②土地分の固定資産税:60万円 × 1/6 = 10万円→ 10万円 × 1.4% = 1,400円

③都市計画税:なし

年間合計(概算):約5万円 月換算:約4,200円

3ケース比較:固定資産税(建物・土地)+都市計画税=年間合計・月換算
ケース① 首都圏・高め ケース② 地方都市・標準 ケース③ 郊外・低め
建物評価額 1,100万円 700万円 350万円
土地評価額(持分後) 500万円 200万円 60万円
建物分の固定資産税 15万4,000円 9万8,000円 4万9,000円
土地分の固定資産税 1万1,700円 4,700円 1,400円
都市計画税(建物+土地) 3万8,000円 2万3,000円 なし
年間合計(概算) 約20万4,000円 約12万6,000円 約5万円
月換算 約1万7,000円 約1万500円 約4,200円

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3-5. 月換算にすると?管理費・修繕積立金と並べてランニングコストを把握する

固定資産税は年1回の納付ですが、月換算で捉えるとランニングコスト全体が見えやすくなります。ケース①の首都圏物件であれば月約1万7,000円、ケース②の地方都市物件で月約1万500円という水準です。

中古マンションのランニングコストは、固定資産税だけではありません。管理費・修繕積立金と合算した合計額を把握することが、購入判断において非常に重要です。

月換算のランニングコストの目安(ケース②の場合)
費用項目 月額の目安
管理費 1万〜1万5,000円程度(平均約1万1,500円)
修繕積立金 1万〜2万円程度(平均約1万3,000円。段階増額積立方式では築年数とともに増額)
固定資産税(月換算) 約1万500円
合計 約3万2,000円〜4万6,000円程度

固定資産税を月換算すると管理費と同水準になるケースも多くなります。購入前の資金計画では、売買価格だけでなくこうした毎月・毎年かかるコストを合算して検討することが大切です。

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4. 「思ったより安い・高い」を分けるポイント

固定資産税は「建物評価額が下がるから安くなるはず」と思いがちですが、実際には立地・戸数・建物の構造など複数の要素が絡み合い、同じ築30年でも税額が大きく変わります。

固定資産税が「試算より安かった」「思ったより高かった」と感じる理由を、ここでは整理します。

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4-1. 建物評価額は築年数で確実に下がる(最終残価率20%で下げ止まる)

結論から言えば、RC造マンションの建物分の固定資産税は築年数とともに下がります。ただし、ある時点から下げ止まります。

理由は、本記事の「2-2.経年減点補正率の仕組み:築30年でいくら下がるか」で解説した経年減点補正率の構造にあります。

RC造の住宅・アパート用建物は、築60年以上で補正率が0.20(最終残価率20%)に達し、それ以上は下がりません(出典「総務省:固定資産評価基準 第2章 家屋・別表第13」)。

たとえば、新築時の建物評価額が1,500万円だった場合、築30年で約695万円、築50年で約497万円(1,500万円×0.3316)、築60年以降は300万円前後で固定されるイメージです。

「築50年でも築30年でも税額がほぼ変わらない」という感覚になるのは、この補正率が緩やかにしか下がらないためです。なお、3年ごとの評価替えで再建築費評点補正率が見直されるため、建築費の上昇局面では評価額が下がりにくくなる点も覚えておきましょう。

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4-2. 土地評価額が「思ったより高い」ケースに注意

築年数が増えても土地の評価額は下がりません。建物分が安くなっているのに合計税額が思ったより高いと感じるときは、土地分の税額が大きいケースがほとんどです。

築30年マンション 土地評価額の違いで固定資産税合計額が変わる比較図

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路線価・地価上昇エリアでは土地分の税額が上がることがある

都心の再開発エリアや需要が高まっているエリアでは、3年ごとの評価替えのたびに土地評価額が上昇する場合があります。住宅用地の特例(評価額×1/6)が適用されていても、評価額自体が大きく上がれば課税標準額も増え、結果として土地分の固定資産税が増加します。

