新築の固定資産税を減税するための申請方法

新築の固定資産税を減税するための申請方法

一定の条件を満たす新築を取得すれば、固定資産税が減税されます。

そこで気になるのが申請方法ですが、一般的な住宅を取得した場合と長期優良住宅を取得した場合によって異なります。

新築の固定資産税の減税に関することをお調べの方へ向けて、その申請方法をご紹介しましょう。

なお、固定資産税は地方税のため市町村によってルールが異なり、申請方法もまばらです。

よって、ご紹介する内容は参考としてお捉えになり、正確な申請方法は市町村役場にご確認ください。

目次

1. 一般的な新築

まずは、一戸建てやマンションなど、一般的な住宅を取得した場合における固定資産税が減税される制度のあらましをご紹介しましょう。

令和4年3月31日までに床面積が50㎡以上280㎡以下である一戸建てなどを取得すれば、3年間にわたり建物部分にかかる固定資産税が2分の1に減税されます。

また、耐火、もしくは準耐火建築物に該当する3階建て以上のマンションなどを取得した場合は、5年間にわたり一戸部分にかかる固定資産税が2分の1に減税されます。

さらに、それらの住宅を取得しつつその住宅が建つ土地も取得すれば、土地部分にかかる固定資産税が6分の1などに減税されます。

一般的な新築の固定資産税が減税される期間

そして、それぞれの申告方法は以下のとおりです。

なお、ここでいう一般的な住宅とは、長期優良住宅に該当しない住宅を指すため留意してください。

長期優良住宅とは市町村などの所管行政庁から長期優良住宅と認定された住宅であり、長期優良住宅を取得した場合における申請方法は、この記事の「2. 長期優良住宅」にてご確認いただけます。

1-1. 一戸建ての建物部分、マンションの一戸部分の申請方法

一戸建ての建物部分や、マンションの一戸部分の固定資産税が減税されることに対する申請は不要です。

申請をせずとも3年間、または5年間にわたり固定資産税が2分の1に減税されます。

ただし、固定資産税は地方税であり市町村によってルールが異なるため、全ての市町村で申請が不要と断言できません。

よって、取得した新築が所在する市町村のホームページ内に設けられている検索窓に「新築 固定資産税 減額 申告」などと入力しつつ検索し、申請が不要であるか必ずご確認ください。

また、一部の市町村では、減税に関する申請は不要であるものの新築を取得したことに対する申請を求められる場合があるため注意してください。

たとえば、大阪市では登記が済んでいない新築を取得した場合は、建築確認通知書の写しなどを添付した申請書の提出を求められ、申請書は「大阪市|未登記家屋に関する届出について」よりダウンロードすることが可能です。

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1-2. 土地部分の申請方法

建物部分の固定資産税が減税されれば土地部分にかかる固定資産税も6分の1などに軽減されます。

これを「住宅用地の特例」などと呼びますが、多くの市町村では住宅用地の特例を正確に適用するための申請を求められます。

たとえば、東京都では固定資産税の住宅用地等申告書に必要事項を記載し、建築確認申請書の写しなどを添付しつつ都税事務所への申告を求められます。

申告書の提出期限は新築を取得した年の翌年の1月31日であり、詳細は「東京主税局|住宅用地の申告は」にて確認することが可能です。

また、大阪市も同じであり、住宅用地に関する申告書に必要事項を記載し、市税事務所への提出を求められます。

申告書の提出期限は東京都と同じく新築を取得した年の翌年の1月31日であり、詳細は「大阪市|住宅用地の申告などについて」に記されています。

その他の市町村の住宅用地の特例に関する申請方法は、取得した新築が所在する市町村役場の公式サイト内に設けられている検索窓に「住宅用地 申告」などと入力しつつ検索することによりお調べいただけます。

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1-3. 3階建て以上の耐火、または準耐火建築物に該当する木造住宅の注意点

この記事の「1. 一般的な住宅」にて、一戸建てなどを取得すると3年、マンションなどを取得すると5年にわたり固定資産税が減税されるとご紹介しましたが、正確には異なります。

正確な減税期間は、耐火、または準耐火建築物に該当する3階建て以上の新築住宅を取得した場合は5年、それ以外の新築住宅を取得した場合は3年です。

新築の建物部分の固定資産税が減税される正確な期間

  • 耐火、または準耐火建築物に該当する3階建て以上の新築住宅 … 5年
  • それ以外の新築住宅 … 3年

耐火、または準耐火建築物である3階建て以上の新築住宅とは主に鉄筋・鉄骨コンクリート造のマンションであり、マンションの減税期間は5年といえます。

また、耐火、もしくは準耐火建築物に該当する3階建て以上の新築住宅以外の住宅とは主に木造の一戸建てであり、一戸建ての減税期間は3年といえます。

そして、それらの住宅は申告をせずとも建物部分にかかる固定資産税が3年、または5年にわたり減税されます。

しかし、ここで注意していただきたいのは、耐火、または準耐火建築物に該当する3階建て以上の木造住宅を取得する場合です。

耐火、または準耐火建築物に該当する3階建て以上の木造住宅は、一戸建てでありながら「耐火、または準耐火建築物に該当する3階建て以上の新築住宅」であり、建物部分にかかる固定資産税が減税される期間は5年となります。

一戸建てでありながら5年にわたり建物部分にかかる固定資産税が減税される住宅を取得した場合は、申告をすることにより固定資産税が減税される期間が3年から5年に延長される市町村があるため注意してください。

