中古物件の固定資産税|購入価格から税額を逆算する方法

中古物件の固定資産税|購入価格から税額を逆算する方法

中古物件を購入する際は、固定資産税がいくらかかるのか気になるところです。

しかし、固定資産税について調べ始めると、「固定資産税評価額」「課税標準額」「価格」という似た言葉が出てきます。それぞれ意味が異なるため、違いを理解しないまま計算すると、税額の見積もりが大きくずれてしまうことがあります。

この記事では、まず3つの用語の違いを整理し、そのうえで中古物件の固定資産税の計算方法を解説します。

「購入価格〇〇万円なら固定資産税はいくらになるのか」を確認できる逆算の目安表も掲載しています。さらに、中古物件の固定資産税は誰が払うかや、リフォームによる減税制度、税額が高くなるケースまで幅広く紹介しています。

中古物件には、新築住宅で利用できる新築時の軽減措置が原則としてありません。一方で、リフォームによる減税制度や土地の特例制度を活用できる場合もあります。

固定資産税を正しく把握するために、まずは基本となる用語の意味から確認しましょう。

目次

1. まず整理|固定資産税にまつわる3つの紛らわしい用語

固定資産税を調べると、似たような言葉が次々と登場します。「固定資産税評価額」「課税標準額」「価格」の3つです。これらは別々の意味を持つ言葉で、混同したまま計算を進めると、税額の見積もりが大きくずれてしまいます。

税金の仕組みを正しく理解するための土台として、まずここを丁寧に整理しておきましょう。

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1-1. 「固定資産税評価額」とは何か

固定資産税評価額とは、市町村(東京23区は都)が固定資産評価基準に基づいて評価した、建物や土地の時価に相当する価格のことです。以下、本文中では「評価額」と略します。

評価額は永久に固定されるものではなく、3年ごとに見直されます。この見直しを「評価替え」(ひょうかがえ)といい、令和6年度が直近の基準年度です(次の評価替えは令和9年度です)。

評価額の水準は、土地であれば時価(公示地価)の約70%、建物であれば新築時の再建築費の約50〜60%が目安となっています。つまり、市場で取引される価格より低い水準に設定されているわけです。

固定資産税評価額の詳細は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」にて公開中の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税評価額とは?わかりやすく解説(パパっとすぐわかる)

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1-2. 「課税標準額」とは何か|評価額とは別の数字

課税標準額とは、評価額に各種の特例や調整措置を適用した後の、実際に税率をかける計算の元になる金額のことです。税額の計算式はシンプルで、次の通りです。

  • 課税標準額 × 税率 = 税額

評価額と課税標準額が異なるという点が、多くの人が混乱する原因です。特に土地は、住宅用地の特例(後述)や負担調整措置(ふたんちょうせいそち)という仕組みが適用されるため、課税標準額が評価額を大幅に下回るケースが一般的です。

建物については、原則として課税標準額は評価額と同額になります。たとえば、建物の評価額が1,000万円であれば、課税標準額も1,000万円、固定資産税は1,000万円×1.4%=14万円です(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度 固定資産税のしおり)。

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1-3. 課税明細書の「価格」欄=固定資産税評価額のこと

毎年4〜6月ごろ、市区町村から固定資産税の「納税通知書」が届きます。この通知書に同封されているのが「課税明細書」です。課税明細書には、土地・建物それぞれについて「価格」欄と「課税標準額」欄が記載されています。

この「価格」という欄が、本記事の「1-1.「固定資産税評価額」とは何か」で説明した固定資産税評価額と同じものを指しています。言葉が変わるため「違う数字では?」と思いがちですが、同一のものです。

注意
固定資産税の課税明細書には「価格(評価額)」と「課税標準額」がそれぞれ別の欄に記載されています。固定資産税の税額計算に使うのは「課税標準額」であり、「価格(評価額)」ではありません。この2つを混同すると、計算した税額が実際の金額とかけ離れてしまうため注意が必要です。
固定資産税の課税明細書の見方|価格(評価額)と課税標準額の違いを図解

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2. 中古物件の固定資産税の計算方法

中古物件の固定資産税は、土地と建物をそれぞれ別に計算し、最後に合算して求めます。「土地は安くなる特例がある」「建物は築年数で下がる」という2つの大きなポイントを押さえておけば、全体の構造が見えてきます。

ここから、計算の流れを順に確認しましょう。

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2-1. 固定資産税の基本計算式

固定資産税の税額は、「課税標準額×税率」という式で求めます。

税率の標準は1.4%ですが、市区町村が条例で別の税率を定めることもあります。実際の計算では、評価額に各種の特例や調整措置を適用してから課税標準額を算出し、それに税率をかけるという順序を踏みます。

市街化区域(都市の計画的な整備を進めるエリア)内の物件には、固定資産税とは別に都市計画税(税率上限0.3%)も課税されます。この点は本記事の「2-4.都市計画税も忘れずに|市街化区域内の物件は別途かかる」で詳しく解説します。

固定資産税の計算のしくみ|評価額から課税標準額・税額までの流れを図解

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2-2. 土地の固定資産税の計算|住宅用地の特例が大きく影響する

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、課税標準額が評価額より大幅に低くなります。この特例のおかげで、土地の固定資産税は「評価額×税率」で単純に計算した額よりも低くなるわけです。

特例には「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」の2区分があり、敷地面積と戸数によって適用割合が変わります。

住宅用地の特例区分と固定資産税・都市計画税の軽減割合
区分 面積の条件 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地 住宅1戸あたり200㎡以下の部分 評価額×1/6 評価額×1/3
一般住宅用地 200㎡を超える部分 評価額×1/3 評価額×2/3

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計算例(敷地50㎡・150㎡・300㎡の3パターン)

土地の評価額を「1,500万円(敷地1㎡あたり10万円)」として、3パターンの税額を計算してみましょう。税率は標準の1.4%、都市計画税は0.3%を使用します。

【パターン①】敷地50㎡(すべて小規模住宅用地)

  • 土地評価額:50㎡×10万円=500万円
  • 課税標準額:500万円×1/6≒83万円(千円未満切り捨て)
  • 固定資産税:83万円×1.4%≒1万1,600円

