標準宅地とは?

標準宅地とは?

標準宅地とは、市町村が各土地の適正な時価を評価する際の基準となる宅地です。

標準宅地をわかりやすく簡単に解説しましょう。

なお、標準宅地という言葉に含まれる宅地とは、建物を建てるための土地、または既に建てられている建物を維持するために必要となる土地を意味するため留意してください。

目次

1. 標準宅地とは、各土地の適正な時価を評価する基準となる宅地

それでは、標準宅地をパパっと簡単に解説します。

その前に、皆さんは土地を所有すると固定資産税が課せられることをご存知でしょうか。

固定資産税とは、1月1日の時点で土地や家屋などの不動産、償却資産と呼ばれる事業用の資産を所有する方に課せられる税金であり、その不動産や償却資産が所在する市町村が徴収する地方税です。

この固定資産税ですが、市町村が土地の所有者に固定資産税を課す際は、その土地の適正な時価を評価し、評価した額(これ以降は評価額と呼びます)に見合った税額を課します。

たとえば、その土地の適正な時価が1,000万円であると評価すれば、その評価額に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した額が、その土地の固定資産税額になるといった具合です。

しかし、市町村内には多数の土地が存在し、それぞれ立地条件や敷地面積などが異なるため、ひとつひとつの土地の適正な時価を評価するのは大変です。

よって、市町村が各土地の適正な時価を評価する際は、代表となる宅地を選び、その宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を評価し、その評価額を基準としてその他の土地の適正な時価を評価します。

例を挙げると、代表となる宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が10万円であると評価すれば、代表となる宅地より立地条件が良い土地の1平方メートルあたりの適正な時価は11万円と評価するといった具合です。

また、代表となる宅地より立地条件が悪い土地であれば、1平方メートルあたりの適正な時価を9万円などと評価します。

市街地の土地は標準宅地を基準として評価額が算定される

このように代表となる宅地の適正な時価を基準としてその他の土地の適正な時価を評価すれば、市町村は効率よく各土地の適正な時価を評価することが可能です。

加えて、代表となる宅地の適正な時価を基準としてその他の土地の適正な時価を評価すれば、全ての土地が公平に評価されます。

そして、その代表となる宅地が標準宅地です。

標準宅地とは市町村が市街地の土地の固定資産税を計算するために選んだ代表となる土地

標準宅地の選定基準は、歪ではなく間口や奥行が標準的であるなどであり、市町村が市町村内に所在する各土地の適正な時価を評価する際は、標準宅地の評価額を基準とします。

ちなみに、総務省が公開する資料「固定資産税等について」の33ページ「土地評価の仕組み」によれば、平成29年1月1日の時点において、全国の市町村には430,310の標準宅地が存在するとのことです。

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2. 標準宅地から市街地の土地の適正な時価が評価される流れ

標準宅地とは、市町村が各土地の適正な時価を評価する際の基準となる宅地です。

土地を所有すると固定資産税が課せられますが、その税額は、市町村が評価した適正な時価を基に計算されます。

そして、各土地の適正な時価は、市町村が選定した標準宅地の評価額を基準として評価されます。

ここから、市町村が標準宅地を選定しつつ市街地に所在する各土地の適正な時価を評価し、固定資産税額が計算される流れをわかりやすく簡単にご紹介します。

市町村が市街地に所在する各土地の適正な時価を評価する際は、市街地宅地評価法という方法を用いて標準宅地を選定しつつ評価します。

市町村が市街地宅地評価法を用いて市街地に所在する各土地の適正な時価を評価する流れは以下のとおりです。

なお、正確な市街地宅地評価法による土地の評価方法は、総務省の告示「固定資産評価基準」の「第1章 土地」の「第3節 宅地」の「二(一)市街地宅地評価法による宅地の評点数の付設」にて確認することが可能です。

固定資産評価基準とは、市町村が固定資産税の対象となる物件の適正な時価を評価する方法が記された手引書であり、総務大臣が内容を定めつつ総務省が告示しています。

2-1. 地区を区分けし、主要な街路と標準宅地を選定する

まずは、市町村内を住宅地区、商業地区、工業地区、観光地区などに区分けします。

区分けが済めば、各地区の中から主要となる街路(がいろと読み、市街地に位置する道路という意味です)を選びます。

主要となる街路の選定が済めば、各主要となる街路と接する土地の中から標準宅地を選定します。

標準宅地は主要な街路と接する

固定資産評価基準の「第1章 土地」の「第3節 宅地」の「二(一)2 標準宅地の選定」には、市街地宅地評価法における標準宅地の選定基準が記され、その内容をわかりやすく簡単にご紹介すると以下のとおりです。

