木造の30年後の固定資産税はいくら?

木造の30年後の固定資産税はいくら?

30年後の木造の固定資産税は、新築時の28%程度から20%程度です。

木造の家屋の固定資産税が、新築から30年後にどれくらい下がるかご紹介しましょう。

なお、ご紹介するのは木造住宅の30年後の固定資産税であり、工場や倉庫、劇場、病院、公衆浴場などの木造の家屋には該当しないため留意してください。

目次

1. 木造の30年後の固定資産税は、新築時の28%程度から20%程度

30年後の木造住宅の固定資産税は、新築時の28%程度から20%程度です。

具体的には、新築時の1平方メートルあたりの再建築費が高額であれば28%程度まで下がり、新築時の1平方メートルあたりの再建築費が安価であれば20%程度まで下がるとお考えください。

再建築費とは、その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築するために必要となる建材費と労務費、建築会社が得る利益などの合計です。

こう聞くと、再建築費は販売価格や建築費であると考えがちですが、再建築費は販売価格や建築費とは異なります。

正確な根拠はないものの、再建築費は建築費の60%程度になるといわれます。

たとえば、新築時の建築費が2,500万円の木造住宅であれば、その60%である1,500万円程度が再建築費になるといった具合です。

そして、新築時の1平方メートルあたりの再建築費が133,120円程度以上であれば、30年後の固定資産税は新築時の28%程度となります。

新築時の1平方メートルあたりの再建築費が133,120円程度未満であれば、30年後の固定資産税は新築時の20%程度です。

30年後の木造の固定資産税は新築時の28%程度から20%程度

ただし、30年後の固定資産税が新築時の28%程度から20%程度に下がっているのは、家屋にかかる固定資産税のみのため留意してください。

一戸建てなどの木造住宅を取得すると、借地権である場合などを除き、家屋と土地の両方を所有し、その両方に固定資産税が課されます。

30年後など、築年数が経過することにより固定資産税が下がるのは家屋にかかる固定資産税のみであり、土地にかかる固定資産税は、周辺の地価と連動して上がったり下がったりします。

ちなみに、参考として新築時の建築費が2,500万円である、延べ床面積が80平方メートルの家屋の1平方メートルあたりの再建築費は、以下のように計算しつつ18万7,500円程度です。

2,500万円(新築時の建築費)×60%(再建築費の目安)÷80(延べ床面積)=18万7,500円(1平方メートルあたりの再建築費の目安)

新築時の1平方メートルあたりの再建築費が18万7,500円程度の木造家屋であれば、30年後の固定資産税は、新築時の28%程度です。

加えて、新築時の建築費が2,000万円である、延べ床面積が70平方メートルの家屋の1平方メートルあたりの再建築費を計算すると以下のようになり12万8,571円程度となります。

1,500万円(新築時の建築費)×60%(再建築費の目安)÷70(延べ床面積)=12万8,571円(1平方メートルあたりの再建築費の目安)

新築時の1平方メートルあたりの再建築費が12万8,571円程度の木造家屋であれば、30年後の固定資産税は新築時の20%程度です。

つづいて、木造家屋の30年後の固定資産税が、新築時の28%程度から20%程度である根拠をご紹介しましょう。

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2. 木造の30年後の固定資産税は、固定資産評価基準で確認できる

木造の家屋の30年後の固定資産税は、新築時の28%程度から20%程度です。

ここで気になるのが、その根拠です。

木造の家屋の30年後の固定資産税は、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」に記されている表「別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」にてご確認いただけます。

固定資産評価基準とは、市町村が家屋の適正な時価を評価する方法が記された手引書であり、総務大臣が内容を定めています。

市町村は家屋の所有者に固定資産税を課しますが、その税額は、固定資産評価基準に記された方法を用いて評価した、家屋の適正な時価を基に計算されます。

以下が「固定資産評価基準 第二章 家屋」に記されている表「別表第9 木造家屋経年減点補正率基準表」です。

固定資産評価基準 第二章 家屋

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上記の表には、築年数が経過することにより、木造の家屋の固定資産税が下がる程度が記されています。

