固定資産税の納付期限切れ 払わないとどうなる?

固定資産税の納付期限切れ 払わないとどうなる?

まもなく、多くの市町村で固定資産税第2期分(7月末)の納付期限を迎えます。

「納付期限を過ぎてしまったらどうなるの?」「今月は資金が足りず、期限までに払えないかもしれない……」と不安を感じている方もいるでしょう。

固定資産税は、納付期限を過ぎると翌日から延滞金が発生する可能性があります。さらに、滞納を続けると督促状が送付され、その後は財産の差押えへ進む場合もあります。ただし、期限を1日過ぎただけで、すぐに差押えが行われるわけではありません。

この記事では、納付期限を過ぎた翌日から何が起こるのか、延滞金の仕組みや金額の考え方、督促から差押えまでの流れ、さらに滞納時に利用できる救済制度について、順を追ってわかりやすく解説します。

また、すぐに全額を用意するのが難しい場合に利用を検討できる方法として、地方税お支払サイトからクレジットカードで納付し、カード会社が提供する分割払いやリボ払いなどのサービスを活用する選択肢についてもご紹介します。

「払えないから」とそのままにしてしまう前に、まずはこの記事で対応方法や利用できる選択肢を確認しておきましょう。

目次

1. 納付期限切れの翌日から何が起きる?

固定資産税の納付期限切れの翌日から何が起きる?

固定資産税の納付期限をうっかり過ぎてしまうと、「すぐに差押えになるの?」「何か大きなペナルティがあるの?」と不安になる方も多いでしょう。

結論から言えば、納付期限を1日過ぎただけで、すぐに財産が差し押さえられるわけではありません。 ただし、そのまま放置すると、延滞金の発生や督促状の送付など、段階を踏んで状況は悪化していきます。

ここでは、納付期限を過ぎた翌日から何が起こるのかを、時系列に沿ってわかりやすく解説します。

納期限の翌日から延滞金が発生する

納付期限(税金を納める期限の最終日)を1日でも過ぎると、その翌日から延滞金が発生します。延滞金とは、本来の税額に加えて、納付が遅れたことに対して支払う金額です。

延滞金は、納付していない固定資産税額と、納付が遅れた日数に応じて計算されます。

とはいえ、数日程度の遅れであれば、延滞金はごくわずかな金額で済むケースがほとんどです。延滞金の計算方法や具体的な金額の目安については、次の章で詳しく解説します。

納付期限を過ぎたことに気づいたら、延滞金をできるだけ増やさないためにも、金額にかかわらず早めに納付することが大切です。

納期限後20日以内に督促状が送られてくる

納付期限を過ぎても納付が確認できない場合、市区町村から督促状が送付されます。督促状とは、納付を促すために送られる正式な書類です。

地方税法第371条では、市区町村は納期限後20日以内に督促状を発しなければならないと定められています。

督促状には、未納となっている固定資産税額や延滞金、納付方法などが記載されています。この段階で、その内容に従って納付すれば、差押えなどの強制的な手続きに直ちに進むわけではありません。

なお、督促状が届いたあとに納付する場合は、延滞金に加えて督促手数料がかかることがあります。ただし、近年は条例の改正により、督促手数料を廃止している自治体も増えています。

そのため、督促手数料が必要かどうかは、お住まいの市区町村の納付書や公式サイトで確認すると安心です。

督促状のあとも放置すると、催告や財産調査へ進む

督促状が届いても納付が確認できない場合は、市区町村から催告書が送付されたり、電話や訪問による催告が行われたりすることがあります。

あわせて、給与や預貯金、不動産などの財産状況を確認するための「財産調査」が行われる場合もあります。

このように、滞納を放置すると、

  1. 督促状の送付
  2. 催告書の送付や電話・訪問による催告
  3. 財産調査
  4. 差押え

という流れで手続きが進みます。

一方で、催告を受けた段階で市区町村の納税担当窓口へ相談すれば、事情に応じて分割納付などを認めてもらえる可能性があります。

催告を無視し続けることが、最も避けたい対応です。 支払いが難しい場合は、できるだけ早く相談しましょう。具体的な相談方法については、この記事の後半「滞納してしまったときの対処法」で詳しく解説します。

