新築の建物の固定資産税評価額|約60%になる根拠と正確な計算方法

新築の建物の固定資産税評価額|約60%になる根拠と正確な計算方法

新築の建物の固定資産税評価額を受け取ったとき、「この金額はどうやって決まったのか」と疑問を感じたことはないでしょうか。

筆者自身、注文住宅を取得してはじめて届いた課税明細書に記されている建物の固定資産税評価額を見て、まったく同じ疑問を持ちました。その疑問が固定資産税について学ぶきっかけになったほどです。

固定資産税評価額は、建物の建築費でも販売価格でもありません。

「固定資産評価基準」(総務省が告示する全国統一の評価ルール)に基づいて市町村が独自に算定した、いわば「市町村版の価値評価」です。そのため、建築費3,000万円で建てた家でも、固定資産税評価額が1,800万円前後になるといったことが起こります。

そして、新築の建物の固定資産税評価額は、おおむね建築費の約60%になるといわれます。とはいうものの、インターネットの多くのサイトでは、この数字を示すだけで、なぜ60%になるのかという根拠を説明していません。

そこで、今回の「固定資産税をパパっと解説」では、「約60%」の背景にある評価の仕組みを総務省告示の「固定資産評価基準」に基づいて解説します。

この記事を読むとわかること
  • 「評点式評価法」の仕組みと、評価額が約60%になる構造的な理由
  • 新築の建物の固定資産税評価額とは何か、建築費・販売価格とどう違うのか
  • 一戸建て・マンション別の評価額の目安と計算方法
  • 令和8年度改正で延長・要件緩和された新築住宅の軽減措置(令和13年3月31日まで)
  • 軽減措置が終わると税額が約2倍になる理由と、資金計画への備え方

本記事は、固定資産税の知識がまったくない方でも順を追って理解できるように構成しました。

ちなみに、当サイトでは、不動産の売買価格から固定資産税をシミュレーションできるツール「固定資産税をパパっとシミュレーション|売買価格から税額を試算」も公開中です。ぜひお試しください。

目次

1. 新築の建物の固定資産税評価額とは

新築の建物の固定資産税評価額とは、市町村が「固定資産評価基準(総務省が定める全国共通の評価ルール)」に基づいて算定した、建物の「適正な時価」のことです。

地方税法第341条第5号では、固定資産税の課税対象となる「価格」を「適正な時価」と定めています。固定資産税評価額は、この考え方に沿って算定される公的な評価額です。

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1-1. 固定資産税評価額は市町村が評価した建物の「適正な時価」

固定資産税評価額は、不動産市場で実際に取引される売買価格とは異なります。

なぜなら、売買価格には売り手や買い手の事情が反映されるからです。たとえば、売り手が早期売却を希望して値下げすることもあれば、買い手がその物件を強く希望して高値で購入することもあります。このような個別事情によって、実際の取引価格は変動します。

一方、固定資産税評価額の基礎となる「適正な時価」とは、このような特殊な事情を取り除き、その建物が本来持っている価値を客観的に評価した価格を指します。

建物の評価では、「その建物と同じものを、評価時点で新たに建築するとした場合に必要となる建築費」を基礎として計算します。この建築費を「再建築費」といいます。

そのうえで、建築後に生じる劣化や老朽化による価値の減少を反映させます。この価値の減少を「経年減価」と呼びます。

つまり、建物の固定資産税評価額は、

  • 再建築費 × 経年減価による補正

という考え方で算定されます。この評価方法を「再建築価格方式」といいます。

また、全国の市町村は同じ固定資産評価基準に従って評価を行います。そのため、市町村ごとに評価方法が大きく異なることはなく、全国的な公平性が保たれる仕組みになっています(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和6年度固定資産税のあらまし)。

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1-2. 建築費・販売価格・固定資産税評価額は三者それぞれ別物

固定資産税評価額は、建物の建築費とも、住宅を購入した際の販売価格とも異なる金額です。

固定資産税評価額を正しく理解するためには、「建築費」「販売価格」「固定資産税評価額」の違いを整理しておくことが重要です。

まず、建築費(再建築費)とは、その建物を建てるために必要な材料費や人件費など、工事そのものにかかる費用を指します。

次に、販売価格とは、実際に住宅を購入するときの価格です。販売価格には建築費だけでなく、不動産会社やハウスメーカーの利益、土地代、共用施設の建設費、広告宣伝費、ブランド価値なども含まれています。

これに対して、固定資産税評価額は、市町村が固定資産評価基準に基づいて独自に算定した価格です。固定資産税評価額の計算に使用されるのは販売価格ではなく、「再建築費」です。

そのため、販売価格が高い住宅でも、固定資産税評価額が必ず高くなるとは限りません。

さらに、住宅の取得形態によって、建築費(再建築費)と販売価格の関係は大きく変わります。

たとえば、工務店や設計事務所に直接依頼して建てる注文住宅では、支払った建築費が再建築費に近くなるため、販売価格と再建築費の差は比較的小さくなります。

これに対し、大手ハウスメーカーの注文住宅では、ブランド価値や長期保証サービスなどの費用が上乗せされるため、販売価格は再建築費より高くなる傾向があります。

また、建売住宅や分譲マンションでは、不動産会社やデベロッパーの利益に加え、土地取得費や共用施設の建設費なども販売価格に含まれています。そのため、建物そのものの再建築費と販売価格との差はさらに大きくなります。

固定資産税評価額は、住宅の取得形態に関係なく、一律に「再建築費」を基礎として算定されます。

したがって、同じ固定資産税評価額の住宅であっても、販売価格に対する評価額の割合は、注文住宅・建売住宅・分譲マンションなどの取得形態によって大きく異なります。

【表①】取得形態別・建築費と販売価格と固定資産税評価額の関係
取得形態 再建築費と販売価格の関係 評価額の目安(再建築費比) 評価額の目安(販売価格比)
注文住宅(工務店・設計事務所) 販売価格≒再建築費 約60% 約60%
注文住宅(大手ハウスメーカー) 販売価格>再建築費(ブランド・保証コスト等が上乗せ) 約60% 約50〜55%程度
建売住宅 販売価格>再建築費(不動産業者の利益が上乗せ) 約60% 約40〜50%程度
分譲マンション(区分所有) 販売価格>>再建築費(デベロッパー利益・土地代等が含まれる) 約60% 約30〜40%程度

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2. 新築の建物の固定資産税評価額の計算方法

新築の建物の固定資産税評価額は、「評点式評価法」と呼ばれる方法によって算定されます(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和6年度固定資産税のあらまし)。

この計算方法の仕組みを知ることで、「なぜ評価額が建築費の約60%になるのか」という疑問に、はじめて正確な答えを出すことができます。

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2-1. 固定資産評価基準による「評点式評価法」の仕組み

建物の固定資産税評価額は、次の式で求められます。

  • 評価額=再建築費評点数×経年減点補正率×評点1点あたりの価額

式だけ見ると難しそうですが、3つの要素の意味を順番に理解すれば、構造はシンプルです。

【表②】固定資産税評価額を構成する3要素の意味と新築時の値
要素 概要 新築時の値 算出根拠
再建築費評点数 建物を評価時点において同じ場所に新築するとした場合に必要な建築費(再建築費)を「点数」で表したもの。屋根・外壁・床・設備など部位ごとに積み上げて合計する 建物の部位別工事費に基づいて算出(1円≒1点) 固定資産評価基準(総務省告示)の評点基準表
経年減点補正率 建物が年数を経るにつれて生じる価値の下落(損耗)を数値で表した補正率。1に近いほど新しい 1年目:0.80(木造・非木造を問わず一律) 固定資産評価基準 別表第9・別表第13
評点1点あたりの価額 評点数を金額(円)に換算するための単価。地域の物価水準や設計管理費等を反映して市町村長が定める 地域差があるが、概ね1.05円前後(木造の場合) 物価水準による補正率×設計管理費等による補正率×1円