固定資産評価基準による市街地宅地評価法における標準宅地の選定基準
区分けした各地区に位置する主要な街路に接する宅地のうち、奥行や間口、形状などの状況がその地域において標準的であると認められるものを標準宅地と選定する

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2-2. 標準宅地の1㎡あたりの適正な時価を評価する

主要な街路と接する標準宅地の選定が済めば、周辺の土地が売買される際の価格などを参考に、標準宅地の適正な時価を評価します。

標準宅地の適正な時価の評価が完了すれば、評価額を標準宅地の敷地面積で割り算し、標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価を計算します。

たとえば、適正な時価が1,000万円であり敷地面積が100平方メートルの標準宅地であれば「1,000万円÷100平方メートル=10万円」と計算し、その標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価は10万円になるといった具合です。

標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価の計算が完了すれば、その適正な時価を標準宅地と接する主要な街路や、主要な道路と接続するその他の街路に固定資産税路線価として付設します。

標準宅地の評価額が主要な街路に固定資産税路線価として付設される

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2-3. 固定資産税路線価を基準に各土地の時価を評価する

標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が、主要な街路や主要な街路と接続するその他の街路に固定資産税路線価として付設されれば、固定資産税路線価を基準として各道路に接する土地の1平方メートルあたりの時価が評価されます。

たとえば、固定資産税路線価が10万円の主要な街路と接する土地の1平方メートルあたりの適正な時価は10万円と評価するといった具合です。

この作業により標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価が、固定資産税路線価を介して標準宅地以外の土地の評価額として活用されることとなります。

固定資産税路線価を基準として標準宅地以外の土地の評価額が算定される

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2-4. 評価額に固定資産税の税率を掛け算する

標準宅地やその他の土地の1平方メートルあたりの適正な時価が評価されれば、各土地の1平方メートルあたりの適正な時価に各土地の面積を掛け算します。

たとえば、1平方メートルあたりの適正な時価が8万円と評価された200平方メートルの土地であれば「8万円×200平方メートル=1,600万円」と計算し、その土地の全体の適正な時価は1,600万円になるといった具合です。

この敷地全体の評価額に固定資産税の税率である1.4%を掛け算した額などが、その土地が更地である場合の固定資産税額となります。

計算例を挙げると、土地全体の適正な時価が1,600万円と評価された宅地の場合は「1,600万円×1.4%=224,000円」と計算し、固定資産税額は22万4千円です。

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まとめ - 標準宅地の評価額は公示地価の7割程度

標準宅地をわかりやすく簡単に解説しました。

標準宅地とは、市町村が各土地の適正な時価を評価する際の基準となる宅地です。

土地の固定資産税は、その土地の適正な時価を基に計算されます。

そして、宅地の適正な時価は、標準宅地の適正な時価を基準として評価されます。

標準宅地をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、市町村が標準宅地の適正な時価を評価する際は、その周辺の土地が売買される際の価格などを参考にしつつ評価しますが、おおむね最寄りの標準地の公示地価の7割程度と評価します。

公示地価とは、毎年3月ごろに国土交通省が公示する日本全国各地に点在する約2万6千か所の1平方メートルあたりの正常な価格であり、公示地価が公示される約2万6千か所の地点を標準地と呼びます。

毎年3月ごろになると新聞やニュースで「今年の公示地価が公表され、全国一位は東京銀座の山野楽器銀座本店であり5,000万円でした」などと公表されますが、あの価格が公示地価です。

各市町村には複数の標準宅地が存在しますが、市町村によって標準宅地の適正な時価を評価する基準が異なれば、市町村によって土地の固定資産税額にばらつきが出ることとなり、公平に課税されません。

よって、各市町村は国土交通省が公示する統一された土地の価格である公示地価を参考に、その7割程度と標準宅地の適正な時価を評価します。

たとえば、最寄りの標準地の公示地価が10万円であれば、その標準宅地の1平方メートルあたりの適正な時価は7万円と評価するといった具合です。

そうすれば、日本全国各地の土地にバランスよく固定資産税が課せられます。

公示地価の詳細は、私が運営するもうひとつのサイト「誰でもわかる不動産売買」にてわかりやすく解説中です。

公示地価に興味がある方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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ご紹介した内容が、標準宅地をお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年11月

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