たとえば、東京都がそれに該当し、耐火、または準耐火建築物である3階建て以上の木造住宅を取得した場合は、建築確認申請書と検査済証の写し、または建設住宅性能評価書の写しを添付した固定資産税減額申告書の提出を求められ、受理されることにより減税期間が5年に延長されます。

その根拠は「東京主税局|新築住宅の減額は」に記されている、以下の記述にて確認することが可能です。

東京主税局の記述
3階建以上の木造家屋のうち準耐火建築物に該当するものは木造準耐火建築物であることの確認を行いますので、建築確認申請書の写し、及び検査済証の写し、または建設住宅性能評価書の写しを添付した固定資産税減額申告書の提出をお願いします

なお、東京都の固定資産税減額申告書は「東京都主税局|固定資産税・都市計画税申請様式」の「(減額・減免関係)」の「固定資産税減額申告書(新築住宅)」よりダウンロードできます。

耐火建築物である木造住宅の固定資産税の減額に関する申請方法

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2. 長期優良住宅

床面積が50㎡以上280㎡以下などであり、市町村などの所管行政庁から長期優良住宅と認定された新築を取得すれば、建物部分にかかる固定資産税が一定期間にわたり2分の1に減税されます。

減税される期間は、耐火、または準耐火建築物に該当する3階建て以上の長期優良住宅を取得した場合は7年、それ以外の長期優良住宅を取得した場合は5年です。

長期優良住宅の固定資産税が減税される期間

そして、長期優良住宅と共にその住宅が建つ土地を取得すれば、土地部分にかかる固定資産税も6分の1などに減税されることとなり、それぞれの申請方法は以下のとおりです。

建物部分の申請方法

市町村などの所管行政庁から長期優良住宅と認定された住宅を取得しつつ建物部分の固定資産税の減税を希望する場合は、必ず申請する必要があります。

申請は、長期優良住宅の認定通知書の写しを添付した申請書を税事務所などへ提出することにより完了し、申請期限は長期優良住宅を取得した年の翌年の1月31日です。

申請書は、取得した長期優良住宅が所在する地域を管轄する市町村の公式サイト内に設けられている検索窓に「長期優良住宅 固定資産税 減税」などと入力しつつ検索することによりダウンロードできるページをお探しいただけ、東京都の申請書は「固定資産税減額申告書」よりダウンロードできます。

また、大阪市の申請書は「大阪市|認定長期優良住宅にかかる固定資産税の減額適用の申告について」よりダウンロードすることが可能です。

なお、申請期限は長期優良住宅を取得した年の翌年の1月31日ですが、忘れるなどして期限を守れなかった場合は市町村役場にご相談ください。

相応の理由があれば、申請が遅れても固定資産税を減税できます。

その根拠は地方税法の付則第十五条の七の4にてご確認いただけ、付則第十五条の七の4は以下のとおりです。

地方税法の付則第十五条の七(新築された認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額)
4 市町村長は期間内に申告書の提出がされなかったことについてやむを得ない理由があると認めるときは固定資産税を減税できる

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土地部分の申請方法

長期優良住宅を取得しつつ建物部分にかかる固定資産税が減税されれば、土地部分にかかる固定資産税も6分の1などに減税されます。

これを「住宅用地の特例」などと呼び、多くの場合は申請をせずとも適用されますが、確認のための申請を求められることがあるため注意してください。

たとえば、名古屋市では住宅を新築しつつ住宅用地となった土地を所有する場合は市税事務所への申請を求められ、詳細は「名古屋市|土地・家屋の利用状況が変わる場合について」に記されています。

また、札幌市でも申請を求められ、申請書は「札幌市|住宅を新築又は取り壊した時は」よりダウンロードすることが可能であり、詳細は「札幌市|固定資産税の住宅用地の申告」にて確認できます。

申請を求められるか否かは、取得した長期優良住宅が所在する市町村のホームページ内に設けられている検索窓に「住宅用地 固定資産税 申告」などと入力しつつ検索することによりお調べいただけます。

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まとめ - 念のために不動産取得税の申請を

新築住宅の固定資産税の減税に関する申請方法をご紹介しました。

長期優良住宅ではない一般的な新築を取得した場合は、一部例外を除き申請をせずとも建物部分にかかる固定資産税が減税されます。

一方、長期優良住宅を取得しつつ建物部分にかかる固定資産税を5年、または7年にわたり減税したいと希望する場合は、長期優良住宅の認定通知書の写しを添付した申請書を税事務所などに提出する必要があるため注意してください。

また、建物部分の固定資産税が減税される条件を満たせば住宅用地の特例が適用され、土地部分にかかる固定資産税も減税されますが、多くの市町村では同特例を正確に適用するための申請を求められます。

固定資産税を減税するための新築の申請方法

新築を取得しつつ固定資産税を減税するための申請方法をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、不動産を取得するとかかる税金に不動産取得税がありますが、新築を含む不動産を取得した場合は原則として30日以内などに税事務所への申請が必要です。

申請を忘れても特にお咎めはなく不動産取得税の納税通知書だけは届きますが、固定資産税の減税を希望する場合は、念のために不動産取得税の申請を行ってください。

そうすれば、市町村に新築を取得したことが確実に伝わり、万が一固定資産税が減税されない場合に異議申し立てしやすくなります。

ご紹介した内容が、新築の固定資産税が減税される申請方法をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年6月

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