最終的には差押えに至ることもある

督促状や催告を受けても納付せず、滞納を続けると、最終的には財産が差し押さえられる可能性があります。差押えとは、滞納している税金を回収するために、滞納者の財産を法律に基づいて確保する手続きです。

地方税法第373条では、督促状を発した日から10日を経過しても完納しない場合、市区町村は財産を差し押さえなければならないと定められています。

ただし、実際には督促状の送付後すぐに差押えが行われるケースは多くありません。多くの場合は、督促や催告、財産調査などを経たうえで差押えに進みます。それでも、制度上は督促状の発送から比較的短期間で差押えが可能になることは、知っておきたいポイントです。

差押えの対象となる財産には、次のようなものがあります。

  • 給与
  • 預貯金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 不動産
  • 自動車などの動産 など

なお、給与には法律により差押えが制限される部分があります。差押えの対象となる財産や、給与の差押えが制限される金額については、この記事の後半で詳しく解説します。

「差押え」と聞くと強い不安を感じるかもしれません。しかし、督促状や催告書が届いた段階で市区町村へ連絡し、納付の意思を伝えて相談すれば、差押えに至る前に解決できるケースは少なくありません。

「連絡しづらいから」と放置することが、最も避けるべき対応です。

固定資産税の滞納から差押えまでの流れを示すフローチャート
延滞金早見表
未納税額 1か月以内の延滞金(年2.8%) 1年間放置した場合の延滞金合計(目安)
5万円 約115円(30日分) 約4,200円
10万円 約230円(30日分) 約8,500円
20万円 約460円(30日分) 約17,100円

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2. 延滞金はいくら?計算方法と実例

固定資産税の納付期限を過ぎると延滞金はいくら?計算方法と実例

固定資産税の納付期限を過ぎてしまった場合、多くの方が気になるのは「延滞金は実際にいくらかかるのか」という点ではないでしょうか。

延滞金とは、納付期限までに納められなかった税額に対して加算される金額です。数日程度の遅れであれば負担はそれほど大きくないこともありますが、滞納期間が長くなるほど金額は増えます。

この章では、延滞金の計算方法、令和8年時点の延滞金の割合、さらに具体的な金額のシミュレーションをわかりやすく解説します。

延滞金は「日数」と「割合」で決まる

延滞金は、未納となっている固定資産税額に対して、納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて計算されます。

計算式は次のとおりです。

  • 延滞金 = 未納の税額 × 延滞金の割合 × 延滞日数 ÷ 365日

ここで重要なのが、延滞金の割合は一定ではないという点です。

納期限の翌日から1か月以内と、1か月を過ぎたあとでは、それぞれ異なる割合が適用されます。1か月以内は比較的低い割合ですが、1か月を超えると割合が高くなる仕組みです。

なお、ここでいう「1か月」は30日ではなく、暦に従って数えます。

例えば、

  • 納期限が5月31日の場合は6月30日まで
  • 納期限が1月31日の場合は2月28日まで(うるう年を除く)

が「1か月以内」に該当します。

一方、このあとの計算例では、わかりやすさを優先するため、便宜上「30日」として試算しています。実際の日数は納期限によって28日~31日の範囲で変わる点にご注意ください。

延滞金は、納付が遅れる日数が増えるほど加算されます。そのため、納付期限を過ぎたことに気づいたら、できるだけ早く納付することが、負担を抑える最も効果的な方法です。

令和8年の延滞金の割合はいくら?

