家を買ってから驚く「固定資産税の現実」

家を買ってから驚く「固定資産税の現実」

固定資産税とは、土地や建物を持っている人が毎年納める税金です。

しかし、家を買うときに「固定資産税がいつ、どのように変わるのか」まで確認している人は、少ないのではないでしょうか。

実は、固定資産税には、「急に高くなった」「都市計画税もかかるとは思っていなかった」「古くなれば安くなると思っていたが、思いのほか高かった」など、家を買ってから驚きやすい仕組みがあります。

そこで、今回の「固定資産税をパパっと解説」は、家を買った人が知って驚く5つの固定資産税の現実を紹介します。

目次

1. 【要注意】新築の減税が終わると、固定資産税は実質2倍になる

新築の減税が終わると、固定資産税は実質2倍になる

新築の家を買ったあと、「思っていたより固定資産税が安い」と感じる方もいるでしょう。

しかし、新築の固定資産税が安いのには理由があります。新築住宅には、一定期間、建物にかかる固定資産税が2分の1に減額される制度があるためです。

この減額期間が終わると、建物の固定資産税は本来の税額に戻ります。減額期間中と比べると、建物の固定資産税は実質2倍になる可能性があります。

「新築から数年たったのに、なぜ固定資産税が急に高くなったの?」と驚かないためにも、減額が終わる時期と、その後の税額をあらかじめ確認しておきましょう。

この章では、新築住宅の減額措置の仕組みや、減額期間が終わると固定資産税がどれくらい増えるのか、負担の増加に備える方法をわかりやすく解説します。

そもそも、なぜ新築の固定資産税は安い?「新築住宅の減額措置」の仕組み

新築住宅の減額措置とは、新築後の一定期間、建物にかかる固定資産税を2分の1に減額する制度です。

ただし、建物の固定資産税が必ずすべて半額になるわけではありません。

減額の対象になるのは、建物のうち、人が住むために使われている部分(以下「居住部分」といいます)です。事務所や店舗などに使われている部分は、減額の対象になりません。

居住部分の床面積によって、減額の対象になる範囲は次のように異なります。

  • 居住部分の床面積が120㎡以下の場合:居住部分のすべてが減額の対象
  • 居住部分の床面積が120㎡を超える場合:居住部分のうち、120㎡に相当する部分までが減額の対象

なお、新築住宅の減額措置が適用されるのは、建物にかかる固定資産税だけです。土地にかかる固定資産税は、この減額措置の対象ではありません。

そのため、減額期間が終わって建物の固定資産税が実質2倍になっても、土地と建物を合わせた固定資産税の合計額が2倍になるわけではない点に留意してください。

減額される期間はいつまで?

新築住宅の減額措置は、いつまでも続くわけではありません。

建物の固定資産税が2分の1に減額される期間は、住宅の種類によって次のように異なります。

住宅の種類 固定資産税が減額される期間
一般の住宅(戸建て住宅など) 新築後3年間
3階建て以上の中高層耐火住宅等(鉄筋コンクリート造のマンションなど) 新築後5年間
認定長期優良住宅(一般の住宅) 新築後5年間
認定長期優良住宅(中高層耐火住宅等) 新築後7年間

「中高層耐火住宅等」とは、鉄筋コンクリート造のマンションなど、火災に強い構造で3階建て以上の住宅を指します。

「認定長期優良住宅」とは、長く安心して住めるように、国が定めた基準を満たしていると認定された住宅のことです。

そして、令和9年度の固定資産税からは、次の住宅で減額期間が終わります(出典:さいたま市 家屋の固定資産税の減額措置)。

  • 令和5年1月2日から令和6年1月1日までに新築された一般の住宅
  • 令和3年1月2日から令和4年1月1日までに新築された3階建て以上の中高層耐火住宅等

これらの期間に住宅を新築した方は、令和9年度から新築住宅の減額措置が適用されなくなり、建物にかかる固定資産税の負担が増える可能性があります。

減額が終わると、実際いくら増える?国が示す試算で見る負担額

新築住宅の減額措置が終わると、建物の固定資産税はいくら増えるのでしょうか。

国土交通省が公開する資料「令和8年度税制改正概要」の4ページで示している試算をもとに、具体的な金額を確認してみましょう。

同資料では、2,500万円で新築した住宅の場合、新築後3年間の建物にかかる固定資産税は、次のように試算されています。

  • 減額措置が適用される場合:年間9.1万円
  • 減額措置が適用されない場合:年間18.2万円

減額措置によって、年間の負担は9.1万円軽くなります。3年間では、合計約27万円の負担が減額される計算です。

一方、減額期間が終わると、年間9.1万円だった建物の固定資産税は、本来の税額である年間18.2万円に戻ります。

つまり、この試算では、減額期間の終了後、建物の固定資産税が年間9.1万円増え、減額期間中のおよそ2倍になる計算です。

ただし、これは国土交通省が示している試算例であり、すべての新築住宅に同じ金額が当てはまるわけではありません。

実際の税額や増額幅は、家屋の固定資産税評価額や市区町村が定める税率などによって異なります。また、土地にかかる固定資産税は新築住宅の減額措置の対象ではないため、土地と建物を合わせた固定資産税の合計額が2倍になるわけではありません。

