ガレージの固定資産税はいくら?

ガレージの固定資産税は、新築した場合は建築費の60%の1.4%程度です。
イナバガレージなど、物置風のガレージを設置した場合は、ガレージの販売価格の80%の1.4%程度となります。
ガレージの固定資産税がいくらか目安を解説し、固定資産税がかかるガレージとかからないガレージの違い、ビルトインガレージやインナーガレージの税額の計算方法などご紹介しましょう。
なお、ご紹介するのは、個人が自家用車を駐車するためのガレージの固定資産税に関することであり、法人が商用車を駐車するガレージには該当しないため注意してください。
目次
- 1. 新築したガレージの固定資産税はいくら?
- 2. 物置風のガレージの固定資産税はいくら?
- 3. ビルトインガレージの固定資産税はいくら?
- 4. 固定資産税がかからないガレージと、かかるガレージの違い
- まとめ - ガレージの固定資産税は、最後は20%程度まで下がる
1. 新築したガレージの固定資産税はいくら?
はじめに、新築したガレージの固定資産税がいくらか、目安をご紹介しましょう。
新築したガレージの固定資産税の目安は、建築費の60%の1.4%程度です。
建築費とは、そのガレージを新築するために要した建材費と労務費、建築業者が得る利益の合計とお考えください。
たとえば、建築費が200万円のガレージを新築した場合は「200万円×60%×1.4%=16,800円」と計算し、固定資産税は16,800円程度です。
また、そのガレージが市街化区域(すでに市街地である区域、もしくは今後10年以内に市街化が図られる区域)に位置する場合は、多くの場合は都市計画税も課されます。
新築したガレージの都市計画税の目安は、建築費の60%の0.3%程度です。
計算例を挙げると、建築費が200万円のガレージを新築した場合は「200万円×60%×0.3%=3,600円」と計算し、都市計画税は3,600円程度となります。

新築したガレージの固定資産税や都市計画税は、以下のように計算すれば、税額がいくらになるか大まかな目安を試算できます。
- ガレージの固定資産税の試算方法
- ガレージの建築費×60%×固定資産税の税率である1.4%=ガレージの固定資産税
- ガレージの都市計画税の試算方法
- ガレージの建築費の60%×都市計画税の税率である0.3%=ガレージの都市計画税
ガレージの建築費の60%に固定資産税、または都市計画税の税率を掛け算するのは、新築の家屋(家屋にはガレージも含まれます)の固定資産税は、その家屋の建築費の60%程度に、固定資産税、もしくは都市計画税の税率を掛け算しつつ計算することが理由です。
そして、ガレージは、固定資産税がかかるガレージとかからないガレージがあります。
固定資産税がかかるガレージとは、屋根と壁があり地面に定着したガレージです。
これに対して固定資産税がかからないガレージとは、屋根と壁がないガレージや、屋根と壁があったとしても地面に固定されていないガレージとなります。
いわゆるカーポートなど屋根のみのガレージや、アスファルトで舗装しつつ白線を引いただけの駐車スペースなどは、固定資産税がかかりません。
固定資産税がかかるガレージと、かからないガレージの違いを図解でご紹介すると、以下のようになります。

なお、ご紹介した税額の目安は、ガレージの建物部分にかかる固定資産税と都市計画税の目安であり、ガレージが建つ土地にかかる固定資産税と都市計画税は含まれないため留意してください。
新たに土地を購入しつつガレージを新築する場合は、ご紹介した税額とは別に、土地部分にも固定資産税や都市計画税が課されることとなります。
既に固定資産税が課されている宅地(建物を建てるための土地、または既存の建物を維持するために必要となる土地)にガレージを新築した場合は、一部例外を除き、ガレージを新築することによって土地の固定資産税が高くなることはありません。
つづいて、イナバガレージやバイクガレージなど、物置風のガレージの固定資産税がいくらか、目安をご紹介しましょう。
2. 物置風のガレージの固定資産税はいくら?