延滞金の割合には、法律で定められた上限があります。

地方税法では、納期限の翌日から1か月以内は年7.3%、1か月を過ぎたあとは年14.6%が上限です。ただし、実際にこの割合がそのまま適用されるわけではありません。

延滞金の割合は、「延滞金特例基準割合」をもとに毎年見直されています。

延滞金特例基準割合とは、銀行の貸出金利などを参考に、毎年財務大臣が告示する基準です。地方税の延滞金は、この基準に基づいて割合が決まるため、近年の低金利を反映し、法律上の上限よりも低い割合が適用されています。

なお、この仕組みは地方税法附則で定められています。また、所得税や法人税など国税の「延滞税」も同様の考え方で割合が決められるため、地方税の延滞金とほぼ同じ水準となっています。

令和8年に適用される延滞金の割合は、次のとおりです。

期間 延滞金の割合
納期限の翌日から1か月以内 年2.8%
1か月経過後 年9.1%

「年14.6%」という数字だけを見ると、高額な延滞金を想像して不安になるかもしれません。しかし、令和8年に実際に適用される割合は、1か月以内が年2.8%、1か月経過後でも年9.1%です。

とはいえ、延滞金は日数に応じて増え続けます。負担を少しでも抑えるためには、納付期限を過ぎたことに気づいた時点で、できるだけ早く納付することが大切です。

さらに、延滞金の割合は毎年見直されるため、翌年度以降にこの記事をご覧になる場合は、最新の延滞金特例基準割合を確認してください。

実際にいくらかかる?計算例で確認

延滞金の仕組みがわかったところで、実際にどれくらいの金額になるのか確認してみましょう。

ここでは、固定資産税額が10万円の場合と20万円の場合を例に、納付が遅れた日数ごとの延滞金を試算します。

※以下の計算例では、1か月を30日として計算しています。

【計算例】固定資産税10万円を100日間滞納した場合

  • 1か月目(30日間):100,000円 × 2.8% × 30日 ÷ 365日 = 約230円
  • 1か月経過後(残り70日間):100,000円 × 9.1% × 70日 ÷ 365日 = 約1,745円
  • 合計:約1,975円(100円未満切り捨て後は約1,900円。自治体の端数処理により変動)

【計算例】固定資産税20万円を1年間(365日)滞納した場合

  • 1か月目(30日間):200,000円 × 2.8% × 30日 ÷ 365日 = 約460円
  • 1か月経過後(残り335日間):200,000円 × 9.1% × 335日 ÷ 365日 = 約16,704円
  • 合計:約17,164円(100円未満切り捨て後は約17,100円。自治体の端数処理により変動)

このように、一般的な住宅の固定資産税額(数万円~十数万円程度)であれば、1か月程度の遅れなら、延滞金は数百円程度になるケースが目安です。

一方で、半年、1年と滞納が続くと、延滞金だけでも数千円から数万円になることがあります。

なお、多くの自治体では、地方税共通のルールに基づき、未納税額が一定額(2,000円程度)未満の場合や、計算した延滞金が一定額(1,000円程度)未満の場合は、延滞金が発生しない取り扱いとなっています。

この端数処理や免除基準の金額は、自治体の条例によって異なる場合があります。

「延滞金は思ったより少ない」と感じるかもしれません。しかし、滞納を放置すると、督促状や催告書が届き、その後は差押えなどの手続きへ進む可能性があります。

延滞金の金額だけで判断せず、納付が難しい場合は、できるだけ早く自治体へ相談することが大切です。

この章のまとめ
項目 内容
延滞金の計算式 未納税額 × 割合 × 日数 ÷ 365日
割合が変わるタイミング 納期限の翌日から1か月以内/1か月経過後の2段階
法律上の上限 年7.3%(1か月以内)/年14.6%(1か月経過後)
令和8年に適用される割合 年2.8%(1か月以内)/年9.1%(1か月経過後)
割合の見直し 銀行の貸出金利をもとに毎年見直される
10万円を100日滞納した場合の目安 約1,900円~2,000円程度
少額の場合の取り扱い 未納税額や延滞金が一定額未満の場合は、延滞金が発生しないケースがある(自治体により異なる)