赤い線で区切った各列の上部には、「55,120点未満」「55,120点以上86,320点未満」「86,320点以上133,120点未満」「133,120点以上」という点数が記されています。

それらの点数を1点あたり1円程度に換算した額が、1平方メートルあたりの再建築費を表すとお考えください。

たとえば、表の一番左の列の上部には「55,120点未満」と記されていますが、その列は、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度未満の木造家屋の固定資産税が、築年数が経過することにより下がる程度が記されていると考えます。

つぎに、表の一番左の「55,120点未満」の列の、経過年数が「15以上」の箇所の経年減点補正率にご注目ください。

その箇所の経年減点補正率は、0.20です。

これは、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度未満の木造の家屋は、新築から15年が経過すると、新築時の20%程度まで固定資産税が下がり、それよりは下がらないことを意味します。

つまり、1平方メートルあたりの再建築費が55,120円程度未満の木造の家屋の30年後の固定資産税は、新築時の20%程度というわけです。

再建築費が安価な木造の30年後の固定資産税は20%程度

左から2番目と3番目の列も同じように考え、30年後の固定資産税は、新築時の20%程度です。

ただし、表の一番右の「133,120点以上」の列のみ、他の列と異なります。

表の一番右の「133,120点以上」の列の経過年数が30の箇所をご覧ください。

133,120点以上の経過年数が30の箇所の経年減点補正率は0.28であり、経過年数が35以上の箇所の経年減点補正率は0.20です。

これは、1平方メートルあたりの再建築費が133,120円程度以上の木造の家屋の30年後の固定資産税は、新築時の28%程度であり、築35年で新築時の20%程度まで下がり、それよりは下がらないことを意味します。

再建築費が高額な木造の30年後の固定資産税は28%程度

つまり、木造の家屋の30年後の固定資産税は、新築時の1平方メートルあたりの再建築費が高額であれば28%程度まで下がり、新築時の1平方メートルあたりの再建築費が安価であれば20%程度まで下がるというわけです。

固定資産評価基準には、木造の農家用住宅、ホテル、旅館、料亭、事務所、銀行、店舗、劇場、病院、公衆浴場用建物、工場、倉庫、土蔵など、住宅以外の木造家屋の固定資産税の下がり具合も記されています。

木造家屋の30年後の固定資産税にご興味のある方がいらっしゃいましたら、固定資産評価基準をご覧ください。

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まとめ - SRC造の30年後の固定資産税は、新築時の46%程度

木造の30年後の固定資産税をご紹介しました。

木造の30年後の固定資産税は、1平方メートルあたりの再建築費によって異なり、再建築費が高額であれば新築時の28%程度など、再建築費が安価であれば新築時の20%程度です。

ただし、30年後など、築年数が経過することにより下がるのは、木造の家屋にかかる固定資産税のみであり、木造の家屋が建つ土地にかかる固定資産税は、周辺の地価に応じて上がったり下がったりします。

木造の30年後の家屋の固定資産税が、新築時の28%程度から20%程度であることの根拠は、総務省の告示「固定資産評価基準 第二章 家屋」にて確認することが可能です。

木造の30年後の固定資産税をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

ちなみに、「固定資産評価基準 第二章 家屋」には、鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅用家屋の固定資産税の下がり具合も記されています。

鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅用家屋の30年後の固定資産税は、新築時の46%程度であり、木造の家屋より高額です。

そして、60年をかけて新築時の20%程度まで下がり、それよりは下がりません。

鉄骨鉄筋コンクリート造は木造より耐久性があるため、ゆっくりと固定資産税が下がります。

ご紹介した内容が、木造の30年後の固定資産税をお調べの皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2022年5月

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