ここからは、イナバガレージやバイクガレージなど、物置風のガレージを購入しつつ設置した場合に、固定資産税がいくらになるかご紹介しましょう。
物置風のガレージは、固定資産税がいくらになると断言できませんが、おおむね販売価格の80%の1.4%程度です。
たとえば、150万円の物置風のガレージを購入しつつ設置した場合は「150万円×80%×1.4%=16,800円」と計算し、固定資産税は16,800円程度となります。
また、物置風のガレージを市街化区域(すでに市街地である区域、または今後10年以内に市街化が図られる区域)に設置した場合は、多くの場合は都市計画税も課されることとなり、その税額はおおむね販売価格の80%の0.3%程度です。
計算例を挙げると、150万円の物置風のガレージを購入しつつ設置した場合は「150万円×80%×0.3%=3,600円」と計算し、都市計画税は3,600円程度となります。
物置風のガレージの購入を希望し、固定資産税や都市計画税がいくらになるか気になる場合は、以下の計算方法で試算できます。
- 物置風ガレージの固定資産税の試算方法
- ガレージの販売価格×80%×1.4%(固定資産税の税率)=固定資産税
- 物置風ガレージの都市計画税の試算方法
- ガレージの販売価格×80%×0.3%(都市計画税の税率)=都市計画税
ガレージの販売価格の80%に税率を掛け算するのは、固定資産税は課税対象となる資産の時価を基に計算することが理由です。
経済産業省企業活動基本調査によれば、物置風のガレージを含め、2020年度における製造業の原価率は80.8%です。
これを理由に、物置風のガレージの時価は、おおむね販売価格の80%程度と考えることができます。
したがって、販売価格の80%に税率を掛け算すれば、物置風のガレージの固定資産税と都市計画税を試算することが可能です。
なお、物置風のガレージは、固定資産税がかかるガレージと、かからないガレージがあります。
固定資産税がかかるのは、屋根で覆われ四方向が壁に囲まれた、コンクリートの基礎などによって地面に定着した物置風のガレージです。
三方向が壁、一方向がシャッターでも同じであり、基礎などによって地面に固定されていれば固定資産税がかかります。
一方、固定資産税がかからないのは、屋根や壁があっても地面に固定されていない、置かれただけの物置風のガレージとなります。
固定資産税がかかる物置風のガレージと、かからない物置風のガレージの違いを図解でご紹介すると以下のとおりです。

なお、その物置風のガレージに固定資産税がかからない場合は、都市計画税もかかりません。
3. ビルトインガレージの固定資産税はいくら?
ビルトインガレージやインナーガレージの固定資産税は、いくらという概念はなく、ガレージを含めた家屋全体の固定資産税が計算されます。
たとえば、ビルトインガレージの固定資産税が3万円、住宅部分の固定資産税が7万円などと計算されることはなく、家屋全体で10万円と計算されるといった具合です。

新築に限られますが、ビルトインガレージやインナーガレージの有無にかかわらず家屋の固定資産税と都市計画税は、以下のように計算することによって試算できます。
- 新築の家屋の固定資産税の試算式
- 建築費×60%×1.4%=固定資産税
- 新築の家屋の都市計画税の試算式
- 建築費×60%×0.3%=都市計画税
たとえば、ビルトインガレージを含めた建築費が2,000万円である新築の家屋であれば以下のように計算し、固定資産税は16万8,000円程度、都市計画税は3万6,000円程度、合計20万4,000円程度です。
- ビルトインガレージ付き新築家屋の固定資産税の計算例
- 2,000万円(ビルトインガレージを含めた家屋全体の建築費)×60%×1.4%(固定資産税の税率)=16万8,000円(固定資産税)
- ビルトインガレージ付き新築家屋の都市計画税の計算例
- 2,000万円(ビルトインガレージを含めた家屋全体の建築費)×60%×0.3%(都市計画税の税率)=3万6,000円(都市計画税)
ビルトインガレージやインナーガレージが付いた家屋の新築を検討する方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、ここでいう建築費とは、販売価格を指すわけではありません。
ここでいう建築費とは、その家屋と同一の家屋を同一の場所に新築するために必要となる建材費と労務費、建築会社が得る利益の合計です。
