空き家の固定資産税は誰が払う?間違いない根拠から解説

空き家の固定資産税は誰が払う?

空き家の固定資産税は誰が払うか気になりますが、所有者が1人の場合は1人の所有者が、所有者が複数であり共有名義の場合は所有者全員が連帯して払うこととなります。

固定資産税に関することを定めた法律である地方税法の条文を基に、居住していない空き家の固定資産税は誰が払うかご紹介しましょう。

目次

1. 所有者が1人の空き家はその1人が払う

まずは、空き家の所有者が1人の場合における、その固定資産税を誰が払うかご紹介しましょう。

空き家を含む不動産の固定資産税を誰が払うべきかは、固定資産税に関することを定めた法律「地方税法」の第三百四十三条にて規定され、同条文をわかりやすくご紹介すると以下のとおりです。

地方税法 第三百四十三条(固定資産税の納税義務者等)
固定資産税は、固定資産の所有者に課する

上記のとおり、固定資産税は固定資産の所有者に課せられることとなり、地方税法における固定資産とは空き家を含む家屋や土地などです。

よって、空き家の所有者が1人である場合は、その固定資産税は所有者である1人の方が払うこととなります。

これは、空き家を相続した場合も同じであり、その空き家を相続しつつ所有する方に固定資産税が課せられ、その方が払うこととなります。

空き家の所有者が1人の場合は、その1人が固定資産税を払う

ところで、固定資産税が課せられることとなる空き家の所有者の定義ですが、登記簿に所有者と記されている方がその空き家の所有者となります。

登記簿とは、法務省の地方支部局である法務局に設置されている、日本全国各地の不動産の権利を有する者に関する情報が記された公の帳簿です。

日本中にはたくさんの建物があり、それぞれの建物には所有者が存在しますが、その情報は登記簿に記されています。

また、日本の国土は細かく区切られ、それぞれの土地に所有者が存在しますが、その情報も登記簿に記されています。

空き家の所有者に関する情報も登記簿に記され、その所有者が固定資産税を払うことになるというわけです。

法務省が公開する建物の登記簿を写した書面である「登記事項証明書」の見本は以下のとおりであり、赤い丸で囲まれた箇所がその建物の所有者に関する情報です。

空き家の固定資産税を払う所有者は登記簿に記されている

出典:法務省「QRコード付き書面申請の開始と登記事項証明書の様式変更について

空き家の固定資産税は登記簿に記されている所有者が払うこととなり、所有する空き家の登記事項証明書は最寄りの法務局、または「登記・供託オンライン申請システム」にて交付を請求することが可能です。

なお、日本中にはたくさんの建物や土地などの不動産が存在しますが、その全ての不動産の所有者に関する情報が登記簿に記されているわけではありません。

築年数が古い空き家などは、登記簿に所有者に関する情報が記されていない場合があります。

その場合は、その空き家の家屋補充課税台帳に所有者として記されている方が固定資産税を払うこととなります。

家屋補充課税台帳とは、登記簿に所有者に関する情報が記されていない固定資産税の課税対象となる建物の所有者に関する情報が記された台帳であり、その空き家の家屋補充課税台帳は、その空き家が所在する市町村役場にて閲覧することが可能です。

ただし、家屋補充課税台帳は、その空き家の所有者、または所有者のご家族の方のみが閲覧できるため注意してください。

その空き家の所有者、または所有者のご家族以外の方がその空き家の家屋補充課税台帳を閲覧する際は、所有者、または所有者のご家族から預かった委任状の提示が必要です。

家屋補充課税台帳の詳細は、その空き家が所在する市町村役場の公式サイト内に設けられた検索窓に「固定資産課税台帳 閲覧」などと入力しつつ検索することによりご確認いただけます。

