田舎の一軒家の固定資産税の平均はいくら?

田舎の一軒家は固定資産税が安いといわれますが、そうとも限りません。
確かに土地部分の固定資産税は安くなりますが、建物部分の固定資産税は都会と同じです。
田舎の一軒家の固定資産税の平均を解説し、固定資産税が高い物件と安い物件の特徴をご紹介しましょう。
目次
- 1. 田舎の一軒家の固定資産税の平均は、さほど安くない
- 1-1. 固定資産税が高い田舎の一軒家の特徴
- 1-2. 固定資産税が安い田舎の一軒家の特徴
- 1-3. 固定資産税がかからない田舎暮らし向け物件とは?
- 2. 田舎の更地の固定資産税の平均はいくら?
- まとめ - 田舎の一軒家は、とにかく寒い
1. 田舎の一軒家の固定資産税の平均は、さほど安くない
はじめに、一軒家を購入すると、一部例外を除き建物と土地を所有することとなり、それぞれに固定資産税が課されることを知ってください。
その状況を図解でご紹介すると、以下のとおりです。

そして、田舎の一軒家の建物部分の固定資産税の平均は、都会の一軒家と変わりません。
建築費と築年数に応じた固定資産税が課され、こぢんまりとした築浅の平屋であれば平均は7~8万円程度、立派な築浅の二階建てであれば平均は12~13万円程度、場合によってはそれ以上です。
こぢんまりとした築古の平屋であれば平均は2~3万円程度、築古の二階建てであれば平均は3~4万円程度となります。
一方、土地部分の固定資産税は、多くの場合は都会より安くなりますが、広さと形状によって平均が異なります。
100坪の平地であれば平均は2~3千円程度、300坪の平地であれば平均は5千円~1万円程度 です。
100坪の傾斜地であれば平均は1~2千円程度、300坪の傾斜地であれば平均は2~3千円程度となります。
いずれの平均も一軒家を定期的に利用する場合に限られ、別荘として年に数回程度しか通わないのであれば、土地部分の固定資産税は平均の3~4倍程度まで高くなります。
田舎の一軒家(建物部分)の固定資産税の平均
状況 | 築年数 | 固定資産税の平均 |
---|---|---|
こぢんまりとした平屋 | 築浅 | 7~8万円程度 |
〃 | 築古 | 2~3万円程度 |
立派な二階建て | 築浅 | 12~13万円程度 |
〃 | 築古 | 3~4万円程度 |
田舎の一軒家が建つ土地の固定資産税の平均
状況 | 面積 | 固定資産税の平均 |
---|---|---|
平地 | 100坪 | 2~3千円程度 |
〃 | 300坪 | 5千円~1万円程度 |
傾斜地 | 100坪 | 1~2千円程度 |
〃 | 300坪 | 2~3千円程度 |
※ 各土地の固定資産税額は一軒家を定期的に利用する場合に限り適用
つづいて、固定資産税が高い田舎の一軒家の特徴と、固定資産税が安い田舎の一軒家の特徴をご紹介しましょう。
1-1. 固定資産税が高い田舎の一軒家の特徴
固定資産税が高い田舎の一軒家の特徴は、建物部分に高価な建材や設備が多く使用されている、築浅である、土地部分が300坪などと広く平坦であるなどが挙げられます。
その条件に該当する田舎の一軒家の固定資産税の平均は、平屋であれば10万円程度、二階建てであれば15万円程度です。
いずれの平均も、建物部分と土地部分の固定資産税の合計となります。
固定資産税が高くなる高価な建材や設備とは、上質な瓦、タイルの外壁、無垢のフローリング、間口の広いシステムキッチン、大きなユニットバスなどが挙げられます。

また、一軒家を年に数回程度しか利用しないのであれば、固定資産税がもう少し高くなります。
住宅である建物が建つ土地には、その住宅を毎月一回以上など利用するのであれば、「住宅用地の特例」と呼ばれる軽減措置が適用されます。
同軽減措置が適用されれば、土地部分にかかる固定資産税が安くなります。
しかし、一軒家を年に数回程度しか利用しないのであれば同軽減措置が適用されず、結果として土地部分にかかる固定資産税が高くなります。
どの程度高くなるかは、住宅の床面積と土地の広さによって異なりますが、土地部分の固定資産税が3~4倍程度になるとお考えください。
なお、都会に建物や土地を所有すると、多くの場合は固定資産税に加えて都市計画税も課されますが、田舎の一軒家に都市計画税が課されることはありません。
よって、田舎の一軒家の固定資産税は、少なくとも都市計画税分は税額が安くなるといえるでしょう。
1-2. 固定資産税が安い田舎の一軒家の特徴
固定資産税が安い田舎の一軒家の特徴は、築年数が古い、土地が狭い、傾斜地に建っているなどが挙げられます。
その条件に該当する田舎の一軒家の固定資産税の平均は、平屋であれば2~3万円程度、二階建てであれば3~4万円程度です。
いずれの平均も、建物部分と土地部分の固定資産税の合計となります。