減額期間が終わったあとの負担額を知りたい場合は、納税通知書や課税明細書を確認するか、市区町村の固定資産税を担当する窓口へお問い合わせください。

新築住宅の建物にかかる固定資産税が減額措置の終了後に約2倍へ増える様子を示すグラフ

【対策】減額終了後の負担増に慌てないため、今からできること

新築住宅の減額措置が終わると、建物の固定資産税は本来の税額に戻ります。

「急に固定資産税が高くなった」と慌てないために、次の3つを確認しておきましょう。

  • 自分の家の減額期間がいつ終わるのか確認する
    住宅を新築した年月日や、毎年届く納税通知書・課税明細書を確認しましょう。減額期間の終了時期がわからない場合は、住宅がある市区町村の固定資産税を担当する窓口へ問い合わせると確認できます。
  • 減額終了後に増える税額を、あらかじめ家計に組み込んでおく
    住宅ローンの返済とは別に、固定資産税を支払うためのお金を確保しておくと、減額終了後の負担増にも対応しやすくなります。現在の税額だけを基準にせず、減額措置が終わったあとの税額も想定しておくと安心です。
  • 中古住宅を購入した方も、減額期間が残っているか確認する
    新築住宅の減額措置は、住宅を購入した人ではなく、建物を対象とする制度です。そのため、減額期間が残っている中古住宅を購入した場合は、購入後も残りの期間について減額措置が適用されます。
    ただし、中古住宅を購入した時点から、新たに3年間や5年間の減額が始まるわけではありません。前の所有者が減額措置を受けていた期間も含まれるため、残りの減額期間を確認しておきましょう。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、PayPayで払うなど、固定資産税のお得な納付方法を解説する記事を公開中です。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
固定資産税のお得な払い方|令和8年度の納税額別ベストルート

この章のまとめ
項目 内容
減額される内容 新築住宅の建物にかかる固定資産税が2分の1に減額される
減額の対象 居住部分のうち、床面積120㎡に相当する部分まで
減額期間 一般の住宅は3年間、中高層耐火住宅等は5年間。認定長期優良住宅は、それぞれ2年間延長される
減額終了後の負担 建物の固定資産税が本来の税額に戻り、国土交通省の試算例では減額期間中のおよそ2倍になる
今からできること 減額期間の終了時期を確認し、増える税額を家計に組み込む。中古住宅は減額期間が残っているか確認する

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2. 住宅ローンが終わっても、この税金だけは一生ついてくる

住宅ローンが終わっても、固定資産税だけは一生ついてくる

「住宅ローンを完済すれば、家にかかる大きな支払いは一段落する」

そう考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、住宅ローンを完済しても、固定資産税の支払いは終わりません。住宅ローンの返済状況とは関係なく、土地や建物を所有している限り、毎年かかり続けます。

つまり、住宅ローンを完済して毎月の返済がなくなっても、家にかかる支出が完全になくなるわけではありません。

この章では、固定資産税が「一生続く負担」といわれる理由や、住宅ローン完済後に負担を重く感じやすい理由、老後を見据えた備え方をわかりやすく解説します。

固定資産税に「終わり」はない?所有している限り毎年課税される

固定資産税は、原則として、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に課税されます。

住宅ローンは、借りたお金をすべて返済すれば終わります。一方、固定資産税は土地や建物を所有していることに対してかかるため、住宅ローンを完済しても支払いは終わりません。

両者の違いは、次のとおりです。

  • 住宅ローン:家を購入するために借りたお金を返済するため、完済すれば支払いは終了する
  • 固定資産税:土地や建物を所有していることに対して課税されるため、所有している限り支払いが続く

