中古住宅の固定資産税が軽減される制度はある?

中古住宅の固定資産税が軽減される制度

ごく少数で減税額もわずかですが、中古住宅に適用される固定資産税の軽減措置があります。

中古住宅の固定資産税が軽減される減税制度をご紹介しましょう。

目次

1. リフォーム減税

一定の条件を満たすリフォームを実施すれば、所得税などが減税される制度があります。

これをリフォーム減税などと呼びますが、リフォーム減税は固定資産税が軽減される制度でもあります。

リフォーム減税における、固定資産税が軽減されるリフォームをご紹介しましょう。

なお、一戸建ての中古住宅を取得すると建物と土地を取得したこととなり、その両方に固定資産税が課せられます。

また、中古マンションを取得すると一戸部分と「そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地」を取得し、その両方に固定資産税がかかります。

そして、リフォーム減税が適用されることにより軽減されるのは建物部分、または一戸部分にかかる固定資産税であり、土地部分、または「そのマンションが建つ敷地を戸数などで割った面積の土地」にかかる固定資産税は減税されないため注意してください。

固定資産税が軽減されるのは中古住宅の建物部分のみ

耐震リフォーム

昭和57年1月1日以前に新築された現行の耐震基準を満たさない中古住宅に、50万円を超える費用を掛けつつ現行の耐震基準を満たすための耐震リフォームを実施すれば、リフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が軽減されます。

軽減される額は中古住宅の床面積によって異なりますが概ね2分の1などであり、軽減措置を適用させるためにはリフォーム完了後3カ月以内に市区町村への申告が必要です。

中古住宅に耐震リフォームを実施することにより固定資産税が軽減されることの詳細は以下のとおりとなっています。

耐震リフォームによる固定資産税の軽減制度の詳細

制度の期間 令和4年3月31日まで
主な条件1 昭和57年1月1日以前に新築された中古住宅に現行の耐震基準を満たすための耐震リフォームを実施する
主な条件2 消費税込み50万円を超える費用を要する耐震リフォームを実施する
主な条件3 中古マンションの場合は棟全体に耐震リフォームを実施する
主な条件4 令和4年3月31日までに耐震リフォームを完了する
減税額 耐震リフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が概ね2分の1に軽減される
申告期限 耐震リフォームの完了後3カ月以内
参考 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の資料 1.耐震リフォーム編

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バリアフリーリフォーム

新築された日から10年以上経過した中古住宅に50万円を超える費用をかけつつバリアフリーリフォームを実施すれば、リフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が軽減されます。

減税額は床面積によって異なるものの概ね3分の1であり、浴室やトイレを改良する、階段の勾配を緩和する、室内の段差を解消する、手すりを取り付けるなどが軽減措置が適用されるバリアフリーリフォームに該当します。

固定資産税の軽減措置の適用を受けるためにはリフォーム完了後3カ月以内に市区町村に申告する必要があり、減税制度の詳細は以下のとおりです。

バリアフリーリフォームによる固定資産税の軽減制度の詳細

制度の期間 令和4年3月31日まで
主な条件1 65歳以上の方、または要介護認定や要支援認定を受けている方、または障がいのある方が居住する中古住宅にバリアフリーリフォームを実施する
主な条件2 消費税込み50万円を超える費用を要するバリアフリーリフォームを実施する
主な条件3 築10年以上の中古住宅にバリアフリーリフォームを実施する
主な条件4 バリアフリーリフォーム完了後の建物部分の床面積が50㎡以上280㎡以下である
減税額 バリアフリーリフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が概ね3分の2に軽減される
申告期限 リフォーム完了後3カ月以内
参考 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の資料 2.バリアフリーリフォーム編

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省エネリフォーム

平成20年1月1日以前に新築された中古住宅に、50万円以上の費用をかけつつ既存の窓を断熱窓に交換するなどの省エネリフォームを実施すれば、固定資産税の軽減措置が適用されます。

軽減措置が適用されればリフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が概ね3分の2に減税され、制度の実施期限は令和4年3月31日までであり詳細は以下のとおりです。

省エネリフォームによる固定資産税の軽減制度の詳細

制度の期間 令和4年3月31日まで
主な条件1 平成20年1月1日以前に新築された中古住宅に省エネリフォームを実施する
主な条件2 消費税込み50万円を超える費用を要する省エネリフォームを実施する
主な条件3 省エネリフォーム完了後の建物部分の床面積が50㎡以上280㎡以下である
減税額 リフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が概ね3分の2に軽減される
申告期限 リフォーム完了後3カ月以内に市区町村に申告する
参考 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の資料 3.省エネリフォーム編

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長期優良住宅化リフォーム

先にご紹介した耐震リフォーム、または省エネリフォームを実施すると共に50万円を超える費用を要する長期優良住宅化リフォームを実施すれば、リフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が3分の1に軽減されます。

長期優良住宅化リフォームとは、小屋裏に換気口を取り付けつつ屋根裏の通気性を良くする、漏水による土台の腐敗を防ぐために浴室をユニットバスに交換する、床下の修繕がしやすいように床に点検口を付けるなどの住宅の寿命を延ばすためのリフォームです。

ただし、ただ単に小屋裏に換気口を付けるなどのリフォームを実施するだけでは、固定資産税が軽減される長期優良住宅化リフォームには該当しないため注意してください。

固定資産税が軽減される条件を満たす長期優良住宅化リフォームとは一定の条件を満たすリフォームであり、リフォームを開始する前に市区町村などの管轄官庁に計画書を提出し、長期優良住宅化リフォームと認定されたリフォームのみが減税対象となります。

固定資産税が軽減される長期優良住宅化リフォームとは?

