【令和8年改正】中古住宅の固定資産税を軽減する5つの制度

【令和8年改正】中古住宅の固定資産税を軽減する5つの制度

「中古住宅には固定資産税の軽減がない」——これは誤りです。

中古住宅でも、①土地には購入直後から自動的に使える特例、②建物にはリフォームをきっかけに申請できる4種類の減額制度があります。

しかも、令和8年度の税制改正により、リフォームによる減税制度の適用期限は令和13年3月31日まで5年間延長されましたが、インターネット上ではあまり知られていないようです。

そこで、今回の「固定資産税をパパっと解説」では、以下の3点を順に解説します。

この記事を読むとわかること
  • 固定資産税が「どのような仕組みで計算されるか」という基礎知識
  • 中古住宅を購入直後から使える「住宅用地の特例」と、リフォームで使える「4種類の減額制度」の内容・要件・申請方法
  • 中古住宅を購入する移住者向けに固定資産税相当額の補助金を設けている自治体の事例と確認方法

なお、上記2番目の中古住宅のリフォームで使える「4種類の減額制度」の適用を受けるためには、工事完了から3か月以内に市区町村に申請をする必要があるため注意してください。

目次

1. まず知っておきたい:固定資産税の2本立て構造

固定資産税は、土地と建物のそれぞれに対して個別に課される税金です。「土地の税額」と「建物の税額」を別々に計算し、合算したものが毎年の納税額になります。

この2本立ての構造を最初に理解しておくと、後の章で解説する軽減制度がどこに効くのかを把握しやすくなります。

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1-1. 固定資産税は「土地」と「建物」に個別にかかる

固定資産税は、土地と建物のそれぞれに課税標準額(税額を計算するための基礎となる金額)を算出し、その課税標準額に税率をかけて税額を求めます。

そして、土地分と建物分の税額を個別に計算したうえで合算したものが、毎年の納税額です。たとえば土地分が8万円、建物分が11万2,000円であれば、その年の固定資産税は合計19万2,000円になります。

「土地の税額」と「建物の税額」は計算の仕組みが異なります。土地には「住宅用地の特例」という課税標準額を大幅に引き下げる特例が適用されます。建物にはリフォームをきっかけに申請できる減額制度があります。2つは独立した制度であるため、土地と建物を切り分けて理解することが重要です。

中古住宅の固定資産税は土地と建物に個別に課される——2本立て構造の計算フロー図

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1-2. 固定資産税評価額・課税標準額・税額の違い——3つの用語を整理する

固定資産税の計算は、「固定資産税評価額」「課税標準額」「固定資産税額」という3段階の流れで成り立っています。軽減措置はそれぞれ異なる段階に作用するため、3つの用語の違いを先に整理しておきましょう。

固定資産税の計算を構成する3つの用語
用語 意味 軽減措置との関係
固定資産税評価額(納税通知書や課税明細書には「価格」と表示) 市町村が評価した建物・土地の金額。土地は一般的に時価の約70%程度。建物は構造・築年数・設備仕様をもとに「再建築に要する費用」から経年による減価を差し引いて算出するため、時価との関係は物件によって大きく異なる 軽減措置の「計算の出発点」
課税標準額 固定資産税を実際に計算する際に使う金額。住宅用地の特例などが適用されると評価額より低くなる 住宅用地の特例はここを引き下げる
固定資産税額 課税標準額 × 税率(標準1.4%)の結果 リフォーム減税はここを直接引き下げる

たとえば、固定資産税評価額が800万円の建物であれば「800万円×1.4%=11万2,000円」と計算して税額は11万2,000円です。しかし、リフォーム減税(省エネ改修)が適用されると「11万2,000円×2/3≒7万4,600円」と計算し、7万4,600円まで減税されます。

この場合、評価額は変わらず「税額そのもの」が減るわけです。

固定資産税評価額・課税標準額・税額の3段階の違いを示す図解——住宅用地の特例とリフォーム減税はどこに効くか

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1-3. 中古住宅で使える軽減制度の全体像——3系統5制度+1補助金

中古住宅で使える固定資産税の軽減制度は、「土地系」「建物系」「自治体補助系」の3系統に大別されます。物件を購入したタイミングで自動的に効く制度と、リフォーム後に申請が必要な制度とでは、手続きの有無がまったく異なります。

中古住宅で使える固定資産税軽減制度の全体一覧
系統 制度名 使えるタイミング 軽減の対象 申請の要否
土地系 住宅用地の特例 購入直後から自動適用 土地の課税標準額 原則不要(建替時は申告必要)
建物系 耐震改修減税 リフォーム工事後 建物の固定資産税額 必要(工事完了から3か月以内)
建物系 省エネ改修減税 同上 同上 同上
建物系 バリアフリー改修減税 同上 同上 同上
建物系 長期優良住宅化改修減税 同上 同上 同上
自治体補助系 定住促進・固定資産税相当補助金 取得後(自治体ごとに異なる) 固定資産税相当額を補助金で支給 必要(自治体に要確認)

この表を本記事全体のロードマップとして活用してください。ご自身が「中古住宅を購入した直後」なら、本記事の「2.【購入直後から自動適用】住宅用地の特例」が参考になります。

一方、「中古住宅を購入してリフォームを終えた方・リフォームを検討中の方」であれば、本記事の「3.【リフォームで使える】固定資産税の4種類の減額制度」以降が参考になります。

