固定資産税路線価が公示地価の7割とは?意味と根拠を解説

固定資産税路線価が公示地価の7割とは?意味と根拠を解説

固定資産税路線価は公示地価の7割などといいますが、どういう意味でしょうか。

「固定資産税路線価が公示地価の7割」の意味を解説し、固定資産税路線価が公示地価の7割であることの根拠をご紹介しましょう。

目次

1. 固定資産税路線価が公示地価の7割とは?

まずは、公示地価と固定資産税路線価を解説し、固定資産税路線価が公示地価の7割といわれる意味をご説明します。

公示地価とは、毎年3月ごろに国土交通省が公示する、日本全国各地に点在する標準地と呼ばれる地点の1平方メートルあたりの正常な価格です。

正常な価格とは、売り急ぎや買い進みなど売り主と買い主の事情を含まない価格であり、私がこの記事を作成する2021年11月現在、約2万6千ヵ所の標準地が存在します。

公示地価とは?

これに対して、固定資産税路線価とは、市町村が市街地に位置する土地の所有者に固定資産税を課す際に、その税額を計算するために道路に付けた標準宅地の1平方メートルあたりの価格です。

難解ですが、肩の力を抜いて気楽にお読みください。

土地を所有すると市町村から固定資産税が課せられますが、市町村が土地の所有者に固定資産税を課す際は、各土地の時価を評価し、評価した額に見合った税額を課します。

たとえば、時価が高いと評価すれば税額を高くし、時価が低いと評価すれば税額を安くするといった具合です。

そうすれば、土地の所有者の税負担が軽くなり、固定資産税を納めやすくなります。

よって、市町村が土地の所有者に固定資産税を課す際は、各土地の時価を評価しなければなりませんが、市町村が市街地に位置する土地の時価を評価する際は、市街地宅地評価法という方法を用います。

市町村が市街地宅地評価法を用いて、市街地に位置する土地の時価を評価する流れは以下のとおりです。

市町村が市街地宅地評価法を用いて市街地に位置する各土地の時価を評価する流れ
  • 1. 市街地内を住宅地区、商業地区、工業地区などに区分けする
  • 2. 区分けした各地区から主要となる街路(街路とは「市街地の道路」という意味です)を選定する
  • 3. 主要な街路と接する土地の中から、歪ではない標準的な形状の土地を選ぶ(選ばれた土地を標準宅地と呼びます)
  • 4. 標準宅地の1平方メートルあたりの時価を評価する
  • 5. 標準宅地の1平方メートルあたりの時価を、標準宅地と接する主要な街路に固定資産税路線価として付設する
  • 6. 主要な街路に付設した固定資産税路線価を参考として、主要な街路と接続するその他の街路にも固定資産税路線価を付設する
  • 7. 各街路に付設した固定資産税路線価を基に、各街路と接する標準宅地以外の土地の1平方メートルあたりの時価を評価する
  • 8. 評価した標準宅地以外の土地の1平方メートルあたりの時価に、各土地の敷地面積を掛け算するなどして、各土地の敷地全体の時価を評価する

以上が、市町村が市街地宅地評価法を用いて市街地の土地の時価を評価する流れです。

流れの5で標準宅地の1平方メートルあたりの時価を主要な街路に付設しますが、付設した価格が固定資産税路線価です。

たとえば、標準宅地の1平方メートルあたりの時価を10万円と評価すれば、主要な街路には固定資産税路線価として10万円を付設するといった具合です。

また、流れの6で主要な街路に付設した固定資産税路線価を参考に、主要な街路と接続するその他の街路に付設した価格も固定資産税路線価となります。

このように、主要な街路や、その他の街路に付設された標準宅地の1平方メートルあたりの時価が固定資産税路線価ですが、流れの4で市町村が標準宅地の1平方メートルあたりの時価を評価する際は、最寄りの標準地の公示地価の7割程度と評価します。

例を挙げると、最寄りの標準地の公示地価が10万円であれば、標準宅地の1平方メートルあたりの時価をその7割である7万円と評価するといった具合です。

これが、固定資産税路線価が公示地価の7割であるといわれる意味です。

固定資産税路線価は公示地価の7割

土地の固定資産税は、その土地が所在する市町村が徴収します。

そして、その税額は、市町村が評価した土地の時価を基に算定されますが、市町村によって評価基準が異なれば地域ごとに税額が変わることとなり公平ではありません。

よって、市町村が土地の時価を評価する際は、国土交通省が公示する統一された土地の時価である公示地価を参考に、その7割程度と評価します。

そうすれば、市町村によって土地の固定資産税が高くなったり安くなったりすることがありません。

固定資産税路線価が公示地価の7割とは、市町村が標準宅地の時価を評価する際に、最寄りの標準地の公示地価の7割程度と評価することを意味します。

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2. 固定資産税路線価が公示地価の7割の根拠

固定資産税路線価は公示地価の7割といわれますが、市町村が標準宅地の時価を評価する際に、最寄りの標準地の公示地価の7割程度と評価することを意味します。

ここで気になるのが、その根拠です。

ネットには様々な情報があふれ、根拠がなければその情報を信頼できません。

固定資産税路線価が公示地価の7割であることの根拠は、総務省が公開する資料「固定資産税等について」の33ページ「土地評価の仕組み」に記されている「標準宅地の適正な時価の評定」という項目にて確認することが可能です。

同項目には、「標準宅地の時価は地価公示価格等を活用し、これらの価格の7割を目途に評定」と記されています。

総務省「固定資産税等について」

固定資産税路線価が公示地価の7割であることの根拠

出典:総務省

以上が、固定資産税路線価が公示地価の7割であることの根拠です。

なお、固定資産税路線価とは、市町村が市街地宅地評価法を用いて土地の時価を評価する際に街路に付設した標準宅地の1平方メートルあたりの時価ですが、同評価方法の詳細は、総務省の告示「固定資産評価基準」の「第1章 土地」の「第3節 宅地」にて確認できます。

固定資産税路線価の意味の根拠をお調べの方がいらっしゃいましたら、固定資産評価基準をご覧ください。

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まとめ - 固定資産税路線価は相続税路線価の8割

固定資産税路線価が公示地価の7割といわれる意味や、その根拠をご紹介しました。

固定資産税路線価が公示地価の7割とは、市町村が標準宅地の時価を評価する際に、最寄りの標準地の公示地価の7割程度と評価することを意味します。

そして、その根拠は、総務省が公開する資料にて確認することが可能です。

固定資産税路線価が公示地価の7割といわれる意味や、その根拠をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、公示地価と共に公的な土地の価格として、基準地価と相続税路線価があります。

基準地価とは、各都道府県が毎年発表する日本全国各地に点在する約2万1千ヵ所の基準地と呼ばれる地点の1平方メートルあたりの標準価格です。

相続税路線価とは、土地の相続税や贈与税を計算するために国税庁が毎年発表する、市街地に位置する道路に接する土地の1平方メートルあたりの時価です。

これらの基準地価や相続税路線価も公示地価を参考に設定され、基準地価は公示地価と同程度に、相続税路線価は公示地価の8割程度に設定されます。

公示地価と基準地価と路線価の関係

公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価の意味と関連は、私が運営するもうひとつのサイト「誰でもわかる不動産売買」にてわかりやすく解説中です。

公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産税路線価にご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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ご紹介した内容が、固定資産税路線価が公示地価の7割といわれる意味と根拠をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年11月

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