「建物分は築年数で下がったのに、なぜ合計税額が上がったのか」という疑問の答えは、多くの場合この土地分の上昇にあります。評価替えの年(令和9年度が次回)前後は、土地分の税額変動に特に注意が必要です。

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評価替えのタイミングで税額が変わることがある

住宅用地の土地分には「負担調整措置(ふたんちょうせいそち)」という仕組みがあります。これは、評価替えで土地評価額が大きく上昇した場合でも、課税標準額を一度に引き上げず、前年度の課税標準額に評価額の5%を加えながら段階的に引き上げる仕組みです。

たとえば、土地評価額が上がっても課税標準額が本来の水準(評価額×1/6)に到達するまで数年かかるケースがあります。そのため、購入直後は「税額が低い」ように見えても、翌年・翌々年と段階的に上昇するという現象が起こりえます。

納税通知書が届いたら課税明細書で課税標準額と評価額の両方を確認する習慣をつけましょう。

負担調整措置の詳細は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」で公開中の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税の負担調整措置とは?(図解でわかりやすい!)

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4-3. 戸数が少ないマンションは建物・土地の税額が高くなりやすい

本記事の「2-5.マンション固定資産税の核心:「一棟の税額を各戸に按分する」仕組み」で解説した「按分構造」を実務的な視点で再整理します。一棟全体の税額を戸数で分け合う仕組みである以上、戸数が少ないマンションほど1戸あたりの税負担は大きくなります

たとえば、一棟の建物評価額・土地評価額がまったく同じ2つのマンションがあった場合、戸数が10戸のマンションと50戸のマンションでは、1戸あたりの税額に単純計算で5倍の差が生じます。

購入を検討している物件の総戸数と敷地権の持分割合は、登記簿や重要事項説明書で確認できます。好立地・小規模マンションは1戸あたりの税額が高くなりやすいという事実を、物件選びの判断材料の一つとして持っておくことが重要です。

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4-4. タワーマンション(高さ60m超)は階層によって税額が異なる

築30年の中古マンションには該当しませんが、平成29年1月2日以後に新築された物件について、平成30年度課税分から、高さ60mを超える区分所有に係る家屋(いわゆるタワーマンション、おおむね地上20階以上)については、固定資産税の計算方法が変わりました(出典「一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和8年度 固定資産税のしおり」)。

一棟全体の固定資産税総額は変わりません。ただし、各戸への配分のしかたが「専有床面積の単純割合」から「階層別専有床面積補正率を乗じた割合」に変更されました。

階層別補正率は、1階を100として階が1つ増えるごとに10/39(約0.256)を加えた数値です(出典:タワーマンションの固定資産税の計算方法)。

具体的には次のようになります。

  • 1階:補正率100 → 低層階は税額が減少
  • 10階:補正率約102.3
  • 20階:補正率約104.9
  • 30階:補正率約107.4
  • 50階:補正率約112.6 → 高層階は税額が増加

この制度は平成29年1月2日以後に新築されたタワーマンション(ただし平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものは除く)に適用されます。それ以前に竣工した物件は従来どおり専有床面積の割合のみで按分されます。

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5. 固定資産税を安くする軽減措置(令和8年度税制改正で令和13年3月まで延長)

築30年マンションの固定資産税は、リフォームの内容によって建物分を減額できる制度があります。令和8年度税制改正(令和7年12月26日閣議決定)で、これらのリフォーム減税が令和8年4月1日から令和13年3月31日まで5年間延長されました。

ただし、各制度にはマンション特有の制約があります。どの工事が実際に活用できるかを一つずつ確認していきましょう。

固定資産税リフォーム減税4種類比較(令和13年3月31日まで延長・令和8年度税制改正)

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5-1. リフォームで固定資産税を減らせる4つの工事

リフォーム減税は、固定資産税の建物分を一定割合だけ減らせる制度です。令和8年4月1日以降に工事を完了した場合から適用されます。

令和8年度の法改正により床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和され、コンパクトマンションも対象に入りやすくなりました(出典「国土交通省:令和8年度税制改正概要」)。

