固定資産税路線価と実勢価格の差はどれくらい?

固定資産税路線価と実勢価格の差はどれくらい?

固定資産税路線価は、実勢価格の7割程度と考えることができます。

固定資産税路線価と実勢価格の差をご紹介しましょう。

目次

1. 固定資産税路線価は実勢価格の7割程度

冒頭でご紹介したとおり、固定資産税路線価は実勢価格の7割程度と考えることができます。

その理由は、固定資産税路線価が公示地価の7割程度を目安に付けられていることにあります。

公示地価とは、地価公示法という法律に基づき、国土交通省が毎年3月ごろに公表する日本全国各地に点在する約2万6千ヵ所の土地の1平方メートルあたりの正常な価格であり、公示地価が公表される地点を標準地と呼びます。

地価公示法では、都市部の土地を売買する者は、公示地価を参考に価格を付けるように努めなければならないと規定しています。

また、公示地価は、その標準地の周辺の土地が売買される際の価格を参考に設定されます。

すなわち、標準地の公示地価は、その標準地の周辺の土地の1平方メートルあたりの実勢価格であると考えることが可能です。

公示地価は実勢価格であると考えることができる

これに対して固定資産税路線価とは、市町村が市街地に位置する土地の固定資産税を計算するために道路に付けた価格です。

市町村が市街地に位置する土地の固定資産税を計算する際は、その地域から主要な道路を選定し、その道路に接する土地の中から歪ではない標準的な形状の宅地を選びます。

選ばれた宅地を標準宅地と呼び、標準宅地が決まれば、市町村は標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価します。

評価された適正な時価は、標準宅地と接する主要な道路や、主要な道路と接するその他の道路に付設されます。

たとえば、標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が10万円であれば、その標準宅地と接する主要な道路には10万円が、その他の道路には8万円が付設されるといった具合です。

この付設された価格が固定資産税路線価であり、市街地の土地の固定資産税は、主要な道路、またはその他の道路に付けられた固定資産税路線価を基に計算されます。

固定資産税路線価とは?

そして、市町村が標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価する際は、最寄りの標準地の公示地価を参考に、その7割程度と評価します。

例を挙げると、最寄りの標準地の公示地価が10万円であれば、その標準宅地の適正な時価は7万円と評価するといった具合です。

標準地の公示地価は、その周辺の土地の売買価格を参考に設定され、地価公示法により都市部の土地を売買する者は、公示地価を参考に取引するように努めなければならないと定められているため、実勢価格と考えることができます。

標準宅地の適正な時価は、最寄りの標準地の公示地価、すなわち実勢価格の7割程度を目安として評価され、評価された価格が標準宅地と接する道路などに固定資産税路線価として付設されます。

つまり、固定資産税路線価は実勢価格の7割程度であると考えることができるというわけです。

固定資産税路線価は実勢価格の7割程度

なお、公示地価は標準地の1平方メートルあたりの価格であり、固定資産税路線価はその道路と接する土地の1平方メートルあたりの価格となります。

よって、固定資産税路線価は、その土地の1平方メートルあたりの実勢価格の7割程度であるとお考えください。

固定資産税路線価からその土地全体の実勢価格を計算したいと希望する場合は、その土地の固定資産税路線価を0.7で割り算し、その答えに土地の面積を掛け算する必要があります。

計算例を挙げると、固定資産税路線価が15万円の道路に接する100平方メートルの土地の場合は「15万円÷0.7×100平方メートル=21,428,571」と計算し、その土地全体の実勢価格は約2,142万円になるといった具合です。

ちなみに、固定資産税路線価が公示地価の7割程度であることの根拠は、総務省が公開する資料「固定資産税制度について」の11ページの「宅地については、地価公示価格の7割を目安に評価」という記述にて確認することが可能です。

総務省の資料「固定資産税制度について」の11ページ

固定資産税路線価が公示地価の7割程度であることの根拠

出典:総務省「固定資産税制度について

同資料は平成28年に公表されているため多少データが古くなりますが、固定資産税が課せられる対象となる土地の数など、固定資産税に関する様々なデータが記されています。

固定資産税に興味がある方がいらっしゃいましたら、総務省が公開する資料を是非ご覧ください。

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まとめ - 7割程度はあくまで目安

固定資産税路線価と実勢価格の差をご紹介しました。

固定資産税路線価は標準宅地の適正な時価から付けられた価格であり、標準宅地の適正な時価は、最寄りの標準地の公示地価の7割程度に設定されます。

標準地の公示地価は、その周辺の土地の売買価格を参考に設定されるため、その周辺の土地の実勢価格と考えることが可能です。

これにより、固定資産税路線価は標準地の公示地価、すなわち実勢価格の7割程度であると考えることができます。

固定資産税路線価と実勢価格がどの程度違うか差をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、公示地価は標準地の正常な価格であり、完全に実勢価格が反映されているわけではありません。

実際に土地が売買される際は、買い主と売り主の事情により実勢価格より高く売買されたり安く売買されたりします。

たとえば、買い主が買い急ぐ場合は実勢価格より高く売買され、売り主が売り急ぐ場合は実勢価格より安く売買されるといった具合です。

このように土地の売買価格は売り主と買い主の事情によって変わりますが、公示地価にはそれらが加味されていません。

公示地価は標準地の正常な価格であり、実際に土地が売買される際は、正常ではない価格で取引されることがあります。

よって、固定資産税路線価が公示地価、すなわち実勢価格の7割程度であるというのはあくまで目安とお考えください。

売り主と買い主に特別な事情があり正常な価格で売買されない場合は、固定資産税路線価は実勢価格の8割や6割などになることもあります。

ご紹介した内容が、固定資産税路線価が実勢価格のどの程度であるかお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年10月

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