床の間の固定資産税は「特上中並」で決まる

床の間の固定資産税は「特上中並」で決まる

床の間の固定資産税は、使用されている資材の種類によって特、上、中、並に振り分けられ、それぞれ税額の目安が異なります。

床の間の固定資産税の目安を解説し、税額を安く抑える方法をご紹介しましょう。

なお、本記事でご紹介するのは、新たに設置する床の間の固定資産税に関することであり、設置後年数が経過した床の間には該当しないため注意してください。

目次

床の間の固定資産税は、本床、床脇、付け書院から成る

はじめに、床の間に固定資産税が課されるイメージをご紹介します( あくまでイメージであり、正確ではないため注意してください )。

床の間は本床、床脇、付け書院から成りますが、床の間の固定資産税も同じであり、それらの場所の税額の合計となります。

また、市街地に位置する建物に床の間を設けた場合は、多くの場合は、固定資産税に加えて都市計画税も課されます。

都市計画税とは、公共施設を維持新設する「都市計画事業」などの費用を賄うために市町村が徴収する税金です。

床の間の都市計画税も固定資産税と同じく、本床、床脇、付け書院の税額の合計となります。

床の間の固定資産税は、本床、脇床、付け書院の税額の合計

上記はあくまでイメージであり、正確ではありません ご注意ください

そして、本床、床脇、付け書院の固定資産税や都市計画税は、幅と「特」「上」「中」「並」によって異なります。

高麗縁(こうらいべり)の畳、脂松(やにまつ)、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)など極めて高価な資材が使用されていれば、税額は「特」です。

楠(くすのき)、欅(けやき)の上杢目(じょうもくめ)、大楓(おおかえで)、カリンなどの資材が使用されていれば、税額は「上」となります。

一般的な畳、欅(けやき)、欅(けやき)の杢目(もくめ)、柳(やなぎ)、黒柿、檜(ひのき)などの資材が使用されていれば、税額は「中」です。

一般的な畳、栓(せん)のベニヤ、栃の木、赤松、香節(こぶし)などの資材が使用されていれば、税額は「並」となります。

床の間は特上中並によって固定資産税が異なる

使用使用されている資材
高麗縁(こうらいべり)の畳、脂松(やにまつ)、黒檀(こくたん)、紫檀(したん)など
楠(くすのき)、欅(けやき)の上杢目(じょうもくめ)、大楓(おおかえで)、カリンなど
一般的な畳、欅(けやき)、柳(やなぎ)、欅(けやき)の杢目(もくめ)、黒柿、檜(ひのき)など
一般的な畳、栓(せん)のベニヤ、栃(とち)の木、赤松、香節(こぶし)など

つづいて、床の間を構成する本床、床脇、付け書院の固定資産税の目安をご紹介しましょう。

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本床の固定資産税の目安

床の間の本床の固定資産税は「特」「上」「中」「並」によって異なり、特は5,005円程度、上は2,151円程度、中は998円程度、並は415円程度です。

また、床の間の本床の都市計画税も同じく「特」「上」「中」「並」によって異なり、特は1,072円程度、上は461円程度、中は213円程度、並は89円程度となります。