中古住宅の固定資産税軽減制度の全体マップ——住宅用地の特例・リフォーム4種・自治体補助金の3系統を整理

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2. 【購入直後から自動適用】住宅用地の特例

住宅用地の特例は、住宅が建っている土地の課税標準額を大幅に引き下げる制度です。一部例外を除き、中古住宅の購入直後から自動的に適用されます。ただし、土地の面積や都市計画の区域によって固定資産税の軽減幅が異なるため、ご自身が所有する物件がどの区分に該当するかを確認しておきましょう。

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2-1. 住宅用地の特例とは——土地の課税標準額が最大1/6になる仕組み

住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の課税標準額を評価額より大幅に低く設定することで、固定資産税の負担を軽減する制度です。課税標準額が下がれば、そこに税率1.4%をかけて算出する税額も連動して下がります。

重要なのは、「固定資産税評価額(価格)そのものが下がるのではない」という点です。軽減されるのはあくまで課税標準額であり、評価額は変わりません。

たとえば、土地の固定資産税評価額が1,200万円であっても、小規模住宅用地の特例が適用されると課税標準額は200万円(1,200万円×1/6)となり、固定資産税額は「200万円×1.4%=2万8,000円」になります。

一方、特例が適用されなければ「1,200万円×1.4%=16万8,000円」と計算され、税額は16万8,000円ですから、その差は歴然です(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり」)。

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2-2. 小規模住宅用地(200㎡以下)と一般住宅用地(200㎡超)の違い

住宅用地の特例は、土地面積200㎡を境に軽減率が2段階に分かれています。200㎡以下の部分と200㎡を超える部分とでは課税標準額の計算が異なるため、土地の広さによって固定資産税への影響も変わります。

住宅用地の特例 区分別の課税標準額(固定資産税・都市計画税)
区分 土地面積 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地 200㎡以下の部分 固定資産税評価額 × 1/6 固定資産税評価額 × 1/3
一般住宅用地 200㎡を超える部分 固定資産税評価額 × 1/3 固定資産税評価額 × 2/3

たとえば、固定資産税評価額が1,500万円・面積300㎡の土地であれば、200㎡分(評価額1,000万円相当)を小規模住宅用地、残り100㎡分(評価額500万円相当)を一般住宅用地として固定資産税を計算します。

具体的には「1,000万円×1/6×1.4%+500万円×1/3×1.4%=2万3,300円+2万3,300円=約4万6,600円」と計算され、税額は約4万6,600円です。

住宅用地の特例の面積区分図——200㎡以下は課税標準額が評価額の6分の1、超過分は3分の1に軽減

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、住宅用地の特例の詳細を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
住宅用地の特例とは|軽減率・計算例・特例が外れる条件を解説

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2-3. 中古マンションの場合——敷地の按分で計算が変わる

中古マンションでは、建物全体の敷地面積を各戸に割り当てる「按分」(あんぶん)という計算が行われます。「自分の持分に相当する敷地面積に対して住宅用地の特例が適用される」という仕組みです。

たとえば、敷地面積2,000㎡・総戸数50戸のマンションであれば、1戸あたりの敷地持分は「2,000㎡÷50戸=40㎡」となります。40㎡は200㎡以下ですから、全額が小規模住宅用地として扱われ、課税標準額は固定資産税評価額の1/6になります。

総戸数が多いマンションほど1戸あたりの敷地持分が小さくなるため、ほとんどの物件は200㎡以下の小規模住宅用地に該当するといえるでしょう。

ご自身の敷地持分は、市町村によっては毎年届く固定資産税の課税明細書で、または登記簿謄本の「敷地権の割合」欄で確認できます。

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2-4. 住宅用地の特例が「外れる」ケース

住宅用地の特例は、住宅が建っていることを前提とした制度です。建物の状態や行政からの指定によっては、特例が外れて税負担が大幅に増えるケースがあります。中古住宅の購入後に建て替えや解体を検討している場合は、特に注意が必要です。

住宅用地の特例が外れるケースと税額への影響(目安)
ケース 住宅用地の特例 課税標準額 固定資産税への影響
住宅が建っている通常状態 適用 評価額 × 1/6(小規模) 基準
更地にした(建物解体後) 適用外(商業地等扱い) 評価額 × 最大70%(負担調整措置上限) 固定資産税で約4.2倍、都市計画税で約2.1倍が目安
特定空家に指定→勧告を受けた 適用外 同上 同上
管理不全空家に指定→勧告を受けた(令和5年12月改正) 適用外 同上 同上

なお、「更地にすると固定資産税が6倍になる」という説明を見かけますが、正確ではありません。更地を含む商業地等の課税標準額には負担調整措置があり、評価額の70%が上限とされています。

実際の固定資産税の差は約4.2倍程度(固定資産税のみ)、都市計画税と合わせた平均では約3.6倍程度が現実に近い数字です(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「負担調整措置に係る改正経緯とその考え方等」)。

また、特定空家・管理不全空家等のいずれも、指定・認定されただけでは特例は外れません。市区町村から勧告を受けた時点で初めて特例が外れます。「指定=即増税」という誤解が広まりがちですが、勧告を受ける前に改善すれば特例は維持されます。

なお、管理不全空家等は空家法の改正で令和5年12月に新設されたカテゴリであり、特定空家とは区別されます。

特定空家・管理不全空家・更地になると住宅用地の特例が外れ固定資産税が増加するしくみ——約4.2倍が目安

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3. 【リフォームで使える】固定資産税の4種類の減額制度

中古住宅で一定のリフォームを行った場合は、工事内容に応じて建物の固定資産税を軽減できる制度を利用できる可能性があります。対象となる制度は全部で4種類あり、適用を受けることで固定資産税額を直接減額できます。