固定資産税リフォーム減税一覧(令和8年度税制改正対応・最新版)
対象工事 固定資産税の減額割合 適用期限 床面積要件 備考
耐震改修 建物分の 1/2 令和13年3月31日 40〜240㎡ 工事完了翌年度から1年間(避難路沿道住宅は2年間)
バリアフリー改修 建物分の 1/3 令和13年3月31日 40〜240㎡ 工事完了翌年度から1年間
省エネ改修 建物分の 1/3 令和13年3月31日 40〜240㎡ 工事完了翌年度から1年間。バリアフリー改修との併用可
長期優良住宅化リフォーム 建物分の 1/3 を減額(税額は2/3に) 令和13年3月31日 40〜240㎡ 耐震または省エネ改修後に長期優良住宅の認定取得が必要

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5-2. 耐震改修:築30年マンションへの適用はほぼ困難

耐震改修の減税は、築30年マンションには実質的にほぼ適用が困難です。理由は2つあります。

1つ目は、適用要件が「昭和57年1月1日以前から所在する家屋」に限定されていることです。築30年は1993〜1996年ごろの竣工が中心で、昭和56年(1981年)改正の新耐震基準が適用されているため、原則として対象外です。

2つ目は、仮に旧耐震基準の建物であっても、マンションの場合は住戸単位ではなく棟全体で現行の耐震基準に適合させる必要があるという点です(出典「国土交通省:耐震改修に係る固定資産税の減額措置」)。

これは全区分所有者の合意と管理組合による一棟規模の工事を意味し、個人の判断だけで実施できるものではありません。

注意
旧耐震基準のマンション(昭和56年5月31日以前に建築確認を受けたもの)を所有している場合、耐震改修は個人ではなく管理組合主導で検討する必要があります。

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5-3. 省エネ改修・バリアフリー改修の活用法

築30年マンションで現実的に活用しやすいのが、省エネ改修とバリアフリー改修です。いずれも建物分の固定資産税が1/3減額されます(工事完了翌年度から1年間)。

省エネ改修は「平成26年4月1日以前から所在する家屋」が対象で、築30年は問題なく要件を満たします(出典「国土交通省:省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」)。対象となる主な工事は次のとおりです。

  • 窓の断熱改修(ガラス交換・内窓設置など。必須工事)
  • 床・壁・天井の断熱改修
  • 高効率空調機・高効率給湯器の設置
  • 太陽光発電設備・太陽熱利用システムの設置

省エネ改修工事費の合計が60万円超(補助金等を差し引いた後)であることも要件の一つです。バリアフリー改修は「新築後10年以上を経過した家屋」が対象です(出典「国土交通省:バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置」)。

ただし、65歳以上で要介護(支援)認定を受けている方、もしくは障がいを持っている方がお住まいになっているという条件を満たす必要があります。工事費は50万円超(補助金等を差し引いた後)という要件もあります。

注意
省エネ改修・バリアフリー改修の対象は専有部分内の工事が中心です。マンションの共用廊下へのスロープ設置や外壁の断熱改修など共用部分に及ぶ工事は、管理組合の承認・決議が必要になる場合があります。工事を検討する際は、事前に管理規約や管理組合の方針を確認しましょう。

申告手続きはいずれも、工事完了日から3か月以内に固定資産税減額申告書と増改築等工事証明書などの書類を市区町村の窓口に提出します。期限を過ぎると原則として減額を受けることができないため注意してください。

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5-4. 長期優良住宅化リフォームで税額を2/3に下げる

長期優良住宅化(ちょうきゆうりょうじゅうたくか)リフォームとは、耐震改修または省エネ改修を行い、さらに「増改築による長期優良住宅の認定」を取得した場合に適用される制度です。

建物分の固定資産税の1/3が減額され、税額は2/3になります(出典「国土交通省:長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置」)。

ただし、築30年マンションでこの制度を活用するには、大きな壁が2つあります。

1つ目は「耐震改修ルート」の実質的な困難さです。長期優良住宅化リフォームで耐震改修をルートに選ぶ場合、「昭和57年1月1日以前から所在する家屋」かつ「棟全体での耐震基準への適合」が要件になります。これは単独区分所有者の意思だけでは実現できません。

2つ目は「省エネ改修ルート」でも「長期優良住宅の認定取得」が必要な点です。認定には耐震・省エネ・劣化対策・維持管理のしやすさなど複数の基準を一棟全体として満たす必要があり、管理組合との連携が不可欠です。

つまり、どちらのルートでも管理組合主導の全棟的な取り組みが前提となります。大規模修繕のタイミングに合わせて管理組合として検討する制度と理解しておくとよいでしょう。

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6. 大規模修繕工事で固定資産税が上がることはあるか?