ちなみに、固定資産税は、対象となる資産の時価を基に税額が計算されます。
そして、時価が低い資産ほど税額が安くなります。
すなわち、時価が低い建物や土地は、固定資産税が安くなるというわけです。
時価が低い建物や土地とは、いわゆる安く売買される物件です。
したがって、田舎の一軒家を購入する際は、売買価格が安ければ固定資産税も安いとお考えになれば良いでしょう。
ただし、地目が田や畑などの農地である土地に建つ田舎の一軒家を安く購入すると、後から土地部分の固定資産税が高くなる可能性があるため注意してください。
農地は、一部例外を除き、農家以外の方が正式な所有者になることができません。
よって、一般の方が農地を購入する際は、仮登記という方法を用いて仮の所有者となるのが通例です。
その後、都道府県知事の許可を受けつつ農地の地目を宅地などに変更し、変更後にその土地の正式な所有者となります。
そのような複雑な手順が必要となるため、農地に建つ田舎の一軒家は安く売買され、農地が農地のままであれば固定資産税も安く済みます。
しかし、都道府県知事の許可が下りつつ農地が宅地などとなれば、その時点で土地にかかる固定資産税が高くなる可能性があります。
一般の方が、農地と農地に建つ田舎の一軒家を購入し、その後に固定資産税が高くなる流れは以下のとおりです。
- 農地と、農地に建つ田舎の一軒家を購入し、農地の仮の所有者となる(農地は多くの場合は宅地より時価が低いとみなされるため、宅地より固定資産税が安い。したがって、この時点では農地の固定資産税は安い)
- 都道府県知事の許可を受けつつ農地の地目を宅地などに変更する
- 地目の変更が完了すれば、その土地の正式な所有者となる(この時点で土地の時価が上がったとみなされ、固定資産税が高くなる可能性がある)
1-3. 固定資産税がかからない田舎暮らし向け物件とは?
ネットで田舎暮らしのことを調べると、固定資産税がかからない物件があるという記述を見かけます。
私も都会から田舎に移住した身分ですが、確かに固定資産税がかからない物件があります。
固定資産税がかからない田舎暮らし向け物件とは、建物であれば時価が20万円など、土地であれば時価が30万円などに満たない物件が挙げられます。
時価が20万円に満たない建物とは、極めて安い建築費で建てられた、築年数が15年を超える木造の建物などであり、小屋などが挙げられます。
時価が30万円に満たない土地とは、山奥に位置する傾斜地や荒れ地などが挙げられます。
つまり、山奥の傾斜地や荒れ地に建つ小屋などの田舎暮らし向け物件は、固定資産税がかからない可能性があるというわけです。