これらの制度は令和8年度税制改正により適用期限が見直され、令和13年3月31日まで5年間延長されました(出典:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。

そのため、以前の情報をもとに「すでに期限が切れている」と判断してしまうのは早計です。

リフォーム4種の固定資産税減額制度 比較表(令和8年度改正版)
制度名 主な対象住宅の条件 工事費(自己負担) 床面積要件 軽減割合 軽減期間 都市計画税
耐震改修減税 昭和57年1月1日以前の建物 50万円超 居住部分1/2以上 翌年度 1/2 に減額 1年間(通行障害既存耐震不適格建築物は2年間) 対象外
省エネ改修減税 平成26年4月1日以前の建物 60万円超(一部工事は50万円超) 40㎡以上240㎡以下 翌年度 2/3 に減額 1年間 対象外
バリアフリー改修減税 新築後10年以上の建物 50万円超 40㎡以上240㎡以下 翌年度 2/3 に減額 1年間 対象外
長期優良住宅化改修減税 耐震または省エネ改修と同時に長期優良住宅の認定取得 50万円超(省エネ分は60万円超) 40㎡以上240㎡以下 翌年度 税額が1/3になる 1年間 対象外

令和8年度改正のポイントは、バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化の各減税について、床面積要件の下限が50㎡以上→40㎡以上に緩和されたことです。

ただし、中古マンションに対する耐震改修減税・長期優良住宅化改修減税は、柱・壁・基礎など共用部分の耐震改修が必要です。

共用部分の工事は区分所有者全員が参加する管理組合の決議が必要であり、個人の判断で実施することはできないため注意してください。

一方、省エネ改修減税・バリアフリー改修減税は専有部分内の工事でも対象になるため、中古マンションにも実施できる現実的な選択肢となります。

耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化リフォームの固定資産税軽減割合と適用期間を比較した図——令和13年3月まで延長

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3-1. 耐震改修減税——旧耐震基準(昭和57年1月1日以前)の戸建住宅に使える

耐震改修減税は、旧耐震基準時代に建てられた住宅を現行の耐震基準に適合させるリフォームを行った場合に、翌年度の固定資産税額を1/2に減額する制度です。対象は主に一戸建て住宅です。

中古マンションの場合は共用部分の耐震改修が必要で管理組合の決議が前提となるため、残念ながら個人での申請は現実的ではありません。

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適用要件の詳細

耐震改修減税を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 建築年: 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
  • 工事内容: 現行の耐震基準(新耐震基準)に適合させる改修工事であること
  • 工事費: 自己負担額が50万円を超えること
  • 床面積: 居住部分の床面積が家屋全体の1/2以上であること
  • 工事期限: 令和13年3月31日までに工事が完了していること

旧耐震基準とは、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用されていた基準です。新耐震基準とは、昭和56年6月1日以降に施行された、震度6強〜7程度の揺れでも倒壊しないことを目標とする基準を指します。

登記簿謄本などで建築年を確認し、昭和57年1月1日以前の建物であれば耐震改修減税の適用をご検討ください。

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軽減額と期間——翌年度の固定資産税が1/2に

耐震改修減税の軽減は、工事完了の翌年度1年間のみが対象です。軽減の上限は床面積120㎡相当分までとなっています。

たとえば、建物の固定資産税評価額が800万円・床面積120㎡の場合、通常の税額は「800万円×1.4%=11万2,000円」と計算され、11万2,000円です。

一方、耐震改修減税を適用すると「11万2,000円×1/2=5万6,000円」となり、年間5万6,000円の節税になります。

なお、工事完了前に「通行障害既存耐震不適格建築物」(建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、都道府県または市町村の耐震改修促進計画に記載された道路の沿道にある旧耐震基準の建築物)に該当していた場合は、軽減期間が例外的に2年間に延長されます。

対象道路の指定は自治体ごとに異なるため、購入した、または購入を希望する中古住宅が所在する市区町村の窓口に確認してください(参考:大阪市「耐震改修が行われた住宅に対する固定資産税の減額措置」)。

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3-2. 省エネ改修減税——窓の断熱工事が入り口になる制度

省エネ改修減税は、断熱性能を高めるリフォームを行った住宅の翌年度固定資産税額を2/3に減額する制度です。「窓の断熱工事を必ず含むこと」という独自の要件があり、断熱材の施工だけでは対象にならない点が他の制度と異なります。

一戸建て・中古マンションの専有部分いずれも対象になるため、マンション購入者にとっても活用しやすい制度です。

適用要件の詳細

省エネ改修減税を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 建築年: 平成26年4月1日以前から所在する家屋であること
  • 工事内容: 窓の断熱工事を必ず含み、改修後に平成28年省エネ基準相当を新たに満たすこと
  • 工事費: 自己負担額が60万円を超えること。ただし、太陽光発電設備・高効率空調機・高効率給湯器・太陽熱利用システムの設置費用と合算して60万円を超える場合は、断熱工事費が50万円を超えていれば可
  • 床面積: 40㎡以上240㎡以下であること
  • 工事期限: 令和13年3月31日までに工事が完了していること

省エネ改修減税は、リフォーム後の住宅が平成28年省エネ基準相当の性能を新たに満たした場合に適用されます。

要件を満たせるかどうかは、住宅の既存の断熱性能や実施する工事の内容によって異なるため、工事を始める前にリフォーム業者へ確認しておくことが重要です。

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対象となる工事の種類

省エネ改修減税の対象工事は以下のとおりです。窓の断熱工事は必須で、その他は組み合わせて工事費要件を満たせます(出典:国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」)。