たとえば、35年の住宅ローンを完済しても、その家を所有している場合は、翌年以降も固定資産税が課税されます。

この違いを知らないと、住宅ローンを完済したあとに、「ローンは終わったのに、まだ毎年こんなに税金を払うの?」と驚くかもしれません。

老後の住居費を考えるときは、住宅ローンの完済後も固定資産税の支払いが残ることを想定しておきましょう。

住宅ローン完済後に、固定資産税が「高くなった」と感じる理由

住宅ローンを完済すると、毎月の返済がなくなるため、家計の負担は大きく軽くなります。

しかし、住宅ローンを完済したからといって、固定資産税が高くなるわけではありません。固定資産税は住宅ローンとは別の仕組みで計算されるため、完済の前後で税額が変わらなくても、負担を大きく感じることがあります。

住宅ローンを返済している間は、毎月の返済や修繕費など、住まいに関する多くの支出があります。その中では、年に数回納める固定資産税は目立ちにくいかもしれません。

ところが、住宅ローンを完済すると、毎月の返済がなくなります。その結果、固定資産税が住まいにかかる支出として目立つようになり、「今さら、こんなに払うの?」という心理的な驚きにつながりやすくなります。

特に、退職後に年金収入が中心になると、現役時代より収入が減る方もいます。固定資産税の負担が大きく変わらなくても、収入に占める固定資産税の割合が高くなり、家計への負担を重く感じる可能性があります。

そのため、老後の生活費を考える際は、住宅ローンを完済する時期だけでなく、完済後も毎年支払う固定資産税を住居費として見込んでおくと、家計の見通しを立てやすくなります。

例外的に固定資産税がかからない・減額されるケースもある

土地や建物を所有している限り、固定資産税は毎年かかるのが原則です。

ただし、一定の条件に当てはまる場合は、固定資産税が課税されなかったり、税額が減額・免除されたりすることがあります。

代表的なケースは、次のとおりです。

ケース 内容
免税点を下回る場合 同じ市区町村内で同じ人が所有する家屋の課税標準額の合計が、免税点未満であれば、家屋の固定資産税は課税されません
市区町村の条例による減免 災害によって家屋が損壊した場合など、市区町村が定める条件を満たすと、申請によって固定資産税の減額や免除を受けられることがあります

「免税点」とは、固定資産税が課税されるかどうかを判断する基準となる金額です。

とはいえ、一般的な戸建て住宅やマンションを所有して住み続けている場合は、免税点や減免制度の対象にならないケースが多く、原則として固定資産税を毎年支払います。

また、免税点は、土地と建物の金額を合計して判断するものではありません。土地・家屋・償却資産の区分ごとに、同じ市区町村内で同じ人が所有する資産の課税標準額を合計して判定します。

減免を受けられる条件や申請方法は、市区町村によって異なります。対象になる可能性がある場合は、住宅がある市区町村の固定資産税を担当する窓口で確認してください。

【対策】一生続く支出として、老後まで見据えた資金計画を立てる

固定資産税には、住宅ローンのような「完済」がありません。

土地や建物を所有している限り、原則として毎年支払いが続くため、住宅ローンの返済期間だけでなく、退職後の生活まで見据えて備えておきましょう。

今からできる対策は、次の3つです。

  • 固定資産税を「生涯コスト」として老後の資金計画に組み込む
    住宅ローンを完済しても、固定資産税の支払いは終わりません。退職後に年金収入が中心となる時期も想定し、毎年支払う固定資産税を継続的な住居費として資金計画に含めておきましょう。
    現在の税額をもとに年間の負担額を確認し、毎月少しずつ積み立てておくと、納付時期にまとまったお金を用意しやすくなります。
  • 納税通知書・課税明細書の内容を毎年確認する
    毎年届く納税通知書や課税明細書には、固定資産税の税額だけでなく、税額を計算する基礎となる固定資産税評価額や課税標準額などが記載されています。
    前年度より税額が増えた場合は、新築住宅の減額措置の終了や評価替えなど、税額が変わった理由も確認しましょう。理由がわからないときは、土地や建物がある市区町村の固定資産税を担当する窓口へ問い合わせると確認できます。
  • 生活状況が大きく変わったときは、減免制度を確認する
    災害によって住宅が大きな被害を受けた場合など、市区町村が定める条件に該当すると、固定資産税の減額や免除を受けられる可能性があります。
    減免の対象や条件、申請期限は市区町村によって異なります。生活状況や住宅の状態が大きく変わった場合は、利用できる制度がないか、土地や建物がある市区町村の固定資産税を担当する窓口へ相談してみましょう。
この章のまとめ
項目 内容
固定資産税がかかる期間 土地や建物を所有している限り、原則として毎年課税される
住宅ローンとの違い 住宅ローンは完済すると返済が終わるが、固定資産税は土地や建物を所有している限り支払いが続く
負担を重く感じやすい時期 住宅ローンの完済後や、退職によって収入が減ったあと
例外的に課税されない・減免されるケース 免税点を下回る場合や、市区町村が定める減免の条件に該当する場合など
今からできること 固定資産税を老後の資金計画に組み込み、納税通知書・課税明細書を毎年確認する