「1点=1円」という仕組みから始まり、地域の物価水準と設計管理費(工事原価に含まれない設計監理費や一般管理費相当)を乗じることで、最終的に「1点=概ね1.05円前後」という評点1点あたりの価額が決まります。

そして、再建築費評点数に経年減点補正率と評点1点あたりの価額を掛け合わせることで、固定資産税評価額が算出されます。

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2-2. 新築時の固定資産税評価額が「建築費の約60%」になる理由

インターネットの多くのサイトは、「固定資産税評価額は建築費の約60%が目安」と説明しています。しかし、なぜ約60%になるのかまで詳しく解説している記事はあまり多くありません。

固定資産税評価額が建築費より低くなる理由を理解するためには、評価額の計算に影響する3つの要素——①再建築費評点数、②経年減点補正率、③評点1点あたりの価額——を順番に確認することが大切です。

① 再建築費評点数は「純粋な工事原価」を基準にしている

固定資産税評価額の計算の出発点となるのが「再建築費評点数」です。

再建築費評点数の計算に使われる標準評点数は、東京都(特別区の区域)の物価水準を基準に算定された工事原価をもとに作成されています。材料費や労務費などの工事原価を1円=1点として評価したものが評点です。

言い換えると、再建築費評点数は建物を建築するための純粋な工事原価を表しています。

そのため、大手ハウスメーカーのブランド料や広告宣伝費、営業経費、建売住宅の販売利益などは再建築費評点数に含まれません。

つまり、購入者が支払う販売価格にはさまざまな費用が含まれている一方で、固定資産税評価額の計算の出発点となる再建築費評点数は純粋な工事原価を基準としているため、(特に大手ハウスメーカー・建売住宅・分譲マンションの場合)一般的には「販売価格 > 再建築費」という関係になります。なお、工務店や設計事務所に直接発注する注文住宅では、支払った建築費が再建築費に近いため、販売価格と再建築費の差は比較的小さくなります。

② 新築1年目の経年減点補正率は一律0.80

総務省 固定資産評価基準第2章 家屋の別表第9・別表第13では、新築1年目(経過年数1年)の経年減点補正率を木造・非木造ともに0.80と定めています。

これは、建物が完成した直後であっても、時間の経過とともに発生する通常の損耗を評価額に反映させるためです。

新築の建物にはじめて課される固定資産税は、この新築1年目の固定資産税評価額、すなわち、再建築費から20%分の減価が差し引かれた額をもとに計算されます。

③ これらの要素が重なることで評価額は約60%前後になる

実際の計算例で確認してみましょう。

たとえば、建築費2,000万円の木造新築住宅を想定します。

まず、再建築費評点数は純粋な工事原価を基準として積み上げられるため、おおむね建築費2,000万円に相当する評点数(約2,000万点)が算出されます。

次に、この評点数に経年減点補正率0.80を掛けると、評点数は約1,600万点になります。

さらに、評点1点あたりの価額(概ね1.05円前後)を掛けると、固定資産税評価額は約1,680万円になります。

単純計算では、評価額は建築費2,000万円の約84%です。

もっとも、実際の固定資産税評価額は約84%になるとは限りません。

なぜなら、固定資産評価基準の評点基準表は全国共通の標準的な建物仕様を前提として作られているためです。実際の住宅で使用された設備や建材の費用が、そのまま評点数に反映されるわけではありません。

たとえば、高額な設備や建材を採用していても、評価上の評点数への反映が限定的な場合があります。その結果、積み上げられた評点数が実際の工事費を下回ることがあります。

  • 再建築費評点数が純粋な工事原価を基準としていること
  • 新築時でも経年減点補正率0.80が適用されること
  • 実際の工事費のすべてが評点数に反映されるわけではないこと

といった要因が重なるため、新築住宅の固定資産税評価額は結果として建築費の約60%前後になるケースが多いといわれるのです。

建築費2,000万円の新築建物の固定資産税評価額が約60%になる計算過程を示す図解

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2-3. 新築された年の評価額と翌年度の評価額は異なる

新築住宅の固定資産税評価額を調べる際に、多くの方が見落としやすいポイントがあります。

それは、「新築された年に家屋調査で算定される評価額」と、「翌年度の固定資産税の計算に使われる評価額」が同じではないという点です。

新築住宅では、家屋調査が行われた時点で評価額が算定されます。しかし、その評価額がそのまま翌年度の固定資産税の課税標準になるわけではありません。

なぜなら、家屋調査の際に適用される経年減点補正率と、固定資産税を計算する際に適用される経年減点補正率が異なるためです。

家屋調査では、建物が完成した直後の状態を評価するため、経年減点補正率1.00(減価なし)が適用されます。

一方、固定資産税は毎年1月1日時点の状況を基準に課税されます。そのため、新築住宅の翌年度の固定資産税を計算する際には、経過年数1年目の経年減点補正率0.80を適用した評価額が使用されます。

つまり、不動産取得税の課税標準として用いられる評価額と、固定資産税初年度の課税標準として用いられる評価額は異なる金額になるのです。

たとえば、建築費2,000万円の木造住宅を例に考えてみましょう。

家屋調査時点で算定される評価額は、経年減点補正率1.00を適用するため、概ね建築費の約75%前後に相当する約1,500万円になります。

これに対して、固定資産税初年度の課税標準となる評価額は、経年減点補正率0.80を適用した約1,200万円(建築費の約60%)です。

ここで注意したいのは、「約1,500万円にさらに0.80を掛けて課税標準を計算する」という考え方ではないことです。固定資産税の評価額は、翌年1月1日時点の評価額として、最初から経年減点補正率0.80を反映した金額が採用されます。

その結果、固定資産税の課税標準は、不動産取得税の課税標準よりも約20%低くなります。

【コラム】不動産取得税と固定資産税で課税標準が異なる理由
不動産取得税の課税標準には、家屋調査時点で算定された評価額が使用されます。新築住宅の場合は経年減点補正率1.00が適用されるため、建築費2,000万円の住宅であれば約1,500万円(建築費の約75%前後)が課税標準の目安になります。

一方、固定資産税初年度の課税標準には、翌年1月1日時点の評価額が使用されます。このときは経年減点補正率0.80が適用されるため、同じ住宅でも評価額は約1,200万円(建築費の約60%)になります。

同じ建物でありながら2種類の評価額が存在するのは、税金を計算する基準時点が異なるためです。不動産取得税は「取得した時点」、固定資産税は「翌年1月1日時点」を基準としているため、適用される経年減点補正率に違いが生じ、その結果として課税標準額も異なります。

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2-4. 家屋調査で評価額が決まる仕組み(新築一戸建ての場合)

新築一戸建て(注文住宅・建売住宅)の場合、建物が完成すると、おおむね1〜3か月後を目安に市町村の調査員による家屋調査が行われます。

家屋調査では、調査員が実際に建物の内部や外部を確認し、どのような材料や設備が使用されているかを調べます。

たとえば、外壁の種類、屋根の仕上げ材、床材、内装材、キッチンや浴室などの住宅設備の内容を確認し、それぞれを固定資産評価基準の評点基準表に当てはめて評価します。

その後、各部位の評点を積み上げて「再建築費評点数」を算出します。

再建築費評点数とは、その建物と同じものを評価時点で新築した場合に必要となる建築費を点数で表したものです。

固定資産税評価額は、この再建築費評点数をもとに計算されます。そのため、家屋調査の結果によって評価額が決まる仕組みになっています。

また、採用する材料や設備のグレードによって評価額は変わります。

たとえば、高級な外壁材や床材を使用した場合や、高性能なシステムキッチンや浴室設備を設置した場合は、それぞれの部位に割り当てられる標準評点数が高くなります。その結果、再建築費評点数が大きくなり、固定資産税評価額も高くなります。