【パターン②】敷地150㎡(すべて小規模住宅用地)

  • 土地評価額:150㎡×10万円=1,500万円
  • 課税標準額:1,500万円×1/6=250万円
  • 固定資産税:250万円×1.4%=3万5,000円

【パターン③】敷地300㎡(小規模200㎡+一般100㎡の混在)

  • 土地評価額:300㎡×10万円=3,000万円
  • 課税標準額(小規模):2,000万円×1/6≒333万円
  • 課税標準額(一般):1,000万円×1/3≒333万円
  • 合計課税標準額:約666万円
  • 固定資産税:666万円×1.4%≒9万3,200円

敷地が200㎡を超えると「一般住宅用地」の割合(1/3)が混ざるため、㎡あたりの税負担が上がります。

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2-3. 建物の固定資産税の計算|築年数で下がる仕組み

建物の評価額は、「再建築費(その建物を今新築したらいくらかかるか)×経年減点補正率」で算出されます。築年数が経つほど経年減点補正率(けいねんげんてんほせいりつ)が小さくなるため、評価額も下がる仕組みです。

ただし、物価高の局面では再建築費が上昇するため、経年減価の効果が打ち消される場合があります。

中古物件の建物固定資産税評価額は築年数で下がる|経年減点補正率グラフ(木造・RC造比較)

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「経年減点補正率」とは何か

経年減点補正率とは、建物が古くなるにつれて生じる価値の低下を数値化したものです。築年数が増えるほど小さくなり、評価額を押し下げる方向に働きます。構造によって下がり方の速さが異なります。

木造は築15〜35年の間(グレードによって異なる)で最低値に達して下げ止まり、RC造(鉄筋コンクリート造)は築60年前後が目安です。最低残存率(さいていざんぞんりつ)は構造によらず20%に設定されており、どれだけ古くなっても評価額はゼロにはなりません(出典:総務省 固定資産評価基準第2章家屋)。

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物価高局面では「築古でも評価額が下がらない」ことがある

建物評価額の計算式は「再建築費×経年減点補正率」です。経年減点補正率は築年数が増えるほど下がりますが、再建築費(資材費・労務費)が物価上昇によって高くなると、経年減点補正率の低下分を再建築費の上昇が打ち消します。

その結果、評価替えのたびに評価額が横ばいになるか、思ったほど下がらない現象が起きます。

令和3年・令和6年の評価替えでは、建築資材の価格高騰を反映した再建築費の上昇により、この現象が多くの物件で実際に起きています。「築古だから固定資産税は安い」と思い込んで購入すると、予想より税額が高かったという事態になりかねません。

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建物評価額の「底打ち」|下げ止まったあとも税額はゼロにならない

経年減点補正率が最低値(20%)に達すると、それ以上は下がらない「底打ち」状態になります。木造であれば築15〜35年前後、RC造であれば築60年前後が目安です。

底打ち後も再建築費が上昇すれば、「再建築費×20%」の計算により評価額は上昇します。本記事の「物価高局面では「築古でも評価額が下がらない」ことがある」で説明した物価高の影響は、底打ち後の築古物件でも同様に現れます。「底打ちしたから税額は固定」とはならない点に注意が必要です。

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2-4. 都市計画税も忘れずに|市街化区域内の物件は別途かかる

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てるための地方税です。市街化区域(都市計画法で市街化を進める区域として指定された区域)にある土地や建物に対して課税されます。

税率は最大0.3%で、市区町村ごとの条例によって決まります。また、固定資産税と同様に住宅用地の特例が適用されますが、軽減割合は固定資産税とは異なります。

都市計画税の税額は固定資産税の課税明細書に記載されており、通常は固定資産税とあわせて納付します。分割納付の場合は、年4回に分けて支払うのが一般的です。

なお、本記事の「6.中古物件の固定資産税を下げる方法|軽減措置・減税制度」で解説するリフォーム促進税制の軽減対象は固定資産税のみであり、都市計画税には適用されません。

2-5. 売買価格から逆算する固定資産税の目安額

「この中古物件を購入したら、固定資産税はいくらになるのだろう?」

そのような疑問を持つ人は少なくありません。しかし、固定資産税評価額は購入前に確認できないケースが一般的です。

そこで活用したいのが、売買価格から固定資産税の目安を逆算する方法です。実際の税額とは異なる場合がありますが、おおよその負担額を把握するのに役立ちます。

  1. 売買価格を土地と建物に分ける
  2. 建物価格から建物の評価額を推計する
  3. 土地価格から土地の評価額を推計する
  4. 建物の固定資産税を計算する
  5. 土地の固定資産税を計算する
  6. 建物分と土地分を合計する

建物の評価額は、築年数が増えるほど低くなる傾向があります。一方、土地は売買価格のおおよそ70%程度を評価額の目安として考えます。

以下の表は、中古戸建や中古マンションの売買価格から固定資産税を概算する際の参考値です。

逆算の目安表(中古戸建・木造)
築年数帯 ①売買価格に占める建物の割合 ②建物の評価額(①×60%) ③建物分の固定資産税(②×1.4%)
0〜10年 売買価格×60% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
11〜20年 売買価格×50% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
21〜30年 売買価格×40% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
31年以上 売買価格×30% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
逆算の目安表(中古マンション・RC造)
築年数帯 ①売買価格に占める建物の割合 ②建物の評価額(①×60%) ③建物分の固定資産税(②×1.4%)
0〜15年 売買価格×70% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
16〜30年 売買価格×60% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
31〜45年 売買価格×50% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%
46年以上 売買価格×40% 建物売買価格×60% 評価額×1.4%

たとえば、売買価格3,000万円、築15年の木造中古戸建で、土地1,800万円・建物1,200万円と仮定した場合、年間の固定資産税は約7万9,000円が目安となります。

もちろん、実際の税額は物件ごとに異なります。筆者もこれまで複数の中古物件を購入してきましたが、一般的には売買価格が低い物件ほど固定資産税も低くなる傾向があります。特に築年数の多い物件では建物評価額が下がるため、固定資産税の負担も軽くなるケースが少なくありません。