築30年マンションといえば、大規模修繕工事が実施される時期と重なります。「修繕工事で固定資産税が上がるのでは?」という不安を持つ所有者・管理組合員は少なくありません。

結論を先に言えば、通常の維持修繕であれば固定資産税は上がりません。一方、建物の価値を増加させる改良工事(改築)と判断された場合は、評価額が再計算されて税額が増えることがあります。

どちらに当たるかを理解しておくことで、不要な心配を減らせます。

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6-1. 「維持修繕」と「改良工事」で扱いが異なる

維持修繕なら固定資産税は上がりません。改良工事(改築)と判断された場合は、上がることがあります。

大規模修繕工事が固定資産税評価額に影響するかどうかは、「修繕(しゅうぜん)」か「改築(かいちく)」かという工事の性質によって決まります。

一般財団法人 資産評価システム研究センターが公表する資料には、修繕と改築の判断基準が以下のように記されています。

  • 修繕:家屋の機能・価値の水準や使用可能年数の維持・回復を図るもの。固定資産税評価額には影響しない。
  • 改築:家屋の耐久性や価値を増加させるもの。評価額に「大幅な増減を及ぼす」と市区町村が判断した場合、再評価の対象になり、固定資産税が増えることがある。

具体的には、次のように区分されます。

修繕と改築の区分例
区分 工事の例 固定資産税評価額への影響
修繕(影響なし) 外壁塗装の塗り直し・防水工事の更新・同等品への設備交換 なし
改築(再評価の対象になりうる) 外部仕上材を品質の高い資材に全面的に取り替え・建具や建築設備の新設・グレードアップを伴う設備の入れ替え 「大幅な価値増加」と判断された場合は税額が増える

なお、「改築に当たる」からといって自動的に評価額が上がるわけではありません。再評価が必要かどうかは「基準年度の価格によることが不適当であるかどうか」を市区町村が総合的に判断します。工事の内容だけでなく、規模や金額も判断材料となります。

たとえば、外壁の防水層を同等の仕様で更新する工事は修繕に該当し、評価額に影響しません。一方、外壁を大幅にグレードアップした素材に全面的に取り替えた場合は、改築として再評価の対象になる可能性があり、その結果として固定資産税が増えることがあります。

つまり、どんな工事でも税額が上がるわけではなく、「価値を増加させる工事かどうか」が分かれ目という点がポイントです。

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6-2. 管理組合として工事をする場合の注意点

管理組合が実施する共用部分の大規模修繕は、一棟全体の工事であるため工事費も大きくなります。内容によっては「改築」として再評価の対象になりうる規模になる場合もあり、その結果として各区分所有者の固定資産税が増える可能性があります。

逆に言えば、外壁塗装・屋上防水・配管更新など「現状維持・原状回復」の範囲に収まる工事であれば、固定資産税は上がりません。

工事内容が修繕なのか改築なのか判断が難しい場合は、工事実施前にマンションが所在する市区町村の資産税担当窓口に工事内容を相談することをおすすめします。事前に確認しておくことで、予期しない税額変動を避けられます。

あわせて覚えておきたいのが、リフォーム減税との関係です。大規模修繕工事は、本記事の「5.固定資産税を安くする軽減措置(令和8年度税制改正で令和13年3月まで延長)」で解説した個人向けのリフォーム減税(省エネ改修・バリアフリー改修等)の適用対象にはなりません。