これに対して、標準的な仕様や比較的シンプルな設備を採用した場合は、各部位の評点数が低くなるため、固定資産税評価額も低くなる傾向があります。

【表③】家屋調査で点数化される主な部位と評価への影響
部位 低グレードの仕様例 高グレードの仕様例 評価への影響
屋根仕上 スレート・金属板 瓦(陶器瓦) 高グレードほど評価額が上がる
外壁仕上 窯業系サイディング タイル張り・石材 高グレードほど評価額が上がる
内壁仕上 ビニールクロス 塗り壁・クロス上位品 高グレードほど評価額が上がる
床仕上 複合フローリング 無垢材・石材 高グレードほど評価額が上がる
天井仕上 ビニールクロス 木板張り・石膏装飾 高グレードほど評価額が上がる
浴室設備 標準ユニットバス 高機能ユニットバス・在来タイル張り 高グレードほど評価額が上がる
キッチン設備 標準システムキッチン 高機能・大型システムキッチン 高グレードほど評価額が上がる
建具 既製品 造作建具・高機能ドア 高グレードほど評価額が上がる
注意
家屋調査を断ることは可能ですが、その場合は調査員による実地確認ではなく、設計図書等の書類をもとにした査定となります。書類査定では実際の仕様が正確に把握されず、高め(または低め)に評価されるリスクがあります。正確な固定資産税評価額を得るためにも、家屋調査には協力することをお勧めします。

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2-5. 新築マンションの固定資産税評価額が決まる仕組み

新築マンション(分譲マンション・区分所有マンション)の場合、固定資産税評価額の決まり方は新築一戸建てとは異なります。

新築一戸建てでは、市町村の調査員が各住宅を訪問して家屋調査を行います。一方、新築マンションでは、各住戸の所有者のもとへ調査員が個別に訪問することは通常ありません。

マンションの評価では、市町村がデベロッパー(分譲事業者)から設計図書や工事費内訳書などの資料を受け取り、一棟全体を対象として評価を行います。

まず、マンション全体について外壁、屋根、廊下、エレベーター、設備などの仕様を確認し、一棟全体の再建築費評点数を算出します。そして、その再建築費評点数をもとに一棟全体の固定資産税評価額を決定します。

その後、一棟全体の評価額を各住戸へ配分することで、区分所有者ごとの固定資産税評価額を算出します。

各住戸に配分される評価額は、一般的に「専有部分の床面積」と「共用部分の持分」に応じて決まります。

たとえば、マンションにはエントランス、共用廊下、階段、エレベーター、駐車場など、住民全員が利用する共用部分があります。これらの共用部分にも固定資産税評価額が付けられており、その評価額は各住戸の持分割合に応じて配分されます。

そのため、区分所有者の固定資産税評価額は、自分の住戸の専有部分だけを対象に算定されるわけではありません。

実際には、

  • 専有部分の評価額
  • 持分に応じて配分された共用部分の評価額

を合計した金額が、その住戸の固定資産税評価額になります。

このような仕組みのため、固定資産税の計算に用いられる面積は、登記簿に記載された専有面積だけではありません。

共用部分の持分に相当する面積も含まれるため、固定資産税評価上の対象面積は登記上の専有面積より大きくなります(出典・参考:宮若市 マンションなどの区分所有者の家屋の評価について)。

新築分譲マンション区分所有一戸の固定資産税評価額の按分構造を示す図解

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3. 新築の建物の固定資産税評価額の目安

ここまで、固定資産税評価額がどのように決まるのか、また固定資産税評価額をどのように計算するのかを解説しました。そのため、「自分が建てた家や購入した家の固定資産税評価額はどのくらいになるのだろう」と気になっている方も多いでしょう。

そこで、この章では建築費や購入価格から固定資産税評価額のおおよその目安を確認できる早見表を紹介します。さらに、新築マンションの固定資産税評価額を考える際のポイントについても解説します。

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3-1. 建築費・購入価格別の固定資産税評価額の早見表

新築の建物の固定資産税評価額は、建築費や購入価格からおおよその目安を把握できます。ただし、注文住宅・建売住宅・分譲マンションでは固定資産税評価額の算定の考え方が異なるため、目安となる割合も変わります。

そこで、取得形態ごとに固定資産税評価額の早見表を用意しました。

下表では、注文住宅は建築費、建売住宅と分譲マンションは購入価格を基準として、500万円刻みで固定資産税評価額の目安をまとめています。

なお、「1-2. 建築費・販売価格・固定資産税評価額は三者それぞれ別物」で解説したとおり、固定資産税評価額は再建築費を基礎として算定されます。

そのため、支払額が同じ1,000万円であっても、注文住宅・建売住宅・分譲マンションのどれを取得したかによって、固定資産税評価額の目安は大きく異なります。

【表④】建築費・購入価格別の固定資産税評価額の目安一覧
建築費・購入価格 注文住宅(工務店・設計事務所) 建売住宅 分譲マンション
1,000万円 約600万円 約400〜500万円 約300〜400万円
1,500万円 約900万円 約600〜750万円 約450〜600万円
2,000万円 約1,200万円 約800〜1,000万円 約600〜800万円
2,500万円 約1,500万円 約1,000〜1,250万円 約750〜1,000万円
3,000万円 約1,800万円 約1,200〜1,500万円 約900〜1,200万円
3,500万円 約2,100万円 約1,400〜1,750万円 約1,050〜1,400万円
4,000万円 約2,400万円 約1,600〜2,000万円 約1,200〜1,600万円
4,500万円 約2,700万円 約1,800〜2,250万円 約1,350〜1,800万円
5,000万円 約3,000万円 約2,000〜2,500万円 約1,500〜2,000万円

注文住宅(工務店・設計事務所への直接発注)の場合は、支払った建築費と再建築費の差が比較的小さいため、上記の表では固定資産税評価額の目安を建築費の「約60%」として計算しています。

これに対して、建売住宅や分譲マンションの購入価格には、建物の建築費だけでなく、土地代や販売会社の利益、広告宣伝費なども含まれています。そのため、固定資産税評価額の目安は一定ではなく、幅を持たせて表示しています。

まずは、ご自身が新築する建物の建築費や購入価格に近い金額の行を確認し、固定資産税評価額のおおよその目安を把握する際の参考にしてください。

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3-2. 新築マンションの固定資産税評価額の目安

新築の分譲マンション(区分所有)の固定資産税評価額は、購入価格の30〜40%程度になるケースが一般的です。

この割合は、注文住宅の約60%や建売住宅の約40〜50%程度と比べても低い水準です。そのため、新築マンションを購入した方の中には、「購入価格に比べて固定資産税評価額が低い」と感じる方も少なくありません。

その主な理由は、分譲マンションの購入価格に含まれる費用の内訳にあります。

分譲マンションの販売価格には、建物を建築するための費用だけでなく、デベロッパー(分譲事業者)の利益、土地の取得費用、広告宣伝費、販売経費などが含まれています。

一方で、固定資産税評価額の対象となるのは建物部分のみです。具体的には、各住戸の専有部分の評価額に加え、エントランスやエレベーター、廊下などの共用部分の評価額を専有面積の割合に応じて配分した金額が評価額になります。

したがって、購入価格に含まれているデベロッパーの利益や土地の取得費用、広告宣伝費などは固定資産税評価額には反映されません。

また、土地については建物とは別に土地の固定資産税評価額が算定されるため、建物の固定資産税評価額に土地代が含まれることもありません。

たとえば、購入価格3,000万円の新築分譲マンションを購入した場合、建物部分の固定資産税評価額の目安は900万円〜1,200万円程度です。これは購入価格の30〜40%程度に相当します。

反対に考えると、購入価格3,000万円のうち、固定資産税評価額に反映されない部分には、土地の取得費用やデベロッパーの利益、広告宣伝費などが含まれていることになります。

建売住宅との違いも確認しておきましょう。

建売住宅も土地付きで販売されますが、一般的には分譲マンションほど販売経費やブランド価値が価格に上乗せされるケースは多くありません。そのため、購入価格に対する建物の固定資産税評価額の割合は、分譲マンションより高くなる傾向があります。