ただし、この方法で算出できるのはあくまで目安です。実際の固定資産税評価額は、市区町村が固定資産評価基準に基づいて決定します。そのため、物件の仕様や立地、評価替えの時期などによって税額は変わります。

購入前により正確な税額を確認したい場合は、本記事の「3.中古物件の固定資産税の調べ方」で解説する「売主への確認方法」を参考にしてください。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、中古物件など住宅や土地の固定資産税をパパっと簡単にシミュレーションできるツールを公開中です。ぜひご利用ください。

お役立ちツール
固定資産税をパパっとシミュレーション|売買価格から税額を試算

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3. 中古物件の固定資産税の調べ方

中古物件の固定資産税を調べる方法は、知りたい内容によって異なります。

ひとつは、「実際の固定資産税額を確認したい」というケースです。この場合は課税明細書を確認すれば、税額を把握できます。

もうひとつは、「なぜその税額になるのかを知りたい」「評価額や課税標準額も確認したい」というケースです。この場合は、固定資産税の根拠となる資料を確認する必要があります。また、購入前か購入後かによって利用できる方法が変わります。

ここからは、それぞれの状況に応じた固定資産税の調べ方をわかりやすく解説します。

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3-1. 購入後なら課税明細書で税額も評価額も一発確認

中古物件を購入した翌年の4〜6月ごろ、市区町村から「納税通知書」が届きます。この通知書に同封されている「課税明細書」を見れば、税額・評価額・課税標準額をまとめて確認できます。

課税明細書には土地・建物それぞれについて「税額」「価格(=評価額)」「課税標準額」「軽減税額」が記載されています。

本記事の「1.まず整理|固定資産税にまつわる3つの紛らわしい用語」で解説した通り、「価格」欄が固定資産税評価額、「課税標準額」欄が実際に税率をかける計算の元になる数字です。

実際に支払う税額を知りたいだけなら、課税明細書の「税額」欄を確認するだけで十分です。評価額の水準が適正かどうか気になる場合は、「価格」欄の数字を本記事の「2.中古物件の固定資産税の計算方法」で解説した固定資産税の逆算方法と照らし合わせてみてください。

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3-2. 購入前に評価額を調べたい場合の3つの方法

購入前に中古物件の固定資産税をできるだけ正確に把握したい場合は、固定資産税評価額を確認するのが最も確実です。

ただし、固定資産課税台帳の閲覧や固定資産評価証明書の取得は、原則として納税義務者本人(売主)やその代理人などの関係者に限られます。そのため、買主が単独で取得できないケースが多いことを知っておきましょう。

購入前に評価額を確認する主な方法は、次の3つです。

購入前に固定資産税評価額を調べる3つの方法の比較
方法 手続きできる人 取得できる情報 費用 実務上の課題
不動産会社経由で売主に確認 仲介不動産会社が売主に照会 現在の税額・評価額(売主提供) 不要 売主が非開示の場合あり
固定資産課税台帳の閲覧申請 納税義務者本人・代理人のみ 評価額・課税標準額を閲覧 原則無料 買主は売主の委任状が必要
固定資産評価証明書の取得 納税義務者本人・代理人のみ 評価額の公的証明書(原本) 市区町村によって異なり300円程度 買主は売主の書面による委任が必要(地方税法第382条の3

実務では、まず仲介会社を通じて売主に課税明細書や評価額の開示を依頼する方法が最も一般的です。より正確な情報が必要な場合は、売主の協力を得たうえで固定資産課税台帳の閲覧や固定資産評価証明書の取得を検討するとよいでしょう。

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不動産会社経由で売主に確認する(最も現実的な方法)

中古物件を購入前に評価額と税額を把握する最も現実的な方法は、仲介不動産会社を通じて売主に「固定資産税・都市計画税の課税明細書のコピー」を提供してもらうことです。

売主に法的な開示義務はありませんが、通常の売買では慣行的に開示されるケースが大半です。課税明細書には評価額・課税標準額・税額がすべて記載されており、1枚確認するだけで固定資産税の全体像を把握できます。

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固定資産課税台帳の閲覧申請(役所窓口)

中古物件の固定資産税評価額を購入前に確認したい場合は、役所の税務課窓口で固定資産課税台帳を閲覧する方法があります。

固定資産課税台帳(こていしさんかぜいだいちょう)とは、市区町村が管理している台帳で、固定資産税評価額や課税標準額などが記録されています。

なお、閲覧できるのは原則として納税義務者本人や代理人などの関係者に限られます。そのため、買主が売主所有の物件について閲覧したい場合は、売主から委任状を取得しなければなりません。

閲覧手数料は自治体によって異なり、無料の場合もあれば数百円程度の費用がかかる場合もあります。また、閲覧のみでコピーを取得できない自治体もあります。

固定資産税評価額や課税標準額を直接確認できる点は大きなメリットです。一方で、閲覧した内容は証明書ではないため、金融機関や法務局などへ提出する公的書類として利用することはできません。

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固定資産評価証明書の取得

中古物件の固定資産税評価額を正確に確認したい場合は、固定資産評価証明書を取得する方法があります。

固定資産評価証明書(こていしさんひょうかしょうめいしょ)とは、固定資産税評価額を公的な証明書として取得できる書類です。相続登記、金融機関への融資申請、不動産取得税の申告など、評価額を対外的に証明する必要がある場面で利用されます。

取得できるのは、原則として納税義務者本人や法定代理人、委任状を持つ代理人などに限られます。そのため、買主が単独で取得することはできません。購入前に取得したい場合は、売主の協力を得て委任状を用意する必要があります。

また、地方税法の規定により、納税義務者の同意なく第三者へ交付することは認められていません。手数料は自治体によって異なりますが、1通あたり300円程度が一般的です。

固定資産課税台帳の閲覧と異なり、公的な証明書として利用できる点が固定資産評価証明書の大きな特徴です。

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3-3. マンション(区分所有)の場合は登記事項証明書も確認する

