中古住宅の固定資産税が払えない!段階別の対処法と使える猶予制度

中古住宅の固定資産税が払えない!段階別の対処法と使える猶予制度

中古住宅の固定資産税が払えず、困っていませんか。

固定資産税は毎年必ず課税される税金ですが、収入減少や退職、相続などをきっかけに支払いが難しくなるケースは珍しくありません。

しかし、固定資産税を滞納したからといって、すぐに差し押さえになるわけではありません。状況に応じて利用できる制度や対処法が存在します。

この記事では、固定資産税が払えないときのリスクと対処法を段階別に解説します。カード払いやスマホ決済による資金繰りの方法、自治体の猶予制度、住宅売却を含む根本的な解決策まで、実際に活用できる選択肢を整理しました。

固定資産税の基礎知識を確認したい方は「1.中古住宅の固定資産税の基本構造」から、すぐに解決策を知りたい方は「4.すぐにできる対処法①」、または「5.すぐにできる対処法②」からご覧ください。

目次

1. 中古住宅の固定資産税の基本構造

固定資産税は、土地と建物のそれぞれに対して課される税金です。手元の納付書に記載されている金額は、この2つの税額を合算したものになります。仕組みを理解しておくと、税額が高い理由や節税の糸口が見えてきます。

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1-1. 固定資産税は「土地」と「建物」に分けて課される

固定資産税は、土地と建物のそれぞれに固定資産税評価額(以下「評価額」)が設定され、土地分・建物分として別々に計算されます。最終的に2つの税額を合算した金額が、毎年届く納税通知書に記載されているわけです。

都市計画税(詳細は本記事の「1-4.都市計画税とは何か——固定資産税と一緒に請求される税金」で説明します)が課される地域では、この合計額がさらに大きくなります。「思ったより高い」と感じる場合は、都市計画税が含まれているケースが少なくありません。

また、将来的に空き家にして建物を取り壊した場合、建物分の税は消える一方で、土地分の税が大きく変わります。この理由については、本記事の「空き家・更地にすると特例が外れて土地の税額が増える——「6倍」説の誤解を正す」で詳しく解説します。

中古住宅の固定資産税の仕組み・土地と建物それぞれの計算構造図

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1-2. 固定資産税評価額とは何か

固定資産税評価額とは、市区町村(東京23区は都)が評価した、土地や建物の時価に相当する価格のことです。実際の売買価格とは必ずしも一致しない点に注意が必要です。

土地と建物では、固定資産税評価額を評価する仕組みが異なります。土地は公示価格の70%程度を目安に評価されます。一方、建物は「再建築価格(その家屋と同じものを今の時点で新築するとした場合の建築費)」をもとに、年数の経過に応じた「経年減点補正率」を乗じて評価額が計算されます。築年数が経つほど評価額は下がりますが、最低でも評価額の20%(残価率20%)は残り続けます。

固定資産税の納税通知書や課税明細書には「価格」という項目がありますが、これが固定資産税評価額のことです。以降この記事では、「固定資産税評価額」と、納税通知書や課税明細書に記されている「価格」を同じ意味で使います。

固定資産税評価額の基本データ
項目 土地 建物
評価の基準 公示価格の70%程度 再建築価格×経年減点補正率
見直し頻度 3年ごと(評価替え) 3年ごと(評価替え)
納税通知書上の表記 価格 価格
最低限度 なし(地価に連動) 残価率20%(木造・非木造で異なる)

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1-3. 課税標準額とは何か——固定資産税評価額と何が違うのか

固定資産税の課税明細書には、課税標準額という額が記されています。

課税標準額とは、固定資産税の税額を計算するための土台となる金額のことです。「課税標準額×1.4%=固定資産税額」という計算式で使われますが、課税標準額は固定資産税評価額そのものではありません。

評価額から一定の軽減措置が適用された後の金額が、課税標準額になります。たとえば、住宅が建っている土地(住宅用地)には「住宅用地の特例」が適用され、200㎡以下の小規模住宅用地では課税標準額が評価額の1/6に圧縮されます。

また「負担調整措置」(地価の急激な上昇があっても税負担を急増させないようにするための措置)によっても、課税標準額が変わります。

この2つの金額の違いが把握できれば、「なぜこの税額になるのか」が読み解けるようになります。手元の課税明細書で「価格」欄と「課税標準額」欄を見比べてみてください。金額が違うはずです——その差が、軽減措置の効果です。

たとえば、固定資産税評価額(価格)が1,200万円の土地(200㎡以下の小規模住宅用地)の場合、住宅用地の特例により課税標準額は200万円(1,200万円×1/6)に圧縮されます。課税明細書では「価格」欄に1,200万円、「課税標準額」欄に200万円と記載されており、この2つの数字の差が軽減措置の効果を示しています。

固定資産税の納税通知書・課税明細書の見方(価格=評価額と課税標準額の違いを解説)
【重要】固定資産税評価額と課税標準額の違い
項目 固定資産税評価額(価格) 課税標準額
別名・通知書上の表記 「価格」欄に記載 「課税標準額」欄に記載
内容 市区町村が評価した時価相当の価格 税額計算の土台となる金額
住宅用地の特例適用 変わらない 200㎡以下は評価額の1/6に圧縮
負担調整措置の影響 変わらない 商業地等は評価額の70%が上限
税額計算での使い方 直接使わない(基礎データ) 課税標準額×1.4%=固定資産税額

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1-4. 都市計画税とは何か——固定資産税と一緒に請求される税金

都市計画税とは、道路・公園・上下水道などの都市インフラ整備費用を賄うために課される目的税のことです。固定資産税とは別の税ですが、同じ納付書で請求されるため、混同されがちです。

課税されるのは、都市計画法による市街化区域内に所在する土地・建物の所有者に限られます。税率は最大0.3%で、市区町村の条例で定められます。市街化調整区域(原則として市街化を抑制すべき区域)の中古住宅には、原則として課税されません。

たとえば、固定資産税評価額が1,500万円の土地(課税標準額1,500万円と仮定)に都市計画税が課された場合、年額は最大で4万5,000円(1,500万円×0.3%)になります。「都市計画税」の欄が固定資産税の納付書にあるかどうかを確認してみてください。