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3. 督促状が届いた後の流れ

固定資産税の督促状が届いた後の流れ

「督促状が届いてしまった……」「このまま差押えになってしまうのでは?」と不安を感じて、この章をご覧になっている方もいるかもしれません。

しかし、督促状が届いた時点であれば、まだ対応できる可能性は十分にあります。

大切なのは、そのまま放置しないことです。早めに納付したり、市区町村へ相談したりすれば、状況がさらに悪化するのを防げる場合があります。

この章では、督促状が届いてから差押えに至るまでの流れと、それぞれの段階で取れる対応についてわかりやすく解説します。

督促状が届いた時点なら、まだ対応できる可能性がある

督促状とは、市区町村から納付を促すために送られる正式な書類です。

地方税法第371条では、市区町村は納期限後20日以内に督促状を発しなければならないと定められています。そのため、督促状が届く頃は、滞納が始まってからまだそれほど時間が経っていない段階です。

この時点で、督促状に記載された税額や延滞金を納付すれば、その後の催告や差押えなどの手続きへ進まずに済むケースが多くあります。

督促状は、「もう手遅れ」という通知ではなく、早めに対応するための重要なサインと考えるとよいでしょう。

督促状が届いたら、まずは次の内容を確認してください。

  • 未納となっている固定資産税額
  • 延滞金の金額
  • 納付期限
  • 納付方法

すぐに全額を納付できる場合は、できるだけ早く手続きを済ませることが延滞金の増加を防ぐことにつながります。

一方、全額の納付が難しい場合でも、そのまま放置することは避けてください。市区町村の納税担当窓口へ早めに相談すれば、事情に応じて分割納付などを認めてもらえる可能性があります。

督促状発送から10日後は「差押えが可能」となる

督促状が届くと、多くの方が気になるのが「いつ差押えになるのか」という点でしょう。

地方税法では、督促状を発した日から10日を経過しても完納されない場合、市区町村は滞納者の財産を差し押さえなければならないと定められています(出典:地方税法第373条)。

「10日」と聞くと、とても短く感じるかもしれません。しかし、10日を過ぎたら直ちに差押えが行われるという意味ではありません。

多くの場合は、督促状の発送後に、

  • 電話や訪問による催告
  • 給与や預貯金、不動産などを確認する財産調査

などが行われ、その後に差押えへ進みます。

つまり、正確には、「10日を過ぎると、法律上は差押えができる状態になる」ということです。

この時点を過ぎると、市区町村は差押えの手続きを進めることが可能になります。督促状が届いたら、そのまま放置せず、できるだけ早く対応することが大切です。

すぐに全額を納付できない場合でも、市区町村の納税担当窓口へ相談すれば、事情に応じて分割納付などを認めてもらえる可能性があります。相談方法については、この記事の後半で詳しく解説します。

督促状発送から差押えまでの一般的な流れ

督促状が発送されてから差押えに至るまでの流れを、時系列でまとめると次のようになります。

なお、下表の日数はあくまで目安です。実際の対応時期は、市区町村や滞納額、納税者の対応状況などによって異なります。

段階 タイミングの目安 内容
督促状の発送 納期限後20日以内 納付を促す正式な書類が届く
催告 督促状発送後、数週間~数か月程度 電話・訪問・催告書などで納付を促される
財産調査 催告後、納付の見込みが立たない場合 給与、預貯金、不動産などの財産状況が調査される
差押え 財産調査後 財産が差し押さえられる

このように、督促状が届いてから差押えまでには、通常はいくつかの段階があります。

そのため、督促状や催告書が届いた時点で市区町村へ連絡し、納付の意思や事情を伝えれば、差押えに至る前に解決できる可能性があります。

「連絡しづらい」と感じる方もいるかもしれません。しかし、何も連絡せずに放置することが、最も避けるべき対応です。

この章のまとめ
項目 内容
督促状が届くタイミング 納期限後20日以内(出典:地方税法第371条)
督促状が届いた段階 まだ対応できる可能性がある段階。 早めに納付または相談することが大切
差押えが制度上可能になるタイミング 督促状発送から10日経過後(出典:地方税法第373条)
一般的な流れ 督促状 → 催告 → 財産調査 → 差押え
読者が取れる対応 督促状や催告を受けたら放置せず、市区町村の納税担当窓口へ早めに相談する
固定資産税の督促状から差押えまでの流れを示すフローチャート

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4. 差押えは本当にある?対象になる財産

固定資産税を滞納すると差押えされる?