注意
「新築マンションの固定資産税評価額は購入価格の30〜40%程度」という割合は、あくまでも実務上の目安です。建物の仕様や立地条件、共用施設の充実度などによって評価額は大きく異なるため、実際の金額は課税明細書などで確認してください。

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4. 新築の建物の固定資産税の計算方法とシミュレーション

ここまで、新築の建物の固定資産税評価額がどのように決まるのかを解説しました。この章では、その固定資産税評価額を使って、実際の固定資産税額を計算する方法を説明します。

まずは基本的な計算式を確認し、その後で新築住宅に適用される軽減措置を踏まえた計算方法や、築年数の経過による税額の変化について確認します。

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4-1. 建物の固定資産税の基本的な計算式

新築の建物にかかる固定資産税は、固定資産税評価額に税率を掛けて計算します。基本的な計算式は次のとおりです。

  • 固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×税率(標準税率1.4%)

ここでいう税率とは、固定資産税を計算するときに使用する税率のことです。固定資産税の標準税率(市町村が固定資産税の税率を定める際に通常よるべきとされる基準の税率)は1.4%とされており、多くの市町村ではこの税率が採用されています(出典:総務省 市町村民税及び固定資産税の税率等別市町村数調(令和6年度))。

ただし、市町村によっては財政上の事情などから、標準税率とは異なる税率を独自に設定している場合があります。そのため、正確な税率を確認したい場合は、自治体のホームページなどで確認するとよいでしょう。

また、建物の固定資産税では、課税標準額と固定資産税評価額が原則として同じ金額になります。

課税標準額とは、固定資産税を計算するための基礎となる金額です。土地の場合は、住宅用地の特例や負担調整措置(評価額が急激に上昇した場合に税負担の増加を段階的に抑える仕組み)などによって、課税標準額が固定資産税評価額と異なることがあります。

一方で、建物については、このような仕組みが原則として適用されないため、固定資産税評価額がそのまま課税標準額になります。そのため、建物の固定資産税は「固定資産税評価額に税率を掛けて計算する」と考えると理解しやすいでしょう。

たとえば、固定資産税評価額が1,200万円の新築建物の場合、軽減措置を考慮しなければ、固定資産税額は次のようになります。

  • 1,200万円×1.4%=16万8,000円

したがって、この建物の年間の固定資産税額は16万8,000円となります。

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4-2. 新築住宅の軽減措置を適用した計算式

実際の新築住宅には固定資産税の軽減措置が適用されるため、「4-1.建物の固定資産税の基本的な計算式」で計算した固定資産税額をそのまま納めるわけではありません。

軽減措置の詳しい内容については次の章で解説します。ここでは、軽減措置を反映した固定資産税額の計算方法に絞って説明します。

軽減措置の対象となるのは、住宅として使用している部分(居住部分)の床面積のうち120㎡までに相当する部分です。

床面積が120㎡以下の住宅であれば、建物全体が軽減措置の対象になります。

一方で、床面積が120㎡を超える住宅の場合は、120㎡までの部分だけが軽減措置の対象です。120㎡を超えた部分については軽減措置が適用されません。

軽減される金額は、軽減対象となる固定資産税額の2分の1です(出典:地方税法 第15条の6)。

床面積が120㎡を超える住宅では、次の手順で固定資産税額を計算します。

  1. 建物全体の固定資産税額を計算する
  2. 120㎡に相当する固定資産税額を求める
  3. 120㎡に相当する固定資産税額の2分の1を軽減額として計算する
  4. 建物全体の固定資産税額から軽減額を差し引く

120㎡に相当する固定資産税額を求める際は、「120㎡÷建物全体の床面積」という割合を使って建物全体の固定資産税額を按分します。按分とは、全体の金額を面積や割合に応じて振り分けることです。

具体例で確認してみましょう。

固定資産税評価額1,500万円(建物)、床面積150㎡の新築一戸建てを例に計算します。

最初に、建物全体の固定資産税額を求めます。

  • 1,500万円×1.4%=21万円

したがって、軽減措置を適用しない場合の固定資産税額は21万円です。

続いて、軽減対象となる120㎡相当分の固定資産税額を計算します。

床面積150㎡のうち120㎡が軽減対象になるため、軽減対象の割合は次のようになります。

  • 120㎡÷150㎡=0.8(80%)

この割合を建物全体の固定資産税額に掛けると、120㎡相当分の固定資産税額を求めることができます。

  • 21万円×0.8=16万8,000円

次に、この16万8,000円に対して2分の1の軽減措置を適用します。

  • 16万8,000円×1/2=8万4,000円

この8万4,000円が軽減される金額です。

最後に、建物全体の固定資産税額21万円から軽減額8万4,000円を差し引きます。

  • 21万円-8万4,000円=12万6,000円

したがって、この新築一戸建ての固定資産税額は12万6,000円となります。

新築住宅の建物固定資産税の計算方法(軽減措置の120㎡按分)を示す図解

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4-3. 都市計画税も忘れずに計算する

新築の建物を所有すると、固定資産税だけでなく都市計画税が課される場合があります。

都市計画税とは、道路や公園、下水道などの都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるための税金です。

ただし、すべての建物に課税されるわけではありません。都市計画税が課されるのは、市街化区域内にある土地や建物です。市街化区域とは、都市計画法に基づき、すでに市街地を形成している区域や、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を進める区域を指します。

そのため、市街化区域内に新築住宅を建てた場合は、固定資産税に加えて都市計画税も負担することになります。

都市計画税の税率は市町村の条例によって定められていますが、地方税法で定められた上限は0.3%です。

ここで注意したいのが、新築住宅の固定資産税の軽減措置は都市計画税には適用されないという点です。

4-2.新築住宅の軽減措置を適用した計算式」で解説した「床面積120㎡相当分の固定資産税額が2分の1になる軽減措置」は、固定資産税だけを対象とした制度です。そのため、固定資産税が軽減されていても、都市計画税は通常どおり計算されます。

また、建物に対する都市計画税には新築住宅向けの軽減措置はありません。一方で、土地に対する都市計画税については住宅用地の特例など別の軽減措置が設けられています。

建物の都市計画税額は、次の計算式で求めます。

  • 都市計画税額=固定資産税評価額(課税標準額)×都市計画税率(上限0.3%)

建物の場合、課税標準額は原則として固定資産税評価額と同額です。そのため、固定資産税評価額に都市計画税率を掛けることで都市計画税額を計算できます。

先ほどの例で使用した、固定資産税評価額1,500万円の新築一戸建てで計算してみましょう。

  • 1,500万円×0.3%=4万5,000円

したがって、この建物の都市計画税額は4万5,000円です。

さらに、「4-2.新築住宅の軽減措置を適用した計算式」で求めた固定資産税額12万6,000円と合計すると、年間の税負担は次のようになります。

  • 固定資産税12万6,000円+都市計画税4万5,000円=17万1,000円

このように、市街化区域内の新築住宅では、固定資産税だけでなく都市計画税も含めて年間の税負担を確認することが大切です。

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4-4. 建築費別・複数年シミュレーション

新築住宅の固定資産税は、毎年同じ金額が続くわけではありません。

新築住宅には一定期間の軽減措置が設けられているため、最初の数年間は税額が抑えられます。その後、軽減措置の適用期間が終了すると税額が増加します。また、評価替え(3年ごとに行われる固定資産税評価額の見直し)が実施されることで、税額は年度ごとに変動します。

ここでは、建築費3,000万円の木造新築一戸建てを例に、複数年にわたる税額の推移をシミュレーションします。

複数年の税額推移は、大きく3つの時期(フェーズ)に分けて考えることができます。

1つ目のフェーズは、軽減措置が適用される1〜3年目(一般住宅の場合)です。

この期間は、4-2で解説した新築住宅の軽減措置が適用されます。床面積120㎡相当分の固定資産税額が2分の1になるため、固定資産税額は比較的低く抑えられます。

2つ目のフェーズは、軽減措置が終了する4年目です。

新築住宅の軽減措置は永続的な制度ではありません。そのため、軽減措置の適用期間が終了すると、それまで軽減されていた税額が本来の金額に戻ります。この結果、固定資産税額はおおむね2倍程度に増加することがあります。