  • 窓の断熱工事(必須
  • 床・天井・壁の断熱工事
  • 太陽光発電設備の設置
  • 高効率空調機の設置
  • 高効率給湯器の設置
  • 太陽熱利用システムの設置

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3-3. バリアフリー改修減税——65歳以上または要介護者が住む住宅に使える

バリアフリー改修減税は、一定の居住者が暮らす住宅にバリアフリー工事を行った場合に、翌年度の固定資産税額を2/3に減額する制度です。

「誰が住んでいるか」という居住者要件が最大の特徴で、工事の内容だけでなく居住者の状況によって適否が決まります。専有部分内の工事が対象になるため、中古マンション購入者も個人で申請できます。

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適用要件の詳細

バリアフリー改修減税を受けるには、以下の要件をすべて満たす必要があります(出典:国土交通省「バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置」)。

  • 居住者要件: 工事完了の翌年1月1日時点で、①65歳以上の方、②要介護または要支援の認定を受けた方、③障がいのある方のいずれかが居住していること
  • 築年数: 新築後10年以上経過した住宅であること
  • 工事費: 自己負担額が50万円を超えること
  • 床面積: 40㎡以上240㎡以下であること
  • 用途: 賃貸住宅は対象外(自ら居住する住宅に限る)
  • 工事期限: 令和13年3月31日までに工事が完了していること

居住者要件は「工事完了時」ではなく「翌年1月1日時点」で判定される点に注意してください。工事完了後に要件を満たす居住者が転出した場合、減税が受けられないケースがあります。

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対象となるバリアフリー工事の種類

対象となる主な工事は以下の7種類です。

  • 手すりの取り付け
  • 段差の解消
  • 廊下幅・出入口幅の拡張
  • 浴室の改良
  • トイレの改良
  • 出入口扉の改良(引き戸への変更等)
  • 床材の変更(滑り止め加工等)

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、中古住宅の固定資産税の計算方法を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
中古住宅の固定資産税はいくら?計算方法、軽減措置など解説

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3-4. 長期優良住宅化改修減税——耐震か省エネと組み合わせる上位制度

長期優良住宅化改修減税は、耐震改修または省エネ改修を行い、かつ「増改築による長期優良住宅の認定」を取得した住宅の翌年度固定資産税額が1/3になる制度です。

他の3制度と比べると手続きの手間はかかりますが、軽減後の税額が最も低くなる上位制度として位置づけられます。

中古マンションを購入した方への注意
長期優良住宅化改修減税のうち耐震改修ルートは、耐震改修減税と同様に共用部分の工事が必要です。管理組合の決議が前提となるため、個人の判断で申請することはできません。

省エネ改修ルートは専有部分内の工事でも対象になる場合がありますが、認定取得には一棟全体の基準適合が求められる場合もあるため、施工業者と管理組合の双方に事前確認が必要です。

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適用要件の詳細

長期優良住宅化改修減税の適用を受けるためには、耐震改修ルートと省エネ改修ルートの2つがあります(出典:国土交通省「長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置」)。

耐震改修ルート

  • 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
  • 耐震改修を行い、改修後に長期優良住宅の認定を取得すること
  • 工事費(耐震改修分)の自己負担額が50万円を超えること

省エネ改修ルート

  • 平成26年4月1日以前から所在する家屋であること
  • 省エネ改修を行い、改修後に長期優良住宅の認定を取得すること
  • 工事費(省エネ改修分)の自己負担額が60万円を超えること

いずれのルートも、床面積の要件は40㎡以上240㎡以下、工事期限は令和13年3月31日までです。長期優良住宅の認定(増改築による認定)は所管行政庁(都道府県または市区町村)への申請が必要で、認定取得には一定の費用と時間がかかります。

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耐震・省エネ減税との選択の考え方

耐震改修を行う場合、「耐震改修減税(税額が1/2になる)」と「長期優良住宅化改修減税(税額が1/3になる)」のどちらを選ぶかという判断が生じます。

数字だけを見ると耐震改修減税(税額が1/2になる)の方が軽減幅は大きいですが、長期優良住宅化改修減税(税額が1/3になる)は認定取得によって住宅の資産価値向上や住宅ローン控除の優遇といった副次的なメリットもあります。

たとえば、建物の固定資産税評価額が800万円の場合、耐震改修減税では「11万2,000円×1/2=5万6,000円」と計算され、適用後の税額は5万6,000円、長期優良住宅化改修減税では「11万2,000円×1/3≒3万7,300円」と計算され、適用後の税額は3万7,300円です。差額は約1万8,700円になります。

また、長期優良住宅の認定取得には行政への申請手数料(一戸建ての場合で概ね数万円〜10万円程度)のほか、計画書作成を依頼する建築士費用が別途かかります。これらのコストと軽減幅を比較したうえで、どちらの減税措置の適用を受けるか判断してください(参考:福岡県「長期優良住宅等計画認定申請手数料の額一覧表」)。

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3-5. 【重要】4種類の制度は原則として併用できない——例外はバリアフリー+省エネのみ

4種類のリフォーム減税は、原則として同時に併用できません。唯一の例外が「省エネ改修減税+バリアフリー改修減税」の組み合わせです。これは重要ポイントであり、工事計画の段階で把握しておく必要があります。

リフォーム減税の併用可否一覧
組み合わせ 併用可否
耐震 + 省エネ ×不可(いずれか1つのみ)
耐震 + バリアフリー ×不可
省エネ + バリアフリー ◎可能(唯一の例外。税額の計算方法は「4-3. 省エネ+バリアフリー改修を同時に行った場合のシミュレーション」参照)
耐震 + 長期優良住宅化 ×不可
省エネ + 長期優良住宅化 ×不可