「差押え」と聞くと、「家や車まで取り上げられてしまうのでは?」と不安になる方もいるでしょう。

これまで解説したとおり、固定資産税を滞納すると、制度上は差押えが行われる可能性があります。ただし、納付期限を過ぎたらすぐに差し押さえられるわけではなく、多くの場合は督促や催告、財産調査などを経て手続きが進みます。

この章では、差押えの対象となる財産や、給与・預貯金がどこまで保護されるのかについて、わかりやすく解説します。

差押えの対象になる財産にはどんなものがある?

固定資産税を滞納すると、次のような財産が差押えの対象となる可能性があります。

  • 給与
  • 預貯金
  • 生命保険の解約返戻金
  • 不動産(土地・建物)
  • 自動車などの動産

このように、差押えの対象は幅広く定められています。

一方で、生活保護の給付金など、法律により差押えが禁止されている財産もあります。これらは「差押禁止財産」と呼ばれ、生活に必要な最低限の財産を守るための制度です。

給与についても、すべてが差し押さえられるわけではありません。差押えが制限される範囲については、次の項目で詳しく解説します。

なお、実際にどの財産を差し押さえるかは、市区町村の徴税吏員(税金の徴収を担当する職員)が個別の状況を踏まえて判断します。

「まず自宅が差し押さえられるのでは」と心配する方もいますが、法律で「預貯金から」「不動産から」といった優先順位が定められているわけではありません。

一般的には、換金しやすい預貯金や給与が差押えの対象となることが多いとされていますが、これは法律で決められたルールではなく、個々の事情に応じて判断されます。

給与や預貯金は、すべて差し押さえられるわけではない

差押えの対象になるとはいえ、給与や預貯金がすべて差し押さえられるわけではありません。

たとえば給与については、生活に必要なお金まで失われないよう、「差押禁止額」という制度が設けられています。

固定資産税は地方税ですが、滞納処分では国税徴収法の規定が準用されるため、この差押禁止額の考え方も適用されます(出典:地方税法第373条第7項)。

給与から所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた後の金額については、次のような金額が差押禁止額とされています。

項目 金額の目安(1か月あたり)
滞納者本人の最低生活費 10万円
生計を共にする配偶者・親族がいる場合の加算額 1人につき4万5,000円
上記に加えて保護される金額 残額の20%相当額

【計算例】給与から所得税・住民税・社会保険料を差し引いた後の金額が20万円、扶養家族が1人(配偶者)の場合

本来は、給与の総支給額から所得税・住民税・社会保険料などを差し引いた金額を基準に計算します。ここでは、わかりやすくするため、差し引き後の金額を20万円として試算します。

  • 本人分:10万円
  • 配偶者分:4万5,000円
  • 基本となる差押禁止額:14万5,000円
  • 残額:20万円-14万5,000円=5万5,000円
  • 残額の20%(1万1,000円)も差押禁止となる
  • 差押禁止額の合計:約15万6,000円
  • 差押えの対象となる可能性がある金額:約4万4,000円

このように、扶養家族がいる場合や給与額がそれほど高くない場合は、差し押さえられる金額が少なくなったり、差押えの対象となる金額がなくなったりすることがあります。

なお、預貯金については、給与とは異なり、このような差押禁止額の制度はありません。ただし、預貯金の差押えについても、個々の状況を踏まえて手続きが行われます。

「差押え」という言葉だけで過度に不安になる必要はありません。納付が難しい場合は、早めに市区町村の納税担当窓口へ相談することで、状況に応じた対応を検討してもらえる可能性があります。