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2. 中古住宅の固定資産税が払えなくなる「よくある4つの理由」

固定資産税は、所有しているかぎり毎年必ず課される税金です。購入時には無理なく払えていたとしても、生活環境の変化によって急に重荷になるケースは少なくありません。「なぜ払えなくなったのか」を正確に把握することが、適切な対処につながります。

中古住宅の固定資産税が払えなくなる4つの理由イラスト(収入減・老後・相続・評価替え)
払えなくなる理由別・緊急度と優先すべき対処の方向性
理由 一時的か継続的か 緊急度 まず取るべき行動
収入の急減(失業・休職) 一時的な可能性あり 自治体に徴収猶予を相談
老後の収入減少 継続的 中〜高 分納+売却も視野に
相続による取得 継続的 名義・税額を確認後に相談
評価替えによる税額増 継続的 評価額の妥当性を確認

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2-1. 収入の急減(失業・休職・給与カット)

住宅ローンの返済と固定資産税が重なる状況は、中古住宅を所有するオーナーに特有のリスクといえます。ローンは毎月の支払いとして意識しやすい一方、固定資産税は年4回払いのため「その月だけ資金が足りない」という事態が起きやすいからです。

収入の急減が一時的なものであれば、本記事の「3.払えないまま放置するとどうなる?段階別のリスク」で解説する「徴収猶予」を活用することで乗り切れる可能性があります。まず自治体の税務担当窓口へ相談することが、最初の一手です。

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2-2. 老後の年金生活への移行で固定費が重くなった

定年退職後に収入が年金のみとなると、購入時には問題なく払えていた固定資産税が急に重く感じられることがあります。年金収入は給与と異なり、基本的に増えることがないためです。

固定資産税が住宅ローンと根本的に異なる点は、ローンには返済完了という「終わり」があるのに対し、固定資産税は所有しているかぎり毎年発生し続けるという点にあります。老後も持ち家を保有し続けるうえで、この「永続的なコスト」を資金計画に織り込んでおく必要があるわけです。

たとえば、年間固定資産税が15万円の場合、月次換算で約1万2,500円のコストが生涯にわたって続きます。年金収入が月20万円程度であれば、決して小さな負担ではありません。

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2-3. 相続で取得した中古住宅の税額を把握していなかった

相続した不動産にも、固定資産税の納税義務は引き継がれます。地方税法の規定により、賦課期日(毎年1月1日)時点で所有者として登記されている者が原則として納税義務者となりますが、所有者が賦課期日前に死亡している場合は、その相続人等が納税義務者となります。

相続登記(名義変更)が未了の状態でも、相続によって実際に不動産を取得した人に納税義務は発生します。また、令和6年4月1日からは相続登記が義務化され、相続によって所有権を取得した者は、その事実を知った日から3年以内に登記申請をしなければならないこととなっています。

注意
遺産分割が未了の間、その不動産は相続人全員の共有状態となります。この場合、地方税法第10条の2の規定により、相続人全員が連帯して固定資産税の全額を納付する義務を負います。

加えて、地方税法第384条の3に基づき、相続の発生を知った日の翌日から3か月以内に「固定資産現所有者申告書(相続人代表者指定届)」を市区町村の税務窓口へ提出することが求められます。提出先・書式名は自治体によって異なりますので、まず固定資産税担当窓口に確認するとよいでしょう。

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2-4. 3年に1度の評価替えで税額が突然上がった

固定資産税評価額は3年ごとの「評価替え」によって見直されます。直近の評価替えは令和6年度です。

地価が上昇しているエリアでは、評価替えを機に土地の評価額が上昇し、課税標準額・税額が増加する可能性があります。「毎年同じくらいの税額が来るはず」と思っていた方が、評価替えの年度に通常より高い納付書を受け取って驚くケースが目立ちます。

自分の中古住宅がある地域の地価動向が気になる場合は、国土交通省が毎年公表する「地価公示」や都道府県の「地価調査」を参考にするとよいでしょう。また、評価額の増加に納得がいかない場合は、納税通知書の交付を受けた日から3か月以内に「審査申出」という手続きを取ることができます。

その詳細は、本記事の「6-3.固定資産税評価額に不服がある場合——審査申出という選択肢」で詳しく解説します。

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3. 払えないまま放置するとどうなる?段階別のリスク

固定資産税を滞納したまま放置すると、延滞金の発生から差し押さえ・公売へと段階的にリスクが拡大します。重要なのは、各段階で「まだ取れる対処法」が残っているという点です。早めに動くほど選択肢が多く、所有する資産を守れる可能性が高くなります。

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3-1. 【第1段階】納期限翌日から延滞金が発生する

延滞金は、固定資産税を納期限までに払わなかった場合に、税額に上乗せして課される利息のようなものです。1日でも過ぎれば発生するため、「少し待ってから払おう」という判断は得策ではありません。

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現行の延滞金率はいくらか(令和7年・令和8年)

延滞金率は、地方税法附則に基づく「延滞金特例基準割合」に連動して毎年変わります。かつてよく言われた「年14.6%」は原則税率であり、現在は特例により大幅に低い率が適用されています。

令和4年1月1日から令和7年12月31日までの延滞金特例基準割合は年1.4%です。令和7年中に適用される延滞金率は、1か月以内が年2.4%(1.4%+1%)、1か月超が年8.7%(1.4%+7.3%)となります。

令和8年の平均貸付割合は0.8%と告示されたため、令和8年の延滞金特例基準割合は平均貸付割合0.8%に1%を加えた1.8%となります。これにより、令和8年の延滞金率は、納期限の翌日から1か月間が2.8%(1.8%+1%)、1か月を経過した日以降が9.1%(1.8%+7.3%)です。

令和7年度の固定資産税の納期限は年4回ありますが、翌年2月ごろの第4期分は令和8年中に延滞が生じる場合があります。その際は令和8年の率(2.8%・9.1%)が適用される点に注意が必要です。