省エネ+バリアフリーを申請した場合、それぞれの軽減が適用されるため、固定資産税の軽減効果は4種の中で最大になる可能性があります。

中古マンションの購入者にとっても、この組み合わせは個人で申請できる唯一の複数同時申請ルートです。65歳以上のご家族の方と同居しながら断熱リフォームを検討している場合は、検討する価値があります(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり」)。

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4. 軽減効果をシミュレーションで確認

リフォーム減税の効果は、実際の数字で確認すると驚くほど大きく感じられます。制度の存在を知らずに申請しなかった場合、数万円単位の節税機会を逃すことになります。金額のイメージをここでしっかり確認しておきましょう。

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4-1. シミュレーションの前提条件

シミュレーション結果は、以下の共通条件をもとに算出しています。住宅用地の特例(土地分)とリフォーム減税(建物分)は独立した計算になるため、この章では建物の税額に絞って軽減効果を比較します。

シミュレーション共通条件
項目 条件
構造 木造2階建て
建物の固定資産税評価額 800万円
建物の床面積 120㎡
土地面積 200㎡
土地の固定資産税評価額 1,200万円
固定資産税の税率 1.4%(標準税率)

この条件をもとにした通常の建物の固定資産税額は「800万円×1.4%=11万2,000円」と計算され、11万2,000円です。リフォーム減税を申請すると、この税額から一定額が差し引かれ、翌年度1年間だけ軽減されます。

注意
リフォーム減税の軽減は「税額からXX分の1が減額される」という仕組みであり、結果として税額がXX分の1になります。

たとえば、耐震改修減税(1/2を減額)の場合、税額の半分が差し引かれて残る税額は1/2になります。省エネ・バリアフリー(1/3を減額)の場合は、税額の1/3が差し引かれて残る税額は2/3です。長期優良住宅化改修(2/3を減額)の場合は、税額の2/3が差し引かれて残る税額は1/3になります。

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4-2. 耐震改修を行った場合の軽減シミュレーション

耐震改修減税を適用すると、建物の固定資産税額が翌年度1年間、税額の1/2が減額されます。床面積120㎡はすべて軽減対象の上限(120㎡)以内に収まるため、全額が対象です。

年間の節税額の計算例は、以下のとおりです。

  • 通常の建物税額: 800万円 × 1.4% = 11万2,000円
  • 減額される金額: 11万2,000円 × 1/2 = 5万6,000円
  • 減額後の建物税額: 11万2,000円 - 5万6,000円 = 5万6,000円
  • 年間の節税額: 5万6,000円

工事費が50万円超という要件を満たしていれば、たった1回の申請でこれだけの額が節税できます。昭和57年1月1日以前の旧耐震基準の中古住宅を購入した場合は、工事前に必ず制度を確認しておく価値があるといえるでしょう。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、固定資産税のお得な納税方法を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税のお得な払い方|令和8年度の納税額別ベストルート

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4-3. 省エネ+バリアフリー改修を同時に行った場合のシミュレーション(唯一の併用ケース)

省エネ改修減税とバリアフリー改修減税は、4種の中で唯一の併用可能な組み合わせです。それぞれ税額の1/3を減額する制度であり、2つを同時に申請した場合は両方の減額分が合算されます。

つまり、省エネの1/3減額+バリアフリーの1/3減額=合計2/3が減額となり、残る税額は通常の1/3になります。

税額の計算例は、以下のとおりです。

  • 通常の建物税額: 800万円 × 1.4% = 11万2,000円
  • 省エネ減税の減額分: 11万2,000円 × 1/3 ≒ 3万7,300円
  • バリアフリー減税の減額分: 11万2,000円 × 1/3 ≒ 3万7,300円
  • 合計減額: 約7万4,600円
  • 減額後の建物税額: 11万2,000円 - 7万4,600円 ≒ 3万7,400円
  • 年間の節税額:約7万4,600円

耐震改修のみを行った場合(節税額5万6,000円)と比べても、この組み合わせの節税効果が大きいことがわかります。65歳以上のご家族の方と同居しながら断熱リフォームを検討している場合は、積極的に検討する価値があるでしょう。

注意
床面積120㎡はすべてバリアフリー・省エネ両制度の軽減対象上限(各120㎡)以内に収まるため、全額に2/3減額が適用されます。

なお、ここでいう「上限120㎡」は軽減額の計算に使う床面積の上限であり、制度の適用対象となる住宅の床面積要件(40㎡以上240㎡以下)とは異なります。床面積が120㎡を超える場合は超過部分の計算が異なるため、市区町村の窓口に確認してください(参考:久喜市「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」)。

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5. 申請方法——「工事完了から3か月以内」を絶対に守る

リフォーム減税は、申請しなければ自動的には適用されません。しかも「工事完了から3か月以内」という期限を1日でも過ぎると、原則として申請できなくなります。

制度の内容を知っていても、手続きを怠れば節税効果はゼロです。申請先・期限・必要書類を工事前から把握しておくことが、確実に減税を受けるためのポイントとなります。

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5-1. 申請先・申請期限と手続きの流れ

リフォーム減税の申請先は建物が所在する市区町村の税務課(資産税課)であり、申請期限は「工事完了から3か月以内」です。

住宅用地の特例(土地の軽減)は申請をせずとも適用されることがありますが、リフォーム減税(建物の軽減)は申請が必須のため注意してください。「自動で減税されるはず」と思い込んでいると、期限を過ぎてから気づき、既に手遅れになっているかもしれません。工事の着工前から申請の流れを把握しておきましょう。