リフォーム減税はあくまでも個人が自己の居住する住戸に対して行う一定の性能向上工事が対象です。管理組合が実施する共用部分の工事には適用されないため、混同しないよう注意しましょう。

注意
大規模修繕の工事内容が「改築」に該当するかどうかは市区町村の判断によります。工事前に資産税担当窓口への確認をおすすめします。

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7. 購入前に確認!固定資産税額を事前に把握する方法

中古マンションの購入を検討するとき、固定資産税の実際の金額を事前に把握しておくことは、資金計画上とても大切です。「試算」と「実額確認」には複数の方法があり、確実度が異なります。

最も正確なのは売主が持つ課税明細書を直接確認する方法で、概算でよければ建物評価額から逆算する方法も使えます。

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7-1. 不動産会社に「固定資産税の課税明細書」を見せてもらう

購入前に固定資産税の実額を把握する最も確実な方法は、売主が毎年受け取る固定資産税の納税通知書に同封されている「課税明細書(かぜいめいさいしょ)」を不動産会社を通じて開示してもらうことです。

課税明細書には、次の情報が記載されています。

土地の課税明細書に記載されている項目

  • 土地の固定資産税額
  • 所在・地番・地目・地積
  • 価格(固定資産税評価額)
  • 課税標準額
  • 軽減税額

家屋の課税明細書に記載されている項目

  • 家屋の固定資産税額
  • 所在・家屋番号・種類・構造・床面積
  • 価格(固定資産税評価額)
  • 課税標準額
  • 軽減税額

「評価額」と「課税標準額」の両方が記載されているため、住宅用地の特例がいくら適用されているかも一目で確認できます。

また、この明細書で確認できる税額はあくまで前年度のものです。評価替えの年度(次回は令和9年度)をまたぐ購入の場合は、税額が変わる可能性があることも念頭に置いておきましょう。

注意
課税明細書の開示は売主の任意です。不動産会社を通じて早めに依頼しておくとスムーズです。

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7-2. 固定資産課税台帳(名寄帳)で確認する

固定資産課税台帳(こていしさんかぜいだいちょう)とは、市区町村が所有者ごとに固定資産の評価額・課税標準額・税額などを登録している帳簿のことです。

この台帳を個人別にまとめたものが「名寄帳(なよせちょう)」と呼ばれ、ある所有者がその市区町村内に持つ固定資産をまとめて一覧で確認できます。

課税明細書が手元にない場合でも、この台帳を閲覧することで評価額や税額を確認できます。

ただし、固定資産課税台帳の閲覧および評価証明書の交付を請求できる者は限定されています。原則として認められているのは次の方々です (出典「地方税法:第382条の2地方税法:第382条の3」)。

  • 納税義務者(その固定資産の所有者)本人
  • 借地人・借家人(賃借している土地・家屋に関する部分に限る)
  • 所有者から委任を受けた代理人(委任状が必要)
注意
中古マンションの購入検討者は、法律上「第三者」にあたります。売主の委任状なしに、勝手に売主の固定資産課税台帳を閲覧したり、評価証明書の交付を受けたりすることは原則としてできません。購入前に台帳の内容を確認したい場合は、売主本人に取得・提示を依頼するか、売主から委任状を得たうえで代理人として窓口を訪問する方法をとりましょう。

実際の購入場面では、不動産会社が仲介に入っている場合、売主への確認や課税明細書の取り寄せを依頼してもらえることが多いです。まずは担当の不動産会社に相談してみることをおすすめします。

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7-3. 概算なら「建物評価額の目安」から逆算できる

課税明細書も固定資産課税台帳の閲覧もできない場合、建物の築年数と構造から評価額を推計して概算税額を逆算する方法があります。

RC造の築30年マンションであれば、経年減点補正率は0.4632です。たとえば新築時の建物評価額の目安が1,000万円の物件なら、築30年時点の建物評価額は概算で約463万円(1,000万円×0.4632)となり、建物分の固定資産税は約6万5,000円(463万円×1.4%)という試算ができます。

ただし、この方法には次の限界があります。

  • 新築時の建物評価額は売買価格とは異なり、実際には課税明細書を見ないとわかりません。
  • 土地評価額は立地・路線価・持分割合によって大きく異なり、概算の誤差が出やすい項目です。
  • 評価替えのたびに再建築費評点補正率が見直されるため、実際の評価額が試算値とずれる場合があります。

この逆算はあくまでも「おおよその目安」です。購入の意思決定をする前には、必ず課税明細書か固定資産課税台帳で実額を確認することを強くおすすめします。

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8. 中古マンション購入時の「固定資産税の日割り精算」とは?