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3. 実は固定資産税だけじゃない!「都市計画税」も同時にかかる二重負担の罠

実は固定資産税だけじゃない!「都市計画税」も同時にかかる二重負担の罠

固定資産税の納税通知書を初めて見たとき、「都市計画税」という聞き慣れない税金が記載されていて、驚く方もいるのではないでしょうか。

家を所有すると、固定資産税だけがかかるとは限りません。土地や建物がある地域によっては、固定資産税に加えて都市計画税も課税されます。

固定資産税と都市計画税は、それぞれ目的や課税対象が異なる別の税金です。しかし、一般的には同じ納税通知書で税額が通知され、一緒に納めるため、「同じ家に税金が二重にかかっている」と感じる方もいます。

この章では、都市計画税とはどのような税金なのか、固定資産税と何が違うのか、住宅用地に対する特例で税負担がどのように変わるのかをわかりやすく解説します。

都市計画税とは?固定資産税との違い

都市計画税とは、道路・公園・下水道などを整備する都市計画事業や、土地区画整理事業の費用にあてるための税金です。

税金の使いみちがあらかじめ決められているため、「目的税」と呼ばれます。

固定資産税と都市計画税の主な違いは、次のとおりです。

項目 固定資産税 都市計画税
税金の主な役割 福祉、救急、ごみ収集など、市区町村が行う幅広い行政サービスを支える財源 道路・公園・下水道などの都市計画事業や、土地区画整理事業に使われる財源
課税の対象 土地・家屋・償却資産(事業用の機械や設備など) 原則として、市街化区域内にある土地・家屋
税率 市区町村が条例で定める。通常の基準となる標準税率は1.4% 0.3%を上限として、市区町村が条例で定める
納め方 都市計画税とあわせて納付 固定資産税とあわせて納付

「市街化区域」とは、すでに市街地になっている区域や、おおむね10年以内に優先的・計画的に市街地として整備する区域のことです。

都市計画税は、すべての土地や建物にかかるわけではありません。原則として、市街化区域内にある土地や建物が課税の対象です。

そのため、市街化区域の外にある土地や建物には、都市計画税がかからない場合があります。

自分の土地や建物に都市計画税が課税されているか知りたい場合は、納税通知書や課税明細書の「都市計画税」の欄を確認しましょう。

記載内容がわからない場合は、土地や建物がある市区町村の固定資産税・都市計画税を担当する窓口へ問い合わせると確認できます。

なぜ「二重課税」に感じる?同じ納税通知書に2つの税額が記載される理由

固定資産税と都市計画税は、どちらも土地や建物にかかる税金です。

さらに、一般的には同じ納税通知書に2つの税額が記載され、同じ時期にまとめて納めます。

そのため、納税通知書を初めて見た方は、「同じ土地や建物に、税金が二重にかかっているの?」と感じるかもしれません。

しかし、固定資産税と都市計画税は、目的や課税対象が異なる別の税金です。法律上、同じ税金を重ねて課税する「二重課税」とされているわけではありません。

一方、家計から支払う金額を考える場合は、固定資産税だけでなく、都市計画税も含めて負担を把握する必要があります。

たとえば、固定資産税が年間12万円、都市計画税が年間3万円の場合、土地や建物にかかる年間の税負担は合計15万円です。

住宅を購入する前に固定資産税だけを確認していると、都市計画税が加わったことで、「想定していたより税金が高い」と感じる可能性があります。

資金計画を立てる際は、固定資産税だけを見るのではなく、都市計画税を含めた年間の税負担を確認しておきましょう。

土地の特例割合が違う!「住宅用地の特例」は固定資産税と都市計画税で数字が異なる

住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の税負担を軽くする制度です(参考:一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度固定資産税のしおり)。

一定の要件を満たす住宅用地には、固定資産税や都市計画税を計算する基礎となる「課税標準額」を低くする特例が適用されます。

そのため、住宅が建っている土地は、更地と比べて固定資産税や都市計画税の負担が軽くなる場合があります。

ただし、ここで注意したいのは、固定資産税と都市計画税では、課税標準額を引き下げる割合が異なることです。

同じ住宅用地の特例でも、固定資産税と都市計画税では次のような違いがあります。

住宅用地の区分 固定資産税の課税標準額 都市計画税の課税標準額
小規模住宅用地(住宅1戸あたり200㎡までの部分) 固定資産税評価額の6分の1 固定資産税評価額の3分の1
一般住宅用地(住宅1戸あたり200㎡を超える部分) 固定資産税評価額の3分の1 固定資産税評価額の3分の2

