固定資産課税台帳とは?どこで閲覧できる?

固定資産課税台帳とは、固定資産税が課される対象となる土地や家屋、償却資産に関する情報が記された台帳です。
固定資産課税台帳は、市町村長が作成しつつ市町村役場や税事務所などに備え付けられ、市町村役場や税事務所などにて閲覧や縦覧ができます。
固定資産課税台帳をわかりやすく解説し、固定資産課税台帳を閲覧、または縦覧する方法をご紹介しましょう。
目次
1. 固定資産課税台帳とは、固定資産に関する情報が記された台帳
それでは、固定資産課税台帳をわかりやすく簡単に解説します。
ところで、皆さんは、土地や家屋、償却資産(償却資産とは事業者が事業のために使用する資産です)を所有すると、市町村から固定資産税という税金が課されることをご存知でしょうか。
固定資産税が課される対象となる土地や家屋、償却資産の総称を固定資産と呼び、1月1日の時点で固定資産を所有すると、市町村から固定資産税が課されます。
そして、固定資産課税台帳とは、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳の総称であり、各台帳には、固定資産の固定資産税に関する情報が記されています。
固定資産課税台帳は各市町村の市町村長が作成し、各市町村役場や税事務所などに備え付けられています。

ここで気になるのが、固定資産課税台帳が作成される理由ですが、固定資産課税台帳は、固定資産の適正な時価を明らかにするために作成されます。
土地や家屋、償却資産を所有すると固定資産税が課されますが、その税額は、市町村によって評価、または計算された適正な時価、もしくは自分で計算した適正な時価を基に税額が決定されます。
適正な時価を固定資産税評価額などと呼び、各市町村役場に備え付けられた固定資産課税台帳には、その市町村内に所在する固定資産の固定資産税評価額などが記されています。
また、固定資産の所有者は市町村役場にて固定資産課税台帳の閲覧を希望することが可能であり、固定資産課税台帳を閲覧すれば、自らが所有する固定資産の固定資産税評価額などを確認することが可能です。
ここから、固定資産課税台帳を構成する、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳に登録されている具体的な内容をご紹介しましょう。
なお、これ以降、登記という言葉が幾度も登場します。
登記とは、総務省の地方支部局である法務局に設置されている登記簿という公の帳簿に、所有する土地や建物の情報を記す行為です。
土地や建物を所有すると、その土地や建物の所有権が自分にあることを第三者に証明するために、多くの土地や建物は所有者によって登記されていますが、登記されていない土地や建物も存在します。
- 土地課税台帳
- 土地課税台帳には、その市町村内に所在する、登記されている土地の所在地、地目、地積、所有権を有する者の氏名と住所、固定資産税評価額などが登録されています。
- 土地補充課税台帳
- 土地補充課税台帳には、その市町村内に所在する、固定資産税が課される対象となる、登記されていない土地に関する情報が登録されています。
具体的な登録事項は、登記されていない土地の所在地、地目、地積、その土地の所有者の氏名と住所、固定資産税評価額などです。 - 家屋課税台帳
- 家屋課税台帳には、その市町村内に所在する、登記されている家屋の所在地、各家屋の所有権を有する者の氏名と住所、固定資産税評価額などが登録されています。
その家屋の所有権を複数の者が有する場合は、各所有者の持分も登録されます。 - 家屋補充課税台帳
- 家屋補充課税台帳には、その市町村内に所在する、登記されていない家屋の所在地と各家屋の構造や床面積、固定資産税評価額、各家屋の所有者の氏名と住所などが登録されています。
登記されていない家屋の固定資産税は、固定資産課税台帳に記されている、その家屋の所有者に請求されます。 - 償却資産課税台帳
- 償却資産課税台帳には、市町村内に所在する償却資産の所在場所、各償却資産の所有者の氏名と住所、各償却資産の種類と数量と固定資産税評価額が登録されています。
なお、土地や家屋の固定資産税評価額は市町村が評価しますが、償却資産の固定資産税評価額は、自らが計算しつつ申告する場合と、市町村が計算する場合があります。
以上が、固定資産課税台帳に登録されている具体的な内容です。
固定資産課税台帳とは、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳及び償却資産課税台帳の総称であり、各台帳には各固定資産の所在地や所有者、固定資産税評価額などが登録されています。
ちなみに、市町村長が固定資産課税台帳に登録する内容は、固定資産税などの税金に関することを定めた法律「地方税法」の第三百八十一条によって規定されています。
固定資産課税台帳に登録されている正確な内容をお知りになりたい方がいらっしゃいましたら、地方税法の第三百八十一条をご確認ください。
2. 固定資産課税台帳の閲覧と縦覧の違い
固定資産課税台帳とは、市町村長によって作成された、その市町村内に所在する固定資産の固定資産税に関する情報が登録された台帳です。
そして、固定資産課税台帳には、閲覧と縦覧という制度があり、詳細と違いは以下のとおりです。
- 固定資産課税台帳の閲覧
- 固定資産課税台帳の閲覧とは、固定資産課税台帳に登録されている内容を閲覧できる制度です。
具体的には、市町村役場や税事務所などに出向き、固定資産課税台帳の閲覧を希望することにより閲覧できます。
ただし、閲覧できるのは、自ら、または親族が所有する固定資産に関する情報が登録された部分に限られます。
他人の固定資産に関する情報が登録された部分を閲覧するためには、その固定資産の所有者から預かった委任状などが必要です。 - 固定資産課税台帳の縦覧
- 固定資産課税台帳の縦覧とは、固定資産課税台帳に登録された内容を基に市町村長が作成した、土地価格等縦覧帳簿、または家屋価格等縦覧帳簿を縦覧する制度です。
土地価格等縦覧帳簿には、市町村内に所在する土地の固定資産税評価額などに関する情報が、家屋価格等縦覧帳簿には、市町村内に所在する家屋の固定資産税評価額などに関する情報が記されています。
具体的には、市町村役場や税事務所などに出向き、土地価格等縦覧帳簿、または家屋価格等縦覧帳簿の縦覧を希望することにより、それぞれの帳簿を縦覧することが可能です。
ただし、土地価格等縦覧帳簿、または家屋価格等縦覧帳簿は、毎年四月一日から四月二十日の間など、縦覧できる期間が限られるため注意してください。
縦覧できる期間は、予め市町村のホームページなどで公示されます。
また、お隣さんの土地の固定資産税評価額を確認するなど、具体的な固定資産を指定しつつその情報を縦覧することはできず、「東京都東京市東京区1丁目付近」など、大まかな地域を指定しつつ各帳簿を縦覧することとなります。
固定資産課税台帳の縦覧は、周辺の土地や家屋の固定資産税評価額を知り、自らが所有する土地や家屋の固定資産税評価額が適切であるか判断するために活用します。
以上が、固定資産課税台帳の閲覧と縦覧の制度の詳細です。