長期優良住宅化リフォームにより固定資産税が軽減される減税制度の詳細は以下のとおりです。

長期優良住宅化リフォームによる固定資産税の軽減制度の詳細

制度の期間 令和4年3月31日まで
主な条件1 耐震リフォーム、または省エネリフォームと共に長期優良住宅化リフォームを実施する
主な条件2 消費税込み50万円を超える費用を要する長期優良住宅化リフォームを実施する
主な条件3 市区町村などの管轄官庁から長期優良住宅化リフォームと認定されるリフォームを実施する
減税額 リフォームを実施した翌年の建物部分にかかる固定資産税が概ね3分の1に軽減される
申告期限 リフォーム完了後3カ月以内
参考 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の資料 5.長期優良住宅化リフォーム編

なお、市区町村などから長期優良住宅化リフォームと認定されたリフォームを実施すると翌年の固定資産税が軽減されますが、その後は以前より高くなる可能性があるため注意してください。

長期優良住宅とは市区町村などの管轄官庁から一般的な住宅より品質に優れると認定された住宅であり、既存の中古住宅をリフォームしつつ長期優良住宅化すると市区町村から建物部分の価値が上がったと見なされます。

市区町村から建物部分の価値が上がったと見なされれば、建物部分にかかる固定資産税が高くなります。

どの程度高くなるかはリフォームの内容によって異なりますが、新築の長期優良住宅を取得された方の中には固定資産税が高額であることを理由に後悔する方が少なからずいらっしゃいます。

よって、固定資産税が軽減されるなどの安易な理由で長期優良住宅化リフォームを実施することがないように注意してください。

長期優良住宅の詳細は、私が運営するもう一つのサイト「誰でもわかる不動産売買」にてわかりやすく解説中です。

中古住宅への長期優良住宅化リフォームを検討される方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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長期優良住宅とは?わかりやすく解説

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2. 人口減少地域の軽減措置

人口が減少する市町村では、中古住宅を購入しつつ定住することにより固定資産税が軽減されたり、固定資産税相当額の補助金が出ることがあります。

ここから、筆者がこの記事を作成する2021年5月の時点における、固定資産税に関する補助制度が設けられている5つの市町村をご紹介しましょう。

なお、ご紹介する5つの市町村のみが固定資産税を軽減する補助制度を設けているわけではありません。

ご紹介する市町村以外にも固定資産税を軽減する制度を設ける自治体が存在し、Yahoo!やGoogleで「固定資産税 軽減 移住 市町村」「固定資産税 転入 補助」などのキーワードで検索することにより補助制度を実施する地域をお探しいただけます。

固定資産税に関する補助制度が設けられている市町村

北海道河西郡中札内村
北海道河西郡中札内村では、中札内村内に中古住宅を購入しつつ定住する方に、その中古住宅の固定資産税相当額を5年間にわたり交付する補助金制度を設けています。
埼玉県熊谷市
埼玉県熊谷市内に中古住宅を購入し、市外から転入しつつ定住すれば一定期間にわたり固定資産税が免除されます。免除期間は一戸建ての中古住宅を取得した場合は3年、3階建て以上の中古マンションを取得した場合は5年などです。
大阪府泉南郡熊取町
子育て世代の方が親と同居するために大阪府泉南郡熊取町内に中古住宅を購入すれば、中古住宅を購入後3年にわたり建物部分にかかる固定資産税が2分の1に軽減されます。
鳥取県東伯郡琴浦町
鳥取県東伯郡琴浦町に定住するために中古住宅を購入すれば、購入後3年にわたり建物部分にかかる固定資産税が2分の1などに軽減されます。
福岡県筑後市
福岡県筑後市内に中古住宅を購入し、市外から転入しつつ定住すれば、3年にわたり建物部分にかかる固定資産税相当額の2分の1などが支給されます。

いずれも2021年5月時点の情報

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まとめ - リフォーム減税は必ず事前に詳細の確認を

固定資産税が軽減される中古住宅の減税制度をご紹介しました。

中古住宅の固定資産税が軽減される制度は、ごく少数で減税額もわずかですが存在します。

耐震リフォーム、バリアフリーリフォーム、省エネリフォーム、長期優良住宅化リフォームなどのリフォーム減税がそれに該当します。

また、人口が減少する市町村では中古住宅を購入しつつ転入することにより固定資産税が軽減されたり、固定資産税相当額の補助金が支給される場合があります。

中古住宅に関する固定資産税の軽減措置をお探しの方がいらっしゃいましたら、ぜひご参考になさってください。

なお、この記事でリフォーム減税をご紹介しましたが、リフォーム減税は固定資産税に加え所得税も減税される場合があるため是非ご活用ください。

ただし、リフォーム減税は制度が複雑であり減税額が頻繁に見直されます。

また、リフォーム減税の適用を受けるためには、リフォームを実施する前に市町村への申請が必要な場合があります。

よって、中古住宅にリフォームを実施しつつリフォーム減税の適用を希望する場合は、リフォーム開始前にその住宅が所在する地域を管轄する市町村役場に出向き、リフォーム減税に関する詳細を必ずご確認ください。

ご紹介した内容が、中古住宅の固定資産税に関することをお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年5月

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