固定資産税評価額とは、市区町村が評価した、建物や土地の時価です。

たとえば、小規模住宅用地の場合、固定資産税の課税標準額は固定資産税評価額の6分の1になります。一方、都市計画税の課税標準額は固定資産税評価額の3分の1です。

つまり、同じ土地に住宅用地の特例が適用されても、都市計画税は固定資産税ほど課税標準額が低くなりません。

「固定資産税の負担が大きく軽くなっているから、都市計画税も同じ割合で軽くなっているはず」と考えていると、納税通知書を見たときに、都市計画税を想定より高く感じる可能性があります。

固定資産税と都市計画税は、税率だけでなく、住宅用地の特例が適用されたあとの課税標準額も異なります。納税通知書や課税明細書を見る際は、2つの税額を分けて確認したうえで、合計の負担額も確認しましょう。

【対策】都市計画税を見落とさないための確認ポイント

都市計画税を見落としたまま資金計画を立てると、住宅を購入したあとに、「想定より税金の負担が大きい」と驚く可能性があります。

固定資産税だけで判断せず、次の3つを確認しておきましょう。

  • 納税通知書で「都市計画税」の欄を確認する
    固定資産税の金額だけを見るのではなく、都市計画税が課税されているか確認しましょう。都市計画税が課税されている場合は、固定資産税と都市計画税を合計し、土地や建物にかかる年間の税負担を把握します。
  • 住宅を購入する前に、都市計画税の課税対象か確認する
    これから住宅を購入する方は、購入予定の土地や建物に都市計画税がかかるのか、事前に確認しておきましょう。
    市街化区域に含まれているかどうかは、市区町村の都市計画を担当する窓口や、自治体が公開している都市計画図などで確認できます。
    ただし、市街化区域の外でも、市区町村の条例によって都市計画税が課税される場合があります。正確な課税の有無は、土地や建物がある市区町村の税務担当窓口へ確認してください。
  • 固定資産税と都市計画税の合計額で資金計画を立てる
    住宅ローンの返済計画を立てる際は、固定資産税だけでなく、都市計画税も含めた年間の税負担を確認しましょう(具体例は前述のとおりです)。2つの税金を合計して考えると、住宅の購入後に必要なお金を見積もりやすくなります。

ちなみに、当サイト「固定資産税をパパっと解説」では、不動産の売買価格から固定資産税をシミュレーションできるツールを公開中です。シミュレーションできるのはあくまで目安ですが、ぜひ一度お試しください。

お役立ちツール
固定資産税をパパっとシミュレーション|売買価格から税額を試算

この章のまとめ
項目 内容
都市計画税とは 都市計画事業や土地区画整理事業の費用にあてるための目的税
課税の対象 原則として、市街化区域内にある土地や建物
税率の上限 0.3%。実際の税率は、市区町村が条例で定める
納め方 一般的には、固定資産税とあわせて納付する
住宅用地の特例 小規模住宅用地では固定資産税の課税標準額が固定資産税評価額の6分の1、都市計画税は3分の1になる。一般住宅用地では固定資産税が3分の1、都市計画税は3分の2になる
今からできること 都市計画税の有無と金額を確認し、固定資産税との合計額を資金計画に組み込む

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4. 固定資産税は毎年下がるとは限らない!評価額が据え置かれる仕組み

固定資産税は毎年下がるとは限らない!評価額が据え置かれる仕組み

「建物は古くなるほど価値が下がるのだから、固定資産税も毎年安くなるはず」

そう思っている方は少なくありません。

確かに、建物は年数が経つにつれて劣化するため、通常であれば評価額も下がっていきます。

しかし実際には、築年数が増えているのに固定資産税評価額が何年も変わらないケースがあります。

「家は古くなっているのに、なぜ評価額が下がらないの?」と疑問に感じるのは、この仕組みがあるためです。

この章では、建物の固定資産税評価額がどのように決まるのか、なぜ古くなっても評価額が据え置かれることがあるのかをわかりやすく解説します。

建物の固定資産税評価額はどう決まる?「建て直す費用」が基準になる仕組み

建物の固定資産税評価額は、今その建物と同じものを新築すると、いくらかかるのかを基準に計算されます。

この金額を「再建築価格(建て直す費用)」といいます。

さらに、建物が古くなった分の価値の低下を反映するため、「経年減点補正率」と呼ばれる割合を掛け合わせて、固定資産税評価額を求めます。

それぞれの意味は次のとおりです。

  • 再建築価格(建て直す費用):現在の資材費や人件費などをもとに、同じ建物を新築した場合に必要と考えられる費用
  • 経年減点補正率:建物の経年劣化を反映し、築年数に応じて価値を減らすための割合

