私道の固定資産税はいくら?税額の目安を解説

私道の固定資産税はいくら?

私道の固定資産税は、その使用状況と立地条件によって税額が異なります。

よって、いくらになると断言できませんが、そこそこ高くなる場合、かなり安い場合、かからない場合に分類することが可能です。

私道負担をご予定の方へ向けて、税額の目安をご紹介しましょう。

目次

1. そこそこ高くなる場合

まずは、そこそこ固定資産税が高くなる私道の例をご紹介しましょう。

私道には、その私道の所有者のみが通路として使用する私道があります。

たとえば、旗竿地に建つ一戸建ては以下のように公道に繋がる道が私道であり、なおかつ、その私道を使用するのは所有者のみです。

所有者のみが使用する私道の例

上記などに該当する所有者のみが使用する私道は、そこそこ固定資産税が高くなります。

税額がいくらになるかは面積と立地条件によって大きく異なるため断言できませんが、その私道の1㎡あたりの固定資産税は、その私道が接する宅地(その私道の所有者の住宅が建つ土地)の1㎡あたりの固定資産税と同額です。

たとえば、その私道が接する宅地の固定資産税が1㎡あたり1,000円の場合は、その私道の1㎡あたりの固定資産税も1,000円となります。

固定資産税が高くなる私道の例

なお、通行禁止の立て札が置かれていたり、通行できる時間を定めている私道がありますが、その私道も所有者のみが使用できる私道と見なされます。

所有者のみが使用できる私道の固定資産税は、その私道が接する宅地並みの税額です。

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2. かなり安い場合

つぎに、固定資産税が安くなる私道の例をご紹介しましょう。

私道には、幅が1.8メートル未満などと狭く公道には通じていないものの、以下のように誰もが通行できる私道があります。

固定資産税が安くなる私道の例

上記に該当する私道は、固定資産税がかかるものの税額はかなり安くなります。

税額がいくらになるかは、その私道の面積と立地条件によって異なるため断言できませんが、その私道の1㎡あたりの固定資産税は、その私道が接する宅地(その私道の所有者の住宅が建つ土地)の1㎡あたりの固定資産税の10分の3から10分の1程度です。

私道の固定資産税の例

たとえば、その私道が接する宅地の1㎡たりの固定資産税が1,000円である場合は、その私道の1㎡あたりの固定資産税は300円から100円程度といった具合になります。

ただし、その私道に自転車やエアコンの屋外機、植木などが置かれている場合は、この記事の「1. そこそこ高くなる場合」でご紹介した私道と同じく、固定資産税が宅地並みになるため留意してください。

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3. かからない場合

最後に、固定資産税が非課税となる私道の例をご紹介しましょう。

幅が概ね1.8メートル以上であり、起点と終点が異なる公道に接しつつ誰もが通り抜けできる私道などは固定資産税がかかりません。

また、起点と終点が同一の公道に接しつつも幅が4メートル以上であるコの字型の私道や、行き止まりであっても幅が4メートル以上の私道も固定資産税は非課税となります。

固定資産税がかからない私道の例を図解でご紹介すると以下のとおりです。

固定資産税がかからない私道の例

これは、地方税法の第三百四十八条第2項の第五号により、公共の用に供する道路には固定資産税が課せられないと定められていることが理由です。

地方税法とは、住民税や不動産取得税、固定資産税などの地方税に関することを定めた法律であり、同法律の第三百四十八条第2項第五号をわかりやすく解説すると以下のようになります。

地方税法第三百四十八条(固定資産税の非課税の範囲)第2項の第五号
公共の用に供する道路に固定資産税を課することはできない

公共の用に供する道路の定義は市区町村によって異なりますが、先にご紹介した幅が狭くとも始終点が公道に接する私道や、行き止まりやコの字型であっても幅が4メートルを超える私道が該当するのが通例です。

この公共の用に供する道路には、セットバックをすることにより作られた私道も含まれます。

なお、東京都23区内の固定資産税がかからない私道の条件は「東京都主税局 道路に対する非課税のご案内」にて、大阪市の条件は「大阪市 私有道路の評価などについて」にて確認することが可能です。

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まとめ - 税額を下げるには申告が必要

私道の固定資産税がいくらか、その目安をご紹介しました。

私道の固定資産税は使用状況や幅などによって異なり、まとめると以下のとおりです。

私道の固定資産税はいくら?

使用状況 税額
私道の所有者のみが使用する そこそこ高くなる
幅が1.8m以下などと狭く公道に通じないものの不特定多数の人が利用できる かなり安くなる
幅が1.8m以上などであり始終点が異なる公道に接しつつ誰もが通り抜けできる、または行き止まりやコの字型であっても幅が4m以上などであり誰もが通行できる かからない

私道の固定資産税は、市区町村によって課税基準と課税額が異なるためいくらになるか断言できませんが、概ね上記のとおりです。

私道の固定資産税がいくらになるか気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、固定資産税がかなり安くなる、またはかからない条件に該当する場合であっても、その私道を所有するだけでは税額は安くなりません。

固定資産税が安くなる、またはかからない条件に該当する場合は、それを市区町村役場に申告することによって税額が下がります。

申告の方法は、その私道が所在する市区町村役場のホームページ内に設けられている検索窓に「私道 固定資産税」などと入力しつつ検索することにより確認することが可能です。

そして、申告が通れば、固定資産税の納税通知書に記されているその私道の課税地目が公衆用道路となり、固定資産税が安くなる、またはかからなくなります。

ご紹介した内容が、私道の固定資産税をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年5月

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