なお、固定資産課税台帳の閲覧は、固定資産課税台帳を直接閲覧するのではなく、その写しの交付を請求し、内容を確認することもあるため留意してください。
固定資産課税台帳の写しは、市町村によって名称が異なりますが、固定資産課税台帳登録事項証明書などと呼ばれます。
まとめ - 固定資産課税台帳の代わりに、名寄帳を閲覧する市町村もある
固定資産課税台帳をわかりやすく簡単にご紹介しました。
固定資産課税台帳とは、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳の総称であり、固定資産の固定資産税に関する情報が登録された台帳です。
固定資産課税台帳は、地方税法という法律に則り市町村長が作成し、市町村内に所在する固定資産の固定資産税に関する情報が登録されています。
固定資産とは、土地や家屋、償却資産を意味します。
固定資産課税台帳には、閲覧と縦覧の制度があり、閲覧では固定資産課税台帳に記されている、自らが所有する固定資産の固定資産税に関する情報を閲覧することが可能です。
縦覧では、市町村内に所在する、土地や家屋の固定資産税評価額を縦覧できますが、具体的な固定資産の固定資産税評価額を縦覧することはできず、その周辺の固定資産の固定資産税評価額などを縦覧することとなります。
固定資産課税台帳についてお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、固定資産課税台帳の閲覧は、市町村役場によっては土地名寄帳、または家屋名寄帳と呼ばれる帳簿を閲覧することにより、その代わりとすることがあります。
土地名寄帳とは、1人の方がその市町村内に所有する土地の固定資産税に関する情報が記された帳簿であり、家屋名寄帳とは、1人の方がその市町村内に所有する家屋の固定資産税に関する情報が記された帳簿です。
土地名寄帳と家屋名寄帳も固定資産課税台帳と同じく、自ら、または親族が所有する土地や家屋の固定資産税に関する情報のみを閲覧することが可能であり、他人の土地や家屋に関する情報を閲覧するためには、本人から預かった委任状などが必要となります。
ご紹介した内容が、固定資産課税台帳をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2022年4月
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