延滞金率の早見表
適用期間 経過期間 延滞金率(年率) 根拠
令和7年中(〜令和7年12月31日) 納期限翌日〜1か月以内 年2.4% 地方税法附則・延滞金特例基準割合1.4%+1%
令和7年中 1か月超〜完納まで 年8.7% 同+7.3%
令和8年中(令和8年1月1日〜) 納期限翌日〜1か月以内 年2.8% 延滞金特例基準割合1.8%+1%
令和8年中 1か月超〜完納まで 年9.1% 同+7.3%

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実際に延滞金がいくら増えるか(金額シミュレーション)

延滞金率を「率」だけで示されても、実感が湧きにくい方も多いでしょう。ここでは固定資産税10万円と20万円のケースについて、令和7年中の率(2.4%・8.7%)を用いて延滞金の実額を計算します。

計算式は次のとおりです。

  • 1か月以内の部分:税額×2.4%×(日数÷365)
  • 1か月超の部分:税額×8.7%×(超過日数÷365)
延滞金シミュレーション(令和7年中の率で計算・概算)
固定資産税額 3か月滞納 6か月滞納 1年滞納
10万円 約1,800円 約4,300円 約8,900円
20万円 約3,600円 約8,600円 約1万7,800円

納期限から1か月を過ぎると適用率が2.4%から8.7%へ約3.6倍に跳ね上がるため、「もう少し待ってから払う」という選択は得策ではありません。20万円の税額を1年間放置すると、延滞金だけで約1万7,800円が上乗せされます。

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3-2. 【第2段階】督促状・催告状が届く(納期限から20日以内に発送)

督促状は、納期限から20日以内に市区町村から発送されます。これは法律上の義務であり(地方税法第329条)、自治体の裁量ではありません。督促状が届いたら、迷わず自治体の窓口へ相談してください。この段階が、選択肢が最も多く残っているときです。

督促状を受け取ってもなお対応しない場合は、催告状が届き、財産調査が開始されます。固定資産税の滞納が発覚すれば、預貯金・給与・不動産といった財産の有無や残高を自治体が調査する権限を持つことになります。「届いているが開封していない」という状態は、法的には決して望ましくありません。

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3-3. 【第3段階】財産調査・給与と預貯金の差し押さえ

差し押さえは、固定資産税滞納による制裁のなかで、もっとも日常生活に直接的な影響をおよぼします。給与・預貯金・不動産のいずれも対象になりえます。

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法的には督促から10日以内に差し押さえ可能

地方税法上は、督促状を発送した日から起算して10日を経過しても完納しない場合、市区町村は財産を差し押さえることができると定められています(地方税法第331条)。実際には猶予が設けられるケースもありますが、法律の定めとしては「10日」という短い期間であることを認識しておく必要があります。

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差し押さえられると勤務先に通知が届く

給与が差し押さえられると、市区町村から勤務先に「債権差押通知書」が送付されます。これにより、滞納の事実が職場の経理担当者等に知られることになります。差し押さえは本人への通知よりも先に勤務先へ届く場合もあるため、発覚を避けたいのであれば早めに自治体の窓口へ相談することが不可欠です。

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預金差し押さえが住宅ローン引き落としに波及するリスク

住宅ローン返済中の中古住宅オーナーには、固定資産税滞納に特有のリスクがあります。固定資産税の滞納処分によって預金が差し押さえられると、その時点の残高が自治体に取り立てられます。

残高が差押額を下回っている場合、口座の残金がほぼゼロになるため、同じ口座から自動引き落としされている住宅ローンがその月に引き落とし不能となるリスクがあります。固定資産税の滞納が、住宅ローンの滞納という別の問題に連鎖する最悪のシナリオです。

「固定資産税くらい少し待てばいい」という判断が、住宅そのものを失うリスクに発展しかねません。差し押さえは本人への事前の予告なく実行されることがあるため、督促状が届いた段階で迷わず自治体の窓口へ相談することが大切です。

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3-4. 【第4段階】不動産の差し押さえ・公売

給与・預金の差し押さえでも滞納が解消されない場合、最終的に不動産そのものが差し押さえられます。差し押さえの登記が入ると、所有者の意思だけでは売却も担保設定もできなくなります。その先には「公売」という強制売却が待っており、住み慣れた家を失うことになりかねません。

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税金滞納による公売は裁判所の許可なしに執行される

住宅ローンが払えなくなった場合の「競売」(けいばい)は、裁判所が関与する手続きです。一方、固定資産税滞納による「公売」(こうばい)は、市区町村が自らの権限で執行するため、裁判所の許可は必要ありません。

手続きが迅速に進む点で、競売よりも対応できる時間が短くなる可能性があります。差し押さえを受けた後に退去を拒否することはできず、強制退去となります。

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任意売却が間に合うタイムラインを把握しておく

差し押さえから実際に公売が実施されるまでには、一定の期間が存在します。この間に自ら売却先を探す「任意売却」を検討する余地があります。

任意売却は公売と異なり、相場に近い価格での売却が期待でき、手元資金を残せる可能性があります。詳しくは本記事の「7.すぐにできる対処法④——不動産を売却する」で解説します。

固定資産税を滞納した場合の4段階リスクと対処法タイムライン(督促・差し押さえ・公売)

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4. すぐにできる対処法①——カード・スマホ決済で払えないか確認する

「払えない」理由が「現金の手元資金が足りないだけ」という場合、クレジットカードやスマホ決済という選択肢が有効です。延滞金の発生を防ぐためにも、まず手持ちの決済手段で当月を乗り切れるかを確認しましょう。

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4-1. クレジットカード払いができる自治体が増えている

クレジットカードで固定資産税を支払うには、主に2つの方法があります。ひとつは納付書に印刷された「eL-QR(エルキューアール)」というQRコードを読み取り、「地方税お支払サイト」からカード情報を入力する方法です。もうひとつは、自治体独自のクレジットカード専用サイトを経由する方法で、自治体によって対応状況が異なります。

令和5年4月3日からeLTAXを通じたクレジットカードによる地方税の納付が可能となりました。eL-QRが印刷された納付書があれば、全国どの自治体でも同じ手順でカード払いができます。