差押えを回避するために、今からできること

差押えは、督促状や催告書が届いても何も対応せず、滞納が続いた場合に行われる可能性があります。

そのため、次のような対応を早めに取ることで、差押えに至る前に解決できる可能性があります。

  • 督促状や催告書が届いたら、内容を確認し、市区町村の納税担当窓口へ連絡する
  • 一括で納付することが難しい場合は、分割納付が可能か相談する
  • 収入が大きく減少した場合や、病気・ケガなどで納付が難しい事情がある場合は、徴収猶予を利用できるか確認する

固定資産税を滞納した場合に利用できる制度については、この記事の後半「滞納してしまったときの対処法」で詳しく解説します。

「連絡すると、かえって差押えが早まるのでは」と心配する方もいるかもしれません。しかし、多くの場合はその逆です。

何も連絡せずに放置することが、差押えのリスクを高めます。

納付が難しい事情を早めに伝え、相談することが、差押えを避けるための第一歩です。

この章のまとめ
項目 内容
差押えの対象となる可能性がある財産 給与、預貯金、生命保険の解約返戻金、不動産、自動車など
差押えが禁止される財産 生活保護の給付金など、法律で差押えが禁止されている財産
差押えの対象となる財産の判断 法律で優先順位は定められておらず、市区町村が個別の状況を踏まえて判断する
給与の差押禁止額(本人分) 1か月あたり10万円(出典:国税徴収法第76条、同法施行令)
給与の差押禁止額(扶養親族の加算) 1人につき4万5,000円
差押禁止額の見直し予定 令和8年度税制改正の大綱で、本人分を10万7,000円、扶養親族分を4万8,000円へ引き上げる方針が示されている(施行時期は要確認)
差押えを避けるための対応 督促状や催告書が届いたら放置せず、早めに相談する。必要に応じて分割納付や徴収猶予を検討する

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5. 滞納してしまったときの対処法

固定資産税を滞納してしまったときの対処法

「気づいたら納付期限を過ぎていた」「今は一括で支払うのが難しい」という方もいるでしょう。

固定資産税を滞納した場合でも、状況によっては利用できる制度があります。

この章では、納付が難しいときに相談できる制度や窓口について解説します。一人で悩まず、できるだけ早く相談することが解決への近道です。

まずは分割納付について相談する

固定資産税を一括で納付することが難しい場合は、市区町村の納税担当窓口へ相談してみましょう。

事情によっては、税額を複数回に分けて納める「分割納付」に応じてもらえる可能性があります。

分割納付は法律で全国一律に定められた制度ではありません。

対応できるかどうかや、分割回数、1回あたりの納付額などは、市区町村が個別の事情を踏まえて判断します。

「まとまったお金を用意できないから相談しても意味がない」と考えてしまう方もいます。しかし、何も連絡せずに滞納を続けるよりも、早めに相談する方が解決につながる可能性があります。

納付書や督促状が届いている場合は、その書類を手元に用意し、市区町村の納税担当窓口へ電話や窓口で相談してみましょう。

徴収猶予・換価の猶予を利用できる場合がある

分割納付の相談に加えて、法律で定められた制度として「徴収猶予」と「換価の猶予」があります。

どちらも、一時的に納付が難しくなった方の生活や事業を支えるための制度です。

徴収猶予

徴収猶予(地方税法第15条)は、次のような事情によって固定資産税を納付することが難しくなった場合に、納付を一定期間待ってもらえる制度です。

  • 災害や盗難の被害を受けた
  • 本人や生計を共にする家族が病気やケガをした
  • 事業を休業・廃業した
  • 事業で大きな損失が発生した

原則として、猶予期間は1年以内です。

また、認められた事情によっては、猶予期間中の延滞金の一部または全部が免除される場合もあります(出典:地方税法第15条地方税法第15条の9)。

換価の猶予

換価の猶予(地方税法第15条の6)は、税金を一度に納付すると生活や事業の継続が困難になるおそれがある場合に、差し押さえた財産の売却(換価)を一定期間待ってもらえる制度です。