一方、建売などの販売価格は、建築費に、建築に携わっていない不動産業者などが得る利益が含まれた額であり、建築費より高くなるのが通例となっています。
大手ハウスメーカーが建てる注文住宅も同じであり、引き渡し価格は建築費ではなく、建築費に宣伝費用などが上乗せされた額です。
販売価格に占める建築費の割合は物件によって大きく異なりますが、一般には販売価格の60%程度が建築費になるといわれます。
また、固定資産税には「新築された住宅に対する固定資産税の減額」という軽減措置が設けられ、適用されれば一定の期間にわたり税額が2分の1に減額されます。
そして、先に「ビルトインガレージを含めた建築費が2,000万円である新築の家屋の固定資産税は16万8,000円程度」とご紹介しましたが、その税額は同軽減措置を加味していないため留意してください。
同軽減措置は、床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下の新築住宅を取得することにより適用されます。
ビルトインガレージは5分の1であれば固定資産税がかからない?
ビルトインガレージは、その面積が家屋全体の床面積の5分の1以下であれば固定資産税がかからないといわれますが、比率を問わず必ず固定資産税が課されるため注意してください。
固定資産税にそのような軽減措置はなく、あるとすれば容積率の緩和です。
容積率とは、その建物の床面積の合計を、その建物が建つ敷地の面積で割り算した値であり、以下のように計算します。
容積率の計算式
建物の床面積の合計÷その建物が建つ敷地の面積×100=容積率(%)
たとえば、床面積の合計が100平方メートルの建物が50平方メートルの敷地に建つのであれば以下のように計算し、容積率は200%です。
容積率の計算例
100㎡(建物の床面積の合計)÷50㎡(その建物が建つ敷地の面積)×100=200%(容積率)
容積率は、用途地域によって制限されます。
用途地域とは、市町村によって区分けされた全13の地域の総称であり、住居系地域、商業系地域、工業系地域に大きく分類されます。
各地域で建物を建てる際は、100%や200%など、市町村によって指定された容積率に収まるように建築をしなければなりません。
そして、容積率には、建物の床面積の5分の1を上限として、ビルトインガレージなどの自動車車庫の床面積を含めず計算するという緩和措置があります。
例を挙げると、建物の床面積の合計が150平方メートル、うち30平方メートルがビルトインガレージであれば以下のように計算し、建物の床面積の合計を120平方メートルとして容積率を計算するといった具合です。
計算例
150㎡(建物の床面積の合計)-30㎡(ビルトインガレージなどの自動車車庫の面積)=120㎡(120㎡を建物の床面積の合計として容積率を計算する)
家屋の床面積の5分の1を上限として、ビルトインガレージの床面積を含めず容積率を計算することとすれば、本来より床面積が広い建物を建てることができます。
ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「誰でもわかる不動産売買」では、用途地域をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。
ビルトインガレージやインナーガレージが付いた住宅を新築することを希望し、用途地域が気になる方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。
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用途地域とは?わかりやすく解説
4. 固定資産税がかからないガレージと、かかるガレージの違い
ここまではガレージの固定資産税がいくらになるかご紹介しましたが、ここからは固定資産税がかかるガレージとかからないガレージの違いをご紹介しましょう。
ガレージの設置を希望しつつ固定資産税を節約したいと希望する方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
固定資産税がかかるガレージとは、以下に該当するガレージです。
屋根と壁、または屋根と壁に相応するものがあり、土地に定着した状態であって、ガレージとしての用途を成し得る状態にあるもの
よって、固定資産税がかかるガレージと、固定資産税がかからないガレージの違いは、以下のようになります。
- 固定資産税がかかるガレージ
- 工務店に建築を依頼したガレージやビルトインガレージ、基礎があり地面に定着した物置風のガレージ