3つ目のフェーズは、評価替えが反映される5〜6年目以降です。

建物は年数の経過とともに価値が下がると考えられているため、固定資産税評価額の計算では経年減点補正率が適用されます。

経年減点補正率とは、築年数の経過による価値の減少を評価額に反映するための補正率です。築年数が増えるほど補正率は小さくなるため、一般的には固定資産税評価額も下がる傾向があります。

そのため、評価替え後は固定資産税額がゆるやかに減少していくケースが多く見られます。

一方で、評価替えのたびに必ず税額が下がるわけではない点には注意が必要です。

家屋の評価額は、前年度の再建築費評点数に「再建築費評点補正率」を乗じて求められます。

再建築費評点補正率とは、建築資材の価格や人件費などの工事原価の変動を評価額に反映するための補正率です。

たとえば、木材や鉄骨などの建築資材が値上がりしていたり、人件費が上昇していたりする場合には、この補正率が1を超えることがあります。

その結果、経年減点補正率による評価額の減少分が打ち消され、評価替え後も固定資産税評価額がほとんど下がらないことがあります。

さらに、増改築をしていない建物については、評価替えによって算出した評価額が前年度の評価額を上回った場合でも、その高い評価額がそのまま採用されるわけではありません。

この場合は、前年度の評価額に据え置かれる仕組みになっています。

つまり、築年数が経過している建物であっても、建築資材や人件費の上昇が続いている時期には、固定資産税評価額が下がらず、前年度と同じ評価額のまま据え置かれることがあるのです。

固定資産税評価額が下がらなければ、固定資産税も下がりません(出典・参考:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和6年度固定資産税のあらまし)。

【表⑤】建築費3,000万円・木造新築一戸建ての建物固定資産税の複数年推移(例)
年度 評価額の目安 軽減措置の適用有無 建物固定資産税額の目安 備考
1年目 約1,800万円 あり(1/2軽減) 約12.6万円 新築時の評価額(再建築費の約60%)
2年目 約1,800万円 あり(1/2軽減) 約12.6万円 評価額は据置き
3年目 約1,800万円 あり(1/2軽減) 約12.6万円 軽減措置の最終年度(一般住宅)
4年目 約1,800万円 なし 約25.2万円 軽減措置終了により税額が約2倍に急増
5年目 約1,800万円 なし 約25.2万円 評価替えまでは評価額が据置かれる
6年目 約1,750万円 なし 約24.5万円 評価替え(資材価格が安定している場合の例)

筆者の場合、実際に注文住宅を取得した際、軽減措置が適用されている間は固定資産税の負担をあまり意識していませんでしたが、4年目に納税通知書を受け取って税額が大きく上がっていたことに驚いた経験があります。

軽減措置が終了するタイミングをあらかじめ把握し、資金計画に組み込んでおくことが大切だと実感しました。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、不動産の売買価格から固定資産税をシミュレーションできるツールを公開中です。あくまでシミュレーションツールですが、建築費や床面積などを入力するだけで税額の目安を試算できます。

お役立ちツール
固定資産税をパパっとシミュレーション|売買価格から税額を試算

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5. 新築の建物の固定資産税を軽減する措置(令和8年度最新版)

新築の建物には、固定資産税の負担を軽減するための特例措置が設けられています。

この制度を理解しておくと、新築後にどのくらいの固定資産税がかかるのかをより正確に把握できます。また、軽減措置が終了する時期も事前に予測しやすくなります。

ここでは、令和8年度時点の制度内容をもとに、減額措置の仕組みや適用要件、適用期間、申告手続きについて解説します。

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5-1. 新築住宅に係る税額の減額措置の概要

新築住宅には、固定資産税が一定期間減額される制度があります。

この制度は、新築住宅を取得した人の初期の税負担を軽減することを目的として設けられています。そのため、新築直後の数年間は、本来の固定資産税額よりも少ない税額で済むケースが一般的です。

減額措置の対象となるのは、新築住宅のうち住居として使用している部分(居住部分)です。

たとえば、1階を店舗、2階を住宅として使用している店舗併用住宅の場合、住宅部分は減額措置の対象になります。一方で、店舗部分や事務所部分については減額措置の対象になりません。

また、減額措置が適用される面積にも上限があります。

居住部分の床面積が120㎡以下であれば、その住宅全体が減額措置の対象です。

反対に、居住部分の床面積が120㎡を超える場合は、120㎡に相当する部分だけが減額措置の対象となります。120㎡を超える部分については減額されません。

減額される金額は、減額対象部分に相当する固定資産税額の2分の1です。

減額措置が適用される期間は、住宅の種類や構造によって異なります。一般住宅の場合は、新築後3年度分の固定資産税が減額されます。

これに対して、3階建以上の中高層耐火住宅等は、新築後5年度分が減額対象です。中高層耐火住宅等とは、主に鉄筋コンクリート造のマンションなど、耐火性能を備えた3階建以上の住宅を指します。

さらに、長期優良住宅として認定を受けた住宅については、一般住宅よりも長い期間にわたって減額措置が適用されます。

長期優良住宅とは、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき、耐久性や耐震性、維持管理のしやすさなどについて一定の基準を満たし、行政から認定を受けた住宅です。

長期優良住宅の戸建て住宅は、新築後5年度分が減額対象となります。

また、長期優良住宅の3階建以上の中高層耐火住宅等については、新築後7年度分が減額対象です。

このように、新築住宅の固定資産税の減額期間は住宅の構造や認定の有無によって異なるため、購入前や建築前の段階で確認しておくことが大切です。

新築住宅の固定資産税軽減措置の種類・適用期間・減額割合を比較した図解(令和8年度最新)

減額措置を受けるためには、住宅の用途や床面積について一定の要件を満たす必要があります。

まず、対象となるのは専用住宅または併用住宅です。

専用住宅とは、建物全体を人の居住のためだけに使用する住宅をいいます。

一方で、併用住宅とは、店舗や事務所などを併設している住宅のことです。ただし、併用住宅であればすべて対象になるわけではありません。居住部分の割合が建物全体の床面積の2分の1以上であることが条件です。

加えて、床面積の要件も満たさなければなりません。

令和8年度における床面積要件は、原則として40㎡以上240㎡以下です。床面積要件の詳しい内容や令和8年度税制改正のポイントについては、次の項で解説します。

ここで、併用住宅の具体例を確認してみましょう。

固定資産税評価額1,200万円、床面積160㎡(居住部分100㎡・店舗部分60㎡)の併用住宅を新築したケースを例にします。

まず、減額措置の対象になるかどうかを確認するため、居住部分の割合を計算します。

  • 100㎡÷160㎡=0.625(62.5%)

居住部分の割合は62.5%となり、要件である2分の1以上を満たしています。そのため、この住宅は減額措置の対象です。続いて、居住部分に相当する固定資産税額を計算します。

  • 1,200万円×100㎡÷160㎡×1.4%=10万5,000円

10万5,000円は居住部分に対応する固定資産税額です。新築住宅の減額措置では、この税額の2分の1が軽減されます。

  • 10万5,000円×1/2=5万2,500円

したがって、この住宅で減額される固定資産税額は5万2,500円となります。

【表⑥】令和8年度 新築住宅の建物固定資産税軽減措置の要件一覧(最新版)
項目 一般住宅 長期優良住宅
適用期限 令和13年3月31日まで 令和13年3月31日まで
床面積要件(下限) 40㎡以上(※特定都市再生緊急整備地域内の一部住宅を除く) 40㎡以上(※特定都市再生緊急整備地域内の一部住宅を除く)
床面積要件(上限) 240㎡以下 240㎡以下
減額割合 対象部分の1/2 対象部分の1/2
減額期間(戸建て) 新築後3年度分 新築後5年度分
減額期間(3階建以上の中高層耐火住宅等) 新築後5年度分 新築後7年度分
申告要否 原則不要 必要(市町村への申告書の提出が要件)