こちらも、原則として猶予期間は1年以内です(出典:地方税法第15条の6)。

徴収猶予との違いは、徴収猶予は「納付を待ってもらう制度」、換価の猶予は「差し押さえた財産の売却を待ってもらう制度」という点です。

制度名 対象となる主な場面 猶予期間の目安 根拠法令
徴収猶予 災害・盗難、病気・ケガ、事業の休業・廃業、事業の著しい損失など 原則1年以内 地方税法第15条
換価の猶予 一度に納付すると生活や事業の継続が困難になるおそれがある場合 原則1年以内 地方税法第15条の6

これらの制度を利用するには、納税について誠実な意思があることなど、一定の要件を満たす必要があります。なお、要件は自治体によって異なる場合があります。

「利用できるかもしれない」と思ったら、一人で判断せず、市区町村の納税担当窓口へ相談してみましょう。

申請には、申請書のほか、収入や支出の状況がわかる書類などの提出を求められることがあります。

病気やケガ、収入の急な減少、事業の不振などで納付が難しくなった場合は、利用できる可能性がありますので、早めに確認することをおすすめします。

相談先と、相談前に準備しておきたいもの

固定資産税の納付について相談したい場合は、固定資産がある市区町村の納税担当窓口へ連絡しましょう。

自治体によっては、「納税課」「収納課」「税務課」など名称が異なります。相談方法も電話のみ、窓口のみ、または両方に対応しているなど違いがあるため、まずは納付書や督促状に記載されている連絡先を確認してください。

相談する際は、次のようなものを準備しておくと、状況をスムーズに伝えられます。

  • 納付書や督促状
  • 給与明細など、現在の収入状況がわかるもの
  • 分割納付や徴収猶予を希望する場合は、その理由(病気、収入の減少、事業の不振など)

「何を話せばいいかわからない」という場合でも、心配する必要はありません。

まずは、「固定資産税を納めたいのですが、一括で支払うことが難しい状況です」と伝えるだけでも大丈夫です。担当者が状況を確認しながら、利用できる制度や今後の手続きについて案内してくれます。

相談を先延ばしにすると、その間も延滞金は増え続け、督促や催告などの手続きも進む可能性があります。

気づいた時点で早めに相談することが、負担を大きくしないための第一歩です。

この章のまとめ
項目 内容
分割納付 法律で一律に定められた制度ではなく、市区町村が個別の事情に応じて判断する。まずは相談することが大切
徴収猶予 災害、病気・ケガ、事業の休業・廃業など一定の事情がある場合に、原則1年以内の納付猶予を受けられる可能性がある(出典:地方税法第15条)
換価の猶予 一度に納付すると生活や事業の継続が困難になるおそれがある場合に、原則1年以内の猶予を受けられる可能性がある(出典:地方税法第15条の6)
制度を利用するための主な要件 納税について誠実な意思があることなど、一定の要件を満たす必要がある
相談先 固定資産がある市区町村の納税担当窓口
相談前に準備したいもの 納付書や督促状、収入状況がわかる書類など
読者が取るべき行動 一人で悩まず、できるだけ早く市区町村へ相談する

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まとめ - クレジットカードで納付を先送りする方法もある

ここまで、固定資産税の納付期限を過ぎた場合に起こることや、滞納したときの対処法について解説しました。

最後に、記事全体の内容を振り返るとともに、今すぐ全額を用意することが難しい場合の選択肢についても解説します。

この記事のポイントを振り返る

固定資産税の納付が遅れたからといって、すぐに差押えになるわけではありません。

一方で、何も対応せずに放置すると、延滞金が増え、督促や催告、財産調査へと手続きが進み、最終的には差押えにつながる可能性があります。

ここまでの流れを時系列でまとめると、次のとおりです。

段階 タイミング 内容
延滞金の発生 納期限の翌日 未納額に応じて延滞金が発生する(令和8年は1か月以内が年2.8%、1か月経過後は年9.1%)
督促状の発送 納期限後20日以内 納付を促す督促状が発送される(出典:地方税法第371条)
催告・財産調査 督促状発送後 電話・訪問による催告や、給与・預貯金・不動産などの財産調査が行われる。早めに相談すれば、差押えに至る前に対応できる可能性がある
差押え 催告・財産調査後 財産が差し押さえられる。給与には差押禁止額の制度がある(出典:国税徴収法第76条)
利用できる制度 納付が難しいとき 分割納付の相談や、徴収猶予・換価の猶予を利用できる場合がある(出典:地方税法第15条、第15条の6)