ただし、注意点が1つあります。クレジットカード払いには「システム利用料」が発生します。税額に応じたシステム利用料がかかり、最初の1万円までは37円、以降1万円ごとに75円が加算されます(消費税別)。

たとえば固定資産税が年間15万円の場合、システム利用料は37円+(14×75円)=1,087円(税別)となります( 1万円超の14万円分に対応)。カードのポイント還元率と手数料を見比べて利用する価値があるか判断してください(出典:eLTAX「クレジットカードを利用した納付の手順」)。

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4-2. PayPay・au PAY・nanacoなどのスマホ決済にも対応している

PayPay・au PAY・楽天ペイ・d払いなどのスマートフォンアプリを使い、納付書のeL-QRをカメラで読み取って支払う方法があります。クレジットカード払いとは異なり、決済手数料が無料で利用できる点がメリットです。

スマホ決済・電子マネーには、1回あたりの支払いに上限が設けられています。PayPay請求書払いの1回あたりの支払い上限は30万円です。nanacoは電子マネー残高の上限が5万円ですが、センター預り金と合わせると1枚で最大10万円まで支払えます。au PAYはクレジットカードからのチャージ上限が月10万円です。

固定資産税が高額な場合は1回の決済で全額を支払えないケースもあります。各サービスの上限は変更される場合があるため、最新情報は利用するアプリの公式サイトでご確認ください。

なお、スマホ決済では領収証書は発行されず、アプリ内の取引履歴で確認することになります。領収証書が必要な場合は、コンビニや金融機関での現金払いを選ぶ必要があります(出典:eLTAX「eL-QRでいつでもどこでもキャッシュレス納付」)。

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4-3. カード払いで今月を乗り切り、翌月から分納相談する方法

一時的な資金繰り問題であれば、カード払いで当月の納付を済ませたうえで、翌月以降の支払いについて自治体に分納の相談をするという2段階の対応が有効です。延滞金の発生を止めることを最優先に考えましょう。

ただし、カードのリボ払いや分割払いを選ぶ場合は、カード会社への手数料・利息が別途発生するため注意してください。ショッピングリボ払いは多くのカードで年15%程度です。カードによっては年18%のものもあります。

たとえば、15万円をリボ払い(実質年率15〜18%)で12か月かけて返済すると、利息の総額は約1万2,000〜1万4,500円程度になります。実質年率はカードにより異なりますので、ご利用のカードの契約内容をご確認ください。

自治体への分納相談では延滞金(令和7年中は年8.7%、令和8年以降は年9.1%)が発生しますが、条件によってはリボ払いより低コストで済む場合もあります。翌月以降の対処法は本記事の「5.すぐにできる対処法②——自治体窓口に相談する(4つの制度)」で詳しく解説します。

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5. すぐにできる対処法②——自治体窓口に相談する(4つの制度)

固定資産税が払えないとき、自治体の窓口には「分納」「徴収猶予」「換価の猶予」「減免」という4つの制度が用意されています。どれを選ぶかは、現在の状況によって異なります。「自分はどれに当てはまるか」を把握してから窓口に向かうと、相談がスムーズに進みます。

固定資産税が払えないときの対処法選び方フローチャート(分納・徴収猶予・換価の猶予・減免)
自治体相談4制度の比較一覧
制度名 使えるタイミング 延滞金 最長期間 主な適用条件
分納 差し押さえ前 発生する 制限なし(要相談) 支払い意思があること
徴収猶予 差し押さえ前 原則免除 1年以内 災害・病気・失業など
換価の猶予 差し押さえ後も可(納期限から6か月以内) 軽減あり 1年以内 誠実な納税意思がある
減免 差し押さえ前 対象外 災害・生活保護など

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5-1. 分納(支払い回数を増やす)

分納とは、本来は一括または年4回払いの固定資産税を、自治体との合意のもとで月単位などに細分化して支払う方法です。法律上の明文規定ではなく、自治体の裁量による運用のため、申請のタイミングや条件は窓口で確認する必要があります。

「支払いたい意思はあるが、今月の手元資金が足りない」という状況に最も適した制度といえるでしょう。延滞金は発生しますが、差し押さえへの移行を防ぎながら時間の余裕を作ることができます。

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分納が認められる条件と申請のタイミング

分納が認められるかどうかは、収入・支出の状況や滞納額の規模など、個々の事情を自治体が総合的に判断します。「支払う意思と能力がある」ことを示せるかどうかが鍵になります。

申請は、納期限を過ぎてからでも受け付けてもらえる場合がありますが、督促状が届く前の早い段階で相談するほど選択肢が広がります。ただし、差し押さえを受けた後は分納に応じてもらえない場合があるため、差し押さえ前に相談することが重要です。

納付書が届いた時点で「今期は難しい」と感じたら、すぐに連絡することをお勧めします。

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分納中に1回でも滞納すると差し押さえに移行するリスクがある

分納の約束を守れなかった場合、自治体は差し押さえに移行する根拠を得ることになります。「とりあえず分納を申請しておけばよい」という考えにはリスクがあります。

分納を申請するときは、確実に払い続けられる金額で計画を立てることが重要です。無理な金額を設定して途中で滞納するより、低めの金額で継続できる計画のほうが自治体との信頼関係を維持できます。

このように窓口で聞いてみましょう(分納)

窓口で伝える言い方と、持参するものの目安は次のとおりです。

  • 言い方の例:「今年度の固定資産税を一括で支払うことが難しい状況です。月ごとの分割払いについて相談させてください」
  • 持参物の目安: 納税通知書・課税明細書・印鑑・本人確認書類・収入状況がわかる書類(給与明細・年金通知書など)

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5-2. 徴収猶予(最長1年間、支払いを先延ばしにできる)

徴収猶予とは、災害・病気・失業など一定の特別な事情がある場合に、自治体が最長1年間、税の徴収を猶予する制度です(地方税法第15条)。分納との最大の違いは、猶予期間中の延滞金が原則として免除される点です。