中古住宅リフォーム後の固定資産税減額申請フロー——工事完了から3か月以内に市区町村へ届出が必要

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5-2. 制度ごとに異なる必要書類

リフォーム減税の申請では、すべての制度で共通して必要となる書類と、制度ごとに追加で必要となる書類があります。

共通書類として提出するのが「固定資産税減額申告書」です。申告書は各市区町村の窓口やホームページで入手できます。

一方、制度ごとの必要書類は実施した工事の内容によって異なります。準備に時間がかかる場合もあるため、工事を依頼した施工業者へ早めに相談しておくと安心です。

リフォーム減税の申請に必要な書類 制度別一覧
制度名 共通書類 制度固有の書類
耐震改修 固定資産税減額申告書 工事請負契約書の写し・増改築等工事証明書または住宅耐震改修証明書・工事費が確認できる書類
省エネ改修 同上 増改築等工事証明書・補助金の交付を受けた場合はその証明書
バリアフリー改修 同上 介護保険証の写しなど対象者証明書類・工事費が確認できる書類・工事前後の写真
長期優良住宅化 同上 増改築等工事証明書・長期優良住宅認定通知書の写し

申請に必要な書類に含まれる「増改築等工事証明書」とは、リフォームの内容が減税の対象要件を満たしていることを証明する書類です。①登録された建築士事務所に属する建築士、②指定確認検査機関、③登録住宅性能評価機関、④住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかが発行できます。

施工業者に入手を依頼するのが一般的ですが、発行に数週間かかる場合もあるため、工事完了前から準備を進めておきましょう。

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5-3. 窓口への問い合わせ——何をどう聞くか

リフォーム減税の詳細を把握したい場合は、市区町村役場の窓口に問い合わせるのが確実です。

問い合わせる窓口の名称は市区町村によって「資産税課」「税務課」「固定資産税担当」などさまざまです。役場の公式ホームページで「固定資産税 減額」と検索するか、代表番号に電話して担当部署を確認するのが確実な方法といえます。

窓口では「申請したい」という漠然とした問い合わせより、工事の種類・完了日・工事費の概算を具体的に伝えると、担当者がスムーズに案内できます。以下を参考にしてください。

窓口への問い合わせ例

「〇月〇日に(耐震改修・省エネ改修・バリアフリー改修)工事が完了しました。固定資産税の減額申請をしたいのですが、必要な書類と申請方法を教えてください。工事費は約〇〇万円(税込)です。」

あわせて確認すべき事項

  • 申請書の入手方法(窓口受取・ホームページダウンロード)
  • 増改築等工事証明書の発行先(施工業者・設計事務所等に要確認)
  • 郵送申請の可否
  • 申請期限の再確認(工事完了日の確認)

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6. 移住者向け:固定資産税相当額の補助金を設けている自治体がある

固定資産税の軽減制度は国が定める税制上の措置ですが、それとは別に、自治体が独自の補助金として固定資産税相当額を還元する制度を設けているケースがあります。

地方移住・定住促進を目的とした制度で、うまく活用すれば数年間の固定資産税負担が実質ゼロに近くなる場合もあります。田舎暮らしなどを希望しつつ移住先を探している場合は、こうした制度も有効です。

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6-1. 「軽減」ではなく「補助金で還元」する仕組み

この制度は、固定資産税そのものを安くする「税制上の軽減」ではありません。通常どおり固定資産税を納付したうえで、自治体から「補助金」として同等の金額が支給される仕組みです。

よって、固定資産税の計算や納付の手続きとは別に、補助金の申請が必要になります。

補助金が支給されれば、「数年間の固定資産税がゼロになる」ことがあります。たとえば、年間の固定資産税が15万円の中古住宅であれば、3年間の補助金支給で合計45万円の還元を受けられるといった具合です。

国の制度では対象にならない場合でも、自治体の補助金であれば受けられる可能性があるため、移住を検討している方は必ず確認してください。

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6-2. 具体的な自治体の事例

移住者向けの補助金制度は自治体ごとに内容が異なります。補助額・補助期間・対象者の条件を比較すると、制度の多様性が見えてきます。ご自身の移住先候補に同様の制度があるかもしれません。

移住者向け中古住宅取得補助金の自治体事例(令和8年時点)
自治体 制度概要 補助額の目安 補助期間 主な対象者
三重県四日市市 子育て・若年夫婦世帯の住み替え支援 固定資産税等相当額の2年分(上限20万円)、近居は4年分(上限40万円) 2〜4年間 市外転入または市内賃貸からの転居、子育て世帯・40歳未満夫婦
福岡県遠賀町 中古住宅流通定住奨励金 固定資産税相当額を3年間交付(年間上限15万円)、三世代同居は4年間 3〜4年間 町外転入・町内転居で中古住宅・空き家を取得した人
岐阜県本巣市 もとす暮らし応援補助金 固定資産税課税標準額の5%(上限30万円)を1回交付。転入者は子ども1人あたり10万円加算 1回限り 中古含む住宅取得者(市外転入で加算あり)

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6-3. 自分の移住先に制度があるか確認する方法

ご自身が希望する移住先に同様の制度があるかどうかは、以下の方法で調べられます。自治体の公式サイトで直接検索するのが最も確実で、問い合わせ窓口に電話する方法も有効です。