マンションの固定資産税は、「建物(専有部分)」と「土地(敷地権に応じた持分)」の両方に対して課税されます。

このうち土地分の固定資産税は、マンション全体の土地評価額を各住戸の敷地権割合に応じて按分して計算されます。そのため、課税明細書だけでは土地分の税額がどのように計算されているのか分からない場合があります。

土地の持分を正確に確認したい場合は、登記事項証明書(全部事項証明書)もあわせて確認するとよいでしょう。

敷地権割合は、登記事項証明書の「表題部(敷地権の表示)」欄に記載されています。この割合を確認することで、自分の住戸に割り当てられている土地持分を把握できます。

以下は、法務省が公開するマンションの登記事項証明書の見本であり、赤い線で囲まれた箇所に敷地権割合が記されています。

法務省が公開するマンションの登記事項証明書の見本、敷地権割合が記されている

出典:法務省

登記事項証明書は、法務局の窓口またはオンラインサービス「登記ねっと」から取得できます。取得手数料は請求方法によって異なりますが、数百円程度です。

マンションの固定資産税を詳しく確認したい場合は、課税明細書だけでなく登記事項証明書もあわせて確認することをおすすめします。

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4. 中古物件の固定資産税はいつから・誰が払う?

中古物件を購入する際、「固定資産税はいつから自分が払うのか」「売主と買主のどちらが負担するのか」は気になるポイントです。

結論からいうと、法律上の納税義務者は引渡日ではなく、毎年1月1日時点の所有者によって決まります。このルールを知らないと、決済時の費用計算を誤る可能性があります。

ここでは、固定資産税の納税義務者の決まり方や、売買時の日割り精算の仕組みについて解説します。

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4-1. 「誰が払うか」の原則|毎年1月1日の所有者に課税される

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者に対して、その年度分が課税される税金です。

そのため、年の途中で中古物件を売買した場合でも、法律上の納税義務者は1月1日時点の所有者のまま変わりません。

たとえば、令和7年11月に売買契約を締結し、令和8年3月に所有権移転登記(不動産の所有者を物件の売主から買主などに変更する登記)を行った場合でも、令和8年度の固定資産税は売主に課税されます。令和8年1月1日時点の所有者が売主だからです。

この仕組みがあるため、不動産売買の実務では「日割り精算」という方法が広く利用されています。

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4-2. 売買時の日割り精算のしくみ

日割り精算とは、引渡日を基準に、買主が引渡日以降の固定資産税相当額を売主へ支払う慣行のことです。

法律上の納税義務者は売主のままですが、実際に物件を利用する期間に応じて税負担を分ける方が公平であるため、不動産売買では一般的に行われています。

ただし、日割り精算は法律で義務付けられているものではありません。売買契約上の合意によって行われるものであり、契約内容によっては実施されない場合もあります。筆者も中古物件を購入する際に日割り精算が実施されないことがありました。

しかし、通常は仲介会社が契約書に精算条項を盛り込み、金額も計算してくれるため、買主が自分で計算する機会は多くありません。

計算方法は一般的に、

  • 年間固定資産税額 ÷ 365日 × 買主負担日数

で求めます。起算日は「1月1日」とする地域と、「4月1日」とする地域があり、慣行は地域によって異なります。

中古物件の固定資産税の日割り精算のしくみ|売主と買主の負担割合を図解

【具体例】年間税額12万円・引渡日6月30日(1月1日起算)の場合

  • 売主負担:1月1日~6月29日(180日)※平年・うるう年・具体的な月の日数によって異なります → 約5万9,200円
  • 買主負担:6月30日~12月31日(185日)→ 約6万0,800円
  • 決済時に買主が約6万0,800円を売主へ支払う

なお、この精算金は固定資産税そのものではありません。あくまで売主と買主の間で行う費用調整です。

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4-3. 「いつから」自分で払うのか|翌年4〜6月ごろが初回

中古物件を購入した買主が、自分名義で固定資産税を納付するのは、通常は購入した年の翌年からです。

購入した年の翌年1月1日時点で所有者になっていれば、その年の固定資産税の納税義務者となります。その後、4〜6月ごろに市区町村から納税通知書が送付されます。

初めて不動産を購入する人は、「購入した年には自分宛ての納税通知書が届かない」という点を見落としがちです。

購入した年の固定資産税については、前項で解説した日割り精算によって売主へ負担分を支払います。一方、市区町村へ直接納付するのは翌年以降となります。

なお、納税通知書には通常、納付書が同封されています。納付書には、一括で納付するためのものと、年4回に分けて納付するためのものが用意されており、自分に合った方法を選んで納付できます。

ただし、納付方法や納付回数は自治体によって異なる場合があるため、納税通知書の案内を確認しておきましょう。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、固定資産税のお得な払い方を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税のお得な払い方|令和8年度の納税額別ベストルート

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5. 中古物件の固定資産税が「上がる」ケース

中古物件を購入した後に固定資産税が上がるケースは、主に次の4つです。

  • 3年ごとの評価替え
  • 増築や大規模リフォーム
  • 空き家化による住宅用地の特例の解除
  • 更地化や用途変更による住宅用地の特例の解除

固定資産税は毎年同じ金額とは限りません。どのような場合に税額が上がるのかを事前に知っておくことで、中古物件購入後の負担増にも落ち着いて対応できます。

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5-1. 3年ごとの評価替えで土地の評価額が上がることがある

固定資産税の評価額は3年ごとに見直されます。これを「評価替え」といいます。

土地の評価額は地価の動向を反映して決まるため、地価が上昇したエリアでは評価額が高くなり、それに伴って課税標準額や固定資産税も上がることがあります。

一方、建物は増築や大規模な改修を行わない限り、評価替えによって評価額が上がることは原則としてありません。一般的には据え置き、または経年劣化に応じて下がっていきます。

ただし、近年は建築資材や人件費の上昇によって再建築費が高くなっており、以前ほど評価額が下がりにくいケースも見られます。

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5-2. 増築・大規模リフォームをすると税額が上がることがある