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5-2. 令和8年度改正で何が変わったか:床面積要件40㎡への緩和

令和8年度税制改正(令和7年12月26日閣議決定)により、新築住宅の固定資産税減額措置の内容が見直されました。

今回の改正でとくに重要なのは、「適用期限の延長」と「床面積要件の変更」の2点です。

まず、適用期限については、現行の減額措置が5年間延長されました。これにより、新築住宅の固定資産税減額措置は令和13年3月31日まで適用されることになっています。

次に、床面積要件が変更されました。

従来の床面積要件は「50㎡以上280㎡以下」でしたが、令和8年度改正後は「40㎡以上240㎡以下」となります。

つまり、下限は50㎡から40㎡へ引き下げられた一方で、上限は280㎡から240㎡へ引き下げられました(出典:国土交通省 令和8年度税制改正概要)。

この改正によって最も大きな影響を受けるのは、小規模な住宅です。

従来の制度では、床面積が50㎡未満の住宅は減額措置の対象になりませんでした。そのため、1LDKのマンションや単身者向けのコンパクトな住宅の中には、床面積要件を満たせず減額措置を受けられないケースがありました。

ところが、令和8年度改正によって床面積の下限が40㎡まで引き下げられたため、これまで対象外だった住宅でも減額措置を利用できる可能性が高まっています。

たとえば、床面積45㎡の新築マンションは旧制度では対象外でしたが、新制度では床面積要件を満たすため、他の要件も満たしていれば減額措置を受けることができます。

このように、今回の改正によって減額措置の対象となる住宅の範囲が広がりました。

一方で、この床面積要件には例外が設けられています。

東京都の特別区の区域内にある「特定都市再生緊急整備地域」に所在する住宅のうち、一戸建て以外の貸家住宅を除く住宅については、床面積要件の下限が40㎡ではなく50㎡のまま据え置かれます。

特定都市再生緊急整備地域とは、都市再生特別措置法に基づき、都市の国際競争力を高めるために重点的な整備が必要とされている地域です。

そのため、同じ新築住宅であっても、建築する場所によって適用される床面積要件が異なる場合があります。

該当する地域で住宅の新築を予定している場合は、「40㎡以上なら対象になる」と一律に判断せず、適用要件を事前に確認してください。

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5-3. 長期優良住宅は申告書の提出が要件

一般住宅の固定資産税減額措置は、多くの自治体で特別な申告手続きを行わなくても適用されます。

これは、新築時の家屋調査や建築確認関係の資料などから自治体が要件を確認できるためです。

一方で、長期優良住宅の減額措置を受ける場合は、申告書の提出が必要になります。

長期優良住宅とは、耐久性や耐震性、維持管理のしやすさなどについて一定の基準を満たし、行政から認定を受けた住宅です。長期優良住宅は一般住宅よりも長い期間にわたって固定資産税の減額措置を受けられますが、その適用を受けるためには所有者側で申告手続きを行わなければなりません。

具体的には、固定資産税申告書に加えて、長期優良住宅認定通知書の写しを市町村へ提出する必要があります。

長期優良住宅認定通知書とは、その住宅が長期優良住宅として正式に認定されたことを証明する書類です。

提出先は住宅所在地の市町村の担当窓口です。提出期限や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しておくと安心です。

ここで注意したいのが、長期優良住宅の認定を受けていても、申告書を提出しなければ減額措置が適用されない可能性がある点です。

その場合、本来であれば減額できた固定資産税を通常どおり納めることになり、結果として税負担が大きくなってしまいます。

もし申告漏れに気づいた場合は、できるだけ早く住宅所在地の市町村の税務担当窓口へ相談することをお勧めします。

自治体によっては、一定の条件を満たしていれば、過去の年度分までさかのぼって減額措置を適用できる場合があります。

ただし、遡及対応の可否や対象期間は自治体ごとに異なります。そのため、「後から申請すれば必ず減額される」と考えず、長期優良住宅の認定を受けた場合は早めに申告手続きを済ませることが大切です。

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6. 固定資産税評価額は3年ごとに見直される

新築の建物の固定資産税評価額は、一度決定されたら永久に変わらないわけではありません。

建物は年数の経過とともに劣化し、一般的には価値が下がっていくと考えられています。そのため、固定資産税評価額についても定期的に見直しが行われる仕組みが設けられています。

この見直しを「評価替え」といいます。

評価替えによって固定資産税評価額が変わると、それに応じて固定資産税額も変動します。そのため、新築時の税額だけでなく、数年後の税額がどう変化するのかを理解しておくことも大切です。

また、新築住宅には一定期間の固定資産税軽減措置がありますが、その期間が終了すると税額が大きく変わる場合があります。

その結果、「毎年同じくらいの税額だと思っていたのに、急に税額が増えた」と感じるケースも少なくありません。

この章では、固定資産税評価額が見直される評価替えの仕組みと、新築住宅の軽減措置が終了した後に固定資産税額がどのように変化するのかを解説します。

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6-1. 評価替えの仕組みと「据置き措置」

建物の固定資産税評価額は、3年ごとの基準年度に見直されます。

基準年度とは、固定資産税評価額の見直しが行われる年度のことです。この見直しを「評価替え」といいます。

評価替えが行われる理由は、固定資産税が資産の価値に応じて課税される税金だからです。建物は時間の経過とともに劣化し、一般的には価値が下がっていくため、その変化を固定資産税評価額に反映させる必要があります。

評価替えでは、新しい固定資産税評価額を計算するために、まず再建築費評点数を見直します。

再建築費評点数とは、その建物を評価時点で新築すると仮定した場合に必要となる工事費を点数化したものです。

評価替えにあたっては、前年度の再建築費評点数に再建築費評点補正率を乗じて、新しい再建築費評点数を求めます。

再建築費評点補正率とは、建築資材や人件費などの工事原価の変動を反映するための補正率です。

さらに、建物の築年数に応じて経年減点補正率を適用します。

経年減点補正率とは、建物の劣化や損耗による価値の減少を評価額に反映するための補正率です。

建物は年数が経過するほど価値が下がると考えられているため、一般的には評価替えのたびに固定資産税評価額も下がる傾向があります。

一方で、評価替えによって計算された固定資産税評価額が、そのまま新しい評価額として採用されるとは限りません。固定資産評価基準には、「据置き措置」と呼ばれる仕組みが設けられています。

据置き措置とは、新たに計算した評価額が前年度の評価額を上回った場合でも、その高い評価額を採用せず、前年度の評価額をそのまま使用する仕組みです。

具体的には、評価替えで算出された評価額と前年度の評価額を比較します。

新しい評価額が前年度の評価額を下回る場合は、新しい評価額が採用されます。反対に、新しい評価額が前年度の評価額を上回る場合は、その金額まで引き上げられることはなく、前年度の評価額に据え置かれます。

この据置き措置が重要になるのは、建築資材や人件費が大きく上昇している時期です。

資材費や人件費が高騰すると、再建築費評点補正率が1を超えることがあります。その結果、経年減点補正率による価値の下落分が打ち消され、新しく計算した評価額が前年度の評価額を上回る場合があります。

しかし、このような場合でも据置き措置が適用されるため、固定資産税評価額が前年度より高くなることはありません。

つまり、築年数が経過している建物であっても、資材費や人件費の上昇が続いている局面では、固定資産税評価額が下がらず、前年度と同じ評価額のまま据え置かれることがあるのです。

なお、増築や大規模な改築を行った場合、あるいは火災や災害などによって建物が損壊した場合は、こうした事情を反映するために別途再評価が行われます。

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6-2. 軽減措置が終了すると税額は約2倍になる:事前に備える

