畳の固定資産税は高い!?

畳の固定資産税は高いといわれますが、税額は至って普通であり、フローリングと大差ありません。
ただし、高級畳であれば固定資産税は高くなり、畳に併せて砂壁にする、天井を無垢の板張りにするなどすれば、税額はさらに高くなります。
畳の固定資産税が高いか否か解説しましょう。
目次
- 1. 一般的な畳の固定資産税は、1㎡あたり55円程度
- 1-1. 高級畳の固定資産税は、1㎡あたり82円程度まで高くなる
- 1-2. 畳と併せて砂壁などにすると、固定資産税が高くなる
- 1-3. 畳の固定資産税は、最後は新築時の25%程度まで下がる
- まとめ - 畳の固定資産税は、軽減措置により安くなる
一般的な畳の固定資産税は、1㎡あたり55円程度
畳の固定資産税は高いといわれますが、1畳あたり1万5,000円程度以下の一般的な畳であれば、フローリングと変わりません。
一般的な畳の固定資産税は1㎡あたり55円程度、都市計画税は1㎡あたり11円程度です。
これに対して、一般的なフローリングである複合フローリングの固定資産税は1㎡あたり48円程度、都市計画税は1㎡あたり10円程度となっています。
いずれも新築時の税額ですが、差はわずかで畳の固定資産税が特に高いとはいえないでしょう。

ただし、高級畳にすると固定資産税は高くなり、畳に併せて砂壁にする、天井を無垢の板張りで仕上げるなどすれば、さらに税額は高くなります。
つづいて、高級畳の固定資産税の目安など解説しましょう。
なお、本記事の内容は「固定資産評価基準 第二章 家屋」に基づいています。
固定資産評価基準とは、市町村が建物や土地の時価を評価する方法が記された手引き書であり、総務大臣が内容を定めて総務省が告示しています。
市町村は市町村内の建物や土地の所有者に固定資産税を課しますが、その税額は、対象となる建物や土地の時価を基に計算します。
よって、市町村は市町村内の建物や土地の時価を適正に評価しなければなりませんが、評価する方法が記された手引き書が固定資産評価基準です。
「固定資産評価基準 第二章 家屋」は、「総務省:固定資産税の概要」の下部よりご覧いただけます。
高級畳の固定資産税は、1㎡あたり82円程度まで高くなる
一般的な畳の固定資産税は1㎡あたり55円程度、都市計画税は1㎡あたり11円程度と複合フローリングと変わりませんが、1畳あたり2万円以上などする高級畳であれば税額は高くなります。
高級畳の固定資産税は1㎡あたり82円程度であり、都市計画税は1㎡あたり17円程度です。
高級畳と一般的な畳の固定資産税の差
グレード | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
高級畳 | 1㎡あたり82円程度 | 1㎡あたり17円程度 |
一般的な畳 | 1㎡あたり55円程度 | 1㎡あたり11円程度 |
※ いずれも新築時の税額
とはいうものの、8畳程度(13㎡程度)の部屋のみに高級畳を施すのであれば、固定資産税や都市計画税が大幅に高くなることはありません。
たとえば、8畳の部屋のみに高級畳を施したのであれば「82円×13㎡=1,066円」と計算して畳にかかる固定資産税は1,066円程度、「17円×13㎡=221円」と計算して都市計画税は221円程度です。
一方、8畳の部屋のみに一般的な畳を施したのであれば「55円×13㎡=715円」と計算して畳にかかる固定資産税は715円程度、「11円×13㎡=143円」と計算して都市計画税は143円程度となり、高級畳と大差ありません。
50畳の広間を作りつつ高級畳を敷き詰めるなどしなければ、固定資産税が高くなる心配はないといえるでしょう。