増築や大規模なリフォームを行うと、建物の評価額が見直され、翌年度以降の固定資産税が上がることがあります。

たとえば、部屋を増築したり、建物の規模や性能が大きく向上する工事を行ったりすると、その分が評価額に反映される可能性があります。

また、固定資産税の評価は3年ごとの評価替えだけで行われるわけではありません。建物の状態が大きく変わった場合には、市区町村が個別に再評価を行うことがあります。

ただし、リフォームをしたからといって必ず税額が上がるわけではありません。一定の省エネ改修やバリアフリー改修などは、固定資産税の減税制度を利用できる場合があります。そのため、工事内容によっては増税にも減税にもなり得る点を理解しておきましょう。

詳細は、本記事の「6.中古物件の固定資産税を下げる方法|軽減措置・減税制度」で解説します。

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5-3. 空き家になると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が大幅に上がる

住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の軽減制度が適用されます。

たとえば、小規模住宅用地(200㎡以下)の場合、固定資産税を計算する基準となる課税標準額は、評価額の6分の1まで軽減されます。そのため、住宅が建っている土地の固定資産税は、本来の評価額をそのまま使って計算する場合よりも大幅に安くなっています。

しかし、空き家が一定の条件に該当すると、この住宅用地の特例が解除されることがあります。特例が外れると、これまで6分の1に軽減されていた課税標準額が大きく上昇するため、固定資産税も大幅に増えることになります。

ここで、「住宅用地の特例が外れると固定資産税は6倍になる」と聞いたことがある人もいるかもしれません。

確かに、課税標準額だけを見ると「評価額の6分の1」から「評価額そのまま」に戻るため、単純計算では6倍になります。しかし、実際には多くの土地で「負担調整措置」という別の制度が適用されるため、税額がそのまま6倍になるわけではありません。

負担調整措置とは、固定資産税の急激な増加を抑えるための仕組みです。特例が外れた土地でも、課税標準額は一般的に評価額の70%程度が上限となります。

その結果、課税標準額は「評価額の6分の1」から「評価額の70%」へ変わることになり、固定資産税は約4.2倍、都市計画税は約2.1倍、両税をあわせると約3.6倍程度になるケースが一般的です。

住宅用地の特例が解除される主な対象は次のとおりです。

  • 特定空家等:放置すると保安・衛生・景観などに著しい悪影響を及ぼすおそれがある空き家
  • 管理不全空家等:特定空家等になるおそれがある空き家

ただし、特例が解除されるのは自治体から「勧告」を受けた場合です。単に空き家になっただけでは特例は外れません。

そのため、「誰も住んでいない=すぐに固定資産税が上がる」というわけではありませんが、空き家を長期間放置すると税負担が大幅に増える可能性がある点には注意が必要です。

空き家になると固定資産税は何倍になるか|住宅用地の特例喪失と負担調整措置を図解

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5-4. 住宅用地の特例が外れる他のケース

住宅用地の特例が解除されるのは、空き家への勧告だけではありません。

代表的なケースのひとつが、建物を解体して更地にした場合です。住宅がなくなると住宅用地の特例を受けられなくなり、翌年以降の固定資産税が大幅に上がる可能性があります。

また、住宅を倉庫やコインパーキングなどに用途変更した場合も、住宅用地の特例の対象外になることがあります。

たとえば、「使わなくなった家を取り壊して駐車場として活用しよう」と考えた結果、固定資産税の増加によって思ったほど収益が残らないケースもあります。

このような場合は、解体後に住宅を新築する、早めに売却する、税負担を収益計画に織り込むなどの対策を検討することが大切です。

住宅用地の特例が外れると税負担は大きく変わるため、用途変更や解体を行う前に影響額を確認しておきましょう。

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6. 中古物件の固定資産税を下げる方法|軽減措置・減税制度

固定資産税を下げる手段は、大きく「土地の特例」と「リフォームによる減税」の2種類に分かれます。中古物件を購入した場合は、一部例外を除き土地の特例はすでに適用されていますが、リフォーム促進税制は自分で申請しなければ適用されません。

申請を忘れると、せっかくの減税機会を丸ごと逃すことになるため注意が必要です。

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6-1. 土地の軽減|住宅用地の特例はすでに適用されている

住宅が建っている土地には、本記事の「2-2.土地の固定資産税の計算|住宅用地の特例が大きく影響する」で解説した「住宅用地の特例」が適用されます。

中古物件を購入した場合も、一部例外を除き引き続き同じ特例が適用されるため、土地の固定資産税を下げるために新たな申請は原則不要です。

ただし、住宅の用途を変更した場合は注意が必要です。たとえば、住宅の一部を事務所・店舗・倉庫などに転用した場合は、住宅用地の特例の対象面積が変わることがあります。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、住宅用地の特例の詳細を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
住宅用地の特例とは|軽減率・計算例・特例が外れる条件を解説

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6-2. リフォームによる固定資産税の減額措置【令和13年3月31日まで延長済み】

中古物件を購入後に一定の条件を満たすリフォームをすると、工事完了後の翌年度の固定資産税が減額される制度があります。この制度を「リフォーム促進税制」などと呼び、令和8年度税制改正によって、適用期限が令和13年3月31日まで5年間延長されました(出典:国土交通省 リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について)。

まず、この制度全体に共通する3つの注意点をお伝えします。

  • 都市計画税には適用されません。 リフォーム促進税制では、都市計画税は減税されません。
  • 自動適用ではありません。 工事完了から3か月以内に、ご自身で市区町村へ申請する必要があります。
  • 土地は対象外です。 減額されるのは建物(家屋)の固定資産税のみです。

リフォーム促進税制の対象となるリフォームは、以下の通りです。

リフォーム促進税制4種類の要件・減税割合・適用期限一覧【令和8年度最新版】
種類 主な対象の建築年 工事費用の下限 翌年度の固定資産税 適用期限 都市計画税
耐震改修 昭和57年1月1日以前に建築 50万円超(税込) 1/2に減額 〜令和13年3月31日 対象外
省エネ改修 平成26年4月1日以前に所在 60万円超(税込) 2/3に減額(1/3減) 〜令和13年3月31日 対象外
バリアフリー改修 新築後10年以上 50万円超(税込) 2/3に減額(1/3減) 〜令和13年3月31日 対象外
長期優良住宅化改修 旧耐震または一定省エネ工事を実施した建物 1/3に減額(2/3減) 〜令和13年3月31日 対象外