つまり、建物の固定資産税評価額は、古くなっても下がるとは限りません。

資材費や人件費の上昇によって再建築価格が高くなると、経年劣化による価値の低下があっても、固定資産税評価額が思ったほど下がらないことがあります。

なぜ古い家でも固定資産税評価額が下がらない?据え置きの仕組み

建物の固定資産税評価額は、原則として3年ごとの評価替えで見直されます。

評価替えでは、新しく計算した固定資産税評価額と、それまでの固定資産税評価額を比較し、次のルールで評価額が決まります。

  • 新しく計算した固定資産税評価額が、それまでの固定資産税評価額より高い場合 → 固定資産税評価額は引き上げられず、それまでの評価額が据え置かれます。
  • 新しく計算した固定資産税評価額が、それまでの固定資産税評価額より低い場合 → 新しく計算した固定資産税評価額へ変更されます。

この仕組みがあるため、建築費が大きく上昇した場合でも、建物の固定資産税評価額が前回より高くなることはありません。

一方で、建物は古くなっているにもかかわらず、資材費や人件費の上昇によって再建築価格が高くなると、新しく計算した固定資産税評価額が前回の評価額を上回ることがあります。

その場合は評価額が引き上げられるのではなく、前回の評価額のまま据え置かれます。

そのため、「築年数が増えているのに、固定資産税評価額が何年も変わらない」という現象が起こるのです。

近年は資材費や人件費の上昇が続いているため、この据え置きが起こりやすい状況となっています。

総務省も、建築費の上昇によって、経年劣化を反映して計算した評価額が以前から据え置かれている評価額を下回らず、結果として評価額が据え置かれるケースがあることを説明しています(出典:総務省 固定資産評価のしくみについて 家屋評価)。

評価額には下限がある!建物が古くなっても0円にはならない

もう一つ知っておきたいのが、建物の固定資産税評価額には下限があるという点です。

建物は年数の経過とともに評価額が下がりますが、その下がり方には限度があります。一定の年数が経過すると、それ以上は評価額が下がらない水準(最終残存率)に達します。

木造住宅では、新築時の評価額のおおむね20%程度が下限の目安とされています。

つまり、建物がどれだけ古くなっても、固定資産税評価額が0円になることはありません。 一定の評価額で下げ止まる仕組みになっています。

【対策】評価額の据え置きに納得できないときはどうする?

「なぜ自宅の評価額は下がらないのだろう」と感じたら、次の方法を確認してみましょう。

  • 課税明細書を確認する
    納税通知書に同封されている課税明細書では、固定資産税評価額を確認できます。前年度から評価額が変わっていない場合は、据え置きのルールが適用されている可能性があります。
  • 市区町村の資産税課窓口に問い合わせる
    評価額の算定方法について説明を受けることができます。建て直す費用の算定根拠や、適用されている経年減点補正率などを確認すると、評価額の理由がわかりやすくなります。
  • 固定資産評価審査委員会へ審査を申し出る
    評価額に納得できない場合は、「固定資産評価審査委員会」に審査を申し出る制度があります。
    固定資産評価審査委員会とは、固定資産税の評価額が適正かどうかを審査するために、各市区町村に設置されている第三者機関です。
    市区町村へ問い合わせても疑問が解消しない場合は、この制度を利用して評価額が適正かどうかの判断を求めることができます。
    なお、審査の申出には期限があります。納税通知書が届いたら早めに確認し、申出期間については、お住まいの市区町村の納税通知書や税務担当窓口で確認してください。
この章のまとめ
項目 内容
評価額の基準 同じ建物を今建て直すとした場合の費用(建て直す費用)
評価額が下がる理由 建築後の年数経過による傷み(経年減点補正率)
評価額が下がらない理由 建築費の上昇により、経年による目減り分が相殺されるため
据え置きのルール 新しい評価額が前年度より高くなる場合は、前年度の評価額のまま据え置かれる
評価額の下限 一定の年数が経過すると、それ以上は下がらない水準(最終残存率)がある
今すぐ確認したいこと 課税明細書で評価額を確認し、疑問があれば市区町村へ相談。必要に応じて固定資産評価審査委員会への審査申出を検討する

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5. 引き渡し時に払った「固定資産税精算金」実は税金ではなかった!