ちなみに、固定資産税が高い高級畳とは、畳表に長い井草がふんだんに使われ、畳床が一級品であり、畳縁が光輝縁の畳などが該当します。
これに対して固定資産税が通常の税額となる一般的な畳とは、高級畳に該当しない畳であり、樹脂畳も含まれます。
なお、一部の市町村では、高級畳であっても一般的な畳と固定資産税が変わらないため留意してください。
固定資産税は市町村が徴収する地方税であり、市町村によって多少ルールが異なります。
多くの市町村では高級畳の方が固定資産税が高くなりますが、一部の市町村では高級畳と一般的な畳の税額が変わりません。
高級畳にすると固定資産税が高くなるか否かは、市町村役場の資産税課に問い合わせるなどすれば確認できます。
畳と併せて砂壁などにすると、固定資産税が高くなる
8畳程度の部屋のみに畳を施すのであれば、高級畳を用いたとしても固定資産税が大きく高くなることはありません。
しかし、その部屋を本格的な和室とするために砂壁にすれば、内壁にかかる固定資産税が大幅に高くなるため注意してください。
たとえば、壁をクロスで仕上げれば、その部屋の内壁にかかる固定資産税は床面積1㎡あたりつき73円程度、都市計画税は1㎡あたりつき15円程度です。
一方、壁を砂壁で仕上げれば、その部屋の内壁にかかる固定資産税は床面積1㎡あたりつき214円程度、都市計画税は1㎡あたりつき45円程度まで高くなります。
内壁の仕上げ方による固定資産税の差
仕上げ方 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
クロス仕上げ | 73円程度 | 15円程度 |
砂壁 | 214円程度 | 45円程度 |
※ 各税額は新築時の床面積1㎡あたりの税額
また、その部屋を本格的な和室にするために天井を無垢の板張りで仕上げれば、天井にかかる固定資産税が大幅に高くなります。
たとえば、天井をクロスで仕上げれば、その部屋の天井にかかる固定資産税は床面積1㎡あたりにつき48円程度、都市計画税は床面積1㎡あたりにつき10円程度です。
一方、無垢材で打上げ天井、敷目天井、目透かし天井などにすれば、その部屋の天井にかかる固定資産税は床面積1㎡あたりにつき82円程度、都市計画税は床面積1㎡あたりにつき17円程度まで高くなります。
ただし、化粧合板で打上げ天井や敷目天井、目透かし天井などにすれば、その部屋の天井にかかる固定資産税は床面積1㎡あたりにつき61円程度、都市計画税は1㎡あたり13円程度となります。
よって、打上げ天井や敷目天井、目透かし天井などにすることを希望するものの固定資産税を安く抑えたい場合は、無垢材ではなく化粧合板にするのが良いでしょう。
天井の仕上げ方による固定資産税の差
仕上げ方 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
クロス仕上げ | 48円程度 | 10円程度 |
合板の板張り | 61円程度 | 13円程度 |
無垢の板張り | 82円程度 | 17円程度 |
※ 各税額は新築時の床面積1㎡あたりの税額
ちなみに、「砂壁風のクロス」がありますが、その固定資産税はクロス仕上げと同額です。
ただし、固定資産税の家屋調査の際に、調査員に「これは砂壁ではなくクロスです」などと伝えておくのが良いでしょう。
畳の固定資産税は、最後は新築時の25%程度まで下がる
畳は固定資産税が高いといわれ、確かに高級畳であれば税額が高くなりますが、グレードを問わず最後は新築時の25%程度まで下がります。
これは、建物の固定資産税や都市計画税は、どのような建材が使用されていても、最後は新築時の25%程度まで下がることが理由です。
固定資産税が高くなることを懸念して高級畳の導入を躊躇するのであれば、いずれは下がると考え、思い切って導入したほうが良いでしょう。
新築時の25%程度まで固定資産税が下がるのに要する年数は、建物の構造、1㎡あたりの建築費、その時々の物価水準などによって異なりますが、一般的な木造住宅であれば最短で35年などです。
木造のローコスト住宅であれば最短で25年などであり、軽量鉄骨であれば最短で30年など、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば最短で60年となります。
いずれの構造も新築時の25%程度まで税額が下がればそれよりは下がらず、建物として機能する限り永遠に固定資産税が課されます。
建物の固定資産税が下がる年数
建物の種類 | 25%程度まで下がる年数 |
---|---|
一般的な木造住宅 | 最短で35年など |
木造のローコスト住宅 | 最短で25年など |
軽量鉄骨造の住宅 | 最短で30年など |
RC造、SRC造の住宅 | 最短で60年 |
まとめ - 畳の固定資産税は、軽減措置により安くなる
畳の固定資産税は高いか否か、畳みかけるように解説しました。
畳の固定資産税や都市計画税は、一般的な畳であれば税額が特に高いということはなく、合板で作られた複合フローリングと同程度です。
しかし、高級畳であれば、固定資産税や都市計画税が高くなります。
とはいうものの、その建物の全ての床を高級畳にするなどしなければ、固定資産税や都市計画税が驚くほど高くなることはありません。
畳の導入を検討し、固定資産税が高くなるのではと案ずる方がいらっしゃいましたら、ぜひ参考になさってください。
なお、畳の固定資産税が高いか否かお調べの方は、おそらくは新築を予定する方かと思いますが、一定の条件を満たす新築を取得すれば軽減措置が適用されます。
軽減措置の名称は「新築された住宅に対する固定資産税の減額」であり、満たすべき条件は至って単純で「床面積が50㎡以上280㎡以下などの新築の住宅である家屋を取得する」です。
同軽減措置が適用されれば、はじめて固定資産税が課されることとなる年から3年などにわたり、建物の床面積の120㎡までの部分にかかる固定資産税が2分の1に減額されます。
同軽減措置は、多くの市町村では申告不要で適用されますが、一部の市町村では期限内の申告を求められるため注意してください。
申告の期限は市町村によって異なるものの、たいていは新築を取得した年の翌年の1月31日です。
たとえば、令和7年中に畳が用いられた新築の住宅を取得しつつ登記が完了したのであれば、令和8年1月31日が期限になるといった具合です。
申告の必要性、および正確な申告期限は、市町村役場の窓口やホームページにてご確認いただけます。
本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2025年5月
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