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耐震改修|翌年度の固定資産税が2分の1に

耐震改修とは、古い耐震基準で建てられた住宅を、現在の耐震基準(「新耐震基準」といいます)を満たすように補強する工事のことです。昭和57年1月1日以前に建てられた住宅が対象で、適法な工事を行うと翌年度の固定資産税が半額になります。

たとえば、年間の固定資産税(建物分)が10万円の場合、耐震改修を行った翌年度は5万円になります。原則として減額期間は1年間ですが、市区町村が指定する「特に重要な避難路」の沿道にある住宅については2年間が対象です。

主な適用要件は、次の通りです。

  • 昭和57年1月1日以前から所在する家屋であること
  • 現行の耐震基準に適合する耐震改修を行うこと
  • 工事費が50万円(税込)を超えること
  • 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
  • 工事を令和13年3月31日までに完了すること

申請期限は工事完了日から3か月以内です(出典:国土交通省 耐震改修に係る固定資産税の減額措置)。

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省エネ改修|翌年度の税額が3分の1減額

省エネ改修とは、窓の断熱改修や壁・床・天井の断熱工事など、住宅の断熱性能を高める工事のことです。対象は「平成26年4月1日以前から所在する家屋」で、要件を満たせば翌年度の固定資産税が3分の1減額されます(税額が3分の2になります)。

なお、インターネットでは「平成20年以前建築の住宅が対象」と記されている情報を見かけますが、正確な要件は「平成26年4月1日以前から所在する家屋」です(出典:国土交通省 省エネ改修に係る固定資産税の減額措置)。

主な適用要件は、次の通りです。

  • 平成26年4月1日以前から所在する家屋であること
  • 改修後の断熱部位がすべて「平成28年省エネ基準」を新たに満たすこと
  • 工事費(補助金等を差し引いた額)が60万円(税込)を超えること
  • 賃貸住宅ではないこと
  • 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
  • 工事を令和13年3月31日までに完了すること

固定資産税が減額されるのは建物の床面積120㎡相当分までで、翌年度1年間が対象であり、申請期限は工事完了日から3か月以内です。

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バリアフリー改修|翌年度の税額が3分の1減額

バリアフリー改修とは、手すりの設置・段差の解消・滑り止め床材への変更・引き戸への改修など、高齢者や障がいのある方が暮らしやすくするための工事のことです。一定の居住者がお住まいになる築10年以上の住宅に実施すると、翌年度の固定資産税が3分の1減額されます(税額が3分の2になります)。

主な適用要件は、次の通りです。

  • 65歳以上の方(工事完了の翌年1月1日時点)、要介護認定または要支援認定を受けている方、障がいのある方のいずれかが居住する住宅であること
  • 新築後10年以上が経過した家屋であること
  • 賃貸住宅ではないこと
  • 工事費(補助金等を差し引いた額)が50万円(税込)を超えること
  • 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
  • 工事を令和13年3月31日までに完了すること

減額されるのは床面積100㎡相当分までで、翌年度1年間が対象、申請期限は工事完了日から3か月以内です(出典:国土交通省 バリアフリー改修に係る固定資産税の減額措置)。

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長期優良住宅化改修|翌年度の税額が1/3になります(3分の2減額)

長期優良住宅化改修とは、耐震改修または省エネ改修を行ったうえで「長期優良住宅」の認定を取得する工事のことです。長期優良住宅とは、耐久性・耐震性・省エネ性能など一定の基準を満たしていると国が認定した住宅を指します。

長期優良住宅化改修は、リフォーム促進税制の中で最も減税幅が大きく、翌年度の固定資産税が1/3になります(3分の2減額)(出典:国土交通省 長期優良住宅化改修に係る固定資産税の減額措置)。

たとえば、建物分の固定資産税が年間15万円の場合、翌年度は5万円まで下がるといった具合です。主な適用要件は、次の通りです。

  • 増改築による長期優良住宅の認定を取得していること
  • 耐震改修の場合:昭和57年1月1日以前から所在する家屋で、工事費が50万円(税込)超であること
  • 省エネ改修の場合:平成26年4月1日以前から所在する家屋で、工事費(補助金等を差し引いた額)が60万円(税込)超であること
  • 賃貸住宅ではないこと
  • 床面積が40㎡以上240㎡以下であること
  • 工事を令和13年3月31日までに完了すること

申請期限は工事完了日から3か月以内です。

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省エネ改修とバリアフリー改修は同時申請で合算できる

これまでにご紹介した各リフォーム促進税制は、原則として併用はできません。しかし、例外として省エネ改修とバリアフリー改修だけは同時に工事を行いつつ申請して減税額を合算できます

省エネ改修で「税額の1/3を減額」、バリアフリー改修で「税額の1/3を減額」し、あわせて「税額の2/3が減額」され、翌年度の固定資産税が3分の1になるといった具合です。

たとえば、建物分の固定資産税が年間12万円の場合、省エネ改修のみなら翌年度は8万円(1/3減)、バリアフリー改修のみでも同様に8万円ですが、両方を同時に実施すれば4万円(2/3減)まで下がります。

もし、省エネ改修とバリアフリー改修を行うのであれば、同時に申請することを強くおすすめします。

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6-3. 減税措置を受けるための申請手順

リフォーム促進税制の適用を受けるためには申請が必須です。工事が終わっても何もしなければ、翌年度の税額は自動的には下がりません。そして申請期限は工事完了日から3か月以内と定められており、期限を過ぎると適用できなくなります。

さらに、見落としがちな落とし穴があります。申請には「増改築等工事証明書」という書面が必要であり、それは一部の限られた業者しか発行できないという点です。

よって、工事を依頼する前(工事請負契約を結ぶ前)に、その業者が証明書を手配できるかを確認しておく必要があります。工事が終わった後に「証明書が取れない」と気づいても、申請できなくなる可能性があるからです。