引き渡し時に払った「固定資産税精算金」実は税金ではなかった!

中古住宅や土地を購入した際、売買代金とは別に「固定資産税精算金」を支払った方も多いのではないでしょうか。

名前に「固定資産税」と付いているため、「固定資産税を納めた」と思っている方も少なくありません。

しかし、固定資産税精算金は法律上の税金ではありません。

実際には、不動産の引き渡し日以降の固定資産税・都市計画税の負担を、売主と買主の間で調整するために支払われるお金です。

この章では、固定資産税精算金とは何か、なぜ支払う必要があるのか、そして「税金ではない」とされる理由をわかりやすく解説します。

そもそも固定資産税精算金とは?なぜ引き渡し時に支払うのか

固定資産税精算金とは、不動産を売買した年の固定資産税や都市計画税について、売主と買主が、その年の所有期間に応じて負担を調整するために授受するお金です。

一般的には、引き渡し日を基準に日割りで計算されます。

固定資産税や都市計画税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している人に対して、その年の1年分が課税されます。

そのため、年の途中で不動産を売買しても、法律上の納税義務者は1月1日時点の所有者(通常は売主)のままです。買主が途中から納税義務者になるわけではありません。

この仕組みを整理すると、次のようになります。

  • 法律上の納税義務者:1月1日時点の所有者(通常は売主)
  • 引き渡し後に土地や建物を利用する人:買主

このままでは、引き渡し後の期間についても売主が1年分の固定資産税・都市計画税を負担することになります。

そこで、不動産取引では、引き渡し日以降の税負担に相当する金額を買主が売主へ支払うという方法が広く採られています。

これが「固定資産税精算金」です。

ただし、固定資産税精算金は法律で定められた制度ではありません。

売主と買主の合意に基づいて行われる不動産取引上の精算であり、法律上は固定資産税や都市計画税そのものではなく、売買代金の一部として扱われます。

固定資産税精算金は法律で義務付けられたものではない

固定資産税精算金について、もう一つ知っておきたいことがあります。

それは、固定資産税精算金の支払いは、法律で義務付けられているものではないという点です。

国税庁も、固定資産税精算金は地方公共団体へ納める固定資産税や都市計画税そのものではなく、売主と買主の間で行う利益調整のための金銭のやり取りであり、不動産の売買代金の一部という考え方を示しています。

つまり、固定資産税精算金は「税金を納めている」のではなく、売買代金の一部を売主へ支払っているという位置付けです。

そのため、固定資産税精算金を支払うかどうかや、どのような方法で精算するかは、売買契約の内容によって決まります。

たとえば、次のような内容は、売主と買主の合意によって決められます。

  • 固定資産税精算金を授受するかどうか
  • いつを基準に日割り計算するか(1月1日を基準にするか、4月1日を基準にするかなど)

不動産を購入するときは、「固定資産税精算金は必ず支払うもの」と考えるのではなく、売買契約の内容を確認することが大切です。

固定資産税精算金には消費税がかかることがある

固定資産税精算金は、法律上は税金ではなく売買代金の一部として扱われます。

そのため、建物にかかる固定資産税精算金には、条件によって消費税がかかることがあります。

主な取扱いは次のとおりです。

精算金の対象 消費税の取扱い
建物分の精算金 売主が消費税の課税事業者(不動産会社など)の場合は、消費税が課税される
土地分の精算金 土地の譲渡は非課税のため、消費税は課税されない
個人間の売買(売主が課税事業者ではない場合) 建物分の精算金でも、消費税は課税されない

「固定資産税の精算なのに、さらに消費税がかかるのはおかしい」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、固定資産税精算金は法律上の税金ではなく、売買代金の一部として扱われるため、建物の売買代金と同じルールで消費税が判断されます。