①自治体公式サイトで検索する

各自治体の公式サイトに設けられている検索窓に、以下のキーワードを組み合わせつつ入力して検索します。

  • 「中古住宅 定住 補助金」
  • 「固定資産税 移住 支援」
  • 「住み替え 奨励金」

②全国の移住相談拠点に問い合わせる

「ふるさと回帰支援センター・東京」(東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館8階。東京メトロ有楽町駅から徒歩1分)では、44都道府県・1政令市の相談窓口が集まっており、移住先が決まっていない段階から複数の自治体の制度をまとめて確認できます。

西日本は「ふるさと回帰支援センター・大阪」(大阪市中央区本町橋2-31 シティプラザ大阪1F)でも相談を受け付けています(参考:「ふるさと回帰支援センター公式サイト」「ふるさと回帰支援センター・大阪」)。

③移住先自治体の担当課に直接確認する

電話する場合は、移住を希望する自治体の「移住・定住担当課」または「住宅政策課」などの名称の窓口にお問い合わせください。「中古住宅を取得した場合に固定資産税相当の補助金はありますか」と具体的に質問することで、担当者が案内しやすくなります。

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7. 中古マンション購入者が知っておくべき追加の軽減制度

中古マンションの固定資産税には、一戸建て住宅とは異なる固有の軽減制度と注意点があります。購入前に把握しておくことで、管理組合の状況確認や物件選びの判断基準として活用できます。

ここでは、一戸建てには適用されない中古マンションの固定資産税に関する2つの制度を解説します。

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7-1. マンション長寿命化促進税制——大規模修繕を適切に実施すると軽減

マンション長寿命化促進税制は、管理計画の認定を受けたマンションにおいて、一定の長寿命化工事が実施された場合に、区分所有者の固定資産税を軽減できる制度です。

令和5年度に創設された比較的新しい制度であり、まだ十分に知られているとはいえません。そのため、多くの不動産関連サイトでも詳しく解説されていない制度の一つです。

この制度は、中古マンションの購入時に管理組合の財務状況や修繕履歴を確認することの重要性を、固定資産税の軽減という観点からも示しています。

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制度の概要と軽減内容

マンション長寿命化促進税制の対象・工事要件・軽減内容は以下のとおりです。

対象マンションの要件

  • 築20年以上かつ10戸以上のマンションであること
  • 管理計画の認定(マンション管理適正化法に基づき自治体が認定する制度)を取得していること
  • 令和3年9月以降に、修繕積立金の額を管理計画の認定基準未満から認定基準以上に引き上げていること

工事要件

  • 長寿命化工事(外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事)を過去に1度以上実施したうえで、令和5年4月1日〜令和9年3月31日の間に2回目以降の長寿命化工事を完了していること

軽減内容

  • 各区分所有者が翌年度支払う固定資産税(建物部分のみ)を1/2〜1/6の範囲内で減額(軽減割合は自治体の条例で決定)
  • 工事完了後3か月以内に市区町村に申請が必要

個人が単独で申請できる制度ではなく、管理組合全体として要件を満たし、管理組合が申告する点が他のリフォーム減税と大きく異なります(出典:国土交通省「マンション長寿命化促進税制」)。

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中古マンション購入者が確認すべきこと

この制度は購入後に個人が単独で取得できるものではないため、購入前の調査が重要です。内覧や契約の段階で以下の点を不動産会社、または管理組合に確認しておけば、制度が適用される可能性があるか判断できます。

  • 長期修繕計画は策定されているか、内容は適切か
  • 修繕積立金の積立状況は計画どおりか(積立不足がないか)
  • 過去に長寿命化工事(外壁・床・屋根の防水工事等)を実施した実績があるか
  • マンション長寿命化促進税制の適用を受けているか、または申請を検討しているか

修繕積立金が慢性的に不足しているマンションは、この制度の恩恵を受けられないだけでなく、将来の大規模修繕時に一時金徴収が発生するリスクもあります。固定資産税の軽減有無は、管理組合の健全性を測る一つの指標として活用できるでしょう(参考:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」)。

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7-2. タワーマンションの固定資産税——階数補正による按分の仕組み

タワーマンション(正式名称:居住用超高層建築物)の固定資産税は、平成30年度課税分以降、階数が高いほど税額が高くなる仕組みになりました。中古タワーマンションを購入する場合、同じ専有面積でも階数によって固定資産税額が異なるため事前確認が必要です。

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階数補正の仕組み

改正前は、一棟全体の固定資産税額を各区分所有者の専有床面積で単純按分していたため、同じ面積であれば1階でも最上階でも税額は同じでした。

しかし、平成30年度以降は、階数に応じた補正率を乗じて各住戸の税額を計算する方式に変わっています。補正率の算式は「1階を100として、1階上がるごとに約0.256ずつ上昇」します。

  • 階層別専有床面積補正率(%)=(階層-1)× 0.25641 + 100

たとえば同じ専有面積70㎡でも、5階(補正率約101.0)と40階(補正率約109.9)では固定資産税額に数万円単位の差が生じることになります。

ただし、区分所有者全員による申出があった場合には、法令上の階層別補正率ではなく、区分所有者全員が申し出た割合で按分することも認められています

購入を検討しているタワーマンションでこの申出が行われているかどうかも、事前に確認しておく価値があります(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり」)。

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購入前に確認すべきこと

中古タワーマンションを購入する際は、売主または不動産会社に「現在の固定資産税額」を確認しましょう。固定資産税納税通知書の写しを入手できれば、階数補正を含めた実際の税額を把握したうえで資金計画を立てられます。

なお、階数補正は平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含む超高層建築物には適用されません。購入を検討しているタワーマンションの売買契約の時期も合わせて確認してください。

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8. よくある質問(FAQ)

ここからは、中古住宅の固定資産税に関するよくある質問とその答えをまとめます。

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8-1. 中古住宅を購入しただけで固定資産税は軽減されますか?