たとえば、固定資産税が年間20万円の場合、1年間の徴収猶予が認められれば、その間の延滞金(最大約1万7,800円)が免除される可能性があります。資金的に厳しい状況では、この差は大きいといえるでしょう。

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徴収猶予が使える「特別な事情」の具体例

徴収猶予の適用対象となる主な事情は次のとおりです。

  • 災害(火災・水害・地震など)による財産の損失
  • 納税者本人または生計を同じくする家族の病気・負傷
  • 廃業・休業・失業など、事業または収入が著しく減少した場合
  • その他、一時的に税を納付できないやむを得ない事情がある場合

コロナ禍では全国的に「収入の著しい減少」を理由とした徴収猶予が広く適用されており、制度には柔軟な運用実績があります。

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徴収猶予中は延滞金が原則免除される

徴収猶予が認められると、猶予期間中の延滞金は原則として全額免除されます。これが分納と最も異なる点です。分納では延滞金が発生し続けるため、同じ「支払いを先延ばしにする」という行為でも、徴収猶予のほうが経済的な負担を小さく抑えられます。

なお、猶予期間中は財産の差し押さえも停止されます。生活の立て直しに集中できる環境を整える意味でも、特別な事情に該当するなら積極的に活用すべき制度といえるでしょう。

このように窓口で聞いてみましょう(徴収猶予)

  • 言い方の例:「失業(または休職・療養中)のため、固定資産税の支払いが困難な状況です。徴収猶予の申請を検討しています。必要な書類と手続きを教えていただけますか」
  • 持参物の目安: 納税通知書・失業の場合は雇用保険受給資格者証・療養中の場合は診断書など、事情を証明できる書類

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5-3. 換価の猶予(差し押さえ後でも申請できる)

換価の猶予とは、すでに財産が差し押さえられた後でも、その財産の売却(公売)を一時的に止めることができる制度です。

徴収猶予が「差し押さえ前」の制度であるのに対し、換価の猶予は「差し押さえ後」でも申請できる点が大きな違いです。この区別を正確に説明している情報はほとんど見当たりません。

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徴収猶予との違い——差し押さえ「前」か「後」かで制度が変わる

2つの制度の最大の違いは、差し押さえの前後どちらで使えるかです。徴収猶予は差し押さえを受ける前に申請するもので、申請が認められれば差し押さえ自体を止めることができます。

一方、換価の猶予は差し押さえを受けた後でも申請でき、認められれば財産の公売(強制売却)を一時的に停止できます。住まいを守るための「最後の砦」として機能する制度です。また、換価の猶予が認められると、猶予期間中の延滞金の一部が免除されます。

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申請期限は納期限から6か月以内

換価の猶予の申請には期限があります。地方税法第15条の6に基づき、各自治体の条例で定める期間内(多くの自治体で納期限から6か月以内)に申請書を提出する必要があります。

「差し押さえを受けてから動き出せばよい」と考えていると、申請期限を過ぎてしまう可能性があります。差し押さえの通知が届いたら、すぐに窓口へ連絡してください(出典:地方税法第15条の6高浜町「法令に基づく換価の猶予について」)。

このように窓口で聞いてみましょう(換価の猶予)

  • 言い方の例:「固定資産税の未納について、差し押さえの通知を受けています。換価の猶予を申請したいのですが、申請書と必要書類を確認させてください」
  • 持参物の目安: 差し押さえ通知書・納税通知書・収入・資産状況を示す書類

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5-4. 減免(災害・生活困窮など特別な事情がある場合)

減免とは、いったん発生した固定資産税の納税義務の全部または一部を免除する制度です(地方税法第367条)。猶予とは異なり、「払うのを先延ばしにする」ではなく「税そのものを減らす・なくす」制度である点が本質的に異なります。

ただし、減免は「客観的にみて担税力(税を負担する力)が著しく減少している場合」に適用される制度であり、条件は厳しめです。まずは窓口で自分の状況が該当するかを確認することが先決です(出典:地方税法第367条)。

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減免が適用される主なケース

地方税法第367条に基づく主な適用ケースは次のとおりです。

  • 震災・火災・水害などの災害で固定資産が損壊・滅失した場合
  • 生活保護を受給している場合
  • 公益的な用途(道路・公園など)に固定資産が使用される場合
  • その他、各市区町村の条例が定める「特別の事情」がある場合

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減免の割合は自治体ごとに条件が異なる

減免の内容(全額免除か一部免除か)・適用条件は、各市区町村の条例によって異なります。国が一律に定めているわけではないため、「うちの自治体では該当するかもしれない」と思ったら、まず固定資産税担当窓口に電話で問い合わせるのが確実です。

このように窓口で聞いてみましょう(減免)

  • 言い方の例:「昨年、自宅が台風(または火災・水害)で被害を受けました。固定資産税の減免制度が利用できるか確認したいのですが、担当の窓口を教えていただけますか」
  • 持参物の目安: 罹災証明書・納税通知書・被害状況を示す写真や書類など

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6. すぐにできる対処法③——固定資産税を「減らす」(見落としている軽減制度を確認する)

「払えない」原因の一部が、「そもそも固定資産税を払いすぎている」可能性があります。住宅用地の特例の未適用・リフォーム減税の見落とし・評価額への不服申出という3つの切り口で、合法的に税額を下げる方法を確認しましょう。見落としがちな制度ほど、活用できたときの効果が大きいといえます。

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6-1. 住宅用地の特例は正しく適用されているか確認する

住宅用地の特例とは、住宅が建っている土地の課税標準額(税額計算の土台となる金額)を大幅に圧縮する制度です。この特例が正しく適用されているかどうかは、課税明細書を見るだけで確認できます。

確認方法はシンプルです。課税明細書の「価格(評価額)」欄と「課税標準額」欄を比べてください。土地の欄で課税標準額が評価額の約1/6などになっていれば、特例が適用されています。金額がほぼ同じであれば、特例が外れている可能性があります(出典:一般財団法人 資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり」)。

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小規模住宅用地(200㎡以下)は課税標準額が評価額の1/6になる