新築住宅の固定資産税には、5章で解説した新築住宅の減額措置が適用されます。

この制度により、新築後の一定期間は固定資産税額の一部が2分の1に軽減されるため、当初の税負担は比較的低く抑えられます。

ただし、この軽減措置は永久に続く制度ではありません。適用期間が終了すると、本来の固定資産税額に戻るため、税額が大きく変化します。

一般住宅の場合、減額措置が適用される期間は新築後3年度分です。そのため、4年目になると減額措置が終了します。

軽減措置が適用されていた期間は、対象部分の固定資産税額が2分の1になっていました。しかし、4年目以降は軽減措置がなくなるため、それまで軽減されていた部分の税額が本来の金額に戻ります。

この結果、4年目の固定資産税額は、1〜3年目と比べておおむね2倍程度に増加するケースが多く見られます。

ただし、4年目時点では評価替えが行われていないため評価額そのものは変わらず、税額の増加はもっぱら軽減措置の終了によるものです。

たとえば、「4-4.建築費別・複数年シミュレーション」で取り上げた建築費3,000万円の木造新築一戸建ての例では、軽減措置が適用される1〜3年目の固定資産税額はおよそ12万6,000円です。

これに対して、軽減措置が終了する4年目の固定資産税額はおよそ25万2,000円になります。

つまり、年間の固定資産税額は約2倍に増加することになります。

新築住宅を購入する際は、入居直後の固定資産税額だけで判断するのではなく、軽減措置が終了した後の税額もあらかじめ確認しておく必要があります。

新築住宅の建物固定資産税額が軽減措置の終了でどう変化するか示す推移グラフ

軽減措置が適用されている期間は固定資産税の負担が小さいため、その金額が今後も続くように感じてしまうことがあります。

しかし、実際には軽減措置の終了によって固定資産税額が大きく増加する可能性があります。そのため、軽減措置が適用されている期間の税額だけを基準に資金計画を立ててしまうと、4年目以降に想定外の負担増に直面するおそれがあります。

住宅ローンの返済額や教育費、車の維持費などを考慮して家計を管理している場合は、固定資産税額の増加もあらかじめ見込んでおくことが重要です。

そのため、新築住宅を取得する際は、軽減措置が適用されている期間の税額だけでなく、軽減措置が終了する年度の税額も事前に確認しておくことをお勧めします。

あわせて、毎月の家計や住宅ローンの返済計画の中に、将来の固定資産税負担を組み込んでおくと安心です。

筆者自身も、注文住宅を取得した際に同じ経験をしました。

軽減措置が適用されている期間は固定資産税の負担をそれほど意識していませんでしたが、軽減措置が終了した後の年度に納税通知書を受け取り、税額が大きく増えていたことに驚いた記憶があります。

もちろん、固定資産税額は住宅の規模や固定資産税評価額によって異なります。

それでも、「軽減措置が終了すると税額が大きく変わる」という事実を事前に知っているだけで、資金計画の立てやすさや心理的な負担は大きく変わります。

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7. よくある質問

ここまで、新築の建物の固定資産税評価額について解説しました。

固定資産税評価額の基本的な考え方から、評価額の計算方法、固定資産税額の求め方、新築住宅の軽減措置、評価替えの仕組みまで理解できたことで、新築住宅にかかる固定資産税の全体像が見えてきたのではないでしょうか。

一方で、実際に新築住宅の購入や建築を検討している方の中には、「建築費の何%くらいが固定資産税評価額になるのか」「ハウスメーカーによって評価額は変わるのか」「評価額に納得できない場合はどうすればよいのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。

そこで、この章では新築の建物の固定資産税評価額に関して読者の方からよく寄せられる質問を取り上げ、Q&A形式でわかりやすく解説します。

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7-1. 固定資産税評価額はいつ通知されるのか

新築の建物の固定資産税評価額は、建物の完成後に行われる家屋調査などを経て決定されます。

家屋調査とは、市町村の調査員が建物を確認し、固定資産税評価額を算定するために必要な情報を調査する手続きです。

一戸建ての場合は、建物の完成後、おおむね1〜3か月程度を目安に家屋調査が実施されます。調査員は建物の構造や床面積、使用されている建材や設備などを確認し、その内容をもとに固定資産税評価額を算定します。

その後、決定された固定資産税評価額は、翌年度に送付される納税通知書とともに届く課税明細書で確認できます。

課税明細書とは、固定資産税の対象となる土地や建物について、所在地や種類、床面積、固定資産税評価額、課税標準額などが記載された書類です。

たとえば、令和8年中に新築住宅が完成した場合、固定資産税評価額は令和9年度の納税通知書に同封される課税明細書で確認することになります。

一方で、新築マンション(分譲マンション・区分所有マンション)の場合は、一戸建てとは評価方法が異なります。

2-5.新築マンションの固定資産税評価額が決まる仕組み」で解説したとおり、新築マンションでは市町村の調査員が各住戸を個別に訪問して家屋調査を行うことは通常ありません。

その代わり、市町村はデベロッパー(分譲事業者)から設計図書や工事費内訳書などの資料の提出を受け、一棟全体を対象として評価額を算定します。

そのため、マンションを購入した人の中には、「新築なのに調査員が来なかった」「家屋調査がなかった」と感じる方もいます。

しかし、実際には調査が行われていないわけではなく、一戸建てとは異なる方法で固定資産税評価額が算定されているのです。

このように、新築の建物の固定資産税評価額が通知されるタイミングは戸建て住宅とマンションで大きく変わりませんが、評価額を算定するための調査方法には違いがあります。

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7-2. 固定資産税評価額の通知内容が間違っていた場合はどうすればいいか

固定資産税評価額の通知内容を確認した際に、「評価額が高すぎるのではないか」「評価内容に誤りがあるのではないか」と感じることがあるかもしれません。

固定資産税評価額(価格)に不服があるときは、固定資産評価審査委員会に対して審査の申出を行うことができます。固定資産評価審査委員会とは、固定資産税評価額の適正性について審査を行う第三者的な機関です。

審査の申出ができる期間は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3か月を経過する日までです。

この期間を過ぎると審査の申出ができなくなるため、固定資産税評価額に疑問がある場合は早めに確認することが重要です(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度固定資産税のしおり)。

申出先は、固定資産が所在する市町村に設置されている固定資産評価審査委員会です。

審査の申出を受けた固定資産評価審査委員会は、申出内容を審査したうえで決定を行います。決定は、原則として申出を受けた日から30日以内に行われます。また、決定内容は、決定があった日から10日以内に申出人へ通知されます。

ただし、固定資産税評価額について疑問を感じた場合でも、いきなり審査の申出を行う必要はありません。

まずは、固定資産が所在する市町村の税務担当窓口へ問い合わせることをお勧めします。

課税明細書の見方を誤解していたり、評価額の計算方法を正しく理解していなかったりすることが原因で疑問が生じているケースも少なくありません。

そのため、窓口で説明を受けることで疑問が解消する場合があります。

一方で、説明を受けても固定資産課税台帳に登録された価格そのものに納得できない場合は、固定資産評価審査委員会への審査の申出を検討するとよいでしょう。

審査の申出は、固定資産税評価額に対する正式な不服申立ての手続きであり、単なる問い合わせとは位置付けが異なります。そのため、まずは自治体へ確認し、そのうえで必要に応じて審査の申出を行うのが一般的な流れです。

固定資産税評価額に不服がある場合の審査申出の手順フロー図

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7-3. ガレージや物置にも固定資産税評価額はつくのか

ガレージや物置であっても、「家屋」として認められる建造物には固定資産税評価額がつきます。固定資産税の課税対象となる家屋とは、不動産登記法における建物と同じ意義を持つもので、登記簿に登記されるべき建物を指します。