この取扱いは、国税庁の通達でも示されており、裁判でも認められている考え方です。

【対策】固定資産税精算金でトラブルにならないための確認ポイント

固定資産税精算金は、法律で義務付けられたものではなく、売主と買主の合意によって決まります。

そのため、引き渡し後のトラブルを防ぐには、契約内容を事前に確認しておくことが大切です。

  • 売買契約書で精算方法を確認する
    固定資産税精算金を授受するかどうか、いつを基準に日割り計算するのか(1月1日・4月1日など)、負担割合や計算方法が契約書に記載されているか確認しましょう。
    契約内容が曖昧なままでは、引き渡し後のトラブルにつながる可能性があります。
  • 買主は、固定資産税精算金が「税金」ではないことを理解しておく
    固定資産税精算金は、法律上は税金ではなく、不動産の売買代金の一部として扱われます。将来その不動産を売却する際には、取得費の計算に影響する場合があるため、売買契約書や領収書などの書類は大切に保管しておきましょう。
    確定申告が必要になった場合は、税理士などの専門家へ相談すると安心です。
  • 売主は、譲渡所得の計算への影響を確認する
    売主が受け取る固定資産税精算金は、不動産の売買代金の一部として扱われます。その結果、譲渡所得の計算に影響する場合があります。
    確定申告を行う際は、売買契約書などを確認し、不明な点があれば税理士へ相談しましょう。
  • 迷ったら不動産会社や税理士へ相談する
    固定資産税精算金の計算方法や、消費税の取扱い、税務上の処理に疑問がある場合は、仲介した不動産会社や税理士へ確認しておくと安心です。
この章のまとめ
項目 内容
固定資産税精算金とは 年の途中で不動産を売買した際に、固定資産税・都市計画税の負担を売主と買主の間で調整するために授受されるお金
法律上の位置付け 税金ではなく、不動産の売買代金の一部
支払いの根拠 法律上の義務ではなく、売主と買主の合意によって決まる
消費税の取扱い 建物分は売主が課税事業者の場合に課税されることがある。土地分は課税されない
今から確認したいこと 売買契約書で精算方法を確認し、将来の税務手続きに備えて関係書類を保管する

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結局、家を買ったらいくら備えればいいのか?5つの現実のまとめ

ここまで、家を買ってから「こんなはずじゃなかった」と驚きやすい、固定資産税の5つの現実を解説しました。

最後に、それぞれのポイントと、今から確認しておきたいことを一覧で振り返ります。

驚きの内容 今から確認しておきたいこと
1. 新築の減税が切れた瞬間、税額は実質2倍に 新築住宅の固定資産税の減額措置は、3〜7年で終了し、本来の税額に戻る 自宅の減額措置がいつ終了するのか確認し、税額が増える時期に備える
2. 住宅ローンが終わっても一生ついてくる 家を所有している限り、固定資産税は毎年かかり続ける 老後まで見据えた資金計画に組み込む
3. 都市計画税も同時に請求される 都市計画税は固定資産税とは別の税金だが、同じ納税通知書で請求される 都市計画税の有無と金額も確認し、年間の負担額を把握する
4. 評価額は据え置かれることがある 建築費の上昇などにより、古い家でも評価額が下がらないことがある 課税明細書で評価額を確認し、疑問があれば自治体へ相談する
5. 固定資産税精算金は税金ではない 引き渡し時の精算金は、法律上は売買代金の一部として扱われる 売買契約書の内容を確認し、確定申告にも注意する

結局、いくら備えておけばいいのか

5つの現実に共通しているのは、「知らなかった」だけで家計の負担や資金計画に大きな影響が出るということです。

固定資産税は、一度仕組みを理解すれば、必要以上に不安になる税金ではありません。

家を買ったら、まずは次の5つを確認しておきましょう。

  • 新築の減額措置がいつ終わるのか確認する
    減額措置が終了すると、固定資産税はおよそ2倍になります。あらかじめ時期を把握しておけば、家計への影響にも備えやすくなります。
  • 固定資産税と都市計画税を合計した年間負担額を把握する
    固定資産税だけを見ていると、実際の支出を見誤るおそれがあります。
  • 納税通知書と課税明細書には毎年目を通す
    税額が変わった場合でも、その理由が評価替えなのか、減額措置の終了なのかを確認できます。
  • 住宅ローン完済後や退職後も支払いが続くことを前提に資金計画を立てる
    固定資産税は、家を所有している限り毎年かかる税金です。長期的な視点で考えておくと安心です。
  • 不動産を売買するときは、固定資産税精算金の扱いも確認する
    契約内容を事前に確認しておくことで、後から思わぬトラブルを避けやすくなります。

固定資産税は、家を買った後も長く付き合うことになる税金です。

仕組みを知り、あらかじめ備えておくだけで、「知らなかった」と慌てる場面は大きく減らせます。

この記事が、安心してマイホームを維持していくための参考になれば幸いです。

著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般社団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov 地方税法総務省 固定資産評価のしくみについて 家屋評価国税庁 法令解釈通達 第1節 課税資産の譲渡等国土交通省 令和8年度税制改正概要さいたま市 家屋の固定資産税の減額措置一般財団法人資産評価システム研究センター 令和8年度固定資産税のしおり
注意点
本記事の内容は令和8年7月時点のものです。最新の情報は市町村役場のホームページや窓口、総務省、国土交通省の公式サイトなどにてご確認ください。

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