中古住宅リフォーム固定資産税減税の申請手順フロー図|省エネ・バリアフリー・耐震

ステップ① 工事請負契約の前に「証明書を手配できるか」を確認する

リフォーム促進税制の申請には「増改築等工事証明書(ぞうかいちくとうこうじしょうめいしょ)」という書類が必要です。これは「リフォームの内容が減税の要件を満たしていること」を公的に証明する書類で、次の機関のいずれかが発行できます。

  • 登録された建築士事務所に属する建築士
  • 指定確認検査機関
  • 登録住宅性能評価機関
  • 住宅瑕疵担保責任保険法人

施工業者がこれらの機関に属していない場合、業者自身では証明書を発行できません。その場合は、別途これらの機関に証明書の発行を依頼する必要があります。工事請負契約を結ぶ前に施工業者へ「固定資産税の減額申請に使う増改築等工事証明書を手配してもらえますか?」と確認しておくことが大切です。

ステップ② 工事完了後、3か月以内に準備を始める

工事が終わったら、施工業者または上記機関に証明書の発行を正式に依頼します。申請期限は工事完了日から3か月以内です。「後でいいや」と後回しにすると期限を過ぎてしまうリスクがあるため、工事完了後すぐに動き出しましょう。

ステップ③ 必要書類を揃えて窓口へ

市区町村の税務窓口に「固定資産税減額申告書」と、工事の種類に応じた証明書類を持参して申請します。制度の種類や自治体によって必要書類が異なるため、窓口またはホームページで事前に確認しておくと安心です。

なお、固定資産税減額申告書は、市町村のホームページ、または窓口にて入手できます。

ステップ④ 翌年度の課税明細書で減額を確認する

申請が受理されると、翌年4〜6月に届く課税明細書の「軽減税額」欄に金額が記載されます。申請した内容と照らし合わせて、正しく減額されているかを確認してください。

いずれの減税制度も、1戸につき適用は1回限りです。一度適用を受けた制度を再度申請することはできないため注意してください。

リフォーム促進税制は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」にて公開中の以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
建物の固定資産税の軽減措置|令和13年3月末まで延長

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7. よくある疑問Q&A

中古物件の固定資産税について、本記事で説明しきれなかった疑問をQ&A形式でお答えします。「購入を希望する中古マンションの税額はどう計算するの?」「税額に納得できないときはどうすれば?」といった具体的な疑問に、順を追って解説しましょう。

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7-1. 中古マンションの固定資産税はどう計算する?

中古マンション(区分所有建物)の固定資産税は、「建物分」と「土地分」の2つを合算して計算します。戸建てと違うのは、マンション全体(一棟)をまとめて評価したうえで、各住戸に税額を配分するという仕組みになっている点です。

この仕組みを知らないと、マンションの固定資産税がどうやって決まっているのかわからなくなってしまいます。

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土地は「敷地権の割合」で按分される

マンションには多くの住戸があり、敷地(土地)は全員で共有しています。そのため土地の固定資産税は、マンションが建つ土地全体の評価額を各住戸の「敷地権の割合(しきちけんのわりあい)」で按分(あんぶん=比例配分)して、各住戸の負担額を算出します。

敷地権の割合とは、マンションが建つ敷地に対して自分の住戸が持つ権利の割合のことです。本記事の「3-3.マンション(区分所有)の場合は登記事項証明書も確認する」で解説した通り、この数字は登記事項証明書の「表題部(敷地権の表示)」欄に記載されています。

具体例を示します。マンションが建つ全体の評価額が5億円で、自分の住戸の敷地権の割合が1/500の場合、自分の住戸に割り当てられる土地評価額は次のようになります。

  • 土地評価額:5億円×1/500=100万円
  • 住宅用地の特例(小規模住宅用地)適用後の課税標準額:100万円×1/6≒16万7,000円
  • 土地の固定資産税:16万7,000円×1.4%≒2,300円

建物分も同様に、マンション一棟全体の建物評価額を各住戸の専有面積の割合で按分して求めます。

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タワーマンションは階数によって税額が変わる

高さが60メートルを超えるマンション(いわゆるタワーマンション)については、平成29年度の税制改正から、階層に応じた補正をかけて固定資産税を計算することとなりました(出典:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度固定資産税のしおり)。

なぜこのような補正が導入されたかというと、タワーマンションでは高層階ほど取引価格が高い傾向があるにもかかわらず、改正前は同じ床面積であれば高層階でも低層階でも同じ税額になっていたため、税負担が公平ではないことが問題視されたからです。

補正のしくみは次の通りです。まずマンション一棟全体の固定資産税額を算出し、次に「階層別専有床面積補正率(かいそうべつせんゆうゆかめんせきほせいりつ)」を使って各住戸の負担額を算出します。この補正率の計算式は「(階層-1)×0.25641+100(%)」で、1階上がるごとに約0.26%ずつ税額が増える仕組みです。

たとえば、50階建てマンションで一棟全体の固定資産税が1億円、各部屋が同一床面積であれば、補正後の税額は次のようになります。

  • 1階:約18万8,000円
  • 30階:約20万2,000円
  • 50階:約21万2,000円

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7-2. 固定資産税が安い中古物件の特徴は?

固定資産税が安くなりやすい条件は、「建物の評価額が低い」か「土地の課税標準額が小さい」かのいずれかに当てはまる場合です。条件を整理すると次の表の通りです。

固定資産税が安くなりやすい条件チェックリスト
項目 安くなりやすい条件 理由
築年数 築古(底打ち後も再建築費次第で変動あり) 経年減点補正率が低下するため
構造 木造 RC造より経年減価が早く進む
敷地面積 200㎡以下 すべて小規模住宅用地(1/6)が適用される
立地 市街化区域外 都市計画税が課税されない
エリア 地価の低いエリア 土地の評価額が低くなる
建物の仕様 設備・仕上げが標準的 評価点が上がりにくい

ただし、本記事の「物価高局面では「築古でも評価額が下がらない」ことがある」で解説した通り、物価高局面では築古物件でも「再建築費の上昇」によって評価額が下がりにくくなるケースがあります。

「築古だから固定資産税が必ず安い」とは言い切れない点に注意が必要です。

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7-3. 免税点とは?一定条件を満たせば税額がゼロになる