このように、督促状や催告書が届いた段階であれば、状況に応じて相談や納付の手続きを進められる可能性があります。

最も避けたいのは、「払えないから」と何も連絡せずに放置してしまうことです。

納付が難しい場合は、一人で悩まず、市区町村の納税担当窓口へできるだけ早く相談しましょう。

今すぐ全額を払えない場合は、クレジットカードを利用する方法もある

固定資産税を一括で納付することが難しい場合は、市区町村の納税担当窓口へ相談し、分割納付や徴収猶予を利用できるか確認することが基本です。

一方で、一時的に支払いを先送りしたい場合は、地方税お支払サイト(令和8年9月に「eLお支払サイト」へ名称変更予定)を利用し、クレジットカードで納付する方法もあります。

ただし、ここで注意したいのは、地方税お支払サイト自体に分割払いの機能があるわけではないという点です。

実際には、クレジットカードで固定資産税を納付した後、カード会社のサービスとして分割払いやリボ払いへ変更できる場合があります。

つまり、「分割払いが利用できるかどうか」は、利用するクレジットカード会社や契約内容によって異なります。

また、分割払いやリボ払いを利用する場合は、カード会社所定の手数料が発生します。

さらに、地方税お支払サイトでクレジットカード納付を利用すると、納税額に応じたシステム利用料も必要です。

利用する前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 利用しているクレジットカードで分割払いやリボ払いを利用できるか
  • 分割払いやリボ払いの手数料はいくらか
  • 地方税お支払サイトのシステム利用料はいくらか

なお、クレジットカードで納付した場合は、領収証書は発行されません。

今後、領収証書が必要になる可能性がある場合は、納付証明書を取得できるかなど、事前に確認しておくと安心です。

クレジットカードによる分割払いは便利な方法ですが、手数料がかかる点には注意が必要です。

市区町村へ分割納付を相談する場合と比較し、どちらが負担を抑えられるかを確認したうえで、自分に合った方法を選びましょう。

迷ったときは、まず市区町村へ相談することが大切

ここまで解説した内容を、状況別にまとめると次のようになります。

  • できるだけ早く不安を解消したい方
    督促状や催告書が届いたら、できるだけ早く市区町村の納税担当窓口へ相談する
  • 病気やケガ、収入の減少など特別な事情がある方
    徴収猶予や換価の猶予を利用できるか確認する
  • 一時的に支払いを先送りしたい方
    地方税お支払サイトでクレジットカード納付を利用する方法もある(分割払いやリボ払いはカード会社の対応による)

どの方法を選ぶ場合でも、最初に市区町村へ相談することが解決への近道です。

固定資産税の納付期限を過ぎてしまっても、すぐに差押えになるわけではありません。

慌てて一人で判断するのではなく、早めに相談し、自分の状況に合った方法を選びましょう。

まとめ
項目 内容
固定資産税を滞納した場合の流れ 延滞金の発生 → 督促状 → 催告・財産調査 → 差押え
放置した場合のリスク 延滞金が増え、督促や催告、財産調査を経て差押えに至る可能性がある
給与の保護 給与には差押禁止額の制度があり、生活に必要な金額は保護される
分割納付・徴収猶予 市区町村へ相談することで利用できる可能性がある
クレジットカード納付 地方税お支払サイトで利用できる。分割払いやリボ払いはカード会社のサービスで、手数料が発生する
読者が取るべき行動 督促状や催告書が届いたら放置せず、市区町村の納税担当窓口へ早めに相談する
著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般財団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov 地方税法e-Gov 国税徴収法
注意点
本記事の内容は令和8年7月時点のものです。最新の情報は市町村のホームページや窓口などで確認ください。

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