- 固定資産税がかからないガレージ
- カーポートやアスファルトに白線を引いただけの駐車スペース、基礎がない地面に置いただけの物置風ガレージ
土地や家屋を所有すると、市町村から固定資産税が課されますが、市町村は地方税法の第三百四十三条に則り課税します。
地方税法とは、固定資産税や都市計画税などに関することを定めた法律であり、第三百四十三条を簡単にご紹介すると以下のとおりです。
固定資産税は、土地や家屋、償却資産の所有者に課す
上記に含まれる家屋の定義は、総務省の通知「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)」の「第3章 固定資産税 第1節 通則 第1 課税客体 2」に記され、その部分を抜粋すると以下のようになります。
地方税法において固定資産税を課す対象とする家屋とは、不動産登記法における建物である
不動産登記法とは、登記に関することを定めた法律であり、不動産登記法における建物の定義は不動産登記規則の第百十一条に記され、その部分を抜粋すると以下のとおりです。
建物とは、屋根や周壁、または屋根や周壁に類するものがあり、土地に定着した建造物であって、その用途を成し遂げる状態にあるものでなければならない
長くなりましたが、ここまでをまとめると以下のようになります。
市町村は地方税法に則り家屋の所有者に固定資産税を課すが、地方税法における家屋とは不動産登記法における建物であり、不動産登記法における建物とは、屋根と壁があって土地に定着した建物であり、建物として機能するものである
したがって、工務店に建築を依頼したガレージや、基礎があり地面に定着した物置風のガレージは固定資産税がかかり、カーポートや駐車スペース、基礎がない地面に置いただけの物置風のガレージは固定資産税がかからないこととなります。
まとめ - ガレージの固定資産税は、最後は20%程度まで下がる
ガレージの固定資産税がいくらか、目安をご紹介しました。
工務店などに依頼しつつ新築したガレージの固定資産税は、建築費の60%の1.4%程度です。
都市計画税も課される場合は、その税額は建築費の60%の0.3%程度となります。
また、バイクガレージなど、物置風のガレージを購入しつつ設置した場合は、固定資産税は販売価格の80%の1.4%程度、都市計画税は販売価格の80%の0.3%程度です。
固定資産税がかかるのは、屋根と壁があり地面に定着したガレージであり、それ以外のガレージにはかかりません。
よって、ガレージの設置を希望しつつ固定資産税を払いたくないとお考えになる場合は、カーポートや駐車スペース、地面に置くだけの物置風のガレージを設置するのが良いでしょう。
カーポートは強風の日は屋根が煽られますが、設置費用がお手頃で固定資産税もかかりません。
ガレージの固定資産税がいくらか気になる方や、固定資産税がかからないガレージの条件をお調べの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。
なお、ガレージは、築年数が経過、または購入から年月が過ぎることにより固定資産税が徐々に下がります。
下がる年数は構造によって異なり、木造であれば築15年から30年をかけて新築時の20%程度まで下がります。
15年から30年というと開きがありますが、1平方メートルあたりの建築費が安価であれば15年をかけて、1平方メートルあたりの建築費が高額であれば30年をかけて下がるとお考えください。
鉄骨造であれば鉄骨材の肉厚によって異なり、肉厚が4mmを超える場合は35年をかけて、肉厚が3mm超4mm以下であれば26年をかけて、肉厚が3mm以下であれば18年をかけて新築時の20%程度まで下がります。
鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造であれば、45年をかけて新築時の20%程度まで下がります。
そして、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造を問わず、20%程度まで下がればそれよりは下がらず、ガレージとして機能する限り永遠に固定資産税が課されることとなります。
ご紹介した内容が、ガレージの固定資産税がいくらかお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。
最終更新日:2023年8月
記事公開日:2022年5月
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