中古マンションを年の途中で購入すると、引き渡し日以降の固定資産税相当額を買主が売主に支払う「日割り精算」が行われるのが一般的です。

この精算は法律で定められたものではなく、不動産取引の慣行として広く行われているものです。購入時の諸費用として忘れずに予算に組み込んでおきましょう。

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8-1. 売主との精算はどのように行われるか

固定資産税は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者に対して、その年の1年分が課税されます。これは、年の途中でマンションを売却した売主も、1年分の固定資産税を全額納める義務を負うことを意味します。

そのため、年の途中で売買が行われる場合は、売買慣行として「引き渡し日を境に、それ以降の日数分の固定資産税相当額を買主が売主に支払う」という精算が行われます。

注意
この日割り精算は、地方税法上の法的義務ではなく、売買契約に基づく当事者間の取り決めです。精算しない合意も法律上は有効ですが、実務上はほぼすべての取引で行われます。精算の条件は売買契約書に明記されますので、内容を事前に確認しましょう。

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8-2. 精算の計算式と実例

日割り精算の計算式は次のとおりです(計算方法は取引慣行によるもので、1月1日起算・引き渡し日以降を買主負担とするのが一般的です)。

  • 買主の負担額 = 年間税額 ÷ 365日(うるう年は366日)× 買主負担日数
中古マンション購入時 固定資産税日割り精算の仕組み タイムライン図

具体例:7月1日引き渡しの場合(年間税額12万円・365日の年)

  • 買主の負担日数:7月1日〜12月31日 = 184日
  • 買主負担額:12万円 ÷ 365日 × 184日 = 約6万400円
  • 売主負担額:12万円 ÷ 365日 × 181日 = 約5万9,500円

実際には100円未満を切り捨て・四捨五入するなど、端数処理の方法は取引によって異なります。

不動産会社が精算計算書を作成してくれるのが通常ですが、計算の根拠となる年間税額と日数を自分でも確認しておくとよいでしょう。

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8-3. 精算額は売買代金には含まれない点に注意

固定資産税の日割り精算額は、売買代金(物件価格)とは別に決済時に授受される費用です。仲介手数料・登記費用・火災保険料などと並んで、購入時の諸費用として予算に組み込む必要があります。

たとえば、年間税額が12万円の物件を7月1日に引き渡す場合、買主は精算金として約6万400円を決済時に売主へ支払います。

年間税額が20万円を超えるような首都圏の物件では、精算額が10万円を超えることも珍しくありません。

また、引き渡し日が早い(年の前半に近い)ほど買主の負担日数が増え、精算額も大きくなります。購入時期と物件の税額水準の両方を考慮して、諸費用の総額を計算しておくことが大切です。

注意
精算に使う「年間税額」は、売主が実際に納付する固定資産税(および都市計画税)の合計額です。固定資産税のみで都市計画税を含まない誤計算が起きやすいため、課税明細書で固定資産税と都市計画税の合計額を確認したうえで精算計算に使いましょう。

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9. よくある質問(FAQ)

ここからは、中古マンションの固定資産税に関するよくある質問とその答えをまとめます。ぜひ参考になさってください。

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9-1. 築30年の中古マンションを買ったら固定資産税はいつから払う?

購入年は「日割り精算」で売主に支払い、翌年から自分で納付します。

固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に対して1年分が課税されます。年の途中で購入した場合、購入年の固定資産税は1月1日時点の売主に全額課税されているため、買主は「引き渡し日以降の日数分の相当額」を決済時に売主へ精算します(日割り精算の詳細は本記事の「8.中古マンション購入時の「固定資産税の日割り精算」とは?」をご覧ください)。

翌年からは、毎年1月1日時点に所有者として登録されている買主自身に納税通知書が届き、買主が固定資産税を直接納付することになります。

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9-2. 固定資産税の通知はいつ届く?支払い方法は?