住宅用地の特例では、200㎡以下の小規模住宅用地について、課税標準額が評価額の1/6に圧縮されます。200㎡を超える部分は1/3です。

たとえば、固定資産税評価額が1,200万円の土地(200㎡以下)の場合、本来の課税標準額は1,200万円ですが、特例適用後は200万円(1,200万円×1/6)に圧縮されます。税額は200万円×1.4%=2万8,000円となり、特例なしの場合の16万8,000円と比べると約6分の1です。この差がいかに大きいかがわかります。

なお、住宅用地の特例の詳細は、当サイト「固定資産税をパパっと解説」で公開中の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

お役立ち記事
住宅用地の特例とは|軽減率・計算例・特例が外れる条件を解説

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空き家・更地にすると特例が外れて土地の税額が増える——「6倍」説の誤解を正す

「空き家を解体すると固定資産税が6倍になる」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、これは正確ではありません。

更地になった土地は住宅用地の特例が外れますが、負担調整措置(課税標準額の急激な上昇を抑える仕組み)により、課税標準額は評価額の70%が上限となります。

その結果、固定資産税は住宅用地特例適用時と比べて約4.2倍(70%÷1/6=4.2)、都市計画税は約2.1倍(70%÷1/3=2.1)となります。合算平均の約3.6倍は、固定資産税(税率1.4%)と都市計画税(税率0.3%)を税率で加重平均した結果です(例:(4.2×1.4+2.1×0.3)÷(1.4+0.3)≒3.6)。「6倍」という数字は誤りであり、正確な倍率を知ったうえで空き家対策を検討することが重要です。

空き家解体後の固定資産税の変化(住宅用地→更地の場合)
税目 住宅用地(特例適用) 更地(商業地等・負担調整後) 倍率
固定資産税(土地) 評価額×1/6×1.4% 評価額×70%×1.4% 約4.2倍
都市計画税(土地) 評価額×1/3×0.3% 評価額×70%×0.3% 約2.1倍
合算平均 約3.6倍

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6-2. リフォーム減税——令和8年度改正で適用期限が令和13年3月まで延長済み

リフォーム減税とは、一定の改修工事を行った住宅について、翌年度の固定資産税が軽減される制度です。令和8年度税制改正(令和7年12月26日閣議決定)により、令和8年4月1日から令和13年3月31日まで適用期限が5年間延長されています。

また、令和8年度改正から床面積要件の下限が50㎡から40㎡に緩和されており、より多くの住宅が対象となっています。

リフォーム減税4種の比較(令和8年度改正・期限延長反映版)
改修種類 減額割合 適用期限 主な適用条件
耐震改修 翌年度1/2 令和13年3月31日 昭和57年1月1日以前建築
省エネ改修 翌年度2/3 令和13年3月31日 平成26年4月1日以前建築など
バリアフリー改修 翌年度2/3 令和13年3月31日 65歳以上・要介護者等が居住
長期優良住宅化改修 翌年度1/3 令和13年3月31日 増改築による長期優良住宅の認定取得
注意
リフォーム減税は申告制です。工事完了後3か月以内に、増改築等工事証明書などの書類を市区町村の窓口に提出しなければ適用されません。工事を行った方は速やかに申告をしてください。

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6-3. 固定資産税評価額に不服がある場合——審査申出という選択肢

固定資産税評価額が高すぎると感じている場合、「固定資産評価審査委員会」という中立機関に審査の申出ができます。審査委員会とは、地方税法に基づき各市区町村に設置された第三者機関であり、納税者からの不服申出を審査する役割を担います。

審査の結果、固定資産税評価額が不適当と認められれば修正され、税額も是正されます。また、過払いとなっていた税額も還付されます。

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申出先は固定資産評価審査委員会——まず市区町村の税務窓口へ

審査の申出先は、各市区町村に設置されている固定資産評価審査委員会です。ここに「審査申出書」を提出します。

ただし、この委員会は独立した機関であるため、窓口を持っていません。まず市区町村の税務担当窓口に「審査申出をしたい」と伝えるのが現実的な申出方法となります。

申出先と不服の内容によって手続きが異なることも、あわせて把握しておきましょう。

  • 固定資産税評価額への不服 → 市区町村の税務担当窓口を介して固定資産評価審査委員会へ「審査の申出書」を提出
  • 課税標準額・税率・税額など評価額以外への不服 → 市区町村の税務担当窓口を介して市区町村長へ「審査請求書」を提出

この2つは混同しやすいため注意が必要です。固定資産税評価額が高すぎると感じた場合は、前者の「審査の申出」が対象となります。

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審査の申出は基準年度のみ——期限は納税通知書の交付を受けた日から3か月以内

審査の申出ができるのは、原則として評価替えが行われた年度のみです。固定資産税評価額は3年ごとに見直され、直近の評価替えは令和6年度、令和9年度です。それ以外の年度は原則として申出できません。

ただし、次の例外的なケースでは基準年度以外でも申出できます。

  • 地目の変換・家屋の改築などで基準年度の価格によることが不適当と市町村長が認め、新たに固定資産税評価額が評価された場合
  • 土地について地価が下落し、市町村長が固定資産税評価額を修正した場合(または固定資産税評価額が修正されるべきなのにされていない場合)

さらに、申出には、納税通知書の交付を受けた日から3か月以内という期限も設けられています。「今年度の評価替えで評価額が上がった」と感じたなら、納税通知書を受け取ってすぐに行動することが重要です。

なお、審査中も一旦は決定税額を納付する必要があります。審査により減額が認められた場合は、差額が還付されます(出典:一般財団法人 資産評価システム研究センター「令和8年度 固定資産税のしおり」)。

このように窓口で聞いてみましょう(評価額への不服)

筆者自身、築年数が比較的新しい中古住宅を奮発して購入した際、初めて届いた納税通知書の金額に驚いた経験があります。「本当にこれが正しい金額なのか」と思ったときこそ、窓口で固定資産税評価額を確認することが大切です。

  • 言い方の例:「課税明細書を持参しています。土地と建物それぞれの固定資産税評価額と課税標準額の計算根拠を確認させてください。住宅用地の特例は正しく適用されていますか」
  • 持参物の目安: 納税通知書・課税明細書・登記事項証明書・公図など