ちなみに、私が運営するもう一つのサイト「誰でもわかる不動産売買」では、登記簿をわかりやすく解説するコンテンツを公開中です。

空き家の固定資産税を誰が払うかお調べになりつつ登記簿の意味がよくわからない方がいらっしゃいましたら、ぜひご覧ください。

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2. 共有名義の空き家は連帯して払う

つぎに、名義を分け合いつつ持ち分を共有する、所有者が複数である空き家の固定資産税を誰が払うこととなるかご紹介しましょう。

空き家が共有名義の場合は、その固定資産税は名義を共有する方が連帯して払うこととなります。

たとえば、その空き家の持ち分を3人で分け合いつつ名義を共有する場合は、3人のうちの誰が払っても構いません。

その空き家の名義を共有する3人の方が、誰がどのように固定資産税を払うか協議しつつ決定することとなります。

持ち分に応じて払う額を調整したり、1人の方が全額を払うことも可能ですが、それもまた名義を共有する方が協議しつつ決定する必要があります。

空き家が共有名義の場合は連帯して固定資産税を払う

空き家が共有名義である場合に固定資産税を連帯して払うことの根拠は、固定資産税に関することを定めた法律である地方税法の第三百四十三条と第十条の二にて確認することが可能です。

同条文をわかりやすくご紹介すると以下のようになります。

地方税法 第三百四十三条(固定資産税の納税義務者等)
固定資産税は、家屋や土地などの固定資産の所有者に課する

地方税法 第十条の二(連帯納税義務)
市町村から徴収される共有物に課せられる税金は、納税義務者が連帯して納付する義務を負う

よって、複数人で名義を分け合いつつ持ち分を共有する空き家の固定資産税は、所有者で協議しつつ連帯して払います。

ただし、その空き家の固定資産税の納税通知書と納付書が届くのは、持ち分を共有する方のうちの1人のみであり、協議した内容が反映されるなど、納税額が分割された納付書の発行を希望することはできません。

理由は、先にご紹介したとおり、共有物に関する固定資産税は納税者が連帯して納付する義務を負うためです。

共有名義の固定資産に対する固定資産税の納税通知書と納付書が届く方を代表者などと呼び、代表者が決定される基準は市町村によって異なるものの、概ね持ち分の割合が多い方、その空き家が所在する市町村にお住まいの方になるのが通例です。

納税通知書と納付書が届く代表者を変更したい場合は、その空き家が所在する市町村役場に届け出をすることにより変更できます。

届け出の名称は市町村によって異なるものの「固定資産税の代表者の指定届け」などであり、届け出用紙は、その空き家が所在する市町村の公式サイトに設けられた検索窓に「固定資産税 代表者 変更」などと入力しつつ検索することによりお探しいただけます。

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まとめ - 固定資産税を払いたくない場合は売却を

空き家の固定資産税を誰が払うかご紹介しました。

空き家の固定資産税は空き家の所有者が払うこととなり、所有者が1人であれば1人の方が、共有名義で持ち分を分け合う場合は所有者全員が連帯して払うこととなります。

所有者の定義は、その空き家が登記されていれば登記簿に記されている所有者であり、登記されていない場合は家屋補充課税台帳に所有者として記されている方です。

空き家の固定資産税を誰が払うかお調べの方がいらっしゃいましたら、是非ご参考になさってください。

なお、空き家を所有しつつ固定資産税を払いたくない場合は、状況が許すのであれば早めに売却をするのが理想です。

住宅の固定資産税は木造であれば新築後15年から35年、鉄骨造であれば20年から40年、鉄筋鉄骨コンクリート造であれば60年をかけて徐々に下がりますが、最終的に0円になることはありません。

住宅の固定資産税は、それらの年月が経過することにより新築時の20%まで下がるだけです。

土地にかかる固定資産税は、その土地に建つ空き家などの建物の築年数が経過しても下がることはなく、その周辺の地価に応じて上下動します。

よって、空き家の固定資産税を払いたくないと希望する場合は、売却するのが良いでしょう。

売却を希望するものの空き家が老朽化しつつ売れない場合は、立地条件が良ければ空き家を解体しつつ更地にして売りに出すのも悪くはありません。

物件によっては、解体費用より高く売却できる可能性があります。

ご紹介した内容が、空き家の固定資産税を誰が払うかお調べになる皆様に役立てば幸いです。失礼いたします。

記事公開日:2021年8月

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