固定資産税には「免税点(めんぜいてん)」という制度があります。同じ市区町村内に自分が持つすべての土地、または建物の課税標準額の合計が、次の金額を下回る場合は固定資産税が課税されません。

  • 土地:課税標準額の合計が30万円未満
  • 建物:課税標準額の合計が20万円未満(令和9年度以降は30万円未満に引き上げ予定)

ここで間違えやすいのが、「固定資産税評価額(価格)」と「課税標準額」の違いです。

免税点の判定に使うのは固定資産税評価額ではなく、実際に税額計算の基準となる課税標準額です。そのため、評価額が比較的高い土地や建物でも、課税標準額が免税点未満であれば固定資産税は課税されません。

特に住宅用地には特例制度があるため、課税標準額が大きく引き下げられることがあります。

たとえば、土地の評価額が180万円だったとしても、小規模住宅用地の特例によって課税標準額が6分の1になると30万円になります。この場合、免税点は「30万円未満」であるため免税点には該当しませんが、評価額だけを見て判断すると誤解する可能性があります。

免税点に該当するかどうかを確認する際は、必ず評価額ではなく課税標準額を基準に判断しましょう。

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7-4. 固定資産税の金額に納得できない場合は?

固定資産税の評価額(価格)に疑問がある場合、市区町村内に設置された「固定資産評価審査委員会(こていしさんひょうかしんさいいんかい)」に審査を申し出ることができます。固定資産評価審査委員会とは、市区町村とは独立した第三者機関で、評価額が適正かどうかを客観的に審査する専門機関です。

申し出ができるのは、基本的に評価替えが行われた「基準年度(次回は令和9年度)」に限られます。申出期限は「固定資産課税台帳に登録した旨の公示の日(4月1日)から、納税通知書の交付を受けた日後3か月を経過する日まで」の間です。申し出できるのは納税義務者本人のみで、代理人を立てる場合は委任状が必要です。

なお、ここで申し出できるのは、「評価額(価格)への不服」だけです。課税標準額の計算方法や税額そのものへの不服は、評価審査委員会ではなく「市町村長への審査請求(しんさせいきゅう)」という手続きを取る必要があります(出典・参考:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和6年度固定資産税のあらまし)。

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まとめ|中古物件の固定資産税、押さえておきたい7つのポイント

中古物件の固定資産税を正しく理解するためには、「評価額・課税標準額・価格の違いを理解すること」「土地と建物を分けて考えること」「税額が上がる原因と下がる仕組みを知ること」の3つが重要です。最後に、この記事で解説した内容を整理します。

① 「評価額」「課税標準額」「課税明細書の価格」は別物

固定資産税の計算で混乱しやすいのが、この3つの用語です。課税明細書に書かれている「価格」欄が固定資産税評価額(市区町村が算定した時価相当額)であり、これに特例を適用した後の「課税標準額」に税率1.4%をかけたものが実際の税額になります。

② 土地には「住宅用地の特例」が適用される

中古物件を含め、住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の軽減制度が適用されます。たとえば、小規模住宅用地(200㎡以下)の場合、固定資産税の計算に使う課税標準額は評価額の6分の1まで軽減されます。

この特例は、住宅として利用されている限り、所有者が変わっても原則として引き継がれるため、新たに申請する必要はありません。

③ 建物の評価額は築年数で下がるが、物価高局面では下がりにくい

建物の評価額は「再建築費×経年減点補正率」で決まるため、築年数が増すほど低くなります。ただし、近年の資材費・労務費の高騰により再建築費が上昇しているため、評価替えのたびに「思ったほど下がらない」ケースが増えています。「築古だから固定資産税が安い」とはならない可能性があるため注意が必要です。

④ 空き家の固定資産税は「6倍」ではなく「約4.2倍」

「空き家にすると固定資産税が6倍になる」という情報を見かけますが、これは正確ではありません。特定空家等・管理不全空家等の勧告を受けて住宅用地の特例が外れた場合、負担調整措置(課税標準額は一般的に評価額の70%程度が上限)が適用されるため、固定資産税は約4.2倍、都市計画税は約2.1倍、合計で約3.6倍が現実的な上昇幅です。

⑤ リフォーム促進税制は「令和13年3月31日まで延長済み」かつ「申請が必須」

耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良住宅化の4種類のリフォーム促進税制は、令和8年度税制改正で適用期限が令和13年3月31日まで延長されました。ただし、どの制度も「申請しなければ自動的には適用されない」ため注意してください。適用を受けるためには、工事完了から3か月以内に市区町村の税務窓口へ申請する必要があります。

⑥ 売買時の固定資産税は「日割り精算」が慣行

固定資産税は1月1日時点の所有者(売主)に1年分が課税されます。年の途中で中古物件の売買が行われた場合、引渡日を基準に売主・買主でその年の税額を日割り精算するのが通例です。精算は法律上の義務ではなく売買契約書の合意事項のため、契約内容をよく確認してください。

⑦ 中古物件の購入前に固定資産税を調べるには「売主への確認」が最も現実的

中古物件の購入を検討している買主は、固定資産税評価額や課税情報を自由に取得できるわけではありません。これらの情報は原則として所有者本人のものであり、買主が単独で取得することは難しいためです。

そのため、購入前に固定資産税を確認したい場合は、仲介不動産会社を通じて売主に課税明細書のコピーを見せてもらう方法が最も現実的で確実です。課税明細書が確認できれば、実際の固定資産税額だけでなく、評価額や課税標準額も把握できます。

もし課税明細書を確認できない場合は、本記事の「2-5.売買価格から逆算する固定資産税の目安額」で解説した「売買価格からの逆算方法」を使って、おおよその固定資産税額を試算するとよいでしょう。

本記事の内容が、中古物件の固定資産税に関することを調べる皆様に役立てば幸いです。

著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般財団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov 地方税法総務省 固定資産評価基準第2章 家屋国土交通省 リフォーム促進税制【所得税・固定資産税】について一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度固定資産税のしおり一般財団法人資産評価システム研究センター 令和6年度固定資産税のあらまし
注意点
本記事の内容は令和8年6月時点のものです。最新の情報は市町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。

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