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7. すぐにできる対処法④——不動産を売却する

固定資産税の滞納が長期化し、自治体との交渉だけでは解決が難しくなってきた場合、不動産の売却という選択肢があります。

売却は手元に資金を残しながら根本から問題を解決できる有力な手段ですが、差し押さえを受けているかどうか、滞納額の大きさによって選ぶべき方法が異なるため、まずは状況を整理する必要があります。

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7-1. 任意売却と通常売却——滞納額と状況で選ぶ

不動産を売却して固定資産税の滞納を解消する方法には、大きく「通常売却」と「任意売却」の2つがあります。どちらを選ぶかは、現在の状況によって決まります。

差し押さえを受けていない段階であれば、通常の不動産売却を進めることができます。売却代金から滞納額・延滞金を清算できれば、問題は解決します。一方、すでに差し押さえを受けている場合は、そのままでは所有者の意思だけで売却できません。この場合に選択肢となるのが任意売却です。

任意売却(にんいばいきゃく)とは、住宅ローン残債や税金の滞納があっても、債権者(金融機関・自治体)の合意を得たうえで市場に売り出す売却方法です。

公売(強制的な競売)と異なり、相場に近い価格での売却が期待でき、手元に資金が残る可能性があります。差し押さえを受けてから公売が実施されるまでには一定の期間があるため、その間に任意売却を検討する余地が生まれます。

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7-2. 売却代金から未払い固定資産税はどう清算されるか

任意売却の決済時には、売却代金が複数の費用・債務に順番に充当されます。「いくら手元に残るか」を事前に把握するために、この流れを理解しておくことが重要です。

一般的な充当の流れは次のとおりですが、案件によって異なる場合があるため、詳細は不動産会社・弁護士・司法書士などへ確認してください。

中古住宅の任意売却における固定資産税滞納金清算の資金フロー図

たとえば、売却価格が3,000万円で住宅ローン残債が2,500万円、固定資産税の滞納額・延滞金の合計が50万円、司法書士費用等が20万円の場合、手取りは最大で約430万円となります。

実際には、滞納額が大きいほど受け取ることができる額が減るため、早めに動くほど有利です。

売却を検討する前に、まず不動産会社に査定を依頼し、現在の市場価格を把握するところから始めましょう。査定額と滞納総額を比べて、売却で問題を解決できるかを見極める必要があります。

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7-3. 売却後も固定資産税が残るケースに注意する

売却代金が住宅ローン残債・滞納額・延滞金の総額を下回る場合(いわゆるオーバーローン状態)は、売却後も固定資産税の未払いが残る可能性があります。

この場合、売却代金だけでは完済できないため、あらかじめ自治体と交渉して分割払いの合意を取り付けるなどの対応が必要になります。「売れば全部解決する」とは限らない点は、事前に把握しておく必要があります。

専門家(不動産会社・弁護士・司法書士)と相談しながら、自治体窓口とも並行して話し合いを進めるのが現実的な手順といえます。

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8. 中古住宅購入「前」に払えない事態を防ぐ3つの確認

中古住宅の購入後に「税額が想定より高かった」と気づくケースは少なくありません。固定資産税の年間税額は購入前に把握できる情報であり、購入前の数分の確認で将来の資金不足を防げる可能性があります。

購入を検討している段階でこそ、これからご紹介する方法で税額の確認を済ませましょう。

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8-1. 購入前に固定資産税評価証明書か課税明細書で税額を確認する

固定資産税の税額は、購入前でも確認できます。方法は主に2つあり、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。

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固定資産税評価証明書の取得方法・費用・必要書類

固定資産税評価証明書とは、市区町村が発行する証明書で、土地や建物の固定資産税評価額が記載されています。この書類を入手すれば、固定資産税の金額を自分で計算して確認することが可能です。

ただし、誰でも取得できるわけではありません。取得できるのは原則として不動産の所有者本人、または所有者から委任を受けた代理人です。そのため、中古住宅の購入を検討している買主が、自ら窓口で取得することはできません。

そこで活用したいのが仲介業者です。宅地建物取引業者は、「照会等の特約事項」が記載された媒介契約書を提示することで、固定資産税評価証明書を取得できます。この運用は国土交通省と総務省の通知に基づいて全国で認められています。

売主側・買主側のどちらの仲介業者でも対応できるため、担当者に取得を依頼するとよいでしょう。発行手数料は自治体ごとに異なりますが、おおむね300~400円程度です。

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売主に「課税明細書」のコピーを依頼する方法もある

固定資産税評価証明書を取得できない場合は、売主に課税明細書のコピーを見せてもらう方法があります。課税明細書には、土地・建物ごとの固定資産税評価額(価格)、課税標準額、税額が記載されており、将来の税負担を把握するための重要な資料です。

確認を希望する場合は、仲介業者を通じて売主へ依頼するのが一般的です。「課税明細書を確認したい」と伝えれば、スムーズに話が進むことが多いでしょう。

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8-2. 住宅ローン返済額と固定資産税を合算して月次換算で資金計画を立てる

固定資産税は年4回払いのため、「納付書が届く月だけ気をつければいい」と思いがちです。しかし実態は、住宅を所有しているかぎり毎年必ず課されます。住宅ローンの月額返済額に固定資産税の月次換算額を加えた金額を、毎月の実質的な住居コストとして把握しておくことが大切です。

固定資産税の月次換算目安(年税額別)
年間固定資産税額 月次換算額(÷12) 住宅ローン月額10万円との合算例
6万円 5,000円 10万5,000円
10万円 約8,300円 10万8,300円
15万円 1万2,500円 11万2,500円
20万円 約1万6,700円 11万6,700円

たとえば、年間固定資産税が15万円の物件を住宅ローン月額10万円で購入する場合、実質的な月次住居コストは11万2,500円になります。年収や手取り月収から逆算して、この合計額を無理なく払い続けられるかを購入前に確認してください。

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8-3. 3年評価替えのタイミングと評価額の変動リスクを把握しておく

固定資産税評価額は、3年ごとに実施される「評価替え」によって見直されます。直近の評価替えは令和6年度に行われており、次回は令和9年度です。地価が上昇している地域では、評価替えに伴って土地の評価額が上がり、固定資産税額が増加する可能性があります。

そのため、中古住宅を購入する際は、現在の税額だけでなく将来の変動リスクにも目を向けることが大切です。国土交通省の「地価公示」や都道府県が公表する「地価調査」を確認すれば、地域の地価動向を把握できます。

現時点の税負担に問題がなくても、次回以降の評価替えで税額が上昇する可能性があるため、長期的な視点で検討しましょう。

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9. よくある質問(FAQ)

固定資産税が支払えない場合に、多くの人が疑問に感じるポイントを3つまとめました。まずは制度の基本を理解し、適切な対応方法を確認しておきましょう。

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9-1. 固定資産税を滞納すると信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録される?