ガレージや物置が家屋に該当するかどうかは、主に次の3つの要件を満たしているかによって判断されます。

1つ目は、外気分断性です。

外気分断性とは、屋根および周壁、またはこれらに類するものを備え、外気から分断された空間が形成されていることをいいます。

2つ目は、土地への定着性です。

土地への定着性とは、基礎工事や付帯設備の状況などから、建造物が土地と物理的かつ継続的に結合していると認められる状態を指します。

3つ目は、用途性です。

用途性とは、居住、作業、貯蔵などの目的に利用できる一定の空間が形成されていることを意味します。

これら3つの要件をすべて満たす建造物は家屋として扱われ、住宅本体と同様に固定資産税評価額が算定されます。そして、その評価額をもとに固定資産税の課税対象となります(出典:資産評価システム研究センター 家屋評価の対象範囲について~建造物について不動産登記と関連づけた判断~)。

たとえば、シャッター付きガレージは、屋根や壁を備え、基礎によって土地に固定されているケースが一般的です。

そのため、外気分断性・土地への定着性・用途性の3要件を満たしやすく、家屋として認定されて固定資産税評価額が算定されることが多くなっています。

一方で、簡易な構造のカーポートは取扱いが異なる場合があります。

カーポートは屋根のみで構成され、壁を持たないことが多いため、外気分断性の要件を満たさないケースが一般的です。

その結果、家屋として認められず、固定資産税評価額が算定されない場合があります。

つまり、どちらも車を保管するための設備ですが、構造の違いによって固定資産税の扱いが変わるのです。

ただし、個別の建造物が家屋に該当するかどうかの最終的な判断は市町村が行います。

シャッター付きガレージやカーポートはあくまでも一般的な例であり、構造や設置状況によって判断が異なる場合があります。そのため、実際に課税対象となるか確認したい場合は、所在地の市町村へ問い合わせることをお勧めします。

なお、家屋として固定資産税評価額が算定された場合でも、必ず固定資産税が課税されるとは限りません。

家屋には免税点という制度が設けられています。免税点とは、課税標準額の合計が一定額に満たない場合は固定資産税を課税しない制度です。

家屋の免税点は現行20万円です。また、令和9年度以後の年度分からは30万円に引き上げられます。

(出典:総務省 令和8年度地方税制改正・地方税務行政の運営に当たっての留意事項等について 令和8年1月21日

そのため、極めて小規模な物置や簡易ガレージなどでは、家屋として固定資産税評価額が算定されても、状況によってはその評価額が免税点に達しないため、実際には固定資産税が課税されないケースがあります。

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7-4. 固定資産税評価額は自分で計算できるのか

固定資産税評価額を自分で正確に計算することは、一般の方にとって簡単ではありません。

その理由は、固定資産税評価額の算定に専門的な評価方法が用いられているためです。

2章で解説したとおり、建物の固定資産税評価額は固定資産評価基準に基づく評点式評価法によって算定されます。

評点式評価法では、建物を構成する屋根、外壁、内壁、床、天井、建具、設備などを部位ごとに評価し、それぞれの評点を積み上げて再建築費評点数を求めます。

さらに、再建築費評点数に経年減点補正率や評点1点あたりの価額などを反映して固定資産税評価額を算定します。

このような評価作業は市町村が保有する評価基準や調査結果をもとに行われるため、建物の所有者が同じ計算を完全に再現することは現実的ではありません。

一方で、新築前の段階でも固定資産税評価額のおおよその目安を把握することは可能です。

本記事で解説したように、新築住宅の固定資産税評価額は建築費の約60%になるケースが多いためです。

たとえば、建築費2,500万円の注文住宅であれば、固定資産税評価額の目安は次のようになります。

  • 2,500万円×60%=1,500万円

したがって、このケースでは固定資産税評価額がおよそ1,500万円になると予測できます。

もちろん、実際の固定資産税評価額は建物の構造や仕様、設備のグレード、地域ごとの評価基準などによって変わります。

そのため、「建築費の約60%」はあくまでも概算の目安として利用するのが適切です。

より正確な固定資産税評価額を知りたい場合は、新築を取得後に発送される納税通知書に同封された課税明細書を確認しましょう。

課税明細書には、市町村が家屋調査などをもとに算定した実際の固定資産税評価額が記載されているため、正式な評価額を確認できます。

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8. まとめ:新築の建物の固定資産税評価額を正確に理解して資金計画に活かそう

ここまで、新築の建物の固定資産税評価額について、定義や計算方法、評価額の目安、新築住宅の軽減措置、評価替えの仕組みなどを解説しました。

最後に、本記事の重要なポイントを整理します。

評価額の定義

新築の建物の固定資産税評価額とは、市町村が固定資産評価基準(総務省告示)に基づいて算定する「適正な時価」です。建築費や住宅の販売価格とは異なる金額であり、それぞれを区別して理解することが大切です。

「建築費の約60%」といわれる理由

固定資産税評価額が建築費の約60%になるといわれるのは、評点式評価法の計算構造によるものです。

再建築費評点数に新築1年目の経年減点補正率0.80と評点1点あたりの価額(概ね1.05円前後)を反映して評価額を算定するため、結果として建築費の約60%前後になるケースが多くなります。

取得形態によって割合が変わる

販売価格に対する固定資産税評価額の割合は、住宅の取得方法によって異なります。工務店や設計事務所へ直接発注する注文住宅と比較すると、大手ハウスメーカーの注文住宅、建売住宅、分譲マンションなどは販売価格に対する評価額の割合が低くなる傾向があります。

新築年と翌年度では評価額が異なる

家屋調査後に算定される新築年の評価額(不動産取得税の課税標準となる評価額)と、翌年度の固定資産税評価額は同じではありません。

新築年の評価額には経年減点補正率1.00が適用される一方、翌年度の評価額には経年減点補正率0.80が適用されるため、翌年度の評価額は新築年の評価額のおおむね80%程度になります。

新築住宅の軽減措置は令和13年3月31日まで延長

令和8年度税制改正により、新築住宅の固定資産税減額措置の適用期限は令和13年3月31日まで延長されました。また、床面積要件は下限が40㎡(従来50㎡)に緩和され、上限は240㎡(従来280㎡)に引き下げられています。

一般住宅は新築後3年度分、長期優良住宅の戸建て住宅は新築後5年度分にわたり、固定資産税額が2分の1に軽減されます。長期優良住宅については、市町村への申告書の提出が必要です。

軽減措置終了後は税額が大きく増える

一般住宅では、新築後3年度分の軽減措置が終了する4年目に固定資産税額が大きく増加します。住宅の条件によって差はありますが、おおむね2倍程度になるケースも少なくありません。そのため、新築時の税額だけでなく、軽減措置終了後の税額も資金計画に組み込んでおくことが重要です。

評価額に疑問がある場合は審査の申出ができる

固定資産税評価額に不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から起算して3か月を経過する日までの間に、固定資産評価審査委員会へ審査の申出を行うことができます。

まずは市町村の税務担当窓口へ相談し、説明を受けたうえで必要に応じて審査の申出を検討するとよいでしょう。

新築の建物の固定資産税評価額は、一見すると複雑な仕組みで決まるように感じられます。

しかし、固定資産評価基準の考え方や評点式評価法の仕組みを理解すると、「なぜ建築費の約60%になるのか」「なぜ税額が変動するのか」といった疑問にも納得しやすくなります。

また、固定資産税評価額は固定資産税や都市計画税の計算だけでなく、新築後の家計管理や資金計画にも大きく関係します。

そのため、新築住宅を購入・建築する際は、評価額の目安だけでなく、軽減措置の内容や終了後の税負担まで含めて確認しておくことが大切です。

本記事が、新築住宅の固定資産税評価額を理解する一助となれば幸いです。

著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般財団法人資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov 地方税法総務省 固定資産評価基準第2章 家屋一般財団法人資産評価システム研究センター 令和6年度固定資産税のあらまし一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度固定資産税のしおり国土交通省 令和8年度税制改正概要
注意点
本記事の内容は令和8年6月時点のものです。最新の情報は市町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。

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