納税通知書は毎年4〜5月ごろに届き、年4回に分けて納付するのが一般的です。

市区町村は毎年4月以降に納税通知書を送付します。納付は通常年4回の分割払いで、第1期(4月ごろ)・第2期(7月ごろ)・第3期(12月ごろ)・第4期(翌年2月ごろ)が一般的ですが、納期の設定は自治体によって異なります。また、一括払いを選ぶこともできます。

支払い方法は、金融機関・コンビニでの窓口払いに加え、口座振替・クレジットカード払い・スマートフォンアプリ払いなど多様な方法が利用できる自治体が増えています(対応する支払い方法は自治体によって異なるため注意してください)。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、固定資産税のお得な納付方法をご紹介する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税のお得な払い方|令和8年度の納税額別ベストルート

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9-3. 築30年と築50年では固定資産税はどれくらい違う?

RC造なら、建物分の税額差は意外に小さくなります。土地分は築年数で変わりません。

RC造の住宅・アパート用建物の経年減点補正率は、築30年で0.4632、築50年で0.3316です(出典「総務省:固定資産評価基準 第2章 家屋・別表第13の2」)。

仮に新築時の建物評価額が1,500万円だった場合、築30年では約695万円、築50年では約497万円となり、差は約198万円です。この差から生じる固定資産税の差額は年間約2万7,700円(198万円×1.4%)程度にとどまります。

一方、土地分の固定資産税は築年数とまったく関係がありません。立地・路線価・持分割合によって決まるため、同じエリア・同じ物件であれば築30年も築50年も土地分の税額はほぼ同じです。

つまり、築30年と築50年を同じ条件で比べると、合計税額はあまり変わらないことが多いという点がポイントです。

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9-4. 同じ築30年でも物件によって税額がかなり違うのはなぜ?

建物評価額・土地評価額・戸数(按分割合)という3つの要素が物件ごとに異なるためです。

まず、建物評価額は新築時の再建築費に差があるため、同じ築年数でも評価額が異なります。次に、土地評価額は立地・路線価・持分割合によって大きく変わり、都心と郊外では数倍〜数十倍の差が生じます。そして最も見落とされがちなのが「按分構造」の影響です。

マンションは一棟全体の税額をまず計算し、各戸の専有床面積(共用部分持分含む)の割合で分け合う仕組みになっています(本記事「2-5.マンション固定資産税の核心:「一棟の税額を各戸に按分する」仕組み」参照)。

戸数が少ないマンションほど1戸あたりの負担が大きくなるため、同じ専有面積でも戸数によって税額が大きく変わります。物件選びの際は、専有面積だけでなく総戸数と土地の持分割合も必ず確認しましょう。

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9-5. 固定資産税を滞納するとどうなる?

延滞金が課され、最終的には差し押さえ・公売というリスクがあります。早めの対処が大切です。

固定資産税を納期限までに納付しなかった場合、納期限の翌日から「延滞金」が加算されます。延滞金とは、納期限内に納めた方との公平性を保つために課される追加負担のことです。

延滞金の割合は、地方税法第369条に基づき、本則では次のとおりです。

  • 納期限の翌日から1か月以内:年7.3%
  • 納期限の翌日から1か月を超えた日以降:年14.6%

ただし、実際には「特例基準割合(とくれいきじゅんわりあい)」という制度があり、低金利の時代には本則より低い割合が適用されます。

特例基準割合とは、前年の銀行の平均貸付割合に年1%を加算した割合のことで、毎年変動します。特例が適用される年は次のとおりになります。

  • 1か月以内:「特例基準割合+年1%」(令和8年度の適用割合:年2.6%
  • 1か月超:「特例基準割合+年7.3%」(令和8年度の適用割合:年8.9%
注意
特例基準割合は毎年変動します。納付年度の正確な割合は各市区町村にご確認ください。