本床の固定資産税の目安

固定資産税 都市計画税
5,005円程度 1,072円程度
2,151円程度 461円程度
998円程度 213円程度
415円程度 89円程度

いずれも新たに設置した本床の税額の目安

くわえて、床の間の本床の固定資産税や都市計画税は、幅によって税額が補正されます。

9尺(2.7m)であれば1.3倍、6尺(1.8m)であれば1.0倍、3尺(0.9m)であれば0.7倍です。

本床の幅による固定資産税の補正

税額の補正率
9尺(2.7m) 1.3倍
6尺(1.8m) 1.0倍
3尺(0.9m) 0.7倍

たとえば、脂松の床柱と高麗縁の畳などを使用した、幅が9尺(2.7m)の「特」の本床を設けたとしましょう。

であれば以下のように計算し、その本床の固定資産税は6,506円程度、都市計画税は1,393円程度、合計7,899円程度となります。

本床(特)の固定資産税の計算例
5,005円×1.3=6,506円

本床(特)の都市計画税の計算例
1,072円×1.3=1,393円

合計
6,506円(固定資産税)+1,393円(都市計画税)=7,899円程度

つづいて、床の間の床脇の固定資産税の目安をご紹介しましょう。

なお、本記事の内容は、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」に基づいています。

固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めています。

市町村は建物や土地の所有者に固定資産税を課しますが、その税額は、対象となる資産の時価を基に計算します。

よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する際は、固定資産評価基準を手本とします。

固定資産評価基準は「総務省:固定資産税の概要」の下部よりご覧いただけます。

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床脇の固定資産税の目安

床の間の本床の固定資産税は「特」「上」「中」「並」によって異なり、特は3,907円程度、上は1,621円程度、中は778円程度、並は388円程度です。

また、本床の都市計画税も同じく「特」「上」「中」「並」によって異なり、特は837円程度、上は347円程度、中は166円程度、並は83円程度となります。

床脇の固定資産税の目安

固定資産税 都市計画税
3,907円程度 837円程度
1,621円程度 347円程度
778円程度 166円程度
388円程度 83円程度

いずれも新たに設置した床脇の税額の目安

くわえて、床の間の床脇の固定資産税や都市計画税は、本床と同じく幅によって税額が補正されます。

9尺(2.7m)であれば1.3倍、6尺(1.8m)であれば1.0倍、3尺(0.9m)であれば0.7倍です。

床脇の幅による固定資産税の補正

税額の補正率
9尺(2.7m) 1.3倍
6尺(1.8m) 1.0倍
3尺(0.9m) 0.7倍

たとえば、欅や柳、欅の杢目などを使い、幅が6尺(1.8m)の「中」の床脇を設けたとしましょう。

であれば以下のように計算し、その床脇の固定資産税は778円程度、都市計画税は166円程度、合計944円程度です。

床脇(中)の固定資産税の計算例
778円×1.0=778円

床脇(中)の都市計画税の計算例
166円×1.0=166円

合計
778円(固定資産税)+166(都市計画税)=944円程度

つづいて、床の間の付け書院の固定資産税の目安をご紹介しましょう。

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付け書院の固定資産税の目安

付け書院の固定資産税は「特」「上」「並」によって異なり、特は2,626円程度、上は1,121円程度、並は455円程度です。

また、付け書院の都市計画税も同じく「特」「上」「並」によって異なり、特は562円程度、上は240円程度、並は97円程度となります。

付け書院の固定資産税の目安

固定資産税 都市計画税
2,626円程度 562円程度
1,121円程度 240円程度
455円程度 97円程度

いずれも新たに設置した付け書院の税額の目安

くわえて、床の間の付け書院の固定資産税や都市計画税も本床や床脇と同じく、幅によって税額が補正されます。

6尺(1.8m)であれば1.0倍、9尺(2.7m)であれば1.3倍、3尺(0.9m)であれば0.7倍です。

床脇の幅による固定資産税の補正

税額の補正率
9尺(2.7m) 1.3倍
6尺(1.8m) 1.0倍
3尺(0.9m) 0.7倍

たとえば、栓のベニヤなどを使い、幅が3尺(0.9m)の「並」の付け書院を設けたとしましょう。

であれば以下のように計算し、その付け書院の固定資産税は318円程度、都市計画税は67円程度、合計385円程度です。

付け書院(並)の固定資産税の計算例
455円×0.7=318円

付け書院(並)の都市計画税の計算例
97円×0.7=67円

合計
318円(固定資産税)+67円(都市計画税)=385円程度

そして、これまでにご紹介した本床、床脇、付け書院の固定資産税の目安の合計が、床の間の固定資産税の目安となります。

同様に、これまでにご紹介した本床、床脇、付け書院の都市計画税の目安の合計が、床の間の都市計画税の目安です。

税額の計算例を挙げると、本床の固定資産税が6,506円、床脇の固定資産税は778円、付け書院の固定資産税は318円であれば「6,506円+778円+318円=7,602円」と計算し、7,602円程度が床の間の固定資産税の目安となります。

本床の都市計画税が1,393円、床脇の都市計画税が166円、付け書院の都市計画税が67円であれば「1,393円+166円+67円=1,626円」と計算し、1,626円程度が床の間の都市計画税の目安です。

その状況においては、「7,602円+1,626円=9,228円」と計算し、固定資産税と都市計画税の合計は9,228円程度となります。

床の間の固定資産税の計算例
6,506円(本床の税額)+778円(床脇の税額)+318円(付け書院の税額)=7,602円程度

床の間の都市計画税の計算例
1,393円(本床の税額)+166円(床脇の税額)+67円(付け書院の税額)=1,626円程度

固定資産税と都市計画税の合計例
7,602円(床の間の固定資産税)+1,626円(床の間の都市計画税)=9,228円程度

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まとめ - 床の間の固定資産税は、中や並にすれば税額を抑えられる

床の間の固定資産税の目安をご紹介しました。

床の間の固定資産税は、本床、床脇、付け書院の税額の合計であり、それぞれの税額は「特」「上」「中」「並」によって異なります。

床の間の都市計画税も同じく、本床、床脇、付け書院の税額の合計であり、それぞれの税額は「特」「上」「中」「並」によって異なります。

また、本床、床脇、付け書院の固定資産税、および都市計画税は、幅によって税額が補正されます。

床の間の固定資産税に関することを調べる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。

なお、既にお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、床の間の固定資産税は、脂松の床柱や高麗縁の畳など高価な資材を使用し、幅を広くするほど税額が高くなります。

高価な資材を使用し、幅を広くするほど床の間の固定資産税が高くなるのは、固定資産税の概念にあります。

本記事の途中でもご紹介しましたが、固定資産税は対象となる資産の時価を基に税額を計算します。

そして、時価が高い資産は税額が高くなり、時価が低い資産は税額が低くなります。

つまり、時価が高い床の間は固定資産税が高くなり、時価が低い床の間は固定資産税が安くなるというわけです。

床の間の固定資産税は、高価な資材が使用されていれば税額が高くなり、一般的な資材が使用されていれば税額が安くなる

時価が高い床の間とは、幅が広く、脂松の床柱など高価な資材を使用した「特」の床の間です。

時価が低い床の間とは、幅が狭く、黒柿や赤松の床柱など一般的な資材が使われた「中」や「並」の床の間です。

よって、床の間の設置を希望しつつ固定資産税を安く抑えたい場合は、幅が広すぎない「中」や「並」の床の間を設けてください。

本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2025年6月

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