固定資産税を滞納しても、その事実が個人信用情報機関に登録されることはありません。

個人信用情報機関には、クレジットカードやローンなどの民間金融取引に関する情報が登録されます。一方、税金や公共料金の支払い状況は原則として登録対象外です。そのため、住宅ローン審査などで金融機関が照会するCICやJICCに、固定資産税の滞納情報が記録されることはありません。

ただし、だからといって影響がまったくないわけではありません。税金を滞納していると、市区町村が発行する納税証明書を取得できない場合があります。

特に自営業者や法人代表者が融資を申し込む際には、納税証明書の提出を求められることが少なくありません。滞納中は必要書類を用意できず、審査に支障が生じる可能性があります。

また、給与所得者であっても、税金の滞納が判明すれば審査上のマイナス要因となることがあります。「信用情報に登録されないから問題ない」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。

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9-2. 相続した中古住宅の固定資産税を払えない場合、相続放棄は有効?

相続放棄は、固定資産税の納税義務を引き継がないための有効な手段になりえます。ただし、厳格な期限と条件があるため注意が必要です。

相続放棄とは、家庭裁判所に申述することで相続そのものを拒否する手続きのことです。相続放棄が認められれば、固定資産税を含むすべての相続財産・負債を引き継がないことになります。

相続放棄ができる期限は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月です(民法第915条)。相続放棄の期限である3か月の起算日は「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」であり、この日を1日目として数え、3か月後の同じ日付が相続放棄の期限となります。

ただし、起算点がずれるケースもあります。先順位の相続人が全員相続放棄したことで自分に相続権が回ってきた場合は、「自分のところに相続権がまわってきたことを知ったとき」から3か月となります。さらに、3か月以内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長」を申し立てることも可能です。

注意
相続放棄が認められた後も、相続財産清算人が選任されるまでの間は、放棄した相続人が不動産の管理義務を負う場合があります(民法第940条)。放棄したからといって即座に関係が切れるわけではありません。状況が複雑な場合は、弁護士・司法書士への相談をお勧めします。

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9-3. 固定資産税を滞納中に住宅ローンの借り換えはできる?

固定資産税を滞納している状態では、住宅ローンの借り換えに支障が出る場合があります。

特に影響が大きいのは自営業者・法人代表者です。納税証明書(その1)は納付する税額の証明書であり、未納税額がある場合は納付してから請求することになります。借り換え審査では納税証明書の提出が必要なため、滞納中は審査書類をそろえること自体ができません。

給与所得者の場合は源泉徴収票と合わせて課税証明書を添付すれば納税状況を証明できる金融機関が多く、納税証明書が必須でないケースもあります。ただし、固定資産税の滞納は審査上のマイナス評価につながる可能性がある点は変わりません。

いずれの属性でも、まず滞納を解消して状況を改善してから借り換えを検討する順番が賢明といえます。本記事の「5.すぐにできる対処法②——自治体窓口に相談する(4つの制度)」で解説した分納・徴収猶予などを活用して滞納を整理したうえで、改めてローン相談に臨んでください。

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まとめ——固定資産税が払えないと感じたら、まず動くことが大切

固定資産税が払えない状況に陥ったとき、最も避けるべきことは「放置」です。納期限を過ぎた翌日から延滞金が発生し、督促状・差し押さえ・公売へと段階的にリスクが拡大します。しかし、各段階には必ず「まだ取れる対処法」が残っています。

状況別に取るべき行動を整理すると、次のとおりです。

  • 手元資金が不足しているだけなら → クレジットカード・スマホ決済で当月を乗り切り、翌月から自治体に分納相談
  • 失業・休職・療養中など特別な事情があるなら → 徴収猶予を申請(最長1年・延滞金が原則免除)
  • すでに差し押さえを受けているなら → 換価の猶予を納期限から6か月以内に申請
  • 税額そのものが高すぎると感じるなら → 住宅用地の特例・リフォーム減税の適用漏れを確認し、評価替え年度には審査申出も検討
  • 長期的な解決が必要なら → 任意売却も含めた出口戦略を不動産会社・弁護士・司法書士に相談

どの選択肢も、動き出すタイミングが早いほど選べる手段が多く残ります。不安な点があれば、まず市区町村の固定資産税担当窓口に相談してください。窓口の職員は問題を解決するための相談に応じる立場にあります。一人で抱え込まず、早めに声を上げることが、住まいを守る第一歩です。

本記事の内容が、皆様に役立てば幸いです。

著者・監修情報
固定資産税をパパっと解説(koteishisanzei-papatto.com)編集部。固定資産税に関する情報を図解を交えてわかりやすく解説することを心がけて記事を作成しています。作成にあたっては、総務省 固定資産評価基準、一般財団法人 資産評価システム研究センター、国土交通省などの公的機関の情報、および信頼性が極めて高い専門サイトの情報を参照しています。
参考資料・参考サイト
e-Gov:民法e-Gov:地方税法一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和8年度 固定資産税のしおり一般財団法人 資産評価システム研究センター:令和6年度 固定資産税のあらまし国土交通省・令和8年度税制改正概要
注意点
本記事の内容は令和8年6月時点のものです。最新の情報はe-Gov、市町村役場のホームページや窓口などにてご確認ください。

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