たとえば、年間税額12万円の固定資産税を1か月超にわたって滞納した場合、年8.9%で計算すると1か月で約890円の延滞金が加算されます(12万円×8.9%÷12か月≒890円)。金額は小さく見えますが、滞納が長引くほど雪だるま式に増えていきます。

滞納が続いた場合、段階的に次のような措置がとられます。

  • 納期限後20日以内に督促状が送付されます。
  • 督促後も納付がなければ、給与・預金・不動産などが差し押さえの対象になります。
  • 差し押さえた財産は公売(強制的な売却)にかけられることがあります。

固定資産税は毎年必ず発生する費用です。「うっかり払い忘れ」を防ぐには口座振替の設定が確実です。万一、納付が困難な事情が生じた場合は、放置せず早めに市区町村の税務窓口に相談することをおすすめします。

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まとめ:築30年マンションの固定資産税、これだけ押さえれば大丈夫

この記事では、築30年の中古マンションにかかる固定資産税の仕組みから試算・軽減措置・購入時の注意点まで、幅広くお伝えしてきました。最後に、特に大切なポイントを5点に絞って整理します。

① 固定資産税は「建物分」と「土地分」の合計で決まる

建物分は築年数とともに下がり、RC造の築30年では経年減点補正率0.4632が適用されます。一方、土地分は築年数に関係なく路線価・地価動向で変化します。「建物は安くなっている。でも土地は立地次第」という大枠を押さえておくことで、物件ごとの税額差の理由がわかります。

② 同じ専有面積でも「戸数」によって税額は大きく変わる

マンションは一棟全体の税額を各戸の専有床面積(共用部分持分含む)の割合で分け合う「按分」の仕組みになっています。戸数が少ないマンションほど1戸あたりの負担は大きくなります。購入前の物件比較では、専有面積だけでなく総戸数と持分割合の確認が不可欠です。

③ 住宅用地の特例で、土地分の課税標準額は評価額の1/6になる

住宅用地の特例(小規模住宅用地)が適用されると、土地の課税標準額が評価額の1/6まで圧縮されます。この特例を知らないと、試算が実態より大幅にずれてしまいます。多くの分譲マンションでは敷地全体にこの1/6が適用されています。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、住宅用地の特例の詳細を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
住宅用地の特例とは|軽減率・計算例・特例が外れる条件を解説

④ 省エネ改修・バリアフリー改修で固定資産税を減らせる(令和13年3月まで)

令和8年度税制改正で、リフォーム減税が令和8年4月1日〜令和13年3月31日まで5年間延長されました。築30年マンションが現実的に活用しやすいのは省エネ改修と(条件を満たす場合の)バリアフリー改修です。

耐震改修・長期優良住宅化リフォームもリフォーム減税の対象となりますが、棟全体での対応が前提となるため、管理組合との連携が必要になります。

⑤ 購入前に課税明細書を確認し、日割り精算を予算に組み込む

購入前に最も確実な方法は、売主の課税明細書で実際の税額を確認することです。また、年の途中で購入する場合は引き渡し日以降の税相当額を決済時に売主へ精算する慣行があります。固定資産税(都市計画税含む)の年間合計額を日割りで計算した金額を、諸費用として事前に予算に組み込んでおきましょう。

固定資産税は毎年必ずかかる費用です。購入前に実額を把握し、月換算でランニングコストに組み込んでおくことで、後悔のない物件選びができます。

本記事の内容が、中古マンションの購入を希望する皆様に役立てば幸いです。

著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般社団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov:地方税法総務省:固定資産評価基準 第1章 土地総務省:固定資産評価基準 第2章 家屋国土交通省:リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について国土交通省:令和8年度税制改正概要国土交通省:令和5年度マンション総合調査結果一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和8年度 固定資産税のしおり一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和6年度 固定資産税のあらまし一般財団法人 資産評価システム研究センター:改築等が行われた家屋の評価について
注意点
本記事の内容は令和8年□月時点のものです。最新の情報は市町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。

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