時価が20万円未満の建物や、時価が30万円未満の土地に固定資産税がかからないのは免税点によるものです。
固定資産税の免税点とは、同一の市町村において所有する建物や土地の時価の合計が一定の額に満たなければ免税になるという制度です。
同一の市町村において所有する建物の時価の合計が20万円、土地の時価の合計が30万円に満たなければ、免税点未満となり固定資産税がかかりません。
注釈
正確には、免税点の条件はもう少し複雑なため留意してください
とはいうものの、時価が20万円に満たない建物は、おそらくはそのままでは利用できず、高額な費用を要するリフォームが必要と考えられます。
また、時価が30万円に満たない土地も、おそらくはそのままでは利用できず、大がかりな整地などが必要でしょう。
よって、固定資産税がかからない田舎暮らし向け物件には、あまり期待しない方が良いかもしれません。
2. 田舎の更地の固定資産税の平均はいくら?
田舎の更地の固定資産税は、面積と形状、現状によって大きく異なります。
面積が広く平坦であり、いつでも建物を建てることができる状態の更地は固定資産税が高くなります。
その状態で100坪であれば固定資産税の平均は2~3万円程度、300坪であれば平均は5~6万円程度です。
一方、傾斜地や荒れ地などであり、そのままでは建物を建てることができない状態の更地は、固定資産税が安くなります。
その状態ではもはや更地とは呼べませんが、100坪であっても300坪であっても免税点未満で固定資産税の平均は0円程度、課されたとしても3~5千円程度です。
つづいて、所有する田舎の更地の固定資産税を安くする方法をご紹介しましょう。
2-1. 田舎の更地の固定資産税を安くする方法
田舎の更地の固定資産税を安くするためには、大きく二つの方法があります。
一つめは、住宅を建てつつ毎月利用することです。
そうすれば、その更地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が安くなります。
「住宅用地の特例」とは、住宅が建つ土地にかかる固定資産税が安くなる軽減措置です。
同軽減措置が適用されれば、その土地に建つ住宅の床面積の10倍までの部分にかかる固定資産税が安くなります。
ただし、更地ではなく荒れ地に住宅を建てた場合は、逆効果となる可能性があるため注意してください。
荒れ地を整地しつつ住宅を建てると、住宅用地の特例が適用されたとしても、結果として前より土地部分の固定資産税が高くなる場合があります。
固定資産税は、対象となる資産の時価を基に税額が計算され、時価が高い資産ほど税額が高くなります。
荒れ地を利用するためには、高額な費用をかけつつ整地をしなければなりません。
よって、荒れ地は時価が低いとみなされ、固定資産税が安くなっています。
しかし、住宅を建てるために荒れ地を整地すると、時価が上がったとみなされ固定資産税が高くなります。
どの程度まで高くなるかは物件によって大きく異なりますが、場合によっては数倍以上です。
その後、整地をした土地に住宅を建てつつ「住宅用地の特例」が適用されれば固定資産税は安くなりますが、おそらくは荒れ地の頃には及びません。

田舎の更地の固定資産税を安くする二つめの方法は、木を生い茂らせて荒れ地にすることです。
具体的には、ジャングルのような荒れ地にします。
そうすれば、その更地の固定資産税は大幅に安くなり、場合によっては免税点未満まで下がります。
先述のとおり、固定資産税は対象となる資産の時価を基に税額が計算され、時価が低い資産ほど税額が安くなります。
すなわち、時価が低い土地は、固定資産税が安くなるというわけです。
時価が低い土地とは、そのままでは利用できず、利用するためには高額な費用をかけて整地をしなければならない土地などが挙げられます。
よって、更地をジャングルのような荒れ地にすれば時価が大きく下がり、固定資産税は大幅に安くなります。
ただし、更地をジャングルのような荒れ地にするためには、相当の年数がかかるのが難点です。
ちなみに、固定資産税が対象となる資産の時価を基に税額を計算することの根拠は、「総務省:固定資産税の概要」にてご確認いただけます。
まとめ - 田舎の一軒家は、とにかく寒い
田舎の一軒家の固定資産税の平均をご紹介しました。
田舎の一軒家を購入すると、借地権などである場合を除き建物と土地を所有することとなり、それぞれに固定資産税が課されます。
田舎の一軒家は固定資産税が安くなるといわれますが、建物部分の固定資産税は都会と変わりません。
建築費と築年数に応じた税額が課され、建築費が高く築浅の田舎暮らし向け物件は固定資産税が高くなります。
一方、田舎の一軒家が建つ土地部分の固定資産税は、多くの場合は都会より安くなります。
ただし、面積が300坪などと広く平坦であれば、2~3万円以上などと高額になる場合があるため注意してください。
ちなみに、本文中でも触れましたが、私も都会から田舎への移住者であり、田舎の一軒家で生活をしています。
そんな私から皆さんにお知らせしたいのは、田舎の一軒家はとにかく冬が寒いという点です。
私は、まずは築30年ほどの平屋を購入しつつ田舎に移住したのですが、隙間風が多く保温性が低く、暖房も効きにくく冬は極寒でした。
冬の夜中にトイレに起きると、吐く息が白くなる程度です。
その後、これではいかんと高価な断熱材を施しつつ平屋を新築して現在居住中ですが、やはり冬場は寒くて難儀しています。
都会に建つ一軒家も冬は寒いですが、田舎はヒートアイランド現象がなく風も強いため、冬は本当に寒くて困ります。
ご紹介した内容が、田舎の一軒家の固定資産税の平均をお調べの皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
記事公開日:2024年12月
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