土地と建物で仕組みが異なります。土地については、住宅が建っている限り「住宅用地の特例」が一部例外を除き既に適用されているため、購入直後から課税標準額が最大1/6に引き下げられます。

建物については、購入しただけでは固定資産税は軽減されません。耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化の各リフォーム減税は、工事を行ったうえで「工事完了から3か月以内」に市区町村へ申請して初めて適用されます。「土地は一部例外を除き既に適用済み、建物は申請必須」という区別を押さえておきましょう。

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8-2. 省エネリフォームと耐震リフォームを同時に行う場合、どちらの制度を選ぶべきですか?

原則として耐震改修減税と省エネ改修減税は併用できないため、いずれか一方を選ぶことになります。単純な軽減幅だけを比較すると、耐震改修減税(税額の1/2を減額)の方が省エネ改修減税(税額の1/3を減額)より節税額は大きくなります。

ただし、旧耐震基準(昭和57年1月1日以前)の物件で耐震改修と省エネ改修を同時に行い、増改築による長期優良住宅の認定まで取得できる場合は、「長期優良住宅化改修減税」(税額が1/3になる)という選択肢もあります。

長期優良住宅の認定取得には行政への申請手数料や建築士費用がかかりますが、住宅ローン控除の優遇や資産価値向上といった副次的なメリットも得られます。どの制度が最も有利かは、工事の組み合わせと認定取得コストを比較したうえで判断することをおすすめします。

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8-3. 申請を忘れた場合、後から遡って申請できますか?

原則として遡及申請はできません。リフォーム減税の申請期限は「工事完了から3か月以内」と定められており、この期限を過ぎた場合の救済措置は制度上設けられていません。

たとえ1日でも期限を超えると、基本的に軽減を受ける権利は失われます。

申請期限が迫っている場合は、書類が揃っていなくても速やかに市区町村の資産税課・税務課に相談してください。書類の提出について柔軟に対応してもらえるケースもないとは言えないため、まず窓口に状況を伝えることが最善の行動です。

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8-4. 賃貸に出している中古住宅にもリフォーム減税は使えますか?

制度によって異なります。省エネ改修減税・バリアフリー改修減税・長期優良住宅化改修減税は、いずれも「賃貸住宅ではない家屋」が適用要件のひとつとなっており、賃貸に出している住宅には適用されません。

耐震改修減税については、賃貸住宅を対象外とする要件が設けられていないため、適用できる可能性があります。

ただし、「居住部分の床面積が家屋全体の1/2以上」という要件は満たす必要があります。なお、この要件の「居住部分」は自己居住部分ではなく家屋全体の用途区分を指します。賃貸住宅への耐震改修を検討している場合は、工事前に建物が所在する市区町村の窓口で詳細を確認してください。

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8-5. 令和8年度(2026年)以降も引き続き申請できますか?

令和8年度税制改正により、耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化の各リフォーム減税の適用期限は令和13年3月31日まで5年間延長されました。令和8年4月1日以降に完了した工事についても、要件を満たせば引き続き申請できます。

インターネット上には「令和7年度末で期限切れ」という情報が残っていますが、申請をあきらめることのないよう、最新の情報は国土交通省または市区町村の窓口で確認することをおすすめします(参考:国土交通省「令和8年度税制改正概要」)。

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まとめ:中古住宅の固定資産税は「知っているかどうか」で差がつく

中古住宅の固定資産税には、購入直後から自動的に効く制度と、リフォームをきっかけに申請できる制度の2系統があります。それぞれの特徴を最後に整理しておきましょう。

土地は購入直後から一部例外を除き既に適用済み

住宅が建っている土地には、一部例外を除き既に「住宅用地の特例」が適用され、200㎡以下の部分の課税標準額が固定資産税評価額の1/6になっています。

ただし、建物を解体して更地にした場合や、特定空家・管理不全空家として勧告を受けた場合は特例が外れ、固定資産税が約4.2倍程度になるため注意してください。

建物はリフォーム後に申請が必要——令和13年3月31日まで延長済み

耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化の4種類のリフォーム減税は、工事完了後に申請して初めて効果が生まれます。令和8年度税制改正で適用期限が令和13年3月31日まで5年間延長されたため、今から計画するリフォームにも十分間に合います。

申請期限は「工事完了から3か月以内」で遡及救済はないため、工事前から手続きの流れを把握しておくことが最重要です。

「知らなかった」では取り返しがつかない

筆者自身、断熱リフォームを行った際に省エネ改修減税を申請できたと後から気づき、期限切れで手遅れになった経験があります。制度を知っていれば数万円単位の節税が実現できたわけですが、今となっては後の祭りです。

工事を検討中の方は施工業者に制度の適用可否を確認し、工事完了後は速やかに市区町村の窓口に申請してください。

自治体独自の補助金も見逃さない

地方移住を検討している方は、国の制度に加えて自治体独自の「固定資産税相当額の補助金」も調べておく価値があります。

年間15万円を3年間支給するなど、実質的に固定資産税負担がゼロに近くなる制度を設けている自治体もあります。移住先の候補が決まったら、自治体公式サイトや移住支援窓口に問い合わせてみてください。

本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。

著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般財団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov「地方税法」一般財団法人資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり」一般財団法人資産評価システム研究センター「令和6年度 固定資産税のあらまし」国土交通省「リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について」
注意点
本記事の内容は令和8年6月時点のものです。最新の情報は市町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。

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